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K 8316:2011  

(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 種類······························································································································· 2 

4 性質······························································································································· 2 

4.1 性状 ···························································································································· 2 

4.2 定性方法 ······················································································································ 2 

5 品質······························································································································· 3 

6 試験方法························································································································· 3 

6.1 一般事項 ······················································································································ 3 

6.2 純度(C10H6Na2O8S2・2H2O) ···························································································· 3 

6.3 水溶状 ························································································································· 5 

6.4 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 5 

6.5 ホルムアルデヒド分析適合性 ··························································································· 6 

7 容器······························································································································· 9 

8 表示······························································································································· 9 

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(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本試薬

協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきと

の申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これに

よって,JIS K 8316:1992は改正され,この規格に置き換えられた。 

また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標

準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

日本産業規格 

JIS 

K 8316:2011 

クロモトロープ酸二ナトリウム二水和物(試薬) 

Disodium chromotropate dihydrate(Reagent) 

C10H6Na2O8S2・2H2O FW:400.29 

NaO3S

SO3Na

OH

OH

O

H2

・2

NaO3S

SO3Na

OH

OH

O

H2

・2

序文 

この規格は,1950年に制定され,その後6回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は1992年に

行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。 

なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。 

適用範囲 

この規格は,試薬として用いるクロモトロープ酸二ナトリウム二水和物1)について規定する。 

注1) 化学名 1,8-ジヒドロキシナフタレン-3,6-ジスルホン酸二ナトリウム二水和物 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 0117 赤外分光分析方法通則 

JIS K 1107 窒素 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8005 容量分析用標準物質 

JIS K 8102 エタノール(95)(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8550 硝酸銀(試薬) 

JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8603 ソーダ石灰(試薬) 

background image

K 8316:2011  

JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬) 

JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬) 

JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬) 

JIS K 8780 ピロガロール(試薬) 

JIS K 8842 ブロモチモールブルー(試薬) 

JIS K 8872 ホルムアルデヒド液(試薬) 

JIS K 8913 よう化カリウム(試薬) 

JIS K 8920 よう素(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬) 

種類 

種類は,特級とする。 

性質 

4.1 

性状 

クロモトロープ酸二ナトリウム二水和物は,うすい黄色からうすい褐色の粉末で,水に溶けやすく,エ

タノールに極めて溶けにくく,ジエチルエーテルにほとんど溶けない。 

4.2 

定性方法 

試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数3 412 cm−1,3 121 cm−1,1 664 cm−1,

1 607 cm−1,1 375 cm−1,1 221 cm−1,1 178 cm−1,1 059 cm−1,1 035 cm−1,867 cm−1,685 cm−1及び580 cm−1

付近に主な吸収ピークを認める。この場合,試料調製はJIS K 0117の5.3(粉体)のa)(錠剤法)による。

錠剤の調製に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペクトルの例を図1に示す。 

図1−赤外吸収スペクトルの例 

background image

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品質 

品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。 

表1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

純度(C10H6Na2O8S2・2H2O) 

質量分率 % 98.5以上 

6.2 

水溶状 

試験適合 

6.3 

硫酸塩(SO4) 

質量分率 % 0.02以下 

6.4 

ホルムアルデヒド分析適合性 

6.5 

 発色適合性 

吸光度 

0.30以上 

 空試験適合性 

吸光度 

0.02以下 

試験方法 

6.1 

一般事項 

試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。 

6.2 

純度(C10H6Na2O8S2・2H2O) 

純度(C10H6Na2O8S2・2H2O)は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) ソーダ石灰 JIS K 8603に規定するもの。 

2) 水酸化カリウム溶液(250 g/l) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム29.4 gを水に溶かして100 ml

にする(必要な場合に用いる。)。ポリエチレン製瓶などに保存する。 

3) 二酸化炭素を除いた水 次の3.1)〜3.4)のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたものを用

い,使用時に調製する。 

3.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ

ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶に水酸化カリ

ウム溶液(250 g/l)を入れたもの,又はソーダ石灰管を連結して空気中の二酸化炭素を遮り,冷却

したもの。 

3.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。 

3.3) 水から二酸化炭素分離膜をもつガス分離管を用いて二酸化炭素を除いたもの。 

3.4) 新鮮な18 MΩ・cm以上の抵抗率のある脱イオン化された水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立

てないように採取したもの。 

4) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8842に規定するブロモチモールブルー0.10 gをJIS K 8102に規

定するエタノール(95)50 mlに溶かし,水で100 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存する。 

5) 0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:4.000 g/l) 0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の調製,標定

