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K 8541:2015  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 種類······························································································································· 2 

4 性質······························································································································· 2 

4.1 性状 ···························································································································· 2 

4.2 定性方法 ······················································································································ 3 

5 品質······························································································································· 3 

6 試験方法························································································································· 4 

6.1 一般事項 ······················································································································ 4 

6.2 特級 ···························································································································· 4 

6.3 微量金属測定用 ············································································································ 11 

7 容器······························································································································ 16 

8 表示······························································································································ 16 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 17 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正

すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS K 8541:2006は改正され,この規格に置き換えられた。 

なお,平成27年9月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ

ーク表示認証において,JIS K 8541:2006によることができる。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 8541:2015 

硝酸(試薬) 

Nitric acid (Reagent) 

HNO3  FW:63.01 

序文 

この規格は,1983年に第1版として発行されたISO 6353-2,Reagents for chemical analysis−Part 2: 

Specifications−First series R 19 Nitric acidを基とし,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,試薬として用いる硝酸について規定する。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 6353-2:1983,Reagents for chemical analysis−Part 2: Specifications−First series R 19 Nitric acid

(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

警告1 硝酸は劇物のため,目,粘膜及び皮膚に付着しないようにする。また,銅などの金属片と一

緒に温めると,粘膜,皮膚などを侵す窒素酸化物及び硝酸ミストを発生するので,これらの

吸入を避けるためにドラフト内で操作を行う。また,硝酸は光によって経時変化をするため,

製品は直射日光を避けて,なるべく冷所に保存する。 

警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす

る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので

はない。この規格の利用者は,SDS(安全データシート),MSDS(化学物質等安全データシ

ート:JIS Z 7250−2012年に廃止され,JIS Z 7253に移行。JIS Z 7250:2010に従ってよい猶

予期間は2016年まで)などを参考にして各自の責任において安全及び健康に対する適切な措

置をとらなければならない。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 0121 原子吸光分析通則 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS K 0133 高周波プラズマ質量分析通則 

JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水 

JIS K 0970 ピストン式ピペット 

JIS K 1107 窒素 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8005 容量分析用標準物質 

JIS K 8007 高純度試薬試験方法通則 

JIS K 8012 亜鉛(試薬) 

JIS K 8044 三酸化二ひ素(試薬) 

JIS K 8085 アンモニア水(試薬) 

JIS K 8102 エタノール(95)(試薬) 

JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬) 

JIS K 8139 塩化水銀(II)(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8355 酢酸(試薬) 

JIS K 8374 酢酸鉛(II)三水和物(試薬) 

JIS K 8550 硝酸銀(試薬) 

JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬) 

JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8580 すず(試薬) 

JIS K 8603 ソーダ石灰(試薬) 

JIS K 8777 ピリジン(試薬) 

JIS K 8842 ブロモチモールブルー(試薬) 

JIS K 8913 よう化カリウム(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬) 

JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬) 

JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬) 

JIS K 9512 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(試薬) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

種類 

種類は,特級及び微量金属測定用とする。 

性質 

4.1 

性状 

硝酸は,無色の液体で光にさらすと,徐々に黄又は赤みの黄に変わる。密度は,質量分率69 %では約

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1.42 g/mL,質量分率65 %では約1.40 g/mL又は質量分率60 %では約1.38 g/mLである。 

4.2 

定性方法 

局所排気装置の下又はドラフト内(以下,“局所排気装置の下など”という。)で,試料10 mLに銅片0.1 

gを入れて温めると,赤みの褐色のガスを発生して溶け1),液の色が,緑に変わる。 

注1) この操作は,粘膜,皮膚などを侵す窒素酸化物及び硝酸ミストを発生するので,これらの吸入

を避けるために局所排気装置の下などで操作を行う。 

品質 

品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。 

表1−品質 

項目 

特級 

微量金属測定用 

規格値 

試験方法 

規格値 

試験方法 

濃度(HNO3) 
 質量分率69 %の場合 
 質量分率65 %の場合 
 質量分率60 %の場合 

 
質量分率 % 
質量分率 % 
質量分率 % 

69〜70 
65〜66 
60〜61 

6.2.1 

69〜70 

60〜61 

6.3.1 

強熱残分(硫酸塩) 

質量分率 ppm 

3以下 

6.2.2 

− 

− 

塩化物(Cl) 

質量分率 ppm 

0.3以下 

6.2.3 

− 

− 

硫酸塩(SO4) 

質量分率 ppm 

0.5以下 

6.2.4 

− 

− 

ナトリウム(Na) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.1以下 

6.3.2 

銅(Cu) 

質量分率 ppm 

0.1以下 

6.2.5 

0.005以下 

6.3.2 

銀(Ag) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.005以下 

6.3.2 

マグネシウム(Mg) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.005以下 

6.3.2 

カルシウム(Ca) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.005以下 

6.3.2 

亜鉛(Zn) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.005以下 

6.3.2 

カドミニウム(Cd) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.005以下 

6.3.2 

水銀(Hg) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.001以下 

6.3.3 

ほう素(B) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.005以下 

6.3.2 

アルミニウム(Al) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.005以下 

6.3.2 

すず(Sn) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.005以下 

6.3.2 

鉛(Pb) 

質量分率 ppm 

0.1以下 

6.2.5 

0.005以下 

6.3.2 

バナジウム(V) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.005以下 

6.3.2 

ひ素(As) 

質量分率 ppm 

0.01以下 

6.2.6 

0.005以下 

6.3.2 

アンチモン(Sb) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.005以下 

6.3.2 

ビスマス(Bi) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.005以下 

6.3.2 

クロム(Cr) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.005以下 

6.3.2 

モリブデン(Mo) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.005以下 

6.3.2 

タングステン(W) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.005以下 

6.3.2 

セレン(Se) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.005以下 

6.3.2 

マンガン(Mn) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.005以下 

6.3.2 

鉄(Fe) 

