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B 8842:2020  

(1) 

目 次 

ページ 

序文  1 

1 適用範囲 1 

2 引用規格 2 

3 用語,定義及び記号  2 

4 耐震設計の概念  4 

4.1 一般  4 

4.2 修正震度法  4 

4.3 応答スペクトル法  4 

4.4 時刻歴応答法  5 

5 修正震度法による地震設計荷重の算定  5 

5.1 一般  5 

5.2 設計水平震度KHの計算  5 

5.3 設計垂直震度KVの計算  11 

5.4 地震設計荷重の計算  11 

6 応答スペクトル法による地震設計荷重の算定  12 

6.1 一般  12 

6.2 地震応答の総和(TSR)の計算方法  13 

7 地震と地震以外の荷重との組合せ  14 

7.1 一般  14 

7.2 静的強度の照査(JIS B 8833-1による荷重の組合せ) 14 

7.3 静的強度の照査(SRSS法による荷重の組合せ)  14 

7.4 全体安定度の照査  15 

7.5 性能照査  15 

8 時刻歴応答法による地震設計荷重の算定  15 

8.1 レベル1地震動による地震設計荷重の算定  15 

8.2 レベル2地震動による地震設計荷重の算定  16 

9 免震・制振クレーン  16 

附属書A(参考)修正震度法による耐震設計  17 

附属書B(規定)設計加速度  18 

附属書C(参考)応答スペクトル法  20 

附属書D(参考)時刻歴応答法と応答スペクトル法・修正震度法との比較  22 

附属書E(参考)リヒタースケール,地表面地震加速度及び震度階の関係  24 

附属書F(参考)垂直震度影響係数  25 

附属書JA(参考)地盤種別補正係数β2の算定  26 

附属書JB(参考)クレーンの固有周期の簡易計算  28 


 

B 8842:2020 目次 

(2) 

ページ 

附属書JC(参考)リスク係数γnの考え方  31 

附属書JD(参考)JISと対応国際規格との対比表  33 

 

 


 

B 8842:2020  

(3) 

まえがき 

この規格は,産業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本クレーン協会(JCA)及び

一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を制定すべきとの申出があ

り,日本産業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が制定した日本産業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の

特許出願及び実用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

 

 


 

 

日本産業規格          JIS 

 

B 8842:2020 

 

クレーン−耐震設計に関する原則 

Cranes-Principles for seismically resistant design 

 

序文 

この規格は,2016年に第1版として発行されたISO 11031を基とし,日本特有の地震環境を考慮するた

め,技術的内容を変更して作成した日本産業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JDに示す。 

一般に,クレーンは細長の構造物であるため,地震時に構造部材の塑性変形による地震エネルギー吸収

能力が建築構造物などに比べて少ないと考えられる。この点がクレーンの耐震設計を行う上で留意すべき

重要な点である。 

地震による損傷を防ぐための経済的な手法として,使用限界状態(SLS)及び極限限界状態(ULS)の

二つの設計限界状態の照査を考える。これらは稼働中に遭遇する可能性のある中地震動及び設置場所で発

生し得る大地震動を受けたときの応答を限界値と比較することによって行う。この規格では,地震エネル

ギー吸収能力が少ないクレーンの特徴を鑑みて,SLSに対する性能照査を行うための地震設計荷重の算定

を必須とし,ULSに対する性能照査は任意とする。また,SLSに対する性能照査は,中地震動に対する修

正震度法に基づくことを基本とする。 

 

適用範囲 

この規格は,JIS B 0146規格群に規定する全てのクレーン(移動式クレーンを除く。)のクレーン構造物,

又はその構成要素である構造部材及び機械要素(以下,クレーン構造部材という。)に対する,クレーンが

地震を受けたときの荷重及び荷重の組合せについて規定する。 

この規格は,クレーンが設置されている地域の地震に対する特性,地盤の状態及びクレーンの支持構造

物を考慮し,地震を受けたときのクレーンの動的応答を計算する方法を規定する。 

さらに,この規格は,クレーンの運転状態及び地震によるクレーンの損傷に対するリスクについての荷

重の決定方法も規定する。 

この規格は,ULSについては考え方を示しているが,塑性変形を含む性能照査までは含まない。クレー

ンの受渡当事者間の協議によって,他の規格又は関連文献を用いてもよい。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 11031:2016,Cranes−Principles for seismically resistant design(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 


B 8842:2020  

 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 0146(規格群) クレーン−用語 

注記 対応国際規格:ISO 4306 (all parts),Cranes−Vocabulary 

JIS B 8822-1 クレーン及び巻上装置−分類及び等級 第1部:一般 

JIS B 8829 クレーン−鋼構造部分の性能照査 

注記 対応国際規格:ISO 20332,Cranes−Proof of competence of steel structures 

JIS B 8833-1 クレーン−荷重及び荷重の組合せに関する設計原則−第1部:一般 

注記 対応国際規格:ISO 8686-1,Cranes−Design principles for loads and load combinations−Part 1: 

General 

 

用語,定義及び記号 

3.1 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 0146-1,JIS B 0146-3及びJIS B 0146-5によるほか,次に

よる。 

3.1.1 

地震 

地球を構成する地下の岩盤が,断層面と呼ばれる破壊面を境として急激にずれる現象。 

3.1.2 

地震動 

地震波が伝わってきたある地点での地表及び地中の揺れ。 

3.1.3 

使用限界状態,SLS(Serviceability Limit State) 

クレーン稼働寿命期間に据付場所で遭遇する可能性のある中地震動を受けたときに,クレーンの機能を

損なわず継続して使用することに影響を及ぼさない限界状態。 

3.1.4 

極限限界状態,ULS(Ultimate Limit State) 

クレーンが設置場所で発生し得る大地震動を受けたときに,クレーン構造物が塑性変形しても,クレー

ン構造物の倒壊,クレーンの構造的不安定,脱輪,つり荷又はクレーン部品が落下しない,運転者又は作

業者,公共物などの安全が保たれる限界状態。 

3.1.5 

レベル1地震動 

クレーンの稼働寿命期間中に発生する確率の高い地震動であり,SLSを検討する地震動。 

3.1.6 

レベル2地震動 

クレーンの稼働寿命期間中に発生する確率は低いが,大きな震度をもつ地震動であり,ULSを検討する

地震動。 

3.1.7 

震度 


B 8842:2020  

 

地震動の最大加速度の大きさを重力加速度に対する比として表したもの。 

3.1.8 

刺激係数 

多自由度系とみなした各振動モードがクレーン全体の応答にどれだけ寄与しているかを表す係数。刺激

係数の大きさによって地震時にどの振動モードが支配的となるかが分かる。 

3.1.9 

減衰比 

質点・ダッシュポット(粘性減衰器)・ばねからなる振動系において,実際のダッシュポットの大きさと,

振動しないで振動量が単調減少する限界のダッシュポットの大きさである臨界減衰との比。減衰定数とも

いう。 

3.1.10 

リスク係数 

基本地震設計荷重及びつり荷による地震設計荷重を算出するときに,人的被害の可能性,及び二次被害

の可能性を考慮した係数(附属書JCを参照)。 

3.1.11 

固有振動モード 

振動している系内の各点が特定の振動数に対して単振動(線形系の場合)している場合,節及び腹から

なる固有の振動形状。 

注記 多自由度系では,同時に二つ以上の固有振動モードが含まれることがある。 

3.1.12 

有効振動モード質量 

各固有振動モードに対応したばね−質量系の質量成分。その総和は系の全質量に一致する。 

3.1.13 

稼働寿命期間 

クレーンを計画したときに想定した使用期間。 

3.2 

主な記号 

この規格で用いる主な記号を,表1に示す。 

注記 この規格では垂直とは鉛直のことをいう。 

 

表1−主な記号 

記号 

説明 

KH 

設計水平震度 

KV 

設計垂直震度 

Abg 

基本水平震度 

Asg 

地表面の基本震度 

fcon 

地震動の再現期間及びリスクに関する変換係数 

β2 

地盤種別補正係数 

β3 

加速度応答倍率 

*

3β 

クレーン構造物の減衰比0.025の場合の基本加速度応答倍率 

γn 

リスク係数 


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表1−主な記号(続き) 

記号 

説明 

η 

減衰比の違いを考慮した加速度応答倍率の補正係数 

δ 

支持構造物による応答増幅率 

ζ 

減衰比(減衰定数) 

