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Z 4752-2-6:2012 (IEC 61223-2-6:2006) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲及び目的 ············································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 2 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 不変性試験の概要 ············································································································· 7 

4.1 条件 ···························································································································· 7 

4.2 試験手順に影響する一般的条件························································································· 7 

4.3 基礎値の設定 ················································································································ 7 

4.4 機器及び試験条件の確認 ································································································· 7 

4.5 不変性試験の適用範囲 ···································································································· 8 

4.6 ファントム及び試験器具を含む試験機器 ············································································· 8 

4.7 不変性試験の頻度 ·········································································································· 8 

5 CT装置の試験方法 ··········································································································· 9 

5.1 患者支持器(天板)の位置決め························································································· 9 

5.2 患者位置決め精度 ········································································································· 10 

5.3 スライス厚 ·················································································································· 11 

5.4 線量 ··························································································································· 12 

5.5 ノイズ,平均CT値及び均一性 ························································································ 13 

5.6 空間分解能 ·················································································································· 14 

附属書A(参考)取るべき処置に関する指針 ············································································ 16 

附属書B(参考)空間分解能の代替試験方法 ············································································· 18 

附属書C(参考)ヘリカルスキャン時のスライス厚測定······························································ 20 

附属書D(参考)低コントラスト分解能の視覚的試験方法 ··························································· 21 

附属書E(参考)用語−用語の索引························································································· 22 

参考文献 ···························································································································· 24 

Z 4752-2-6:2012 (IEC 61223-2-6:2006) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

画像医療システム工業会(JIRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日

本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業

大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS Z 4752-2-6: 2001は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の

特許出願及び実用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS Z 4752の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS Z 4752-1 第1部:総則 

JIS Z 4752-2-1 第2-1部:不変性試験−フィルム現像機 

JIS Z 4752-2-2 第2-2部:不変性試験−撮影用カセッテ及びフィルムチェンジャにおけるフィルム・

増感紙の密着及び相対感度 

JIS Z 4752-2-3 第2-3部:不変性試験−暗室安全光条件 

JIS Z 4752-2-5 第2-5部:不変性試験−画像表示装置 

JIS Z 4752-2-6 第2-6部:不変性試験−医用X線CT装置 

JIS Z 4752-2-7 第2-7部:不変性試験−口内法撮影用X線装置 

JIS Z 4752-2-8 第2-8部:不変性試験−X線防護具類 

JIS Z 4752-2-9 第2-9部:不変性試験−間接透視及び間接撮影用X線装置 

JIS Z 4752-2-10 第2-10部:不変性試験−乳房用X線装置 

JIS Z 4752-2-11 第2-11部:不変性試験−直接撮影用X線装置 

JIS Z 4752-2-12 第2-12部:受入試験及び不変性試験−シャウカステン 

JIS Z 4752-3-1 第3-1部:受入試験−診断用X線装置 

JIS Z 4752-3-2 第3-2部:受入試験−乳房用X線装置の画像性能 

JIS Z 4752-3-3 第3-3部:受入試験−ディジタルサブトラクション血管造影(DSA)用X線装置 

JIS Z 4752-3-4 第3-4部:受入試験−歯科用X線装置の画像性能 

JIS Z 4752-3-5 第3-5部:受入試験−医用X線CT装置 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格 

      JIS 

Z 4752-2-6:2012 

(IEC 61223-2-6:2006) 

医用画像部門における 

品質維持の評価及び日常試験方法− 

第2-6部:不変性試験−医用X線CT装置 

Evaluation and routine testing in medical imaging departments- 

Part 2-6: Constancy tests- 

Imaging performance of computed tomography X-ray equipment 

序文 

この規格は,2006年に第2版として発行されたIEC 61223-2-6を基に,技術的内容及び対応国際規格の

構成を変更することなく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

CT装置は,試験画像の自動的な評価を完全に行わない場合があるので,画像表示装置の適切な機能及

び設定に注意を払わなければならない。 

CT装置の不変性試験をする前に,画像表示装置についてのJIS Z 4752-2-5,又は関連する施設内の手順

を適用して,本来の機能を保証することを強く推奨する。 

この規格にある幾つかの条項又は記載事項については,附属書A〜附属書Eに付加情報を記載している。 

測定においては,この規格に規定した方法を適用する前に現実に即して,その関連する出版物に記載し

た方法を参照することが望ましい。 

適用範囲及び目的 

この規格は,CT装置の不変性試験を実施するときの手助けとなることを意図している。 

この規格は,画質,患者に対する線量及び位置決めに影響を与えるCT装置の構成品について適用する。 

この規格は,次の事項について規定する。 

− 画質,患者に対する線量及び位置決めに関係するCT装置の性能を表す基本性能のパラメータ。試験

する項目のリストを,4.5に示す。 

− 基本性能のパラメータに対する試験方法 

− 附属文書に指定したパラメータの許容範囲及び基礎値に関わる適合性のデータ評価に適用する基準 

これらの試験方法は,適切な試験機器を使った非接続形(non-invasive)の測定による。機器の機能的特

性が設定基準に適合することを保証し,又は機器の構成品の特性による変化の早期発見を可能にする。 

この規格の目的は,画質,患者に対する線量及び位置決めに影響する仕様への適合を検証することであ

る。 

次の事項については,この規格では考慮していない。 

Z 4752-2-6:2012 (IEC 61223-2-6:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 機械的及び電気的な安全 

− 不変性試験を実施するために本質的でなく,かつ,直接画質,患者に対する線量,及び位置決めに影

響しない機械的,電気的及びソフトウェアの性能 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

IEC 61223-2-6:2006,Evaluation and routine testing in medical imaging departments−Part 2-6: 

Constancy tests−Imaging performance of computed tomography X-ray equipment(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ

とを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の一部を構成する。これらの引用規

格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)は適用しない。 

JIS Z 4005:1991 医用放射線用語 

注記 対応国際規格:IEC 60788:1984,Medical radiology−Terminology(MOD) 

JIS Z 4751-2-44:2008 医用X線CT装置−安全 

注記 対応国際規格:IEC 60601-2-44:2001,Medical electrical equipment−Part 2-44: Particular 

requirements for the safety of X-ray equipment for computed tomography及びAmendment 1(2002)

(IDT)1) 

注1) 第2版と追補1とを統合した第2.1版がある。 

JIS Z 4752-3-5:2008 医用画像部門における品質維持の評価及び日常試験方法−第3-5部:受入試験−

医用X線CT装置 

注記 対応国際規格:IEC 61223-3-5:2004,Evaluation and routine testing in medical imaging departments 

−Part 3-5: Acceptance tests−Imaging performance of computed tomography X-ray equipment

(IDT) 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 4005によるほか,次による。 

注記1 この規格で用いられている定義された用語の一覧を,附属書Eに示す。 

注記2 この規格で用いる用語の概念が,JIS Z 4752-1(IEC 61223-1)又はJIS Z 4005(IEC 60788)

の中で与えられた定義にそれほど強く限定しない場合には,同じ用語でも,太字にしていな

い。 

3.1 

CT作動条件(CT CONDITIONS OF OPERATION) 

公称スライス厚,CTピッチ係数,ろ過,X線管電圧,X線管電流及び負荷時間,又は管電流時間積を

一例とするCT装置の操作を調整する選択可能な全てのパラメータ 

(JIS Z 4751-2-44:2008,定義2.102参照) 

3.2 

CT装置(CT SCANNER) 

異なる角度で得られたX線透過データの再構成によって,体の断面画像を作る診断用X線装置。装置は

一般的に,信号分析,表示装置,患者支持器,支持部品及び附属品を含む。 

Z 4752-2-6:2012 (IEC 61223-2-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 二次的な画像処理は,この規格には含まない。 

(JIS Z 4751-2-44:2008,定義2.101参照) 

