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K 2265-3:2007  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 2 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 試験の原理 ······················································································································ 3 

5 試薬······························································································································· 3 

6 試験器···························································································································· 3 

7 試験器の準備 ··················································································································· 4 

8 試料の採取方法及び調製方法 ······························································································ 4 

9 試料の取扱い ··················································································································· 5 

10 試験の手順 ···················································································································· 5 

11 計算方法 ······················································································································· 6 

12 結果の表し方 ················································································································· 7 

13 精度 ····························································································································· 7 

14 試験結果の報告 ·············································································································· 8 

附属書A(規定)試験器の検証 ······························································································· 9 

附属書B(規定)ペンスキーマルテンス密閉法引火点試験器 ························································ 12 

附属書C(参考)温度計検査ゲージ ························································································ 19 

附属書JA(参考)試験方法の種類 ·························································································· 20 

附属書JB(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································ 21 

K 2265-3:2007  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,石油連盟(PAJ)から,工業標準原案を具して

日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した

日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。 

JIS K 2265の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS K 2265-1  第1部:タグ密閉法 

JIS K 2265-2  第2部:迅速平衡密閉法 

JIS K 2265-3  第3部:ペンスキーマルテンス密閉法 

JIS K 2265-4  第4部:クリーブランド開放法 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 2265-3:2007 

引火点の求め方− 

第3部:ペンスキーマルテンス密閉法 

Determination of flash point−Part 3 : Pensky-Martens closed cup method 

序文 

この規格は,2002年に第3版として発行されたISO 2719:2002,Determination of flash point−

Pensky-Martens closed cup methodを基に作成した日本工業規格であるが,国内の実情に合わせるため,技術

的内容を変更して作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JBに示す。 

この規格は,危険な試薬,操作及び試験器を用いることがあるが,安全な使用法をすべてに規定してい

るわけではないので,この試験方法の使用者は,試験に先立って,適切な安全上及び衛生上の禁止事項を

決めておかなければならない。 

適用範囲 

この規格は,ペンスキーマルテンス密閉法引火点試験器を用いて,引火点が40 ℃を超える可燃性液体,

固体懸濁物質を含む液体,試験条件において表面に薄膜ができやすい液体及びその他の液体の引火点を求

めるA,Bの二つの方法について規定する。 

A法は,表面に薄膜ができにくい液体塗料及びワニス,未使用潤滑油並びにB法を適用しない他の石油

製品の引火点測定に適用する。 

B法は,残さ(渣)燃料油,カットバックアスファルト,使用潤滑油,表面に薄膜ができやすい液体,

固体懸濁物質を含む液体及びポリマー溶液,接着剤のような高粘度物質などの引火点測定に適用する。 

a) この方法で技術的には40 ℃を超える引火点の灯油も測定できるが,灯油はJIS K 2265-1によって試

験するのが標準的な方法である。同様に未使用潤滑油は一般的にはJIS K 2265-4によって試験する。 

b) 残さ(渣)燃料油は,A法によってもよい。ただし,疑義が生じた場合は,B法による。 

c) 使用潤滑油は,A法によって試験してもよい。ただし,これらの試験の精度データは,B法について

だけ有効である。 

d) 水性塗料は,JIS K 2265-2を使って試験できる。また,微量の高揮発性物質を含む液体は,JIS K 2265-2

又はISO 1523を使って試験できる。 

e) 精度データは,箇条13に示す引火点範囲だけに適用できる。 

注記1 この規格群には,附属書JAに示す試験方法がある。 

注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 2719:2002,Determination of flash point−Pensky-Martens closed cup method (MOD) 

なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していることを

K 2265-3:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。 

これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 7410 石油類試験用ガラス製温度計 

JIS K 2251 原油及び石油製品−試料採取方法 

注記 対応国際規格:ISO 3170 Petroleum liquids−Manual sampling (MOD) 

JIS K 2265-1 引火点の求め方−第1部:タグ密閉法 

JIS K 2265-2 引火点の求め方−第2部:迅速平衡密閉法 

注記 対応国際規格:ISO 3679 Determination of flash point−Rapid equilibrium closed cup method 

(MOD) 

JIS K 2265-4 引火点の求め方−第4部:クリーブランド開放法 

注記 対応国際規格:ISO 2592 Determination of flash and fire points−Cleveland open cup method 

(MOD) 

JIS K 5600-1-2 塗料一般試験方法−第1部:通則−第2節:サンプリング 

注記 対応国際規格:ISO 15528 Paints, varnishes and raw materials for paints and varnishes−Sampling 

(IDT) 

JIS K 5600-1-3 塗料一般試験方法−第1部:通則−第3節:試験用試料の検分及び調整 

注記 対応国際規格:ISO 1513 Paints and varnishes−Examination and preparation of samples for 

testing (IDT) 

JIS Q 0033 認証標準物質の使い方 

注記 対応国際規格:ISO Guide 33 Uses of certified reference materials (IDT) 

JIS Q 0034 標準物質生産者の能力に関する一般要求事項 

注記 対応国際規格:ISO Guide 34 General requirements for the competence of reference material 

producers (IDT) 

JIS Q 0035 標準物質の認証−一般的及び統計学的原則 

注記 対応国際規格:ISO Guide 35 Reference materials−General and statistical principles for 

certification (IDT) 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

JIS Z 8402-4 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第4部:標準測定方法の真度を求め

るための基本的方法 

JIS Z 8402-6 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第6部:精確さに関する値の実用的

な使い方 

ISO 1523 Determination of flash point−Closed cup equilibrium method 

ISO 3171 Petroleum liquids−Automatic pipeline sampling 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

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3.1   

引火点(flash point) 