垂直震度影響係数 

FH 

リスク係数を考慮しない水平地震設計荷重 

FV 

リスク係数を考慮しない垂直地震設計荷重 

FRH,FRV 

リスク係数を考慮しないつり荷の地震設計荷重(水平及び垂直) 

FHr 

リスク係数を考慮した水平地震設計荷重 

FVr 

リスク係数を考慮した垂直地震設計荷重 

FRHr 

FRVr 

リスク係数を考慮したつり荷の地震設計荷重(水平及び垂直) 

 

耐震設計の概念 

4.1 

一般 

耐震設計に用いる応答解析には,修正震度法,応答スペクトル法及び時刻歴応答法の三つの主な方法が

あるが,この規格では,クレーンの構造特性,設置される地域,地盤性状などを勘案したレベル1地震動

に対して,修正震度法に基づく弾性域内での応力設計(限界状態設計)を耐震設計の基本とする。 

ただし,修正震度法に基づく応力設計を行った際,クレーン構造部材が弾性的な応答を示す場合であっ

ても,機種又は構造によっては1次固有振動モード以外の応答が無視できないときがある。また,免震・

制振装置を設置した場合などにおいても適切な検定ができないときがある。このようなケースにおいては,

有限要素法(FEM)などを用いて詳細な解析モデルを構築し,応答スペクトル法,又は適切な地震波を用

いた時刻歴応答法による解析を行い,応力,変位などを算定し,その結果を設計限界応力などの許容値と

比較することによって,耐震性を照査するような設計方法も選択してもよい。 

クレーン設置場所の地盤特性を考慮して作成されたレベル1地震動に対応した地震波が得られて,時刻

歴応答法などで安全性及び機能が評価できる環境が整っている場合は,機能を損なわない範囲でクレーン

構造部材が局所的に降伏応力を超えて塑性域に入ることを考慮してもよい。この場合,局所的に若干の塑

性化が発生しても,クレーンの基本的機能及び安全性が維持されることなどの適用する要求性能は,受渡

当事者間で協議して定める。 

4.2 

修正震度法 

修正震度法(箇条5参照)は,クレーン構造物を1自由度系とみなして,その振動特性から得られる震

度とクレーンの質量による荷重(垂直静荷重)との積として計算される地震設計荷重を,クレーン構造物

に作用する静的な荷重として用いる。震度は,クレーン設置場所,その地盤特性及びクレーンの動的特性,

すなわち3方向(垂直1方向及び水平2方向)の固有周期又は固有振動数,減衰などによって評価する。 

この方法は比較的簡便で,その手順は,附属書Aのフローチャートに示すように設計過程の一部となる。 

4.3 

応答スペクトル法 

応答スペクトル法(箇条6参照)は,クレーン構造物を多自由度系とみなして,地震応答に影響する複

数の振動モードの振動特性からクレーンの地震応答を算定する方法であり,次の場合に適用する。 

− 修正震度法によるものより詳細なクレーンの地震応答を必要とする場合。 


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− コンピュータを使用した解析が経済的に許容される場合。 

応答スペクトル法は線形システムに適用でき,応答特性に非線形性があってもそれが省略可能である非

線形システムならば適用できる。応答スペクトル法は,クレーンの固有周期又は固有振動数と各振動モー

ドの形状とを計算することから始める。地震応答は,クレーン構造物の選択した振動モードから最大応答

加速度(クレーン設置場所の地盤特性とクレーン構造物の減衰特性とを考慮した応答スペクトルから選択

する。),振動モード形状,振動数又は周期,及びクレーンの質量分布を用いて計算する。 

4.4 

時刻歴応答法 

時刻歴応答法(箇条8参照)は,クレーン構造物をFEMなどによってモデル化した上で,地表面に時

間とともに変化する地震動を与え,クレーンの地震応答を求める方法であり,次の場合に適用する。 

− クレーンの詳細な地震応答を求める必要がある場合(附属書D参照)。 

− 非線形性(塑性変形,材料の弾塑性特性及びギャップ,摩擦,車輪のレールからの浮上り,及びワイ

ヤロープの緩みなどの非線形特性)があって,これを考慮する必要がある場合。 

− コンピュータの使用による高い費用が許容される場合。 

時刻歴応答法では,クレーン設置場所における代表的な地震動を入力し,クレーン構造物(必要であれ

ば,クレーンの支持構造物を含む。)の運動方程式を数値的に解くことによって,時刻ステップごとの集積

による地震応答を評価する。 

 

修正震度法による地震設計荷重の算定 

5.1 

一般 

地震時に励起されるクレーンの振動モードのうち,最も重要な1次固有振動モードに着目して震度を求

め,それに対応した地震設計荷重をクレーンの質量による荷重(垂直静荷重)などの荷重と組み合わせる

ことで,部材に生じる応力,変位などを算定し,設計限界応力などの許容値と比較検討することによって

耐震性を照査する。その手順を附属書Aに示す。 

なお,修正震度法に基づく応力設計を行わない場合は,合理的な根拠がある場合に限って,例えば適切

な入力地震波を用いて動的応答解析を行うなどの方法を選択することも可能である。ただし,修正震度法

に基づく応力設計以外の方法を選択した場合にあっても,修正震度法に基づく一次評価を行い,両者の結

果を比較して差異が生じた場合,その要因を分析して,両者から得られた結果の妥当性を評価する。 

クレーンに作用する地震設計荷重又は設計地震加速度は,水平及び垂直の設計震度(KH,KV)を用いて

計算する。クレーンのリスクに応じて,箇条7に規定する1以上のリスク係数γnを適用する。 

5.2 

設計水平震度KHの計算 

5.2.1 

一般 

設計水平震度KHは,式(1)から求める。 

KH=Abg×β2×β3×fcon=Asg×β3×fcon   (1) 

ここに, 

Abg: 基本水平震度(5.2.2参照) 

 

Asg: 地表面の基本震度 

 

β2: 地盤種別補正係数(5.2.3参照) 

 

β3: 加速度応答倍率(5.2.4参照) 

 

fcon: 地震動の再現期間及びリスクに関する変換係数 

再現期間475年相当(5.2.2参照)の地震動を,クレーン構造物が耐えられるSLSとしての再現期間72

年相当の中地震動に変換すること,及びリスク係数を考慮することでfcon=0.16としている。 


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基本震度Abg及びAsgの方向は,他の地震学的な考慮がない場合は,任意とする。すなわち,クレーン構

造物への影響が最大となる方向の地震動を適用する。 

地震荷重の作用する方向がレールと平行(レール方向という。)で,クレーンが基礎地盤などに拘束され

ていない場合のKHは,滑りの摩擦係数を考慮して式(2)から求める。 

a

b

K

3.0

H

  (2) 

ここに, 

KH: 設計水平震度 

 

a: 総車輪数 

 

b: 制動車輪数 

なお,全高と車輪幅とのアスペクト比が大きく,かつ,両脚の制動車輪数が等しくないクレーンにあっ

ては,モーメントを考慮してKHを決定する。ただし,KHの最小値は0.10とする。 

5.2.2 

基本水平震度Abgの算定 

基本水平震度Abgは,附属書B及び式(3)から求める。 

Abg=ag/g   (3) 

ここに, 

ag: 最大基本水平加速度(m/s2) 

 

g: 自然落下の加速度(重力加速度)(m/s2) 

5.2.3 

地盤種別補正係数β2の算定 

地盤種別補正係数β2は,地震動が基盤から表層地盤を伝わって地表面に達する間の増幅及び周期の影響

を表す。図1に地震動伝ぱ(播)の原理を示す。 

 

 

 1 地表面の加速度(記録された加速度) この規格では,最大値をAsgとする。 

2 岩盤 
3 軟質から中間堅さの表層地盤 
4 堅い表層地盤 
5 基本水平震度Abg(基盤の加速度) 

 

図1−地盤種別補正係数β2の図解 


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表2の地盤種別は,深さ30 mまでの地盤の平均せん断波速度Vs,30によって分類される。クレーン設置

場所の地盤種別によって,この表からβ2の値を選択する(附属書JA参照)。 

 

表2−地盤種別補正係数β2の決定及び値 

種別 

地盤の種類 

平均せん断波速度 

Vs,30[m/s] 

β2 

地盤種別0 

第三紀以前の岩盤 

800超 

1.0 

地盤種別1 

岩盤が砂,砂利,又は堅い粘土によって覆われた堅い
砂地の土壌によって構成される堅い地盤 

360を超え,800以下 

1.4 

地盤種別2 

地盤種別1と3との中間 

180を超え,360以下 

1.6 

地盤種別3 

沖積層又はその深さが30 m以上の中間から柔らかな土
壌によって構成される中間から柔らかな地盤 

180以下 

2.0 

 

