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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

Z 4335-1993 

屋内環境用フィルムバッジ 

Film Badge for in-door environmental monitoring 

1. 適用範囲 この規格は,屋内環境において,実効エネルギーが20keV〜3MeVのX線,光子エネルギ

ーが20keV〜3MeVのγ線及び熱中性子によって生じる1cm線量当量を測定するフィルムバッジ,及びその

フィルムバッジを用いて1cm線量当量を算出する方法について規定する。 

備考1. 性能の判定方法は附属書1に,1cmの線量当量の算出方法は附属書2にそれぞれ規定する。 

2. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS K 7559 γ線及び硬X線用バッジフィルム 

JIS K 7605 写真濃度の測定方法 

JIS Z 4001 原子力用語 

JIS Z 4511 照射線量測定器及び線量当量測定器の校正方法 

JIS Z 8103 計測用語 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 4001,JIS Z 4511及びJIS Z 8103によるほ

か,次による。 

(1) 屋内環境 放射線を取り扱う施設内において,人が滞在できる温度・湿度の環境であって,人工放射

線の存在する場所。 

(2) 測定値 フィルムバッジから算出した線量当量の丸める前の値。 

(3) 基準値 試験方法に規定した基準とする試験線量。 

(4) 誤差 (ε)  測定値の平均値 (X) と基準線 (H0) との差の基準値に対する比。 

0

0

H

H

X−

ε=

 ·············································································· (1) 

(5) 変動係数 (C)  n個の測定値 (Xi) の標準偏差の推定値 (S) の平均値 (X) に対する比。 

n

i

iX

X

n

X

X

S

C

1

2)

(

1

1

1

 ····················································· (2) 

(6) レスポンス (R)  測定値の平均値 (X) の基準値 (H0) に対する比。 

0

H

X

R=

 ··················································································· (3) 

(7) 相対レスポンス (RR)  60Co又は137Csのγ線のレスポンス (Rγ) に対する任意のエネルギーのX線・γ

線のレスポンス (R) の比。 

Z 4335-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

γ

=RR

RR

 ·················································································· (4) 

(8) バッジフィルム 放射線に対して適切な感度をもち,かつ,感度が異なる写真乳剤を塗布した,高感

度,中感度及び低感度のフィルムを同一包装したもの,又は同等の性能をもつもの。 

(9) コントロールフィルム フィルム固有の写真濃度及び自然放射線のかぶりに起因する誤差を除くため

に用いるバッジフィルム。 

(10) フィルタ 線量当量算出のため,バッジフィルムに適切な写真濃度を与える材質,厚さ及び大きさを

もつろ過板。 

(11) γ線基準フィルタ バッジケースにセットされている各種のフィルタのうちからγ線の線量特性を求め

るために特定したフィルタ。 

(12) 熱中性子基準フィルタ バッジケースのフィルタにおいて適切な熱中性子フィルム感度が得られるフ

ィルタ。 

(13) 放射性同位体中性子源 241Am−Beのように核反応によって中性子を発生する線源,又は252Cfのよう

に自発核分裂によって中性子を発生する線源。 

(14) フィルタ位置 フィルタの効果がみられるフィルム上の位置。 

(15) 見掛けの線量 フィルタ位置の写真濃度に対応する線量特性曲線上の線量。 

(16) 正味見掛けの線量 フィルタ位置の見掛けの線量からコントロールフィルムの見掛けの線量を差し引

いた線量。 

(17) 線量当量算出式 バッジフィルムの各フィルタ位置の正味見掛けの線量から,線量当量を算出するた

めの計算式。 

(18) 比例性試験 1cm線量当量に対するレスポンスが一定であることを確認するための試験。 

(19) 使用期間 フィルムバッジの使用開始から使用終了までの期間。 

(20) 基準γ線 γ線校正装置において線量特性を得るために特定したγ線。 

(21) 線量特性 基準γ線の照射線量とγ線基準フィルタのフィルタ位置(以下,γ線基準フィルタ位置とい

う。)の写真濃度との関係。 

(22) 相対感度 (RS)  X線・γ線を照射したときの正味見掛けの線量と照射線量との比 (N) を,基準γ線を

照射したときの正味見掛けの線量と照射線量との比 (Nγ) で除した値。 

γ

N

N

RS=

 ················································································· (5) 