規定条件下で引火源を試料蒸気に近づけたとき,試料蒸気がせん(閃)光を発して瞬間的に燃焼し,か

つ,その炎が液面上を伝ぱ(播)する試料の最低温度を101.3 kPaの値に気圧補正した温度。 

試験の原理 

試料カップに規定量の試料を満たし,継続的にかき混ぜながら規定の一定速度で昇温するように加熱す

る。規定の温度間隔で,かき混ぜを止めると同時に引火源をカップふたの開口部にのぞかせ,試料の蒸気

に引火し,かつ,その炎が液面上を伝ぱ(播)する試料の最低温度を,室内の気圧における測定引火点と

する。この温度は,数式を用いて標準気圧における値に補正し,引火点とする。 

試薬 

5.1 

洗浄用溶剤 

試料カップ及びカップふたから,前に試験した試料のこん(痕)跡を除去するのに適切な溶剤。 

注記 溶剤は,前に試験した試料の種類及び残さ(渣)物のこびりつき具合によって選択する。試料

のこん(痕)跡を除去するには,低沸点の芳香族溶剤(ベンゼンを含まない。)を用いるとよい。

また,ガム質の付着物を除去するためには,トルエン―アセトン―メタノール(TAM)のよう

な混合溶剤が有効なことがある。 

5.2 

検証用液体 

附属書Aに規定する一連の認証標準物質(certified reference material:CRM。以下,CRMという。)又は

二次作業標準物質(secondary working standard:SWS。以下,SWSという。)。 

試験器 

6.1 

引火点試験器 

附属書Bに規定するペンスキーマルテンス密閉法引火点試験器。 

自動試験器を用いる場合は,得られる結果がこの規格の精度に示す許容差内であり,試料カップ,カッ

プふたの寸法及び機構が附属書Bの規定と一致し,箇条10に規定する測定の手順が守られなければなら

ない。自動試験器の調整及び取扱いは,すべて製造業者の取扱説明書に従わなければならない。 

電気的引火源を用いると,ある状況下ではガス試験炎を用いたときと異なる結果が得られる場合がある。

また,電気的引火源は,ばらつきが大きい結果を与える場合がある。 

結果に疑義が生じた場合は,ガス試験炎を用いた手動試験器によって得られた結果を判定基準とする。 

6.2 

温度計 

JIS B 7410に規定する温度計番号30(PMF)又は31(PMF)のもの。 

予期引火点に基づいて最初に温度計の選択をする。 

なお,電気式の温度測定装置を用いる場合は,指示精度及び応答性が同じでなければならない。 

6.3 

気圧計 

0.1 kPaのけたまで読めるもの。 

測候所,空港などで使用されるような,あらかじめ海面の読みに補正されている気圧計は用いてはなら

ない。 

なお,気圧計には,気圧の読みを自動的に0 ℃に補正するものがあるが,この補正は必要ない。 

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6.4 

加熱浴又は乾燥器 

試料を9.1.4で規定する温度±5 ℃に調節できるもの。 

必要なとき,試料を暖めるために使用する。乾燥器は,安全に配慮したものを用いる。 

試験器の準備 

7.1 

試験器の設置場所 

試験器は,風の影響のない場所の水平で振動のない台上に設置する。 

風の影響が避けられないときは,試験器の背面と両側面とを適切な寸法の風よけで囲む。 

有毒な蒸気を発生する試料を試験するときは,個別に空気の流れを調節できるドラフトチャンバの中に

試験器を置き,試験中空気が試料カップの周辺を流れることなく蒸気を吸引できるように調節する。 

7.2 

試料カップ及び附属品の洗浄 

適切な溶剤を用いて試料カップ,カップふた及びその附属品から,前の試験で残っているガム質のこん

(痕)跡,残さ(渣)物などを除去する。用いた溶剤を完全に除去するため,清浄な空気を吹き付けて乾

燥する。試験器の手入れ及び維持については,製造業者の取扱説明書に従う。 

7.3 

試験器の組立 

試料カップ,カップふた及び他の部品に損傷及び付着物がないことを確かめる。試験器を附属書Bの規

定に従って組み立てる。 

7.4 

試験器の検証 

試験器の検証は,次による。 

a) 少なくとも年1回はCRMを用いてA法又はB法で試験を行い,試験器が正常に機能することを検証

する。得られた結果とCRMの認証値との差の絶対値は,RをこのCRM認証時の室間再現許容差とし

た場合に,R/2以下でなくてはならない。 

試験器の検証は,SWSを用いて定期的に行うことが望ましい。 

CRM又はSWSを用いて行う試験器の検証手順及びSWSの調製手順は,附属書Aによる。 

b) 検証によって得られた数値は,偏りを表すために用いてはならない。また,この後引き続きこの試験

器を用いて測定した引火点を,補正するために用いてはならない。 

試料の採取方法及び調製方法 

8.1 

試料は,JIS K 2251に規定する一次試料の採取方法及び二次試料の調製方法によるか,JIS K  

5600-1-2又はそれに準じた方法によって採取及び調製する。自動サンプリングの場合は,ISO 3171によっ

てもよい。 

8.2 

試料は,採取する試料に合った材料の容器に,試験を行うために必要な量をはかり,密閉する。 

なお,安全確保と蒸気の損失を防ぐため,容器の容量の85〜95 %になるように試料を入れる。ただし,

プラスチック容器(ポリエチレン製,ポリプロピレン製など)は,試料中の揮発性物質が容器の壁面を透

過して揮散する可能性があるので避ける。 

2回以上の試験を行う場合は,小分け試料の量が9.1.1の条件を適用できるように選ぶとよい。 

8.3 

試料は,蒸発損失及び圧力増加を極力少なくするような条件下で保存する。30 ℃を超える温度で試

料を保存することは,避けなければならない。 

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試料の取扱い 

9.1 

石油製品 

9.1.1 

試料の小分け 