3.3 

CT線量指数100(以下,CTDI100という。)(COMPUTED TOMOGRAPHY DOSE INDEX 100) 

スライス面に対して垂直な線(z)に沿った単一アキシャルスキャンの線量プロファイルを−50 mm〜+

50 mmの範囲で積分した値を,単一スキャンで生成されるスライスの数(N)と公称スライス厚(T)との

積で,除したもの 

dz

T

N

z

D

CTDI

∫+−

×

=

mm

50

mm

50

)

(

100

ここに, 

D(z): スライス面に対して垂直な線に沿った線量プロファイ

ル。 
線量は,空気に対する吸収線量として表す。 

N: X線源の1回転において生成されたスライスの数 

T: 公称スライス厚 

注記1 用語CTDI100は,FDAによって,21 CFR 1020.332)で定義された−7 Tから+7 Tまで積算し

た伝統的CTDIから,より適切な線量値として導入している。 

注2) U.S. code of Federal Regulations,Title 21,Chapter I: Food and Drug Administration (FDA),

Part 1020-Performance standards for ionozing radiation emmitting products:Section 1020.33: 

Computed tomography:米国連邦規則,表題21,I章,第1020部−電離放射線機器1020.33

項:X線CT装置 

注記2 線量は,空気の吸収線量(空気カーマ)とする。これは,CT装置製造業者によって,空気

に対する吸収線量で表されたり,メタクリル樹脂(PMMA)に対する吸収線量で表されたり

する混乱を回避するためである。例えば,CTDI100が空気中の吸収線量としているが,実際は,

PMMA製線量ファントム内の空気に対する吸収線量であり,それは,ファントム内のイオン

チャンバによる空気カーマの測定によって近似した値として表される。 

注記3 この定義では,線量プロファイルの中心はz=0としている。 

注記4 単一のアキシャルスキャンは,通常,X線源の360°回転としている。 

(JIS Z 4751-2-44:2008,定義2.106参照) 

3.4 

重み付けCTDI100(WEIGHTED CTDI100) 

重み付けCTDI100(CTDIw)を,次に定義する。 

(周辺)

(中心)+

100

100

w

3

2

3

1

CTDI

CTDI

CTDI=

ここに, 

CTDI100(中心): CT線量測定用ファントムの中心で測定した値 

CTDI100(周辺): CT線量測定用ファントムの周辺部で測定した値

の平均値 

(JIS Z 4752-3-5:2008,定義3.6参照) 

3.5 

CT値(CT NUMBER) 

CT画像の各画素に関連する平均X線減弱を表すために用いる数 

 
 

Z 4752-2-6:2012 (IEC 61223-2-6:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 CT値は,通常ハンスフィールド単位(Hounsfield Unit)で表される。減弱の測定値は,国際ハ

ンスフィールドスケールを用いた次の式によってCT値に変換される。 

000

×

物質−

μ

μ

μ

CT値

ここに, 

μ: 線減弱係数 

CT値は,水の値を0,空気の値を−1 000として決める。 

3.6 

CTDI free air 

ファントム及び患者支持器(天板)なしで測定した回転中心におけるCTDI100 

(JIS Z 4752-3-5:2008,定義3.24参照) 

3.7 

CTピッチ係数(CT PITCH FACTOR) 

ヘリカルスキャンにおいて,X線源の1回転当たりのz軸に沿った患者支持器(天板)の移動量(Δd)

を,公称スライス厚(T)とスライス数(N)との積で除した値 

T

N

d

ピッチ係数

CT

×

Δ

= 

ここに, 

Δd: X線源の1回転当たりのz軸に沿った患者支持器(天板)

の移動量 

T: 公称スライス厚 

N: X線源の単一アキシャルスキャンで生成されるスライス

の数 

(JIS Z 4751-2-44:2008,定義2.107参照) 

3.8 

線量プロファイル(DOSE PROFILE) 

線に沿った位置の関数としての線量表示 

(JIS Z 4751-2-44:2008,定義2.103参照) 

3.9 

平均CT値(MEAN CT NUMBER) 

限定された関心領域内の全ての画素のCT値の平均の値 

3.10 

ノイズ(NOISE) 

均一な物質の限定された領域における平均CT値からの,各画素のCT値の変動 

注記 ノイズの大きさは,関心領域における均一物質のCT値の標準偏差で示す。 

3.11 

公称スライス厚(NOMINAL TOMOGRAPHIC SECTION THICKNESS) 

CT装置において,制御盤上に表示及び選択されるスライス厚 

注記 ヘリカルスキャンにおいて再構成画像のスライス厚は,アルゴリズム及びピッチに依存する。

したがって,このスライス厚は,公称スライス厚と一致しなくてもよい。その再構成画像のス

ライス厚は,ヘリカルスキャンの前に選択及び表示してもよい。 

(JIS Z 4751-2-44:2008,定義2.110参照) 

Z 4752-2-6:2012 (IEC 61223-2-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.12 

感度プロファイル(SENSITIVITY PROFILE) 

スライス面に垂直な線に沿った位置の関数としてのCT装置の相対的応答 

(JIS Z 4751-2-44:2008,定義2.104参照) 

3.13 

空間分解能(SPATIAL RESOLUTION),高コントラスト分解能 

物体とその周辺との減弱の差がノイズに比して大きいとき,表示画像において異なる物体を解像する能力 

注記1 通常,数百ハンスフィールド単位のCT値の差を生じる物体と,その周辺との間の減弱係数

の差は,十分大きいとされている。 

注記2 高コントラスト分解能は,空間分解能の別名である。 

(JIS Z 4752-3-5:2008,定義3.17参照) 

3.14 

スライス面(TOMOGRAPHIC PLANE) 

回転軸(z軸)に直行する幾何学的面 

(JIS Z 4751-2-44:2008,定義2.105参照) 

3.15 

スライス(TOMOGRAPHIC SECTION) 

1回のアキシャルスキャンで収集されるX線透過データの体積 

注記 z軸に沿った多列検出器を装備したCT装置において,スライスとは一つの収集列(選択された

検出素子の集団)の体積であり,照射された全ての体積ではない。 

(JIS Z 4751-2-44:2008,定義2.108参照) 

3.16 

スライス厚(TOMOGRAPHIC SECTION THICKNESS) 

スライス面の回転中心でとられた感度プロファイルの半値幅 

(JIS Z 4751-2-44:2008,定義2.109参照) 

3.17 

均一性(UNIFORMITY) 

スキャン領域内の均一な物質の,画像のCT値の均一性 

(JIS Z 4752-3-5:2008,定義3.21参照) 

3.18 

ボリュームCTDIw[VOLUME CTDIw(CTDIvol)] 

選択したCT作動条件で撮影した総体積の平均線量 

CTDIvolを,次に定義する。 

a) アキシャルスキャンの場合 

w

vol

CTDI

d

T

N

CTDI

∆×

=

ここに, 

N: X線源の単一アキシャルスキャンで生成されるスライス

の数 

T: 公称スライス厚 

Δd: 連続するスキャン間のz軸に沿った患者支持器(天板)

の移動量 

background image

Z 4752-2-6:2012 (IEC 61223-2-6:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) ヘリカルスキャンの場合 

factor

pitch

CT

CTDI

CTDI

w

vol=

c) 患者支持器(天板)の移動がない事前にプログラムされたスキャン 

w

vol

CTDI

n

CTDI

×

=

ここに, 

n: 事前にプログラムされた回転数の最大値 

注記1 製造業者によって表示されるCTDIvolは,その機種の代表的な値であり,特定のCT装置にお

いて測定した値でなくてもよい。 

注記2 このc)で定義されたCTDIvolは,事前にプログラムした回転数の最大値を適用しているため,

実際の線量より過大に見積もりすぎている可能性がある。しかし,患者を皮膚放射線障害か

ら確実に保護するために安全側に立った線量評価として使用される。 

注記3 患者支持器(天板)のマニュアル移動は,このc)に含む。 

3.19 

CT線量測定用ファントム(CT DOSIMETRY PHANTOM) 