質量分率 ppm 

0.2以下 

6.2.5 

0.05以下 

6.3.2 

コバルト(Co) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.005以下 

6.3.2 

ニッケル(Ni) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.005以下 

6.3.2 

ガリウム(Ga) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.005以下 

6.3.2 

イットリウム(Y) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.005以下 

6.3.2 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1−品質(続き) 

項目 

特級 

微量金属測定用 

規格値 

試験方法 

規格値 

試験方法 

インジウム(In) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.005以下 

6.3.2 

タリウム(Tl) 

質量分率 ppm 

− 

− 

0.005以下 

6.3.2 

試験方法 

6.1 

一般事項 

試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050,JIS K 8001及びJIS K 8007による。 

6.2 

特級 

特級の試験方法は,次による。 

6.2.1 

濃度(HNO3) 

濃度(HNO3)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8842に規定するブロモチモールブルー0.10 gをJIS K 8102に規

定するエタノール(95)50 mLに溶かし,水で100 mLにする。褐色ガラス製瓶に保存する。 

2) 水酸化カリウム溶液(250 g/L)(必要な場合に用いる。) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム29.4 

gを水に溶かして100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。 

3) 二酸化炭素を除いた水 次のいずれか,又はそれらを組み合わせたものを用い,使用時に調製する。 

3.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ

ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶に水酸化カリ

ウム溶液(250 g/L)を入れたもの,又はソーダ石灰管(JIS K 8603に規定するソーダ石灰を入れ

た管)を連結して空気中の二酸化炭素を遮り,冷却したもの。 

3.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。 

3.3) 二酸化炭素分離膜をもつガス分離管を用いて水から二酸化炭素を除いたもの。 

3.4) 18 MΩ・cm以上の抵抗率のある水を,JIS K 1107に規定する窒素を通じた三角フラスコに泡立てな

いように採取したもの。ただし,採水後速やかに用いる。 

4) 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:40.00 g/L) 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液の調製,標定及

び計算は,次による。 

4.1) 調製 調製は,次のいずれかによる。 

4.1.1) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム(質量分率100 %として)40 gを,ポリエチレンなどの

樹脂製容器にはかりとり,二酸化炭素を除いた水100 mLを加えて溶かし,冷却後,ポリエチレ

ンなどの樹脂製気密容器に移し,一昼夜以上放置する。その液をポリエチレンなどの樹脂製容器

1 000 mLに移し,二酸化炭素を除いた水を加えて1 000 mLとし,混合する。この液は,ポリエ

チレンなどの樹脂製気密容器に保存する。 

4.1.2) 高純度水酸化ナトリウム溶液(質量分率100 %として)又は半導体用水酸化ナトリウム溶液(質

量分率100 %として)40 gを,二酸化炭素を除いた水1 000 mLに溶かし,その液を約1時間か

くはん(攪拌)する(必要があれば,約24時間放置後,0.2 μmのフィルターでろ過する。)。こ

の液は,ポリエチレンなどの樹脂製気密容器に保存する。 

4.1.3) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム165 gをポリエチレンなどの樹脂製気密容器500 mLに

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

はかりとり,二酸化炭素を除いた水150 mLを加えて溶かした後,一昼夜以上放置する。その液

54 mLをポリエチレンなどの樹脂製気密容器1 000 mLにとり,二酸化炭素を除いた水を加えて

1 000 mLとし,混合する。この液は,ポリエチレンなどの樹脂製気密容器に保存する。 

4.2) 標定 標定は,認証標準物質2) 又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のアミド硫酸を用

い,次のとおり行う。 

4.2.1) 認証標準物質2) のアミド硫酸を用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。 

4.2.2) 容量分析用標準物質のアミド硫酸を用いる場合は,試験成績書などに記載する方法で乾燥する。 

4.2.3) 認証標準物質2) 又は容量分析用標準物質のアミド硫酸2.4 g〜2.6 gを0.1 mgの桁まではかり,コ

ニカルビーカー100 mLなどに移し,水25 mLを加えて溶かした後,指示薬としてブロモチモー

ルブルー溶液数滴を加え,4.1) で調製した1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液で滴定する。終点は,

液の色が黄から青みの緑になる点とする。 

注2) 認証標準物質を供給する者として,独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総合セン

ター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証標準物質

生産者がある。 

4.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。 

100

09

097

.0

A

V

m

f

×

×

=

ここに, 

f: 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液のファクター 

m: はかりとったアミド硫酸の質量(g) 

A: アミド硫酸の純度(質量分率 %) 

V: 滴定に要した1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液の体積

(mL) 

0.097 09: 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLに相当するアミド硫

酸の質量を示す換算係数(g/mL) 

b) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 水20 mLを共通すり合わせ三角フラスコ100 mLなどにとり,その質量を0.1 mgの桁まではかる(m1 

g)。水20 mLを入れた共通すり合わせ三角フラスコ100 mLなどに試料約2 mLをとり,再びその質

量を0.1 mgの桁まではかる(m2 g)。 

2) その共通すり合わせ三角フラスコ100 mLに,ブロモチモールブルー溶液数滴を加え,1 mol/L 水酸

化ナトリウム溶液で滴定する。終点は,液の色が黄から青に変わる点とする。 

c) 計算 濃度(HNO3)は,次の式を用いて計算する。 

100

)

(

01

063

.0

1

2

×

×

×

=

m

m

f

V

A

ここに, 

A: 濃度(HNO3)(質量分率 %) 

V: 滴定に要した1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液の体積(mL) 

f: 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液のファクター 

m2: 試料及び水を入れた共通すり合わせ三角フラスコの質量

(g) 

m1: 水を入れた共通すり合わせ三角フラスコの質量(g) 

0.063 01: 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLに相当するHNO3の

質量を示す換算係数(g/mL) 

6.2.2 

強熱残分(硫酸塩) 

強熱残分(硫酸塩)の試験方法は,JIS K 0067の4.4.4(4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)によ