試料の小分けは,予期引火点より少なくとも28 ℃以上低い温度で行う。元の試料を小分けしたあと,

長く保存してから試験を行う場合,小分け試料容器は,その容量の少なくとも50 %以上を試料で満たす。 

注記 試料量が試料容器の容量の50 %未満になると,試験結果に影響を及ぼす可能性がある。 

9.1.2 

不溶解水分を含んだ試料 

不溶解水分を含んだ試料は,かき混ぜる前に小分け試料から傾しゃ(瀉)法で不溶解水分を取り除く。 

引火点の試験結果は,水分の影響を受けることがある。ある種の燃料油及び潤滑油は,必ずしも傾しゃ

(瀉)法で不溶解水分を除去できるとは限らない。このような場合は,かき混ぜる前に塩化カルシウムな

どの適切な脱水剤を使用するか,定性ろ(濾)紙又は乾燥脱脂綿を通すろ(濾)過などによって物理的に

脱水する。それができない試料は,JIS K 2265-2で試験してもよい。 

注記1 多量の水分を含んだ残さ(渣)燃料油を試験する場合は,加熱中に試料が泡立ったり,試料

カップから試料が吹きこぼれたりする恐れがある。 

注記2 試料中にアルコールなどの水溶性可燃物質が含まれている場合に,水分の除去操作を行うと,

水分と共に水溶性可燃物質も除去されるので信頼性のある結果が得られない。 

9.1.3 

常温で液体の試料 

常温で液体の試料は,試料を試験器に移す前に,揮発成分を極力逃がさないように注意して,ゆっくり

手で振ってかき混ぜる。 

9.1.4 

常温で半固体又は固体の試料 

常温で半固体又は固体の試料は,試料容器に入った試料を加熱浴又は乾燥器に入れて,30 ℃±5 ℃,又

は予期引火点より28 ℃以上低い温度のいずれか高い温度で30分間予熱する。30分経過しても完全に液化

しない場合は,必要に応じて更に30分間予熱時間を延ばす。ただし,揮発成分を損失する恐れがあるため,

加熱のし過ぎは避ける。その後,ゆっくりかき混ぜる。 

9.2 

塗料及びワニス 

試料は,JIS K 5600-1-3に従って調製する。 

10 試験の手順 

10.1 A法の手順 

A法の手順は,次による。 

a) 試料を,試料カップの標線まで満たす。この試料カップにカップふたを取り付け,それらを加熱浴に

入れる。試料カップの位置決め及びロックが適切かどうか確認した後,温度計をカップふたに挿入す

る。ガス試験炎の場合は,試験炎ノズルに点火し,炎の直径をカップふたの標準球に合わせて3〜4 mm

に調節する。電熱式引火源の場合は,引火源のスイッチを入れる。ガス加熱器に点火するか,又は電

気ヒータのスイッチを入れて,温度計の読みが毎分5〜6 ℃の割合で上がるように加熱を調節し,以

後試験期間中,この上昇割合を保つ。試料は,毎分90〜120回転で下向きにかき混ぜる。 

b) 予期引火点が110 ℃以下の試料の場合は,試料温度が予期引火点の23 ℃±5 ℃低い温度に達したと

き,初めて引火源を試料カップにのぞかせ,以後1 ℃ごとにこれを繰り返す。のぞかせ動作は,かき

混ぜを中断し,カップふたについているシャッターの開閉と連動して引火源をのぞかせる機構を操作

して,引火源をカップの中の蒸気相に0.5秒以内でのぞかせ,1秒間その位置に保ってから素早く元に

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戻す。 

c) 予期引火点が110 ℃を超える試料の場合は,試料温度が予期引火点の23 ℃±5 ℃低い温度に達した

とき,初めて引火源を試料カップにのぞかせ,以後2 ℃ごとにこれを繰り返す。のぞかせ動作は,か

き混ぜを中断し,カップふたについているシャッターの開閉と連動して引火源をのぞかせる機構を操

作して,引火源をカップの中の蒸気相に0.5秒以内でのぞかせ,1秒間その位置に保ってから素早く元

に戻す。 

d) 予期引火点が未知の試料の場合は,適切と思われる開始温度から予備試験を開始する。開始温度から

5 ℃上昇したら最初の引火源のぞかせを行い,以後は10.1 b)又は10.1 c)のいずれかの手順に従う。 

e) 引火源をのぞかせて,試料カップの内部に明らかな引火を引き起こしたときの試料温度を,測定引火

点として記録する。引火点近くの温度になって引火源の周りに青白い輪が現れることがあるが,これ

を引火と見誤ってはならない。 

f) 

引火点が測定された温度と,最初に引火源をのぞかせたときの温度の差が,18 ℃未満又は28 ℃を超

える場合は,その結果は無効とする。新しい試料を用い,引火源のぞかせ開始温度を変更して,のぞ

かせ開始温度から18〜28 ℃の温度範囲で正しい引火点が得られるまで試験をやり直す。 

g) 気圧計を用いて,試験時における試験器周辺の気圧を記録する。 

10.2 B法の手順 

B法の手順は,次による。 

a) 試料を,試料カップの標線まで満たす。この試料カップにカップふたを取り付け,それらを加熱浴に

入れる。試料カップの位置決め及びロックが適切かどうか確認した後,温度計をカップふたに挿入す

る。ガス試験炎の場合は,試験炎ノズルに点火し,炎の直径をカップふたの標準球に合わせて3〜4 mm

に調節する。電熱式引火源の場合は,引火源のスイッチを入れる。ガス加熱器に点火するか,又は電

気ヒータのスイッチを入れて,温度計の読みが毎分1.0〜1.5 ℃の割合で上がるように加熱を調節し,

以後試験期間中,この上昇割合を保つ。試料は,毎分250回転±10回転で下向きにかき混ぜる。 

b) 以後,10.1 b)〜g)に従って試験を進める。 

11 計算方法 

11.1 気圧読取値の変換 

気圧の読取値がキロパスカル(kPa)以外の場合,次の式のいずれかを用いてキロパスカルに変換する。 

a) ヘクトパスカル(hPa)単位の読取値×0.1=kPa 

b) ミリバール(mbar)単位の読取値×0.1=kPa 

c) 水銀柱ミリメートル(mmHg)単位の読取値×0.133 3=kPa 

11.2 測定引火点の標準気圧への補正 

引火点は,次の数式を用いて,101.3 kPaの標準気圧に補正して求める。 

)

3.