(23) フィルムエネルギー特性 X線・γ線のエネルギーとフィルムの相対感度との関係。 

(24) 潜像退行 フィルムの乳剤中に作られた潜像の経時変化によって,現像後に得られる写真濃度が,照

射直後の写真濃度より低下する現象。 

(25) 熱中性子感度 熱中性子基準フィルタのフィルム位置(以下,熱中性子基準フィルタ位置という。)の

正味見掛けの線量とγ線基準フィルタ位置の正味見掛けの線量との差の熱中性子に対する感度。 

(26) 熱中性子フィルム感度 それぞれのフィルタ位置の熱中性子に対するフィルムの感度。 

3. 性能 

3.1 

測定値の誤差及び変動係数 

3.1.1 

X線・γ線 6.2.2(1)によって試験したとき,次のとおりとする。 

(1) 高感度フィルムについて,0.4mSvの照射によって生じる誤差は,誤差に対応するレスポンスが,信頼

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

度95%で1±0.3の範囲内,変動係数は0.07以下であり,4.0mSvの照射によって生じる誤差は,誤差

に対応するレスポンスが,信頼度95%で1±0.1の範囲内,変動係数は0.05以下であること。 

(2) 中感度フィルムについて,30mSvの照射によって生じる誤差は,誤差に対応するレスポンスが,信頼

度95%で1±0.1の範囲内,変動係数は0.07以下であること。 

(3) 低感度フィルムについて,200mVsの照射によって生じる誤差は,誤差に対応するレスポンスが,信

頼度95%で1±0.1の範囲内,変動係数は0.07以下であること。 

3.1.2 

熱中性子 6.2.2(2)によって試験したとき,熱中性子0.4mSvの照射によって生じる誤差は,誤差に

対応するレスポンスが,信頼度95%で1±0.3の範囲内,変動係数は0.1以下でなければならない。 

3.2 

測定値の経時変化特性 6.2.3によって試験したとき,測定値の30日間の経時変化率が,信頼度95%

で20±5℃で保管したものについては0.15以下,40

5
0

+℃で保管したものについては0.25以下とする。 

3.3 

測定値の比例性 6.2.4によって試験したとき,次のとおりとする。 

(1) 高感度フィルムについて,各線量当量のレスポンスが,4.0mSvのレスポンスに対して,信頼度95%で

1±0.15の範囲内であること。 

(2) 中感度フィルムについて,各線量当量のレスポンスが,30mSvのレスポンスに対して,信頼度95%で

1±0.15の範囲内であること。 

(3) 低感度フィルムについて,各線量当量のレスポンスが,200mSvのレスポンスに対して,信頼度95%

で1±0.15の範囲内であること。 

3.4 

エネルギー特性 6.2.5によって試験したとき,高感度フィルム,中感度フィルム及び低感度フィル

ムの,X線・γ線の各エネルギーにおける相対レスポンスが,信頼度95%で1±0.3の範囲内とする。 

3.5 

方向特性 6.2.6によって試験したとき,高感度フィルムについて各角度のレスポンスが, 0°方向

のレスポンスに対して,信頼度95%で1±0.3の範囲内とする。 

3.6 

湿度に対する安定性 6.2.7によって試験したとき,高感度フィルム,中感度フィルム及び低感度フ

ィルムの相対湿度90%以上のレスポンスが,相対湿度50%以下のレスポンスに対して,信頼度95%で1±

0.15の範囲内とする。 

3.7 

光に対する安定性 6.2.8によって試験したとき,光を照射したフィルムと,光を照射しないフィル

ムの写真濃度の差が,信頼度95%で0.02以下とする。 

4. 構造 

4.1 

フィルムバッジ フィルムバッジは,バッジフィルム及びバッジケースからなるものとする。 

4.2 

バッジケース バッジケースは,バッジフィルム収納部分とフィルタからなるものとする。 

なお,バッジケースには,取付け用のジグを付けてもよい。 

4.3 

フィルタ フィルタは,X線,γ線及び熱中性子の1cm線量当量を算出するのに適したものとする。 

5. バッジフィルム バッジフィルムは,JIS K 7559の規定に適合したもの又は性能がこれと同等のもの

とする。 

6. 試験 

6.1 

試験条件 

6.1.1 

共通試験条件 共通試験条件は,6.2の試験方法において特に規定がない場合には,表1による。 

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表1 共通試験条件 

項目 

条件 

周囲温度 

℃ 

20±5 

相対湿度 

65±20 

気圧 

hPa 

1 013±50 

試験環境の1cm線量当量率 

μSv/h 

≦0.2 

6.1.2 

校正装置及び熱中性子源 試験に使用する校正装置及び熱中性子源は,次による。 

(1) X線校正装置 X線校正装置は,JIS Z 4511に規定する照射線量標準とのトレーサビリティが明確な

照射線量(率)測定器によって照射線量率を測定したX線照射装置とする。 

なお,実効エネルギーと管電圧に対応するエネルギーとの比(線質指標)は,0.6以上に設定する。 

(2) γ線校正装置 γ線校正装置は,JIS Z 4511に規定する照射線量標準とのトレーサビリティが明確な照

射線量(率)測定器によって照射線量率を測定した137Cs若しくは60Coγ線照射装置又は137Cs若しく

は60Co基準γ線源とする。 

(3) 熱中性子源 熱中性子源は,黒鉛パイル若しくはこれに準じる減速材の中に放射性同位体中性子源又

はその他の中性子源を置いたものであって,減速材中に生じた熱中性子とする。熱中性子のフルエン

ス率について,トレーサビリティが明確であること。 

6.1.3 

1cm線量当量 1cm線量当量は,照射線量に付表1のX線・γ線のエネルギーに対応する換算係数

を乗じて決定する。 

また,熱中性子についての1cm線量当量は,熱中性子フルエンスに付表2の熱中性子に対応する換算係

数を乗じて決定する。 

6.2 

試験方法 

6.2.1 

試験方法一般 試験方法一般は,次による。 

(1) 試験条件のうち,ある項目を変化させて試験する場合には,その他の条件は,表1に示す範囲内にあ

ること。 

(2) 試験線量は,1cm線量当量とし,各試験項目に規定する線量当量の80〜120%の範囲内に設定し,一

組ずつ同一の量に設定すること。 

(3) X線のエネルギーは,実効エネルギーとし,照射時に設定する実効エネルギーは,各項目に指定する

実効エネルギーの90〜110%の範囲内に設定し,一組ずつ同一の実効エネルギーに設定すること。 

(4) 各試験は,自由空間中にフィルムバッジを配置して行うこと。 

(5) バッジフィルムのロットが変わった場合には,その都度6.2.2の試験を行うこと。ただし,熱中性子に

よる試験は除く。 

(6) 各試験方法では,測定値の平均値,測定値の標準偏差の推定値及び測定値の平均値に関する標準偏差

の推定値を次によって求めること。ただし,6.2.8は除く。 

(a) 測定値の平均値は,次の式によって求める。 

n

X

X

n

i

i

∑1

 ··············································································· (6) 

ここに, 

X: 測定値の平均値 (mSv)  

Xi: i番目の測定値 (mSv)  

n: 測定値の個数 

(b) 測定値の標準偏差の推定値は,次の式によって求める。 

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n

i

iX

X

n

S

1

2)

1

1

 ································································ (7) 

ここに, 

S: 測定値の標準偏差の推定値 (mSv)  

Xi: i番目の測定値 (mSv)  

X: 測定値の平均値 (mSv)  

n: 測定値の個数 

(c) 測定値の平均値に関する標準偏差の推定値は,次の式によって求める。 

n

S

Sm=

 ·················································································· (8) 

ここに, Sm: 測定値の平均値に関する標準偏差の推定値 (mSv)  
 

S: 測定値の標準偏差の推定値 (mSv)  

n: 測定値の個数 

(7) 線量当量算出式は,附属書2の2.(3)によることとし,フィルムバッジの形式ごとに測定値を求めるこ

とが必要なすべての試験を通して同一とすること。 

(8) 性能の判定方法は,附属書1によること。 

(9) 測定値の算出方法は,附属書2によること。 

6.2.2 

測定値の誤差試験及び変動係数 測定値の誤差試験及び変動係数は,次による。 

(1) X線・γ線 同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを50個用意する。10個を1グルー

プとし,五つのグループを作り,H1グループ,H2グループ,Mグループ,Lグループ及びCグルー

プとする。表2のとおり各グループに137Cs又は60Coのγ線を照射する。ただし,Cグループはコント

ロールフィルムとし,γ線は照射しない。 

照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに3日間放置後,現像する。H1グ

ループ及びH2グループについては高感度フィルムから,Mグループについては中感度フィルムから,

Lグループについては低感度フィルムから測定値を算出し,次の式によって誤差に対応するレスポン

スを求める。 

Re=ε+1 ·················································································· (9) 

ここに, Re: 誤差に対応するレスポンス 
 

ε: 誤差 

表2 誤差試験の線量当量 

単位 mSv 

グループ 

H1 

H2 

線量当量 

0.4 

4.0 

30 

200 

(2) 熱中性子 同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを6個用意する。3個を1グループ

とし,二つのグループを作り,Hグループ及びCグループとする。Hグループのフィルムバッジに熱

中性子を0.4mSv照射する。ただし,Cグループは,コントロールフィルムとし熱中性子は照射しない。 

照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに3日間放置後,現像する。Hグ

ループについては高感度フィルムから測定値を算出し,式(9)によって誤差に対応するレスポンスを求

める。 

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6.2.3 

測定値の経時変化特性試験 同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを40個用意す

る。5個を一組とし,八つの組を作り,二つの組ずつを取ってHグループ,Mグループ,Lグループ及び

Cグループとする。表3のとおりHグループ,Mグループ及びLグループのすべてのフィルムバッジに137Cs

又は60Coのγ線を照射する。ただし,Cグループのバッジフィルムは,保管日数ごとのコントロールフィ

ルムとし,γ線は照射しない。 

照射後,フィルムバッジを周囲温度20±5℃で表4のとおり保管する。さらに,上記のロットと同じロ

ットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを40個用意し,同様の操作を行った後,フィルムバッジを

周囲温度40

5
0

+℃で表4のとおり保管する。 

現像後,Hグループからは高感度フィルム,Mグループからは中感度フィルム,Lグループからは低感

度フィルムを取り出し,測定値を算出する。 

周囲温度20±5℃で保管したもの及び40

50

+℃で保管したものそれぞれについて,保管日数3日に対応す

る組の測定値の平均値 (

0

X) を,保管日数33日に対応する組の測定値の平均値を (X) とし,次の式に

よって経時変化率 (Rf) を求める。 

0

0

X

X

X

Rf

 ·········································································· (10) 

表3 経時変化特性試験の線量当量 

単位 mSv 

グループ 

線量当量 

4.0 

30 

200 

表4 経時変化特性試験の保管日数 

単位 d 

組(各グループ共通) 