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

る。この場合,試料334 gをはかりとり,JIS K 8951に規定する硫酸約0.2 mLを加えた後,局所排気装置

の下などで強熱する。残分は,0.1 mgの桁まではかる。 

なお,試料は容器の大きさに合わせ,数回に分割して加えてもよい。 

6.2.3 

塩化物(Cl) 

塩化物(Cl)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) アンモニア水 JIS K 8085に規定するもので,質量分率28.0 %〜30.0 %のもの。 

2) 硝酸(1+2) 箇条5の特級の品質を満足する硝酸(質量分率60 %〜61 %)の体積1と水の体積2

とを混合する。 

3) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mLにする。褐色ガラ

ス製瓶に保存する。 

4) 塩化物標準液 

4.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/mL) 次のいずれかのものを用いる。 

4.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 3)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し

た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する(以下,“JCSSに基づく標準液”

という。)。 

4.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な

場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販

の標準液を用いる(以下,JCSS以外の認証標準液及び市販の標準液を合わせて,“JCSS以外の

認証標準液など”という。)。 

4.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加え

て溶かし,水を標線まで加えて混合する。 

注3) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。 

4.1.4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 塩化物標準液(Cl:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mL

に正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 共通すり合わせ平底試験管 濁り,ごみなどの有無が確認しやすい大きさで,目盛のあるもの。例

として,容量50 mL,直径約23 mmのもの。 

2) 蒸発皿 JIS R 3503に規定するもの。 

3) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもので,水浴の水

は,JIS K 0557のA2又はA3のもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料20 gを蒸発皿などにはかりとり,水10 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mL

を加えて混合し,局所排気装置の下などで水浴上で蒸発乾固する。 

2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.60 mL,水10 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)

1 mLをビーカー100 mLなどにとり,水浴上で蒸発乾固する。 

3) 試料溶液及び比較溶液に,直ちに,JIS K 8085に規定するアンモニア水0.5 mLを加え,少量の水で

共通すり合わせ平底試験管に移し,水で20 mLとする。それぞれに硝酸(1+2)5mLを加えて振り

混ぜた後,15分間放置する。 

4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

管の上方又は側面から観察して,濁りを比較する。 

d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“塩化物(Cl):質量分率0.3 ppm以下(規格値)”とす

る。 

試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。 

6.2.4 

硫酸塩(SO4) 

硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。 

2) 塩化ナトリウム溶液(100 g/L) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム10 gを水に溶かして100 mL

にする。 

3) 塩化バリウム溶液(100 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gを水に溶かして

100 mLにする。 

4) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合する。 

5) 硫酸塩標準液 

5.1) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/mL) 次のいずれかのものを用いる。 

5.1.1) JCSSに基づく標準液 6.2.3 a) 4.1.1) に準じる。 

5.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.2.3 a) 4.1.2) に準じる。 

5.1.3) JIS K 8962に規定する硫酸カリウム1.81 gを全量フラスコ1 000 mLにとり,水を加えて溶かし,

水を標線まで加えて混合する。 

5.2) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mL

に正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 共通すり合わせ平底試験管 6.2.3 b) 1) による。 

2) 蒸発皿 6.2.3 b) 2) による。 

3) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。 

c) 操作 操作は,局所排気装置の下などで,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料100 gを蒸発皿などにはかりとり,塩化ナトリウム溶液(100 g/L)0.1 mL

を加え,熱板上で蒸発乾固し,冷却後,塩酸(2+1)0.5 mLを加え,水浴上で蒸発乾固する。冷却

後,塩酸(2+1)0.3 mLを加え,少量の水で共通すり合わせ平底試験管に移し,水で25 mLにする。 

2) 比較溶液の調製は,塩化ナトリウム溶液(100 g/L)0.1 mL及び塩酸(2+1)0.5 mLをビーカー50 mL

などにとり,水浴上で蒸発乾固する。冷却後,塩酸(2+1)0.3 mLを加え,少量の水で共通すり合

わせ平底試験管に移し,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)5.0 mLを加え,水で25 mLにする。 

3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 mL及び塩化バリウム溶液(100 g/L)2 mLを加えて

振り混ぜた後,1時間放置する。 

4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験

管の上方又は側面から観察して,濁りを比較する。 

d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“硫酸塩(SO4):質量分率0.5 ppm以下(規格値)”と

する。 

試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。 

6.2.5 

銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 塩酸(2+1) 6.2.4 a) 4) による。 

2) 硝酸(1+2) 6.2.3 a) 2) による。 

3) 銅標準液,鉛標準液及び鉄標準液 調製は,次による。 

3.1) 銅標準液(Cu:1 mg/mL),鉛標準液(Pb:1 mg/mL)及び鉄標準液(Fe:1 mg/mL) 次のいず

れかのものを用いる。 

3.1.1) JCSSに基づく標準液 6.2.3 a) 4.1.1) に準じる。 

3.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.2.3 a) 4.1.2) に準じる。 

3.1.3) 銅標準液(Cu:1 mg/mL),鉛標準液(Pb:1 mg/mL)及び鉄標準液(Fe:1 mg/mL)を調製す

る場合 調製は,次による。 

3.1.3.1) 銅標準液(Cu:1 mg/mL) JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水和物3.93 gを全量フラスコ

1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合

する。 

3.1.3.2) 鉛標準液(Pb:1 mg/mL) JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 gを全量フラスコ1 000 mL

にはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。 

3.1.3.3) 鉄標準液(Fe:1 mg/mL) JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水8.63 gを全

量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで

加えて混合する。 

3.2) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL),鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 次

のものを用いる。 

3.2.1) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL) 銅標準液(Cu:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確

にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。 

3.2.2) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) 鉛標準液(Pb:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確

にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。 

3.2.3) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 鉄標準液(Fe:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確

にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 蒸発皿 6.2.3 b) 2) による。 

2) フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。 

c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表2に示す。 

表2−分析種の測定波長の例 

単位 nm 

分析種 

測定波長 

銅(Cu) 

324.8 

鉛(Pb) 

283.3 

鉄(Fe) 

248.3 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,局所排気装置の下などで,試料250 gを数回に分けて蒸発皿などに移し入れ,

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

熱板上で穏やかに加熱し,沸騰させないように蒸発乾固する。冷却後,塩酸(2+1)1 mLを加え,

少量の水で全量フラスコ25 mL移し,水を標線まで加えて混合する(S液)。S液10 mL(試料量100 

g)を全量フラスコ20 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する(X液)。 

2) 比較溶液の調製は,S液10 mL(試料量100 g)を全量フラスコ20 mLに正確にとり,銅標準液(Cu:

0.01 mg/mL)1.0 mL,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)1.0 mL及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)2.0 mL

を加え,水を標線まで加えて混合する(Y液)。 

3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,表2に示す測定波長付近で吸光

度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を

測定し,X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)を読み取る。 

4) 測定結果は,X液の指示値n1をY液の指示値n2からX液の指示値n1を引いたn2−n1と比較する。 

e) 判定 d) によって操作し,次に適合するとき,“銅(Cu):質量分率0.1 ppm以下(規格値),鉛(Pb):

質量分率0.1 ppm以下(規格値),鉄(Fe):質量分率0.2 ppm以下(規格値)”とする。 

n1は,n2−n1より大きくない。 

注記 分析種の含有率(質量分率 ppm)を求める場合は,次の式によって計算する。 

6

1

2

1

10

000

 1

×

×

×

=m

n

n

n

B

A

ここに, 

A: 分析種の含有率(質量分率 ppm) 

B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg) 

m: はかりとった試料の質量(g) 

6.2.6 

ひ素(As) 

ひ素(As)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 亜鉛(ひ素分析用) JIS K 8012に規定する粒径150 μm〜1 400 μmのもの。 

2) ピリジン JIS K 8777に規定するもの。 

3) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。 

4) 塩化すず(II)溶液(ジエチルジチオカルバミド酸銀法用)[塩化すず(II)溶液(AgDDTC法用)] 

JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをJIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)に

溶かし,JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)で100 mLにする。JIS K 8580に規定する小粒

状のすず2,3個を加えて保存し,使用時に水で10倍にうすめる。褐色ガラス製瓶に保存する。 

5) 塩酸(ひ素分析用)(1+1) JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積1とを

混合する。 

6) 塩酸(ひ素分析用)(1+3)(必要な場合に用いる。) JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)の

体積1と水の体積3とを混合する。 

7) 酢酸鉛(II)溶液(100 g/L) JIS K 8374に規定する酢酸鉛(II)三水和物11.6 gを水に溶かして100 

mLにした後,JIS K 8355に規定する酢酸0.1 mLを加える。 

8) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀・ピリジン溶液(AgDDTC・ピリジン溶液) JIS K 9512に規

定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀0.5 gをJIS K 8777に規定するピリジンに溶かし,JIS K 

8777に規定するピリジンで100 mLにする。褐色ガラス製瓶に保存する。 

9) 水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)(必要な場合に用いる。) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウ

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ム10.3 gを水に溶かして100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。 

10) よう化カリウム溶液(200 g/L) JIS K 8913に規定するよう化カリウム20 gを水に溶かして100 mL

にする。使用時に調製する。 

11) ひ素標準液 

11.1) ひ素標準液(As:1 mg/mL) 次のいずれかのものを用いる。 

11.1.1) JCSSに基づく標準液 6.2.3 a) 4.1.1) に準じる。 

11.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.2.3 a) 4.1.2) に準じる。 

11.1.3) JIS K 8044に規定する特級又は1級の三酸化二ひ素1.32 gに水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)6 

mLを加えて溶かし,水で500 mLにする。塩酸(ひ素分析用)(1+3)でpH 3〜5に調節した

後,少量の水で全量フラスコ1 000 mLに移し,水を標線まで加えて混合する。 

11.2) ひ素標準液(As:0.001 mg/mL) ひ素標準液(As:1 mg/mL)25 mLを全量フラスコ250 mLに

正確にとり,水を標線まで加えて混合する。その10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,

水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 吸収セル(必要な場合に用いる。) 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,

光路長が10 mmのもの。 

2) 蒸発皿 6.2.3 b) 2) による。 

3) ひ素試験装置 例を図1に示す。 

4) 分光光度計(必要な場合に用いる。) 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。 

c) 操作 操作は,局所排気装置の下などで,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料100 gを蒸発皿などにとり,硫酸2 mLを加えて,熱板上で白煙が生じるま

で加熱する。冷却後,水10 mLを注意して加え4),再び熱板上で白煙が生じるまで加熱する。冷却

後,水素化ひ素発生瓶100 mLに少量の水を用いて移し,水で20 mLにする。 

注4) 容器内には硫酸が残っているので,水を加えるときは,硫酸が飛びださないよう注意して

加える。 

2) 比較溶液の調製は,硫酸2 mLを蒸発皿などにとり,熱板上で白煙が生じるまで加熱する。冷却後,

水10 mLを注意して加え4),再び熱板上で白煙が生じるまで加熱する。冷却後,水素化ひ素発生瓶

100 mLに少量の水を用いて移し,ひ素標準液(As:0.001 mg/mL)1.0 mL加え,水で20 mLにする。 

3) 空試験溶液の調製は,局所排気装置の下などで,硫酸2 mLをとり,熱板上で白煙が生じるまで加

熱する。冷却後,水10 mLを注意して加え4),再び熱板上で白煙が生じるまで加熱する。冷却後,

水素化ひ素発生瓶100 mLに少量の水を用いて移し,水で20 mLにする。 

4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に,塩酸(ひ素分析用)(1+1)5 mLを加え,水で40 mLとす

