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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 8001-1990 

往復動内燃機関の構造に関する 

呼び方及び用語の定義 

Vocabulary and Designation for Construction of 

Reciprocating Internal Combustion Engines 

1. 適用範囲 この規格は,自動車用及び航空機用を除くすべての往復動内燃機関(以下,機関という。)

の回転方向,シリンダ,列及びシリンダヘッドに設ける弁の呼び方,並びに機関における右勝手・左勝手

及び本体各面の定義について規定する。 

引用規格,対応国際規格及び関連規格:11ページに示す。 

2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,JIS B 0108[往復動内燃機関用語(一般)]による

ほか,次のとおりとする。 

(1) 回転方向 機関の出力取出軸の軸端における回転の方向[JIS Z 8907(方向性及び運動方向通則)参

照]。 

なお,機関に増減速の歯車装置又は逆転装置が組み込まれている場合には,その装置の軸端の回転

方向。 

(2) 弁のならび(横ならび,縦ならび) 機関に装着された吸気弁及び排気弁の配列を規定するための機

関に対する各弁の相対的な位置関係。 

(3) 機関本体各面 機関に対する装着部品の関係位置を示すための機関外側面及びその面側の周辺空間。 

(4) 多列機関 複数のシリンダ列をもつ機関。 

(5) 水平機関 シリンダ列を水平に配置した機関。 

(6) 垂直クランク軸機関 クランク軸が垂直な機関。 

3. 基礎条件 

3.1 

回転方向 図1に示すとおり,時計回り及び逆時計回りの二つとする。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図1 回転方向 

3.2 

観測者の位置及び目視の方向 観測者の位置は,図2に示すとおり,出力取出軸端の延長線上にあ

り,目視の方向は,観測者の位置から機関を見ることを想定する。 

備考1. 機関に増減速の歯車装置又は逆転装置が組み込まれている場合には,その装置の出力取出軸

端で3.2の規定を適用する。 

2. 多クランク軸機関の場合には,全シリンダの合計出力取出軸端で3.2の規定を適用する。 

3. 二つ以上の出力取出軸端をもつ機関の場合には,製造業者は,出力取出軸端の一つを指定し

なければならない。 

4. 機関の両端から出力を取り出せる場合には,製造業者は出力取出軸端の一つを明確に指定し

なければならない。 

図2 観測者の位置と目視方向 

3.3 

シリンダヘッドの弁番号の呼び方を定めるための観測者の位置及び目視の方向 

3.3.1 

直列機関 直列機関の場合,観測者の位置は,排気マニホールドの反対側で,視線は図3に示すと

おり,シリンダの弁の方向に向ける。 

図3 直列機関の場合の観測者の位置及び目視方向 

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3.3.2 

多列機関 多列機関の場合,観測者の位置は,どれか一つの列に対して排気マニホールドの反対側

とし,目視の方向は図4に示すとおり,観測者に最も近い列の一つのシリンダの弁の方向に向ける。 

備考1. 水平機関の場合は,シリンダがクランク軸の上方で垂直になるまで,仮想的に回転させた後

に,3.3.2を適用する。 

2. クランク軸が水平で,シリンダ列が傾斜した機関(傾斜機関)及び対向シリンダ機関の場合

も,これに準じる。 

3. 垂直クランク軸機関又はクランク軸が傾斜した機関の場合は,まず,クランク軸が水平にな

る位置まで回転させた後に,水平機関の規定を適用する。 

図4 V形機関の場合の観測者の位置 

4. 回転方向などの呼び方 

4.1 

回転方向 3.2に示した観測者の位置から見た場合を想定して,3.1に従って機関の回転方向を“時

計回り”又は“逆時計回り”と呼ぶ。 

備考 軸がいずれの方向にも回転できる場合には,製造業者は主として使用する回転方向を指定しな

ければならない。 

4.2 

シリンダ番号及び列番号 

4.2.1 

直列機関 直列機関の各シリンダ番号は,3.2に示した観測者に近いシリンダから順に連続した数

字 (1,2,3……) を用いて1,2,3……と呼ぶ(図5〜7参照)。 

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図5 直列機関 

図6 対向ピストン機関 

図7 対向ピストン機関 

4.2.2 

多列機関 多列機関の各シリンダ番号は,アルファベット文字 (A,B,C……) 及び連続した数字 

(1,2,3……) との組合せを用いてA1,B6,C6……のように呼ぶ。各列におけるシリンダ番号1,2,3,…

…は,4.2.1に示す方法と同じである。列番号A,B,C……についてはクランク軸を中心として回転する

仮想面Pを考え,この場合,クランク軸は水平にあると仮定し,この仮想回転面Pを3.1で示した定義に

よって時計の9時の位置から時計回りに回転させて最初に出会う列をA列以下順次B列,C列……と呼ぶ

(図8〜11参照)。 

備考1. 多列で多クランク軸をもつ機関では,仮想回転面Pの回転軸はすべてのクランク軸をまとめ

た一つの出力軸の中心線となる(図12〜15参照)。 

2. クランク軸が垂直な機関では,仮想回転面Pの9時の位置を決めることができないので,P

面の回転始めの位置は,製造業者で特徴がある点を明示する。 

例: 燃料制御装置 図16参照 

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図8 多列機関(W形機関) 