101

(

25

.0

P

T

T

O

C

+

=

ここに, 

TC: 引火点(℃) 

TO: 測定引火点(℃) 

P: 測定引火点試験時の室内の気圧(kPa) 

注記 この式が厳密に成立するのは,気圧が98.0〜104.7 kPaの範囲である。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

12 結果の表し方 

標準気圧に補正した引火点(℃)を,JIS Z 8401の規定によって丸めの幅0.5に丸める。 

13 精度 

この試験方法によって得られた試験結果の許容差(確率0.95)は,次による。試験結果が許容差を外れ

た場合は,JIS Z 8402-6の規定によって処理する。 

a) 室内併行精度 同一試験室において,同一人が同一試験器で引き続き短時間に同一試料を2回試験し

たとき,試験結果の差の許容差は,表1及び表2による。 

b) 室間再現精度 異なる試験室において,別人が別の試験器で同一試料をそれぞれ1回ずつ試験して求

めた2個の試験結果の差の許容差は,表3及び表4による。 

表1−A法の室内併行精度 

単位 ℃ 

試料 

引火点の範囲 

室内併行許容差 

塗料及びワニス 

− 

1.5 

留出油,未使用潤滑油,A重油及び残さ(渣)燃
料油 

40〜250 

0.029X 

注記 Xは試験結果の平均値である。 

表2−B法の室内併行精度 

単位 ℃ 

試料 

引火点の範囲 

室内併行許容差 

残さ(渣)燃料油及びカットバックアスファルト 

40〜110 

2.0 

使用潤滑油 

170〜210 

表面に薄膜ができやすい液体,固体懸濁物質を含
む液体及び高粘度物質 

− 

5.0 

表3−A法の室間再現精度 

単位 ℃ 

試料 

引火点の範囲 

室内併行許容差 

塗料及びワニス 

− 

− 

留出油,未使用潤滑油,A重油及び残さ(渣)燃
料油 

40〜250 

0.071X 

注記 Xは試験結果の平均値である。 

表4−B法の室間再現精度 

単位 ℃ 

試料 

引火点の範囲 

室内併行許容差 

残さ(渣)燃料油及びカットバックアスファルト 

40〜110 

6.0 

使用潤滑油 

170〜210 

16 

表面に薄膜ができやすい液体,固体懸濁物質を含
む液体及び高粘度物質 

− 

10.0 

K 2265-3:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

14 試験結果の報告 

試験結果の報告には,次の事項を記述する。 

a) 試料名,採取場所及び採取年月日 

b) 日本工業規格番号:JIS K 2265-3 

c) A法とB法の別 

d) 箇条12によって得られた結果 

e) 特記事項 

K 2265-3:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(規定) 

試験器の検証 

A.1 一般事項 

この附属書は,二次作業標準物質(SWS)を調製する手順,及び認証標準物質(CRM)とSWSとを用

いて試験器の検証を行う手順について規定する。 

試験器(手動又は自動)の性能は,JIS Q 0034及びJIS Q 0035に従って調製されたCRM,又はA.2.2

に規定した手順に従い調製されたSWSを用いて,定期的に検証しなければならない。また,試験器の性

能は,JIS Q 0033及びJIS Z 8402-4に従って評価しなければならない。試験結果の評価について,結果が

正しいかどうかの判定は,95 %信頼限界を基礎にする。 

A.2 検証の標準物質 

A.2.1 認証標準物質(CRM) 

CRMは,安定な単一の炭化水素又は安定な物質から構成されている。CRMの認証値は,JIS Q 0034及

びJIS Q 0035に従ってこの試験方法を用いた照合試験を行い,A法及びB法それぞれにおいて決定される。

また,この認証値は,ロットごとに決定され,認証時の室内併行許容差(r)及び室間再現許容差(R)と

共に成績書に記載される。 

注記 CRMは,社団法人石油学会から供給されている。 

A.2.2 二次作業標準物質(SWS) 

SWSは,安定した石油製品,単一の炭化水素又は他の安定した物質から構成されている。SWSの引火

点は,次のいずれかの方法で決定される。 

a) 代表的な候補試料を,事前にCRMによって検証した試験器を用いて3回以上試験する。試験結果を

統計的に分析し,異常値を棄却した後,結果の平均値を計算し,引火点を決定する。 

b) 代表的な候補試料を,事前にCRMによって検証した試験器を用いて3か所以上の試験機関によって,

この試験方法による各2回ずつの照合試験を実施する。照合試験のデータを解析し,計算して引火点

を決定する。 

SWSは,当初の品質を保てるような容器に入れ,直射日光を避け,10 ℃を超えない温度で保存する。 

A.3 検証の手順 

検証の手順は,次による。 

a) 試験器で測定する引火点範囲内のCRM又はSWSを選択する。A法によるCRMの代表値を,表A.1

に示す。表中のデカン及びヘキサデカンは,主成分99.3 %以上,かつ軽質不純分0.4 %以下の純度の

ものとする。CRMの認証値は,添付する成績書の値による。 

できるだけ広い範囲を検証するため,2種類のCRM又はSWSを用いるのが望ましい。さらに,CRM

又はSWSそれぞれについて繰り返し試験を行うのが望ましい。 

b) 新しい試験器に対しては,最初の使用に先立ち,使用中の試験器に対しては,年1回以上,CRMを用

いて,箇条10に従った試験で検証を行う。 

c) 中間の検証には,SWSを用いて,箇条10に従った試験で検証を行う。 

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10 

K 2265-3:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) 11.2に従って,試験結果を標準気圧における引火点に補正する。補正した値を丸めの幅0.1に丸める。 