及び計算は,次による。 

5.1) 調製 JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム165 gをポリエチレン製などの気密容器500 mlに

はかりとり,二酸化炭素を除いた水150 mlを加えて溶かした後,二酸化炭素を遮り4〜5日間放置

する。その上澄み液54 mlをポリエチレン製などの気密容器1 000 mlにとり,二酸化炭素を除い

た水を加えて1 000 mlとする。この液100 mlを全量フラスコ1 000 mlにはかりとり,二酸化炭素

を除いた水を標線まで加えて混合した後,ポリエチレン製などの気密容器に入れ,ソーダ石灰管

を付けて保存する。 

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5.2) 標定 標定は,認証標準物質2)又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のアミド硫酸を用

い,次のとおり行う。 

5.2.1) 認証標準物質2)のアミド硫酸を用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。 

5.2.2) 容量分析用標準物質のアミド硫酸を用いる場合は,必要量をめのう乳鉢で軽く砕いた後,上口デ

シケーター(減圧デシケーター)に入れ,上口デシケーター内圧2.0 kPa以下で約48時間乾燥す

る。 

5.2.3) 認証標準物質2)又は容量分析用標準物質のアミド硫酸0.24〜0.29 gを0.1 mgの桁まではかりコニ

カルビーカー100 mlに移し,水25 mlを加えて溶かした後,指示薬としてブロモチモールブルー

溶液数滴を加え,5.1)で調製した液で滴定する。終点は,液の色が黄から青みの緑になる点とす

る。 

注2) 容量分析に用いることが可能な認証書の付いた標準物質で,不確かさが算出され国際単

位系(SI)へのトレーサビリティが保証されたもの。ただし,認証書のある標準物質を

入手できない場合には,含有率が明らかな市販の標準物質を用いることができ,その説

明書に従って使用する。 

なお,認証標準物質の供給者としては,独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総

合センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証標

準物質生産者がある。 

5.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。 

100

709

009

.0

A

V

m

f

×

×

=

ここに, 

f: 0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクター 

m: はかりとったアミド硫酸の質量(g) 

A: アミド硫酸の純度(質量分率 %) 

V: 滴定に要した0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積

(ml) 

0.009 709: 0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液1 mlに相当するアミ

ド硫酸の質量(g) 

b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。 

電位差滴定装置 JIS K 0113に規定するもので,指示電極はガラス電極を,参照電極は銀−塩化銀

電極を用いる。 

c) 操作 操作は,次のとおりに行う。 

試料0.6 gをビーカー200 mlなどに0.1 mgの桁まではかりとり,水50 mlを加えて溶かす。0.1 mol/l 

水酸化ナトリウム溶液でJIS K 0113の5.(電位差滴定方法)によって電位差滴定を行う。 

d) 計算 純度(C10H6Na2O8S2・2H2O)は,次の式によって算出する。 

100

03

040

.0

×

×

×

=

m

f

V

A

ここに, 

A: 純度(C10H6Na2O8S2・2H2O)(質量分率 %) 

V: 滴定に要した0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積

(ml) 

f: 0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクター 

m: はかりとった試料の質量(g) 

0.040 03: 0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液1 mlに相当する 

C10H6Na2O8S2・2H2Oの質量(g) 

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6.3 

水溶状 

水溶状の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合す

る。 

2) 硝酸銀溶液(20 g/l) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mlにする。褐色ガラス

製瓶に保存する。 

3) 塩化物標準液 

3.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。 

3.1.1) 計量標準供給制度[JCSS3)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し

た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する(以下,“JCSSに基づく標準液”

という。)。 

3.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な

場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販

の標準液を用いる(以下,JCSS以外の認証標準液及び市販の標準液を合わせて,“JCSS以外の

認証標準液など”という。)。 

3.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,

水を標線まで加えて混合する。 

注3) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。 

3.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml

に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準(“ほとんど澄明”)は,次による。 

塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)0.5 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,水10 ml,硝酸(1+2)

1 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,更に水を加えて20 mlとし,振り混ぜてから15分間放置

する。 

c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。 

共通すり合わせ平底試験管 例として,容量50 ml,直径約23 mmで目盛のあるもの。 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて溶かし20 mlにする。 

2) 直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を上方又は

側方から観察する。 

e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合”とする。 

1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。 

2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。 

6.4 

硫酸塩(SO4) 

硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。 

2) 塩化バリウム溶液(100 g/l) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gを水に溶かして

100 mlにする。 

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3) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸の体積2と水の体積1とを混合する。 