5.2.4 

加速度応答倍率β3の算定 

5.2.4.1 

一般 

加速度応答倍率β3は,次によって決める。 

a) クレーンの支持構造物がある場合,その動特性 

b) 地震によって励起される振動モードのうち,クレーンの方向を考慮して最も重要な振動モードの固有

振動数又は固有周期 

c) 振動モードの減衰比 

d) クレーン設置場所の地盤種別 

最も地震の影響を受ける振動モードの固有振動数又は固有周期として,計測又はコンピュータを使用し

た計算で得られる1次の振動モードに着目する。 

 

β3は,式(4)から求める。 

β3=

*

3β×η×δ  (4) 

ここに, 

*

3β: クレーン構造物の減衰比を0.025とした場合の基本加速

度応答倍率(5.2.4.2参照) 

 

η : 減衰比の違いを考慮した加速度応答倍率の補正係数 

(5.2.4.3参照) 

 

δ : 支持構造物による応答増幅率(5.2.4.4参照) 

5.2.4.2 

基本加速度応答倍率

*

3β 

クレーン構造物の固有振動数又は固有周期及びクレーン設置場所の地盤種別による値を,図2に示す。 

天井クレーン,コンテナクレーンなどの橋形クレーンの固有周期は,附属書JBに示す簡易計算法を用

いて求めてもよい。 

 


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図2−基本加速度応答倍率

*

3β(クレーン構造物の固有周期又は固有振動数及び 

クレーン設置場所の地盤種別による。) 

 

5.2.4.3 

減衰比の違いを考慮した加速度応答倍率の補正係数η 

式(4)に示す減衰比の違いを考慮した加速度応答倍率の補正係数ηは,クレーン構造物の減衰比ζによっ

て表3から求める。 

 

表3−減衰比の違いを考慮した加速度応答倍率の補正係数η 

減衰比ζ 

0.01 

0.015 

0.02 

0.025 

0.03 

0.04 

0.05 

0.1 

η 

1.24 

1.15 

1.06 

1.0 

0.94 

0.87 

0.80 

0.62 

 

部材の応力が弾性限度内にある構造物の減衰比の代表的な値は,溶接構造物に対してζ=0.025,ボルト

接合に対してζ=0.04,溶接とボルトとの組合せ構造に対してζ=0.03である。部材が弾性限界に近い応力

で使われる場合は,減衰比を割増してもよい。 

減衰比は,次の方法によって得てもよい。 

a) 計測 

b) 構造部材の非線形挙動又は摩擦接合部の摩擦力変位関係のヒステリシス評価 

5.2.4.4 

支持構造物による応答増幅率δ 

支持構造物上で運転されるクレーンの場合,δは,式(5)から求める。ただし,地表面又は地表面に敷か

れたレール上で運転されるクレーンの支持構造物[建築物,ふ(埠)頭,岸壁など]による応答増幅率を

求める場合,δ=1とする。 


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1

1

1

71

.0

2

2

2

2

≧   (5) 

ここに, 

λ: 表4で与えられるクレーン構造物と支持構造物との固有

周期比に関する係数 

 

κ: 図3で与えられるクレーン構造物と支持構造物との相互

作用における減衰効果に関する係数であり,図3のζは,
クレーン構造物の減衰比(5.2.4.3参照)を示す。 

 

表4−クレーン構造物と支持構造物との固有周期比に関する係数λ 

固有周期比 

λ 

Tc/Tp≦0.9 

2

c

p

2

2

c

p

1.8

1

1

0.81

TT

T

T

 

0.9<Tc/Tp≦1.1 

Tc/Tp>1.1 

2

c

p

2

2

c

p

2.2

1

1

1.21

TT

T

T

 

 

ここに, 

 

s

c

c

m

m

m

: クレーン構造物とクレーンを含む支持構造物との質量比 

 

mc: クレーン構造物全体の質量 

 

ms: 支持構造物全体の質量 

 

Tc: 支持構造物を剛体とした場合のクレーン構造物の固有周期 

 

Tp: クレーン構造物を剛体とした場合の支持構造物の固有周期 

 

 

 


10 

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図3−係数κと減衰比ζとの関係 

 

減衰比をζ=0.025とし,クレーン構造物とクレーンを含む支持構造物との質量比θをパラメータとした

場合の,支持構造物による応答増幅率δの固有周期比に対する変化を図4に示す。クレーン構造物の固有

周期が支持構造物の固有周期に近接し,かつ,支持構造物の質量がクレーンの質量より相当大きな場合,δ

は大きくなる。 

なお,垂直方向に十分な剛性がある支持構造物では,一般に支持構造物の垂直方向の固有周期が短いた

め,水平方向ほど地震動が増幅されない。 

 

 

クレーン構造物の減衰比 ζ 


数 

κ 


11 

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図4−式(5)によるδのTc/Tpによる変化 

 

5.3 

設計垂直震度KVの計算 

設計垂直震度KVは,式(6)から求める。 

KV=c×KH   (6) 

ここに, 

c: 垂直震度影響係数 

ただし,この規格では0.5とする(附属書F参照)。 

 

KH: 式(1)の設計水平震度 

ただし,KV用にKHを算出する場合の支持構造物による
応答増幅率は,δ=1を用いる(図4参照)。 

5.4 

地震設計荷重の計算 

5.4.1 

設計地震加速度の計算 

設計水平地震加速度aH及び設計垂直地震加速度aVは,式(7)及び式(8)によって,設計水平震度KH及び

設計垂直震度KVから求める。 

aH=KH×g   (7) 

aV=KV×g   (8) 

5.4.2 

地震設計荷重の計算 

クレーン構造物又はクレーン構造部材に働く水平地震設計荷重FH,及び垂直地震設計荷重FVは,式(9)

及び式(10)から求める。 

FH=KH×Wc 又は FH=aH×mc   (9) 

FV=KV×Wc 又は FV=aV×mc   (10) 

ここに, 

Wc: クレーン構造物の質量による荷重(垂直静荷重) 

 

mc: クレーン構造物の質量 

つり荷による地震設計荷重は,水平及び垂直それぞれ式(10)及び式(11)から求める。水平地震設計荷重が


12 

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省略可能であるとしても,垂直地震設計荷重は考慮する必要がある。 

FRH=KH×χ×WR 又は FRH=aH×χ×mR  (11) 

FRV=KV×χ×WR 又は FRV=aV×χ×mR   (12) 

ここに, 

χ: つり荷への地震の影響係数 

 

WR: クレーンのつり荷の質量による荷重(垂直動荷重) 

 

mR: つり荷の質量 

χは0.0〜1.0の範囲で,JIS B 8822-1のクレーン分類に従って選択する。χの値は,表5によって選択す

る。 

 

表5−つり荷への地震の影響係数χ 

クレーン分類 

(JIS B 8822-1) 

A1 

A2 

A3 

A4 

A5 

A6 

A7 

A8 

χ 

0.0 

0.14 

0.28 

0.43 

0.57 

0.71 

0.86 

1.0 

 

リスク係数γnを考慮した水平地震設計荷重FHr,垂直地震設計荷重FVr並びにつり荷による地震設計荷重

のFRHr,及びFRVrは,式(13)〜式(16)から求める。 

なお,リスク係数の考え方については,附属書JCに示す。 

FHr=FH×γn   (13) 

FVr=FV×γn   (14) 

FRHr=FRH×γn   (15) 

FRVr=FRV×γn   (16) 

 

応答スペクトル法による地震設計荷重の算定 

6.1 

一般 

応答スペクトル法は,クレーン構造物を多自由度系とみなしたモデルの,地震応答に関係する振動数範

囲における複数の振動モードを包含した範囲で,クレーンの地震応答を計算する方法である。 

実際のクレーン構造物は無限な自由度をもつが,FEMなどの認知された方法によって,多自由度系の質

点−ばねモデル法を使った有限な自由度の動的システムに離散化して,クレーンの主要な振動特性を得る

ことから応答計算を開始する。 

構築したモデルを固有値解析することによって,各次の固有周期又は固有振動数,振動モードの形状及

び振動モードの刺激係数を計算する。 

クレーン構造物の応答は,通常,3方向(垂直1方向及び水平直交2方向)別々に計算し,各次の固有

振動モード応答は,固有振動モードの振動数又は周期,減衰,及び有効振動モード質量に対応した応答ス

ペクトルから得られる最大応答加速度又は変位として計算する。 

この規格では,垂直応答スペクトルは水平応答スペクトルの50 %として計算する。水平直交2方向のス

ペクトルが異なる場合は,大きい方の値から垂直応答スペクトルを計算する。ただし,支持構造物上のク

レーン構造物にあっては,δ=1として垂直応答スペクトルを計算する。 

3方向それぞれの応答は,次の認められた方法によって,各次の固有振動モード応答を重ね合わせて得


13 

B 8842:2020  

 