表A.1−ペンスキーマルテンス密閉法引火点試験器用CRMの代表値(A法) 

単位 ℃ 

炭化水素名 

引火点 

デカン 

53 

ヘキサデカン 

134 

C10テトラマー 

225 

A.4 試験結果の評価 

試験結果の評価は,次による。 

a) 補正した試験結果を,CRMの認証値又はSWSの決定値と比較する。 

1)及び2)で規定する関係式は,次のことを前提にしたものである。 

− 室間再現精度は,JIS Z 8402-6に従って推定する。 

− CRMの認証値又はSWSの決定値は,JIS Q 0035に示す手順によって得る。 

− 不確かさは,試験方法の標準偏差に比べて小さく,したがって試験方法の室間再現許容差Rに比べ

ても小さい。 

1) 単一の試験 CRM又はSWSに対する単一の試験の場合,単一の試験結果とCRMの認証値又はSWS

の決定値との差は,次の許容範囲になければならない。 

2

R

x

−μ

ここに, x: 試験結果 

μ: CRMの認証値又はSWSの決定値 

R: CRM認証時の室間再現許容差 

2) 多数回の試験 CRM又はSWSに対して同一人がn回試験した場合,n個の試験結果の平均値とCRM

の認証値又はSWSの決定値との差は,次の許容範囲になければならない。 

2

1R

x

−μ

ここに, 

x: 試験結果の平均値 

μ: CRMの認証値又はSWSの決定値 

R1: 

n

r

R

1

1

2

2

に等しい 

R: CRM認証時の室間再現許容差 

r: CRM認証時の室内併行許容差 

n: CRM又はSWSに対する試験回数 

b) 試験結果が許容値に適合した場合は,その事実を記録する。 

c) SWSを検証に用いて,試験結果が許容値に適合しない場合は,CRMを用いて試験を繰り返す。その

結果が許容値に適合した場合は,その事実を記録し,SWSは廃棄する。 

d) CRMの試験結果が許容値に適合しない場合は,試験器を調べ,試験器が仕様要求値に適合しているか

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

検証する。明確な不適合が見つからないときは,別のCRMを用いて更に検証を行う。その試験結果

が許容値に適合した場合は,その事実を記録する。許容値に適合しない場合は,試験器の点検を製造

業者に依頼して詳しい調査を行う。CRMの認証値を用いて試験器の補正を行ってはならない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(規定) 