線量測定用ファントムは,頭部用で直径160 mm,体幹部用で直径320 mmのメタクリル樹脂製(PMMA)

で円柱状の構造でなければならない。 

ファントムの長さは,少なくとも140 mmとする。ファントムは,測定のために使用される放射線検出

器の有効容積より長くなければならない。ファントムは,放射線検出器を入れるのに適切な大きさの孔を

備えるものとする。これらの孔は,ファントムの対称軸と平行とし,そして孔の中心は,ファントムの中

心及び90°の間隔をおいたファントムの表面下10 mmの位置になければならない。 

1 スライス面 
2 ファントム 

図1−CT装置で用いられる座標系 

Z 4752-2-6:2012 (IEC 61223-2-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

不変性試験の概要 

4.1 

条件 

この規格で規定した不変性試験の結果を有効にするために,不変性試験が試験のパラメータ変更以外の

他の要因によって,重大な影響を受けないことを保証することが必要である。 

試験における全ての装置又は試験に使用される全ての機器には,後の不変性試験で同じものが用いられ

るということを保証するために,同一性の識別が容易にできる印を付けるか,記録を残さなければならな

い。 

4.2 

試験手順に影響する一般的条件 

環境パラメータを含め,CT装置を調べるための試験条件を適切に選択することは,注意深く配慮しな

ければならない。 

この規格で規定した不変性試験の項目は,その結果が調査の対象となるパラメータの変化によってしか,

影響を受けない安定したものを選定している。 

試験器具及び試験機器の対応する範囲は,必要最小限にしている。また,影響を受けにくく本質的に単

純で,簡単に,かつ,適度に安定した機器を用いてできる範囲に制限している。 

したがって,次の配慮が必須である。 

− 同じ装置,部品及び附属品が使用されることの照合に関し,試験を行うごとに,CT装置及び附属品

の全ての重要な設定を記録し,再現しなければならない。 

− 環境変化,特に電源の変動が試験結果に与える影響に配慮しなければならない。 

− 特にCT装置の重大な変化の可能性があるとき,試験機器の性能を随時点検しなければならない。 

不変性試験の結果と基礎値との間に重大な相違が観測されたとき,試験器具を含め,試験用の機器及び

機器の配置を再調整し,その上で,測定を繰り返さなくてはならない(附属書A参照)。 

試験対象の装置又は試験機器のいずれかの,試験結果に重大な変化を生じる部品(ハードウェア,ソフ

トウェア又は重要なパラメータ)が変わった場合には,新しい基礎値を設定しなければならない。 

CT装置が使用されている期間は,その装置に関する全ての試験結果の記録を保存しておかなければな

らない。 

4.3 

基礎値の設定 

不変性試験で用いる試験項目に対する基礎値は,受入試験(JIS Z 4752-3-5)を行うときに設定しなけれ

ばならない。不変性試験では,基礎値を設定するために用いたものと同じ手順及び試験機器を用いなけれ

ばならない。 

次のいずれかの場合は,新しい基礎値を設定しなければならない。 

− 新しいCT装置を使用開始 

− CT装置及び附属品の中で,画質又は線量に影響する部品の変更 

− 測定結果に影響する可能性がある試験機器の変更 

他の手順及び試験機器を用いる場合,使用者は,それがJIS Z 4752-3-5に従った手順及び試験機器に対

して妥当であることを確認しなければならない。 

4.4 

機器及び試験条件の確認 

全ての試験対象又は試験に使用する装置は,明確に識別できなければならない。試験器具の配置を含め,

全ての試験条件は,記録しなければならない。 

最初の不変性試験に使用した機器及びその設定を,次の試験に使用できるように,次の5項目を識別す

るか,又は記録しなければならない。 

Z 4752-2-6:2012 (IEC 61223-2-6:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

X線装置に入替え可能な部品 

− 付加フィルタ 

− 照射野限定器 

− 放射線ビーム中の患者支持器又はその他の減弱物質 

試験機器について 

− 試験器具 

− 線量計 

CT装置の不変性試験には,次の試験器具を使用する。 

− X線ビームの減弱及びろ過を模擬するためのもの 

− 測定した変数の評価に必要な特定の材料又は物体 

− 再現できる状態でのX線ビーム中の材料又は物体の位置 

試験器具の使用に関連して,次の条件を規定し,記録しなければならない。 

− 試験に使用したスキャンパラメータの全ての選択可能な値(例えば,X線管電圧,X線管電流及び負

荷時間又は管電流時間積,並びにスライス厚,画像再構成関数,解像度,スキャン領域,使用者によ

る選択可能な他のパラメータ及びソフトウェアのバージョン番号) 

− 画像化する試験器具の範囲 

− 照射中の試験器具の位置 

4.5 

不変性試験の適用範囲 

不変性試験の前に取扱説明書に従ったCT装置の外観及び機能の点検を実施する。 

次の不変性試験は,少なくとも異なった二つの代表的なアキシャルスキャンのCT作動条件を用いて実

施する。 

− 患者支持器(天板)の位置決め(5.1参照) 

− 患者位置決め精度(5.2参照) 

− スライス厚(5.3参照) 

− 線量(5.4参照) 

− ノイズ,均一性及び平均CT値(5.5参照) 

− 空間分解能(5.6参照) 

他の試験を実施してもよい。しかし,受入試験の必要な項目とはしない[例えば,ヘリカルスキャンの

スライス厚(附属書C参照),低コントラスト分解能(密度分解能)(附属書D参照)]。 

測定したノイズ及び平均CT値が,仕様に合致する場合,低コントラスト分解能は,仕様に合致してい

るとする。製造業者は,低コントラスト分解能の測定が必要な場合,詳細な評価方法を提供しなければな

らない。他の可能な低コントラスト分解能の測定方法は,附属書Dを参照する。 

4.6 

ファントム及び試験器具を含む試験機器 

不変性試験で用いる測定機器は,校正済みであることを保証する。測定機器による誤差は,測定(値)

