Z 8315-3 : 1999 (ISO 5456-3 : 1996)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。これによって,JIS Z 8315 : 1984は廃止され,この規格に置き換えられる。
今回の制定によって,JIS Z 8315群は,ISO 5456,Technical drawings−Projection methodsの各部に一致
した規格となった。
JIS Z 8315群は,規格の名称の前付け及び主題を“製図−投影法”とし,次の各部からなる。
第1部:通則
第2部:正投影法
第3部:軸測投影
第4部:透視投影
この部には,次に示す附属書があるが,規定事項ではない。
附属書A(参考) 参考文献
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 8315-3 : 1999
(ISO 5456-3 : 1996)
製図−投影法
−第3部:軸測投影
Technical drawings−Projection method−
Part 3 : Axonometric representations
序文 この規格は,1996年に発行されたISO 5456-3,Technical drawings−Projection methods−Part 3 :
Axonometric representationsを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業
規格である。
軸測投影は,無限の遠点(視点)から対象物を投影し,一つの投影面(通常,製図面という)に単純な画
像を作成する。一種の平行投影であるが,概略図として十分な,遠距離からみた画像を作成することがで
きる。
軸測投影では,対象物の形並びに視点,投影面及び対象物自体の相互位置関係によって異なった投影図が
できる。
機械,電気,建築などの技術分野で必要となるのは数種類の投影図だけである。
軸測投影法は,製図の分野では正投影ほど一般的ではない。
1. 適用範囲 この規格は,JIS Z 8315-1に規定された一般規則に従って,すべての技術分野であらゆる
種類の製図に対して軸測投影を行う場合の基本的な規則を規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS Z 8316 製図−図形の表し方の原則
備考:ISO 128 : 1982,Technical drawings−General principles of presentationからの引用事項は,この
規格の該当事項と同等である。
JIS Z 8317 製図−寸法記入方法−一般原則,定義,記入方法及び特殊な指示方法
備考:ISO 129 : 1985,Technical drawings−Dimensioning−General principles,definitions,methods of
execution and special indicationsからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS Z 8313-1 製図−文字−第1部:常用するローマ字,数字及び記号
備考:ISO 3098-1 : 1974,Technical drawings−Lettering−Part 1 : Currently used charactersが,この規
格と一致している。
JIS Z 8315-1 製図−投影法−第1部:通則
備考:ISO 5456-1 : 1996,Technical drawings−Projection methods−Part 1 : Synopsisがこの規格と一致
している。
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Z 8315-3 : 1999 (ISO 5456-3 : 1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS Z 8114 製図−製図用語
備考:ISO 10209-1 : 1992,Technical product documentation−Vocabulary−Part 1 : Terms relating to
technical drawings : general and types of drawingsからの引用事項は,この規格の該当事項と
同等である。
ISO 10209-2 : 1993,Technical product documentation−Vocabulary−Part 2 : Terms relating to
projection methodsからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 8315-1及びJIS Z 8114の定義による。
4. 共通事項 共通事項は,JIS Z 8316の規定に従う。
4.1
座標軸の設定 座標軸の方向は,条件に従って,その一つ(Z軸)が垂直になるように選ぶ。
4.2
対象物の位置 対象物は,その主要な面,軸及びりょう(稜)線を座標面に平行に置く。対象物を
正投影法で表す場合には,主投影図とその他の投影図を決めることができるならば,それらを示すことが
できる方向に向けて置く。
4.3
軸対称 軸対称物は,必要がなければ半分は描かない。
4.4
見えない輪郭及びりょう線 隠れた輪郭やりょう線は,省略するのが望ましい。
4.5
ハッチング 切断面又は切り口を表すハッチングは,切断面又は切り口の軸及び輪郭に対して45度
の角度で描く(図1参照)。
座標面に平行な面にハッチングを入れるときは,図2のように座標軸に平行に描く。
図1
図2
4.6
寸法記入 軸測投影で表示する場合には,通常,寸法記入を省略する。特別な理由によって寸法記
入が必要であると考えられる場合には,正投影の場合と同じ規定(JIS Z 8317及びJIS Z 8313-1)に従う
(図6及び図12参照)。
5. 推奨する軸測投影 製図用には,次の軸測投影を推奨する。
− 等角投影(5.1参照)
− 二等角投影(5.2参照)
− 斜投影(5.3参照)