第1 

第2 

照射後現像までの保管日数 

33 

備考 第1組及び第2組の決め方は,各グループを

構成する二つの組から,それぞれ任意に一組
ずつ選択する。 

6.2.4 

測定値の比例性試験 同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを100個用意する。5

個を一組とし,20の組を作り,六つの組を取ってHグループ,七つの組を取ってMグループ及びLグル

ープとする。表5のとおり各グループの各組に137Cs又は60Coのγ線を照射する。ただし,各グループの一

組ずつはコントロールフィルムとし,γ線は照射しない。 

照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに3日間放置後,現像する。Hグルー

プからは高感度フィルム,Mグループからは中感度フィルム,Lグループからは低感度フィルムを取り出

し,測定値を算出する。高感度フィルムは4.0mSv,中感度フィルムは30mSv,低感度フィルムは200mSv

のレスポンスに対する各線量当量のレスポンスの比を求める。 

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表5 比例性試験の線量当量 

単位 mSV 

グループ 

線量当量 

 0.4 

10 

 60 

 2.0 

20 

150 

 4.0 

30 

200 

 6.0 

40 

350 

10.0 

50 

500 

− 

60 

600 

備考 線量当量の値は,一組ずつ同一とする。 

6.2.5 

エネルギー特性試験 同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを120個用意する。5

個を一組とし,24の組を作り,八つの組ずつを取ってHグループ,Mグループ,Lグループとする。各グ

ループの各組に表6のとおりX線・γ線を照射する。ただし,各グループの一組ずつは,コントロールフ

ィルムとし,X線・γ線は照射しない。 

照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに3日間放置後,現像する。Hグルー

プからは高感度フィルム,Mグループからは中感度フィルム,Lグループからは低感度フィルムを取り出

し,測定値の算出後,各エネルギーにおける相対レスポンスを求める。 

表6 エネルギー特性試験の線量当量 

X線・γ線のエ

ネルギー 

線量当量 

mSv 

keV 

Hグループ 

Mグループ 

Lグループ 

  20 

0.26 

 3.4 

 24 

  30 

0.21 

 2.1 

 15 

  45 

0.20 

 1.7 

 12 

  70 

0.28 

 2.4 

 17 

 100 

0.43 

 3.6 

 28 

 662* 

4.0 

30 

200 

1 250** 

4.0 

30 

200 

注* 

137Csのγ線のエネルギーである。 

** 60Coのγ線の等価換算係数に対応するエネルギーである。 

備考 X線・γ線のエネルギー及び線量当量の値は,一組ずつ同一

とする。 

6.2.6 

方向特性試験 同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを95個用意する。5個を一

組とし,19の組とする。そのうちの一組をコントロールフィルムとし,X線・γ線は照射しない。フィル

ムバッジの前面の垂直方向を入射角度0°とし,0゜,上下,左右に30°及び上下,左右に60°の合計九

つの方向から表7に示すX線・γ線を照射する。 

フィルムバッジは,一つの方向ごとに一組ずつを用いて,各組を順次照射する。 

照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに3日間放置後,現像する。高感度フ

ィルムについて測定値を算出後, 0°方向のレスポンスに対する各方向から照射したときのレスポンスの比

を求める。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表7 方向特性試験の線量当量 

X線・γ線のエネルギー 

線量当量 

keV 

mSv 

45 

0.2 

662*又は1 250** 

4.0 

注* 

137Csのγ線のエネルギーである。 

** 60Coのγ線の等価換算係数に対応

するエネルギーである。 

備考 線量当量の値は,一組ずつ同一と

する。 

6.2.7 湿度に対する安定性試験 同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを60個用意する。

5個を一組とし,12の組を作り,四つの組ずつを取ってHグループ,Mグループ及びLグループとする。

各グループから二つの組ずつを取って表8のとおり137Cs又は60Coのγ線を照射する。 

なお,各グループのうち二つの組は,コントロールフィルムとし,γ線は照射しない。 

照射後,表9の環境で3日間保管後,現像する。Hグループからは高感度フィルム,Mグループからは

中感度フィルム,Lグループからは低感度フィルムを取り出し,測定値を算出する。相対湿度50%以下の

レスポンスに対する相対湿度90%以上のレスポンスの比を求める。 

表8 湿度に対する安定性試験の線量当量 

単位 mSv 

グループ 

線量当量 

4.0 

30 

200 

表9 湿度に対する安定性試験の保管環境 

組(各グループ共通) 

第1,2 

第3,4 

保管環境 周囲温度 ℃ 

30±5 

相対湿度 % 

90以上 

50以下 

備考 この表で第1〜4組の決め方は,各グ

ループについてγ線を照射した二つの

組のうち任意に第1組及び第3組と
し,コントロールフィルムとした二つ
の組のうち任意に第2組及び第4組と
する。 

6.2.8 

光に対する安定性試験 同一ロットのバッジフィルムを10枚用意する。5枚ずつ二つのグループ

とし,そのうちの1グループのバッジフィルムに1 000lxの光を前面及び背面から1時間ずつ照射する。2

グループのバッジフィルムを現像後,フィルムの写真濃度を測定し,各グループごとの平均値及び標準偏

差の推定値を求める。 

なお,写真濃度測定方法は,JIS K 7605による。 

7. 検査 検査は,形式検査とし,同一形式のフィルムバッジについて6.によって次の試験を行い,3.の

規定に適合したものを合格とする。 

(1) 測定値の誤差 

(2) 測定値の経時変化特性 

(3) 測定値の比例性 

(4) エネルギー特性 

Z 4335-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(5) 方向特性 

(6) 湿度に対する安定性 

(7) 光に対する安定性 

8. 表示 フィルムバッジには,次の事項を表示しなければならない。 

(1) 屋内環境用であることが判読できる文字又は記号 

(2) 名称又はその略号 

(3) 製造番号 

(4) 製造業者名又はその略号 

9. 取扱説明書 フィルムバッジには,少なくとも次の注意事項を記載した取扱説明書を添付しなければ

ならない。 

(1) フィルムバッジの取扱方法 

(2) フィルムバッジの取付方法 

(3) フィルムバッジの質量及び寸法 

(4) 使用上の注意事項 

10. 使用上の注意事項 使用上の注意事項は,次のとおりとする。 

(1) フィルムバッジは,高温・高湿の場所を避け,ホルマリン,アンモニアなどの有害ガスがない場所に

取り付けること。 

(2) 放射線が一定方向から放射するような屋内環境の場に,フィルムバッジを取り付ける場合には,その

照射方向に向くように取り付け,方向特性の影響を少なくすること。 

(3) フィルムバッジの使用期間は,原則として半月〜1か月とし,使用期間中はフィルムバッジの取付位

置を移動しないこと。 

(4) 汚染しやすい場所に取り付ける場合は,バッジケースを薄膜のポリエチレン袋などに入れて,バッジ

ケース及びバッジフィルムを汚染させないようにすること。 

(5) コントロールフィルムと使用しないときのフィルムバッジは,高温・高湿の場所を避け,ホルマリン,

アンモニアなどの有害ガスがない場所であって,放射線の少ない所定の場所に保管すること。 

(6) 使用期間が終わったフィルムバッジは,速やかに現像処理の手配をすること。 

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10 

Z 4335-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

付表1 1cm線量当量換算係数 

γ線及びX線の

エネルギー(1)  

1cm線量当量換算係数(2)  

空気吸収線量(3)からの
換算係数(参考) 

MeV 

Sv/ (C・kg−1) 

[mSv/R] 

Sv/Gy 

0.020 

20.3 

[ 5.25] 

0.601 

0.025 

29.3 

[ 7.56] 

0.866 

0.030 

36.8 

[ 9.50] 

1.09 

0.035 

43.2 

[11.2 ] 

1.28 

0.040 

48.5 

[12.5 ] 

1.43 

0.045 

52.4 

[13.5 ] 

1.55 

0.050 

55.1 

[14.2 ] 

1.63 

0.060 

59.1 

[15.2 ] 

1.74 

0.070 

59.6 

[15.4 ] 

1.76 

0.080 

58.7 

[15.1 ] 

1.73 

0.090 

57.2 

[14.8 ] 

1.70 

0.10 

55.7 

[14.4 ] 

1.65 

0.12 

53.0 

[13.7 ] 

1.57 

0.15 

50.3 

[13.0 ] 

1.49 

0.20 

46.7 

[12.0 ] 

1.38 

0.30 

44.4 

[11.5 ] 

1.31 

0.40 

42.6 

[11.0 ] 

1.26 

0.50 

41.1 

[10.6 ] 

1.21 

0.60 

40.3 

[10.4 ] 

1.19 

0.66(4) 

40.0 

[10.3 ] 

1.18 

0.80 

39.3 

[10.1 ] 

1.16 

1.0 

38.7 

[10.0 ] 

1.14 

1.25(5) 

38.4(6) 

[ 9.91] 

1.14 

1.5 

38.3 

[ 9.88] 

1.13 

2.0 

38.3 

[ 9.87] 

1.13 

3.0 

38.1 

[ 9.82] 

