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Z 4821-2 : 2002 (ISO 9978 : 1992) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本

アイソトープ協会 (JRIA) /財団法人日本規格協会 (JSA) から工業標準原案を具して日本工業規格を改

正して分割制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。 

これによってJIS Z 4821: 1999は廃止され,この規格及びJIS Z 4821-1に置き換えられる。 

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 9978 : 1992,Radiation protection−

Sealed radioactive sources−Leakage test methodsを基礎として用いている。 

JIS Z 4821-2には,次に示す附属書がある。 

附属書A(規定) 漏出試験の選択 

附属書B(参考) 参考文献 

JIS Z 4821の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS Z 4821-1 密封放射線源−第1部:一般要求事項及び等級 

JIS Z 4821-2 密封放射線源−第2部:漏出試験方法 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

Z 4821-2 : 2002 

(ISO 9978 : 1992) 

密封放射線源− 

第2部:漏出試験方法 

Sealed radioactive sources−Leakage test methods 

序文 この規格は,1992年に第1版として発行されたISO 9978,Radiation protection−Sealed radioactive 

sources−Leakage test methodsを翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格のうち点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にない事項である。 

1. 適用範囲 この規格は,JIS Z 4821-1によるプロトタイプ線源の等級決定に関する試験管理,生産管

理及び定期検査において実施する密封放射線源の漏出試験方法について規定する。漏出試験方法として,

放射能による試験及び放射能によらない試験の手順を示すが,この規格にない特別な試験が必要な場合も

ある。 

なお,附属書Aは,密封放射線源と管理の種類に応じて,最も適切な漏出試験の選択を支援するための

ガイドである。 

備考1. この規格は,“放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律”などでいう“密封さ

れた放射性同位元素”について規定するものではない。 

2. この規格の対応国際規格を,次に示す。 

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD

(修正している),NEQ(同等でない)とする。 

ISO 9978 : 1992 Radiation protection−Sealed radioactive sources−Leakage test methods (IDT)  

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,記載の発効年(又は発行年)の版だけがこの規格の規定を構成するものであっ

て,その後の改正版・追補には適用しない。 

JIS Z 4821-1 : 2002 密封放射線源−第1部:一搬要求事項及び等級 

備考 ISO 2919 : 1999,Radiation protection−Sealed radioactive sources−General requirements and 

classificationからの引用事項は,この規格の該当項目と同等である。 

3. 定義 この規格に用いる主な用語の定義は,次による。 

3.1 

密封放射線源 (sealed radioactive source)  放射性物質の散逸及び他の物質との接触を避けるため,

カプセルに密閉するか,カバーを接着した放射性線源。 

備考 この規格では,以下,“密封線源 (sealeds source)”と言う。 

3.2 

密封性 (leaktight)  5.又は6.の漏出試験を実施して,漏出量が限度値以下の場合に適用する用語。 

Z 4821-2 : 2002 (ISO 9978 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.3 

