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K 8723:2019  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 種類······························································································································· 2 

4 性質······························································································································· 2 

4.1 性状 ···························································································································· 2 

4.2 定性方法 ······················································································································ 2 

5 品質······························································································································· 2 

6 試験方法························································································································· 3 

6.1 一般事項 ······················································································································ 3 

6.2 純度(C6H5NO2)(GC)·································································································· 3 

6.3 密度(20 ℃) ··············································································································· 4 

6.4 屈折率

20

D

n ···················································································································· 4 

6.5 凝固点 ························································································································· 4 

6.6 酸(HNO3として) ········································································································ 4 

6.7 水分 ···························································································································· 5 

6.8 塩化物(Cl) ················································································································ 5 

7 容器······························································································································· 6 

8 表示······························································································································· 6 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正

すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS K 8723:1995は改正され,この規格に置き換えられた。 

なお,平成31年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ

ーク表示認証において,JIS K 8723:1995を適用してもよい。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

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ニトロベンゼン(試薬) 

Nitrobenzene (Reagent) 

  C6H5NO2  FW:123.11

適用範囲 

この規格は,試薬として用いるニトロベンゼンについて規定する。 

警告1 ニトロベンゼンは,引火性があるので火気に注意する。また,有害なので,蒸気の吸入,粘

膜・皮膚への付着などを避ける。 

警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす

る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので

はない。この規格の利用者は,SDS(安全データシート)などを参考にして各自の責任にお

いて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0061 化学製品の密度及び比重測定方法 

JIS K 0062 化学製品の屈折率測定方法 

JIS K 0065 化学製品の凝固点測定方法 

JIS K 0068 化学製品の水分測定方法 

JIS K 0114 ガスクロマトグラフィー通則 

JIS K 0117 赤外分光分析通則 

JIS K 1107 窒素 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8102 エタノール(95)(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8550 硝酸銀(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8842 ブロモチモールブルー(試薬) 

JIS K 8891 メタノール(試薬) 

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JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬) 

種類 

種類は,特級とする。 

性質 

4.1 

性状 

ニトロベンゼンは,僅かにうすい黄からうすい黄の透明な液体で,特異の臭いがある。エタノール(99.5)

及びジエチルエーテルには極めて溶けやすく,水にほとんど溶けない。沸点は,約210 ℃である。 

4.2 

定性方法 

試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数3 078 cm-1,1 607 cm-1,1 522 cm-1,

1 479 cm-1,1 345 cm-1,852 cm-1,704 cm-1及び681 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。この場合,試料

調製は,JIS K 0117の5.4 a)(液膜法)による。窓板に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペクトル

の例を図1に示す。 

図1−赤外吸収スペクトルの例 

品質 

品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

純度(C6H5NO2)(GC) 

面積分率 % 

99.5 以上 

6.2 

密度(20 ℃) 

g/mL 

1.201〜1.207 

6.3 

屈折率

20

D

− 

1.551〜1.554 

6.4 

凝固点 

℃ 

5.5 以上 

6.5 

酸(HNO3として) 

質量分率 ppm 

3 以下 

6.6 

水分 

質量分率 % 

0.05 以下 

6.7 

塩化物(Cl) 

質量分率 ppm 

5 以下 

6.8 

試験方法 

6.1 

一般事項 

試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。 

6.2 

純度(C6H5NO2)(GC) 

純度(C6H5NO2)(GC)の試験方法は,次による。 

a) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) マイクロシリンジ又は試料導入装置 1.0 μL又は使用する装置に適切な量を注入できるもの。 

2) ガスクロマトグラフ 装置の構成は,JIS K 0114に規定するもの。 

b) 分析条件 分析条件は,次による。 

なお,別の分析条件でもニトロベンゼンとベンゼン及びm-ジニトロベンゼンとの分離度が1.5以上

であれば,その条件を用いてもよい。 

1) 検出器の種類 水素炎イオン化検出器 

2) 固定相液体 メチルシリコーン,95 %ジフェニル-ジメチルポリシロキサン-5 %-フェニル-メチルポ

リシロキサン又はポリエチレングリコール 

3) 固定相液体の膜厚 0.25 μm〜1.0 μm 

4) キャピラリーカラムの材質,内径及び長さ 材質,内径及び長さは次による。 

・ 材質は,ほうけい酸ガラス又は石英ガラスとする。 

・ 内径は,0.25 mm〜0.53 mmとする。 

・ 長さは,25 m〜50 mとする。 

5) 設定温度 カラム槽 150 ℃〜200 ℃の適切な温度とし,用いるカラムに応じて昇温してよい。 

試料気化室 200 ℃〜250 ℃ 

検出器槽 240 ℃〜300 ℃ 

6) キャリヤーガスの種類及び流量 ヘリウム 1.2 mL/min〜2.4 mL/min 

7) 試料の導入方式 直接注入法,スプリットレス注入法及びスプリット注入法 

8) 試料の導入量 1.0 μL又は使用する装置に適切な量 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料の導入及び記録 試料をマイクロシリンジ又は試料導入装置を用いてガスクロマトグラフに導

入してクロマトグラムを記録する。 

なお,あらかじめ,ニトロベンゼンの保持時間を確認しておく。 

2) ピーク面積の測定 クロマトグラムのピーク面積の測定は,JIS K 0114の11.3 a)(データ処理ソフ

ト又はデータ処理装置を用いる方法)による。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) 定量法 JIS K 0114の11.5(面積百分率法)によって,純度(C6H5NO2)(GC)の含有量を算出する。 

6.3 

密度(20 ℃) 

