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K 8005:2016  

(1) 

追補1のまえがき 

このJIS K 8005の追補1は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣

がJIS K 8005:2014を改正した内容だけを示すものである。 

JIS K 8005:2014は,この追補1の内容の改正がされ,JIS K 8005:2016となる。 

また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標

準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。 

  

日本産業規格          JIS 

K 8005:2016 

容量分析用標準物質 

(追補1) 

Reference materials for volumetric analysis 

(Amendment 1) 

JIS K 8005:2014を,次のように改正する。 

本体を次に置き換える。 

序文 

この規格は,1951年に制定され,その後10回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は,2014年

に行われたが,その後の試験・研究開発の進歩などに対応するために改正した。また,新たに2品目を追

加した。 

なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。 

適用範囲 

この規格は,容量分析に用いる標準物質について規定する。 

注記 平成28年9月21日までの間は,JIS K 8005:2014によることができる。2014年版を用いた場合

は,その旨を試験成績書に記載する。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 7411-1 一般用ガラス製温度計−第1部:一般計量器 

JIS H 1101 電気銅地金分析方法 

JIS H 1111 亜鉛地金分析方法 

JIS H 6201 化学分析用白金るつぼ 

JIS H 6202 化学分析用白金皿 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 0116 発光分光分析通則 

JIS K 0117 赤外分光分析方法通則 

JIS K 0121 原子吸光分析通則 

K 8005:2016  

  

JIS K 0126 流れ分析通則 

JIS K 0127 イオンクロマトグラフィー通則 

JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門) 

JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水 

JIS K 0970 ピストン式ピペット 

JIS K 1107 窒素 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8012 亜鉛(試薬) 

JIS K 8034 アセトン(試薬) 

JIS K 8085 アンモニア水(試薬) 

JIS K 8101 エタノール(99.5)(試薬) 

JIS K 8102 エタノール(95)(試薬) 

JIS K 8103 ジエチルエーテル(試薬) 

JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬) 

JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8201 塩化ヒドロキシルアンモニウム(試薬) 

JIS K 8230 過酸化水素(試薬) 

JIS K 8247 過マンガン酸カリウム(試薬) 

JIS K 8355 酢酸(試薬) 

JIS K 8359 酢酸アンモニウム(試薬) 

JIS K 8374 酢酸鉛(II)三水和物(試薬) 

JIS K 8397 サリチル酸ナトリウム(試薬) 

JIS K 8519 しゅう酸二水和物(試薬) 

JIS K 8533 ビス[(+)-タルトラト]二アンチモン(III)酸二カリウム三水和物(試薬) 

JIS K 8536 (+)-酒石酸ナトリウムカリウム四水和物(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8548 硝酸カリウム(試薬) 

JIS K 8550 硝酸銀(試薬) 

JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8580 すず(試薬) 

JIS K 8588 アミド硫酸アンモニウム(試薬) 

JIS K 8603 ソーダ石灰(試薬) 

JIS K 8622 炭酸水素ナトリウム(試薬) 

JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬) 

JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬) 

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JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬) 

JIS K 8722 ペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8736 エリオクロムブラックT(試薬) 

JIS K 8777 ピリジン(試薬) 

JIS K 8780 ピロガロール(試薬) 

JIS K 8798 フェノール(試薬) 

JIS K 8799 フェノールフタレイン(試薬) 

JIS K 8810 1-ブタノール(試薬) 

JIS K 8842 ブロモチモールブルー(試薬) 

JIS K 8844 ブロモフェノールブルー(試薬) 

JIS K 8885 二酸化けい素(試薬) 

JIS K 8891 メタノール(試薬) 

JIS K 8905 七モリブデン酸六アンモニウム四水和物(試薬) 

JIS K 8913 よう化カリウム(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬) 

JIS K 9502 L(+)-アスコルビン酸(試薬) 

JIS K 9512 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(試薬) 

JIS K 9902 高純度試薬−塩酸 

JIS Q 0030 標準物質に関連して用いられる用語及び定義 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS R 3505 ガラス製体積計 

JIS Z 0701 包装用シリカゲル乾燥剤 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

JIS Z 8802 pH測定方法 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 0211,JIS K 8001及びJIS Q 0030によるほか,次による。 

3.1 

一次標準物質(primary standard material) 

その純度が同一の量の他の標準を用いることなく国際単位系(SI)にトレーサブルな方法で決定される

ものであって,容量分析用標準物質の基準として用いられ,認証書が添付されたもの。 

注記 一次標準物質を維持管理する機関として,国立研究開発法人産業技術総合研究所計量標準総合

センター(NMIJ)などの国家計量機関がある。 

3.2 

光度滴定(photometric titration) 

当量点付近において,光度プローブにて検出した色調変化から終点を決定する滴定方法。 

3.3 

恒量(constant weight) 

同一条件の下で,物質を加熱・放冷・ひょう量などの操作を繰り返し行ったとき,前後の質量差が0.3 mg

K 8005:2016  

  

以下となった状態。 

3.4 

純度(purity) 

ある物質に含まれている主成分の割合をいい,国際単位系(SI)にトレーサブルな分析値で,その不確

かさが明示されたもの。 

3.5 

試料溶液(sample solution) 

試料を溶液にしたもの,又は測定を行うために何らかの前処理を行った試料の溶液。 

3.6 

検量線(calibration curve) 

分析対象となる特定の性質,量,濃度などとそれらの測定値との関係を示した線。 

3.7 

検量線溶液(solutions for calibration curve) 

検量線を作成するための溶液群。 

3.8 

空試験(blank test) 

試料を用いないで,試料を用いたときと同様の操作をする試験。 

3.9 

空試験溶液(solution for blank test) 

空試験の操作を行う溶液。 

3.10 

JCSSに基づく標準液(standard solution based on Japan Calibration Service System) 

計量標準供給制度[JCSS 1)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合

に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する。 

注1) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。 

3.11 

JCSS以外の認証標準液(certified standard solution except Japan Calibration Service System) 

JCSS以外の認証標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な場合は,

適切な方法で希釈して使用する。 

品目 

容量分析用標準物質は,次の12品目である。 

a) 亜鉛(Zinc)(Zn)AW:65.38 

b) アミド硫酸(Amidosulfuric acid)(HOSO2NH2)FW:97.094 

c) 塩化ナトリウム(Sodium chloride)(NaCl)FW:58.443 

d) しゅう酸ナトリウム(Sodium oxalate)(NaOCOCOONa) FW:133.999 

警告1 しゅう酸ナトリウムは,有害なので,吸い込んだり,目,皮膚及び衣類に触れないように

注意する。また,可燃性でもあり,有害ガスを発生するので,火気に注意する。 

e) 炭酸ナトリウム(Sodium carbonate)(Na2CO3)FW:105.988 

f) 

銅(Copper)(Cu)AW:63.546 

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K 8005:2016  

g) 二クロム酸カリウム(Potassium dichromate)(K2Cr2O7)FW:294.185 

警告2 二クロム酸カリウムは,有害なので,粘膜,皮膚などに付着させたり,粉じんを吸入しな

いようにする。廃液は,SDS(安全データシート),MSDS(化学物質等安全データシート:

JIS Z 7250は2012年に廃止され,JIS Z 7253に移行。JIS Z 7250:2010に従ってよい猶予期

間は2016年まで),関連法規などに従って適切に処理する。また,酸化力が強いので,可

燃物と隔離して保存し,火気を避け,衝撃を与えないようにする。 

h) フタル酸水素カリウム(Potassium hydrogen phthalate)[C6H4(COOK)(COOH)]FW:204.221 

i) 

ふっ化ナトリウム(Sodium fluoride)(NaF)FW:41.988 

警告3 ふっ化ナトリウムは,適切な防護具(手袋,保護めがねなど)を装着し,ドラフト内,局

所排気装置の下などで取り扱うことを推奨する。また,試験に用いる容器は,ポリエチレ

ンなどの樹脂製のものを用いる。 

j) 

よう素酸カリウム(Potassium iodate)(KIO3)FW:214.001 

警告4 よう素酸カリウムは,酸化力が強いので,可燃物と隔離して保存し,火気を避け,衝撃を

与えないようにする。 

k) 炭酸カルシウム(Calcium carbonate)(CaCO3)FW:100.087 

l) 

トリスヒドロキシメチルアミノメタン[Tris (hydroxymethyl) aminomethane]2)(CH2OH)3CNH2 FW:

121.135 

注2) 化学名 2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール,別名 トリス(Tris) 

性質,品質,サンプリング,試験方法及び容器 

それぞれの品目の性質,品質,サンプリング,試験方法及び容器は,表1による。 

表1−品目に対応する附属書 

品目名 

附属書 

亜鉛 

附属書A 

アミド硫酸 

附属書B 

塩化ナトリウム 

附属書C 

しゅう酸ナトリウム 

附属書D 

炭酸ナトリウム 

附属書E 

銅 

附属書F 

二クロム酸カリウム 

附属書G 

フタル酸水素カリウム 

附属書H 

ふっ化ナトリウム 

附属書I 

よう素酸カリウム 

附属書J 

炭酸カルシウム 

附属書K 

トリスヒドロキシメチルアミノメタン 

附属書L 

試験条件 

試験条件は,次による。 

a) 一般事項 試験方法の一般事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。 

使用するガラス器具は,特に規定がない場合は,JIS R 3503及びJIS R 3505による。 

b) 試験環境 JIS K 8001の5.9(試験操作など)に規定する試験環境による。湿度管理は,必要に応じて

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実施する。試験は,各品質項目に規定する試験方法によって行う。ただし,電位差滴定及び光度滴定

の場合の温度は,室温変動を±2 ℃とするか,滴定用溶液を恒温の装置に入れるなどして温度の管理

を行う。 

c) 水 JIS K 0557に規定する種別A3以上の水。 

d) 二酸化炭素を除いた水及び溶存酸素を除いた水 調製は,次のとおりとする。 

1) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。 

2) 溶存酸素を除いた水 JIS K 8001の5.8 d)(溶存酸素を除いた水)による。 

サンプリング 

生産される同一ロットから一つ以上のサンプルをランダムに抜き取る(サンプリングする。)。 

純度の試験に用いる器具及び装置 

純度の試験に用いる主な器具及び装置は,次による。ただし,記載されていない試験方法の場合は,附

属書に規定するものを用いる。 

a) 第1法 自動滴定装置を用いる滴定法の場合 次のとおりとする。 

1) 平形はかり瓶 JIS R 3503に規定するもの。 

2) デシケーター JIS R 3503に規定するデシケーターで,乾燥剤にJIS Z 0701に規定するシリカゲル

A形1種を用いたもの。 

3) 温度計 JIS B 7411-1に規定するもので,0.1 ℃が読み取れるもの。 

4) 滴定用容器 適切な容量のビーカー,フラスコなどで,二クロム酸カリウム(容量分析用標準物質),

塩化ナトリウム(容量分析用標準物質)及びよう素酸カリウム(容量分析用標準物質)の試験に用

いる場合は,必要があれば遮光する。 

5) 精密化学天びん 0.01 mgの質量差を読み取れるもの。 

6) 電気定温乾燥器 一次標準物質の認証書に記載されている温度に対して±2 ℃を満足するもの。 

7) 自動滴定装置 最小滴定量が0.005 mL以下のもので,1 mVの電位差を読み取れる電位差計をもつ

装置。 

8) 電位差滴定用電極 電位差滴定に用いる指示電極及び参照電極は,表2に例を示す。また,これら

の電極の複合電極3) も使用できる。 

注3) 二つ以上の電極が一体となっている電極。例えば,ガラス電極と参照電極とが一体となっ

たpH電極がある。 

表2−電位差滴定用電極の例 

指示電極a) 

参照電極b) 

測定対象品目名 

ガラス電極 
(KCl,LiCl) 

銀−塩化銀電極 

アミド硫酸,炭酸ナトリウム,フタル酸水素カリウム, 
トリスヒドロキシメチルアミノメタン 

銀指示電極 

銀比較電極 

塩化ナトリウム 

銀指示電極 

銀−塩化銀電極 

白金電極 

ガラス電極 

白金電極 

銀−塩化銀電極 

しゅう酸ナトリウム,二クロム酸カリウム,よう素酸カリウム 

白金電極 

ガラス電極 

注a) 溶液の電気化学的性質を指示する電極。 

b) 作用電極又は指示電極と組み合わせて電位を測定するための基準とする電極。 

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9) 光度滴定用検出器 滴定中に溶液の設定波長における吸光度を測定できるもの。附属するフィルタ