に影響しない程度に小さくする。 

4.7 

不変性試験の頻度 

不変性試験は,それぞれの試験項目に対して明示された頻度で実施しなければならない。しかし,試験

を実施している当該CT装置の性能が半年間,許容値内であると判断できる場合は,不変性試験の頻度を

減らしてもよい。この場合でも,線量測定は年1回,その他の試験については,3か月を超えない期間に

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

実施することが望ましい。 

さらに,次の場合にも実施することが望ましい。 

a) 故障が疑われるとき 

b) CT装置の試験の対象になる性能パラメータに影響すると考えられる保守を行った直後 

c) 不変性試験の結果が設定基準から外れた場合 

CT装置の試験方法 

5.1 

患者支持器(天板)の位置決め 

5.1.1 

概要 

患者支持器の位置精度には,長手方向の位置決め及びバックラッシュの両者を含む。長手方向の患者支

持器の位置精度は,患者支持器を一方向に定めた距離(defined distance)を移動させ,その移動距離を確

認することによって評価する。患者支持器を一方向に移動し,初期位置へ戻す精度を,バックラッシュと

いう。 

5.1.2 

試験機器 

患者支持器の可動部分に隣接する固定部分の位置に定規を取り付ける。 

注記 精度を確認してある場合は,代替となるフィルム又は画像に基づいた方法を用いてもよい。 

5.1.3 

試験手順 

患者支持器に135 kgを超えない人体相当の負荷をかけた状態で,試験を実施する。患者支持器の可動部

分に適切な印を付け,その近くの固定部分の定規にも印を付ける。患者支持器を印を付けた距離の分引き

出し,そのときの移動距離Lforを測定する(二つの印の間の距離)。患者支持器を初期位置まで戻し,二つ

の印の間の距離Cforを測定する。次に反対方向へ移動させ,Lfor及びCforと同様にLback及びCbackに相当す

る印の間の距離を測定する。前述の手順は,撮影モードで患者支持器を,前方向及び後方向の両方向に約

10 mm単位で,合計30 cmまで動かすCT作動条件で,繰り返す。 

5.1.4 

データの評価 

5.1.4.1 

患者支持器の長手方向の位置決め 

長手方向の移動距離Lfor及びLbackを,印を付けた距離と比較する。 

5.1.4.2 

患者支持器のバックラッシュ 

測定距離Cfor及びCbackは,バックラッシュ値である。 

5.1.4.3 

CT作動条件下での患者支持器のステップ送り 

長手方向の位置決め評価及びバックラッシュ評価を繰り返す。 

5.1.5 

適用する基準 

5.1.5.1 

患者支持器の長手方向の位置決め 

Lfor及びLbackの印を付けた距離との差は,±1 mmを超えてはならない。 

5.1.5.2 

患者支持器のバックラッシュ 

Cfor及びCbackは,±1 mmを超えてはならない。 

5.1.5.3 

CT作動条件下での患者支持器のステップ送り 

5.1.5.1及び5.1.5.2の基準を適用しなければならない。 

5.1.6 

取るべき処置 

取るべき処置の指針(ガイダンス)を,附属書Aに示す。 

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5.1.7 

試験の頻度 

患者支持器の長手方向の位置決め及びバックラッシュは,少なくとも3か月に一度実施しなければなら

ない。 

5.2 

患者位置決め精度 

5.2.1 

概要 

アキシャル面の患者位置決め基準(光照射野)とスキャン面との相関を,薄い吸収体を位置決めし,撮

影することによって試験する。 

5.2.2 

試験機器 

試験器具は,薄い吸収体を含む。例えば,約1 mm径の金属線。 

5.2.3 

試験手順 

5.2.3.1 

スキャン面を示す内側の患者光照射野(位置決め基準)の試験手順(可能な場合) 

スライス面と平行に内側の光照射野の中心に,試験器具を配置する。光照射野を中心とし,±3 mmの

範囲にわたって,連続した薄い断層像を撮影する。試験条件は,1 mm以下の天板送りで,最も薄いスラ

イス厚を用いる。 

代わりに,X線フィルムを回転中心に,かつ,患者位置決め基準が示した中心に配置してもよい。2 mm

以下のスライス厚で撮影する。 

CT装置が,更に別の方法で,患者位置決め基準の精度を自動的に評価する手段をもつ場合は,精度を

確認した後に,この細分箇条で規定した方法で代用してもよい。 

5.2.3.1.1 

外側の患者位置決め基準の試験手順(可能な場合) 

スライス面と平行に外側の光照射野の中心にして,試験器具を配置する。CT装置は,自動的に試験器

具をスキャン面に動かす。光照射野を中心とし,±3 mmの範囲にわたって,連続した薄い断層像を撮影

する。試験条件は,1 mm以下の天板送りで,最も薄いスライス厚を用いる。 

代わりに,X線フィルムを回転中心に,かつ,患者位置決め基準が示した中心に配置してもよい。CT

装置は,自動的にフィルムをスキャン面に動かし,2 mm以下のスライス厚で撮影する。 

CT装置が,更に別の方法で,患者位置決め基準の精度を自動的に評価する手段をもつ場合は,精度を

確認した後にこの細分箇条で規定した方法に代用してもよい。 

5.2.3.1.2 

スキャン投影画像(プレビュー画像)を用いたスライス面の自動位置決め試験手順 

CT装置のX軸と平行に,試験器具を患者支持器(天板)上に配置する。AP方向(Antero-Posterior方向)

に撮影したスキャン投影画像を撮影する。スキャン投影画像中の試験器具の位置にスライスを正確に定め

る。CT装置は,スライス面に試験器具を自動的に位置決めしてもよい。試験器具の位置を中心とし,±3 

mmの範囲にわたって,連続した薄い断層像を撮影する。試験条件は,1 mm以下の天板送りで,最も薄い

スライス厚を用いる。 

CT装置が,更に別の方法で,患者位置決め画像を用いて自動的な位置決めを評価する手段をもつ場合

は,精度を確認した後に,この細分箇条で規定した方法で代用してもよい。 

5.2.3.2 

データの評価 

各試験について,試験対象の最も高いCT値をもつ画像を選択する。 

5.2.3.3 

適用する基準 

各試験について,選択した画像は,指定した位置に対して±2 mm以内としなければならない。 

5.2.4 

し(矢)状方向及び冠状方向の患者位置決め基準(光照射野)の精度(可能な場合) 

