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B 8317-2 : 1999 (ISO 1608-2 : 1989) 

(1) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。これによってJIS B 8317 : 1986は廃止され,JIS B 8317-1及びJIS B 8317-2に置き換

えられる。 

JIS B 8317は,次に示す主題を“蒸気噴射真空ポンプ−性能試験方法”として,各部によって構成され

る。 

第1部:体積流量(排気速度)の測定 

第2部:臨界背圧の測定 


 

 

日本工業規格          JIS 

 

B 8317-2 : 1999 

 

(ISO 1608-2 : 1989) 

蒸気噴射真空ポンプ−性能試験方法− 

第2部:臨界背圧の測定 

Vapour vacuum pumps−Measurement of performance characteristics− 

Part 2 : Measurement of critical backing pressure  

 

 

序文 この規格は,1989年に第2版として改正発行されたISO 1608-2, Vapour vacuum pumps−Measurement 

of performance characteristics−Part 2 : Measurement of critical backing pressureを翻訳し,技術的内容及び規格

票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。 

 

1. 適用範囲 

1.1 

この規格は,蒸気噴射真空ポンプの臨界背圧測定方法について規定する。 

備考 臨界背圧とは,背圧がこの値を超えるとそのポンプの動作条件が損なわれ,十分に良好な動作

ができなくなるような値である。 

蒸気噴射真空ポンプ性能の背圧に対する依存性は,動作圧力範囲における吸入圧と背圧との関係を示す

曲線によって完全に表すことができる。 

多くの場合には,臨界背圧は,2.1に定義する一つの項目によって記述することで十分である。しかし,

特に超高真空性能に着目した場合及び気体として水素やヘリウムが関係している場合には,完全な曲線が

必要なこともある。 

1.2 

対象となるポンプは,次の3種類の油又は水銀蒸気ポンプとする。 

− 拡散ポンプ 

− 蒸気ジェット真空ポンプ 

− 拡散エジェクタポンプ 

 

2. 定義 用語の定義は,次による。 

2.1 

臨界背圧 (critical backing pressure)  

2.1.1 

一般的な臨界背圧 (general case)  ある気体流量に対して,背圧の小さな割合の上昇が,吸入圧に

ある一定の割合の上昇をもたらすような背圧の最小値。 

備考 この規格では,一定の割合の上昇とは最低10%とする。 

2.1.2 

“無負荷”臨界背圧 (“no-load” critical backing pressure)  導入される気体流量が0のときの臨界

背圧の値。 

2.1.3 

“最大負荷”臨界背圧 (“full-load” critical backing pressure)  ポンプが安定に動作できる最大の気

体流量に対する臨界背圧の値。 


B 8317-2 : 1999 (ISO 1608-2 : 1989) 

 

2.2 

テストドーム(テストヘッダ) (test dome ; test header)  所定の形状・寸法の容器で,ポンプの吸

入口に取り付けることができる。測定する気体がその容器を通過してポンプで排気され,かつその容器に

は圧力を測定するための測定器が取り付けられるようになっているもの。 

2.3 

到達圧力 (ultimate pressure)  気体導入弁を閉じた状態で,かつポンプが定常な動作状態にあると

き,テストドーム内の漸近的に到達する限界圧力。 

備考 実際には,十分な排気を行った後は,それ以上の圧力の低下が無視できる状態に既に達してお

り,限界圧力に達しているとみなす。 

 

3. 装置 

3.1 

テストドーム 図1に示すもので,その詳細は,JIS B 8317-1による。 

試験装置の一般的な配置は,図2に示すようなもので,次の装置が必要である。 

a) テストドームに気体を導入するための可変流量弁 (A)。適当な気体流量測定装置を備えている。 

b) 可変流量弁 (B)。背圧を制御するために補助ポンプの吸気口側に取り付けられる。 

補助排気の配管上にある可変流量弁 (B) と真空計 (C) との導管の取り付け位置の間隔は,200mm

以上とする(図2参照)。 

c) 蒸気噴射真空ポンプの排気口に近接して取り付け,補助排気の配管の圧力を測定するための真空計 

(C)。この真空計 (C) は,直径がポンプの排気口の大きさと同じ径の補助排気の配管上の一様で真直

ぐな部分に取り付ける。真空計 (C) の導管は,補助排気の配管と直角で,かつ,その終端は補助排気

の配管の内面と同一の面に合わせて取り付ける。 

真空計 (C) の導管の寸法は,可能な範囲で大きいコンダクタンスを確保しなければならない。真空

計導管の取付位置とポンプの排気口との間の長さは,150mm以下とする。 

d) テストドームの圧力を測定する真空計 (D)。取付けの際,真空計導管は,テストドームの中に真空計

導管a直径 (d2) の0.5倍以上突き出してはならない。 

圧力測定に使用する真空計の精度は,1Pa以上の圧力に対しては±5%以内,1Pa未満の圧力に対し

ては±10%以内とする。 

3.2 

試験気体 特に指示がない場合には,乾燥空気を使用すること。 

備考 例えば,通常はシリカゲルによる空気の乾燥で,十分である。 

 

