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K 8598:2018  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 種類······························································································································· 2 

4 性質······························································································································· 2 

4.1 性状 ···························································································································· 2 

4.2 定性方法 ······················································································································ 2 

5 品質······························································································································· 2 

6 試験方法························································································································· 2 

6.1 一般事項 ······················································································································ 2 

6.2 純度(Se) ··················································································································· 2 

6.3 強熱残分(硫酸塩) ······································································································· 3 

6.4 窒素化合物(Nとして)·································································································· 3 

6.5 硫黄化合物(Sとして),銅(Cu),鉛(Pb),テルル(Te)及び鉄(Fe) ································ 6 

7 容器······························································································································· 8 

8 表示······························································································································· 8 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正

すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS K 8598:2013は改正され,この規格に置き換えられた。 

なお,平成30年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ

ーク表示認証において,JIS K 8598:2013によることができる。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 8598:2018 

セレン(試薬) 

Selenium (Reagent) 

Se  AW:78.971 

適用範囲 

この規格は,試薬として用いるセレンについて規定する。 

警告1 セレンは有毒なため,粉じんを吸入しないようにし,粘膜及び皮膚への付着を避ける。 

警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす

る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので

はない。この規格の利用者は,SDS(安全データシート)などを参考にして各自の責任にお

いて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 0116 発光分光分析通則 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8034 アセトン(試薬) 

JIS K 8051 3-メチル-1-ブタノール(試薬) 

JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8202 塩化1,10-フェナントロリニウム一水和物(試薬) 

JIS K 8247 過マンガン酸カリウム(試薬) 

JIS K 8355 酢酸(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8548 硝酸カリウム(試薬) 

JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬) 

JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬) 

JIS K 8653 デバルダ合金(試薬) 

JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬) 

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K 8598:2018  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS K 8798 フェノール(試薬) 

JIS K 8913 よう化カリウム(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬) 

JIS K 8978 硫酸鉄(II)七水和物(試薬) 

JIS K 8979 硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物(試薬) 

JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬) 

JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬) 

JIS K 9019 りん酸水素二ナトリウム・12水(試薬) 

種類 

種類は,特級とする。 

性質 

4.1 

性状 

セレンは暗赤若しくは黒の粉末又は粒で,水に溶けないが,硝酸又は熱硫酸に溶ける。 

4.2 

定性方法 

試料0.2 gに硫酸10 mLを加えて熱すると緑が現れ,これに水20 mLを冷却しながら徐々に加えると赤

い沈殿が生じる。 

品質 

品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。 

表1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

純度(Se) 

質量分率 % 

99.0 以上 

6.2 

強熱残分(硫酸塩) 

質量分率 % 

0.05 以下 

6.3 

窒素化合物(N として) 

質量分率 % 

0.003以下 

6.4 

硫黄化合物(S として) 

質量分率 % 

0.02 以下 

6.5 

銅(Cu) 

質量分率 % 

0.005以下 

6.5 

鉛(Pb) 

質量分率 % 

0.005以下 

6.5 

テルル(Te) 

質量分率 % 

0.03 以下 

6.5 

鉄(Fe) 

質量分率 % 

0.005以下 

6.5 

試験方法 

6.1 

一般事項 

試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。 

6.2 

純度(Se) 

純度(Se)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) りん酸水素二ナトリウム・12水 JIS K 9019に規定するもの。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2) 混酸 水10 mLを冷却してかき混ぜながらJIS K 8951に規定する硫酸10 mLを徐々に加える。これ

にJIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)10 mLを排気に注意して加えたもの。 

3) フェロイン溶液 JIS K 8978に規定する硫酸鉄(II)七水和物0.70 gをはかりとり,水70 mL及び

JIS K 8202に規定する塩化1,10-フェナントロリニウム一水和物1.78 gを加えて溶かし,水を加えて

100 mLにしたもの。 

4) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々に

加えたもの。 

5) 0.02 mol/L 過マンガン酸カリウム溶液 JIS K 8247に規定する過マンガン酸カリウムを用い,JIS K 

8001のJA.6.4 g)(0.02 mol/L 過マンガン酸カリウム溶液)に従って調製,標定及び計算する。 

6) 0.1 mol/L 硫酸アンモニウム鉄(II)溶液 JIS K 8951に規定する硫酸及びJIS K 8979に規定する硫

酸アンモニウム鉄(II)六水和物を用い,JIS K 8001のJA.6.4 z)[0.1 mol/L 硫酸アンモニウム鉄(II)