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5.2.4.1 

概要 

画像の回転中心を含むし(矢)状方向(左・右)及び冠状方向(上・下)の患者位置決め基準とスキャ

ン面との相関を,薄い吸収体を回転中心に位置決めし,撮影することによって試験する。 

5.2.4.2 

試験機器 

試験器具は,薄い吸収体を含まなければならない。例えば,し(矢)状方向及び冠状方向の位置決め基

準を用いて回転中心に配置した鉛筆。 

5.2.4.3 

試験手順 

スライス面内で,し(矢)状方向及び冠状方向の位置決め基準の交差する線に位置決めすることで,試

験器具をCT装置の中央に配置する。約10 cmの画像再構成表示領域(Field of view)及び適切な照射条件

で,画像を撮影する。 

5.2.4.4 

データの評価 

試験器具の画像を観察し,試験器具を画像中心に位置決めする。格子(グリッド)又はX,Y原点を0,

0で表示した軸を用いて,画像の中心を決定する。 

5.2.4.5 

適用する基準 

附属文書で指定した値及び許容範囲を適用しなければならない。 

5.2.5 

取るべき処置 

取るべき処置の指針は,附属書Aに示す。 

5.2.6 

試験の頻度 

アキシャル面,し(矢)状方向(可能な場合)及び冠状方向(可能な場合)の患者位置決め精度は,少

なくとも3か月に1回測定しなければならない。 

さらに,アキシャル面の患者位置決めの精度は,主要な保守を実施した後には測定しなければならない。 

5.3 

スライス厚 

5.3.1 

アキシャルスキャンのスライス厚 

5.3.1.1 

概要 

傾斜物とスキャン面との交点で,適切な材料でできた一つ以上の傾斜物の画像の幅を測定することによ

ってスライス厚を評価する。幅は,半値幅で定義する。 

5.3.2 

試験機器 

アルミニウム以上の線形減弱係数をもった一つ(好ましくは二つ)の傾斜物,更に二つの傾斜物の場合

は,スキャン面に対して相反する角度になる傾斜物を含み,全てのスライス厚の測定に適切な試験器具を

用いる。代表的な角度は,45°である。 

注記1 傾斜物は,スキャン面と角度をつけて配置した薄片,又は金属線(ワイヤ)である。 

注記2 傾斜物の角度及び厚さは,測定に有意に影響を及ぼさないほうがよい。 

注記3 適宜スライス厚に対して別々な微小球体(ビーズ),円盤(ディスク),又は金属線をもつ傾

斜物を用いてもよい。 

5.3.3 

試験手順 

CT装置の回転軸と試験器具の中心軸とが一致するように試験器具を配置する。 

試験器具を位置決めした後,4.4に設定した事前設定(プロトコル)に従って一連のCT作動条件を用い

て撮影する。 

マルチスライスCT装置の場合,少なくとも両端のスライス及びその内側の代表的な1スライスに対し

て評価を行う。 

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5.3.4 

データの評価 

撮影した画像の評価は,次による。 

バックグラウンドのCT値は,ウインド幅を可能な最小設定値に調整し,また,ウインドレベルをバッ

クグラウンドのCT値がちょうど見えなくなるところの半値まで調整することによって決定する。 

バックグラウンドのCT値を記録する。 

各傾斜物について次の方法を実施する。 

− 各傾斜物の最大CT値は,バックグラウンドのCT値を確立した方法で決定する。 

− 各傾斜物の最大CT値にバックグラウンドのCT値を加え,その値を2で除したものを,各傾斜物の

最大CT値の半値とする。これらの値を記録する。 

− 最小値に設定したウインド幅で,ウインドレベルを最大値の半分に調節し,半値幅(測定するスライ

ス厚とみなされる。)を決めるために,各傾斜物の幅を測定する。 

− 試験器具が二つ以上の傾斜物を含む場合,得られた値を平均して半値幅とする。 

− 測定された半値幅(FWHM)に傾斜物とスキャン面とがなす角の正接(傾き)を乗じる。この結果を,

アキシャルスキャンのスライス厚とする。 

CT装置が,前述(この細分箇条で規定した)と同じ方法で,自動的にスライス厚を評価する手段をも

つ場合は,用いてもよい。 

画素サイズ及び再構成アルゴリズムは,測定に有意に影響を及ぼさないほうがよい。画像再構成表示領

域(Field of View)は,画像中の傾斜物検出の障害とならないように選択する。再構成アルゴリズムは,平

滑化効果が最小となるように選択する。これは,1 mm以下の公称スライス厚では特に重要である。 

傾斜板を用いる場合は,傾斜板内の幾つかの線の測定値を平均することが望ましい。 

一つの線に沿って画素のCT値をグラフ化し,評価するツールとして使用者が操作するCT装置のソフ

トウェアに組み込まれている場合,スライスプロファイルは,傾斜角度の補正後にアキシャルスライス厚

に相当する傾斜物画像の最大半値幅を決定するために用いてもよい。 

5.3.5 

適用する基準 

測定したスライス厚と基礎値との差の最大値は,次のとおりである。 

− 2 mmを超えるスライス厚:±1.0 mm 

− 1 mm〜2 mmのスライス厚:±50 % 

− 1 mm未満のスライス厚:±0.5 mm 

注記 薄いスライス厚は,測定用傾斜板の厚さのため,公称値より広く測定されることがある。 

さらに,受入試験の基準は同じ試験方法を用いる。 

5.3.6 

取るべき処置 

取るべき処置の指針を,附属書Aに示す。 

5.3.7 

試験の頻度 

スライス厚は,少なくとも月に1回試験しなければならない。 

5.4 

線量 

5.4.1 

概要 

線量測定は,JIS Z 4751-2-44に規定する方法で実施する。 

5.4.2 

試験機器 

試験器具は,JIS Z 4751-2-44で規定するものを用いる。 

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5.4.3 

試験手順 

不変性試験のため,CTDIw又はCTDIfree airは,4.4で選択したアキシャルの事前設定に対して測定しなけ

ればならない。 

注記 CTDIfree airは,ファントムを使わないことによって回転中心でのCT装置のX線出力の不変性

に対してCTDIwより感度が高い。一方,回転中心で測定するため,CTDIwに寄与する周辺線量

に反映されるX線ビーム形状フィルタのオフセンタ(Off-centre)効果を表していない。 

5.4.4 

データの評価 

CTDIw又はCTDIfree airの値は,基礎値及び附属文書に指定した値と比較しなければならない。 

CTDIwが得られれば,1回のアキシャルスキャンによるCTDIvolをJIS Z 4751-2-44の方法を用いて算出

することが望ましく,操作卓上に表示しているCTDIvol値と比較することが可能になる。 

注記 CTDIvolは,選択された検査の種類,頭部又は体幹部及びCT作動条件を反映し,制御盤上にミ

リグレイ(mGy)で表示される。 

管電流が1回のスキャンの間に変化する場合には,最大のCTDIvolとなる事前にプログラム

されたX線条件を,CTDIvolの計算に使用される。 

回転数が事前にプログラムされない場合には,1秒当たりのCTDIvolは,ミリグレイ毎秒

(mGy/s)で,積算したCTDIvolは,ミリグレイ(mGy)で検査の間表示される。 

5.4.5 

適用する基準 

測定した線量は,基礎値の±20 %以内である必要がある。 

さらに,受入試験の基準は,同じ試験方法を用いる。 

5.4.6 

取るべき処置 

5.4.5の基準を測定値が適合しない場合には,適切な処置を取らなければならない。 

取るべき処置の指針は,附属書Aに示す。 

試験器具(ファントム)の位置決め及び測定用の放射線検出器の校正は,非常に重要であるので,試験

器具(ファントム)の再位置決めの後に測定を,最初に行うことが望ましい。5.4.2の仕様に合致する2台

目の放射線検出器を,測定機器の保全性の検証に用いてもよい。 

5.4.7 

試験の頻度 

線量は少なくとも半年に1回測定されなければならない。 

さらに,線量は大きな保守作業の実施後には測定されなければならない。 

5.5 

ノイズ,平均CT値及び均一性 

5.5.1 

概要 

ノイズ及び平均CT値は,均一な材質の試験器具(ファントム)の表示画像内の,中心での関心領域に

おけるCT値の平均及び標準偏差を算出することによって評価する。 

均一性は,均一な材質の試験器具(ファントム)の画像内,数箇所の関心領域における平均CT値によ

って評価する。 

5.5.2 

試験機器 

均一な物質を満たした,指定の大きさの円筒形をした試験器具を用いる。 

注記1 受入試験を行うときに使う試験器具は,受入試験の評価及び不変性試験の基礎値の確立を目

的として,それぞれ用意される場合がある。受入試験で使用した試験器具のどちらかは,基

礎値の確立及び不変性試験のために用いることができる。不変性試験では,その試験器具の

一方を用いることになる。 

14 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

試験器具内の,他の試験目的で使う部分にX線を直接照射しないように,及び直接照射しない場合でも

その部分からの散乱線が影響しないように,この測定での試験器具は,十分に長くなければならない。 

注記2 ノイズの測定結果は,試験器具の実際の容積及び材質で変化する。 

5.5.3 

試験手順 

測定のときは,試験器具を適切に配置するための支持具を用いて,試験器具を回転中心に位置決めする。 

今後の不変性試験で試験を再現できるよう,試験器具の位置に印を付け,記載し,記録する。 

試験器具を,取扱説明書に従ったCT作動条件で撮影する。全ての関連撮影パラメータ[管電圧(kV),

管電流(mA),X線ビーム制限幅,再構成関数など]を記録する。一つは,代表的なアキシャル頭部撮影,

もう一つは,代表的なアキシャル体幹部撮影の2種類のCT作動条件について試験する。 

5.5.4 

データの評価 

ノイズ,平均CT値及び均一性は,X線管の1回転で同時に得られるそれぞれの画像について評価する。 

試験器具画像の中央部に関心領域を設定し,関心領域中のCT値の平均値及び標準偏差を算出し,記録

する。 

試験器具の(容器の)内壁と関心領域の外側の端との間を指定した距離だけ離して,関心領域を回転方

向に4か所設定し,平均CT値を算出し,記録する。推奨距離は,1 cmである。例えば,内壁のない均一

物質の場合は,外周からの距離となる。今後の試験で容易に再現できるように,これらの位置を設定する

(例えば,時計の3時,6時,9時及び12時の位置に対応させる。)。 

関心領域の設定は,次の基準に従うことが望ましい。 

− CT値測定について,関心領域の直径は,試験器具画像の直径の約10 %とする。 

− ノイズ測定について,関心領域の直径は,試験器具画像の直径の約40 %とする。 

− 中央部の関心領域は,試験器具周辺部の関心領域と重複してはならない。 

5.5.5 

適用する基準 

ノイズの値は,基礎値から±10 %又は0.2 ハンスフィールド単位のいずれか大きい方を超えて変動しな

いことが望ましい。 

中央部の関心領域の平均CT値は,基礎値の±4 ハンスフィールド単位以内にあることが望ましい。 

均一性については,中央部の関心領域と,その他の関心領域との平均CT値の差が,平均値のハンスフ

ィールド単位に対して,2 ハンスフィールド単位を超える変化がないことが望ましい。 

さらに,受入試験の基準は,同じ試験方法を用いる。 

5.5.6 

取るべき処置 

取るべき処置の指針は,附属書Aに示す。 

注記 ノイズの低減は,気が付かない線量増加によって起こるかもしれない。コンピュータ断層撮影

装置(CT装置)の性能を再評価するために,適切な処置を取ることが望ましい。 

5.5.7 

試験の頻度 

ノイズ,平均CT値及び均一性は,少なくとも月1回試験しなければならない。 

5.6 

空間分解能 

5.6.1 

概要 

空間分解能は,点広がり関数(PSF)のフーリエ変換から得られた変調伝達関数(以下,MTFという。)