1.12 

注(1) X線・γ線のエネルギーは,単一エネルギーの場合には,光子

エネルギー,単一エネルギーでない場合には,実効エネルギー
とする。該当するエネルギーがない場合は,補間法によって求
める。 

(2) 自由空間中の照射線量からの換算係数である。 [ ] を付けて

示してある数値は従来単位による数値からの換算係数であっ
て,参考値である。 

(3) 自由空間中で荷電粒子平衡が成り立つ場合の空気の吸収線量

で,換算係数は,“放射性同位元素等による放射線障害の防止
に関する法律”の告示別表第4によるほか,補間法による。 

(4) 137Csのγ線のエネルギーである。 
(5) 60Coのγ線の等価換算係数に対応するエネルギーである。 
(6) 等価換算係数で,放出γ線フルエンスのエネルギー分布に対応

する線量当量の照射線量に対する比である。 

付表2 熱中性子線量当量換算係数 

単位 mSv・cm2 

線量当量 

1cm線量当量 

換算係数 

8.00×10−9 

11 

Z 4335-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1 性能の判定方法 

1. 適用範囲 この附属書は,屋内環境において,実効エネルギーが20keV〜3MeVのX線,光子エネル

ギーが20keV〜3MeVのγ線及び熱中性子によって生じる1cm線量当量を測定するフィルムバッジの性能の

判定方法について規定する。 

2. 性能の判定 

2.1 

測定値の誤差及び変動係数 本体3.1に規定する測定値の誤差及び変動係数の判定は,次による。 

次の性能判定について,基準値と試験線量が異なる場合には,試験線量を基準値に読み替えるものとす

る。 

(1) X線・γ線 X線・γ線については,次のとおりとする。 

(1.1) 高感度フィルムの誤差及び変動係数の判定については,次による。 

(a) 基準値が0.4mSvの場合には,次の式による。 

0.7+2.3Sr≦Re≦1.3−2.3Sr ···························································· (1) 

    

0

H

S

S

m

r=

C≦0.07 ··················································································· (2) 

ここに, Re: 誤差に対応するレスポンス 
 

Sr: レスポンスの標準偏差の推定値 

H0: 基準値でここでは0.4 (mSv)  

Sm: 測定値の平均値に関する標準偏差の推定値 (mSv)  

C: 変動係数 

備考1. 式(1)は,測定値の誤差に対応するレスポンスが,信頼度95%で1±0.3の範囲内であることを

示している。 

2. 式(2)は,変動係数が0.07以下であることを示している。 

3. 判定式に示した係数2.3は,試験に使用する試料数(フィルムバッジの個数,ここでは10個)

に対する自由度と信頼度から決まるt分布のtの値で,小数点以下2けた目を四捨五入した

ものである。 

(b) 基準値が4mSvの場合には,次の式による。 

0.9+2.3Sr≦Re≦1.1−2.3Sr ···························································· (3) 

   

0

H

S

S

m

r=

C≦0.05 ··················································································· (4) 

ここに, Re: 誤差に対応するレスポンス 
 

Sr: レスポンスの標準偏差の推定値 

H0: 基準値で,ここでは4 (mSv)  

Sm: 測定値の平均値に関する標準偏差の推定値 (mSv)  

C: 変動係数 

備考1. 式(3)は,測定値の誤差に対応するレスポンスが,信頼度95%で1±0.1の範囲内であることを

示している。 

12 

Z 4335-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2. 式(4)は,変動係数が0.05以下であることを示している。 

(1.2) 中感度フィルム及び低感度フィルムの誤差及び変動係数の判定については,次の式による。 

0.9+2.3Sr≦Re≦1.1−2.3Sr ···························································· (5) 

    

0

H

S

S

m

r=

C≦0.07 ··················································································· (6) 

ここに, Re: 誤差に対応するレスポンス 
 

Sr: レスポンスの標準偏差の推定値 

H0: 基準値 

 ただし,中感度フィルムは, 30 (mSv)  

    低感度フィルムは, 200 (mSv)  

Sm: 測定値の平均値に関する標準偏差の推定

値 (mSv)  

C: 変動係数 

備考1. 式(5)は,測定値の誤差に対応するレスポンスが,信頼度95%で1±0.1の範囲内であることを

示している。 

2. 式(6)は,変動係数が0.07以下であることを示している。 

(2) 熱中性子 熱中性子については,次の式による。 

0.7+2.3Sr≦Re≦1.3−2.3Sr ···························································· (7) 

    

0

H

S

S

m

r=

C≦0.1 ····················································································· (8) 

ここに, Re: 誤差に対応するレスポンス 
 

Sr: レスポンスの標準偏差の推定値 

H0: 基準値で,ここでは0.4 (mSv)  

Sm: 測定値の平均値に関する標準偏差の推定値 (mSv)  

C: 変動係数 

備考1. 式(7)は,測定値の誤差に対応するレスポンスが,信頼度95%で1±0.3の範囲内であることを

示している。 

2. 式(8)は,変動係数が0.1以下であることを示している。 

2.2 

測定値の経時変化特性 本体3.2に規定する測定値の経時変化特性の判定は,次による。 

(1) 周囲温度20±0.5℃で保管したものについては,次の式による。 

Rf≦0.15−2.3Sf ·········································································· (9) 

2

2

2

1

0

1

m

m

f

S

S

X

S

ここに, 

Rf: 経時変化率 

Sf: 経時変化率の標準偏差の推定値 

0

X: 保管日数3日に対応する組の測定値の平均値 (mSv)  

Sm1: 保管日数3日に対応する組の測定値の平均値に関する標

準偏差の推定値 (mSv)  

Sm2: 保管日数33日に対応する組の測定値の平均値に関する

標準偏差の推定値 (mSv)  

備考 式(9)は,経時変化率が,信頼度95%で0.15以下であることを示している。 

(2) 周囲温度40

5
0

+℃で保管したものについては,次の式による。 

13 

Z 4335-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

Rf≦0.25−2.3Sf ········································································ (10) 

2

2

2

1

0

1

m

m

f

S

S

X

S

ここに, 

Rf: 経時変化率 

Sf: 経時変化率の標準偏差の推定値 

0

X: 保管日数3日に対応する組の測定値の平均値 (mSv)  

Sm1: 保管日数3日に対応する組の測定値の平均値に関する標

準偏差の推定値 (mSv)  

Sm2: 保管日数33日に対応する組の測定値の平均値に関する

標準偏差の推定値 (mSv)  

備考 式(10)は,経時変化率が,信頼度95%で0.25以下であることを示している。 

2.3 

測定値の比例性 本体3.3に規定する測定値の比例性の判定は,次の式による。 

a

b

a

R

R

S

S

R

2

2

2

1

1

3.2

85

.0

2

2

2

1

1

2.3

15

.1

S

S

Ra

 ························································ (11) 

0

2

2

0

1

1

H

S

S

H

S

S

m

m

ここに, 

Ra: レスポンス 

 ただし, 高感度フィルムは,4mSvに対応する線量当量を照

射した組のレスポンス 

  

中感度フィルムは,30mSvに対応する線量当量を照
射した組のレスポンス 

  

低感度フィルムは,200mSvに対応する線量当量を
照射した組のレスポンス 

Rb: レスポンス 

 ただし, 高感度フィルムは,4mSv以外の線量当量を照射し

た組のレスポンス 

  

中感度フィルムは,30mSv以外の線量当量を照射し
た組のレスポンス 

  

低感度フィルムは,200mSv以外の線量当量を照射
した組のレスポンス 

S1: レスポンスの標準偏差の推定値 

 ただし, 高感度フィルムは,4mSvに対応する線量当量を照

射した組 
中感度フィルムは,30mSvに対応する線量当量を照
射した組 
低感度フィルムは,200mSvに対応する線量当量を
照射した組 

S2: レスポンスの標準偏差の推定値 

 ただし, 高感度フィルムは,4mSv以外の線量当量を照射し

た組 
中感度フィルムは,30mSv以外の線量当量を照射し
た組 

  

低感度フィルムは,200mSv以外の線量当量を照射
した組 

Sm1: 測定値の平均値に関する標準偏差の推定値 (mSv)  

