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C 62024-2:2011 (IEC 62024-2:2008) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 標準大気条件(標準試験状態) ··························································································· 2 

4.1 測定及び試験のための標準大気条件(標準状態) ································································· 2 

4.2 判定測定,及び判定試験のための標準大気条件(判定状態) ·················································· 2 

5 直流重畳許容電流の測定方法 ······························································································ 2 

5.1 一般 ···························································································································· 2 

5.2 試験状態 ······················································································································ 2 

5.3 測定回路及び計算式 ······································································································· 3 

5.4 インダクタの取付けジグ ································································································· 4 

5.5 測定方法 ······················································································································ 4 

5.6 品質確認検査 ················································································································ 4 

6 温度上昇許容電流の測定方法 ······························································································ 4 

6.1 一般 ···························································································································· 4 

6.2 試験状態 ······················································································································ 4 

6.3 測定ジグ ······················································································································ 5 

6.4 測定方法及び計算式 ······································································································· 7 

6.5 品質確認検査 ················································································································ 9 

7 定格電流の決定 ················································································································ 9 

8 個別規格に規定する事項 ···································································································· 9 

8.1 直流重畳許容電流の測定方法 ··························································································· 9 

8.2 温度上昇許容電流の測定方法 ··························································································· 9 

附属書A(参考)製品仕様書及びカタログへの記載の推奨例························································ 10 

C 62024-2:2011 (IEC 62024-2:2008) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)及

び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS C 62024“高周波誘導部品−電気的特性及び測定方法”の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS C 62024-1 第1部:ナノヘンリー範囲の表面実装インダクタ 

JIS C 62024-2 第2部:DC/DCコンバータ用インダクタの定格電流の決め方 

  

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日本工業規格 

JIS 

C 62024-2:2011 

(IEC 62024-2:2008) 

高周波誘導部品−電気的特性及び測定方法− 

第2部:DC/DCコンバータ用インダクタの 

定格電流の決め方 

High frequency inductive components- 

Electrical characteristics and measuring methods- 

Part 2: Rated current of inductors for DC to DC converters 

序文 

この規格は,2008年に第1版として発行されたIEC 62024-2を基に,技術的内容及び構成を変更するこ

となく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

適用範囲 

この規格は,電子機器及び通信機器用,主としてDC/DCコンバータ及び小形スイッチング電源ユニッ

トに用いる,リード端子付きインダクタ及び表面実装用インダクタの,直流重畳許容電流値及び温度上昇

許容電流値の測定方法,並びにそれに基づく定格電流の決め方について規定する。 

この規格は,一般的にJIS C 62025-1に規定する寸法範囲(外形底面寸法が,おおよそ12 mm×12 mm

以下)の小形インダクタに適用する。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

IEC 62024-2:2008,High frequency inductive components−Electrical characteristics and measuring 

methods−Part 2: Rated current of inductors for DC to DC converters(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ

とを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 60068-1 環境試験方法−電気・電子−通則 

注記 対応国際規格:IEC 60068-1,Environmental testing−Part 1: General and guidance(IDT) 

JIS C 62025-1 高周波誘導部品−非電気特性及び測定方法−第1部:電子機器及び通信機器用表面実

装固定インダクタ及びフェライトビーズ 

注記 対応国際規格:IEC 62025-1,High frequency inductive components−Non-electrical characteristics 

and measuring methods−Part 1: Fixed, surface mounted inductors for use in electronic and 

C 62024-2:2011 (IEC 62024-2:2008) 

  

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telecommunication equipment(IDT) 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1 

直流重畳許容電流(DC saturation limited current) 

インダクタンスの低下率が,規定値以内となる直流電流。 

3.2 

温度上昇許容電流(temperature rise limited current) 

温度上昇をもたらすインダクタの自己発熱が,規定値以内となる直流電流。 

標準大気条件(標準試験状態) 

4.1 

測定及び試験のための標準大気条件(標準状態) 

測定及び試験のための標準大気条件は,次による(JIS C 60068-1の5.3.1参照)。 

− 温度  :15 ℃〜35 ℃ 

− 相対湿度:25 %〜75 % 

− 気圧  :86 kPa〜106 kPa 

疑義がある場合,又は要求がある場合には,4.2に規定する温度及びその他の条件を用いて測定する。 

4.2 

判定測定,及び判定試験のための標準大気条件(判定状態) 