られる。 

a) 全ての値の合計 

b) ルート平均(二乗和平方根法)(SRSS) 

c) CQC(Complete Quadratic Combination)法 

 

3方向それぞれの応答は,クレーン構造物の地震応答のほかに,クレーンのつり荷の質量によって生じ

る荷重(垂直動荷重)による影響も考慮する。 

応答スペクトル法による地震応答解析の主要なステップを,表C.1に示す(X方向の地震動だけを例と

して示す。)。 

この方法は,クレーン構造部材が弾性範囲及びクレーン構造物の地震応答が線形であると仮定している

ため,解析に用いる振動モードの数が増えれば精度は向上する。また,この方法によって耐震計算を行う

場合も,修正震度法に基づく一次評価を行い,両者の結果を比較して差異が生じた場合,その要因を分析

して,両者から得られた結果の妥当性を評価する。 

6.2 

地震応答の総和(TSR)の計算方法 

6.1に規定する応答の重ね合せについて,この規格ではSRSSを振動モードの重ね合せ及び地震設計荷重

の方向の重ね合せの標準方法とすることとし,修正震度法を準用して必要なパラメータを求める。 

FEMなどを使用して,クレーン構造物のモデル化を行う場合の応答スペクトル法は,次の手順で行う。 

− 剛体限界の振動数を30 Hz(周期0.033秒)以上として,それ以下のクレーンの全ての固有振動数又は

固有周期を計算する。 

− クレーン設置場所の地盤種別から,図2によって適切な設計カーブを選択し,適切な

*

3βを求める。 

− 何次までの固有振動モードを使用するか定める。各有効振動モード質量の合計が,全質量の90 %を超

えることを目標とする。ただし,堅いサドルのある天井クレーン,バラスト上のクレーン,及び大き

なつり荷があるクレーンの場合は,その目標は達成できない。 

− 解析モデルのうち,使用されなかった全ての有効振動モード質量には,30 Hz(周期0.033秒)の

*

3βを

用いる。 

− 

*

3βに,次の値を乗じて各固有振動モードの最終設計スペクトル加速度を計算する。 

− 変換係数fcon=0.16[式(1)] 

− クレーン設置場所による基本水平震度Abg(5.2.2参照) 

− 地盤種別補正係数β2(5.2.3参照) 

− 減衰比の違いを考慮した加速度応答倍率の補正係数η(5.2.4.3参照) 

− 3方向(水平X,垂直Y及び水平Z方向)の地震動それぞれに対して,最終設計スペクトル加速度及

び刺激係数を各固有振動モードの要素部材の内力,応力,節点変位などを計算するための入力として

使用する。3方向の振動それぞれに対して,全ての固有振動モードの要素部材の計算結果をSRSSに

よって重ね合わせて合計値[respt(X),respt(Y) 及びrespt(Z)]を計算する。 

− 3方向の計算結果respt(X),respt(Y) 及びrespt(Z) をSRSSによって重ね合わせて要素部材の地震応答の

総和(TSR)を式(17)によって計算する。 

2

2

2

SRSS

t

t

t

TSR

respX

respY

respZ

  (17) 

SRSSに代わる方法としては,3方向の応答計算結果を次の式(18)又は式(19)によって重ね合わせる。 

− 100-40-40法 


14 

B 8842:2020  

 

1004040

1.0

0.4

0.4

t

t

t

TSR

respX

respY

respZ , 

1004040

0.4

1.0

0.4

t

t

t

TSR

respX

respY

respZ 又は 

1004040

0.4

0.4

1.0

t

t

t

TSR

respX

respY

respZ   (18) 

− 全ての組合せの絶対和 

abs

1.0

1.0

t

t

TSR

respX

respY 又は 

abs

1.0

1.0

t

t

TSR

respZ

respY   (19) 

 

地震と地震以外の荷重との組合せ 

7.1 

一般 

静的強度に関する地震と地震以外との荷重の組合せについては,7.2及び7.3で二つの方法を示すが,こ

の規格では7.2を用いるのがよい。 

クレーンの全体安定度に関しては,7.4に示す。 

7.2 

静的強度の照査(JIS B 8833-1による荷重の組合せ) 

箇条5で計算する耐震設計荷重は,JIS B 8833-1の特殊荷重相当の扱いとなる。荷重の組合せCJで示さ

れるものは定常荷重,非定常荷重及び特殊荷重の組合せを対象としており,耐震設計荷重は表6による組

合せを適用する。 

 

表6−JIS B 8833-1による耐震設計荷重の組合せ 

荷重 

荷重の組合せ 

CJ1 

CJ2 

クレーン構造物の質量による荷重(垂直静荷重) 

つり荷の質量による荷重(垂直動荷重) 

垂直方向のクレーン基礎振動によるFVr,FRVr 

0.4 

水平方向のクレーン基礎振動によるa) FHr,FRHr 

0.4 

注a) 水平荷重FHr,FRHrはどの水平方向へもかけることができ,検討中のクレーン要素の方向は最

も不利な方向となるように選択する。 

 

7.3 

静的強度の照査(SRSS法による荷重の組合せ) 

6.2のSRSSによる計算結果に対する荷重は,表7によって他の荷重と組み合わせる。 

 


15 

B 8842:2020  

 

表7−SRSS法による耐震設計荷重の組合せ 

荷重 

荷重の組合せ 

CJ3 

CJ4 

CJ5 

CJ6 

クレーン構造物の質量による荷重(垂直静荷重) 

つり荷の質量による荷重(垂直動荷重) 

地震応答の総和(SRSS)−つり荷をつったクレーン 

−1 

地震応答の総和(SRSS)−つり荷をつっていないクレーン 

−1 

 

つり荷又は可動部分(トロリ,ジブ,カウンタウエイトなど)の位置の変化による荷重の大きさは,最

大の影響を考慮しなければならない。 

7.4 

全体安定度の照査 

地震設計荷重を含む全体安定度は,表8を用いてJIS B 8833-1に基づく他の荷重と組み合わせる。 

 

表8−地震設計荷重を含む全体安定度設計に対する荷重の組合せ 

荷重 

荷重の組合せCJ7 

クレーン構造物の質量による荷重(垂直静荷重),不利方向a) 

1.05 

クレーン構造物の質量による荷重(垂直静荷重),有利方向a) 

つり荷の質量による荷重(垂直動荷重) 

地震設計荷重合計 

注a) 荷重の組合せ及びクレーンの姿勢についての安定度を計算する場合,クレーンの各部の質量

による荷重によって検討中の支点からの転倒又は浮き上がりに対する荷重影響が増加(不利)
する,又は減少(有利)する方向とする。 

 

1.0〜2.0のリスク係数γnは表8の地震設計荷重にだけ乗じるが,クレーンの不利な方向に作用する質量

による荷重も考慮する必要がある場合も考えられる。 

水平地震設計荷重FH及びFRHは,どの水平方向へも働くが,方向はクレーンの安定度に関して最も不利

な影響となる方向を選択しなければならない。 

検討している安定度の条件が明確である荷重の組合せを除いては,地震時の安定度を確認する場合は全

てのつり荷の質量及びクレーンの姿勢を考えなければならない。 

7.5 

性能照査 

限界状態設計法による性能照査は,JIS B 8829による。一般抵抗係数γmは1.0とし,座屈の評価は微小

変形理論ではなく,構造のたわみ,初期不整などの変形が及ぼす影響を考慮した“2次オーダーの弾性理

論”(EN 1993-1-1[9]参照)に基づいた計算を必要に応じて考慮する。 

限界状態設計法の適用については,JIS B 8833-1の附属書A(限界状態設計法の適用)に規定されてい

る。 

 

時刻歴応答法による地震設計荷重の算定 

8.1 

レベル1地震動による地震設計荷重の算定 

時刻歴応答法による解析を行う場合は,クレーン設置場所の地盤特性を考慮して作成された適切なレベ

ル1地震動を用いる。垂直方向の地震動が示されない場合には,修正震度法によって求めた垂直地震設計

荷重を用いる。クレーンに対する地震の影響の評価は,修正震度法による場合と同様にして行うが,機能

を損なわない範囲でクレーン構造物が局所的に降伏応力を超え,若干の塑性化が発生することは差し支え


16 

B 8842:2020  

 