ペンスキーマルテンス密閉法引火点試験器 

B.1 

一般事項  

ペンスキーマルテンス密閉法引火点試験器は,次に規定するB.2〜B.5からなる。 

ガス加熱器を用いる代表的な装置を,図B.1に示す。 

B.2 

試料カップ  

図B.2に示す形状・寸法で,フランジ付きの黄銅又は同等の熱伝導率をもつ耐腐食金属製のもの。 

フランジは,試料カップを加熱浴に位置決め固定できるようにする。また,フランジには,試料カップ

が空のときも転倒しないような取っ手を取り付ける。 

B.3 

カップふた  

試料カップと密着させることができ,試験炎を試料カップにのぞかせたとき,通気孔及び試験炎のぞき

孔が開き,試験炎を規定の位置に正しくのぞかせることができる開閉器,試験炎のぞかせ機構などを取り

付けたもので,ふた,開閉器,試験炎のぞかせ機構などは,次による。 

B.3.1 ふた 

図B.3に示す形状・寸法で,黄銅又は同等の熱伝導率をもつ耐腐食金属製のもの。 

周囲には,試料カップのフランジ近くまで伸びる下向きの縁をもつ。この縁と試料カップの上部外側と

のすき(隙)間は,0.18 mmを超えてはならない。縁には,カップふたと試料カップとを組み合わせる位

置決め機構及び/又はロック機構を備える。ふたには,図B.3に示す試験炎のぞき孔(A),その両側に2

個の通気孔(B及びC)をあける。このほか,温度計保持割管(D)及びかき混ぜ機軸受(E)を取り付け

る。試料カップの上端は,全円周にわたってふたの内面に密着しなければならない。 

試験炎の大きさ(3〜4 mm)の目安のために,適切な材質の直径4 mmの標準球を,カップふたの見や

すい位置に取り付ける。 

B.3.2 開閉器 

図B.4に示す形状・寸法で,黄銅製の可動板及びばね付き取っ手からなるもの。 

この可動板は,かき混ぜ機軸受(図B.3)を中心として,ふたの上面で回転する。取っ手をストッパに

当たるまで回したとき,ふたの3個の孔A,B及びC(図B.3)が同時に全開し,取っ手を放したとき,こ

れらの孔が完全に閉じるような形状及び機構になっていなければならない。 

B.3.3 試験炎のぞかせ機構 

図B.5に示す形状・寸法で,先端に細い孔が開いた試験炎ノズルをもち,ステンレス鋼又は他の適切な

材質のもの。 

試験炎のぞかせ機構は,開閉器の取っ手を回し可動板を駆動させたとき,試験炎のぞき孔Aが開くと同

時に試験炎ノズル先端を押し下げる構造とする。このときの試験炎ノズル先端の中心は,試験炎のぞき孔

Aの中心線上でAの外縁から2.0〜2.8 mm内側に位置し,ふたの上面及び開閉器の下面の両面間の深さに

ならなければならない。 

試験炎ノズル先端の内径は,燃料としてLPガスを使用する場合は約1.5 mmとし,その他の場合は0.7

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

〜0.8 mmとする。 

なお,試験炎が消えたときは,案内炎によって自動的に再点火できる構造でなければならない。 

B.3.4 試験炎自動再点火用案内炎 

試験中に試験炎が消えてしまった場合に,自動的に再点火させるもの。 

案内炎ノズルは図B.1に示すような細いガス管で,開閉器が“閉”のとき案内炎ノズルと試験炎ノズル

の先端同士が近くになければならない。 

電熱式を用いる場合は,そのふく(輻)射熱によってカップふたが過熱しないようように注意する。 

B.3.5 かき混ぜ機 

図B.6に示す形状・寸法で,黄銅製の垂直なかき混ぜ機軸に,同じく黄銅製の2枚羽根のプロペラを上

下に2個取り付けたもの。 

下側のプロペラは,両端間約38 mm,羽根幅8 mm,羽根の角度は40〜50°とする。上側のプロペラは,

両端間が約19 mm,羽根幅8 mm,羽根の角度は40〜50°とする。2個のプロペラは,直径約3 mmのかき

混ぜ機軸の下端及びそれから41 mm上に,かつ上下のプロペラが直角に交わるように取り付ける。 

かき混ぜ機軸は,たわみ軸又は適切なベルトを介して電動機に接続し,試料を下方に押し下げる方向に

かき混ぜられるようにする。 

B.4 

加熱器  

試験器を組み立てたとき,試料カップを水平に保持できるものであり,図B.7に示す形状・寸法の空気

浴及びかぶと板は,次による。 

B.4.1 空気浴 

試料カップが円滑に入る円筒状の内面をもち,試料を均一に熱するために底部及び壁部の厚さが6.5 mm

以上で,ガス加熱式若しくは電熱加熱式の場合は鋳鉄製のもの,又は内部に電熱抵抗体を内蔵した構造の

もの。 

使用する温度のもとで変形することなく,長期間の使用に耐えなければならない。また,ガス加熱式の

場合は,燃焼排ガスが立ち上がって試料カップと接触しないように鋳鉄製の火返しを付ける。 

B.4.2 かぶと板 

黄銅製の釣鐘状のもの。 

3個のねじと直径9.5 mm以下のスペーサで,空気浴上面とのすき(隙)間が4.8 mm±0.2 mmとなるよ

うに空気浴に取り付ける。 

B.5 

温度計保持具及びアダプタ  

黄銅,ステンレス鋼などの金属製又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製で,温度計の幹の膨らみ

を利用して,試料カップに常に一定深さで挿入できるように保持するためのもの。 

ふたに取り付けた温度計保持割管Dに挿入するために,アダプタを取り付ける必要がある(図B.8)。 

アダプタを取り付けて温度計をカップふたに差し込んだとき,温度計下端がふたの下面から44.5 mm±

1.5 mmの深さにならなければならない(図B.6)。 

注記 ここで使用する温度計のうち温度計番号30(PMF)は,JIS K 2265-1にも共用されるが,タグ

密閉法のカップふたの温度計挿入管の内径は,アダプタなしで温度計保持具がすき(隙)間な

く挿入できる寸法になっている。 

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14 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図B.1−ペンスキーマルテンス密閉法引火点試験器(ガス加熱式の一例) 

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15 

K 2265-3:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

                                             単位 mm 

図B.2−試料カップ 

                                単位 mm 

図B.3−ふた 

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16 

K 2265-3:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

             単位 mm 

                        単位 mm 

図B.4−開閉器 

図B.5−試験炎のぞかせ機構 

                                       単位 mm 

図B.6−かき混ぜ機,試料カップ,カップふた 

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17 

K 2265-3:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

                             単位 mm 

図B.7−空気浴及びかぶと板 

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18 

K 2265-3:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

単位 mm 

アルミニウムパッキン(A) 

アルミニウムパッキン(B) 

締付けナット 

さや 

アダプタ 

図B.8−温度計保持具及びアダプタ 

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19 

K 2265-3:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(参考) 

温度計検査ゲージ 

C.1 温度計検査ゲージ  

温度計の幹部分の膨らみの長さ及び膨らみの底部から球の底部までの距離は,図C.1に示す温度計検査

ゲージで測定することができる。 

                              単位 mm 

図C.1−温度計検査ゲージ 

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20 

K 2265-3:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(参考) 

試験方法の種類 

JA.1 試験方法の種類  

JIS K 2265の規格群には,表JA.1に示す試験方法がある。 

表JA.1−試験方法の種類 

規格群 

試験方法の種類 

適用基準a) 

適用油種例b) 

K 2265-1 

タグ密閉法 

引火点が93 ℃以下の試料。ただし,次
の試料には適用できない。 

a) 40 ℃動粘度が5.5 mm2/s以上,又は

25 ℃動粘度が9.5 mm2/s以上の試

料。 

b) 試験条件下で油膜のできる試料。 

c) 懸濁物質を含む試料。 

原油 
工業ガソリン 
灯油 
航空タービン燃料油 

K 2265-2 

迅速平衡密閉法 

引火点が−30〜300 ℃の試料。 

原油,灯油,軽油,重油,航空タービ
ン燃料油 

K 2265-3 

ペンスキーマル
テンス密閉法 

引火点が40 ℃を超える密閉法引火点の
測定が必要な試料で,タグ密閉法が適用
できない試料。 

A法: 原油,軽油,重油,電気絶縁油,

さび止め油,切削油剤,各種潤
滑油 

B法:重油,使用潤滑油,カットバッ

クアスファルト,高粘度物質な
ど 

K 2265-4 

クリーブランド
開放法 

引火点が79 ℃を超える試料。ただし,
原油及び燃料油は除く。 

石油アスファルト,流動パラフィン,
エアーフィルタ油,石油ワックス,さ
び止め油,電気絶縁油,熱処理油,切
削油剤,各種潤滑油 

注a) 個別のJIS製品規格などによって,適用試験方法又は試験条件が規定されている場合は,それによる。 

b) 適用油種例は,JIS石油製品規格などで規定されているものを例示した。 

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21 

K 2265-3:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JB 

(参考) 