 ただし, 高感度フィルムは,4mSvに対応する線量当量を照

14 

Z 4335-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

射した組 

  

中感度フィルムは,30mSvに対応する線量当量を照
射した組 

  

低感度フィルムは,200mSvに対応する線量当量を
照射した組 

Sm2: 測定値の平均値に関する標準偏差の推定値 (mSv)  

 ただし, 高感度フィルムは,4mSv以外の線量当量を照射し

た組 

  

中感度フィルムは,30mSv以外の線量当量を照射し
た組 

  

低感度フィルムは,200mSv以外の線量当量を照射
した組 

H0: 基準値 (mSv)  

備考 式(11)は,測定値の比例性が,信頼度95%で1±0.15の範囲内であることを示している。 

2.4 

エネルギー特性 本体3.4に規定するエネルギー特性の判定は,次の式による。 

a

b

a

R

R

S

S

R

2

2

2

1

1

3.2

7.0

2

2

2

1

1

3.2

3.1

S

S

Ra

 ·························································· (12) 

0

2

2

0

1

1

H

S

S

H

S

S

m

m

ここに, 

Ra: 高感度フィルム,中感度フィルム及び低感度フィルムについて

いずれも,60Coのγ線を照射した組のレスポンス 

Rb: 高感度フィルム,中感度フィルム及び低感度フィルムについて

いずれも,60Coのγ線以外の放射線を照射した組のレスポンス 

S1: 高感度フィルム,中感度フィルム及び低感度フィルムについて

いずれも,60Coのγ線を照射した組のレスポンスの標準偏差の
推定値 

S2: 高感度フィルム,中感度フィルム及び低感度フィルムについて

いずれも,60Coのγ線以外の放射線を照射した組ごとのレスポ
ンスの標準偏差の推定値 

Sm1: 高感度フィルム,中感度フィルム及び低感度フィルムについて

いずれも,60Coのγ線を照射した組の測定値の平均値に関する
標準偏差の推定値 (mSv)  

Sm2: 高感度フィルム,中感度フィルム及び低感度フィルムについて

いずれも,60Coのγ線以外の放射線を照射した組ごとの測定値
の平均値に関する標準偏差の推定値 (mSv)  

H0: 基準値 (mSv)  

備考1. 

137Csのγ線を基準とした場合には,60Coを137Csに読み替えること。 

2. 式(12)は,相対レスポンスが,信頼度95%で1±0.3の範囲内であることを示している。 

2.5 

方向特性 本体3.5に規定する方向特性の判定は,次の式による。 

a

b

a

R

R

S

S

R

2

2

2

1

1

3.2

7.0

2

2

2

1

1

3.2

3.1

S

S

Ra

 ·························································· (13) 

0

2

2

0

1

1

H

S

S

H

S

S

m

m

15 

Z 4335-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ここに, 

Ra: 0°方向から照射した組のレスポンス 

Rb: 0°以外の方向から照射した組ごとのレスポンス 

S1: 0°方向から照射した組のレスポンスの標準偏差の推定値 

S2: 0°以外の方向から照射した組ごとのレスポンスの標準偏差の

推定値 

Sm1: 0°方向から照射した組の測定値の平均値に関する標準偏差の

推定値 (mSv)  

Sm2: 0°以外の方向から照射した組ごとの測定値の平均値に関する

標準偏差の推定値 (mSv)  

H0: 基準値 (mSv)  

備考 式(13)は,各角度のレスポンスが,0°方向のレスポンスに対して信頼度95%で1±0.3の範囲内

であることを示している。 

2.6 

湿度に対する安定性 本体3.6に規定する湿度に対する安定性の判定は,次の式による。 

a

b

a

R

R

S

S

R

2

2

21

1

3.2

85

.0

2

2

21

1

3.2

15

.1

S

S

Ra

 ························································· (14) 

0

2

2

0

1

1

H

S

S

H

S

S

m

m

ここに, 

Ra: 相対湿度50%以下で保管した組のレスポンス 

Rb: 相対湿度90%以上で保管した組のレスポンス 

S1: 相対湿度50%以下で保管した組のレスポンスの標準偏差の推

定値 

S2: 相対湿度90%以上で保管した組のレスポンスの標準偏差の推

定値 

Sm1: 相対湿度50%以下で保管した組の測定値の平均値に関する標

準偏差の推定値 (mSv)  

Sm2: 相対湿度90%以上で保管した組の測定値の平均値に関する標

準偏差の推定値 (mSv)  

H0: 基準値 (mSv)  

備考 式(14)は,相対湿度90%以上のレスポンスが,相対湿度50%以下のレスポンスに対して,信頼

度95%で1±0.15の範囲内であることを示している。 

2.7 

光に対する安定性 本体3.7に規定する光に対する安定性の判定は,次の式による。 

2

2

3.2

02

.0

b

a

b

a

S

S

D

D

 ····················································· (15) 

ここに, 

a

D: 光を照射したフィルムの写真濃度の平均値 

b

D: 光を照射しないフィルムの写真濃度の平均値 

Sa: 光を照射したフィルムの写真濃度の平均値に関する標準偏差

の推定値 

Sb: 光を照射しないフィルムの写真濃度の平均値に関する標準偏

差の推定値 

備考 式(15)は,光を照射した組と照射しない組の写真濃度差が,0.02以内であることを示している。 

16 

Z 4335-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書2 線量当量の算出方法 

1. 適用範囲 この附属書は,屋内環境において,実効エネルギーが20keV〜3MeVのX線,光子エネル

ギーが20keV〜3MeVのγ線及び熱中性子によって生じる1cm線量当量を測定するフィルムバッジを用いて,

1cm線量当量を算出する方法について規定する。 

2. 基礎資料 線量当量算出のため,次の基礎資料を準備する。 

(1) 基礎γ線に対する線量特性 

(2) X線・γ線に対するフィルムエネルギー特性 

(3) X線・γ線に対する線量当量算出式 

(4) 熱中性子線量当量算出定数(熱中性子感度,熱中性子フィルム感度) 

備考 熱中性子による線量当量を算出しない場合には,準備しなくてもよい。 

(5) 潜像退行特性 

(6) X線・γ線に対する方向特性 

3. 使用する機器一般 

3.1 

校正装置及び熱中性子源 基礎資料を求めるために使用する校正装置及び熱中性子源は,次による。 

(1) X線校正装置 X線校正装置は,JIS Z 4511に規定する照射線量標準とのトレーサビリティが明確な,

照射線量(率)測定器によって照射線量率を測定したX線照射装置とする。 

なお,実効エネルギーと管電圧に対応するエネルギーとの比(線質指標)は,0.6以上に設定するこ

と。 

(2) γ線校正装置 γ線校正装置は,JIS Z 4511に規定する照射線量標準とのトレーサビリティが明確な照

射線量(率)測定器によって照射線量率を測定した137Cs若しくは60Coγ線照射装置,又は137Cs若し

くは60Co基準γ線源とすること。 

(3) 熱中性子源 熱中性子源は,黒鉛パイル又はこれに準じる減速材の中に放射性同位体中性子源又はそ

の他の中性子源を置いたものであって,減速材中に生じた熱中性子とする。熱中性子のフルエンス率

についてトレーサビリティが明確であること。 

3.2 

濃度計 フィルムの写真濃度を測定する濃度計は,光学くさびで校正したものとする。 

3.3 

現像処理 現像処理は,次による。 

(1) 現像槽は,現像中現像液を20.0±0.5℃の温度に保つことができるものとすること。 

(2) 現像液は,バッジフィルムの製造業者が指定した現像液を用い,調合後10時間以上経過したものとす

ること。 

(3) バッジフィルムの現像に当たっては,現像槽内の現像液温を20.0±0.5℃に保ち,場所による現像の差

をできるだけ少なくすること。 

(4) 定着液は,バッジフィルムの製造業者が指定した定着液を用い,液温は20±5℃に保つこと。 

(5) 水洗は,5〜35℃の流水で30〜60分間とすること。ただし,水洗促進剤を用いた場合の水洗時間は,

水洗促進剤の製造業者が指定した時間による。 

(6) 乾燥は,JIS K 7559の規定によること。 

background image

17 

Z 4335-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(7) 安全光を使用する場合には,それによるかぶりが写真濃度で0.02以下になるようにすること。 