判定測定,及び判定試験のための標準大気条件は,次による[JIS C 60068-1の5.2(判定測定,及び判

定試験のための標準大気条件)参照]。 

− 温度  :20 ℃±2 ℃ 

− 相対湿度:60 %〜70 % 

− 気圧  :86 kPa〜106 kPa 

直流重畳許容電流の測定方法 

5.1 

一般 

直流電流を重畳する交流電流をインダクタに流す場合には,インダクタのインダクタンス値は,その直

流電流値によって低下する。 

主な用途では,磁束の飽和によるインダクタンスが低下する電流は,直流電流に交流電流を重畳するこ

とによるピーク電流に起因する。この規格では,小さい信号交流電流を相殺して直流電流で測定し,直流

重畳電流とする。 

注記 交流飽和許容電流を基準に設定することは,用途によって交流電流を適用する条件が無数にあ

るので,実用的ではない。したがって,製造業者及び使用者は,共通の基準として直流重畳許

容電流を一般に用いている。 

5.2 

試験状態 

個別規格に規定がない場合には,標準試験状態は,箇条4による。 

注記 直流重畳許容電流値の変化は,温度の関数として,インダクタの磁性材料及び磁心の構造に依

存する。しかし,高温での直流重畳電流の測定は,一般に,検査目的として実用的ではない。

したがって,この規格で規定する室温での測定を,一般に用いる。インダクタの最高使用温度

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C 62024-2:2011 (IEC 62024-2:2008) 

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の関数として様々なインダクタンスの直流重畳特性の曲線がある。代表的な使用温度での直流

重畳許容電流と室温での直流重畳許容電流との関係をみるために,これらの曲線を用いること

ができる。場合によっては,製造業者及び使用者は,85 ℃,105 ℃又は125 ℃のような高温

での追加仕様に合意することが必要になる。 

5.3 

測定回路及び計算式 

測定回路及び計算式は,次による。 

a) 測定回路 測定回路を,図1に示す。 

構成部品 

Rs 

信号発生器の出力抵抗器R=Rs 

Rr 

レンジ抵抗器R=Rr 

V1 

電圧計V1=E1 

V2 

電圧計V2=E2 

直流電流遮断コンデンサ 

 
供給源 

fs 

信号発生器の周波数 

Ir 

レンジ抵抗器に流れる電流 

Ix 

供試インダクタに流れる電流Ix=Ir 

図1−直流電流重畳時のインダクタンス測定回路 

b) 計算式 個別規格に規定する信号発生器の周波数fs及び電圧Esによって,電圧E1及びE2を測定する。

インダクタンスの初期値は,次の式によって算出する。 

r

2

1

r

1

x

R

E

E

I

E

Z

=

=

θ

Z

j

θ

Z

Z

sin

cos

x

x

x

+

=

x

x

x

jX

R

Z

+

=

s

x

x

x

2πf

X

ω

X

L

=

=

ここに, 

Rx: 供試インダクタの抵抗値 

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Xx: 供試インダクタのリアクタンス 

Zx: 供試インダクタのインピーダンス 

Lx: 供試インダクタの等価直列インダクタンス 

E1: 供試インダクタへの印加電圧 

E2: レンジ抵抗器への印加電圧(=Ir Rr)(E2は,電流としてみな

すことができる。) 

θ: E1−E2間の位相角差 

5.4 

インダクタの取付けジグ 

供試インダクタの取付けジグは,個別規格に規定する。 

5.5 

測定方法 

測定方法は,次による。 

a) 測定前にショート補正を行う。 

b) 供試インダクタは,5.4に規定する取付けジグを用いて,図1に示す回路に接続する。 

c) 供試インダクタをはんだ付けによって接続する場合には,十分に冷却するまで放置する。 

d) 個別規格に規定する信号発生器の周波数fs及び電圧Esによって,電圧E1及びE2を測定する。インダ

クタンスの初期値を,5.3のb)の式によって算出する。 

e) 供試インダクタに重畳する直流電流値を調節して,インダクタンス値を測定する。 

f) 