密度(20 ℃)の試験方法は,JIS K 0061の7.2(比重瓶法)又は7.3(振動式密度計法)による。 

6.4 

屈折率

20

D

屈折率

20

D

nの試験方法は,JIS K 0062による。 

6.5 

凝固点 

凝固点の試験方法は,JIS K 0065による。 

6.6 

酸(HNO3として) 

酸(HNO3として)の試験方法は,次による。 

a) ガス及び試験用溶液類 ガス及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 窒素 JIS K 1107に規定するもの。 

2) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。 

3) 緩衝液(pH 6.8) JIS K 9007に規定するりん酸二水素カリウム(pH標準液用)及びJIS K 8576に

規定する水酸化ナトリウムを用い,JIS K 8001のJA.7(緩衝液)による。 

4) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8842に規定するブロモチモールブルー0.10 gをはかりとり,JIS 

K 8102に規定するエタノール(95)50 mLを加えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。 

5) 0.02 mol/L 塩酸(HCl:0.729 2 g/L) 1 mol/L 塩酸10 mLを全量フラスコ500 mLに正確にとり,水

を標線まで加えて混合したもの。使用時に調製し,気密容器に保存する。 

なお,1 mol/L 塩酸を調製する場合は,JIS K 8180に規定する塩酸を用い,JIS K 8001のJA.6.4 e) 

2)(1 mol/L 塩酸)に従って,調製,標定及び計算する。 

6) 0.02 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:0.799 9 g/L) 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液10 mLを

全量フラスコ500 mLに正確にとり,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合したもの。使用

時に調製し,ポリエチレンなどの樹脂製気密容器に保存する。 

7) 0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:2.000 g/L) 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液10 mLを全

量フラスコ200 mLに正確にとり,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合したもの。使用時

に調製し,ポリエチレンなどの樹脂製気密容器に保存する。ファクターは,1 mol/L 水酸化ナトリ

ウム溶液のファクターを用いる。 

なお,1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液を調製する場合は,JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウ

ムを用い,JIS K 8001のJA.6.4 r) 1)(1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液)に従って,調製,標定及び

計算する。 

b) 器具 主な器具は,次による。 

・ メスピペット又はミクロビュレット 最小目盛0.01 mL以下のもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,あらかじめ窒素を約200 mL/minの流量で約2分間通じて空気を置換した分液漏

斗100 mLに,手早く二酸化炭素を除いた水25 mL及びブロモチモールブルー溶液3滴を加え,液

面に窒素を通じながら,0.02 mol/L 水酸化ナトリウム溶液又は0.02 mol/L 塩酸を液の色が中間色1)

になるまでメスピペット又はミクロビュレットを用いて滴加する。直ちに試料20 gを加えて,約2

分間激しく振り混ぜた後,放置する。 

注1) 緩衝液(pH 6.8)約25 mLを共通すり合わせ三角フラスコ100 mLにとり,ブロモチモール

ブルー溶液3滴を加えたときの色。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2) 白の背景を用いて,試料溶液の上層(水相)の色を,分液漏斗の側方から観察する。 

3) 試料溶液の上層(水相)の色が,塩基性側の色(青)の場合,操作を終了する。 

4) 試料溶液の上層(水相)の色が,酸性側の色(黄)の場合,あらかじめ窒素を2分間通じて空気を

置換した共通すり合わせ三角フラスコ100 mLに水相を移し,窒素を液面に通じながら,0.05 mol/L 

水酸化ナトリウム溶液0.02 mLを加える。 

なお,0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液のファクターが1.0でない場合は,加える体積を補正す

る。 

5) 白の背景を用いて,試料溶液から得られた上層(水相)の色を,共通すり合わせ三角フラスコの側

方から観察する。 

d) 判定 次の1)又は2)に適合するとき,“酸(HNO3として):質量分率3 ppm以下(規格値)”とする。 

1) c) 3)から得られた上層(水相)の色は,中間色からアルカリ性側の色(青)を示す。 

2) c) 4)から得られた上層(水相)の色は,中間色からアルカリ性側の色(青)を示す。 

注記 0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLは,0.003 150 5 g HNO3に相当する。 

6.7 

水分 

水分は,JIS K 0068の6.3(容量滴定法)又は6.4(電量滴定法)による。試料は,容量滴定法の場合は

50 g,電量滴定法の場合は10 gをはかりとり,滴定溶液はJIS K 8891に規定するメタノール又は装置メー

カーが推奨するものとする。 

6.8 

塩化物(Cl) 

塩化物(Cl)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と

を混合したもの。 

2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加

えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。 

3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウ

ム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。

この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具 主な器具は,次による。 

・ 共通すり合わせ平底試験管 例えば,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料4.0 gを分液漏斗50 mLなどにはかりとり,水20 mLを加えて,約2分間

激しく振り混ぜた後,放置する。上層(水相)10 mL(試料量2.0 g)を共通すり合わせ平底試験管

にとり,硝酸(1+2)5 mLを加え,水を加えて25 mLにする。 

2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)1.0 mL及び硝酸(1+2)5 mLを共通すり合わ

せ平底試験管にとり,水を加えて25 mLにする。 

3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えて振り混ぜた後,15分間放置する。 

4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験

管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。 

d) 試料溶液から得られた液の濁りが,比較溶液から得られた液の白濁より濃くないとき,“塩化物(Cl):

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。 

容器 

容器は,遮光した気密容器とする。 

表示 

容器には,次の事項を表示する。 

a) 日本工業規格番号 

b) 名称“ニトロベンゼン”及び“試薬”の文字 

c) 種類 

d) 化学式及び式量 

e) 純度 

f) 

内容量 

g) 製造番号 

h) 製造業者名又はその略号