ない。この場合,設定する要求性能を受渡当事者間で協議してあらかじめ設定して差し支えない。ただし,

塑性化を許容した部材以外は弾性域にあり,クレーンの使用性及び安全性が維持されることを確認する。 

この方法によって耐震計算を行う場合も,修正震度法に基づく一次評価を行い,両者の結果を比較して

差異が生じた場合,その要因を分析して,両者から得られた結果の妥当性を評価する。 

8.2 

レベル2地震動による地震設計荷重の算定 

8.2.1 

地震動の設定 

クレーン設置場所の震源及び地盤特性を考慮したサイトごとのレベル2地震動を作成できることが前提

となる。ただし,地震動を一波で代表させるときは十分な調査をする。 

8.2.2 

地震時の安全性の照査 

レベル2地震動による地震設計荷重に対して受渡当事者間で協議してあらかじめ設定する要求性能とし

て,クレーン構造物の崩壊,倒壊などの構造的不安定,脱輪,つり荷又はクレーン部品の落下がないこと,

運転者又は作業者,公共物などの安全が保たれることなどがある。 

さらに,地震後につり荷を地上へ降ろせること,すぐにクレーンが稼働できることは要求されないが修

復によって機能を回復できることなどがある。これらは,信頼性がある合理的な方法によって照査を行う。 

レベル2地震動に対する耐震設計を行う場合も,レベル1地震動に対する修正震度法に基づく一次評価

を行い,その結果とこのような方法で得られた結果を比較しながら,両者の結果に差異が生じた要因を分

析して,両者から得られた結果の妥当性を評価する。 

さらに,何らかの機能維持が必要なクレーンにあっては,機能が維持できることも適切な方法によって

確認しなければならない。 

このように,レベル2地震動に対する耐震設計時においては,構造部分に降伏応力を超え,塑性変形が

生じてもよい。塑性変形又はクレーン脚の一部が浮き上がることなどを許容するため,あらかじめ規定し

たこれら以外の構造部材は弾性域にとどまることを確認する必要がある。また,塑性変形が過度に大きく

ならないこと,及び余震時にも不安定にならないことに配慮する。 

 

免震・制振クレーン 

レベル2地震動は大きいため,構造部材が塑性域に入る可能性があるが,クレーンは構造的不安定に対

する余裕が少ないため,安全性及び経済性を両立させるために免震・制振装置などが採用される場合があ

る。 

このような装置は,レベル2地震動対応として採用されることが多いが,レベル1地震動に対しても機

能を損なわず継続して使用でき,車輪の浮上りがなく,脱輪しないことが要求される。免震・制振クレー

ンの耐震設計に当たっては,クレーンと免震・制振装置との連成モデルを構築し,複数の適切な地震動に

対して時刻歴応答法による解析を行うなどによって,免震・制振装置が働き出す地震設計荷重(トリガー

荷重)を算定し,クレーンの主要構造部材が弾性範囲内に収まる応力設計を行うことを原則とする。また,

免震・制振装置の性能限界内に十分収まるよう配慮しなければならない。 

採用する免震装置又は制振装置の特性に非線形性が存在する場合には,これを適切な方法によって解析

モデルに組み込むものとする。 

なお,免震・制振クレーンであっても,修正震度法に基づく一次評価を行い,両者の結果を比較して差

異が生じた場合には,その要因を分析して,両者から得られた結果の妥当性を評価する。ただし,この場

合の設計水平震度KHの値は0.1以上を確保する。 


17 

B 8842:2020  

 

附属書A 

(参考) 

修正震度法による耐震設計 

 

修正震度法によるクレーンの耐震設計のフローチャートを図A.1に示す。 

 

 

図A.1−修正震度法によるクレーンの耐震設計のフローチャート 

スタート 

エンド 

クレーンの初期設定 

Abg及びβ2の決定 

この規格の 
範囲 

固有周期Tc又は固有振動数fcの計算 

加速度応答倍率β3の計算 

水平及び垂直方向設計震度 

KH,KVの計算 

水平及び垂直地震設計荷重 

KH,KV,FRH,FRVの計算 

リスク係数を考慮した水平及び垂直地震設計荷重 

KHr,KVr,FRHr,FRVrの計算 

地震設計荷重と他の荷重との組合せ 

構造設計 

の変更 

部材力及び応力 

Sdの計算 

クレーン構造 
の局所的変更 

限界値Rd 

SdとRdとの比較 

Rd>Sd 

Yes 

No 


18 

B 8842:2020  

 

附属書B 

(規定) 

設計加速度 

 

基本水平震度Abgは,クレーンが設置されている地域の地震発生評価に基づき決定する。ISO 11031:2016 1) 

における基本水平震度Abgは,再現期間475年に基づく。これは50年10 %の発生確率(1年に0.2 %)に

一致する。 

この規格では,基本水平震度Abgにfconを乗じて再現期間72年相当の水平震度に変換することを念頭に,

地震発生度が相対的に低い地域の水平震度が極端に小さくなることがないように配慮した。すなわち,再

現期間475年相当の基本水平震度AbgをSA地域及びA地域で定め,B地域及びC地域のAbgをA地域の

それぞれ0.9倍及び0.8倍となるように設定した。Abgの分布を図B.1に,地域区分ごとのAbgの値を表B.1

に示す。 

なお,地表面の基本震度Asgは,地盤種別補正係数β2(表2)をAbgに乗じた値である。 

注1) 日本以外の各国のAbgは,ISO 11031のAnnex B(Design accelerations and seismic zones)を参照。 

 

 

 

地域C 

 

地域A 

 

地域B 

 

地域SA 

 

図B.1−日本の地域区分 


19 

B 8842:2020  

 

表B.1−日本の基本水平震度 

地域区分 

基本水平震度 

Abg 

SA 

0.45 

0.36 

0.33 

0.29 

 


20 

B 8842:2020  

 

附属書C 
(参考) 

応答スペクトル法 

 

応答スペクトル法による地震設計荷重の算定のステップを,表C.1に示す。 

 

表C.1−応答スペクトル法を用いた一方向の地震応答の手法[“resp(dir)”の算出] 

ステップ1−振動モード,固有周期又は振動数の計算 

 

 

 

 

部材を多質点によって 

モデル化 

振動モード1 

振動モード2 

振動モード3 

ステップ2−選択した固有振動モードについて検討する方向の応答スペクトルから地震による基本加速度応
答倍率の決定 

 

ステップ3−選択した固有振動モードについて全節点の地震設計荷重Fjiの計算 

 

Fj1 

振動モード1のときの節点jの 

地震設計荷重 

Fj2 

振動モード2のときの節点jの 

地震設計荷重 

Fj3 

振動モード3のときの節点jの 

地震設計荷重 

注記 選択した固有振動モードについて,全ての節点の地震設計荷重は刺激係数及び固有振動モードの応答ス

ペクトルを用いて計算する。 

β3(T)* 

β3(T3)* 
β3(T2)* 
β3(T1)* 

 

 

T3 

T2 

T1 


21 

B 8842:2020  

 

表C.1−応答スペクトル法を用いた一方向の地震応答の手法[“resp(dir)”の算出](続き) 

ステップ4−選択した固有振動モードiについて全節点jにおける部材の応力Nji(軸力),Vji(せん断力)及
びMji(曲げモーメント)の各振動モード成分を計算 
例 重要であるとして選択した固有振動モード1,2及び3の節点jにおける曲げモーメントの固有振動モー

,,,

L

Z jxi

M

が重要であるとして選択した方向の地震による場合 

 

,,,1

L

Z jx

M

 

固有振動モード1のときの節点j

における断面の局所軸ZL回りの 

曲げモーメント 

(地震設計荷重方向x) 

,,,2

L

Z

jx

M

 

固有振動モード2のときの節点j

における断面の局所軸ZL回りの 

曲げモーメント 

(地震設計荷重方向x) 

,,,3

L

Z

jx

M

 

固有振動モード3のときの節点j

における断面の局所軸ZL回りの 

曲げモーメント 

(地震設計荷重方向x) 

ステップ5−選択した全ての固有振動モードiについて必要な全ての節点jにおけるステップ4によって計算
した応力N,V及びMによる地震応答resp(dir)(応力,変位)の計算 
例 重要であるとして選択した節点jの断面における局所軸ZL回りの曲げモーメントによる曲げ応力