カプセル (capsule)  密封線源において,放射性物質の散逸を防ぐための容器又は被膜。 

3.4 

ダミー線源 (dummy sealed source)  実物の密封線源とカプセルなどが同じ材質及び構造で,放射

性物質の代わりに物理的及び化学的性質が類似の非放射性の物質を用いたもの。 

3.5 

シミュレーション線源 (simulated sealed source)  実物の密封線源と材質も構造も同じカプセルで

作られた試験用線源で,物理的及び化学的性質が実物にできるだけ類似した放射性物質を封入したもの。 

備考 封入する放射性物質は,浸せき試験用の溶剤に可溶であり,その放射能は,漏出試験を行うの

に十分な量とする。 

3.6 

形式型名 (model designation)  密封線源のデザインを特定するための記号及び/又は数字。 

3.7 

プロトタイプ線源 (prototype sealed source)  製造業者が同一の形式規格で製造する密封線源の原

形。 

3.8 

品質管理 (quality control)  プロトタイプ線源について実施する,密封線源の等級の決定を含む,

JIS Z 4821-1の試験の管理。 

3.9 

生産管理 (production control)  密封線源の製造時試験の管理。 

3.10 定期検査 (recurrent inspections)  保管又は使用中に,密封線源からの放射性物質の漏出がないこと

を確認するために実施する定期的試験。 

3.11 漏出 (leakage)  密封線源から放射性物質が外部に移行する現象。 

3.12 非浸出性 (non-leachable)  密封線源に含まれる放射性物質が水に溶けにくく,分散性の生成物に変

化しない場合に使われる用語(JIS Z 4821-1参照)。 

3.13 基準ヘリウム漏出率 (standard helium leakage rate)  105Pa±5×103Paと103Pa又はそれ以下の圧力

差で,温度296K±7K (23℃±7℃) におけるヘリウムガス漏出率。単位としてμPa・m3・s−1を使用する。 

参考 1μPa・m3・s−1=10−6Pa・m3・s−1≒10−5atm・cm3・s−1 

4. 要求事項 試験の要求事項は,次による。 

− 試験は,放射線防護に関する適切な教育・訓練を受け,試験遂行に十分な能力をもつ者が行う。 

− 密封線源は,5.又は6.に規定する試験のうちの少なくともいずれか一つの方法によって漏出試験を行

うことが望ましい(漏出試験の選択については,附属書A参照。)。 

− この規格にない漏出試験を行う場合には,その試験方法がこの規格の対応する試験方法と同等又はそ

れ以上に効果的であると,使用者が確認できなければならない。 

− 最後に汚染検査の目的で,漏出試験の実施後にふき取り試験を行うことが望ましい。 

− 漏出試験の結果,漏出量が5.1.5,5.2.5,5.3.3,6.1.3,6.2.5,6.3又は表1の限度値を超えなければ,

密封性があるものとみなす。 

参考 次の記述は,要求事項ではない。 

一般的に,非浸出性の固体に対する10μPa・m3・s−1の漏出率と浸出性の固体,液体及び気体に

対する0.1μPa・m3・s−1の漏出率は,2kBqの放射性物質の漏出と等価である([12]参照)。 

298K (25℃) の乾燥空気中で,10−2気圧又はそれ以下の真空に対して1気圧の気圧差で,10

−7atm・cm3・s−1程度の漏出率があれば,内容物の物理的性状にかかわらず気密性が欠落している

といえる。容量的限度値については,[2]参照。 

background image

Z 4821-2 : 2002 (ISO 9978 : 1992) 

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表1 検出限界及び限度値 

試験方法 

検出限界 

Bq 

限度値 kBq 

非浸出性内容物 

浸出性又は気体状内容物 

温水浸せき試験 

 [5.1.1] 

10〜1 

0.2 

0.2 

煮沸浸せき試験 

 [5.1.2] 

10〜1 

0.2 

0.2 

液体シンチレータによる浸せき試験 
 

[5.1.3] 

10〜1 

0.2 

0.2 

気体の漏出試験 
(226Ra線源用) 

 [5.2.1] 

4〜0.4 

−(1) 

0.2 

(222Rn/12h) 

液体シンチレータによる気体の漏出試験 
(226Ra線源用) 

 [5.2.2] 

0.4〜0.004 

−(1) 

0.2 

(222Rn/12h) 

湿式ふき取り試験 

 [5.3.1] 

10〜1 

0.2 

0.2 

乾式ふき取り試験 

 [5.3.2] 

10〜1 

0.2 

0.2 

基準ヘリウム漏出率(μPa・m3・s−1) 

ヘリウム試験 

 [6.1.1] 

10−2〜10−4 

10−2 

ヘリウム加圧試験 

 [6.1.2] 

1〜10−2 

10−2 

真空発泡試験 

 [6.2.1] 

1(2) 

−(3) 

高温液体発泡試験 

 [6.2.2] 

1(2) 

−(3) 

気体加圧発泡試験 

[6.2.3] 

1(2) 

−(3) 

液体窒素発泡試験 

 [6.2.4] 

10−2(2) 

1×10−2 

水の増加量 μg 

水加圧試験 

 [6.3] 

10 

50 

−(3) 

注(1) 適切ではない。 

(2) これらの検出限界の値は,1回の漏出にだけ適用できる。 
(3) 十分な感度はない。 

− 定期検査以外の場合は,密封線源は,漏出試験の前によく洗浄し,目視検査による確認を行う。 
− 試験に使用する機器・装置は,適切に管理し,定期的に校正しなければならない。 
− 圧力,温度,試験線源と浸せき用液体の体積の比,試験線源と試験容器の体積の比などの重要な試験条件