4) 硫酸塩標準液 

4.1) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。 

4.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。 

4.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。 

4.1.3) JIS K 8962に規定する硫酸カリウム1.81 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,

水を標線まで加えて混合する。 

4.2) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/ml) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml

に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。 

共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて溶かし20 mlにする。

その4.0 ml(試料量0.2 g)を共通すり合わせ平底試験管にとり,塩酸(2+1)0.3 ml及び水を加え

て25 mlにする。 

2) 比較溶液の調製は,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/ml)4.0 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,

塩酸(2+1)0.3 ml及び水を加えて25 mlにする。 

3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 ml及び塩化バリウム溶液(100 g/l)2 mlを加えて振

り混ぜた後,1時間放置する。 

4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管

の上方又は側面から観察して濁りを比較する。 

d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“硫酸塩(SO4):質量分率0.02 %以下(規格値)”とす

る。 

試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。 

6.5 

ホルムアルデヒド分析適合性 

ホルムアルデヒド分析適合性の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。 

2) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/l) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム30.9 gを水に溶かして

100 mlにする(必要な場合に用いる。)。ポリエチレン製瓶などに保存する。 

3) 水酸化ナトリウム溶液(40 g/l) 水酸化ナトリウム4.1 gを水に溶かして100 mlにする。ポリエチ

レン製瓶などに保存する。 

4) でんぷん溶液 JIS K 8659に規定するでんぷん(溶性)1.0 gに水 10 mlを加えてかき混ぜながら熱

水200 ml中に入れて溶かす。これを約1分間煮沸した後に冷却する。冷所に保存し,10日以内に

使用する。 

5) ピロガロール・水酸化ナトリウム溶液 JIS K 8780に規定するピロガロール10 gを水酸化ナトリウ

ム溶液(300 g/l)80 mlに溶かし,更に,水酸化ナトリウム溶液(300 g/l)を加えて全量を100 ml

にする(必要な場合に用いる。)。この溶液は使用時に調製する。 

6) 溶存酸素を除いた水 次の6.1)〜6.5)のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたものを用い,

使用時に調製する。 

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6.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ

ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶にピロガロー

ル・水酸化ナトリウム溶液を入れたものを連結するなどして空気中の酸素を遮り,冷却したもの。 

6.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。 

6.3) 水から酸素分離膜をもつガス分離管を用いて溶存酸素を除いたもの。 

6.4) 水を超音波振動装置で十分に脱気を行ったもの。 

6.5) 新鮮な18 MΩ・cm以上の抵抗率のある脱イオン化された水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立

てないように採取したもの。 

注記 脱イオン化された水を用いる場合,脱イオン装置によっては酸素を含む場合があるので,

溶存酸素が除かれていることを確認する。 

7) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却してかき混ぜながら,硫酸の体積1を徐々に加える。 

8) 硫酸(1+5) 水の体積5を冷却してかき混ぜながら,硫酸の体積1を徐々に加える。 

9) ホルムアルデヒド標準液 

9.1) ホルムアルデヒド標準液(HCHO:1 mg/ml) JIS K 8872に規定するホルムアルデヒド液2.86 g

[濃度(HCHO)質量分率35 %としての相当量]を全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶

かし,水を標線まで加えて混合する。この溶液は使用時に調製する。 

9.1.1) ホルムアルデヒド液の濃度 水5 mlをはかり瓶にとり,0.1 mgの桁まで質量をはかり,ホルム

アルデヒド液1 gを加えた後に再び0.1 mgの桁まで質量をはかる。水で全量フラスコ100 mlに

移し入れて水を標線まで加えて,振り混ぜる。この液10 mlを正確にとり,0.05 mol/l よう素溶

液50 mlを正確に加え,更に水酸化ナトリウム溶液(40 g/l)20 mlを加え,15分間放置した後,

硫酸(1+5)5 mlを加え,0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。終点付近で指示薬と

して,でんぷん溶液を約1 mlを加える。終点は,液の色が無色に変わる点とする。別に,同一

条件で空試験を行う。 

ホルムアルデヒド(HCHO)の濃度は,次の式によって算出する。 

100

100

/

10

)

(

)

(

5

501

001

.0

1

2

1

2

×

×

×

×

=

m

m

f

V

V

A

ここに, 

A: 濃度(HCHO)(質量分率 %) 

V2: 空試験の0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の滴定

量(ml) 

V1: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の滴定量(ml) 

f: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター 

m2: 試料を加えて再びはかったときの質量(g) 

m1: 水5 mlを入れたはかり瓶の質量(g) 