1

,

, ,,

L

bZ jxi

(地震設計荷重方向x) 

 

1

1

,

, ,,1

L

bZ jx

respx

 

節点j1の固有振動モード1のとき

の節点jにおける局所軸ZLに関す

る曲げモーメントによる応力 

(地震設計荷重方向x) 

1

2

,

, ,,2

L

bZ jx

respx

 

節点j1の固有振動モード2のとき

の節点jにおける局所軸ZLに関す

る曲げモーメントによる応力 

(地震設計荷重方向x) 

1

3

,

, ,,3

L

bZ jx

respx

 

節点j1の固有振動モード3のとき

の節点jにおける局所軸ZLに関す

る曲げモーメントによる応力 

(地震設計荷重方向x) 

ステップ6−地震設計荷重方向に対する要素部材の地震応答の総和(TSR)を選択した全ての固有振動モード
についてSRSSによって合計する(全ての節点の応力,変位)。 

    

2

2

2

1

2

3

t

respdir

respdir

respdir

respdir

 

例 地震設計荷重方向xによる節点j1の曲げ応力の合計

1

,

, ,

L

bZ jx

は固有振動モード1,2及び3についてステッ

プ5で計算した局所軸ZL回りの曲げモーメントによる応力を合計する。 

    

1

1

1

1

2

2

2

,

,,

,

,,,1

,

, ,,2

,

,,,3

L

L

L

L

bZ jx

bZ jx

bZjx

bZ jx

 

 


22 

B 8842:2020  

 

附属書D 
(参考) 

時刻歴応答法と応答スペクトル法・修正震度法との比較 

 

D.1 一般 

時刻歴応答法は,耐震設計について非常に詳細な評価が必要とされる場合,又は非線形挙動が許容され

る場合に,地震設計荷重の計算のための修正震度法及び応答スペクトル法に代わるものとして用いられる。 

時刻歴応答法は,非常に詳細な方法だが,入力として使用する地震動は特定の時刻歴入力波形となる。

考慮中のクレーンに多かれ少なかれ影響する一つの応答スペクトルからスペクトル適合波と呼ばれる複数

の時刻歴入力波形を生成することができるので,同一の応答スペクトル曲線となる,少なくとも二つ,で

きれば三つの統計的に独立した時刻歴入力波形が使用されることが重要であり,そうでなければ信頼性に

欠ける結果を招く可能性がある。クレーン設置場所の震源及び地盤特性を考慮したサイトごとに設定され

る地震波を用いる場合も,想定する断層及び地盤特性を十分に調査する必要がある。 

時刻歴応答法を,修正震度法及び応答スペクトル法と比較して表D.1に示す。 

 

表D.1−地震応答解析3方法の特徴 

応答解析方法 

複雑さ 
難しさ 

構造解析の範囲 

地震による加速

度の詳しさ 

地震設計荷重の

詳しさ 

応答の特徴 

修正震度法 

扱いやすく簡単,
コンピュータの
使用が推奨され
るが必須ではな
い 

弾性範囲で線形 

近似 

近似だが安全側
を目指す 

クレーンの固有
周期/振動数か
らの応答スペク
トル及び推定値
に依存 

応答スペクトル
法(箇条6及び附
属書C参照) 

より複雑でコン
ピュータの使用
が要求される 

弾性範囲で線形 

より詳細ではあ
るが,地震加速度
の最大値だけを
使用する方法の
限界内 

より詳細ではあ
るが,地震設計荷
重とクレーン応
答の上限推定値
しか得られない 

使用する応答ス
ペクトルによる 

時刻歴応答法 
(D.2参照) 

複雑でコンピュ
ータの使用が必
須 

弾性,塑性,線形,
非線形 

実際的な地震動
を入力に使用し
た詳細なシミュ
レーション 

地震動による地
震設計荷重に対
するクレーン応
答の詳細なシミ
ュレーション 

使用する地震波
による 

 

D.2 時刻歴応答法による地震応答 

地震の加速度波形は,過去に発生した地震の記録又は人工的若しくはシミュレーションによって合成し

たものである。観測地震波は,過去の実際の地震波の観測記録である。 

人工的な加速度波形は,次の二つの方法から作成される。一つは,地盤の最大加速度の設計値と加速度

波形の持続時間との関係を示す応答スペクトルに合わせて作られるスペクトル適合地震波であり,もう一

つは断層破壊の物理的過程をシミュレートする模擬地震波である。この場合,指定された方向の地震入力

として使用しなければならないこともある。 

加速度波形は,震源の物理的シミュレートを用いて作られる。異なる加速度波形を異なった方向の地震

入力用として使用しなければならないことがある。 


23 

B 8842:2020  

 

時刻歴応答法には,次の二つのオプションが利用可能である。 

a) 直接時間積分法は,離散化されたクレーンモデルの運動方程式の直接時間積分によって時刻歴応答を

求める方法である。この方法は全ての非線形特性を扱うことができるが,計算の複雑さによる計算機

及び解析エンジニアの負担が大きくなる。 

b) モード重ね合せ法は,固有値解析から選択した固有振動モード形状ごとのステップバイステップの積

分値を求めそれを重ね合わせて,地震応答の時刻歴とする。これは,直接時間積分法よりも簡便であ

るが,非線形性の取扱い能力には限界がある。 

 

時刻歴応答法に基づく水平一方向の地震応答解析の主要なステップを,表D.2に示す。 

 

表D.2−時刻歴応答解析のステップ(一方向) 

ステップ1 クレーン構造物のモデル化。FEMなどによって質点−ばねモデルとする。 

 

ステップ2 入力する地震動の選択。地震の加速度波形(人工波,記録波又はシミュレート波)を用いる。 

 

ステップ3 クレーン応答の計算。これは地震動と他の非地震設計荷重,例えばクレーンの質量による荷重
(垂直静荷重),つり荷の質量による荷重(垂直動荷重)を入力とし,時間領域でシステム方程式の時間ステ
ップごとに積分される時間変化に伴う節点加速度に関係する。 

 

ステップ4 構造部材の節点における時間変化に伴う変位及び応力の計算並びに最大値の算出。 

 

1:最大加速度,2:最大せん断力,3:最大曲げモーメント,X:時間,Y:加速度 

 


24 

B 8842:2020  

 

附属書E 

(参考) 

リヒタースケール,地表面地震加速度及び震度階の関係 

 

(対応国際規格で記載されている表は,JISでは採用しない) 

 


25 

B 8842:2020  

 

附属書F 

(参考) 

垂直震度影響係数 

 

垂直震度影響係数cは,垂直及び水平の設計震度KV及びKHに関係する。 

地震動の距離減衰式から得られた応答スペクトルの垂直方向加速度と水平方向加速度との比は,周期0.1

〜5秒の範囲で約0.4〜0.7の範囲である(図F.1[1],[2],[3]参照)。 

垂直震度影響係数cを0.5に設定することが望ましい。 

 

 

 注記 c=KV/KH 

 

図F.1−地震動の距離減衰式からの応答スペクトルと地震の周期成分との垂直震度の水平震度に対する比 

周期(秒) 





数 

(c) 

[1] 

[2] 

[3] 

c=0.5 


26 

B 8842:2020  

 

附属書JA 

(参考) 

地盤種別補正係数β2の算定 

 

JA.1 地盤種別補正係数β2 

地盤種別補正係数β2は,表層地盤の種別によって定められる。これは,地震動が基盤から表層地盤を伝

わって地表面に達する間に増幅される程度の違いを表している。この規格では,埋土又は沖積層の厚さに

よって地盤を4種類に分類した。地盤種別0は第三紀以前の堅固な岩盤が露頭している岩盤の種別である。 

表層地盤に地盤改良を施した場合には,地盤の剛性は高まるものの地震動増幅の低減効果は評価し難い

ことから,改良前の地盤をもって地盤種別を評価するものとした。ただし,地盤改良の一種ではあるが,

軟弱層を広範囲に除去した場合には,新たに露出させた地盤を地表面として表層地盤を評価してよい。 

表層地盤の固有周期が地震動の卓越周期と一致し共振する場合を除いて,実例によると基盤での地震動

は,表層地盤で1.5倍〜2.0倍程度増幅される[高圧ガス保安協会“コンビナート保安・防災技術指針”(1974)