る。これらに,よう化カリウム溶液(200 g/L)15 mL及び塩化すず(II)溶液(AgDDTC法用)5 mL

を加えて振り混ぜ,10分間放置する。次に亜鉛(ひ素分析用)3 gを加え,直ちに水素化ひ素発生

瓶100 mLと導管B(あらかじめ水素化ひ素吸収管CにAgDDTC・ピリジン溶液5 mLを入れ,導

管Bと水素化ひ素吸収管Cとを連結しておく。)とを連結して約25 ℃の水中で約1時間放置した

後,水素化ひ素吸収管Cを離しピリジンを5 mLの標線まで加える。 

5) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を水素化ひ素吸収管Cの上方

又は側面から観察して赤を比較する。 

なお,必要があれば吸収セルを用い,分光光度計で波長519 nm付近の吸収極大の波長における吸

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光度を,空試験溶液からのAgDDTC・ピリジン溶液を対照液として,JIS K 0115の6.(特定波長に

おける吸収の測定)によって測定する。 

d) 判定 c) によって操作し,次の1) 又は2) に適合するとき,“ひ素(As):質量分率0.01 ppm以下(規

格値)”とする。 

1) 試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の赤より濃くない。 

2) 試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。 

単位 mm 

 
 
 
 
 
 

A: 

B: 
C: 

D: 

E: 

F: 

G: 

 
 
 
 
 
 
水素化ひ素発生瓶100 mL 
導管 
水素化ひ素吸収管 
ゴム栓又はすり合わせ 
酢酸鉛(II)溶液(100 g/L)で
湿したガラスウール 
40 mLの標線 
5 mLの標線 

図1−ひ素試験装置の例 

6.3 

微量金属測定用 

6.3.1 

濃度(HNO3) 

濃度(HNO3)の試験方法は,6.2.1による。 

6.3.2 

ナトリウム(Na),銅(Cu),銀(Ag),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),亜鉛(Zn),カ

ドミウム(Cd),ほう素(B),アルミニウム(Al),すず(Sn),鉛(Pb),バナジウム(V),ひ素(As),

アンチモン(Sb),ビスマス(Bi),クロム(Cr),モリブデン(Mo),タングステン(W),セレン(Se),

マンガン(Mn),鉄(Fe),コバルト(Co),ニッケル(Ni),ガリウム(Ga),イットリウム(Y),イン

ジウム(In)及びタリウム(Tl) 

ナトリウム(Na),銅(Cu),銀(Ag),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),亜鉛(Zn),カドミウ

ム(Cd),ほう素(B),アルミニウム(Al),すず(Sn),鉛(Pb),バナジウム(V),ひ素(As),アンチ

モン(Sb),ビスマス(Bi),クロム(Cr),モリブデン(Mo),タングステン(W),セレン(Se),マンガ

ン(Mn),鉄(Fe),コバルト(Co),ニッケル(Ni),ガリウム(Ga),イットリウム(Y),インジウム(In)

及びタリウム(Tl)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。ただし,測定する分析種の含有率が質量分率

0.000 5 ppm以下である水を用いる。 

1) 硝酸(1+1) 測定する分析種の含有率が質量分率0.000 5 ppm以下の硝酸の体積1と水の体積1と

を混合する。 

2) 硝酸(1 mol/L) 測定する分析種の含有率が質量分率0.000 5 ppm以下の硝酸をポリテトラフルオロ

エチレンなどの樹脂製の全量フラスコ1 000 mLに63.1 g(硝酸を質量分率100 %相当として)はか

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りとり,水を標線まで加えて,混合する。 

注記1 例えば,質量分率69 %の硝酸の場合,91.4 gをはかりとる。 

3) 混合標準液(各分析種:1 mg/mL) 国家計量標準にトレーサブルな標準液で,試験に支障のないも

の,又はそれと同等なもの。必要に応じて,分析種をグループ分けして,グループごとの混合標準

液を調製してもよい。 

4) 混合標準液(各分析種:0.01 mg/mL) 国家計量標準にトレーサブルな標準液で,試験に支障のな

いもの,又はそれと同等なもの。必要に応じて,分析種をグループ分けして,グループごとの混合

標準液を調製してもよい。 

5) 混合標準液1(各分析種:0.1 μg/mL) 混合標準液(各分析種:1 mg/mL)10 μL又は混合標準液(各

分析種:0.01 mg/mL)1 mLをポリテトラフルオロエチレンなどの樹脂製全量フラスコ100 mLに正

確にとり,硝酸(1 mol/L)又は水を標線まで加えて混合する。使用時に調製する。 

6) スカンジウム標準液(Sc:1 mg/mL)(必要な場合に用いる。) 硝酸スカンジウム(III)[Sc(NO3)3]

1.284 g又は硝酸スカンジウム(III)五水和物[Sc(NO3)3・5H2O]1.785 gをポリテトラフルオロエチ

レンなどの樹脂製容器にはかりとり,少量の硝酸(1+1)で溶かし,ポリテトラフルオロエチレン

などの樹脂製全量フラスコ250 mLに少量の水で移し,水を標線まで加えて混合する。 

注記2 スカンジウム標準液(Sc:1 mg/mL)は,高周波プラズマ質量分析法でイオンカウント

数を補正するための内標準として添加する。市販のスカンジウム標準液(Sc:1 mg/mL)

に,分析対象の元素及び妨害元素が存在しないことを確認し,酸濃度,安定剤の有無な

どが使用目的に一致した場合,市販のものを用いてもよい。 

7) スカンジウム標準液(Sc:0.001 mg/mL)(必要な場合に用いる。) スカンジウム標準液(Sc:1 mg/mL)

100 μLをポリテトラフルオロエチレンなどの樹脂製全量フラスコ100 mLに正確にとり,硝酸(1 

mol/L)又は水を標線まで加えて混合する。使用時に調製する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 石英製平底蒸発皿 呼び容量100 mLの平底蒸発皿で,その材質が石英ガラス製のもの。 