曲線によって,最適に表現できる。代替の評価方法を,附属書Bに記載する。 

15 

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5.6.2 

試験機器 

使用される試験器具は,SN比が高くなるように,できるだけ減弱が小さい物質からできた保護目的の

容器の中に適切な大きさの高コントラスト金属線で構成する。 

金属線の直径は,MTFに影響してはならない。さらに,CT装置のCT値がオーバーレンジ又はアンダ

ーレンジになる原因になってはならない。代表的な金属線の直径は,φ0.2 mm以下である。 

ほかの試験器具を用いる場合には,金属線と対比して確認した後,用いてもよい。 

5.6.3 

試験手順 

CT装置の空間分解能を試験する場合,附属文書に記載されたCT作動条件を用いて撮影する。代表的

な頭部撮影及び体幹部撮影,並びに最大の空間分解能が得られるアキシャルスキャンのCT作動条件で撮

影する。 

金属線が,CT装置システムのz軸と平行に,かつ,中心から30 mm±10 mm離れた位置になるように,

試験器具を架台内に配置する。 

以降の不変性試験の再現ができるように,試験器具の位置に印を付け,記載し,記録する。 

試験器具を配置した後で,撮影する。 

画素サイズによって測定が制限されないように,画像再構成表示領域(Field of View)は十分に小さいこ

とが望ましい。 

5.6.4 

データの評価 

2次元フーリエ変換は,MTF特性曲線上の空間情報を与える。評価方法を提供することが,製造業者に

望まれる。代替のMTF評価方法を,附属書Bに記載する。 

5.6.5 

適用する基準 

MTF曲線の50 %及び10 %の測定値は,0.5 Lp/cm又は基礎値の±15 %のいずれか大きい方の値以内で

なければならない。 

さらに,受入試験の基準は,同じ試験方法を用いる。 

5.6.6 

取るべき処置 

取るべき処置の指針は,附属書Aに示す。 

5.6.7 

試験の頻度 

空間分解能は,少なくとも3か月に1回試験しなければならない。 

16 

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附属書A 

(参考) 

取るべき処置に関する指針 

A.1 初回測定時に設定基準に適合しない場合 

不変性試験の結果,CT装置が指定の要求事項又は設定基準に適合していない場合は,次の処置を始め

る前に,試験機器の性能を確認し,かつ,再試験の結果を確認することが望ましい。 

A.2 複数回測定時に設定基準に適合しない場合 

再試験の結果,CT装置が指定の要求事項又は設定基準に適合していない場合は,次の一つ以上の処置

を取るとよい。 

a) 試験した機器に関する品質保証計画の規定に従って処置を開始する。 

b) 品質保証計画の管理責任者に報告する。 

c) 試験した機器の日常管理責任者に報告する。 

A.3 設定基準にぎりぎり適合していない場合 

試験の結果,機器が指定した要求事項又は設定基準にぎりぎりで適合していない場合は,次の処置を取

る。 

a) 次の不変性試験の結果待ちとする。ただし,その間に作成された診断用画像の画質を詳細に確認する

ことが望ましい。 

b) 不変性試験の頻度を増やす。 

c) 次回の定期サービスを実施するときの要注意事項として,不変性試験の不適合事項を記録する。 

A.4 設定基準に適合しなかった履歴がある場合 

CT装置に不変性試験の設定基準に適合しなかった履歴がある場合には,A.2のb)及びc)に示した責任

者は,次の事項に配慮することが望ましい。 

a) 現状試験の実施 

b) 適用する基準の緩和 

c) 試験したCT装置の使用範囲の制限 

d) 交換が必要な機器のリストにそのCT装置を記載 

A.5 設定基準に全く適合しない場合 

試験の結果が,指定の要求事項又は設定基準に全く適合していない場合には,次の処置を取る。 

a) 現状試験を実施し,その結果をA.2のb)及びc)に示した責任者に提出する。 

b) 機器の修理程度について,次を検討する。 

− 修理(の質,量など)は,どの程度が適切か。 

− 修理が直ちに必要か。 

c) 又は,次のどちらかに決定する。 

− 機器の継続使用を中止するかどうか。 

− A.4に従う処置を取るかどうか。 

17 

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A.6 A.1〜A.5以外の場合 

A.1〜A.5でカバーされない場合には,次の処置を取る。 

使用者による,その他の必要な処置の決定。 

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附属書B 

(参考) 

空間分解能の代替試験方法 

B.1 

概要 

空間分解能は,高コントラスト分解能としても知られ,点広がり関数(PSF)のフーリエ変換から得ら

れたMTF(変調伝達関数)曲線によって,最適に表現できる。次の二つの空間分解能の測定方法を考慮し

てもよい。 

− 適切な試験器具の画像中で構成されている識別可能な繰返しパターン(例えば,穴又は孔,バー,線

など)を,視覚的に分解できるパターンの最小値として求める評価 

− 周期的パターンの変調の定量的測定 

これらの試験方法の長所及び短所の比較一覧を,表B.1に示す。 

表B.1−空間分解能の試験方法の比較 

試験 

長所 

短所 

視覚的評価 

簡単,かつ,迅速 
一つの数値で分解能を表す(これ
は,また,短所ともみることがあ
る。)。 

主観的 
評価者及び観察条件に依存する。 
再現性は普通 

周期的パターンの変調の
測定 

簡単 
客観的 
観察条件に左右されない。 
高い再現性 

一つの数値で分解能を表す(これ
は,また,長所ともみることがあ
る。)。 

MTF(変調伝達関数) 

全空間周波数で詳細な情報が得
られる。 

専用ソフトウェアが必要 
極めて正確な位置決めが必要 

B.2 

代替の試験器具 

“バーパターン(bar pattern)”をもつ試験器具を,識別可能な繰り返しパターンを視覚的に分解できる

パターンの最小値として求める評価又はMTF(変調伝達関数)の定量的な測定に用いる。 

試験器具は,それぞれの周期的パターンを含まなければならない。それぞれのパターンは,CT装置で

容易に識別できる周期から識別不能な周期までの空間周波数をもった5本程度のバーとスペースとで構成

する。パターンは,少なくとも3 LP/cm〜10 LP/cmをカバーすることが望ましい。 

バー及びスペースの長さは,少なくともパターン周期の5倍であることが望ましい。バー及びスペース

を構成する材料の平均CT値の差は,少なくとも100ハンスフィールド単位(Hounsfield Unit)でなければ

ならない。 

試験器具は,約1 cm以上の大きさのバー及びスペースのパターンが同じ材質で,かつ,バーパターンの

近くに位置する二つの基準領域をもつものとする。 

B.3 

バーパターンを含む代替の試験器具による試験方法 

試験器具を,架台内の撮影領域の中心に配置する。 

周期的パターンをもつ試験器具は,x軸に対して45°の角度をつけ,z軸に対して垂直に配置しなけれ

ばならない。 

19 

Z 4752-2-6:2012 (IEC 61223-2-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