図9 V形機関 

図10 水平機関 

図11 W形機関 

図12 ツィンバンク機関 

図13 H形水平機関 

図14 H形機関 

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図15 デルタ機関 

図16 垂直クランク軸機関 

4.3 

弁番号 観測者の位置,目視の方向によって(3.3参照)弁の配列に従い,左から右へ,又は近くか

ら遠くへ数えることによって,1,2,又は3番の排気弁,吸気弁というように弁番号を呼ぶ。 

備考1. 横ならび配置及び縦ならび配置については図3及び図4参照。 

2. 弁番号を呼ぶ際,排気弁にはXを,吸気弁にはIを最初につけてX1,X2,I1,I2のように略

称することができる(図17〜22参照)。 

3. 必要な場合は,各シリンダヘッドに観測者の目視方向を示すために,即ち,排気マニホール

ド側を示すためにマーク(矢印)を付けることができる。これを付ける位置は,排気弁側で

弁駆動機構を備えたシリンダヘッドの表面が望ましい(図23及び図24参照)。 

図17 観測者から見て,吸気弁は近く, 

排気弁は遠い,両者が横ならび 

配置の直列機関 

図18 観測者から見て,排気弁は右側, 

吸気弁は左側で,両者が縦ならび 

配置の直列機関 

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図19 観測者から見て,吸気弁は近く, 

排気弁は遠い横ならび配置で, 

吸気マニホールドは内側,排気 

マニホールドは外側のV形機関 

図20 観測者から見て,排気弁は右側, 

吸気弁は左側の縦ならび配置で, 

吸気マニホールド,排気マニホー 

ルドは,共に外側にあるV形機関 

図21 観測者から見て,吸気弁は近く, 

排気弁は遠い横ならび配置で吸気 

マニホールドは外側,排気マニホ 

ールドは内側のV形機関 

図22 観測者から見て,排気弁は左側, 

吸気弁は右側の縦ならび配置で, 

吸気マニホールド,排気マニホ 

ールドは,共に内側にあるV形機関 

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図23 横ならび弁配置で,排気マニホールド 

が内側にあるV形機関のマーク 

図24 縦ならび弁配置で,排気マニホールド 

が内側にあるV形機関のマーク 

5. 右勝手及び左勝手の定義 右勝手及び左勝手の定義は,次による。 

(1) 3.2に示す観測者の位置から見て,シリンダ中心を含む面の右側に排気マニホールドが配置された直列

機関を右勝手機関,左側に配置された直列機関を左勝手機関という(図25〜28参照)。 

備考 この定義の基準として考える排気マニホールドは機関の片側にあることが前提となっている。 

(2) シリンダが出力取出軸上方の垂直面にない直列機関では,出力取出軸を中心に仮想的にシリンダがこ

の軸の垂直面内にあるように回転させ,図25及び図26に示した要領によって,右勝手機関又は左勝

手機関という(図29〜34参照)。 

備考 図33及び図34に示すような対向ピストン機関では,出力取出軸を中心として,排気マニホー

ルドが装着されているシリンダの部分が軸の上方にくるように仮想的に回転させて考える。 

図25 右勝手直列機関 

図26 左勝手直列機関 

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図27 右勝手単列対向ピストン機関 

図28 左勝手単列対向ピストン機関 

図29 右勝手直列機関 

図30 左勝手直列機関 

図31 右勝手単列対向ピストン機関 

図32 左勝手単列対向ピストン機関 

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10 

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図33 右勝手単列対向ピストン機関 

図34 左勝手単列対向ピストン機関 

6. 機関本体各面の定義 機関本体各面の定義は,次のとおりとする(図35参照)。 

これらを決定するための観測者の位置は,3.2による。 

(1) 出力軸端面 観測者から最も近い機関の面。 

(2) 自由端面 観測者から最も遠い機関の面。 

(3) 左側面 観測者から見て機関の左の側面。 

(4) 右側面 観測者から見て機関の右の側面。 

(5) 上面 観測者から見て機関の上側の面。 

(6) 下面 観測者から見て機関の下側の面。 

備考1. 上記の各面とは,各表面だけを意味するものではなく,その面側にある空間をも含む。参考

のため各面に相当する英語を図中に付記した。 

2. 出力軸が垂直のとき,出力軸端面及び自由端面以外の面については,製造業者は,何か指示

できる部品の位置を基準にして定義する。 

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B 8001-1990  

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図35 機関本体の各面 

引用規格: 

JIS B 0108 往復動内燃機関用語(一般) 

JIS Z 8907 方向性及び運動方向通則 

対応国際規格: 

ISO 1204 Reciprocating internal combustion engines−Designation of the direction of rotation 

ISO 1205 Reciprocating internal combustion engines−Designation of the cylinders 

ISO 2276 Reciprocating internal combustion engines−Definition of right-hand and left-handsingle 

bank engines 

ISO 3249 Reciprocating internal combustion engines−Definitions of locations on an engine 

関連規格 JIS B 8002 往復動内燃機関の性能試験方法通則 

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JIS改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

吉 田 正 一 

埼玉大学 

斉 藤   孟 

早稲田大学 

古 林   誠 

横浜国立大学 

藤 田 秀 雄 

明治大学 

鈴 木 茂 光 

工業技術院標準部 

池 田 順 一 

財団法人日本規格協会 

八 木 康 雄 

三菱重工業株式会社相模原製作所 

金 井 清 吉 

株式会社小松製作所小山工場 

高 橋 貞 信 

三井造船株式会社機械事業本部 

李 上 宗 弟 

石川島播磨重工業株式会社相生第二工場 

佐 藤 博 信 

株式会社新潟鉄工所内燃機事業部 

鍵 山 保 男 

ダイハツディーゼル株式会社 

古 林   学 

いすゞ自動車株式会社産業エンジン設計部 

長 島 孝 一 

社団法人日本舶用工業会 

辻     充 

社団法人陸用内燃機関協会 

小 郷 一 郎 

社団法人日本船舶標準協会 

大 橋 秀 夫 

社団法人日本建設機械化協会 

古 川   洋 

社団法人自動車技術会 

岡 山   透 

財団法人日本海事協会 

(事務局) 

武 田   勝 

日本内燃機関連合会