は,可能な限り特定しておくことが望ましい。 

− ふき取り試験は,薄窓などの特殊な構造の密封線源,定期検査及び他の試験方法が適切でない場合を除い

て,漏出試験としては適切ではない。 

− ふき取り試験又は浸せき試験などの測定試料は,可能であれば簡易測定器で測定試料採取後すぐに確認す

ることが望ましい。例えば,最終測定の前に,放射能漏出があるか否かの確認にGM測定器を使用する。 

5. 放射能による試験 

5.1 

浸せき試験 

5.1.1 

温水浸せき試験 試験線源のカプセル表面の材質を冒すことなく,カプセル表面の放射性物質を除

去しやすい液体の中に試験線源を浸せきする。このような液体の例としては,蒸留水,低濃度の洗剤又は

キレート剤溶液,5%程度の弱アルカリ又は弱酸溶液などがある。この液体を323K±5K (50℃±5℃) の温

度に少なくとも4時間保持する。試験線源を取り出し,液体中の放射能を測定する。 

備考 超音波洗浄の方法を用いてもよい。その場合は,343K±5K (70℃±5℃) の温度で,保持時間は,

約30分に短縮できる。 

5.1.2 

煮沸浸せき試験 試験線源のカプセル表面の材質を冒すことなく,カプセル表面の放射性物質を除

去しやすい液体の中に,試験線源を浸せきし,10分間煮沸した後,冷却する。次に,同種類の新しい液体

の中で試験線源をすすぐ。試験線源を元の煮沸液に戻し,この操作を2回繰り返した後,試験線源を取り

出して液体中の放射能を測定する。 

Z 4821-2 : 2002 (ISO 9978 : 1992) 