4. 基礎資料の求め方 

4.1 

一般 

4.1.1 

共通条件 基礎資料を求める場合の共通する条件は,各基礎資料の求め方において特に規定がない

場合には,附属書2表1による。 

附属書2表1 共通条件 

項目 

条件 

周囲温度 

℃ 

20±5 

相対湿度 

65±20 

気圧 

hPa 

1 013±50 

照射環境の1cm線量当量率 

μSv/h 

≦0.2 

4.1.2 

写真濃度測定方法 写真濃度測定方法は,JIS K 7605による。 

4.1.3 

求め方一般 求め方一般は,次による。 

(1) フィルムバッジに照射する線量は,各項目に指定する量の80〜120%の範囲内に設定し,一組ずつ同

一の量に設定すること。 

(2) X線のエネルギーは,実効エネルギーとし,照射時に設定する実効エネルギーは,各項目に指定する

実効エネルギーの90〜110%の範囲内に設定し,一組ずつ同一の実効エネルギーに設定すること。 

(3) 照射する場合は,自由空間中にフィルムバッジを配置して行うこと。 

(4) バッジフィルムのロットが変わった場合には,その都度2.(1)の線量特性を,求めること。 

4.2 

基準γ線に対する線量特性の求め方 同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを90個

用意する。5個一組とし,18の組を作り,六つの組ずつを取ってAグループ,Bグループ及びCグループ

とする。附属書2表2によって基準γ線をフィルムバッジに照射する。ただし,各グループの一組ずつはコ

ントロールフィルムとし,基準γ線は照射しない。 

照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに3日間放置後,3.3によって現像処理

する。Aグループからは高感度フィルム,Bグループからは中感度フィルム,Cグループからは低感度フ

ィルムを取り出し,γ線基準フィルタ位置に相当する部分の写真濃度を測定する。各組ごとに写真濃度の平

均値を求める。照射線量と写真濃度の平均値との関係を線量特性とし附属書2図1の例のようにグラフと

して表す。 

background image

18 

Z 4335-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書2表2 線量特性の照射条件 

グループ 

環境条件 

常温 (20±15℃) 常湿 [(65±20) %] 

フィルムバッジに対
するγ線の入射角 

0〜5° 

自由空間中での照
射線量   C/kg 

1.0×10−5 

3.0×10−4 

2.0×10−3 

5.0×10−5 

5.0×10−4 

3.5×10−3 

1.0×10−4 

7.0×10−4 

5.0×10−3 

1.5×10−4 

1.0×10−3 

7.5×10−3 

2.0×10−4 

1.3×10−3 

1.0×10−2 

2.5×10−4 

1.6×10−3 

1.2×10−2 

3.0×10−4 

2.0×10−3 

1.5×10−2 

備考 照射は,自由空間中での照射線量の中から最低値及

び最高値を含む任意の5点の照射線量について行
い,照射線量の値は,一組ずつ同一とする。 

附属書2図1 線量特性のグラフ(例) 

4.3 

X線・γ線に対するフィルムエネルギー特性の求め方 同一ロットのバッジフィルムからなるフィル

ムバッジを240個用意する。5個一組とし,48の組を作り,16組ずつを取ってAグループ,Bグループ及

びCグループとする。附属書2表3によってX線・γ線をフィルムバッジに照射する。ただし,各グルー

プの一組ずつはコントロールフィルムとし,X線・γ線は照射しない。 

照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに3日間放置後,3.3によって現像処理

する。Aグループからは高感度フィルム,Bグループからは中感度フィルム,Cグループからは低感度フ

ィルムを取り出し,各フィルタ位置の写真濃度を測定する。正味見掛けの線量から相対感度を求め,フィ

ルムエネルギー特性とする。 

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19 

Z 4335-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書2表3 フィルムエネルギー特性の照射線量 

X線・γ線のエネルギーkeV 

20 

25 

30 

35 

40 

45 

自由空間中で
の照射線量 

C/kg 

Aグループ 

1.5×10−5 

1.0×10−5 

8.0×10−6 

7.0×10−6 

5.0×10−6 

5.0×10−6 

Bグループ 

1.5×10−4 

1.0×10−4 

8.0×10−5 

6.5×10−5 

5.0×10−5 

5.0×10−5 

Cグループ 

1.5×10−3 

8.0×10−4 

5.0×10−4 

5.0×10−4 

4.0×10−4 

4.0×10−4 

X線・γ線のエネルギーkeV 

50 

60 

70 

80 

90 

100 

自由空間中で
の照射線量 

C/kg 

Aグループ 

5.0×10−6 

6.0×10−6 

6.0×10−6 

8.0×10−6 

9.0×10−6 

1.0×10−5 

Bグループ 

5.0×10−5 

5.0×10−5 

5.5×10−5 

5.5×10−5 

7.0×10−5 

8.5×10−5 

Cグループ 

4.0×10−4 

4.0×10−4 

4.0×10−4 

4.5×10−4 

5.5×10−4 

6.5×10−4 

X線・γ線のエネルギーkeV 

120 

662* 

1250** 

自由空間中で
の照射線量 

C/kg 

Aグループ 

2.0×10−5 

1.5×10−4 

1.5×10−4 

Bグループ 

1.5×10−4 

1.0×10−3 

1.0×10−3 

Cグループ 

1.0×10−3 

4.0×10−3 

4.0×10−3 

注* 

137Csのγ線のエネルギーである。 

** 

60Coのγ線の等価換算係数に対応するエネルギーである。 

備考 照射線量及びエネルギーは,一組ずつ同一の値とする。 

4.4 

X線・γ線に対する線量当量算出式の求め方 2.(2)のフィルムエネルギー特性から,各フィルタ位置

の正味見掛けの線量に補正係数を乗じて得た1cm線量当量が,各エネルギーに対してできるだけ誤差が小

さくなるように線量算出式を求める。 

なお,線量当量を求めるに当たっては,本体付表1の線量当量換算係数を使用する。 

4.5 

熱中性子線量当量算出定数の求め方 

4.5.1 

熱中性子感度 熱中性子感度の求め方は,次による。 

(1) 同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを20個用意する。5個一組とし,四つの組を作

り,一組ずつを取ってA1グループ,A2グループ,A3グループ及びCグループとする。附属書2表4

のとおり各グループに熱中性子を照射する。ただし,Cグループはコントロールフィルムとし,熱中

性子は照射しない。 

照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに3日間放置後,3.3によって現像

処理する。各グループからは高感度フィルムを取り出し,各フィルタ位置の写真濃度を測定し,正味

見掛けの線量を求める。 

附属書2表4 熱中性子のフルエンス 

単位 cm−2 

グループ 

A1 

A2 

A3 

フルエンス 

2.00×107 

4.00×107 

6.00×107 

(2) (1)で求めた正味見掛けの線量を用い,次の式によって熱中性子基準フィルタ位置とγ線基準フィルタ

位置の正味見掛けの線量の差の平均値を求める。 

5

1

5

1

3

1

)

]

[

]

([

5

1

])

[

]

([

ただし,

j

ij

G

ij

n

i

G

n

j

i

F

F

F

F

ここに, ([Fn] − [FG])i: Ai組の熱中性子基準フィルタ位置の正味見掛けの

線量と,γ線基準フィルタ位置の正味見掛けの線量
との差の平均値 

background image

20 

Z 4335-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

[Fn]ij: Ai組j個目のフィルムバッジの熱中性子基準フィル

タ位置の正味見掛けの線量 

[FG]ij: Ai組j個目のフィルムバッジのγ線基準フィルタ位

置の正味見掛けの線量 

(3) (2)で求めた平均値と,照射した熱中性子のフルエンスを,附属書2図2の例のようにグラフに表し,

原点を通る直線を引く。直線の傾きを熱中性子感度とする。 

附属書2図2 熱中性子のフルエンスに対する熱中性子基準フィルタ位置とγ線 

基準フィルタ位置の正味見掛けの線量の差の平均値との関係(例) 