JISと対応する国際規格との対比表 

JIS K 2265-3:2007 引火点の求め方−第3部:ペンスキーマルテンス密閉法 

ISO 2719:2002, Determination of flash point−Pensky-Martens closed cup method 

(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際
規格
番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の
箇条ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ)JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対策 

箇条番号及び名称 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごとの
評価 

技術的差異の内容 

1 適用範囲 

適用範囲について規定。 

JISにほぼ同じ。 

追加 

JISは,残(さ)渣燃料
油についてB法を基準
にしつつ,A法でも許容
する記述を追加した。 

国内の実情に合わせるため追
加した。 

2 引用規格 

追加 

JIS B7410,JIS K2265-1, 
JIS Z8401,JIS Z8402-4, 
JIS Z8402-6を追加。 
 

分かりやすくするためで,技術
的な差異はない。 

3 用語及び定義 

一致 

4 試験の原理 

一致 

5 試薬 

一致 

6 試験器 
6.1 引火点試験器 
6.2 温度計 
 
 
 
6.3 気圧計 
6.4 加熱浴又は乾
燥器 

 
 
JIS B 7410の温度計番号30
及び31を規定。 
 
 
 
試料を9.1.4で規定する温
度±5℃に調節できるもの
と規定。 


6.1 
6.2 
 
 
 
6.3 
6.4 

 
 
Annex Cを引用。 
 
 
 
 
±5 ℃に調節できる
ものと規定。 

 
一致 
変更 
 
 
 
一致 
追加 

 
 
ISO規格がAnnex Cを引
用しているのに対し,
JISはJIS B 7410を引用
した。 
 
JISは,より具体的に温
度調節条件を規定して
いる。 

 
 
ISO規格のAnnex Cには,温
度計の露出部平均温度の規定
が欠落しているため,引用は
できない。 
 
JISは,条件をより明確するた
め追加した。 

 
 
 

2

1

K

 2

2

6

5

-3

2

0

0

7

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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22 

K 2265-3:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際
規格
番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の
箇条ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ)JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対策 

箇条番号及び名称 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごとの
評価 

技術的差異の内容 

7 試験器の準備 
7.1 〜7.3  
7.4 試験器の検証 

 
 
CRM認証値との差の絶対
値は,RをこのCRM認証時
の室間再現精度としたと
き,R/2以下であること

を規定。 


7.1〜7.3 
7.4 

 
JISに同じ。 
CRM認証値との差の
絶対値は,Rをこの試
験方法の室間再現精
度としたとき,R/2

以下であることを規
定。 

 
一致 
変更 

 
 
ISO規格の室間再現精
度(R)の定義は,“この
試験方法”であるのに対
し,JISでは“このCRM
認証時”とした。 

 
 
試験方法の室間再現精度を採
用すると,許容差が現行JIS
に対して大きすぎてしまうた
め変更した。 

8 試料の採取方法
及び調製方法 
8.1 
8.2 
 
 
 
 
8.3 

 
 
 
試料の調整方法について規
定。 


 
8.1 
8.2 
 
 
 
 
8.3 

 
 
 
JISにほぼ同じ。 

 
 
一致 
追加 
 
 
 
 
一致 

 
 
 
JISには,壁面を透過し
て揮散する恐れのある
プラスチック容器は,使
用禁止という内容を追
加。 

 
 
 
試験結果に影響を及ぼすため
追加した。 

9 試料の取扱い 
9.1 石油製品 
 
 
9.2 塗料及びワニ
ス 

 
試料の前処理方法を規定。 


9.1 
 
 
9.2 

 
JISにほぼ同じ。 
 

 
追加 
 
 
一致 

 
ISO規格の10.1に規定
された試料の取扱いに
関する一般事項を追加。 

 
試料の取扱いの箇条に含めた
方が明確なため,記載場所を
移動。 

10 試験の手順 
 
 
 
10.1 A法の手順 
10.2 B法の手順 

10 
10.1 
 
 
10.2 
10.3 

 
試料の取扱いに関す
る一般事項を記載。 

 
削除 
 
 
一致 
一致 

 
ISO規格の一般事項の
内容を,JISでは9 試料
の取扱いの箇条に記載。 

 
試料の取扱いの箇条に含めた
方が明白なため,記載場所を
移動。 

 
 

2

2

K

 2

2

6

5

-3

2

0

0

7

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

background image

23 

K 2265-3:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際
規格
番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の
箇条ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ)JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対策 

箇条番号及び名称 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごとの
評価 

技術的差異の内容 

11 計算方法 

11 

一致 

12 結果の表し方 

数値はJIS Z 8401によって
丸めることを規定。 

12 

JISにほぼ同じ。 

追加 

ISO規格では,基になる
規格の記載がない。 

数値の丸め方を,明確に規定
した。 

13 精度 
 
 
 
 
 
 
 

試験結果が許容差(確率
0.95)を外れた場合に,JIS 
Z 8402-6を規定。 
 
 
 
 
a) 室内併行精度を規定。 
 
b) 室間再現精度を規定。 

13 
 
 
13.1 
 
 
 
13.2 
 
13.3 

タイトルだけ。 
 
 
一般事項として細分
箇条化し,精度は13.2
及び13.3によると記
載。 
JISにほぼ同じ 
 
JISにほぼ同じ 

追加 
 
 
削除 
 
 
 