インダクタンスの初期値からの低下率を算出する。個別規格に規定するインダクタンス値の低下率と

なる電流値によって直流重畳許容電流値を決定する。 

g) 個別規格に規定するインダクタンスの低下率は,10 %又は30 %とすることが望ましい。 

注記 10 %は,急しゅん(峻)に変化する場合のインダクタの設計ポイントの代表の一つで,30 %

は,緩やかに変化する場合のインダクタの設計ポイントの代表の一つである。附属書A参照。 

5.6 

品質確認検査 

個別規格に規定する直流電流を,5.3〜5.5に規定する方法に従って供試インダクタに流し,その後,イ

ンダクタンスを測定する。インダクタンスの低下率は,規定値以内とする。 

温度上昇許容電流の測定方法 

6.1 

一般 

直流電流をインダクタに流す場合には,インダクタは,その直流電流抵抗のため,流す直流電流値に応

じて自己発熱する。 

注記1 温度上昇は,インダクタの自己発熱によって発生する。発熱の原因は,直流損失及び交流損

失である。この規格は,直流電流だけによる温度上昇を定義する。特殊な用途では,温度上

昇に対して交流損失を考慮する必要がある。交流損失は,波形,振幅及び周波数によって大

きく影響を受ける。 

注記2 交流での温度上昇許容電流を基準に設定することは,用途によって交流電流を適用する条件

が無数にあるので,実用的ではない。DC/DCコンバータでは,交流損失は,直流損失と比較

してはるかに小さいことが多い。したがって,製造業者及び使用者は,共通の基準として直

流温度上昇許容電流を一般に用いている。 

6.2 

試験状態 

個別規格に規定がない場合には,標準試験状態は,箇条4による。 

直流電流抵抗値は,温度の関数として増加するので,一部の用途では,温度上昇の試験に85 ℃,105 ℃

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C 62024-2:2011 (IEC 62024-2:2008) 

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又は125 ℃のような高い周囲温度を要求する。 

注記1 インダクタの全損失は,巻線の交流電流による交流損失及び磁心で発生する交流磁束による

損失だけでなく,直流電流による導体損の組合せである。交流及び直流での抵抗(導体抵抗)

の値は,温度に従って増加する。その結果,導体抵抗による損失が温度とともに増加する。

磁心に関連する損失は,すべて交流励起に起因する。磁心損失は,磁心損失が最小となる温

度まで,温度上昇とともに低下し,その温度を超えると,増加し始める。その最小となる温

度及び損失の大きさは,磁性材料の種類及びグレードに依存する。ほとんどのフェライトは,

急しゅんな最小温度曲線を示すが,粉末合金では,異なる。使用温度が高く,直流損失だけ

でなく交流損失が少なくない用途に温度上昇許容電流を適用する場合は,これらのことを考

慮することが望ましい。温度による直流損失又は交流損失の変化と同様に,あらゆる温度で

の全損失は,室温における直流損失又は交流損失の損失配分に依存する。 

注記2 高温域での温度上昇許容電流は,直流を前提にした場合には,室温での値からの推測が可能

である。さらに,高温域における直流温度上昇許容電流の測定は,一般に実用的ではない。

したがって,この規格が規定する室温での測定を一般に適用している。 

6.3 

測定ジグ 

測定ジグは,6.3.1に規定するプリント配線板を用いる方法又は6.3.2に規定するリード線を用いる方法

のいずれかとし,その詳細仕様を個別規格に規定する。 

6.3.1 

プリント配線板を用いる方法 

プリント配線板は,ガラス布基材エポキシ樹脂(FR4)とする。寸法は,表1及び図2によることが望

ましい。 

表1−回路のパターン幅 

インダクタの定格電流 

パターン幅a) 

mm 

I≦ 1 

1.0±0.2 

1<I≦ 2 

2.0±0.2 

2<I≦ 3 

3.0±0.2 

3<I≦ 5 

5.0±0.2 

5<I≦ 7 

7.0±0.2 

7<I≦ 11 

11.0±0.2 

11<I≦16 

16.0±0.2 

16<I≦22 

22.0±0.2 

22<I 

個別規格の規定による。 

注a) 図2による。 

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単位 mm 

a) SMDタイプ用プリント配線板 

b) リード付きタイプ用プリント配線板 

  

はんだ付け領域 

非はんだ付け領域(はんだ付けできないように塗料で覆われている。) 

a,b,c,d1,d2及びpは,個別規格による。パターン幅(W)は,表1による。 

基板の材質:ガラス布基材エポキシ樹脂(FR4) 
パターンの材質:銅 
パターンの厚さ:0.035 mm±0.010 mm 
 

図2−プリント配線板 

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6.3.2 

リード線を用いる方法 

測定回路及びインダクタに接続するリード線径は,表2によることが望ましい。 

表2−測定回路に用いるリード線径 

インダクタの定格電流 

リード線径 

mm 

AWG 

(参考) 