2) 目盛り付試験管 容量20 mLのポリテトラフルオロエチレンなどの合成樹脂のもので,10 mLの標

線における体積を確認したもの。 

3) ピストン式ピペット JIS K 0970に規定するもの。 

4) 高周波プラズマ質量分析計(ICP-MS) 装置の構成は,JIS K 0133に規定するもの。 

c) 分析種のm/z 分析種のm/zの例を表3に示す 

なお,別の分析条件でも同等の試験結果が得られることを確認した場合には,その条件を用いても

よい。 

注記3 マススペクトルの横軸の量は,イオンの質量をイオンの電荷で除した商ではないので,質

量電荷比ではなく,m/zを用いた。 

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13 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表3−分析種のm/zの例 

分析種 

m/z 

ナトリウム(Na) 

23 

銅(Cu) 

63,65 

銀(Ag) 

107,109 

マグネシウム(Mg) 

24 

カルシウム(Ca) 

44,40 

亜鉛(Zn) 

66,68,64 

カドミウム(Cd) 

111,114 

ほう素(B) 

11 

アルミニウム(Al) 

27 

すず(Sn) 

118,120 

鉛(Pb) 

208,206,207 

バナジウム(V) 

51 

ひ素(As) 

75 

アンチモン(Sb) 

121,123 

ビスマス(Bi) 

209 

クロム(Cr) 

52,53,50 

モリブデン(Mo) 

95,98 

タングステン(W) 

184 

セレン(Se) 

82,78,77,80 

マンガン(Mn) 

55 

鉄(Fe) 

56,54,57 

コバルト(Co) 

59 

ニッケル(Ni) 

58,60 

ガリウム(Ga) 

69,71 

イットリウム(Y) 

89 

インジウム(In) 

115 

タリウム(Tl) 

205 

スカンジウム(Sc)a) 

45 

注a) スカンジウム(Sc)は,ほう素の内標準として用いる。 

d) 操作 操作は,局所排気装置の下などで,次のとおり行う。 

1) 内標準を用いない場合 

1.1) 試料溶液の調製は,次のいずれかによる。 

1.1.1) 試料を目盛り付試験管に適量はかりとり,硝酸(1 mol/L)を用いて希釈する(X液)。 

1.1.2) 試料を石英製平底蒸発皿に適量はかりとり,熱板上に穏やかに加熱し,沸騰させないように蒸発

乾固する。少量の硝酸(1 mol/L)を用いて目盛り付試験管に移し,硝酸(1 mol/L)で適切な体

積とする(X液)。 

注記4 濃縮の例として,試料20 gを2倍濃縮がある。 

1.2) 空試験溶液の調製は,目盛り付試験管に硝酸(1 mol/L)10 mLをとる(Z液)。 

1.3) 検量線溶液の調製は,6個の目盛り付試験管を準備する。それぞれの目盛り付試験管に,ピストン

式ピペットを用いて,混合標準液1(各分析種:0.1 μg/mL)を表4に示す体積を6段階はかりと

り,硝酸(1 mol/L)を標線まで加えて混合する(それぞれ,Y0液,Y1液,Y2液,Y3液,Y4液,

Y5液とする。)。 

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14 

K 8541:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表4−採取する標準液の体積 

標準液 

μg/mL 

採取量 μL 

Y0 

Y1 

Y2 

Y3 

Y4 

Y5 

混合標準液1 

各0.1 

10 

50 

100 

500 

1 000 

2) 内標準を用いる場合 

2.1) 試料溶液の調製は,試料を目盛り付試験管に適量はかりとり,スカンジウム標準液(Sc:0.001 

mg/mL)を適量加え,硝酸(1 mol/L)を用いて希釈する(X液)。 

注記5 スカンジウム標準液(Sc:0.001 mg/mL)の適量の目安として,試料溶液中のスカンジ

ウムの濃度が1 ng/mLになるように,加えるスカンジウム標準液(Sc:0.001 mg/mL)

の体積を計算する。 

2.2) 空試験溶液の調製は,スカンジウム標準液(Sc:0.001 mg/mL)を目盛り付試験管に,2.1) と同じ

濃度になるように加え,硝酸(1 mol/L)を用いて,2.1) と同様に希釈する(Z液)。 

2.3) 検量線溶液の調製は,6個の目盛り付試験管を準備する。それぞれの目盛り付試験管に,ピストン

式ピペットを用いて,2.1) のスカンジウム標準液(Sc:0.001 mg/mL)と同じ濃度になるように加

え,混合標準液1(各分析種:0.1μg/mL)を表4に示す体積を6段階はかりとり,硝酸(1 mol/L)

を標線まで加えて混合する(それぞれ,Y0液,Y1液,Y2液,Y3液,Y4液,Y5液とする。)。 

3) ICP-MS装置の一般事項は,JIS K 0133による。 

4) ICP-MS装置は,高周波プラズマを点灯するなどによって,イオンカウント数を測定できる状態に

する。 

5) Z液,X液,Y0液,Y1液,Y2液,Y3液,Y4液及びY5液をアルゴンプラズマ中に噴霧し,各分析種

のイオンカウント数を測定する。また,内標準を用いた場合は,スカンジウムのイオンカウント数

を測定する。 

e) 計算 計算は,JIS K 0133の12.2 a)(検量線法)又はb)(内標準法)によって検量線を作成し,各分

析種の含有率を計算する。 

f) 

判定 d) によって操作し,e) によって計算し,次に適合するとき,“ナトリウム(Na):質量分率0.1 

ppm以下(規格値),鉄(Fe):質量分率0.05 ppm以下(規格値),銅(Cu),銀(Ag),マグネシウム

(Mg),カルシウム(Ca),亜鉛(Zn),カドミウム(Cd),ほう素(B),アルミニウム(Al),すず(Sn),

鉛(Pb),バナジウム(V),ひ素(As),アンチモン(Sb),ビスマス(Bi),クロム(Cr),モリブデ

ン(Mo),タングステン(W),セレン(Se),マンガン(Mn),コバルト(Co),ニッケル(Ni),ガ

リウム(Ga),イットリウム(Y),インジウム(In)及びタリウム(Tl):質量分率0.005 ppm以下(規

格値)”とする。 

計算して得られた含有率が,規格値を満足している。 

6.3.3 

水銀(Hg) 