追加 
 
追加 

JISは,JIS Z 8402-6の
引用を追加した。 
 
JISは,一般事項として
細分箇条化はせず。 
 
 
表1にA重油及び残さ燃
料油の精度を追加した。 
表3にA重油及び残さ燃
料油の精度を追加した。 

JIS規格体系に合わせるため
追加した。 
 
JIS規格様式に合わせ,解説に
記載。 
 
 
国内の試験環境と整合させる
ため追加した。 
国内の試験環境と整合させる
ため追加した。 

14 試験結果の報
告 

14 

JISに同じ。 

一致 

附属書A(規定) 
試験器の検証 
 
A.1 一般事項 
 
A.2 検証の標準物
質 
 
 
 
 
 
 

試験器の検証 
 
 
検証に関する一般事項を規
定。 
認証標準物質(CRM)及び
二次作業標準物質(SWS)
について規定。 
 
 
 
 
 

Annex A 
 
 
A.1 
 
A.2 
 
 
 
 
 
 
 

試験器の検証方法に
ついて,参考で記載。 
 
JISにほぼ同じ 
 
JISにほぼ同じ 
 
 
 
 
 
 
 

変更 
 
 
追加 
 
追加 
 
 
追加 
 
 
 
 

ISO規格が(参考)なの
に対して,JISは(規定)
とした。 
JIS Z 8402-4を追加。 
 
CRMの認証値がロット
ごとに成績書に記載さ
れることを追加した。 
3か所以上の試験機関で
SWSを決定する場合に
事前にCRMによって検
証した試験器を用いる
ことを追加した。 

試験器の検証は,重要項目で
あるため規定とした。 
 
JISの規格体系に合わせるた
め追加した。 
CRM認証値の決定方法を明
確にするため追加した。 
 
使用試験器の条件を明確にす
るために追加した。 
 
 
 

 
 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際
規格
番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の
箇条ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ)JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対策 

箇条番号及び名称 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごとの
評価 

技術的差異の内容 

A.3 検証の手順 
 
 
 
 
 
 
 
A.4 試験結果の評
価 

検証の手順を規定。 
 
 
 
 
 
 
 
検証結果の評価方法につい
て規定。 

A.3 
 
 
 
 
 
 
 
A.4 

JISにほぼ同じ 
 
 
 
 
 
 
 
JISにほぼ同じ 

変更 
 
 
 
 
追加 
 
 
変更 
 
 
 
 
追加 

CRMとしてウンデカ
ン,ドデカン及びテトラ
デカンを削除し,高温域
のC10テトラマーを追
加した。 
CRMの主成分及び軽質
不純物の規定を追加し
た。 
ISO規格の室間再現精
度(R)の定義は,“この
試験方法”であるのに対
し,JISでは“このCRM
認証時”とした。 
JISは,CRMを用いて試
験器の補正をしてはな
らないことを追加した。 

実態に合わせること及び高温
域での使用頻度を考慮して変
更した。 
 
 
CRMの品質を確保するため
に追加した。 
 
試験方法の室間再現精度を採
用すると,許容差が現行JIS
に対して大きすぎてしまうた
め変更した。 
 
試験器を検証する上で重要な
注意事項であるため追加し
た。 

附属書B(規定) 
ペンスキーマルテ
ンス密閉法引火点
試験器 
B.1 一般事項 
 
 
B.2 試料カップ 
 
 

 
 
 
 
試験器について規定。 
 
 
試料カップについて規定。 
 
 

Annex B 
 
 
 
B.1 
 
 
B.2 
 
 

 
 
 
 
JISにほぼ同じ。 
 
 
JISにほぼ同じ。 
 
 

 
 
 
 
変更 
 
 
変更 
 
 

 
 
 
 
図B.1に,従来のJISの
図を採用。 
 
図B.2に,従来のJISの
図を採用。 
 

 
 
 
 
国内に既に普及している試験
器を考慮し変更した。基本的
な仕様に差異はない。 
国内に既に普及している試験
器を考慮し変更した。基本的
な仕様に差異はない。 

 
 
 
 
 

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K

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際
規格
番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の
箇条ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ)JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対策 

箇条番号及び名称 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごとの
評価 

技術的差異の内容 

B.3 カップふた 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
B.4 加熱器 
 
B.5 温度計保持具
及びアダプタ 

試験器のカップふたについ
て規定。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
試験器の加熱器について規
定。 
温度計の保持具について規
定。 

B.3 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
B.4 
 

− 

JISにほぼ同じ。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
JISにほぼ同じ。 
 

− 

変更 
 
 
追加 
 
追加 
 
 
追加 
 
 
追加 
 
追加 

図B.3及び図B.6に,従
来のJISの図を採用。 
 
JISには,図B.4及び図
B.5を追加。 
試験炎の燃料としてLP
ガスを用いる場合の条
件を追加。 
試験炎の再点火,及びカ
ップふたの過熱に関す
る規定を追加。 
JISには,図B.7を追加。 
 
JISは,温度計保持具及
びアダプタの規定を追
加。 

国内に既に普及している試験
器を考慮し変更した。基本的
な仕様に差異はない。 
JISは試験器の構成をより明
確にするため追加した。 
国内に既に普及している試験
器を考慮し追加した。 
 
安全上の観点から追加した。 
 
 
JISは試験器の構成をより明
確にするため追加した。 
ISO規格は,Annex Dに参考
で記載しているが,試験器の
構成上重要なため,JISは規定
とした。 

− 

− 

Annex C 

温度計の仕様を規定。 削除 

JISは,温度計の附属書
を削除した。 

JISは,JIS B 7410を引用する
ため削除した。 

附属書C(参考) 
温度計検査ゲージ 

ISOの附属書Bから分割 

変更 

分かりやすくするためで、 
技術的差異はない。 

附属書JA(参考) 
試験方法の種類 

ISOはない。 

追加 

分かりやすくするためで、 
技術的差異はない。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 2719:2002:MOD 

 
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

  − 一致……………… 技術的差異がない。 
  − 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
  − 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
  − 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

  − MOD…………… 国際規格を修正している。 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。