4.5.2 

γ線基準フィルタの熱中性子フィルム感度 γ線基準フィルタの熱中性子フィルム感度の求め方は,

次による。 

(1) 4.5.1(1)で求めた正味見掛けの線量を用い,次の式によってγ線基準フィルタ位置の正味見掛けの線量

と熱中性子場に混在するγ線の線量との差の平均値を求める。 

5

1

5

1

3

1

)

]

([

5

1

)

]

([

ただし,

j

gij

ij

G

i

g

G

j

i

H

F

H

F

ここに, 

)

)

]

([

i

g

G

H

F−

: Ai組のγ線基準フィルタ位置の正味見掛けの線量と,

熱中性子を照射したときに受けたγ線の線量との差
の平均値 

[FG]ij: Ai組j個目のフィルムバッジのγ線基準フィルタ位置

の正味見掛けの線量 

Hgij: Ai組j個目のフィルムバッジが熱中性子を照射した

ときに受けたγ線の線量 

(2) (1)で求めた平均値と,照射した熱中性子のフルエンスを,附属書2図3の例のようにグラフに表し,

原点を通る直線を引く。直線の傾きをγ線基準フィルタの熱中性子フィルム感度とする。 

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21 

Z 4335-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書2図3 熱中性子のフルエンスに対するγ線基準フィルタ位置の 

  正味見掛けの線量とγ線量の差との関係(例) 

4.6 

潜像退行特性の求め方 同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを80個用意する。5

個一組とし,16の組を作り,四つの組ずつを取ってAグループ,Bグループ,Cグループ及びDグルー

プとする。附属書2表5によってγ線をフィルムバッジに照射する。ただし,Dグループのバッジフィルム

は,保管日数ごとのコントロールフィルムとし,γ線は照射しない。 

照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに周囲温度20±5℃で附属書2表6の

日数どおり保管する。保管が終わったバッジフィルムは,3.3によって現像処理する。Aグループからは高

感度フィルム,Bグループからは中感度フィルム,Cグループからは低感度フィルムを取り出し,γ線基準

フィルタ位置の写真濃度を測定する。各組ごとに正味見掛けの線量の平均値を求め,各グループごとに各

組の相対値 (RV) を次の式によって求める。 

3

NAD

NAD

RV

i

ここに, 

i

NAD: i組の正味見掛けの線量の平均値 (i=A,B,C)  

3

NAD: 3日間保管した組の正味見掛けの線量の平均値 

各グループごとに相対値と保管日数との関係を潜像退行特性のグラフとし,附属書2図4の例のように

表す。 

附属書2表5 潜像退行特性の照射線量 

単位 C/kg 

グループ 

照射線量 

1.0×10−4 

7.0×10−4 

5.0×10−3 

附属書2表6 潜像退行特性の保管日数 

単位 d 

組(各グループ共通) 

第1 

第2 

第3 

第4 

照射後現像までの保管日数 

13 

23 

33 

備考 この表で第1〜4組の決め方は,各グループを構成する四つの組のう

ち,任意に第1〜4組とする。 

background image

22 

Z 4335-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書2図4 潜像退行特性のグラフ(例) 

4.7 

X線・γ線に対する方向特性の求め方 同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを250

個用意する。5個一組とし,50の組を作り,10組ずつを取ってA1〜A5グループとする。附属書2表7に

よってX線・γ線をフィルムバッジに照射する。ただし,各グループの一組ずつはコントロールフィルム

とし,X線・γ線は照射しない。 

なお,フィルムバッジの前面に対するX線・γ線の入射角は,附属書2表8による。 

照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに3日間放置後,3.3によって現像処理

する。各組からは高感度フィルムを取り出し,各フィルタ位置の写真濃度を測定し,正味見掛けの線量を

求める。2.(3)の線量当量算出式によって1cm線量当量を求め,次の式によって方向特性 (AV) を求める。 

0

,

cm

1

cm

1

XG

XG

H

H

AV=

ここに, 

cm

1

XG

H

: 特定方向のフィルムバッジから算出した1cm線量当量

の平均値 

0

,

cm

1

XG

H

: 0°方向のフィルムバッジから算出した1cm線量当量

の平均値 

附属書2表7 方向特性の照射線量 

グループ 

A1 

A2 

A3 

A4 

A5 

X線・γ線エネルギー 

keV 

25 

45 

80 

120 

基準γ線 

照射線量 

C/kg 

1.0×10−5 

5.0×10−6 

8.0×10−6 

2.0×10−5 

1.5×10−4 

附属書2表8 入射角 

単位 °(度) 

組(各グループ共通) 

第1 

第2 

第3 

第4 

第5 

入射角(左右方向) 

30 

60 

−60 

−30 

組(各グループ共通) 

第6 

第7 

第8 

第9 

入射角(上下方向) 

30 

60 

−60 

−30 

備考 この表で第1〜9組の決め方は,各グループを構成する10組のうち,コントロ

ールフィルムにした一組を除く九つの組を任意に第1〜9組とする。 

5. 線量当量算出方法 

23 

Z 4335-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.1 

現像処理方法及び写真濃度測定方法 バッジフィルムの現像処理及び写真濃度測定方法は,3.3及び

4.1.2による。 

なお,コントロールフィルムも同時に現像処理する。 

5.2 

潜像退行補正係数の求め方 潜像退行補正係数は,1とする。ただし,補正を必要とする場合には,

フィルムバッジを使用した期間の中央の日から現像日までの期間を保管日数とし,保管日数に対する相対

値を2.(5)の潜像退行特性から求め,その逆数を潜像退行補正係数とする。 

5.3 

方向特性補正係数の求め方 方向特性補正係数は,1とする。ただし,入射角が明確な場合には,そ

の入射角に対する方向特性値を2.(6)の方向特性から求め,その逆数を方向特性補正係数とする。 

5.4 

線量当量の算出 

5.4.1 

正味見掛けの線量の算出 正味見掛けの線量の算出は,次の各項による。 

(1) 各フィルタ位置の写真濃度とコントロールフィルムの写真濃度を測定する。 

(2) フィルタ位置の写真濃度とコントロールフィルムの写真濃度に対する見掛けの線量を,2.(1)の線量特

性から求める。 

(3) フィルタ位置の見掛けの線量からコントロールフィルムの見掛けの線量を差引き,正味見掛けの線量

を求める。 

5.4.2 

熱中性子の線量当量 熱中性子の線量当量は,次の式から1cm線量当量を算出する。ただし,熱

中性子線量当量換算係数は,本体付表2による。 

F

E

G

n

n

f

f

Ts

F

F

H

1

])

[

]

([

ここに, 

Hn: 熱中性子の線量当量 

[Fn]: 熱中性子基準フィルタ位置の正味見掛けの線量 

[FG]: γ線基準フィルタ位置の正味見掛けの線量 

TS: 熱中性子感度 

fE: 熱中性子線量当量換算係数 

fF: 潜像退行補正係数 

5.4.3 

X線・γ線の線量当量 X線・γ線の1cm線量当量の算出は,次の各項による。 

(1) 熱中性子寄与分は,次の式によって差し引く。ただし,熱中性子による線量当量を算出しない場合は,

この寄与分を差し引く必要はない。 

G

S

G

n

G

G

W

T

F

F

F

F

1

)]

[

]

[(

]

[

´]

[

ここに, 

[FG]': 熱中性子寄与分を差し引いた後のγ線基準フィルタ位置の

正味見掛けの線量 

[FG]: γ線基準フィルタ位置の正味見掛けの線量 

[Fn]: 熱中性子基準フィルタ位置の正味見掛けの線量 

TS: 熱中性子感度 

WG: γ線基準フィルタの熱中性子フィルム感度 

備考 熱中性子寄与分は,各々のフィルタ位置の正味見掛けの線量から熱中性子寄与分を差し引くこ

ととする。その場合,各フィルタに対する熱中性子フィルム感度は,4.5.2と同様の方法で求め

る。 

(2) 各フィルタ位置の正味見掛けの線量を,2.(3)のX線・γ線に対する線量当量算出式に代入して,1cm線

量当量を求める。 

(3) (2)で求めた線量当量に潜像退行補正係数を乗じる。 

24 

Z 4335-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(4) (3)で求めた線量当量に方向特性補正係数を乗じる。 