溶液]に従って調製,標定及び計算する。 

b) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) ビーカー100 mLなどに試料1.0 gを0.1 mgの桁まではかりとり,混酸(水10 mL+硫酸 10 mL+硝

酸 10 mL)20 mLを加え,水浴上で加熱して溶かす(溶液が無色になるまで)。 

2) 冷却後,全量フラスコ250 mLに移し,少量の水でビーカーの内壁を洗い,この水も先の液に合わ

せる。水を標線まで加えて混合する。 

3) その25 mLを正確にとり,硫酸(1+1)20 mL,水100 mL及びりん酸水素二ナトリウム・12水16 g

を加え,0.02 mol/L 過マンガン酸カリウム溶液50 mLを正確に加える。 

4) 30分間放置し,0.1 mol/L 硫酸アンモニウム鉄(II)溶液でフェロイン溶液3滴を指示薬として加え,

滴定する。 

5) 終点は,液のだいだい(橙)赤が5分間持続する点とする(滴定量a mL)。 

6) 別に同一条件で空試験を行う(滴定量b mL)。 

c) 計算 純度(Se)は,次の式によって算出する。 

(

)

100

250

25

949

003

.0

×

×

×

×

=

m

f

a

b

A

ここに, 

A: 純度(Se)(質量分率 %) 

f: 0.1 mol/L 硫酸アンモニウム鉄(II)溶液のファクター 

m: はかりとった試料の質量(g) 

a: 滴定に要した0.1 mol/Lの硫酸アンモニウム鉄(II)溶液

の体積(mL) 

b: 空試験に要した0.1 mol/Lの硫酸アンモニウム鉄(II)溶

液の体積(mL) 

0.003 949: 0.1 mol/L 硫酸アンモニウム鉄(II)溶液1 mLに相当す

るSeの質量を示す換算係数(g/mL) 

6.3 

強熱残分(硫酸塩) 

強熱残分(硫酸塩)の試験方法は,JIS K 0067の4.4.4(4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)によ

る。この場合,試料2.0 gをはかりとり,JIS K 8951に規定する硫酸0.5 mLを加え,強熱温度は,600 ℃

±50 ℃とし,強熱残分は,0.1 mgの桁まではかる。 

6.4 

窒素化合物(Nとして) 

窒素化合物(Nとして)の試験方法は,次による。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。 

2) 吸収液 水150 mLを冷却し,かき混ぜながら,これにJIS K 8951に規定する硫酸10 mLを徐々に

加える。この液2 mLに水18 mLを加えたもの。 

3) デバルダ合金 JIS K 8653に規定するもの。 

4) エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(インドフェノール青法用)[EDTA2Na溶液(イ

ンドフェノール青法用)] JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム1 gを水60 mLに溶かす。これ

にJIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物5 gを加えて溶かし,

水で100 mLにしたもの。 

5) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質

量分率5 %〜12 %)の有効塩素を使用時に定量し,有効塩素が質量分率約1 %になるように水でう

すめたもの。冷暗所に保存し,30日以内に使用する。 

なお,有効塩素の定量は,次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜12 %)10 gを

0.1 mgの桁まではかりとり,全量フラスコ200 mLに移し,水を標線まで加えて混合する。その20 mL

を共通すり合わせ三角フラスコ300 mLに正確にとり,水100 mL及びJIS K 8913に規定するよう化

カリウム2 gを加えて溶かした後,速やかに酢酸(1+1)6 mLを加えて栓をして振り混ぜる。約5

分間暗所に放置後,指示薬としてでんぷん溶液を用い,0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定す

る。 

この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄になったときに約0.5 mLを加える。終

点は,液の青が消える点とする。別に同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。 

次亜塩素酸ナトリウム溶液の有効塩素濃度は,次の式から求める。 

100

200

20

)

(

3

545

003

0

2

1

×

×

×

×

=

m

f

V

V

.