試験器具を配置後,撮影しなければならない。 

関心領域をそれぞれの試験パターンの全てに設定しなければならない。関心領域の大きさは,その中に

試験パターンだけが含まれるように調整することが望ましい。周期パターンの近くにアーチファクトがか

からないように関心領域の位置及び大きさを決める。 

それぞれの試験パターンの平均と標準偏差とを求めて記録しなければならない。基準領域の平均値を測

定して記録しなければならない。 

視覚的評価を用いる場合は,最適なウインド設定によって識別可能なバーの最大周波数を求める。 

B.4 

バーパターンを含む代替の試験器具によるデータ評価方法 

MTF(変調伝達関数)は,ドロージェ(Droege)・モーリン(Morin)法[4]を用いて測定することが

できる。この方法は,既知の周期をもった入力く形波の出力振幅の測定に基づいている。MTFは入力変調

に対する出力変調の比率で定義でき,周期パターンのMTFは,次の計算式で求める。この式は,バック

グラウンドとして水及びバーパターン材料を用いている。 

|

|

2

i

o

water

material

2

background

2

pattern

CT

CT

N

M

M

M

MTF

×

=

=

π

ここに, 

Mpattern: 繰り返しパターンの画像中における各ピクセ

ルのCT値を標準偏差として求めた周期パタ
ーンの変調。 

Nbackground: バックグラウンドの平均ノイズ(水及びバー

パターン材料の場合における,バックグラウ
ンドとしての水及びバーパターン材料)。平均
ノイズの算出例として,次の式で求める方法
がある。 

(

)

2

water

2

material

2

background

2

N

N

N

+

=

CTmaterial及びCTwater: 少なくとも100ピクセルを含む上記のノイズ

計算と同じ関心領域を用いて測定したバーパ
ターンの材料及び水の平均CT値とする。 

MTF曲線は,周期パターンの空間周波数に対する分解可能な周期パターンのMTF測定点を座標化(プ

ロット)することによって得られる。 

限界空間分解能は,バーパターンのバーとスペースとの境界が不明瞭になり始める最大周波数(すなわ

ち,バーとスペースとが分解できない周波数)に一致する。この周波数は,MTF曲線の5 %ポイントとほ

ぼ一致する。 

MTFの参考文献を[4],[5],[6]及び[7]に示す。 

20 

Z 4752-2-6:2012 (IEC 61223-2-6:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(参考) 

ヘリカルスキャン時のスライス厚測定 

C.1 概要 

スライス厚は,円盤(ディスク)又は微小球体(ビーズ)ファントムを撮影することで評価する。その

幅は,z軸の位置に対する関数である感度プロファイルの半値幅で定義する[8],[9],[10]。 

C.2 試験機器 

試験器具は,SN比が高い物質の中に組み込んだアルミニウム以上の比例減弱係数をもつ円盤又は微小

球体を含む。 

注記 円盤又は微小球体は,z軸方向に沿って0.05 mm〜0.1 mm(最大)程度に薄いことが望ましい。 

C.3 試験方法 

試験器具は,円盤又は微小球体の中心点がCT装置の回転中心に合致するように配置する。 

試験器具を配置した後,ヘリカルスキャンの代表CT作動条件で撮影する。 

C.4 データの評価 

撮影画像は,次の手順で評価する。 

− z軸方向に少しずつずらして(スライス厚の10 %以下)画像再構成をする。 

− ずらして得た画像全てにわたり,適切な関心領域を用いて円盤又は微小球体の平均CT値を測定する。 

− z軸の位置に対する関数(感度プロファイル)として平均CT値を記録する。 

− スライス厚として感度プロファイルの半値幅を求める。 

21 

Z 4752-2-6:2012 (IEC 61223-2-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書D 
(参考) 

低コントラスト分解能の視覚的試験方法 

歴史的に視覚的な評価法は,CT装置の低コントラスト分解能(密度分解能)を確認するための好まし

い方法として採用されてきた。この方法では,バックグラウンドのCT値と比較して低いコントラスト(約

2〜10ハンスフィールド単位)となる平均CT 値をもつ典型的には円盤のような小さな物体(約2 mm〜10 

mm)を,数人の観察者が視覚的に評価する。検出能力を決めるためには,バックグラウンドのCT値から

物体を視覚的に識別しなければならない。低コントラスト分解能を決めるためには,等間隔に配置した複

数の物体をそれぞれ識別しなければならない。その識別作業(バックグラウンドのCT値に対する識別又

は隣接する物体との識別)は,本質的に主観的なものであり,その結果として,評価者の視力,周囲の光

環境及び評価者自身の見えるか見えないかの基準による。 

CT装置の規定の性能パラメータに関して,製造業者は通常,指定した線量又はそれ以下で得られるフ

ァントム内に見えるものとして求められたコントラストをもつ最小の穴の大きさとして低コントラスト分

解能を指定する。例えば,仕様書には表面線量30 mGyで,直径20 cmの水等価ファントムでは0.5 %にお

いて4 mmと記載している。個々のシステム(CT装置)が,製造業者の仕様書に適合していることを試験

するために,同一のファントム,撮影条件(特に照射線量),観察条件及び見えるか見えないかの判定基準

が必要である。 

バックグラウンドのCT値に対してコントラストが正確に判っている試験器具を製造することは困難で

あり,実際の画像内で測定したコントラストの値は,その画像を得るために使用したCT装置の性能とい

える。この視覚的評価方法のもう一つの懸念は,画像評価のときに,各々の観察者が“見えている”か否

かの異なる判定基準をもつというように,観察者の意見が著しく異なる可能性がある。したがって,多数

の観察者による結果を総合して判断しなければならない。 

ファントム及び観察者の判断基準のばらつき,そしてある程度の信頼できる統計的な客観性のあるデー

タを取得することの難しさは,視覚的な方法で低コントラストの検出能力を客観的に測定することを困難

にしているので,この方法は,受入試験には向かない。低コントラスト分解能の客観的な試験に対して,

既に統計的手法が参考文献の[11],[12]で提案されている。 

注記 バックグラウンドのCT値とは,均一な基準となるCT値(バックグラウンド)のことである。 

22 

Z 4752-2-6:2012 (IEC 61223-2-6:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書E 

(参考) 

用語−用語の索引 

序文 

この附属書は,規格の用語及び定義された用語の索引について記載する。 

JIS Z 4005:1991(IEC 60788) 

JIS T 0601-1:1999(IEC 60601-1)通則の2. 

JIS Z 4752-2-6:2012(IEC 61223-2-6)の箇条3 

rm-...-...  

NG 2....  

3...... 

注記 記号の後の数字は,該当する用語の番号又は規格の細分箇条番号を表す。 

受入試験  

重み付けCTDI100  

画像表示装置 

患者  

患者支持器  

関心領域  

管電流時間積 

感度プロファイル  

機器  

基礎値  

規定の,規定した  

均一性  

空間分解能  

減弱  

公称スライス厚 

コンピュータ断層撮影[法] 

試験器具  

指定の,指定した  

照射  

スライス  

スライス厚  

スライス面  

制御盤  

製造業者  

設定基準  

線量計  

線量プロファイル  

ACCEPTANCE TEST 

WEIGHTED CTDI100 

IMAGE DISPLAY DEVICE  

PATIENT 

PATIENT SUPPORT 

REGION OF INTEREST (ROI) 

CURRENT TIME PRODUCT  

SENSITIVITY PROFILE 

EQUIPMENT  

BASELINE VALUE  

SPECIFIC  

UNIFORMITY 

SPATIAL RESOLUTION 

ATTENUATION 

NOMINAL TOMOGRAPHIC SECTION THICKNESS 

COMPUTED TOMOGRAPHY (CT) 