I≦ 3 

0.50±0.05 

24 

3<I≦ 5 

0.65±0.05 

22 

5<I≦ 11 

0.8±0.1 

20 

11<I≦16 

1.0±0.1 

18 

16<I≦22 

1.3±0.1 

16 

22<I 

個別規格の規定による。 

注記 AWGは,米国電線規格の線径である。 

6.4 

測定方法及び計算式 

測定方法は,6.4.1の抵抗値置換法又は6.4.2の熱電対法のいずれかとし,その詳細仕様を個別規格に規

定する。 

6.4.1 

抵抗値置換法 

抵抗値置換法は,次による。 

a) 供試インダクタは,6.3に規定する測定ジグを用いて,図3に示す回路に接続する。 

図3−抵抗値置換法による温度上昇測定回路 

b) 供試インダクタをはんだ付けによって接続する場合は,十分に冷却するまで放置する。 

c) 供試インダクタは,空気の循環による温度変化を避けるために,各辺が約20 cmの立方体の箱の中で

測定することが望ましい。内側に熱がこもるのを防ぐために,箱の表面に幾つかの通気孔があっても

よい。 

供試インダクタは,試験台に直接接触しない状態で測定する。プリント配線板に取り付けて測定す

る場合は,供試インダクタを取り付けるプリント配線板が,試験台に直接接触しないようにする。 

d) 供試インダクタの抵抗値及び周囲温度ta1を,直流電流を流す前に,測定する。 

e) 直流電源から供試インダクタに直流電流を流す。供試インダクタの直流電圧値が安定した後に,直流

電流値Ix及び直流電圧値Exを,電流計及び電圧計で測定し,周囲温度ta2も測定する。抵抗値Rxを,

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次の式によって算出する。 

x

x

x

I

E

R=

ここに, 

Rx: 供試インダクタの抵抗値 

Ex: 直流電圧値 

Ix: 直流電流値 

f) 

供試インダクタの温度上昇値tは,金属の比抵抗率及び供試インダクタの抵抗値を用いて,次の式に

よって算出する。

ta1−ta2

は,5 ℃以下とする。 

(

)

a2

a1

a1

1

1

2

a2

2

t

t

t

C

R

R

R

t

t

t

+

+

=

=

ここに, 

t: 温度上昇値(℃) 

t2: 直流電流を流したときの供試インダクタの温度(℃) 

ta1: 初期の周囲温度(℃) 

ta2: 直流電流を流したときの周囲温度(℃) 

R1: 温度t1=ta1での巻線の抵抗値(Ω) 

R2: 温度t2での巻線の抵抗値(Ω) 

C: 材料定数。銅の場合は,C=234.5。 

g) 流す直流電流の値を調節して,温度上昇値を測定する。 

h) 温度上昇値が個別規格に規定する値になるときの直流電流を測定し,その値を温度上昇許容電流とす

る。 

i) 

個別規格に規定する温度上昇値は,20 ℃又は40 ℃とすることが望ましい。 

6.4.2 

熱電対法 

熱電対法は,次による。 

a) 供試インダクタは,6.3に規定する測定ジグを用いて,図4に示す回路に接続する。 

図4−熱電対法による温度上昇測定回路 

b) 供試インダクタをはんだ付けによって接続する場合は,十分に冷却するまで放置する。 

c) 供試インダクタは,空気の循環による温度変化を避けるために,各辺が約20 cmの立方体の箱の中で

測定することが望ましい。内側に熱がこもるのを防ぐために,箱の表面に幾つかの通気孔があっても

よい。 

供試インダクタを試験台に直接接触しない状態で測定する。プリント配線板に取り付けて測定する

場合は,供試インダクタを取り付けるプリント配線板が,試験台に直接接触しないようにする。 

d) 温度測定のために熱電対が正しい測定位置になるように考慮する。インダクタが最高温度になる位置

に置くことが望ましい。供試インダクタの表面に直接接触させるか,又は熱電対を供試インダクタの

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内側若しくは事前に巻線の内部に配置することが最適な位置になる。 

測定位置は,個別規格に規定する。 

e) 供試インダクタの温度t1及び周囲温度ta1を,直流電流を流す前に測定する。 

f) 