ーを用いて,波長を設定してもよい。 

b) 第2法 質量ビュレットを用いる電位差滴定法の場合 次のとおりとする。 

1) 平形はかり瓶 a) 1) による。 

2) デシケーター a) 2) による。 

3) 滴定用容器 次のとおりとする。 

3.1) 滴定用ビーカー及び冷却管 図1に示す容量300 mLのビーカーなどで,炭酸ナトリウム(容量分

析用標準物質)の場合は,図1の冷却管を付けて用いる。アミド硫酸(容量分析用標準物質),塩

化ナトリウム(容量分析用標準物質),しゅう酸ナトリウム(容量分析用標準物質)及びフタル酸

水素カリウム(容量分析用標準物質)の場合は,図1の冷却管を外して用いる。 

3.2) 滴定用フラスコ 図2に示す容量300 mLのフラスコなどで,二クロム酸カリウム(容量分析用標

準物質)及びよう素酸カリウム(容量分析用標準物質)の場合に用い,必要があれば遮光する。 

4) 精密化学天びん a) 5) による。 

5) 電気定温乾燥器 a) 6) による。 

6) 質量ビュレット 図3に示す容量50 mL〜100 mLで質量100 g以下のほうけい酸ガラス製のもの。 

7) 電位差計 1 mVの電位差を読み取れる電位差計。 

8) 電位差滴定用電極 a) 8) による。 

単位 mm 

注記 斜線部分は,すり合わせとする。 

図1−滴定用ビーカー及び冷却管の例 

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単位 mm 

注記 斜線部分は,すり合わせとする。 

図2−滴定用フラスコの例 

単位 mm 

注記 斜線部分は,すり合わせとする。 

図3−質量ビュレットの例 

分析値の不確かさ 

分析値の不確かさの値は,次によって推定する。 

a) 不確かさ 不確かさは,合理的に分析値(測定量)に結び付けられ得る値のばらつきを特徴付けるパ

ラメータを示し,分析値に付記される。不確かさの値は,JIS Z 8401の2.(数値の丸め方)によって

K 8005:2016  

分析値の小数点以下と同じ桁数に丸める。 

不確かさには,大きく分けて次の三つの由来があると考えられる。 

1) 分析値由来の不確かさ 

2) 容器(瓶)間の不確かさ(容器間の不均一性) 

3) 経時変化から生じる不確かさ 

b) 合成標準不確かさ(要因の定量化) 抽出した各要因の不確かさを,要因の特性値,校正の許容差など

から定量化し,合成標準不確かさを求める。 

要因のタイプを判別して,実験標準偏差又は要因に適用する確率分布[正規分布,く(矩)形分布

(一様分布),三角分布,U字分布など]を考察し,標準不確かさ及び感度係数を求める。 

標準不確かさに感度係数を乗じたもの(測定量)を二乗和の平方根で合成し,合成標準不確かさを

求める。ただし,合成標準不確かさへの寄与率が小さい要因は省略することができる(ISO/IEC Guide 

98-3参照)。 

c) 拡張不確かさ 合成標準不確かさに,95 %の信頼の水準を示す包含係数を乗じて,拡張不確かさを求

め,JIS Z 8401の2.(数値の丸め方)によって分析値の小数点以下と同じ桁数に丸める。 

10 

純度以外の項目の分析値 

純度以外の項目(不純物)の分析値は,その分析値が定量下限以下の場合は,その定量下限をもって分

析値とする。 

11 

試験成績書又は添付文書 

純度,不純物,乾燥方法などを記載した試験成績書又は添付文書を製品に添付する。 

12 

保存 

製品は,各附属書に規定する容器に入れ,試験成績書又は添付文書に従って保存する。 

13 

表示 

この規格の全ての要求事項に適合した容量分析用標準物質の容器には,次の事項を表示する。 

a) 日本産業規格番号及び規格名称 

b) 品目の名称[例 亜鉛(容量分析用標準物質)] 

c) 化学式及び式量又は原子量 

d) 純度(規格値) 

e) 内容量 

f) 

製造番号 

g) 有効期限の年月 

h) 製造業者名又はその略号 

附属書A(規定)[亜鉛(容量分析用標準物質)]を,次に置き換える。 

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10 

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附属書A 

(規定) 

亜鉛(容量分析用標準物質) 

Zinc (Reference material for volumetric analysis) 

Zn  AW:65.38 

A.1 性質 

A.1.1 性状 

亜鉛は,灰色から銀白色の金属で,削状又は粒状のものである。塩酸,硫酸及び水酸化ナトリウム溶液

と反応して水素の泡を発生する。 

A.1.2 定性方法 

定性方法は,次による。 

a) 試料0.3 gに塩酸(2+1)10 mLを加えて溶かし,水10 mLを加える(A液)。A液5 mLに水酸化ナ

トリウム溶液(300 g/L)3 mLを加えると,白い沈殿が生じる。さらに,水酸化ナトリウム溶液(300 

g/L)3 mLを加えると,その沈殿は溶ける。 

b) A液3 mLにヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム溶液[ヘキサシアニド鉄(II)酸カリウム溶液](50 g/L)

1 mLを加えると,白い沈殿が生じる。 

A.2 品質 

品質は,A.4によって試験したとき,表A.1に適合しなければならない。 

表A.1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

純度(Zn)a) 

質量分率 % 

99.990以上 

A.4.2 

銅(Cu) 

g/kg 

0.010以下 

A.4.3 

カドミウム(Cd) 

g/kg 

0.010以下 

A.4.4 

すず(Sn) 

mg/kg 

5 以下 

A.4.5 

鉛(Pb) 

g/kg 

0.020以下 

A.4.6 

鉄(Fe) 

g/kg 

0.010以下 

A.4.7 

注a) 純度は,不確かさをもつ分析値として報告する。 

A.3 サンプリング 

抜取り本数の合計は,3本以上とする。 

A.4 試験方法 

A.4.1 試料の前処理 

試料の前処理は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) エタノール(99.5) JIS K 8101に規定するもの。 

2) ジエチルエーテル JIS K 8103に規定するもの。 

11 

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3) 塩酸(1+3) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積1と水の体積3とを混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 平形はかり瓶 箇条8 a) 1) による。 

2) 減圧デシケーター JIS R 3503に規定する上口デシケーターに,JIS Z 0701に規定するシリカゲル

A形1種を乾燥剤として入れ,減圧が可能な附属品を付けたもの。 

3) 減圧ポンプ 密閉容器から気体を排出することによって,密閉容器を減圧にするためのポンプ。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試験に必要な量より少し多く試料を平形はかり瓶にとり,塩酸(1+3),水,エタノール(99.5)及

びジエチルエーテルで順次洗浄する。 

2) 直ちに,洗浄した試料を減圧デシケーターに入れ,減圧ポンプを用いて,デシケーター内圧2.0 kPa

以下で数分間吸引した後,減圧デシケーターのコックを閉じて,減圧下で約12時間保つ。ただし,

減圧デシケーターは,試料をひょう量する室内又は恒温の装置内に置く。 

A.4.2 純度(Zn) 

純度(Zn)の試験方法は,差数法による。差数法は,次による。 

この場合,純度(Zn)の分析値は,質量分率100 %から亜鉛中の不純物の分析種の含有率の総和を差し

引いたものを示す。 

なお,差数法に必要な亜鉛中の不純物の分析種は,銅,カドミウム,すず,鉛及び鉄とする。 

a) 計算 計算は,次による。 

1) 純度の分析値 純度の分析値は,次の式(A.1)によって算出し,小数点以下4桁目を切り捨てる。 

=

=

n

i

i

X

P

1

100

 ······································································ (A.1) 

ここに, 

P: 純度の分析値(質量分率 %) 

n: 不純物の分析種の数 

Xi: 銅(Cu),カドミウム(Cd),すず(Sn),鉛(Pb)及び鉄(Fe)

の各含有率(質量分率 %) 

2) 不純物 不純物の各分析種の含有率は,次によって求める。 

2.1) 分析種の計算値 不純物の試験方法に基づき,計算して得られた値を計算値とする。ただし,得

られた計算値が定量下限以下の場合は,その定量下限をもって計算値とする。 

2.2) 分析種の含有率 得られた計算値を測定回数で平均し,JIS Z 8401の2.(数値の丸め方)によっ

て小数点以下5桁に丸めた値を含有率とする。 

なお,不純物の計算値が定量下限以下の場合は,定量下限を対応する分析種の含有率とする。 

b) 不確かさ 不確かさは,箇条9による。 

A.4.3 銅(Cu) 

JIS H 1111の10.2(ICP発光分光分析法)による。ただし,検量線溶液の調製に用いる銅標準液(Cu:1 

mg/mL)は,JCSSに基づく標準液又はJCSS以外の認証標準液を用い,3回以上の測定を行う。 

A.4.4 カドミウム(Cd) 

JIS H 1111の8.2(原子吸光分析法)又は8.3(ICP発光分光分析法)による。ただし,検量線溶液の調

製に用いるカドミウム標準液(Cd:1 mg/mL)は,JCSSに基づく標準液又はJCSS以外の認証標準液を用

い,3回以上の測定を行う。 

A.4.5 すず(Sn) 

12 

K 8005:2016  

  

JIS H 1111の9.2(ケルセチン抽出吸光光度法),9.3(ICP発光分光分析法)又は9.4(水酸化鉄共沈分離

ICP発光分光分析法)による。ただし,検量線溶液の調製に用いるすず標準液(Sn:1 mg/mL)は,JCSS

に基づく標準液又はJCSS以外の認証標準液を用い,3回以上の測定を行う。 

A.4.6 鉛(Pb) 

JIS H 1111の6.2(原子吸光分析法),6.3(ICP発光分光分析法),6.4(水酸化鉄共沈分離原子吸光分析

法)又は6.5(水酸化鉄共沈分離ICP発光分光分析法)による。ただし,検量線溶液の調製に用いる鉛標

準液(Pb:1 mg/mL)は,JCSSに基づく標準液又はJCSS以外の認証標準液を用い,3回以上の測定を行

う。 

A.4.7 鉄(Fe) 

JIS H 1111の7.2(1,10-フェナントロリン吸光光度法),7.3(スルホサリチル酸吸光光度法),7.4(原子

吸光分析法)又は7.5(ICP発光分光分析法)による。ただし,検量線溶液の調製に用いる鉄標準液(Fe:

1 mg/mL)は,JCSSに基づく標準液又はJCSS以外の認証標準液を用い,3回以上の測定を行う。 

A.5 容器 

容器は,気密容器とする。 

13 

K 8005:2016  

附属書B[アミド硫酸(容量分析用標準物質)]〜附属書E[炭酸ナトリウム(容量分析用標準物質)],附

属書H[フタル酸水素カリウム(容量分析用標準物質)]及び附属書J[よう素酸カリウム(容量分析用標

準物質)]中の全ての“イオンクロマトグラフィー(イソクラティック法)”を,“イオンクロマトグラフィ

ー(イソクラティック溶離法)”に置き換える。 

附属書B[アミド硫酸(容量分析用標準物質)]〜附属書E[炭酸ナトリウム(容量分析用標準物質)],附

属書H[フタル酸水素カリウム(容量分析用標準物質)]及び附属書J[よう素酸カリウム(容量分析用標

準物質)]中の全ての“イオンクロマトグラフィー(グラジエント法)”を,“イオンクロマトグラフィー(グ

ラジエント溶離法)”に置き換え,さらに,文中の全ての“グラジエント法”及び“グラジエント溶出法”

を,いずれも“グラジエント溶離法”に置き換える。 

附属書C[塩化ナトリウム(容量分析用標準物質)]のC.4.9.3 a) 11)(0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液)

の注記を,次に置き換える。 

注記 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の調製,標定及び計算は,JIS K 8001のJA.6.4(滴定用溶液

の調製,標定及び計算)のt) 2)(0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液)と同じである。 

附属書D[しゅう酸ナトリウム(容量分析用標準物質)]のD.4.3 a) 6)(0.02 mol/l 過マンガン酸カリウム

溶液)の注記1を,次に置き換える。 

注記1 0.02 mol/l 過マンガン酸カリウム溶液の調製,標定及び計算は,JIS K 8001のJA.6.4(滴定

用溶液の調製,標定及び計算)のg)(0.02 mol/L 過マンガン酸カリウム溶液)と同じである。 

附属書D[しゅう酸ナトリウム(容量分析用標準物質)]のD.4.3 a) 7)(0.01 mol/l しゅう酸溶液)の注記2

を,次に置き換える。 

注記2 0.01 mol/l しゅう酸溶液の調製,標定及び計算は,JIS K 8001のJA.6.4(滴定用溶液の調製,

標定及び計算)のk)(0.01 mol/L しゅう酸溶液)と同じである。 

附属書D[しゅう酸ナトリウム(容量分析用標準物質)]のD.4.3 a) 8)(1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液)の