座標軸X,Y,Zは,大文字で表示する。表又は図面で,その他の項目(例えば,寸法)を表示する必
要がある場合には,区別を明確にするために小文字のx,y,zを使用する(例は,JIS B 0012-2参照)。
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Z 8315-3 : 1999 (ISO 5456-3 : 1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.1
等角投影 等角投影 (Isometric axonometry) は,X,Y及びZの3本の座標軸からなり,各投影面が
お互いになす角度が等しい正等角投影である(1)。
座標軸X,Y及びZ上の単位長さux,uy,及びuzは,投影された座標軸X',Y'及びZ'上にそれぞれ次の
単位長さux',uy'及びuz'として正投影される。
ux'=uy'=uz' (2/3) 1/2=0.816
図3は,三つの座標軸X,Y,Zを投影面(製図面)上に投影した座標軸X',Y',Z'を示す。
図3
実際に作図する場合には,投影された座標軸X',Y',Z'軸上に投影された単位長さをux"=uy"=uz"=1に
とればよい。これは (3/2) 1/2=1.225倍に拡大した対象物を図式に表現したことと同じである。
各面に円が描かれた立方体の等角投影を図4に示す。
図4
図5
等角投影は,立方体の3面全部を同じように見ることができる点で重要であり,図を等辺三角グリッド
上に描くのが便利である(図5参照)。
等角投影の寸法記入例を図6に示す。
注(1) これは,すべての面と投影面との角度が等しくなるように置かれた立方体の主要な面を正投影して
得られる投影図に等しい。
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Z 8315-3 : 1999 (ISO 5456-3 : 1996)
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図6
5.2
二等角投影 二等角投影 (Dimetric axonometry) は,対象物の主要な面の形状が特に重要な場合に使
用する。三つの座標軸の投影を図7に示す。三つの尺度の比率は,ux' : uy' : uz'=1/2 : 1 : 1である。
各面に円が描かれた立方体の二等角投影図を図8に示す。
図7
図8
5.3
斜投影 斜投影 (Oblique axonometry) では,投影面を座標面の一つと平行にとり,対象物の主要な
面をそれと平行に置く。
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Z 8315-3 : 1999 (ISO 5456-3 : 1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
主要な面の尺度は同じになる。投影された座標軸のうちの2本は,直交する。投影された第三の座標軸
の方向及びその尺度は任意である。製図が簡単であることから,数種類の斜投影が使われる。
5.3.1
カバリエ図 カバリエ図 (Cavalier axonometry) は,投影面は通常垂直であり,第三の座標軸の投影
は,残りの直交投影軸に対して45°になるように選ぶ。投影された三つの座標軸の尺度は同じで,ux'=uy'
= uz'=1である(図9参照)。
立方体のカバリエ図には,図10に示す四つの場合がある。
カバリエ図は非常に簡単に描くことができ,寸法記入が可能であるが,第三の座標軸に沿った形状の釣
り合いが著しくゆがめられる。
図9
図10
5.3.2
キャビネット図 キャビネット図 (Cabinet axonometry) は,投影された第三座標軸上の尺度が1/2
に縮尺されている点を除き,カバリエ投影と同じである。これによって形状の釣り合いがより良いものと
なる。
各面に円が描かれた立方体のキャビネット図を図11に示す。
図12に,寸法記入した例を示す。
図11
図12
5.3.3
平面斜投影 平面斜投影 (Planometric axonometry) では,投影面を水平座標面に平行にとる。三面
すべての情報を得るためには,α=0°,90°又は180°の角度位置の投影を避ける(図13参照)。
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Z 8315-3 : 1999 (ISO 5456-3 : 1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図13
5.3.3.1
等尺平面斜投影図 尺度の比率を1 : 1 : 1に選んだ等尺平面斜投影図 (Normal planometric
projection) による座標軸の投影を図14に示す。
立方体に寸法を記入した例を図15に示す。
この斜投影は,特に市街地計画の製図に適している。
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Z 8315-3 : 1999 (ISO 5456-3 : 1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図14
図15
5.3.3.2
縮尺平面斜投影図 尺度の比率を1 : 1 : 2/3にした場合の縮尺平面斜投影図 (Shortened
planometric projection) にできる座標軸の投影図を,図14に示す。
立方体に寸法を記入した例を図16に示す。
図16
8
Z 8315-3 : 1999 (ISO 5456-3 : 1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A(参考) 参考文献
[1] ISO 6412-2 : 1989,Technical drawings−Simplified representation of pipelines−Part 2 : Isometric projection
備考 JIS B 0011-2 : 1998 製図−配管の簡略図示方法−第2部:等角投影図が,この規格と一致する。