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5.1.3 

液体シンチレータによる浸せき試験 試験線源のカプセル表面の材質を冒すことのない液体シン

チレータの中に,試験線源を常温で少なくとも3時間浸せきする。りん光の発生を低減するため,暗所に

保管する。試験線源を取り出し,液体シンチレータ中の放射能を液体シンチレーション測定器で測定する。 

5.1.4 

常温浸せき試験 試験線源のカプセル表面の材質を冒すことなく,カプセル表面の放射性物質の汚

染を除去しやすい液体の中に,試験線源を浸せきする。液体の温度は,293K±5K (20℃±5℃) とし,24

時間浸せきする。試験線源を取り出し,液体中の放射能を測定する。 

備考 常温浸せき試験に比べ,温水浸せき試験の方が一般的には有効であるが,温水浸せき試験を行

えない場合には,常温浸せき試験も有効な方法である。 

5.1.5 

限度値 5.1の漏出試験の結果,検出放射能が0.2kBqを超えなければ,試験線源は,密封性がある

ものとみなす。 

5.2 

気体の漏出試験 

5.2.1 

吸着による気体の漏出試験(226Ra密封線源用) 試験線源を適切な吸着材(例えば,活性炭,綿,

ポリエチレンなど)と共に小さな気密容器に入れ,少なくとも3時間放置する。試験線源を取り出し,容

器を閉じ,直ちに吸着材に吸着した放射能を測定する。 

5.2.2 

液体シンチレータによる気体の漏出試験(226Ra密封線源用) 5.1.3の手順による。 

5.2.3 

気体の漏出試験(85Kr密封線源用) 試験線源を容器の中に入れ,24時間減圧状態にする。容器

の中に漏出した85Krの放射能をプラスチックシンチレーション測定器で測定する。少なくとも7日間経過

した後,同じ試験を再度行う。 

5.2.4 

その他の気体の漏出試験 その他の気体の漏出試験については,5.2.1,5.2.2及び5.2.3で述べた方

法と同等の試験方法を用いる。 

5.2.5 

限度値 5.2.1又は5.2.2の漏出試験の結果,222Rnの検出放射能が0.2kBqを超えなければ,試験線

源は,密封性があるものとみなす。ただし,捕集時間は,12時間とし,捕集時間が12時間より短いとき

は,適切な補正をしなければならない。 

5.2.3又は5.2.4の漏出試験の結果,検出放射能が4kBqを超えなければ,試験線源は,密封性があるもの

とみなす。ただし,捕集時間は,24時間とする。 

5.3 

ふき取り試験 プロトタイプ線源の品質管理において,機械的な試験又は温度試験後の漏出試験と

して,ふき取り試験を用いる場合には,試験線源は,よく洗浄(必要な場合には,除染)しなければなら

ない。 

漏出試験として,ふき取り試験を採用する場合は,試験線源をよく洗浄し,表面汚染を除去してから7

日後に実施しなければならない。 

また,ふき取り試験は,再現性が良くないので,使用する器具やふき取る力加減などの技術的手法を十

分配慮しなければならない。 

5.3.1 

湿式ふき取り試験 試験線源のカプセル表面の材質を冒すことなく,カプセル表面の放射性物質を

除去しやすい液体で湿らせたろ紙又は適切な高吸収性のふき取り材で,カプセル全体の表面をふき取り,

ろ紙又はふき取り材に移行した放射能を測定する。 

5.3.2 

乾式ふき取り試験 乾いたろ紙でカプセル全体の表面をふき取り,ろ紙に移行した放射能を測定す

る。乾式ふき取り試験は,高放射能密封線源の試験や定期検査の場合など,湿式ふき取り試験が適切でな

いときに行うのが望ましい。 

5.3.3 

限度値 5.3の漏出試験の結果,検出放射能が0.2kBqを超えなければ,試験線源は,密封性がある

ものとみなす。 

Z 4821-2 : 2002 (ISO 9978 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

備考 密封線源にできるだけ近接した部分のふき取りを行う場合は,放射線防護に十分注意する必要

がある[附属書A A.3b)参照]。 

6. 放射能によらない試験 放射能によらない試験の場合は,容量的な漏出率と放射性物質の漏出との関

係を確立しておくことが望ましいが,放射性物質が多種にわたり,漏出形態も異なるため,実際には困難

である。この規格における容量的な漏出率と放射性物質の漏出との関係は,IAEAのデータに基づいてい

る。これらのデータは,すべて実験的に立証されているわけではないが,容量的な漏出試験は,長年行わ

れてきた方法でもあるし,経験的に有効である。 

この試験を行う前に,試験線源をよく洗浄し,乾燥することが望ましい。試験線源の内容物が浸出性又

は気体状のものは,6.1のヘリウム質量分析試験は,有効であるが,6.2の発泡試験及び6.3の水加圧試験

は,適切ではない。6.3の水加圧試験以外の試験では,試験線源の空げき部分の体積は,0.1cm3以上でなけ

ればならない。ただし,空げき部分の体積が0.1cm3以下であっても,試験の有効性が証明できるならばよ

い。 [9]  

6.1 

ヘリウム質量分析試験 

6.1.1 

ヘリウム試験 カプセル内部の空げきに,ヘリウム濃度が5%以上になるように,ヘリウムを封入

した試験線源を真空容器に入れ,ヘリウム質量分析器を通して容器内部を真空に引き,ヘリウム漏出率を

評価する。実際の漏出率は,漏出率測定値をカプセル内部の空げき中のヘリウム濃度で除して求める。 

6.1.2 

ヘリウム加圧試験 試験線源を加圧容器に入れる。加圧容器内の空気をヘリウムで置換する。容器

内部のヘリウムを加圧し,一定時間保った後,大気圧に戻す。試験線源を乾燥窒素の吹き付け又は揮発性

のフルオロカーボン液で洗浄する。試験線源をヘリウム試験用真空容器に移し,6.1.1によってヘリウム漏

出率を測定する。測定したヘリウム漏出率Qを使って,実際の基準ヘリウム漏出率Lを,次式によって求

める。 

V

p

pt

L

Q

20

2

35

.0

=

 ··········································································· (1) 

ただし,p0=1.013 25×105Pa 

備考1. ヘリウムの圧力p (MPa) (0.5MPaから10MPaの範囲内)を時間t (h) にわたって保持する。

加圧終了から測定開始までの時間は,10分以内とし,カプセル内部空げきの容積Vは,0.1cm3

以上とする。上記の範囲で試験パラメータを選べば,試験結果は,次式によって評価できる。 

V

pt

L

Q

2

35

.0

=

 ··········································································· (2) 

ここに, Q: ヘリウム浸出率の指示値(μPa・m3・s−1) 
 

L: 基準ヘリウム漏出率(μPa・m3・s−1)(1μPa・m3・s−1と1×10−

2μPa・m3・s−1の範囲)

)