注記3を,次に置き換える。 

注記3 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の調製,標定及び計算は,JIS K 8001のJA.6.4(滴定用溶液の

調製,標定及び計算)のr) 1)(1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液)と同じである。 

附属書D[しゅう酸ナトリウム(容量分析用標準物質)]のD.4.10.3 a) 11)(0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム

溶液)の注記を,次に置き換える。 

注記 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の調製,標定及び計算は,JIS K 8001のJA.6.4(滴定用溶液

の調製,標定及び計算)のt) 2)(0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液)と同じである。 

附属書H[フタル酸水素カリウム(容量分析用標準物質)]のH.4.1.1(第1法 自動滴定装置を用いる電

位差滴定法)のb)(器具及び装置)を,次に置き換える。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,箇条8 a) による。 

14 

K 8005:2016  

  

附属書H[フタル酸水素カリウム(容量分析用標準物質)]のH.4.7.3 a) 11)(0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウ

ム溶液)の注記を,次に置き換える。 

注記 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の調製,標定及び計算は,JIS K 8001のJA.6.4(滴定用溶液

の調製,標定及び計算)のt) 2)(0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液)と同じである。 

附属書I[ふっ化ナトリウム(容量分析用標準物質)]のI.4.3 a) 8)(0.1 mol/l 塩酸)の注記1を,次に置

き換える。 

注記1 0.1 mol/l 塩酸の調製,標定及び計算は,JIS K 8001のJA.6.4(滴定用溶液の調製,標定及び

計算)のe) 6)(0.1 mol/L 塩酸)と同じである。 

附属書I[ふっ化ナトリウム(容量分析用標準物質)]のI.4.3 a) 9)(0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液)の

注記2を,次に置き換える。 

注記2 0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の調製,標定及び計算は,JIS K 8001のJA.6.4(滴定用溶液

の調製,標定及び計算)のr) 4)(0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液)と同じである。 

附属書J[よう素酸カリウム(容量分析用標準物質)]のJ.4.7.3 a) 11)(0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液)

の注記を,次に置き換える。 

注記 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の調製,標定及び計算は,JIS K 8001のJA.6.4(滴定用溶液

の調製,標定及び計算)のt) 2)(0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液)と同じである。 

附属書J[よう素酸カリウム(容量分析用標準物質)]の後に,次の附属書K(規定)及び附属書L(規定)

を追加する。 

background image

15 

K 8005:2016  

附属書K 

(規定) 

炭酸カルシウム(容量分析用標準物質) 

Calcium carbonate (Reference material for volumetric analysis) 

CaCO3  FW:100.087 

K.1 性質 

K.1.1 性状 

炭酸カルシウムは,白い粉末で,水及びエタノール(99.5)にほとんど溶けない。 

K.1.2 定性方法 

試料0.5 gに酢酸(1+10)10 mLを加えると,泡立って溶ける。これにしゅう酸アンモニウム溶液(40 g/L)

5 mLを加えると白い沈殿が生じる。 

K.2 品質 

品質は,K.4によって試験したとき,表K.1に適合しなければならない。 

表K.1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

純度(CaCO3)a) 

質量分率 % 

99.80〜100.05 

K.4.1 

塩酸不溶分 

質量分率 % 

0.01以下 

K.4.2 

塩化物(Cl) 

g/kg 

0.05以下 

K.4.3 

硝酸塩(NO3) 

g/kg 

0.01以下 

K.4.3 

りん酸塩(PO4) 

g/kg 

0.02以下 

K.4.4 

硫酸塩(SO4) 

g/kg 

0.05以下 

K.4.3 

ナトリウム(Na) 

g/kg 

0.05以下 

K.4.5 

カリウム(K) 

g/kg 

0.05以下 

K.4.5 

リチウム(Li) 

g/kg 

0.05以下 

K.4.5 

マグネシウム(Mg) 

g/kg 

0.02以下 

K.4.5 

ストロンチウム(Sr) 

g/kg 

1 以下 

K.4.5 

バリウム(Ba) 

g/kg 

0.02以下 

K.4.5 

カドミウム(Cd) 

g/kg 

0.01以下 

K.4.5 

銅(Cu) 

g/kg 

0.01以下 

K.4.5 

鉛(Pb) 

g/kg 

0.01以下 

K.4.5 

鉄(Fe) 

g/kg 

0.01以下 

K.4.5 

亜鉛(Zn) 

g/kg 

0.03以下 

K.4.5 

注a) 純度は,不確かさをもつ分析値として報告する。 

K.3 サンプリング 

純度(CaCO3)の試験を行う場合の抜取り本数の合計は,5本以上とする。 

K.4 試験方法 

K.4.1 純度(CaCO3) 

純度(CaCO3)試験方法は,次による。 

16 

K 8005:2016  

  

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 炭酸カルシウム(一次標準物質) 認証書の添付された一次標準物質で,均質性を保証する最小使用

量が操作に必要な採取量以下であるもの。 

2) アンモニア性塩化アンモニウム溶液(pH10) JIS K 8116に規定する塩化アンモニウム7 gにJIS K 

8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)57 mL及び水を加えて溶かし,水で100 mL

にする。溶液は,ポリエチレンなどの樹脂製瓶に密栓して保存する。 

3) 0.05 mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(0.05 mol/L EDTA2Na溶液)

(C10H14O8N2Na2・2H2O:18.61 g/L) JIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリ

ウム二水和物18.6 gをはかりとり,水1 000 mLを加えて溶かした後,カルシウム系の可塑剤を含ま

ない樹脂製気密容器に入れて保存する。 

4) エリオクロムブラックT希釈粉末(必要な場合に用いる。) JIS K 8736に規定するエリオクロムブ

ラックT 0.10 gとJIS K 8150に規定する塩化ナトリウム10 gとを混合する。希釈粉末は,褐色ガラ

ス製瓶に保存する。 

5) エリオクロムブラックT溶液(必要な場合に用いる。) JIS K 8736に規定するエリオクロムブラッ

クT 0.5 gをJIS K 8891に規定するメタノールで溶かし,メタノールで100 mLにする。保存する場

合,JIS K 8201に規定する塩化ヒドロキシルアンモニウム0.5 gを加えて溶かし,褐色ガラス製瓶に

入れる。 

6) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,箇条8 a) による。 

c) 操作 操作は,次のとおりに行う。 

1) 準備 準備は,次による。 

1.1) 自動滴定装置など滴定に使用する器具及び装置は,滴定を行う室内に,又は恒温の装置内に1時

間以上放置する。 

1.2) 0.05 mol/L EDTA2Na溶液は,操作に必要な体積をカルシウム無添加の樹脂製気密容器に入れて,

滴定を行う室内に,又は恒温の装置内に1時間以上放置する。 

1.3) 炭酸カルシウム(一次標準物質)及び試料は,認証書に定める方法で乾燥する。乾燥した炭酸カ

ルシウム(一次標準物質),及び試料を入れた容器又はその容器を入れた器具を,滴定を行う室内

に,又は恒温の装置内に1時間以上放置する。 

1.4) その他の使用する全ての器具及び試験用溶液類は,滴定を行う室内に1時間以上放置する。 

2) 滴定 滴定は,次による。 

2.1) 認証書に記載された方法で乾燥した炭酸カルシウム(一次標準物質)及び試料0.20 g〜0.22 gをそ

れぞれ平形はかり瓶に0.01 mgの桁まではかりとり,滴定用容器に入れ,それぞれに塩酸(2+1)

3 mLを注意して加えて溶かし,水で壁及び蓋を洗浄し,最終液量を70 mL〜100 mLにする。 

2.2) これにアンモニア性塩化アンモニウム溶液(pH10)5 mL及び指示薬としてエリオクロムブラック

T希釈粉末0.03 g〜0.04 g又はエリオクロムブラックT溶液6滴を加え,液をかき混ぜながら,0.05 

mol/L EDTA2Na溶液を用いて波長610 nm〜650 nmで光度滴定を行い,終点は変曲点とする。 

2.3) 測定値は,炭酸カルシウム(一次標準物質)と試料の滴定を交互に,それぞれ5回以上測定して

求める。 

d) 分析値の計算 分析値の計算は,次のとおりに行う。 

1) 純度の計算値 純度の計算値(Pn)は,n回目の試験における0.05 mol/L EDTA2Na溶液の滴定量(測

17 

K 8005:2016  

定値)から式(K.1)を用いて算出し,小数点以下4桁目を切り捨てる。 

n

n

n

n

n

m

V

m

V

P

P

ps

ps

s

s

ps×

=

 ······································································· (K.1) 

ここに, 

Pn: n回目に試験した試料の純度の計算値(質量分率 %) 

Pps: 炭酸カルシウム(一次標準物質)の認証値(質量分率 %) 

Vpsn: n回目に試験した炭酸カルシウム(一次標準物質)の0.05 

mol/L EDTA2Na溶液の滴定量(mL) 

mpsn: n回目の試験のためにはかりとった炭酸カルシウム(一次標

準物質)の質量(g) 

Vsn: n回目に試験した試料の0.05 mol/L EDTA2Na溶液の滴定量

(mL) 

msn: n回目の試験のためにはかりとった試料の質量(g) 

2) 純度の分析値 純度の分析値(P)は,式(K.2)によって純度の計算値(Pn)から算出し,JIS Z 8401

の2.(数値の丸め方)によって小数点以下2桁に丸める。 

N

P

P

n

=

············································································· (K.2) 

ここに, 

P: 試料の純度の分析値(質量分率 %) 

N: 純度の分析値の算出に用いる純度の計算値の総数(N≧5) 

Pn: n回目に試験した試料の純度の計算値(質量分率 %) 

e) 不確かさ 不確かさは,箇条9による。 

K.4.2 塩酸不溶分 

塩酸不溶分の試験方法は,次による。 

a) 試薬 主な試薬は,次のとおりとする。 

塩酸 JIS K 8180に規定する特級のもの。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) るつぼ形ガラスろ過器 JIS R 3503に規定するるつぼ形ガラスろ過器(1G4)。 

2) 吸引ろ過装置 物質を溶液から分離するためにガラスろ過器と吸引瓶とを組み合わせた装置。 

3) デシケーター 箇条8 a) 2) による。 

4) 電気定温乾燥器 (105±2)℃に調節できるもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) るつぼ形ガラスろ過器は,電気定温乾燥器で恒量にし,その質量を0.1 mgの桁まではかる(m1 g)。 

2) 試料溶液の調製は,試料10 gをビーカー300 mLなどに0.1 mgの桁まではかりとり(m g),水100 mL

を加えて懸濁させ,塩酸20 mLを注意深く加え,水で150 mLとする。ビーカーに蓋をし,100 ℃

以下の温度の熱板(ホットプレート)上で,この液を沸騰するまで徐々に加熱し,二酸化炭素の泡

が発生しなくなるまで加熱する。 

3) 吸引ろ過装置を用いて,試料溶液を恒量にしたるつぼ形ガラスろ過器(1G4)でろ過する。 

4) 熱水(60 ℃〜80 ℃)200 mLを準備し,使用したビーカーを,熱水(60 ℃〜80 ℃)で壁を洗いな

がら,洗浄し,その洗液を同じるつぼ形ガラスろ過器でろ過する。 

5) そのるつぼ形ガラスろ過器を,吸引ろ過装置を用いて,残りの熱水(60 ℃〜80 ℃)で洗浄する。 

6) 洗浄したるつぼ形ガラスろ過器は,(105±2)℃の電気定温乾燥器で恒量になるまで乾燥して,その

18 

K 8005:2016  

  

質量を0.1 mgの桁まではかる(m2 g)。 

d) 計算 計算は,次の計算式(K.3)によって行う。 

100

1

2

×

=

m

m

m

A

 ···································································· (K.3) 