A

ここに, 

A: 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜

12 %)の有効塩素濃度(Cl)(質量分率 %) 

V1: 滴定に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体積

(mL) 

V2: 空試験に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体

積(mL) 

f: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター 

m: はかりとった試料の質量(g) 

0.003 545 3: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当する塩

素の質量を示す換算係数(g/mL) 

また,酢酸(1+1),でんぷん溶液及び0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液を調製する場合は,次

による。 

− 酢酸(1+1)の調製は,JIS K 8355に規定する酢酸の体積1と水の体積1とを混合する。 

− でんぷん溶液の調製は,JIS K 8659に規定する特級又は1級のでんぷん(溶性)1.0 gをはかりと

り,水 10 mLを加えてかき混ぜながら熱水200 mL中に入れて溶かす。これを約1分間煮沸した

後に冷却する。冷所に保存し,10日以内に使用する。 

− 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の調製は,JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和

物,JIS K 8625に規定する炭酸ナトリウム又はJIS K 8051に規定する3-メチル-1-ブタノールを用

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

い,JIS K 8001のJA.6.4 t) 2)(0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液)に従って調製,標定及び計算

する。 

6) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム30.9 gを水に溶かして

100 mLにしたもの。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。 

7) ナトリウムフェノキシド溶液 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)18 mLをビーカー200 mLにとる。

冷水中で冷却しながらJIS K 8798に規定するフェノール12.6 gを少量ずつ加えた後,更にJIS K 

8034に規定するアセトン4 mLを加え,水で100 mLにしたもの。使用時に調製する。 

8) 窒素標準液(N:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,窒素標準液(N:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8548に規定する硝酸カリウム7.22 

gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。この

液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの。 

2) 共通すり合わせ平底試験管 例えば,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。 

3) 沸騰石 液体を沸騰させるとき突沸を防ぐために入れる多孔質の小片。 

4) 恒温水槽 20 ℃〜25 ℃に調節できるもの。 

5) 蒸留装置 例を図1に示す。 

6) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。 

A: 

B: 
C: 

D: 

E: 

F: 

G: 
H: 

I: 

J: 

K: 

L: 

蒸留フラスコ 
連結導入管 
すり合わせコックK-16 
注入漏斗 
ケルダール形トラップ球(E':小孔) 
球管冷却器 
逆流止め(約50 mL) 
受器(有栓形メスシリンダー100 mL) 
共通すり合わせ 
共通テーパー球面すり合わせ 
押さえばね 
ヒーター 
 
 

図1−蒸留装置の例 

K 8598:2018  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) 操作 操作は,有害な硫酸ミストが発生するため,排気に注意して,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gに硫酸10 mLを加え,熱板(ホットプレート)上で加熱して溶かし,

約5 mLに濃縮する。冷却後,全量フラスコ100 mLに移し,水を標線まで加えて混合する。その液

50 mLを蒸留フラスコAにとり,水を加えて約140 mLにする。 

2) 比較溶液の調製は,硫酸5 mLを熱板(ホットプレート)上で約3 mLに濃縮する。冷却後,その液

を蒸留フラスコAに移し,窒素標準液(N:0.01 mg/mL)1.5 mLを加え,水を加えて約140 mLに

する。 

3) 空試験溶液は,蒸留フラスコAに水140 mLを入れる。 

4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に沸騰石2,3個を入れる。受器Hに吸収液20 mLを入れ,逆

流止めGの先端を浸す。蒸留フラスコAにデバルダ合金1 gを入れ,直ちに蒸留装置に連結する。

これに水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)30 mLを注入漏斗Dから加える。注入漏斗Dを水10 mL

で洗い,すり合わせコックCを閉じる。加熱して蒸留し,初留約75 mLをとり,水を加えて100 mL

にする(試料溶液から得られた液をX液,比較溶液から得られた液をY液及び空試験溶液から得ら

れた液をZ液とする。)。 

5) X液10 mL,Y液10 mL及びZ液10 mLをそれぞれ共通すり合わせ平底試験管にとり,EDTA2Na

溶液(インドフェノール青法用)1 mL及びナトリウムフェノキシド溶液4 mLを加えてよく振り混

ぜる。これらに次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %)2.5 mLを加え,更に水を加

えて25 mLにし,20 ℃〜25 ℃の恒温水槽で15分間放置する。 

6) X液及びY液から得られた液は,Z液から得られた液を対照液とし,吸収セルを用いて,分光光度

計で波長630 nmにおける吸光度をJIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)によって測定

し,比較する。 

d) 判定 c)によって操作し,X液から得られた液の吸光度が,Y液から得られた液の吸光度より大きく

ないとき,“窒素化合物(Nとして):質量分率0.003 %以下(規格値)”とする。 

6.5 

硫黄化合物(Sとして),銅(Cu),鉛(Pb),テルル(Te)及び鉄(Fe) 

硫黄化合物(Sとして),銅(Cu),鉛(Pb),テルル(Te)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 塩酸 JIS K 8180に規定する特級のもの。 

2) 硝酸 JIS K 8541に規定する質量分率60 %〜61 %の特級のもの。 

3) 硫黄標準液(S:1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,硫黄標準液(S:1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8962に規定する硫酸カリウム5.44 g