直流電源から供試インダクタに直流電流を流す。供試インダクタの温度が安定した後に,供試インダ

クタの温度t2及び周囲温度ta2を再び測定する。 

g) 流す直流電流の値を調節して,温度上昇値は,次の式によって算出する。 

(

)(

)

a1

1

a2

2

t

t

t

t

t

=

ここに, 

t: 温度上昇値(℃) 

t1: 供試インダクタの初期温度(℃) 

t2: 直流電流を流したときの供試インダクタの温度(℃) 

ta1: 初期の周囲温度(℃) 

ta2: 直流電流を流したときの周囲温度(℃) 

h) 温度上昇値が個別規格に規定する温度上昇値となる電流値によって温度上昇許容電流値を決定する。 

i) 

個別規格に規定する温度上昇値は,20 ℃又は40 ℃とすることが望ましい。 

6.5 

品質確認検査 

個別規格に規定する直流電流を,6.3〜6.4に規定する方法に従って供試インダクタに流す。その後,温

度上昇値を測定する。 

供試インダクタの温度上昇値は,規定値以内とする。 

定格電流の決定 

インダクタに定格電流を適用する場合は,この規格に規定する定義及び測定による直流重畳許容電流値

又は温度上昇許容電流値のいずれか小さい方を定格電流とする。 

個別規格に規定する事項 

8.1 

直流重畳許容電流の測定方法 

次の事項を個別規格に規定する。 

a) 周波数fs及び電圧Es[5.3 b)及び5.5 d)参照] 

b) 取付けジグ(5.4参照) 

c) インダクタンスの許容低下率[5.5 f)参照] 

d) 直流重畳許容電流(5.6参照) 

8.2 

温度上昇許容電流の測定方法 

次の事項を個別規格に規定する。 

a) 測定ジグ(6.3参照) 

b) 測定方法(6.4参照) 

c) 温度上昇値[6.4.1 h)及び6.4.2 h)参照] 

d) 測定位置(熱電対法を適用する場合)[6.4.2 d)参照] 

e) 温度上昇許容電流(6.5参照) 

10 

C 62024-2:2011 (IEC 62024-2:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

製品仕様書及びカタログへの記載の推奨例 

直流重畳許容電流値及び温度上昇許容電流値の両方を,製品仕様書及びカタログで記載することが望ま

しい。 

直流重畳許容電流値は,インダクタンスの低下率が,10 %又は30 %のいずれのときの値であるかを記載

することが望ましい。 

注記1 バイアス電流を流さないときのインダクタンス値に対して,バイアス電流を増加してインダ

クタンス値が30 %低下したところから,更にバイアス電流を10 %増加したときに8 %以上の

インダクタンス値の低下がある場合に,急しゅんな変化(急しゅんな飽和)という。バイア

ス電流を流さないときのインダクタンス値に対して,バイアス電流を増加してインダクタン

ス値が30 %低下したところから,更にバイアス電流を10 %増加したときに8 %未満のインダ

クタンス値の低下がある場合に,緩やかな変化(緩やかな飽和)という。 

急しゅんに変化するインダクタは,変曲点を超えると,インダクタンスが急勾配で減少す

る。したがって,変曲点以下の負荷電流で動作するように規定し,設計している。代表的な

設計ポイントとして,10 %を標準的に用いている。その他の値は,例えば,20 %又は30 %

を製造業者と使用者との間での合意で用いている。 

緩やかに変化するインダクタは,明確な変曲点がなく,インダクタンスは,連続的かつ段

階的な減少を示す。したがって,通常,20 %〜50 %又は用途によってそれ以上のインダクタ

ンスの低下率となる負荷電流で動作するように規定し,設計している。必ずしも必須ではな

いが,代表的な設計ポイントとして,30 %を標準的に用いている。その他の値は,例えば,

20 %又は50 %を,製造業者と使用者との間での合意で用いている。 

温度上昇許容電流値は,インダクタの温度上昇が20 ℃又は40 ℃のいずれのときの値であるかを記載す

ることが望ましい。 

定格電流という定義を用いる場合には,直流重畳許容電流値及び温度上昇許容電流値のうちいずれか小

さい方とすることが望ましい。 

注記2 一般的に,インダクタの使用温度の上限は,周囲温度にインダクタの自己発熱による温度上

昇分を加えた温度としている。