ここに, 

A: 塩酸不溶分(質量分率 %) 

m: はかりとった試料の質量(g) 

m1: 恒量にしたるつぼ形ガラスろ過器の質量(g) 

m2: 洗浄後に,恒量にしたるつぼ形ガラスろ過器の質量(g) 

e) 判定 c) によって操作し,d) によって得られた含有率が,次に適合するとき,“塩酸不溶分:質量分

率0.01 %以下(規格値)”とする。 

計算して得られた含有率が,規格値を満足している。 

K.4.3 塩化物(Cl),硝酸塩(NO3)及び硫酸塩(SO4) 

K.4.3.1 第1法 イオンクロマトグラフィー(グラジエント溶離法) 

塩化物(Cl),硝酸塩(NO3)及び硫酸塩(SO4)のイオンクロマトグラフィー(グラジエント溶離法)

は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 水酸化カリウム溶液(4 mol/L) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム132 gをポリエチレンなど

の樹脂製気密容器500 mLにはかりとり,二酸化炭素を除いた水300 mLを加えて溶かした後,二酸

化炭素を除いた水を加えて500 mLとし,混合する。JIS K 8603に規定するソーダ石灰を入れた管

を付けて保存する。 

注記1 水酸化カリウム溶液(4 mol/L)は,希釈して溶離液として用いている。市販のイオンク

ロマトグラフィー用水酸化カリウム溶液(4 mol/L)は,その溶液中に分析対象の元素及

び妨害元素が存在しないことを確認し,使用目的に一致した場合には,用いてもよい。 

2) 二酸化炭素を除いた水 箇条6 d) 1) による。 

3) 塩化物標準液(Cl:1 mg/mL),硝酸塩標準液(NO3:1 mg/mL)及び硫酸塩標準液(SO4:1 mg/mL) 

3.1) JCSSに基づく標準液又はJCSS以外の認証標準液のいずれかのものを用いる。 

3.2) 塩化物標準液(Cl:1 mg/mL)を調製する場合は,認証標準物質又は附属書Cに規定する塩化ナ

トリウム1.65 gを0.1 mgの桁まではかりとり,全量フラスコ1 000 mLに入れ,水を加えて溶かし,

水を標線まで加えて混合する。 

4) 塩化物標準液(Cl:0.05 mg/mL) 塩化物標準液(Cl:1 mg/mL)50 mLを全量フラスコ1 000 mL

に正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

5) 硝酸塩標準液(NO3:0.01 mg/mL) 硝酸塩標準液(NO3:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mL

に正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

6) 硫酸塩標準液(SO4:0.05 mg/mL) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/mL)50 mLを全量フラスコ1 000 mL

に正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) メンブランフィルター(必要な場合に用いる。) 孔径約0.2 μmのメンブランフィルターを装着した

もので,逆浸透膜,蒸留法,イオン交換法,紫外線照射,ろ過などの方法のいずれか,又は組合せ

によって精製した分析に影響しない水で洗浄したもの。 

2) 試料調製用シリンジ(必要な場合に用いる。) 1 mL〜2.5 mLの容量をもつもの。 

background image

19 

K 8005:2016  

注記2 ろ過装置,メンブランフィルターとともに用いて,試料をろ過する。 

3) 試料導入装置 ループインジェクト方式で,容量5 μL〜200 μLのもので,イオンクロマトグラフに

試料の一定量を再現よく導入できるもの。 

4) ピストン式ピペット JIS K 0970に規定するもの。 

5) イオンクロマトグラフ 装置の構成は,JIS K 0127に規定するもので,サプレッサーをもつもの。 

c) 試験条件 試験条件は,次による。 

なお,別の試験条件でも同等の試験結果が得られることを確認した場合には,その条件を用いても

よい。 

1) 検出器の種類 恒温槽内に設置された又は温度補償機能付き電気伝導度検出器。 

2) カラム充塡剤の種類 基材の表面に陰イオン交換基を結合したもの。 

3) 分離カラム 内径2 mm〜5 mm,長さ10 cm〜25 cmのステンレス鋼製又は合成樹脂製のもので,分

離カラムの汚染を防ぐため,ガードカラムを接続したもの。 

4) カラム温度 使用するカラムに適した温度に設定する。 

5) 溶離液 溶離液は,装置の種類及びカラムに充塡した陰イオン交換体の種類によって異なるので,

塩化物イオン(Cl-),硝酸イオン(NO3-)及び硫酸イオン(SO42-)のそれぞれが分離度1) 1.3以上で

分離できるものを用いる。 

注記3 溶離液は,脱気するか,又は脱気した水を用いて調製し,操作中は,溶離液に新たな気

体が溶け込むのを避けるための対策を講じるとよい。 

注1) イオンクロマトグラフの性能として分離度(R)は1.3以上なければならない。定期的に確

認するとよい。分離度を求めるには,溶離液を一定の流量(例えば,1 mL/min〜2 mL/min)

で流す。クロマトグラムのピーク高さがほぼ同程度となるような濃度の陰イオン混合溶液

を調製して,クロマトグラムを作成し,次の式(K.4)によって算出する。 

2

1

R1

R2

)

(

2

W

W

t

t

R

+

×

=

····································································· (K.4) 

ここに, 

tR1: 第1ピークの保持時間(秒) 

tR2: 第2ピークの保持時間(秒)  tR1<tR2 

W1: 第1ピークのピーク幅(秒) 

W2: 第2ピークのピーク幅(秒) 

6) 溶出方法 溶出方法は,グラジエント溶離法とし,その溶出条件を表K.2に示す。 

表K.2−分析種のグラジエント溶離法の溶出条件の例 

溶離液 

時間(分) 

15 

15.1 

20 

水酸化カリウム溶液の濃度(mmol/L) 

10 

10 

30 

65 

65 

7) 再生液 再生液は,サプレッサーを用いる場合に使用する。あらかじめ分離カラムと組み合わせて

ベースラインの位置及びピーク感度の確認を行い,サプレッサーの性能を確保する。 

注記4 例として,超純水などがある。 

8) 再生液の流量 サプレッサーの能力が維持できる最適流量。 

9) 試料溶液及び検量線溶液の注入量 適切な注入量を選択する。 

d) 操作 操作は,次による。 

background image

20 

K 8005:2016  

  

1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,二酸化炭素を除いた水を加え,

二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合し,メンブランフィルターでろ過する。 

2) 検量線溶液の調製は,5個の全量フラスコ100 mLそれぞれに,ピストン式ピペットを用いて,表

K.3に示す各標準液の体積を5段階はかりとり,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合し,

メンブランフィルターでろ過する(それぞれ,Y0液,Y1液,Y2液,Y3液及びY4液とする。)。 

表K.3−採取する分析種の標準液の体積 

標準液 

mg/mL 

採取量 μL 

Y0 

Y1 

Y2 

Y3 

Y4 

塩化物標準液(Cl) 

0.05 

500 

1 000 

1 500 

2 000 

硝酸塩標準液(NO3) 

0.01 

500 

1 000 

1 500 

2 000 

硫酸塩標準液(SO4) 

0.05 

500 

1 000 

1 500 

2 000 

3) イオンクロマトグラフを作動できる状態にし,分離カラムに溶離液を一定の流量で流し,ベースラ

インを安定させる。サプレッサーを必要とする装置では,再生液を一定の流量で流しておく。 

4) 試料溶液,検量線溶液Y0液,Y1液,Y2液,Y3液及びY4液の一定量を,試料導入装置を用いて

イオンクロマトグラフに注入し,表K.2に示す溶出条件などで溶離液を調製し2),その溶離液を適

切な流量で流して,クロマトグラムを記録する。 

なお,あらかじめ塩化物イオン(Cl-),硝酸イオン(NO3-)及び硫酸イオン(SO42-)のピークの

保持時間は,確認しておく。 

注2) 溶離液自動調製システムによって,水酸化カリウム溶液の濃度を自動調製装置で調製し,

溶出を行ってもよい。 

e) 計算 JIS K 0127の9.5.2(絶対検量線法)によって検量線を作成し,各分析種の含有率を計算する。 

f) 

判定 d) によって操作し,e) によって得られた含有率が,次に適合するとき,“塩化物(Cl):0.05 g/kg

以下(規格値),硝酸塩(NO3):0.01 g/kg以下(規格値),硫酸塩(SO4):0.05 g/kg以下(規格値)”

とする。 

計算して得られた含有率が,規格値を満足している。 

K.4.3.2 第2法 イオンクロマトグラフィー(イソクラティック溶離法) 

塩化物(Cl),硝酸塩(NO3)及び硫酸塩(SO4)のイオンクロマトグラフィー(イソクラティック溶離

法)は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 炭酸水素ナトリウム溶液(1 mol/L) JIS K 8622に規定する炭酸水素ナトリウム84 gをポリエチレ

ンなどの樹脂製容器1 000 mLにはかりとり,二酸化炭素を除いた水1 000 mLを加えて溶かす。ポ

リエチレンなどの樹脂製気密容器で保存する。 

注記1 炭酸水素ナトリウム溶液(1 mol/L)は,希釈して溶離液として用いている。市販のイオ

ンクロマトグラフィー用炭酸水素ナトリウム溶液(1 mol/L)は,その溶液中に分析対象

の元素及び妨害元素が存在しないことを確認し,使用目的に一致した場合には,用いて

もよい。 

2) 炭酸ナトリウム溶液(1 mol/L) JIS K 8625に規定する炭酸ナトリウム106 gをポリエチレンなど

の樹脂製容器1 000 mLにはかりとり,二酸化炭素を除いた水1 000 mLを加えて溶かす。ポリエチ

21 

K 8005:2016  

レンなどの樹脂製気密容器で保存する。 

注記2 炭酸ナトリウム溶液(1 mol/L)は,希釈して溶離液として用いている。市販のイオンク

ロマトグラフィー用炭酸ナトリウム溶液(1 mol/L)は,その溶液中に分析対象の元素及

び妨害元素が存在しないことを確認し,使用目的に一致した場合には,用いてもよい。 

3) 二酸化炭素を除いた水 箇条6 d) 1) による。 

4) 塩化物標準液(Cl:0.05 mg/mL) K.4.3.1 a) 4) による。 

5) 硝酸塩標準液(NO3:0.01 mg/mL) K.4.3.1 a) 5) による。 

6) 硫酸塩標準液(SO4:0.05 mg/mL) K.4.3.1 a) 6) による。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) メンブランフィルター K.4.3.1 b) 1) による。 

2) 試料調製用シリンジ K.4.3.1 b) 2) による。 

3) 試料導入装置 K.4.3.1 b) 3) による。 

4) ピストン式ピペット K.4.3.1 b) 4) による。 

5) イオンクロマトグラフ K.4.3.1 b) 5) による。 

c) 試験条件 試験条件は,次による。 

なお,別の試験条件でも同等の試験結果が得られることを確認した場合には,その条件を用いても

よい。 

1) 検出器の種類 K.4.3.1 c) 1) による。 

2) カラム充塡剤の種類 K.4.3.1 c) 2) による。 

3) 分離カラム K.4.3.1 c) 3) による。 

4) カラム温度 K.4.3.1 c) 4) による。 

5) 溶離液 K.4.3.1 c) 5) による。 

6) 溶離液の流量 カラムの最適流量に設定する。 

7) 再生液 K.4.3.1 c) 7) による。 

8) 再生液の流量 K.4.3.1 c) 8) による。 

9) 試料溶液及び検量線溶液の注入量 K.4.3.1 c) 9) による。 

d) 操作 操作は,次による。 

1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,二酸化炭素を除いた水を標線

まで加えて混合し,メンブランフィルターでろ過する。 

2) 検量線溶液の調製は,5個の全量フラスコ100 mLそれぞれに,ピストン式ピペットで,表K.3に示

す各標準液の体積を5段階はかりとり,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する(それぞ

れ,Y0液,Y1液,Y2液,Y3液及びY4液とする。)。 

3) イオンクロマトグラフを作動できる状態にし,分離カラムに溶離液を一定の流量で流し,ベースラ

インを安定させる。サプレッサーを必要とする装置では,再生液を一定の流量で流しておく。 

4) 試料溶液,Y0液,Y1液,Y2液,Y3液及びY4液の一定量を,試料導入装置を用いてイオンクロ

マトグラフに注入して,クロマトグラムを記録する。 

なお,あらかじめ塩化物イオン(Cl-),硝酸イオン(NO3-)及び硫酸イオン(SO42-)のピークの

保持時間は,確認しておく。 

e) 計算 JIS K 0127の9.5.2(絶対検量線法)によって検量線を作成し,各分析種の含有率を算出する。 

f) 