6. 線量当量の表し方 線量当量は,ミリシーベルト (mSv) で表し,小数点以下2けた目の数値をJIS Z 

8401によって丸める。 

関連規格 JIS Z 8703 試験場所の標準状態 

JIS作業環境用X線及びγ線フィルムバッジ制定原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

橋 詰   雅 

元麻布大学獣医学部 

○◇ 栗 原 史 郎 

工業技術院標準部 

中 島 一 郎 

通商産業省機械情報産業局 

○ 本 間   清 

科学技術庁原子力安全局 

真 野   章 

厚生省健康政策局 

田 中 喜代史 

労働省労働基準局 

加 山 英 男 

財団法人日本規格協会技術・検査部 

○ 佐々木 武 仁 

東京医科歯科大学歯学部 

◎ 丸 山 隆 司 

放射線医学総合研究所 

○◇ 松 本   健 

工業技術院電子技術総合研究所量子放射部 

○◇ 河 村 正 一 

神奈川大学理学部 

村 上 博 幸 

原子力研究所東海研究所 

鹿志村   攻 

動力炉・核燃料開発事業団安全部 

○◇ 加 藤   朗 

東洋公衆衛生学院 

田 口 逸 夫 

社団法人日本放射線技術学会 

○ 喜多村 道 男 

日本核医学会 

大 島 澄 男 

東京電力株式会社原子力保健安全センター 

○ 船 本 久 雄 

日本原子力発電株式会社放射線管理室 

○◇ 松 本   進 

千代田保安用品株式会社線量計測統括部 

○◇ 安 渕 四 郎 

長瀬ランダウア株式会社技術本部 

(事務局) 

白 石 義 行 

社団法人日本保安用品協会 

吉 川 邦 夫 

社団法人日本保安用品協会 

注 ○印は,小委員会委員を兼ねる。◇印は,分科会委員を兼ねる。 
  ◎印は,小委員長及び分科会委員長を兼ねる。 

Z 4335 : 2001 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この追補は,工業標準化法第14条において準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本保安

用品協会 (JSAA) から工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調

査会の審議を経て,経済産業大臣がJIS Z 4335 : 1993を平成13年4月20日付けで改正したことに伴って

発行されたものである。 

background image

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

Z 4335 : 2001 

屋内環境用フィルムバッジ 

(追補1) 

Film badge for in-door environmental monitoring 

 (Amendment 1)  

JIS Z 4335 : 1993を,次のように改正する。 

10ページ付表1を,次の付表1に置き換える。 

付表1 1cm線量当量換算係数 

(場所にかかわる1cm線量当量) 

X線及びγ線のエネルギー(1) 

空気カーマから1cm線量当量への換算係数(2)  

MeV 

(Sv/Gy)  

 0.010 

0.008 

 0.015 

0.26 

 0.020 

0.61 

 0.025 

0.88 

 0.030 

1.10 

 0.035 

1.30 

 0.040 

1.47 

 0.045 

1.59 

 0.050 

1.67 

 0.060 

1.74 

 0.070 

1.75 

 0.080 

1.72 

 0.090 

1.69 

 0.10 

1.65 

 0.12 

1.58 

 0.15 

1.49 

 0.20 

1.40 

 0.30 

1.31 

 0.40 

1.26 

 0.50 

1.23 

 0.60 

1.21 

 0.66(3) 

1.20 

 0.80 

1.19 

 1.0 

1.17 

 1.25(4) 

1.16 

 1.5 

1.15 

 2.0 

1.14 

 3.0 

1.13 

 4.0 

1.12 

 5.0 

1.11 

 6.0 

1.11 

background image

Z 4335 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

X線及びγ線のエネルギー(1) 

空気カーマから1cm線量当量への換算係数(2)  

MeV 

(Sv/Gy)  

 8.0 

1.11 

10 

1.10 

注(1) X線及びγ線のエネルギーは,単一エネルギーの場合には光子エネル

ギー,単一エネルギーでない場合には実効エネルギーとする。該当
するエネルギーがない場合は,補間法によって求める。 

(2) 空気カーマから深さ10mmの周辺線量当量H*(10)への換算係数であ

る。 

(3) 137Csγ線のエネルギーである。 
(4) 60Coγ線の等価換算係数に対応するエネルギーである。 

10ページ付表2を,次の付表2に置き換える。 

付表2 熱中性子線量当量換算係数 

(場所にかかわる1cm線量当量) 

線量当量 

フルエンスから1cm線量当量への換算係数(5)  

mSv・cm2 

換算係数 

10.6 

出典 ICRP74 エネルギーを0.025 3eVとした。 

注(5) フルエンスから深さ1cmの周辺線量当量H*(10)

への換算係数である。本体中ではH*(10)として
表す。 

次の表を付表3として付加する。照射線量から空気カーマへの換算は,付表3による。 

付表3 照射線量−空気カーマ換算係数 

X線及びγ線のエネルギー(6)  

MeV 

照射線量から空気カーマへの換算係数(7)  

 (mGy/R) 

1-g(8)  

 0.010 

8.76 

1.000 

(0.010MeVから1.0MeVまでは0.010MeVの換算係数に同一) 

 1.0 

8.76 

1.000 

 1.5 

8.76 

0.996 

 2.0 

8.83 

0.995 

 3.0 

8.85 

0.991 

 4.0 

0.988 

 5.0 

0.984 

 6.0 

0.980 

 8.0 

0.972 

10 

0.964 

注(6) X線及びγ線のエネルギーは,単一エネルギーの場合には光子エネルギ

ー,単一エネルギーでない場合には実効エネルギーとする。該当するエ
ネルギーがない場合は,補間法によって求める。 

(7) 照射線量から自由空間中の空気カーマへの換算係数である。エネルギー

が3MeV以上では電子平衡の条件を外れることによって,照射線量を正
確に決定することができない。 

(8) (1-g) は制動放射損失による補正係数である。 

出典 ICRU 47 (1992) 

Z 4335 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

浜 田 達 二 

財団法人原子力安全研究協会 

八 田   勲 

工業技術院標準部標準業務課 

下 村 和 生 

科学技術庁原子力放射線安全課 

平 岡 英 治 

資源エネルギー庁公益事業部 

西 沢 元 仁 

厚生省大臣官房厚生科学課 

鶴 田 法 一 

労働省労働基準局安全衛生部 

鈴 木   功 

電子技術総合研究所量子放射部 

高 田 信 久 

電子技術総合研究所量子放射部 

松 本   健 

財団法人日本品質保証機構 

丸 山 隆 司 

財団法人放射線影響協会企画部 

(小委員会委員長)  

加 藤   朗 

国立公衆衛生院客員研究員 

河 内 清 光 

放射線医学総合研究所 

村 上 博 幸 

日本原子力研究所東海研究所 

辻 村 憲 雄 

核燃料サイクル開発機構東海事業所 

川 瀬 弘 二 

東京電力株式会社原子力管理部 

村 松 邦 博 

日本原子力発電株式会社発電本部 

征 矢 郁 郎 

三菱重工業株式会社原子力事業本部 

佐々木 幸 男 

財団法人放射線計測協会 

中 村 吉 秀 

社団法人日本アイソトープ協会アイソトープ部 

菊 地   透 

医療放射線防護連絡協議会 

中 岡   弘 

社団法人日本画像医療システム工業会 

寿 藤 紀 道 

株式会社千代田テクノル研究開発部 

小 林 育 夫 

長瀬ランダウア株式会社技術部 

吉 田 賢 一 

産業科学株式会社営業技術部 

釜 田 敏 光 

ポニー工業株式会社技術本部 

空 増   昇 

松下産業機器株式会社電子機器事業部 

池 上   徹 

旭テクノグラス株式会社サイテック事業部 

田 代   尚 

富士電機株式会社放射線システム部 

松 原 昌 平 

アロカ株式会社 

渡 辺 道 彦 

個人線量測定機関協議会 

(事務局) 

鈴 木 俊 次 

社団法人日本電気計測器工業会 

福 田 光 道 

社団法人日本保安用品協会