水銀(Hg)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。ただし,水は水銀の含有率が質量分率0.000 1 ppm

以下であるものを用いる。 

1) よう化カリウム溶液(200 g/L) JIS K 8913に規定するよう化カリウム20 gを水に溶かして100 mL

にする。使用時に調製する。 

2) テトラヒドロほう酸ナトリウム溶液(6 g/L) テトラヒドロほう酸ナトリウム(純度96 %以上のも

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K 8541:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

の)1.5 g及びJIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム1.25 gを水に溶かし,水を加えて250 mLと

したもの。 

3) 塩酸(1+19) 水銀の含有率が質量分率0.000 1 ppm以下である塩酸50 mLに水を加えて1 000 mL

としたもの。 

4) 硝酸(1+1) 水銀の含有率が質量分率0.000 1 ppm以下の硝酸の体積1と水の体積1とを混合する。 

5) 硝酸(1+2) 水銀の含有率が質量分率0.000 1 ppm以下の硝酸の体積1と水の体積2とを混合する。 

6) 水銀標準液 

6.1) 水銀標準液(Hg:1 mg/mL) 次のいずれかを用いる。 

6.1.1) JCSSに基づく標準液 6.2.3 a) 4.1.1) に準じる。 

6.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.2.3 a) 4.1.2) に準じる。 

6.1.3) JIS K 8139に規定する塩化水銀(II)1.35 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)

25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。 

6.2) 水銀標準液(Hg:100 ng/mL) 水銀標準液(Hg:1 mg/mL)25 mLを全量フラスコ250 mLに正確

にとり,水を標線まで加えて混合する。その1 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸

(1+1)10 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) はかり瓶 JIS R 3503に規定する筒形はかり瓶,45 mm×60 mmのもの。 

2) 還元容器 呼び容量200 mLのガラス製瓶又は三角フラスコ(100 mLの位置に印を付けておく。)。 

3) ピストン式ピペット 6.3.2 b) 3) による。 

4) 還元気化方式装置 例を図2に示す。 

5) 原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。 

A: 

B: 
C: 

D: 

E: 

F: 

G: 
H: 

I: 

 
還元容器 
乾燥管 
流量計 
吸収セル 
空気ポンプ 
記録計 
水銀中空陰極ランプ 
原子吸光用検出器 
水銀除去装置 

図2−還元気化方式の装置の例 

c) 操作 操作は,次による。 

1) 原子吸光分析装置に還元気化方式装置を連結する。 

なお,吸収セルを通った蒸気は,水銀除去装置I 5) を通って放出される流路にしておく。 

注5) 過マンガン酸カリウム・硫酸(1+4)溶液(50 g/L)を入れたガス洗浄瓶又は活性炭などを

充塡した管などを用いる。 

2) 試料溶液の調製は,試料20 gをはかり瓶に0.1 gの桁まではかりとり,あらかじめ水50 mLを入れ

た還元容器に振り混ぜながら徐々に加え,はかり瓶内を少量の水で洗い,洗液も還元容器に入れ,

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K 8541:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

水を加えて100 mLとする。 

3) この溶液に手早くよう化カリウム溶液(200 g/L)5 mL及び塩酸(1+19)4 mLを加え,更にテトラ

ヒドロほう酸ナトリウム溶液(6 g/L)2 mLを加えて還元容器を直ちに還元気化装置に取り付ける。

あらかじめ設定した最適流量で空気ポンプを作動させ,発生した水銀蒸気を吸収セルに導き,波長

253.7 nmの指示値を読み取る。 

4) バイパスコックを開いて指示値が元に戻るまで通気を続ける。 

5) 空試験溶液の調製は,還元容器に水100 mLを入れ,3) の操作を行って指示値を読み取った後,4) の

操作を行う。この指示値を用いて3) で得た指示値を補正する。 

6) 検量線溶液の調製は,還元容器に水銀標準液(Hg:100 ng/mL)0 mL,0.05 mL,0.1 mL,0.15 mL,

0.2 mLをピストン式ピペットを用いてとり,水を加えて100 mLとした後,3) の操作を行って指示

値を読み取った後,4) の操作を行う。 

これらの指示値を水銀標準液(Hg:100 ng/mL)0 mLについて得た指示値で補正した後,水銀の

質量(ng)と指示値との検量線を作成する。検量線は,試料測定時に作成する。 

d) 計算 水銀の含有率(質量分率ppm)は,次の式によって計算する。 

000

1

Hg

×

=mw

A

ここに, 

A: 水銀の含有率(質量分率ppm) 

m: はかりとった試料の質量(g) 

wHg: 検量線から求めた水銀の質量(ng) 

e) 判定 c) によって操作し,d) によって計算し,次に適合するとき,“水銀(Hg):質量分率0.001 ppm

以下(規格値)”とする。 

計算して得られた含有率が,規格値を満足している。 

容器 

容器は,特級の場合は遮光した気密容器とし,微量金属分析用の場合は遮光した樹脂製の気密容器とす

る。 

表示 

容器には,次の事項を表示する。 

a) 日本工業規格番号 

b) 名称 “硝酸”及び“試薬”の文字 

c) 種類 

d) 化学式及び式量 

e) 濃度(質量分率60 %,質量分率65 %又は質量分率69 %) 

f) 

内容量 

g) 製造番号 

h) 製造年月又はその略号 

i) 

製造業者名又はその略号 

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K 8541:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS K 8541:2015 硝酸(試薬) 