判定 d) によって操作し,e) によって得られた含有率が,次に適合するとき,“塩化物(Cl):0.05 g/kg

22 

K 8005:2016  

  

以下(規格値),硝酸塩(NO3):0.01 g/kg以下(規格値),硫酸塩(SO4):0.05 g/kg以下(規格値)”

とする。 

計算して得られた含有率が,規格値を満足している。 

K.4.4 りん酸塩(PO4) 

りん酸塩(PO4)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 塩酸 JIS K 8180に規定する種類が特級のもの。 

2) 塩化すず(II)溶液(りん酸定量用) JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをJIS K 8180

に規定する塩酸(特級)60 mLに溶かす。この1 mLを塩酸(1+30)で250 mLにする。使用時に

調製する。 

3) 塩酸(1+30) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積1と水の体積30とを混合する。 

4) 塩酸(1+5) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積1と水の体積5とを混合する。 

5) 七モリブデン酸六アンモニウム溶液 JIS K 8905に規定する七モリブデン酸六アンモニウム四水和

物10.6 g,水70 mL及びJIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)7 mLを加

えて加熱しないで溶かし,水で100 mLにする。これをろ過後,ろ液に水を加え200 mLにする。さ

らに,塩酸(1+5)10 mLを加える。 

七モリブデン酸六アンモニウム溶液の洗浄は,これを分液漏斗に移し,JIS K 8810に規定する1-

ブタノール30 mLを加え,1分〜2分間激しく振り混ぜる。放置後,上層(1-ブタノール相)と下層

(水相)とを分離する(水相を保存する。)。 

洗浄操作で分離した上層(1-ブタノール相)を硫酸(1+5)15 mLで洗い,下層(硫酸相)を除

去する操作を2回行った後,上層(1-ブタノール相)に塩化すず(II)溶液(りん酸定量用)15 mL

を加え30秒間振り放置し,上層(1-ブタノール相)に青が現れないことを確認する。 

なお,上層(1-ブタノール相)に青が現れた場合は,保存した水相の洗浄及び確認を繰り返す。

ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。 

6) りん酸塩標準液(PO4:1 mg/mL) K.4.3.1 a) 3.1) に準じる。 

7) りん酸塩標準液(PO4:0.01 mg/mL) りん酸塩標準液(PO4:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 

mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの。 

2) 恒温水槽(必要な場合に用いる。) 20 ℃〜40 ℃に調節できるもの。 

3) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。 

4) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料1 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,水5 mL及び塩酸3 mLを徐々に

加える。これを水浴上でほとんど蒸発乾固し,全量フラスコ25 mLに水10 mLで洗い入れる(X液)。 

2) 検量線溶液の調製は,準備した3個の全量フラスコ25 mLそれぞれに,表K.4に示すりん酸塩標準

液(PO4:0.01 mg/mL)の体積を加え,水10 mLを加えて混合する(それぞれ,Y1液,Y2液及び

Y3液とする。)。 

background image

23 

K 8005:2016  

表K.4−採取する標準液の体積 

標準液 

mg/mL 

採取量 mL 

Y1 

Y2 

Y3 

りん酸塩標準液 

0.01 

1.0 

2.0 

3.0 

3) 空試験溶液の調製は,ビーカー200 mLなどに塩酸3 mLを入れ,水浴上でほとんど蒸発乾固し,全

量フラスコ25 mLに水10 mLで洗い入れる(Z液)。 

4) X液,Z液,Y1液,Y2及びY3液に,塩酸(1+5)6 mL及び七モリブデン酸六アンモニウム溶液1 mL

を加えて振り混ぜて3分間放置する。これに塩化すず(II)溶液(りん酸定量用)1 mLを加え,水

を標線まで加えて振り混ぜて10分間放置する。 

5) X液,Y1液,Y2液及びY3液から得られた液を,Z液を対照液とし,吸収セルを用いて,分光光度

計で波長710 nmにおける吸光度を,JIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)によって測定

する。 

d) 計算 測定結果は,JIS K 0115の8.1(検量線法)によって,りん酸塩(PO4)の含有率を算出する。 

e) 判定 c) によって操作し,d) によって計算し,次に適合するとき,“りん酸塩(PO4):0.02 g/kg以下

(規格値)”とする。 

計算して得られた含有率が,規格値を満足している。 

K.4.5 ナトリウム(Na),カリウム(K),リチウム(Li),マグネシウム(Mg),ストロンチウム(Sr),

バリウム(Ba),カドミウム(Cd),銅(Cu),鉛(Pb),鉄(Fe)及び亜鉛(Zn) 

K.4.5.1 第1法 ICP発光分光分析法(標準添加法) 

ナトリウム(Na),カリウム(K),リチウム(Li),マグネシウム(Mg),ストロンチウム(Sr),バリ

ウム(Ba),カドミウム(Cd),銅(Cu),鉛(Pb),鉄(Fe)及び亜鉛(Zn)のICP発光分光分析法(標

準添加法)は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硝酸(1+3) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積3と

を混合する。 

2) ナトリウム標準液(Na:1 mg/mL),カリウム標準液(K:1 mg/mL),リチウム標準液(Li:1 mg/mL),

マグネシウム標準液(Mg:1 mg/mL),ストロンチウム標準液(Sr:1 mg/mL),バリウム標準液(Ba:

1 mg/mL),カドミウム標準液(Cd:1 mg/mL),銅標準液(Cu:1 mg/mL),鉛標準液(Pb:1 mg/mL),

鉄標準液(Fe:1 mg/mL)及び亜鉛標準液(Zn:1 mg/mL) K.4.3.1 a) 3.1) に準じる。 

3) 混合標準液(Na:0.05 mg/mL,K:0.05 mg/mL,Li:0.05 mg/mL,Mg:0.02 mg/mL,Ba:0.02 mg/mL,

Cd:0.01 mg/mL,Cu:0.01 mg/mL,Pb:0.01 mg/mL,Fe:0.01 mg/mL,Zn:0.03 mg/mL) ナト

リウム標準液(Na:1 mg/mL),カリウム標準液(K:1 mg/mL)及びリチウム標準液(Li:1 mg/mL)

各5 mL,マグネシウム標準液(Mg:1 mg/mL)及びバリウム標準液(Ba:1 mg/mL)各2 mL,亜

鉛標準液(Zn:1 mg/mL)3 mL,カドミウム標準液(Cd:1 mg/mL),銅標準液(Cu:1 mg/mL),

鉛標準液(Pb:1 mg/mL)及び鉄標準液(Fe:1 mg/mL)各1 mLを全量フラスコ100 mLに正確に

とり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) ピストン式ピペット K.4.3.1 b) 4) による。 

2) ICP発光分光分析装置 装置の構成は,JIS K 0116に規定するもの。 

background image

24 

K 8005:2016  

  

c) 分析条件 分析条件は,次による。 

分析種の測定波長の例を,表K.5に示す。 

なお,別の分析条件でも同等の試験結果が得られることを確認した場合には,その条件を用いても

よい。 

表K.5−分析種の測定波長の例 

単位 nm 

分析種 

測定波長 

ナトリウム(Na) 

589.592 

カリウム(K) 

766.491 

リチウム(Li) 

610.365 

マグネシウム(Mg) 

279.553 

ストロンチウム(Sr) 

407.771 

バリウム(Ba) 

493.408 

カドミウム(Cd) 

226.502 

銅(Cu) 

327.395 

鉛(Pb) 

220.353 

鉄(Fe) 

238.204 

亜鉛(Zn) 

213.857 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gを全量フラスコ100 mLにとり,硝酸(1+3)25 mLを加えて溶かし,

水を標線まで加えて混合する(S液)。 

2) 検量線溶液の調製は,5個の全量フラスコ50 mLを準備する。それぞれの全量フラスコにS液10 mL

(試料量0.50 g)を正確にとり,硝酸(1+3)10 mLを加え,ピストン式ピペットを用いて,表K.6

に示すストロンチウム標準液(Sr:1 mg/mL)及び混合標準液の体積を5段階はかりとり,水を標

線まで加えて混合する(それぞれ,Y20液,Y21液,Y22液,Y23液及びY24液とする。)。 

表K.6−採取する分析種の標準液の体積 

標準液 

mg/mL 

採取量 μL 

Y20 

Y21 

Y22 

Y23 

Y24 

ストロンチウム(Sr) 
混合標準液 

1.0 

− 

250 

500 

1 000 

1 500 

3) ICP発光分光分析装置の一般事項は,JIS K 0116の箇条4(ICP発光分光分析)による。 

4) ICP発光分光分析装置は,高周波プラズマを点灯するなどによって,発光強度を測定できる状態に

する。 

5) Y20液,Y21液,Y22液,Y23液及びY24液をアルゴンプラズマ中に噴霧し,各分析種の濃度とその発

光強度の関係線を作成し,最適な波長を選択する。 

6) Y20液,Y21液,Y22液,Y23液及びY24液をアルゴンプラズマ中に噴霧し,各分析種の発光強度を測

定する。ストロンチウムは,装置の感度に応じてY20液,Y21液,Y22液,Y23液及びY24液を水で希

釈して測定してもよい。 

25 

K 8005:2016  

e) 計算 JIS K 0116の4.7.3のb)(標準添加法)によって,各分析種の含有率を計算する。 

f) 

判定 d) によって操作し,e) によって計算し,次に適合するとき,“ストロンチウム(Sr):1 g/kg以

下(規格値),ナトリウム(Na),カリウム(K)及びリチウム(Li):0.05 g/kg以下(規格値),亜鉛

(Zn):0.03 g/kg以下(規格値),マグネシウム(Mg)及びバリウム(Ba):0.02 g/kg以下(規格値),

カドミウム(Cd),銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)0.01 g/kg以下(規格値)”とする。 

計算して得られた含有率が,規格値を満足している。 

K.4.5.2 第2法 ICP発光分光分析法(強度比法) 

リチウム(Li),マグネシウム(Mg),ストロンチウム(Sr),バリウム(Ba),カドミウム(Cd),銅(Cu),

鉛(Pb),鉄(Fe)及び亜鉛(Zn)のICP発光分光分析法(強度比法)は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硝酸(1+3) K.4.5.1 a) 1) による。 

2) 混合標準液(Li:0.05 mg/mL,Mg:0.02 mg/mL,Ba:0.02 mg/mL,Cd:0.01 mg/mL,Cu:0.01 mg/mL,

Pb:0.01 mg/mL,Fe:0.01 mg/mL,Zn:0.03 mg/mL) リチウム標準液(Li:1 mg/mL)5 mL,マ

グネシウム標準液(Mg:1 mg/mL)及びバリウム標準液(Ba:1 mg/mL)各2 mL,亜鉛標準液(Zn:

1 mg/mL)3 mL,カドミウム標準液(Cd:1 mg/mL),銅標準液(Cu:1 mg/mL),鉛標準液(Pb:1 

mg/mL)及び鉄標準液(Fe:1 mg/mL)各1 mLを全量フラスコ100 mLに正確にとり,水を標線ま

で加えて混合する。 

3) イットリウム標準液(Y:1 mg/mL) 次のいずれかを用いる。 

3.1) 硝酸イットリウム(III)六水和物(質量分率99.9 %以上)4.31 gを全量フラスコ1 000 mLにはか

りとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。 

3.2) 酸化イットリウム(III)(質量分率99.99 %以上)1.27 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,JIS 

K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)75 mLを加えて,熱板(ホットプレート)

上で加熱し溶解させ,全量フラスコ1 000 mLに移し,ビーカー200 mLなどを洗い,洗液を全量フ

ラスコ1 000 mLに加えた後,水を標線まで加えて混合する。 

注記 イットリウム標準液(Y:1 mg/mL)は,ICP発光分光分析法で発光強度を補正するため

の内標準である。市販のイットリウム標準液(Y:1 mg/mL)は,使用目的に合致した場

合には,市販のものを用いてもよい。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) ピストン式ピペット K.4.3.1 b) 4) による。 

2) ICP発光分光分析装置 K.4.5.1 b) 2) による。 

c) 分析条件 分析条件は,次による。 

分析種の測定波長の例を,表K.5に示す。ただし,内標準イットリウム(Y)の測定波長は371.029 

nmとし,適切であれば,他の波長も用いることができる。 

なお,別の分析条件でも同等の試験結果が得られることを確認した場合には,その条件を用いても

よい。 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料0.5 gを全量フラスコ50 mLにとり,硝酸(1+3)3 mL及び水を加えて溶