を全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。 

4) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,銅標準液(Cu:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水

和物3.93 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水

を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり硝酸(1+2)25 mL

及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。 

5) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 g

を全量フラスコ1 000 mLにとり,硝酸(1+2)25 mLを加えて溶かし,水を標線まで加えて混合す

る。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,

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K 8598:2018  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

水を標線まで加えて混合する。 

6) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム

鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,塩酸(2+1)3 mL及び水を加えて溶

かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり塩酸(2

+1)3 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。 

7) テルル標準液(Te:1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,テルル標準液(Te:1 mg/mL)を調製する場合,テルル(Te,質量分率99.9 %以上)0.100 g

をビーカー100 mLなどに正確にはかりとり,硝酸(1+1)20 mLを加え,穏やかに加熱して溶かす。

冷却後,全量フラスコ100 mLに移し,水を標線まで加えて混合する。 

b) 装置 主な装置は,次による。 

− ICP発光分光分析装置 装置の構成は,JIS K 0116に規定するもの。 

c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表2に示す。 

なお,別の条件でも同等の試験結果が得られる場合には,その条件を用いてもよい。 

表2−分析種の測定波長の例 

分析種 

測定波長 nm 

硫黄化合物(Sとして) 

180.743 

銅(Cu) 

324.754 

鉛(Pb) 

220.422 

テルル(Te) 

214.349 

鉄(Fe) 

238.204 

d) 操作 操作は,有害な塩酸,硝酸,塩化ニトロシル及び塩素が発生するため,排気に注意して,次の

とおり行う。 

1) ビーカー1 000 mLなどに試料10 gをはかりとり,水100 mL,塩酸50 mL及び硝酸30 mLを揺らし

ながら少しずつ加える。反応が終了後に時計皿を載せ加熱溶解し,約80 mLまで濃縮する。冷却後,

全量フラスコ100 mLに移し,水を標線まで加えて混合する(A液)。 

2) 試料溶液の調製は,全量フラスコ50 mLにA液20 mL(試料量2.0 g)をとり,水を標線まで加えて

混合する(X液)。 

3) 標準添加溶液の調製は,全量フラスコ50 mLにA液20 mL(試料量2.0 g)をとり,表3に示す各標

準液の体積を3段階加え,水を標線まで加え混合する(それぞれ,Y1液,Y2液及びY3液とする。)。 

表3−採取する標準液の体積 

標準液 

mg/mL 

採取量 mL 

Y1 

Y2 

Y3 

硫黄標準液(S) 

0.2 

0.4 

0.6 

銅標準液(Cu) 

0.01 

10 

15 

鉛標準液(Pb) 

0.01 

10 

15 

テルル標準液(Te) 

0.3 

0.6 

0.9 

鉄標準液(Fe) 

0.01 

10 

15 

K 8598:2018  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4) 空試験溶液の調製は,全量フラスコ50 mLに塩酸10 mL及び硝酸6 mLをとり,水を標線まで加え

混合する(Z液)。 

5) ICP発光分光分析装置は,高周波プラズマを点灯するなどによって,発光強度を測定できる状態に

する。 

6) 同一分析種ごとに複数波長を選択し,Y1液,Y2液及びY3液を用いて,関係線を作成し,関係線の

y切片が低く,感度及び直線性が良好な波長を選択する。この条件を満たせない場合,分析結果に

対する影響(定量限界,再現精度)を考慮して選択する。 

7) Z液,X液,Y1液,Y2液及びY3液をアルゴンプラズマ中に噴霧し,分析種の発光強度を測定する。 

e) 計算 JIS K 0116の4.7.3 b)(標準添加法)によって関係線を作成し,分析種の含有率を計算する。 

f) 

判定 d)によって操作し,e)によって計算して得られた含有率が,規格値を満足しているとき,“硫黄

化合物(Sとして):質量分率0.02 %以下(規格値),銅(Cu):質量分率0.005 %以下(規格値),鉛

(Pb):質量分率0.005 %以下(規格値),テルル(Te):質量分率0.03 %以下,鉄(Fe):質量分率0.005 %

以下(規格値)”とする。 

容器 

容器は,気密容器とする。 

表示 

容器には,次の事項を表示する。 

a) 日本工業規格番号 

b) 名称“セレン”及び“試薬”の文字 

c) 種類 

d) 元素記号及び原子量 

e) 純度 

f) 

内容量 

g) 製造番号 

h) 製造業者名又はその略号