TEST DEVICE 

SPECIFIED 

IRRADIATION 

TOMOGRAPHIC SECTION  

TOMOGRAPHIC SECTION THICKNESS 

TOMOGRAPHIC PLANE 

CONTROL PANEL  

MANUFACTURER  

ESTABLISHED CRITERIA  

DOSEMETER 

DOSE PROFILE 

rm-70-01 

3.4 

rm-80-08 

NG 3.76 

rm-30-02 

rm-32-63 

rm-36-13 

3.12 

NG 3.63 

rm-73-11 

rm-74-01 

3.17 

3.13 

rm-12-08 

3.11 

rm-41-20 

rm-71-04 

rm-74-02 

rm-12-09 

3.15 

3.16 

3.14 

rm-83-02 

rm-85-03 

rm-70-04 

rm-50-02 

3.8 

23 

Z 4752-2-6:2012 (IEC 61223-2-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

測定値  

低コントラスト分解能 

取扱説明書  

ノイズ  

半値幅,(FWHM) 

光照射野  

ファントム  

負荷  

負荷時間  

付加フィルタ 

附属文書  

不変性試験  

平均CT値  

変調伝達関数,(MTF) 

放射線ビーム 

ボリュームCTDIw  

ろ過  

CT作動条件  

CT線量指数100(CTDI100) 

CT線量測定用ファントム 

CT装置  

CT値  

CTピッチ係数 

CTDIfree air  

[X線]管電圧 

[X線]管電流 

X線[管負荷]条件 

X線装置  

MEASURED VALUE 

LOW CONTRAST RESOLUTION 

INSTRUCTIONS FOR USE  

NOISE 

FULL WIDTH AT HALF-MAXIMUM  

LIGHT FIELD 

PHANTOM  

LOADING  

LOADING TIME 

ADDED FILTER 

ACCOMPANYING DOCUMENTS 

CONSTANCY TEST 

MEAN CT NUMBER 

MODULATION TRANSFER FUNCTION (MTF)  

RADIATION BEAM 

VOLUME CTDIw (CTDIvol) 

FILTRATION  

CT CONDITIONS OF OPERATION 

COMPUTED TOMOGRAPHY DOSE INDEX 100 (CTDI100) 

CT DOSIMETRY PHANTOM  

CT SCANNER 

COMPUTED TOMOGRAPHY NUMBER (CT NUMBER) 

CT PITCH FACTOR 

CTDIfree air  

X-RAY TUBE VOLTAGE 

X-RAY TUBE CURRENT 

LOADING FACTOR  

X-RAY EQUIPMENT 

rm-73-08 

rm-32-56 

rm-82-02 

3.10 

rm-73-02 

rm-37-09 

rm-54-01 

rm-36-09 

rm-36-10 

rm-35-02 

rm-82-01 

rm-70-03 

3.9 

rm-73-05 

rm-37-05 

3.18 

rm-12-11 

3.1 

3.3 

3.19 

3.2 

3.5 

3.7 

3.6 

rm-36-02 

rm-36-07 

rm-36-01 

rm-20-20 

[ ]は誤解のおそれがない場合,その語を省略してもよいことを示す。 

24 

Z 4752-2-6:2012 (IEC 61223-2-6:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献 

引用した文献・規格 

[1] IEC 61223-2-5:1994,Evaluation and routine testing in medical imaging departments−Part 2-5: 

Constancy tests−Image display devices 

[2] IEC/TS 61223-1:1993,Evaluation and routine testing in medical imaging departments−Part 1: General 

aspects 

[3] IEC 61223-2-4:1994,Evaluation and routine testing in medical imaging departments−Part 2-4: 

Constancy tests−Hard copy cameras 

[4] DROEGE,RT. and MORIN,RL. A practical method to measure the MTF of CT scanners. Med Phys, 

1982,9: p.758-760 

[5] JOSEPH,PM. and STOCKHAM,CD. The influence of modulation transfer function shape on computed 

tomographic image quality. Radiology,1982, 145: p.179-185 

[6] JUDY,P F. The line spread function and modulation transfer function of a computed tomographic scanner. 

Medical Physics−July 1976−Volume 3, Issue 4, pp.233-236 

[7] NICKOLOFF,EL. and RILEY R. A simplified approach for modulation transfer function determinations 

in computed tomography. Med Phys,1985, 12: p. 437-442 

[8] POLACIN,A.,KALENDER,WA.,et al. Evaluation of section sensitivity profiles and image noise in 

spiral CT. Radiology,1992,185: p. 29-35 

[9] POLACIN,A,KALENDER,WA,BRINK,J. and VANNIER,MA. Measurement of slice sensitivity 

profiles in spiral CT. Med. Phys.,1994,21(1): p. 133-140 

[10] DAVROS,WJ.,HERTS,BR.,et al.. "Determination of spiral CT slice sensitivity profiles using a point 

response phantom." J Comput Assist Tomogr.,1995, 19(5): p. 838-843 

[11] ICRU Report 54,(1995). Medical Imaging−The Assessment of Image Quality. (7910 Woodmont Ave., 

Bethesda,Maryland USA 20814) 

[12] ASTM E 1695−95,(1995). American Society for Testing and Materials ASTM International (100 Barr 

Harbor Drive,PO Box C700,West Conshohocken,Pennsylvania,USA 19428-2959) 

関連する文献・資料 

[13] IEC 60336:2005,Medical electrical equipment−X-ray tube assemblies for medical diagnosis−

Characteristics of focal spots 

[14] IEC 60522:1999,Determination of the permanent filtration of X-ray tube assemblies  

[15] IEC 60601-1:2005,Medical electrical equipment−Part 1:General requirements for basic safety and 

essential performance 

[16] IEC 60601-2-28:1993,Medical electrical equipment−Part 2: Particular requirements for the safety of 

X-ray source assemblies and X-ray tube assemblies for medical diagnosis 

[17] IEC 60601-2-32:1994,Medical electrical equipment−Part 2: Particular requirements for the safety of 

associated equipment of X-ray equipment 

[18] IEC/TR 60788:2004,Medical electrical equipment−Glossary of defined terms 

25 

Z 4752-2-6:2012 (IEC 61223-2-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

[19] IEC/TR 60878,Graphical symbols for electrical equipment in medical practice 

[20] IEC 61267:2005,Medical diagnostic X-ray equipment−Radiation conditions for use in the 

determination of characteristics 

[21] ISO 2092:1981,Light metals and their alloys−Code of designation based on chemical symbols 

(withdrawn) 

[22] ISO 5725-1:1994,Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−Part 1: 

General principles and definitions 

[23] ISO 5725-2:1994,Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−Part 2: Basic 

method for the determination of repeatability and reproducibility of a standard measurement method 

[24] ISO 5725-3:1994,Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−Part 3: 

Intermediate measures of the precision of a standard measurement method 

[25] ISO 5725-4:1994,Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−Part 4: Basic 

methods for the determination of the trueness of a standard measurement method 

[26] ISO 5725-6:1994,Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−Part 6: Use in 

practice of accuracy values 

[27] Evaluation Report MDA (UK) 01050 Four Slice CT Scanner,Comparison report V.3.04 

[28] Evaluation Report MDA (UK) /00/11 CT scanners,Comparison of imaging performance. Issue 12 (2000) 

[29] Information leaflet No. 1: CT scanner acceptance testing. Version 1.02. ImPACT. 2001. 

www.impactscan.org 

[30] MCCOLLOUGH,CH. and ZINK,FE. Performance evaluation of CT systems,in Categorical course in 

diagnostic radiology physics: CT and US cross-sectional imaging. Radiological Society of North America, 

Oak Brook,IL. 2000. 

[31] FDA 21 CFR 1020.33,Code of Federal Regulations,Title 21,Part 1020.33: Performance standards for 

ionizing radiation emitting products−Computed tomography (CT) equipment (U.S. Food and Drug 

Administration)