による]そこで,他基準を参考に係数を設定した。 

また,周期の長い地震波ほど深い地盤構造の影響を受けるため,周期2s以上のいわゆる長周期地震動に

関しては,沖積層の厚さだけで増幅の程度を推し量ることが適当か否かは今後の課題である。長周期のク

レーンの設計時には,設置予定地点が長周期地震動の発達しやすい地点かどうかを十分に検討する必要が

ある。 

注記 消防法における屋外貯槽の設計基準では,長周期地震動が発達する可能性の高い地域に対して,

卓越周期を考慮した応答倍率が個別に設定されている。 

 

JA.2 地盤種別の判定 

地盤種別の判定は,ボーリングによる土質調査,又は地震観測若しくは常時微動観測によって行われる

が,地震観測又は常時微動観測の場合は地震工学の専門技術者の判断によることが必要となる。 

一つの目安として,地盤種別ごとの平均周期及び卓越周期を,表JA.1に示す。 

 

表JA.1−地盤の区分及び周期 

地盤種別 

平均周期 

卓越周期 

地盤種別1 

0.2秒間以下 

0.1秒間以下 

地盤種別2 

0.1〜0.8秒間 

0.3〜0.6秒間付近 

地盤種別3 

0.6秒間以上 

1.0秒間付近 

 

JA.3 地盤調査が行われている場合の地盤の特性値 

標準貫入試験等の地盤調査が行われている場合,地盤種別は,表JA.2によって特定できる。 

なお,地表面が基盤面(クレーンが設置される地点を含む十分広い領域に広がる,標準貫入試験のN値

50以上の地層の上面又はせん断弾性波速度が400 m/s以上の地層の上面)と一致する場合は,地盤種別1

とする。 

 


27 

B 8842:2020  

 

表JA.2−地盤調査が行われている場合の地盤の特性値TG 

地盤種別 

地盤の特性値TG 

概略該当地盤 

地盤種別1 

0.1未満 

良好な地盤 

地盤種別2 

0.1以上,0.6未満 

中間的地盤 

地盤種別3 

0.6以上 

軟弱地盤 

 

地盤の特性値TGは,次の式で算出される。 

i

G

si

1

4

n

i

H

T

V

 

ここに, 

TG: 地盤の特性値(s) 

 

Hi: i番目の地層の厚さ(m) 

 

Vsi: i番目の地層の平均せん断弾性波速度(m/s) 

粘性土層の場合: 

1
3

si

i

100

V

N

 

砂質土層の場合: 

1
3

si

i

80

V

N

 

ここに, 

Ni: 標準貫入試験によるi番目の地層の平均標準貫入試験の

N値 

 

i: 該当地盤が地表面から基盤面までn層に区分されるとき

の,地表面からi番の地層番号 

 


28 

B 8842:2020  

 

附属書JB 

(参考) 

クレーンの固有周期の簡易計算 

 

クレーンの固有周期は,対象とするクレーンと同型のクレーン挙動を測定して求めるか,又は骨組構造

の固有値解析によって求める。 

天井クレーン及びコンテナクレーンなどの橋形クレーンの固有周期は,式(JB.1),式(JB.2)及び式(JB.3)

による略算結果に換えてもよい。 

− 天井クレーン 

 

走行方向固有周期:Tz(s) 

z

c

z

2

T

m

  (JB.1) 

− 橋形クレーン 

 

横行方向固有周期:Tx(s) 

c

x

x

2

2

m

T

  (JB.2) 

 

走行方向固有周期:Tz(s) 

zs

zl

z

c

zs

zl

2

T

m

  (JB.3) 

式(JB.1),式(JB.2)及び式(JB.3)式において 

mc:天井クレーンガーダ片側の質量,又は橋形クレーンの脚部を除く全質量(kg) 

αz:天井クレーン走行方向ガーダの水平たわみ係数(s2/kg) 

αx:橋形クレーン横行方向1架構の水平たわみ係数(s2/kg) 

αzs:橋形クレーン走行方向海側架構の水平たわみ係数(s2/kg) 

αzl:橋形クレーン走行方向陸側架構の水平たわみ係数(s2/kg) 

(αx及びαzs,αzlは,各々図JB.1及び図JB.2に示す位置に単位水平力P=1 Nを与えたときのその点の

水平変位) 

 

 

 

図JB.1−橋形クレーンの横行方向 

図JB.2−橋形クレーンの走行方向 


29 

B 8842:2020  

 

これらの式において,水平たわみ係数αx,αzは次の式で与えられる。 

横行方向 水平たわみ係数:αx 図JB.3に示す曲げモーメント図を参照して 

2

3

c

x

c

b

d

c

d

3

1

2

2

1

12

2

An

m

mn

EI

k

k

EAs

Am

 

ここに, 

E: ヤング係数 

m

I

s

I

k

c

b

b

 

m

I

n

I

k

c

d

d

 

 

Ac,Ic: 下部柱の断面積及び断面二次モーメント 

 

Ad,Id: 上部柱の断面積及び断面二次モーメント 

 

Ib: はりの断面二次モーメント 

であり,断面積及び断面二次モーメントの添え字は図中の部材記号を示す。 

 

 

図JB.3−横行方向 

 

走行方向 水平たわみ係数:αz 図JB.4に示す曲げモーメント図を参照 

3

3

c2

1

2

z

c1

b1

1

c2

b2

2

1

2

2

12

12

k

h

h

h

h

EI

kh

EI

kh

ここに, 

  

2

c2

b1

b2

c2

c2

b2

c2

b1

b2

1

c2

c2

6

1

1

1

3

1

6

1

1

121.0

1

1

61

61

k

k

k

k

k

k

k

k

k

h

h

h

k

k

 

1

2

h

h

h

 

1c

2

c

2

c

I

I

k

 

Ic1,Ic2:各々下部及び上部柱の断面二次モーメント 

h

I

l

I

k

1c

1b

1b

 

Ib1,Ib2:各々下部及び上部はりの断面二次モーメント 

h

I

l

I

k

1c

2

b

2

b

 

 


30 

B 8842:2020  

 

 

図JB.4−走行方向 


31 

B 8842:2020  

 

附属書JC 

(参考) 

リスク係数γnの考え方 

 

リスク係数γnの基本的な考え方を,次に示す。 

このリスク係数は,ISO 2394に示される信頼性の解析に基づくリスク係数でなく,表JC.1に示す係数

であり,クレーン倒壊による人的被害,及び環境・経済へ及ぼす影響が想定される場合のリスク係数は1.2

以上とし,受渡当事者間で協議して決定する。 

リスク係数は,1.0〜2.0の範囲で,想定されるリスクの大きさによって決めるものとする。 

 

表JC.1−リスク係数の考え方(参考) 

リスク 
レベル 

クレーン倒壊による被害 

リスク 
係数γn 

例 

人的被害の可能性 

二次被害の可能性 

重大災害となる可能性が
極めて高い 

施設外への人的被害の可能性が
高く,また,環境・経済へ及ぼ
す影響が大きい 

1.5〜2.0 

高炉用クレーン 
タワークレーン(人口密集地
域) 

II 

重大災害となり得る 

二次被害が発生する可能性は高
いが,範囲は当該施設内にとど
まり,また,環境・経済へ及ぼ
す影響は限定的である 

1.2〜1.5 

コンテナクレーン(港湾法に
よる耐震強化施設) 
ゴライアスクレーン(造船
所) 

III 

人的被害の可能性はある
が,重大災害となる可能
性は低い 

二次被害の発生する可能性は低
い 

1.2 

− 

IV 

極めて低い 

極めて低い 

1.0 

− 

算出されたクレーンの修正水平震度が,支持構造物の設計水平震度を下回る場合,リスク係数は支持構造物の設

計水平震度を超えない範囲で設定する。ただし,1.0を下回ってはならない。 
注記 重大災害とは,不休も含む一時に3人以上の労働者が業務上死傷又はり病した災害をいう。 

 


32 

B 8842:2020  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献  

[1] Ohno S., Takahashi K., Motosaka M. Empirical estimation of horizontal and vertical motion based on California 

earthquake records and its application to Japan island earthquakes, Journal of Structural and Construction 

Engineering. Transactions of AIJ, 2001 No. 544, 39-46 

[2] Campbell K.W., Bozorgnia Y. Updated near-source ground-motion (attenuation) relations for the horizontal and 

vertical components of peak ground acceleration and acceleration response spectra. Bull. Seismol. Soc. Am. 

2003, 93 (1) pp. 314-331 

[3] Abrahamson N.A., Silva W.J. Empirical response spectral attenuation relations for shallow crustal earthquakes. 