/

7.1

(

pt

QV

L≦

2. (2)式は,一つ又は複数の漏出孔を通る分子流に対して成立する。粘性層流での漏出の割合が

高い場合には,実際の基準ヘリウム漏出率に対して過大評価となるが,その要因は,試験結

果にわずかな影響を与えるだけである。 

6.1.3 

限度値 6.1の漏出試験の結果,基準ヘリウム漏出率が,非浸出性の内容物に対して1μPa・m3・s−1

未満,浸出性又はガス状の内容物に対して10−2μPa・m3・s−1未満ならば,試験線源は,密封性があるものと

みなす。 

Z 4821-2 : 2002 (ISO 9978 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.2 

発泡試験 発泡現象は,試験線源内の圧力増加によるもので,内部の空げきからガスが漏出して,

水槽中に目に見える泡を形成する。一つの特定の漏れについてみると,発泡率は,表面張力の減少と共に

増加する。 

6.2.1 真空発泡試験 真空容器中に漏出試験用液体としてエチレングリコール,イソプロピルアルコール,

鉱物油又はシリコン油,若しくは湿潤剤を含んだ水を入れ,少なくとも1分間減圧して液体中の空気を除

く。圧力を大気圧に戻し,試験線源を液面下少なくとも5cmの深さに浸せきする。容器内部の圧力を15kPa

〜25kPa絶対圧の間に減圧する。試験線源からの発泡の有無を少なくとも1分間観察する。 

6.2.2 

高温液体発泡試験 常温の試験線源を363K (90℃) から368K (95℃) の熱水に液面下少なくとも

5cmの深さに浸せきする。熱水の代りに393K (120℃) から423K (150℃) に加熱したグリセリンを用いて

もよい。試験線源からの発泡の有無を1分間以上観察する。線源カプセルの熱容量が大きかったり,熱伝

導性が低い場合には,最低2分間の観察が望ましい。 

6.2.3 

気体加圧発泡試験 試験線源を,その体積の2倍以上であり,かつ,カプセル内部空げきの5倍以

上の容積をもつ圧力容器内に入れる。ヘリウムガスで,少なくとも1MPaに15分間加圧する。圧力を大気

圧に戻し,試験線源を容器から取り出して,直ちに,エチレングリコール,イソプロピルアルコール,ア

セトン又は湿潤剤を含んだ水に,液面下少なくとも5cmの深さに浸せきする。試験線源からの発泡の有無

を少なくとも1分間観察する。 

6.2.4 

液体窒素発泡試験 試験線源を液体窒素の中に5分間浸せきした後,試験線源を取り出し,気泡観

察用液体(メタノールなど)の中へ移す。試験線源からの気泡を少なくとも1分間観察する。 

6.2.5 

限度値 6.2の漏出試験の結果,泡が観察されないなら,試験線源は,1μPa・m3・s−1未満の漏出率

であり,密封性があるものとみなす。ただし,内容物が非浸出性でない場合に限る。 

6.3 

水加圧試験 試験線源の質量を量る。水圧による加圧試験を行い,試験線源の表面の水分を十分に

ふき取り,再び同じはかりで質量を量り,質量増加分を求める。 

質量増加が50μg未満なら,試験線源は,密封性があるものとみなす。ただし,内容物が非浸出性でな

い場合に限る。 

この試験が有効であるためには,カプセル内部空げきの容積が,はかりの感度の少なくとも5倍の質量

の水を入れることができなければならない。 

水圧による加圧法は,JIS Z 4821-1に規定する等級3,等級4,等級5及び等級6の圧力試験を行うのに

適用できる。 

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附属書A(規定) 漏出試験の選択 

この附属書は,プロトタイプ線源管理,生産管理及び定期検査において密封線源の漏出試験を実施する

にあたり,密封線源の種類に応じて,最も適切な漏出試験の選択を支援するためのガイドである。 

附属書A表1は,最も適切な試験方法と2番目に適切な試験方法を示しているが,すべての種類の密封

線源に対応したものではなく,絶対的なものでもない。 

A.1 生産管理に係る漏出試験 密封線源の製造時に行う漏出試験は,附属書A表1に推奨する試験方法か

ら選択することが望ましい。 

A.2 プロトタイプ線源管理に係る漏出試験 JIS Z 4821-1に規定する密封線源の等級を決定するために行

う漏出試験は,附属書A表1に推奨する試験方法から選択することが望ましい。 

プロトタイプ線源の等級決定に関する漏出試験は,公称放射能を含有したプロトタイプ線源,シミュレ

ーション線源及びダミー線源の漏出試験にも適用できる。ただし,ダミー線源の場合には,放射性物質に

よらない試験だけが適用できる。 

A.3 定期検査における漏出試験 使用者が密封線源の密封性を定期的に検査することは,重要なことであ