かし,イットリウム標準液(Y:1 mg/mL)0.1 mL及び水を標線まで加えて混合する。 

2) 検量線溶液の調製は,5個の全量フラスコ50 mLを準備する。それぞれの全量フラスコに硝酸(1

+3)3 mLをとり,ピストン式ピペットを用いて,表K.7に示すストロンチウム標準液(Sr:1 mg/mL)

background image

26 

K 8005:2016  

  

及び混合標準液の体積を5段階はかりとり,イットリウム標準液(Y:1 mg/mL)0.1 mLを加えて,

水を標線まで加えて混合する(それぞれ,Y30液,Y31液,Y32液,Y33液及びY34液とする。)。 

表K.7−採取する分析種の標準液の体積 

標準液 

mg/mL 

採取量 μL 

Y30 

Y31 

Y32 

Y33 

Y34 

ストロンチウム(Sr) 
混合標準液 

1.0 

− 

250 

500 

1 000 

1 500 

3) ICP発光分光分析装置の一般事項は,JIS K 0116の箇条4(ICP発光分光分析)による。 

4) ICP発光分光分析装置は,高周波プラズマを点灯するなどによって,発光強度を測定できる状態に

する。 

5) 同一分析種ごとに表K.5の波長を中心に複数波長を選択し,Y30液,Y31液,Y32液,Y33液及びY34

液を用いて,関係線を作成し,関係線のy切片が低く,感度及び直線性が良好な波長を選択する。

この条件を満たせない場合,分析結果に対する影響(定量限界,再現精度)を考慮して選択する。 

6) 試料溶液,Y30液,Y31液,Y32液,Y33液及びY34液をアルゴンプラズマ中に噴霧し,各分析種の発

光強度を測定する。ストロンチウムは,装置の感度に応じてY30液,Y31液,Y32液,Y33液及びY34

液を水で希釈して測定してよい。 

e) 計算 JIS K 0116の4.7.3のa) 2)[強度比法(内標準法)]によって,各分析種の含有率を計算する。 

f) 

判定 d) によって操作し,e) によって計算し,次に適合するとき,“ストロンチウム(Sr):1 g/kg以

下(規格値),リチウム(Li):0.05 g/kg以下(規格値),亜鉛(Zn):0.03 g/kg以下(規格値),マグ

ネシウム(Mg)及びバリウム(Ba):0.02 g/kg以下(規格値),カドミウム(Cd),銅(Cu),鉛(Pb)

及び鉄(Fe)0.01 g/kg以下(規格値)”とする。 

計算して得られた含有率が,規格値を満足している。 

K.5 容器 

容器は,気密容器とする。 

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27 

K 8005:2016  

附属書L 

(規定) 

トリスヒドロキシメチルアミノメタン(容量分析用標準物質) 

Tris(hydroxymethyl)aminomethane 

(Reference material for volumetric analysis) 

(CH2OH)3CNH2  FW:121.135 

L.1 

性質 

L.1.1 性状 

トリスヒドロキシメチルアミノメタン1) は,白い結晶又は結晶性粉末で,水に溶ける。融点は,約170 ℃

である。 

注1) 化学名:2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール 

別名:トリス(Tris) 

L.1.2 定性方法 

試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117に従って測定すると,波数3 341 cm-1,3 290 cm-1,1 589 cm-1,

1 288 cm-1,1 087 cm-1,1 020 cm-1,981 cm-1及び630 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。試料調製をJIS 

K 0117の5.3 a)(錠剤法)によって行い,錠剤の調製に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペクトル

の例を図L.1に示す。 

図L.1−赤外吸収スペクトルの例 

注記 図L.1は,国立研究開発法人産業技術総合研究所のスペクトルデータベースシステム(SDBS)

から引用したもので,チャート上に波数表示を追加している。 

background image

28 

K 8005:2016  

  

L.2 

品質 

品質は,L.4によって試験したとき,表L.1に適合しなければならない。 

表L.1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

純度[(CH2OH)3CNH2]a) 

質量分率 % 

99.90以上 

L.4.1 

水不溶分 

質量分率 % 

0.005以下 

L.4.2 

pH(12 g/L,25 ℃) 

10.5〜11.5 

L.4.3 

塩化物(Cl) 

g/kg 

0.01以下 

L.4.4 

硫酸塩(SO4) 

g/kg 

0.02以下 

L.4.4 

銅(Cu) 

mg/kg 

1 以下 

L.4.5 

マグネシウム(Mg) 

mg/kg 

1 以下 

L.4.5 

カルシウム(Ca) 

mg/kg 

5 以下 

L.4.5 

亜鉛(Zn) 

mg/kg 

1 以下 

L.4.5 

鉛(Pb) 

mg/kg 

1 以下 

L.4.5 

ひ素(As) 

mg/kg 

1 以下 

L.4.6 

鉄(Fe) 

mg/kg 

1 以下 

L.4.5 

注a) 純度は,不確かさをもつ分析値として報告する。 

L.3 

サンプリング 

純度[(CH2OH)3CNH2]の試験を行う場合のサンプルの大きさ(抜取り本数の合計)は,5本以上とする。 

L.4 

試験方法 

L.4.1 純度[(CH2OH)3CNH2] 

純度[(CH2OH)3CNH2]の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) トリスヒドロキシメチルアミノメタン(一次標準物質) 認証書の添付された一次標準物質で,均質

性を保証する最小使用量が操作に必要な採取量以下であるもの。 

2) 0.5 mol/L 塩酸(HCl:18.23 g/L) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)45 mLをはかりとり,水を加

えて1 000 mLとし,混合した後,気密容器に入れて保存する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,箇条8 a) による。 

c) 操作 操作は,次のとおりに行う。 

1) 準備 準備は,次による。 

1.1) 自動滴定装置など滴定に使用する器具及び装置は,滴定を行う室内に,又は恒温の装置内に1時

間以上放置する。 

1.2) 0.5 mol/L 塩酸は,操作に必要な体積を気密容器に入れて,滴定を行う室内に,又は恒温の装置内

に1時間以上放置する。 

1.3) 乾燥したトリスヒドロキシメチルアミノメタン(一次標準物質),試料及び試料を入れた容器又は

その容器を入れた器具を,滴定を行う室内に,又は恒温の装置内に1時間以上放置する。 

1.4) その他の使用する全ての器具及び試験用溶液類は,滴定を行う室内に1時間以上放置する。 

2) 滴定 滴定は,次による。 

2.1) 必要に応じて粉砕した一次標準物質及び試料を認証書に記載された方法で乾燥し,それぞれの1.4 

29 

K 8005:2016  

g〜1.6 gを平形はかり瓶に0.01 mgの桁まではかりとり,滴定用容器に入れ,それぞれに水約80 mL

を加えて溶かす。 

2.2) 液をかき混ぜながら,0.5 mol/L 塩酸で電位差滴定を行い,終点は変曲点とする。 

2.3) 測定値は,トリスヒドロキシメチルアミノメタン(一次標準物質)と試料の滴定を交互に,それ

ぞれ5回以上測定して求める。 

d) 分析値の計算 分析値の計算は,次のとおりに行う。 

1) 純度の計算値 純度の計算値(Pn)は,n回目の試験における0.5 mol/L 塩酸の滴定量(測定値)か

ら式(L.1)を用いて算出し,小数点以下4桁目を切り捨てる。 

n

n

n

n

n

m

V

m

V

P

P

ps

ps

s

s

ps×

=

 ······································································· (L.1) 

ここに, 

Pn: n回目に試験した試料の純度の計算値(質量分率 %) 

Pps: トリスヒドロキシメチルアミノメタン(一次標準物質)の認

証値(質量分率 %) 

Vpsn: n回目に試験したトリスヒドロキシメチルアミノメタン(一次

標準物質)の0.5 mol/L 塩酸の滴定量(mL) 

mpsn: n回目の試験のためにはかりとったトリスヒドロキシメチル

アミノメタン(一次標準物質)の質量(g) 

Vsn: n回目に試験した試料の0.5 mol/L 塩酸の滴定量(mL) 

msn: n回目の試験のためにはかりとった試料の質量(g) 

2) 純度の分析値 純度の分析値(P)は,式(L.2)によって純度の計算値(Pn)から算出し,JIS Z 8401

の2.(数値の丸め方)によって小数点以下2桁に丸める。 

N

P

P

n

=

············································································· (L.2) 

ここに, 

P: 試料の純度の分析値(質量分率 %) 

N: 純度の分析値の算出に用いる純度の計算値の総数(N≧5) 

Pn: n回目に試験した試料の純度の計算値(質量分率 %) 

e) 不確かさ 不確かさは,箇条9による。 

L.4.2 水不溶分 

水不溶分の試験方法は,次による。 

a) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) るつぼ形ガラスろ過器 JIS R 3503に規定するるつぼ形ガラスろ過器(1G4)。 

2) 吸引ろ過装置 物質を溶液から分離するためにガラスろ過器と吸引瓶とを組み合わせた装置。 

3) デシケーター 箇条8 a) 2) による。 

4) 電気定温乾燥器 (105±2)℃に調節できるもの。 

b) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) るつぼ形ガラスろ過器は,電気定温乾燥器で恒量にし,その質量を0.1 mgの桁まではかる(m1 g)。 

2) 試料溶液の調製は,試料10 gをビーカー300 mLなどに0.1 mgの桁まではかりとり(m g),水200 mL

を加えて溶かす。 

3) 吸引ろ過装置を用いて,試料溶液を恒量にしたるつぼ形ガラスろ過器(1G4)でろ過する。 

4) 熱水(60 ℃〜80 ℃)200 mLを準備し,使用したビーカーを,熱水(60 ℃〜80 ℃)で壁を洗いな

30 

K 8005:2016  

  

がら,洗浄し,その洗液を同じるつぼ形ガラスろ過器でろ過する。 

5) そのるつぼ形ガラスろ過器を,吸引ろ過装置を用いて,残りの熱水(60 ℃〜80 ℃)で洗浄する。 

6) 洗浄したるつぼ形ガラスろ過器は,(105±2)℃の電気定温乾燥器で恒量になるまで乾燥して,その

質量を0.1 mgの桁まではかる(m2 g)。 

c) 計算 計算は,次の計算式(L.3)によって行う。 

100

1

2

×

=

m

m

m

A

 ···································································· (L.3) 

ここに, 

A: 水不溶分(質量分率 %) 

m: はかりとった試料の質量(g) 

m1: 恒量にしたるつぼ形ガラスろ過器の質量(g) 

m2: 洗浄後に,恒量にしたるつぼ形ガラスろ過器の質量(g) 

d) 判定 b) によって操作し,c) によって得られた含有率が,次に適合するとき,“水不溶分:質量分率

0.005 %以下(規格値)”とする。 

計算して得られた含有率が,規格値を満足している。 

L.4.3 pH(12 g/L,25 ℃) 

pH(12 g/L,25 ℃)の試験方法は,次による。 

a) ガス及び試験用溶液類 主なガス及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 窒素 JIS K 1107に規定するもの。 

2) 二酸化炭素を除いた水 箇条6 d) 1) による。 

3) pH標準液 pH標準液は,JIS Z 8802の箇条7(pH標準液)による。 

b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。 

1) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。 

2) 恒温水槽 (25.0±0.5)℃に調節できるもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料1.2 gをはかりとり,全量フラスコ100 mLに入れ,二酸化炭素を除いた水

を加えて溶かし,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。この液を適切な容量のビーカ

ーにとる。 

2) pHの測定は,JIS Z 8802の箇条8(操作方法)による。この場合,液温(25.0±0.5)℃の恒温水槽

に浸した試料溶液の液面上に窒素を流し,かき混ぜながらはかる。 

L.4.4 塩化物(Cl)及び硫酸塩(SO4) 

L.4.4.1 第1法 イオンクロマトグラフィー(グラジエント溶離法) 

塩化物(Cl)及び硫酸塩(SO4)のイオンクロマトグラフィー(グラジエント溶離法)は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 水酸化カリウム溶液(4 mol/L) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム132 gをポリエチレンなど