0.001 501 5: 0.05 mol/l よう素溶液1 ml のHCHO相当質量(g) 

9.2) ホルムアルデヒド標準液(HCHO:0.01 mg/ml) ホルムアルデヒド標準液(HCHO:1 mg/ml)

10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。この溶液は使

用時に調製する。 

10) 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液(Na2S2O3・5H2O:24.82 g/l) 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液

の調製,標定及び計算は,次による。 

10.1) 調製 JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物26 g及びJIS K 8625に規定する炭酸ナ

トリウム0.2 gをはかりとり,溶存酸素を除いた水1 000 mlを加えて溶かした後,気密容器に入れ

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て保存する。調製後2日間放置したものを用いる。 

10.2) 標定 標定は,認証標準物質2)又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のよう素酸カリウ

ムを用い,次のとおり行う。 

10.2.1) 認証標準物質2)のよう素酸カリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。 

10.2.2) 容量分析用標準物質のよう素酸カリウムを用いる場合は,必要量をめのう乳鉢で軽く砕いて,

130 ℃で約2時間乾燥した後,デシケーターに入れて放冷する。 

10.2.3) 認証標準物質2)又は容量分析用標準物質のよう素酸カリウム0.9〜1.1 gを全量フラスコ250 mlに

0.1 mgの桁まではかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。その25 mlを共

通すり合わせ三角フラスコ200 mlに正確にはかりとり,水100 mlを加える。次に,JIS K 8913

に規定するよう化カリウム2 g及び硫酸(1+1)2 mlを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜ

て,暗所に5分間放置する。指示薬としてでんぷん溶液を用い,10.1)で調製した液で滴定する。

この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄になったときに約0.5 mlを加える。終

点は,液の青が消える点とする。 

別に,共通すり合わせ三角フラスコ200 mlに水125 ml及びよう化カリウム2 gをはかりとり,

硫酸(1+1)2 mlを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜて,暗所に5分間放置し,同一条件

で空試験を行って滴定量を補正する。 

10.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。 

100

)

(

7

566

003

.0

250

/

25

2

1

A

V

V

m

f

×

×

×

=

ここに, 

f: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター 

m: はかりとったよう素酸カリウムの質量(g) 

A: よう素酸カリウムの純度(質量分率 %) 

V1: 滴定に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体

積(ml) 

V2: 空試験に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の

体積(ml) 

0.003 566 7: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液1 mlに相当するよ

う素酸カリウムの質量(g) 

11) 0.05 mol/l よう素溶液(I:12.69 g/l) JIS K 8913に規定するよう化カリウム40 gをはかりとり,

水25 ml及びJIS K 8920に規定するよう素13 gを加えて溶かした後,水を加えて1 000 mlにする。

これにJIS K 8180に規定する塩酸3滴を加えて混合した後,遮光した気密容器に入れて暗所に保存

する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの。 

2) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。 

3) 分光光度計 JIS K 0115に規定するもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液及び空試験溶液の調製 

1.1) 試料溶液の調製は,試料0.20 gを全量フラスコ100 mlにとり,硫酸50 mlを加えて溶かし,硫酸

を標線まで加えて混合する(A液)。全量フラスコ50 mlにホルムアルデヒド標準液(HCHO:0.01 

mg/ml)3.0 mlをはかりとり,冷却しながらA液5.0 ml(試料量0.01 g)を加え,硫酸を標線まで

加えて混合する。これを三角フラスコ100 mlに移し,70〜80 ℃で15分間加熱し,直ちに室温ま

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で冷却する。 

1.2) 空試験溶液の調製は,水3 ml及びA液5.0 ml(試料量0.01 g)を全量フラスコ50 mlにはかりと

り,硫酸を標線まで加えて混合する。これを三角フラスコ100 mlに移し,70〜80 ℃で15分間加

熱し,直ちに室温まで冷却する。 

2) 発色適合性 吸収セルを用い,分光光度計で波長580 nm付近の吸収極大の波長における試料溶液

の吸光度を空試験溶液を対照液としてJIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)によって測

定する。 

3) 空試験適合性 吸収セルを用い,発色適合性と同じ波長で空試験溶液の吸光度を水を対照液として

JIS K 0115の6.によって測定する。 

容器 

容器は,遮光した気密容器とする。 

表示 

容器には,次の事項を表示する。 

a) 日本産業規格番号 

b) 名称 “クロモトロープ酸二ナトリウム二水和物”及び“試薬”の文字 

c) 種類 

d) 化学式及び式量 

e) 純度 

f) 

内容量 

g) 製造番号 

h) 製造業者名又はその略号