る。検査の頻度は,密封線源のデザインや使用環境による。 

定期検査は,必ずしも生産管理に係る漏出試験と同じである必要はない。密封線源の使用条件とそのワ

ーキングライフの間に起こり得る特定の危険性を考慮に入れることが望ましい。 

定期検査の実施にあたっては,次のような事例が想定される。 

a) 定期検査を密封線源の使用場所で実施し,密封線源の近傍をふき取ることが実際的な場合には,本体

の5.3のふき取り試験を行う。ふき取り試験に加えて目視検査も可能なら実施することが望ましい。 

b) 装置に密封線源が組み込まれていたり,高放射能線源のように密封線源を直接ふき取ることができな

い場合には,密封線源の近傍を検査することでもよい。 

警告 ふき取り試験の結果,放射能が検出されれば,たとえそれが0.2kBqの限度値未満であっても,

追加の試験を行うなど,密封線源の漏出から生じたものかどうか確認することが望ましい。こ

の場合の方法の一つに,一定間隔で試験を繰り返す方法がある。 

c) ふき取り試験以外の方法が実施可能な場合(例えば,設備のある病院や研究所での実施,又は製造業

者への返却など)には,A.1の密封線源の製造時の試験方法を採用することが望ましい。ふき取り試

験に加えて目視検査も可能なら実施することが望ましい。 

警告 定期検査を実施するにあたっては,実施者の外部被ばく線量が線量限度以下であることを確認

することは,重要である。 

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Z 4821-2 : 2002 (ISO 9978 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A表1 推奨する漏出試験方法 

密封線源の種類 

製造時の試験 

等級に係わる試験 

試験方法(I) 

試験方法(II) 

試験方法(I) 

試験方法(II) 

A 放射性物質が入った密封線源 

A1 薄い一重の窓 

(煙感知器用線源など) 

A2 低放射能校正用線源 

(プラスチックカプセル

の線源など) 

浸せき試験 

5.1 

ふき取り試験 

5.3 

浸せき試験 

5.1 

ふき取り試験 

5.3 

A3 ゲージング,ラジオグラフィ

ー及び治療用小線源などの1
重又は2重カプセルの線源 

(3H,226Raを除く。) 

浸せき試験 

5.1 

ヘリウム 

質量分析試験 

6.1 

発泡試験 

6.2 

浸せき試験. 

5.1 

ヘリウム 

質量分析試験 

6.1 

発泡試験 

6.2 

A4 1重又は2重カプセルの

226Ra,その他の気体線源 

気体の漏出試験 

5.2 

浸せき試験 

5.1 

気体の漏出試験 

5.2 

浸せき試験 

5.1 

A5 2重カプセルの遠隔治療用線

源及び高放射能の照射用線
源 

ヘリウム 

質量分析試験 

6.1 

乾式 

ふき取り試験 

5.3.2 

浸せき試験 

5.1 

ヘリウム 

質量分析試験 

6.1 

発泡試験 

6.2 

B A3,A4及びA5のシミュレー

ション線源 

浸せき試験 

5.1 

ヘリウム 

質量分析試験 

6.1 

発泡試験 

6.2 

C ダミー線源 

ヘリウム 

質量分析試験 

6.1 

発泡試験 

6.2 

備考 試験方法(I)は,最も望ましい方法であり,試験方法(II)は,(I)の次に選択することが望ましい方法である。 

Z 4821-2 : 2002 (ISO 9978 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B(参考) 参考文献 

序文 この附属書は,規定の内容を理解するためのものであり,規定の一部ではない。 

[1] McMASTERS, R. C., ed., Non-destructive Testing Handbook, Vol.1, Leak Testing, American Society for 

Non-destructive Testing/American Society for Metals, 2nd ed., 1982.  

[2] American National Standard for Radioactive Materials, Leakage Tests on Packages for Shipment, ANSI 

No.14.5-1987. 

[3] ASTM E 515-74 (Reapproved 1980), Standard Method of Testing for Leaks Using Bubble Emission Techniques. 