の樹脂製気密容器500 mLにはかりとり,二酸化炭素を除いた水300 mLを加えて溶かした後,二酸

化炭素を除いた水を加えて500 mLとし,混合する。JIS K 8603に規定するソーダ石灰を入れた管

を付けて保存する。 

注記1 水酸化カリウム溶液(4 mol/L)は,希釈して溶離液として用いている。市販のイオンク

ロマトグラフィー用水酸化カリウム溶液(4 mol/L)は,その溶液中に分析対象の元素及

び妨害元素が存在しないことを確認し,使用目的に一致した場合には,用いてもよい。 

31 

K 8005:2016  

2) 二酸化炭素を除いた水 箇条6 d) 1) による。 

3) 塩化物標準液(Cl:1 mg/mL)及び硫酸塩標準液(SO4:1 mg/mL) 次のいずれかのものを用いる。 

3.1) JCSSに基づく標準液又はJCSS以外の認証標準液。 

3.2) 塩化物標準液(Cl:1 mg/mL)を調製する場合は,認証標準物質2) 又は附属書Cに規定する塩化

ナトリウム1.65 gを0.1 mgの桁まではかりとり,全量フラスコ1 000 mLに入れ,水を加えて溶か

し,水を標線まで加えて混合する。 

注2) 認証標準物質の供給者としては,国立研究開発法人産業技術総合研究所計量標準総合セ

ンター(NMIJ)などの国家計量機関及び認証標準物質生産者がある。 

4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 塩化物標準液(Cl:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mL

に正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

5) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mL

に正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) メンブランフィルター(必要な場合に用いる。) 孔径約0.2 μmのメンブランフィルターを装着した

もので,逆浸透膜,蒸留法,イオン交換法,紫外線照射,ろ過などの方法のいずれか,又は組合せ

によって精製した分析に影響しない水で洗浄したもの。 

2) 試料調製用シリンジ(必要な場合に用いる。) 1 mL〜2.5 mLの容量をもつもの。 

注記2 溶液中のごみなどを除くために,メンブランフィルターを用いてろ過するときに使用す

る。 

3) 試料導入装置 ループインジェクト方式で,容量5 μL〜200 μLのもので,イオンクロマトグラフに

試料の一定量を再現よく導入できるもの。 

4) ピストン式ピペット JIS K 0970に規定するもの。 

5) イオンクロマトグラフ 装置の構成は,JIS K 0127に規定するもので,サプレッサーをもつもの。 

c) 試験条件 試験条件は,次による。 

なお,別の試験条件でも同等の試験結果が得られることを確認した場合には,その条件を用いても

よい。 

1) 検出器の種類 恒温槽内に設置された又は温度補償機能付き電気伝導度検出器。 

2) カラム充塡剤の種類 基材の表面に陰イオン交換基を結合したもの。 

3) 分離カラム 内径2 mm〜5 mm,長さ10 cm〜25 cmのステンレス鋼製又は合成樹脂製のもので,分

離カラムの汚染を防ぐため,ガードカラムを接続したもの。 

4) カラム温度 使用するカラムに適した温度に設定する。 

5) 溶離液 溶離液は,装置の種類及びカラムに充塡した陰イオン交換体の種類によって異なるので,

塩化物イオン(Cl-)及び硫酸イオン(SO42-)のそれぞれが分離度3) 1.3以上で分離できるものを用

いる。 

注記3 溶離液は,脱気するか,又は脱気した水を用いて調製し,操作中,溶離液に新たな気体

が溶け込むのを避けるための対策を講じるとよい。 

注3) イオンクロマトグラフの性能として分離度(R)は1.3以上なければならない。定期的に確

認するとよい。分離度を求めるには,溶離液を一定の流量(例えば,1 mL/min〜2 mL/min)

で流す。クロマトグラムのピーク高さがほぼ同程度となるような濃度の陰イオン混合溶液

を調製して,クロマトグラムを作成し,次の式(L.4)によって算出する。 

background image

32 

K 8005:2016  

  

2

1

R1

R2

)

(

2

W

W

t

t

R

+

×

=

····································································· (L.4) 

ここに, 

tR1: 第1ピークの保持時間(秒) 

tR2: 第2ピークの保持時間(秒)  tR1<tR2 

W1: 第1ピークのピーク幅(秒) 

W2: 第2ピークのピーク幅(秒) 

6) 溶出方法 溶出方法は,グラジエント溶離法とし,その溶出条件を表L.2に示す。 

表L.2−分析種のグラジエント溶離法の溶出条件の例 

溶離液 

時間(分) 

15 

15.1 

20 

水酸化カリウム溶液の濃度(mmol/L) 

10 

10 

30 

65 

65 

7) 再生液 再生液は,サプレッサーを用いる場合に使用する。あらかじめ分離カラムと組み合わせて

ベースラインの位置及びピーク感度の確認を行い,サプレッサーの性能を確保する。 

注記4 例として,超純水などがある。 

8) 再生液の流量 サプレッサーの能力が維持できる最適流量。 

9) 試料溶液及び検量線溶液の注入量 適切な注入量を選択する。 

d) 操作 操作は,次による。 

1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,二酸化炭素を除いた水を加え

て溶かし,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。必要ならば,メンブランフィルター

でろ過する。 

2) 検量線溶液の調製は,5個の全量フラスコ100 mLそれぞれに,ピストン式ピペットを用いて,表

L.3に示す各標準液の体積を5段階とり,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する(それ

ぞれ,Y0液,Y1液,Y2液,Y3液及びY4液とする。)。試料溶液の調製にろ過を行った場合は,

メンブランフィルターでろ過する。 

表L.3−採取する分析種の標準液の体積 

標準液 

mg/mL 

採取量 mL 

Y0 

Y1 

Y2 

Y3 

Y4 

塩化物標準液(Cl) 

0.01 

0.5 

1.0 

1.5 

2.0 

硫酸塩標準液(SO4) 

0.01 

1.0 

2.0 

3.0 

4.0 

3) イオンクロマトグラフを作動できる状態にし,分離カラムに溶離液を一定の流量で流しておく4)。

サプレッサーを必要とする装置では,再生液を一定の流量で流しておく。 

注4) 必要ならば,分離カラムが平衡状態となるまで溶離液を流す。 

4) 試料溶液及び検量線溶液Y0液,Y1液,Y2液,Y3液及びY4液の一定量を,試料導入装置を用い

てイオンクロマトグラフに注入して,クロマトグラムを記録する。 

なお,あらかじめ塩化物イオン(Cl-)及び硫酸イオン(SO42-)の各ピークの保持時間は,確認し

ておく。 

e) 計算 JIS K 0127の9.5.2(絶対検量線法)によって検量線を作成し,各分析種の含有率を計算する。 

33 

K 8005:2016  

f) 

判定 d) によって操作し,e) によって得られた含有率が,次に適合するとき,“塩化物(Cl):0.01 g/kg

以下(規格値),硫酸塩(SO4):0.02 g/kg以下(規格値)”とする。 

計算して得られた含有率が,規格値を満足している。 

L.4.4.2 第2法 イオンクロマトグラフィー(イソクラティック溶離法) 

塩化物(Cl-)及び硫酸塩(SO42-)のイオンクロマトグラフィー(イソクラティック溶離法)は,次によ

る。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 炭酸水素ナトリウム溶液(1 mol/L) JIS K 8622に規定する炭酸水素ナトリウム84 gをポリエチレ

ンなどの樹脂製容器1 000 mLにはかりとり,二酸化炭素を除いた水1 000 mLを加えて溶かす。ポ

リエチレンなどの樹脂製気密容器で保存する。 

注記1 炭酸水素ナトリウム溶液(1 mol/L)は,希釈して溶離液として用いている。市販のイオ

ンクロマトグラフィー用炭酸水素ナトリウム溶液(1 mol/L)は,その溶液中に分析対象

の元素及び妨害元素が存在しないことを確認し,使用目的に一致した場合には,用いて

もよい。 

2) 炭酸ナトリウム溶液(1 mol/L) JIS K 8625に規定する炭酸ナトリウム106 gをポリエチレンなど

の樹脂製容器1 000 mLにはかりとり,二酸化炭素を除いた水1 000 mLを加えて溶かす。ポリエチ

レンなどの樹脂製気密容器で保存する。 

注記2 炭酸ナトリウム溶液(1 mol/L)は,希釈して溶離液として用いている。市販のイオンク

ロマトグラフィー用炭酸ナトリウム溶液(1 mol/L)は,その溶液中に分析対象の元素及

び妨害元素が存在しないことを確認し,使用目的に一致した場合には,市販のものを用

いてもよい。 

3) 二酸化炭素を除いた水 箇条6 d) 1) による。 

4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) L.4.4.1 a) 4) による。 

5) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL) L.4.4.1 a) 5) による。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) メンブランフィルター L.4.4.1 b) 1) による。 

2) 試料調製用シリンジ L.4.4.1 b) 2) による。 

3) 試料導入装置 L.4.4.1 b) 3) による。 

4) ピストン式ピペット L.4.4.1 b) 4) による。 

5) イオンクロマトグラフ L.4.4.1 b) 5) による。 

c) 試験条件 試験条件は,次による。 

なお,別の試験条件でも同等の試験結果が得られることを確認した場合には,その条件を用いても

よい。 

1) 検出器の種類 L.4.4.1 c) 1) による。 

2) カラム充塡剤の種類 L.4.4.1 c) 2) による。 

3) 分離カラム L.4.4.1 c) 3) による。 

4) カラム温度 L.4.4.1 c) 4) による。 

5) 溶離液 L.4.4.1 c) 5) による。 

6) 溶離液の流量 カラムの最適流量に設定する。 

7) 再生液 L.4.4.1 c) 7) による。 

34 

K 8005:2016  

  

8) 再生液の流量 L.4.4.1 c) 8) による。 

9) 試料溶液及び検量線溶液の注入量 L.4.4.1 c) 9) による。 

d) 操作 操作は,次による。 

1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,二酸化炭素を除いた水を加え

て溶かし,水を標線まで加えて混合する。必要ならば,メンブランフィルターでろ過する。 

2) 検量線溶液の調製は,5個の全量フラスコ100 mLそれぞれに,ピストン式ピペットを用いて,表

L.3に示す各標準液の体積を5段階とり,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する(それ

ぞれ,Y0液,Y1液,Y2液,Y3液及びY4液とする。)。 

3) イオンクロマトグラフを作動できる状態にし,分離カラムに溶離液を一定の流量で流しておく。サ

プレッサーを必要とする装置では,再生液を一定の流量で流しておく。 

4) 試料溶液,Y0液,Y1液,Y2液,Y3液及びY4液の一定量を,試料導入装置を用いてイオンクロ

マトグラフに注入して,クロマトグラムを記録する。 

なお,あらかじめ塩化物イオン(Cl-)及び硫酸イオン(SO42-)の各ピークの保持時間は,確認し

ておく。 

e) 計算 JIS K 0127の9.5.2(絶対検量線法)によって検量線を作成し,各分析種の含有率を計算する。 

f) 

判定 d) によって操作し,e) によって得られた含有率が,次に適合するとき,“塩化物(Cl):0.01 g/kg

以下(規格値),硫酸塩(SO4):0.02 g/kg以下(規格値)”とする。 

計算して得られた含有率が,規格値を満足している。 

L.4.5 銅(Cu),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),亜鉛(Zn),鉛(Pb)及び鉄(Fe) 

L.4.5.1 第1法 ICP発光分光分析法(標準添加法) 

銅(Cu),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),亜鉛(Zn),鉛(Pb)及び鉄(Fe)のICP発光分光

分析法(標準添加法)は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合する。 

2) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と

を混合する。 

3) 銅標準液(Cu:1 mg/mL),マグネシウム標準液(Mg:1 mg/mL),カルシウム標準液(Ca:1 mg/mL),

亜鉛標準液(Zn:1 mg/mL),鉛標準液(Pb:1 mg/mL)及び鉄標準液(Fe:1 mg/mL) L.4.4.1 a) 

3.1) に準じる。 

4) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL) 銅標準液(Cu:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確に

とり,硝酸(1+2)25 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。 

5) マグネシウム標準液(Mg:0.01 mg/mL) マグネシウム標準液(Mg:1 mg/mL)10 mLを全量フラ

スコ1 000 mLに正確にとり,塩酸(2+1)15 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。 

6) カルシウム標準液(Ca:0.01 mg/mL) カルシウム標準液(Ca:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 

mLに正確にとり,塩酸(2+1)15 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。 

7) 亜鉛標準液(Zn:0.01 mg/mL) 亜鉛標準液(Zn:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正

確にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。 

8) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) 鉛標準液(Pb:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確に

とり,硝酸(1+2)25 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。 

9) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 鉄標準液(Fe:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確に

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35 

K 8005:2016  

とり,硝酸(1+2)25 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) ピストン式ピペット L.4.4.1 b) 4) による。 