ISO 6353-2:1983,Reagents for chemical analysis−Part 2: Specificaions−First series 
R 19 Nitric acid 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号及び
題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範囲 

試薬として用い
る硝酸について
規定 

R19 

化学分析用試薬40品目の
仕様について規定。 

変更 

JISは1品目1規格。 

試薬の規格使用者及び試薬は各
規格に多く引用されやすくする
ため1品目1規格としている。 
 なお,対応国際規格は25年以
上見直しが行われていないため
市場の実態に合わない。国際規格
の改正を検討する。 

2 引用規格 

3 種類 

− 

− 

追加 

種類の項目を追加。 

ISO規格には,種類別の区分がな
い。JIS特級がISO規格品に対応
する。“微量金属測定用”は,JIS
独自のものである。 

4 性質 

5 品質 

R19.1 

変更 

1) 品質に差異のある項目:濃

度,強熱残分,塩化物及び
硫酸塩。 

2) 種類の区分を設けた。 

ISO規格は,長期間内容の見直し
が行われず国際市場でISO規格
品が用いられることはほとんど
ない。また,技術的差異も軽微で
ある。 

− 

R19.2 

試験溶液の調製 

変更 

JISは,試験方法の該当項目ご
とに規定。 

編集上の差異であり,技術的な差
異は軽微。 

2

K

 8

5

4

1

2

0

1

5

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18 

K 8541:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号及び
題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

6.1 一般事項 

− 

− 

追加 

項目の追加 

一般的な試験条件及び試験結果
に関する事項であり,技術的な差
異はない。 

6.2 特級 

6.2.1 

濃度

(HNO3) 

中和滴定 
試料採取は,共
通すり合わせ三
角フラスコ使
用。 

R19.3.1 

中和滴定 
試料採取には,アンプル
を使用。 

変更 

試料の採取法及び指示薬など
を変更。 

JISは,定期的な見直しを行って
いるが,ISO規格は,長年見直し
が行われていないことから,JIS
を踏襲している。技術的な差異は
軽微であり,対策は考慮しない。 

6.2.2 強熱残
分(硫酸塩) 

硫酸塩として強
熱する。 

R19.3.7 

硫酸塩として強熱する。 

変更 

JIS K 0067を引用。 
試料量,操作などを変更。 

6.2.3 塩化物

(Cl) 

比濁法 

R19.3.2 

変更 

試料量,操作などを変更。 

6.2.4 硫酸塩

(SO4) 

比濁法 

R19.3.3 

変更 

操作などを変更。 

6.2.5 銅(Cu),
鉛(Pb)及び
鉄(Fe) 

原子吸光法 

R19.3.5 

変更 

試料溶液の調製などを変更。 
鉄(Fe)は,ISO規格はo-フェ
ナントロリン法で,JISは原子
吸光法。 

6.2.6 

ひ素

(As) 

N,N-ジエチルジ

チオカルバミド
酸銀法 

R19.3.4 

N,N-ジエチルジチオカル

バミド酸銀法 

変更 

試料量などの変更 

JISは,定期的な見直しを行って
いるが,ISO規格は,長年見直し
が行われていないことから,JIS
を踏襲している。技術的な差異は
軽微であり,対策は考慮しない。 

6.3 微量金属
測定用 

2

K

 8

5

4

1

2

0

1

5

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19 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号及び
題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

6.3.1 

濃度

(HNO3) 

中和滴定 
試料採取は,共
通すり合わせ三
角フラスコ使
用。 

R19.3.1 

中和滴定 
試料採取には,アンプル
を使用。 

変更 

試料の採取法及び指示薬など
を変更。 

JISは,定期的な見直しを行って
いるが,ISO規格は,長年見直し
が行われていないことから,JIS
を踏襲している。技術的な差異は
軽微であり,対策は考慮しない。 

6.3.2 ナトリ
ウム(Na),銅

(Cu),銀
(Ag),マグネ

シウム(Mg),
カルシウム

(Ca),亜鉛
(Zn),カドミ

ウム(Cd),ほ
う素(B),ア
ルミニウム

(Al),すず
(Sn),鉛(Pb),

バナジウム

(V),ひ素
(As),アンチ

モン(Sb),ビ
スマス(Bi),
クロム(Cr),
モリブデン

(Mo),タング

ステン(W),
セレン(Se), 

ICP-MS法 

− 

− 

追加 

項目の追加 

JISの定期的な見直しにおいて,
ICP-MS法が一般的に使用される
ようになっている状況である。そ
のため,ICP-MSの分析法に適合
した硝酸が必要であり,その品質
を規定した。一方,ISO規格は,
長年見直しが行われていないこ
とから,ISO規格の見直し時に,
改正提案の検討を行う予定。 

2

K

 8

5

4

1

2

0

1

5

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20 

K 8541:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号及び
題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

6.3.2 (続き)
マンガン

(Mn),鉄
(Fe),コバル

ト(Co),ニッ
ケル(Ni),ガ
リウム(Ga),
イットリウム

(Y),インジウ

ム(In)及び
タリウム(Tl) 

JISの定期的な見直しにおいて,
ICP-MS法が一般的に使用される
ようになっている状況である。そ
のため,ICP-MSの分析法に適合
した硝酸が必要であり,その品質
を規定した。一方,ISO規格は,
長年見直しが行われていないこ
とから,ISO規格の見直し時に,
改正提案の検討を行う予定。 

6.3.3 

水銀

(Hg) 

還元気化原子吸
光法 

− 

− 

追加 

項目の追加 

7 容器 

− 

追加 

項目を追加 

適合性評価を行う際の要求事項
として追加。 

8 表示 

− 

追加 

項目を追加 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 6353-2:1983,MOD 

関連する外国規格 

REAGENT CHEMICALS−American Chemical Society Specifications ACS(2010) 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

  − 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
  − 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

  − MOD…………… 国際規格を修正している。 

2

K

 8

5

4

1

2

0

1

5