試験方法 

4.1 

一般 臨界背圧を測定するために,蒸気噴射真空ポンプは製造業者が指定する種類(形式)の油を

指定量給油後,製造業者の指定した加熱電力及び冷却方法に従って運転する。 

試験中には,室温は15〜25℃の範囲に保つ。ポンプは,試験実施に先立って,温度的に平衡に達してい

ること。テストドームは,気体を導入する前に到達圧力が得られるまで排気する。 

以上の条件で,ポンプの吸気口上部(図1参照)及びポンプ排気口フランジから可変流量弁 (B) との間

の配管部(図2参照)の温度を,15〜25℃の間で変動幅±1℃以内を得なければならない。 

備考 臨界背圧は,他の室温で測定してもよい。この場合には,測定に用いる測定機器の運転条件は,

十分に整っていなければならない。 


B 8317-2 : 1999 (ISO 1608-2 : 1989) 

 

4.2 

“無負荷”臨界背圧の測定手順 テストドーム(ヘッダ)内の圧力が到達圧力に達したとき,補助

真空配管側の可変流量弁 (B) が徐々に開かれ,背圧はわずかに上昇する。この操作を2.1.1の備考で規定

した条件をおおむね確認するまで続ける。さらに,この臨界領域は,可変流量弁 (B) を適切に操作するこ

とによって,より詳細に調べる。このようにして背圧の関数としての吸入圧の曲線が得られる。2.1.1の備

考に示された条件に対応する曲線上の点が,無負荷臨界背圧を与える。この手順において,(補助真空配管

に気体を導入する前の)初めの補助排気配管の圧力は,臨界背圧の10%以下にする。 

4.3 

“最大負荷”及び“中間負荷”での臨界背圧測定手順 

4.3.1 

蒸気噴射真空ポンプの吸入圧が所定の値に達するまでテストドーム(ヘッダ)上の可変流量弁 (A) 

を開き,そのときの気体流量を測定する。続いて,4.2に示した手順で可変流量弁 (B) を開いて気体を導

入することによって臨界背圧を測定する。可変流量弁 (B) は,個々の測定終了ごとに閉じる。ポンプが正

常な機能を維持できる最大気体流量(以下単に最大気体流量という)に達するまで臨界背圧測定を繰り返

す。 

備考 正常なポンプ動作における最大気体流量は,補助ポンプの排気速度に依存する。補助ポンプの

排気速度が,想定されている最大気体流量値をこのときの臨界背圧で除した値を超えない場合

には,この値を超えるに十分な大きさの補助ポンプを使用して測定を行う必要がある。 

4.3.2 

試験開始の少なくとも30分前から,4.2及び4.3.1に示す試験を実施し,終了するまでの間は,蒸

気噴射真空ポンプへの入力電力は,所定の値に対し±4%以内に維持する。冷却率は,製造業者が推奨する

値の±10%以内で一定に保つ。 

 

5. 試験報告 

5.1 

試験結果 臨界背圧は,Pa,排気量は,Pa・l/sの単位で示す。臨界背圧と気体流量との関係は,特に

指定のないかぎり,図示する。また,2.1.1の臨界背圧の定義に関して採用した吸入口における圧力上昇百

分率の値は,その図に記入する。 

高真空側で不連続な圧力上昇がない限り,臨界背圧と高真空側の圧力との関係を示す図には,気体流量

が0の場合も含むものとする。 

5.2 

試験結果 試験報告書には,次の事項を記述する。 

a) 使用した全測定器の種類及び動作条件 

b) ポンプの加熱電力及び試験実施時におけるその変動の上下限値 

c) 使用した場合には,試験中の冷却水又は冷媒の出入口のそれぞれの最高及び最低の温度 

d) 使用した場合には,冷却水の流量 

e) 試験中における雰囲気温度の最高及び最低値 

f) 

蒸気噴射真空ポンプ作動液の種類(形式)及び量 

g) あれば,雰囲気への熱伝達特性など。 


B 8317-2 : 1999 (ISO 1608-2 : 1989) 

 

 

図1 テストドーム 

 

 

図2 測定装置 


B 8317-2 : 1999 (ISO 1608-2 : 1989) 

 

JIS B 8317(蒸気噴射真空ポンプ性能試験方法)改正原案作成委員会 構成表 

 

 

氏名 

所属 

(委員長) 

 

堀 越 源 一 

高エネルギー物理学研究所名誉教授 

(幹事) 

○ 柳 橋 輝 雄 

大亜真空株式会社 

 

 

石 川 雄 一 

株式会社日立製作所 

 

○ 本 間   清 

工業技術院標準部材料機械規格課 

 

 

岡 野 達 雄 

東京大学生産技術研究所 

 

 

岡 原   真 

株式会社島津製作所 

 

 

門   芳 生 

株式会社芝浦製作所 

 

 

金 原 浩 之 

日本真空技術株式会社 

 

 

金 戸   成 

株式会社大阪真空機器製作所 

 

○ 川 原 文 雄 

アネルバ株式会社 

 

 

榊 原 正 二 

日本酸素株式会社 

 

○ 大工原 茂 樹 

株式会社シンクロン(日本真空工業会) 

 

○ 橋 本 繁 晴 

財団法人日本規格協会 

 

 

荻 原 徳 男 

日本原子力研究所関西研究所 

 

 

平 田 正 紘 

工業技術院電子技術総合研究所 

 

○ 福 山 泰 弘 

神港精機株式会社 

 

 

古 畑 達 雄 

ライボルト株式会社 

 

 

堀 井 春 生 

三菱電線工業株式会社 

(事務局) 

○ 間 山 正 義 

日本真空協会 

 

○ 小 林 廣 子 

日本真空協会 

 

 

備考 ○印は,分科会の委員も兼ねていることを示す。