2) ICP発光分光分析装置 装置の構成は,JIS K 0116に規定するもの。 

c) 分析条件 分析条件は,次による。 

分析種の測定波長の例を,表L.4に示す。 

なお,別の分析条件でも同等の試験結果が得られることを確認した場合には,その条件を用いても

よい。 

表L.4−分析種の測定波長の例 

単位 nm 

分析種 

測定波長 

銅(Cu) 

327.395 

マグネシウム(Mg) 

279.553 

カルシウム(Ca) 

317.933 

亜鉛(Zn) 

213.857 

鉛(Pb) 

220.353 

鉄(Fe) 

238.204 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料5 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,硝酸(1+2)5 mL及び水を加

えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(S液)。S液20 mLを全量フラスコ100 mLに正確にと

り,硝酸(1+2)5 mL及び水を加え,水を標線まで加えて混合する(X液)。 

2) 検量線溶液の調製は,S液20 mL(試料量1 g)を3個の全量フラスコ100 mLそれぞれに正確にと

り,硝酸(1+2)5 mL及び水20 mLを加え,ピストン式ピペットで表L.5に示す各標準液の体積を

3段階はかりとり,水を標線まで加えて混合する(それぞれ,Y1液,Y2液及びY3液とする。)。 

表L.5−採取する分析種の標準液の体積 

標準液 

mg/mL 

採取量 μL 

Y1 

Y2 

Y3 

銅標準液(Cu) 

0.01 

 50 

100 

150 

マグネシウム標準液(Mg) 

0.01 

 50 

100 

150 

カルシウム標準液(Ca) 

0.01 

250 

500 

750 

亜鉛標準液(Zn) 

0.01 

 50 

100 

150 

鉛標準液(Pb) 

0.01 

 50 

100 

150 

鉄標準液(Fe) 

0.01 

 50 

100 

150 

3) 空試験溶液の調製は,全量フラスコ100 mLに硝酸(1+2)5 mLを入れ,水を標線まで加えて混合

する(Z液)。 

4) ICP発光分光分析装置の一般事項は,JIS K 0116の箇条4(ICP発光分光分析)による。 

5) ICP発光分光分析装置は,高周波プラズマを点灯するなどによって,発光強度を測定できる状態に

する。 

36 

K 8005:2016  

  

6) 同一分析種ごとに表L.4の波長を中心に複数波長を選択し,Y1液,Y2液及びY3液を用いて,関係

線を作成し,関係線のy切片が低く,感度及び直線性が良好な波長を選択する。この条件を満たせ

ない場合,分析結果に対する影響(定量限界,再現精度)を考慮して選択する。 

7) Z液,X液,Y1液,Y2液及びY3液をアルゴンプラズマ中に噴霧し,分析種の発光強度を測定する。 

e) 計算 JIS K 0116の4.7.3のb)(標準添加法)によって,分析種の含有率を計算する。 

f) 

判定 d) によって操作し,e) によって計算し,次に適合するとき,“銅(Cu):1 mg/kg以下(規格値),

マグネシウム(Mg):1 mg/kg以下(規格値),カルシウム(Ca):5 mg/kg以下(規格値),亜鉛(Zn):

1 mg/kg以下(規格値),鉛(Pb):1 mg/kg以下(規格値),鉄(Fe):1 mg/kg以下(規格値)”とする。 

計算して得られた含有率が,規格値を満足している。 

L.4.5.2 第2法 ICP発光分光分析法(強度比法) 

銅(Cu),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),亜鉛(Zn),鉛(Pb)及び鉄(Fe)のICP発光分光

分析法(強度比法)は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 塩酸(2+1) L.4.5.1 a) 1) による。 

2) 硝酸(1+2) L.4.5.1 a) 2) による。 

3) 銅標準液(Cu:1 mg/mL),マグネシウム標準液(Mg:1 mg/mL),カルシウム標準液(Ca:1 mg/mL),

亜鉛標準液(Zn:1 mg/mL),鉛標準液(Pb:1 mg/mL)及び鉄標準液(Fe:1 mg/mL) L.4.4.1 a) 

3.1) に準じる。 

4) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL) L.4.5.1 a) 4) による。 

5) マグネシウム標準液(Mg:0.01 mg/mL) L.4.5.1 a) 5) による。 

6) カルシウム標準液(Ca:0.01 mg/mL) L.4.5.1 a) 6) による。 

7) 亜鉛標準液(Zn:0.01 mg/mL) L.4.5.1 a) 7) による。 

8) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) L.4.5.1 a) 8) による。 

9) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) L.4.5.1 a) 9) による。 

10) イットリウム標準液(Y:1 mg/mL) 次のいずれかを用いる。 

10.1) 硝酸イットリウム(III)六水和物(質量分率99.9 %以上)4.31 gを全量フラスコ1 000 mLにはか

りとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。 

10.2) 酸化イットリウム(III)(質量分率99.99 %以上)1.27 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,JIS 

K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)75 mLを加えて,熱板(ホットプレート)

上で加熱し溶解させ,全量フラスコ1 000 mLに移し,ビーカー200 mLなどを洗い,洗液を全量

フラスコ1 000 mLに加えた後,水を標線まで加えて混合する。 

注記 イットリウム標準液(Y:1 mg/mL)は,ICP発光分光分析法で発光強度を補正するため

の内標準である。市販のイットリウム標準液(Y:1 mg/mL)は,使用目的に合致した場

合には,市販のものを用いてもよい。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) ピストン式ピペット L.4.4.1 b) 4) による。 

2) ICP発光分光分析装置 L.4.5.1 b) 2) による。 

c) 分析条件 分析条件は,次による。 

分析種の測定波長の例を,表L.4に示す。ただし,内標準イットリウム(Y)の測定波長は371.029 

nmとし,適切であれば,他の波長も用いることができる。 

background image

37 

K 8005:2016  

なお,別の分析条件でも同等の試験結果が得られることを確認した場合には,その条件を用いても

よい。 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,硝酸(1+2)5 mL及び水を加

えて溶かし,イットリウム標準液(Y:1 mg/mL)0.1 mLを加えて,水を標線まで加えて混合する

(X液)。 

2) 検量線溶液の調製は,4個の全量フラスコ100 mLを準備する。それぞれの全量フラスコに硝酸(1

+2)5 mLを加え,ピストン式ピペットを用いて,表L.6に示す各標準液の体積を4段階はかりと

り,イットリウム標準液(Y:1 mg/mL)0.1 mLを加えて,水を標線まで加えて混合する(それぞ

れ,Y10液,Y11液,Y12液及びY13液とする。)。 

表L.6−採取する分析種の標準液の体積 

標準液 

mg/mL 

採取量 μL 

Y10 

Y11 

Y12 

Y13 

銅標準液(Cu) 

0.01 

 50 

100 

150 

マグネシウム標準液(Mg) 

0.01 

 50 

100 

150 

カルシウム標準液(Ca) 

0.01 

250 

500 

750 

亜鉛標準液(Zn) 

0.01 

 50 

100 

150 

鉛標準液(Pb) 

0.01 

 50 

100 

150 

鉄標準液(Fe) 

0.01 

 50 

100 

150 

3) ICP発光分光分析装置の一般事項は,JIS K 0116の箇条4(ICP発光分光分析)による。 

4) ICP発光分光分析装置は,高周波プラズマを点灯するなどによって,発光強度を測定できる状態に

する。 

5) 同一分析種ごとに表L.4の波長を中心に複数波長を選択し,Y10液,Y11液,Y12液及びY13液を用い

て,関係線を作成し,関係線のy切片が低く,感度及び直線性が良好な波長を選択する。この条件

を満たせない場合,分析結果に対する影響(定量限界,再現精度)を考慮して選択する。 

6) X液,Y10液,Y11液,Y12液及びY13液をアルゴンプラズマ中に噴霧し,各分析種の発光強度を測定

する。 

e) 計算 JIS K 0116の4.7.3のa) 2)[強度比法(内標準法)]によって,各分析種の含有率を計算する。 

f) 

判定 d) によって操作し,e) によって計算し,次に適合するとき,“銅(Cu):1 mg/kg以下(規格値),

マグネシウム(Mg):1 mg/kg以下(規格値),カルシウム(Ca):5 mg/kg以下(規格値),亜鉛(Zn):

1 mg/kg以下(規格値),鉛(Pb):1 mg/kg以下(規格値),鉄(Fe):1 mg/kg以下(規格値)”とする。 

計算して得られた含有率が,規格値を満足している。 

L.4.6 ひ素(As) 

ひ素(As)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 亜鉛(ひ素分析用) JIS K 8012に規定する粒径150 μm〜1 400 μmのもの。 

2) ピリジン JIS K 8777に規定するもの。 

3) 塩化すず(II)溶液(ジエチルジチオカルバミド酸銀法用)[塩化すず(II)溶液(AgDDTC法用)] 

JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをJIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)に

38 

K 8005:2016  

  

溶かし,塩酸(ひ素分析用)で100 mLにする。小粒のJIS K 8580に規定する粒状のすず2,3個を

加えて,褐色ガラス製瓶に保存する。使用時に水で10倍にうすめる。 

4) 塩酸(ひ素分析用)(1+1) JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積1とを

混合する。 

5) 塩酸(ひ素分析用)(1+3)(必要な場合に用いる。) JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)の

体積1と水の体積3とを混合する。 

6) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀・ピリジン溶液(AgDDTC・ピリジン溶液) JIS K 9512に規

定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀0.5 gをピリジンに溶かし,ピリジンで100 mLにする。

褐色ガラス製瓶に保存する。 

7) 酢酸鉛(II)溶液(100 g/L) JIS K 8374に規定する酢酸鉛(II)三水和物11.6 gを水に溶かして100 

mLにした後,JIS K 8355に規定する酢酸0.1 mLを加える。 

8) よう化カリウム溶液(200 g/L) JIS K 8913に規定するよう化カリウム20 gを水に溶かして100 mL

にする。使用時に調製する。 

9) ひ素標準液(As:1 mg/mL) L.4.4.1 a) 3.1) に準じる。 

10) ひ素標準液(As:0.001 mg/mL) ひ素標準液(As:1 mg/mL)25 mLを全量フラスコ250 mLに正

確にとり,水を標線まで加えて混合する。その10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水

を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの。 

2) ひ素試験装置 例を図L.2に示す。 

3) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを水素化ひ素発生瓶100 mLにはかりとり,水で溶かし,水20 mLを

加える。 

2) 比較溶液の調製は,ひ素標準液(As:0.001 mg/mL)1.0 mLを水素化ひ素発生瓶100 mLにとり,水

20 mLを加える。 

3) 空試験溶液の調製は,水20 mLを水素化ひ素発生瓶100 mLにとる(吸光度を測定する場合に調製

する。)。 

4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に,塩酸(ひ素分析用)(1+1)5 mLを加え,水で40 mLにす

る。これらによう化カリウム溶液(200 g/L)15 mL及び塩化すず(II)溶液(AgDDTC法用)5 mL

を加えて振り混ぜ,10分間放置する。次に,亜鉛(ひ素分析用)3 gを加え,直ちに水素化ひ素発

生瓶100 mLと導管B(あらかじめ水素化ひ素吸収管CにAgDDTC・ピリジン溶液5 mLを入れ,

導管Bと水素化ひ素吸収管Cとを連結しておく。)とを連結して約25 ℃の水中で約1時間放置し

た後,水素化ひ素吸収管Cを離し,ピリジンを5 mLの標線まで加える。 

5) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を水素化ひ素吸収管Cの上方

又は側面から観察して赤を比較する。 

なお,必要があれば吸収セルを用い,分光光度計で波長519 nmにおける吸光度を,空試験溶液か

らのAgDDTC・ピリジン溶液を対照液として,JIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)に

よって測定する。 

d) 判定 c) によって操作し,次の1) 又は2) に適合するとき,“ひ素(As):質量分率1 mg/kg以下(規

background image

39 

K 8005:2016  

格値)”とする。 

1) 試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の赤より濃くない。 

2) 試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。 

 
 
 
 

A: 

B: 
C: 

D: 

E: 

F: 

G: 

 
 
 
 
水素化ひ素発生瓶100 mL 
導管 
水素化ひ素吸収管 
ゴム栓又はすり合わせ 
酢酸鉛(II)溶液(100 g/L)で
湿したガラスウール 
40 mLの標線 
5 mLの標線 

図L.2−ひ素試験装置の例 

L.5 

容器 

容器は,気密容器とする。