Seismol. Res. Lett. 1997, 68 (1) pp. 94-127 

[4] Watanabe T., Ikeda M. and Kobayashi N., Acceleration Response Estimation of a Structure on a Supportive 

Structure for Seismic Design. Journal of System Design and Dynamics, JSME. 2010, 4, (3), pp. 484-494 

[5] Nie J., Richard J. Morante, Manuel Miranda, Joseph Braverman, On the correct application of the 100-40-40 

Rule for combining responses due to three directions of earthquake loading. Brookhaven National Library, 2010 

[6] Soderberg E. Michael Jordan, Dockside ship-to-shore cranes, Seismic risk and recommended design criteria. 

Liftech, 2007 

[7] http://www.seismo.ethz.ch/static/GSHAP/GLOBAL SEISMIC HAZARD ASSESSMENT PROGRAM; ETH 

Zurich (May 2019 access).  

[8] http://www.j-shis.bosai.go.jp/map/ (May 2019 access). 

[9] EN 1993-1-1,Design of steel structures. General rules and rules for buildings 

[10] ISO 2394:2015,General principles on reliability for structures 


33 

B 8842:2020  

 

附属書JD 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

 

JIS B 8842:2020 クレーン−耐震設計に関する原則 

ISO 11031:2016,Cranes−Principles for seismically resistant design 

 

(I)JISの規定 

(II)
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

3 用語,定
義及び記号 

用語 

 

− 

− 

追加 

JISでは,次の用語を定義した。 
− 地震 
− 地震動 
− 使用限界状態 
− 極限限界状態 
− レベル1地震動 
− レベル2地震動 
− 震度 
− 刺激係数 
− 減衰比 
− リスク係数 
− 固有振動モード 
− 有効振動モード質量 
− 稼働寿命期間 

規格を理解しやすくするために追
加した。 
次回のISO定期見直し時に変更を
提案する。 

 

主な記号 

 

JISとほぼ同じ 

削除 

JISでは,再現期間係数frecを削除
した 

地震発生時,移設クレーンと常設
クレーンで受ける地震動に相違が
ないので,日本では,frecを考慮し
ないこととしたため。 
次回のISO定期見直し時に変更を
提案する。 

 
 
 

2

 

B

 8

8

4

2

2

0

2

0

 

 

 

 

 


34 

B 8842:2020  

 

(I)JISの規定 

(II)
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

4 耐震設計
の概念 

耐震設計の概念を記
載 

 

JISとほぼ同じ 

変更 

JISではULSも考慮するとした。 

日本では重要なクレーンについて
は大地震を想定して,ULS(極限
限界状態)の概念も追加した。 
 
次回のISO定期見直し時に変更を
提案する。 

5 修正震度
法による地
震設計荷重
の算定 

5.1 一般 
修正震度法による地
震設計荷重の算定の
一般事項について記
載 

 

5.1 

JISとほぼ同じ 

変更 

JISでは,修正震度法に基づく応力
設計以外の方法を選択した場合に
あっても,必ず修正震度法に基づく
応力設計を行い,その結果とを比較
し,その結果の妥当性を評価するこ
とを明記した。 

修正震度法以外の計算方法で実施
した場合には,その結果が妥当で
あるか確認が必要であるため。 
 
次回のISO定期見直し時に変更を
提案する。 

 

5.2.1 一般 
設計水平震度KHの
一般事項について記
載 

 

5.2.1 

JISとほぼ同じ 

追加 

JISでは,KHの算出式を追加した。 国内のULSのレベル2振動に対し

て,より合理的な設計をするため
には必要なものであるため。 
 
次回のISO定期見直し時に変更を
提案する。 

 

5.2.2 基本水平震度

Abgの算定 
Abgの算定について

規定 

 

5.2.2 

JISとほぼ同じ 

変更 

JISでは,Abg=ag/gと規定した。 

地震発生時,移設クレーンと常設
クレーンで受ける地震動に相違が
ないので,日本では,frecを考慮し
ないこととしたため。 
 
次回のISO定期見直し時に変更を
提案する。 

 

5.2.4.2 
図2−基本加速度応
答倍率

*

3β 

 

5.2.4.2 

JISとほぼ同じ 

変更 

対応国際規格では,周期1.0秒,傾
斜3.25/Tcとしているが,JISでは

*

の地盤種別3の長周期側変化点の
周期1.2秒,傾斜3.9/Tcとした。 

近年日本で発生した地震を考慮し
て変更した。 
次回のISO定期見直し時に変更を
提案する。 

 
 

2

 

B

 8

8

4

2

2

0

2

0

 

 

 

 

 


35 

B 8842:2020  

 

(I)JISの規定 

(II)
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

5 修正震度
法による地
震設計荷重
の算定(続
き) 

5.2.4.4 
支持構造物による応
答増幅率δ 
図4 Tc/Tpによる変
化を追加。 

 

5.2.4.4 

JISとほぼ同じ 

追加 

JISでは,図4として式(5)によるδ
のTc/Tpによる変化を追加。 

この規格の使用者の理解を促すた
め追加している。ISOには提案し
ない。 

 

5.3 設計垂直震度 

KVの計算 
KVの計算について規

定 

 

5.3 

JISとほぼ同じ 

追加 

JISでは,KV用にKHを算出する際
の支持構造物による応答増幅率δ=
1は用いるを追加している。 

支持構造物について地震動の周波
成分が異なるので,水平ほど増幅
しないので追記した。 
次回のISO定期見直し時に変更を
提案する。 

 

5.4.2 地震設計荷重
の計算 
地震設計荷重の計算
について規定 

 

5.4.2 

JISとほぼ同じ 

変更 

JISでは,つり荷への地震の影響係
数の選択は,JIS B 8822-1に従って
行うこととした。 
JISでは,リスク係数γnを考慮した
地震設計荷重について式(13)〜式
(16)を追加した。 

リスク係数をどのように計算に組
み込むのか明確にした。 
ISOには提案しない。 

6 応答スペ
クトル法に
よる地震設
計荷重の算
定 

6.1 一般 
支持構造物上のクレ
ーン構造物の応答倍
率を規定 

 

6.1 

JISとほぼ同じ 

追加 

JISでは,支持構造物上のクレーン
構造物の応答倍率の値を明記した。 

安全性を確保するために,支持構
造物からの地震動はそのまま,ク
レーン構造物に伝わることとし
た。 
ISOには提案しない。 

6.1 一般 
応答スペクトル法に
よる地震設計荷重の
算定の一般事項につ
いて規定 

 

6.1 

JISとほぼ同じ 

追加 

JISでは,修正震度法に基づく一次
評価を明記した。 

日本では,安全性を確認するため,
応答スペクトラム法の計算結果の
妥当性を確認することとした。 
ISOには提案しない。 

8 時刻歴応
答法による
地震設計荷
重の算定 

時刻歴応答法による
地震設計荷重の算定
を規定 

 

− 

− 

追加 

JISではULSをこの規格に取り込
んだために追加。 

箇条4で示したようにULSの導入
を提案するので,その具体的検討
方法として時刻歴応答法を次回見
直しの時にISOへ提案する。 

 

2

 

B

 8

8

4

2

2

0

2

0

 

 

 

 

 


36 

B 8842:2020  

 

(I)JISの規定 

(II)
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

9 免震・制
振クレーン 

免震・制振クレーン
について規定 

 

− 

− 

追加 

JISでは,国内の免震技術によって,
安全を考慮して設計水平震度の最
低値を決定した。 

国内事情によるもので,ISOには
提案しない。 

附属書B 
(規定) 

設計加速度について
規定 

 

附属書B 
(参考) 

参考 

変更 

JISでは,基本水平震度を規定項目
としているので,規定に変更した。 

次回のISO定期見直し時に変更を
提案する。 

附属書E 
(参考) 

リヒタースケール,
地表面地震加速度及
び震度階の表を削除 

 

附属書B 
(参考) 

参考 

削除 

JISでは,リヒタースケールの有用
性がないので,参考情報として記載
されている表を削除した。 

国内事情によるもので,ISOには
提案しない。 

附属書JA 
(参考) 

 

 

 

 

 

 

 

附属書JB 
(参考) 

 

 

 

 

 

 

 

附属書JC 
(参考) 

 

 

 

 

 

 

 

 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 11031:2016,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

− 削除  国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
− 追加  国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
− 変更  国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

− MOD  国際規格を修正している。 

 

 

2

 

B

 8

8

4

2

2

0

2

0