[4] ASTM F 98-72 (Reapproved 1977), Standard Recommended Practices for Determining Hermeticity of Electron 

Devices by a Bubble Test. 

[5] ASTM F 134-78, Standard Recommended Practices for Determining Hermeticity of Electron Devices with a 

Helium Mass Spectrometer Leak Detector. 

[6] ASTM F 730-81, Standard Test Methods for Hermeticity of Electron Devices by a Weightgain Test. 

[7] BIRAM, J., and BURROWS, B., Bubbles tests for gas tightness, Vacuum, 14(7), 1964, pp.221-226.  

[8] HOWL, DA., and MANN, CA., The backpressurizing technique for leak-testing, Vacuum, 15(7), 1965, 

pp.347-352.  

[9] ASTON, D., BODIMEADE, AH., HALL, E. G. and TAYLOR, C. B. G., The specifications and testing of 

radioactive sources designated as “special form” under the IAEA transport regulations, Report EUR 8053 EN, 

1982.  

[10] DWIGHT, D. J., A new method for leak-testing sealed sources of radium-226 and thorium-228, Report RCC-R 

176(1964)and Addendum RCC−R 176 (1965). 

[11] IAEA Safety Series No.6, Regulations for the safe transport of radioactive materials, Vienna, 1985.  

[12] IAEA Safety Series No.37 Advisory material for the application of the IAEA transport regulations, Vienna, 

1987.  

10 

Z 4821-2 : 2002 (ISO 9978 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS Z 4821-2(密封放射源−第2部:漏出試験方法) 

制定原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

濱 田 達 二 

財団法人原子力安全研究協会 

(委員) 

岡 本 浩 二 

文部科学省科学技術・学術政策局 

河 田   燕 

成蹊大学工学部 

檜 野 良 穂 

産業技術総合研究所 

橋 本   進 

財団法人日本規格協会 

小野間 克 行 

日本原子力研究所東海研究所研究炉部 

鈴 木 史 之 

株式会社千代田テクノルアイソトープ事業部 

中 村 吉 秀 

社団法人日本アイソトープ協会 

金 沢 孝 夫 

日本原子力研究所高崎研究所 

相 川 芳 弘 

神奈川県立がんセンター 

松 原 昌 平 

アロカ株式会社第二技術部 

松 山   格 

社団法人日本非破壊検査協会 

久保野   隆 

社団法人日本電気計測器工業会 

中 山 敏 幸 

株式会社東芝府中情報社会システム工場計測制御機器部 

門 野 浅 雄 

富士電機株式会社東京システム製作所放射線装置部 

(事務局) 

坂 入   功 

社団法人日本アイソトープ協会 

鈴 木   修 

社団法人日本アイソトープ協会 

日本工業標準調査会標準部会 電気技術専門委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

小 田 哲 治 

東京大学大学院 

(委員) 

池 田 久 利 

IEC/SBI委員 

(株式会社東芝電力システム社電力・産業システム技術開発センター) 

香 川 利 春 

東京工業大学精密工学研究所 

片 岡 正 夫 

社団法人日本電機工業会家電機器技術委員会 

(株式会社東芝家電機器社経営管理センター) 

川 越 康 宣 

電気事業連合会工務部 

坂 下 栄 二 

IEC/ACOS委員 

佐 藤 政 博 

財団法人電気安全環境研究所技術規格部 

佐 野 真理子 

主婦連合会 

高 橋 健 彦 

関東学院大学工学部 

高 久   '清 

独立行政法人産業技術総合研究所電力エネルギー研究部門 

高 山 芳 郎 

社団法人日本電線工業会技術部 

千 葉 信 昭 

社団法人電池工業会乾電池技術委員会規格小委員会 

(株式会社東芝ディスプレイ・部品材料社バッテリーエナジー事業部) 

徳 田 正 満 

武蔵工業大学工学部 

菱 木 純 子 

全国地域婦人団体連絡協議会 

福 田 和 典 

社団法人日本配線器具工業会技術部 

(東芝ライテック株式会社住宅機器事業部) 

村 上 陽 一 

社団法人日本電機工業会技術部 

石 塚 昶 雄 

社団法人日本原子力産業会議 

弓 削 洋 二 

社団法人日本電球工業会企画推進委員会 

(ハリソン東芝ライティング株式会社) 

横 田 倫 子 

消費科学連合会