Z 3136 : 1999
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS Z 3136 : 1989は改正され,この規格に置き換えられる。
今回の改正では,国際規格との整合を図るために,ISO/DIS 14273 : 1989,Specimen dimensions and
procedure for shear testing resistance spot and embossed projection weldsを基礎として用いた。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 3136 : 1999
抵抗スポット及びプロジェクション
溶接継手のせん断試験に対する
試験片寸法及び試験方法
Specimen dimensions and procedure for shear testing
resistance spot and embossed projection welded joints
序文 この規格は,1989年に発行されたISO/DIS 14273,Specimen dimensions and procedure for shear
testingresistance spot and embossed projection weldsを元に,対応する部分(試験片,試験装置及び試験手順
並びに記録)については技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,次の規定内容を
追加した。
a) 試験片寸法について,従来から規定されていた“通常板幅試験片”とISO/DISに規定されている“飽
和板幅試験片”とを併用した。
b) 試験片の個数について,ISO/DISに規定された11個を基本とするが,標準偏差を必要としない場合に
は当事者間の協議によって減少できることとした。
c) 3枚重ね以上の溶接継手試験片について規定した。
1. 適用範囲 この規格は,金属の抵抗スポット及びプロジェクション溶接継手について,板厚が0.3〜5.0
mmで任意の溶接径をもつ通常板幅試験片の寸法,及び板厚が0.5〜10.0 mmで,最大
t
5
(t:板厚)の溶
接径をもつ飽和板幅試験片の形状,寸法並びにそれぞれの試験片に対する試験方法を規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS Z 2241 金属材料引張試験方法
JIS Z 3001 溶接用語
JIS Z 8401 数値の丸め方
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 3001によるほか次による。
a) せん断力(せん断荷重) この試験によって得られた最大力(最大荷重)。
b) 溶接径 プラグ破断の場合の溶接径はプラグの平均径を,界面破断の場合にはコロナ・ボンドを除い
た境界面で測定した溶融領域の平均径をいう。ただし,両破断形式が混在する部分プラグ破断の場合
には,図1に示す平均径をいう。
c) 通常板幅試験片 薄板構造物の抵抗スポット及びプロジェクション溶接において実用されている点間
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隔に近い板幅をもつ試験片をいう。
d) 飽和板幅試験片 溶接径,試験片の板厚及び重ね代が与えられた場合,板幅を増加するにつれてせん
断試験で得られるせん断力の値は増加し,飽和値に達する。この規格では
t
5
の溶接径をもつ場合の
飽和値にほぼ対応する板幅をもつ試験片をいう。
図1 せん断試験の場合の主な破断形式と溶接径
3
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溶接径dは上図において,すべて次の式で求める。
d= (d1+d2) /2
4. 試験片
4.1
試験片の形状及び寸法 試験片の形状は,図2による。また試験片の寸法は,通常板幅試験片及び
飽和板幅試験片について,それぞれ表1及び表2による。
板厚又は材質が異なる板の組合せの場合には,試験片の寸法は,母材の引張強さと板厚との積の値が小
さいほうの板厚による。
3枚重ね以上の場合の試験片の形状は図3,寸法は表1による。この場合のせん断試験は,図3a),b)に
示すように,荷重のかかる部材間について行うものとする。
なお,3枚重ね以上で板厚又は材質が異なる場合の試験片の寸法は,荷重のかかる部材について,母材
の引張強さと板厚との積の値が小さいほうの板厚による。
図2 試験片の形状
図3 3枚重ね以上の試験片
表1 通常板幅試験片の寸法
単位mm
呼び板厚t
板幅W
重ね代L
試験片長さA
クランプ間距離B
0.3以上〜0.8未満
20
20
75
70
0.8以上〜1.3未満
30
30
100
90
1.3以上〜2.5未満
40
40
125
100
2.5以上〜5.0
50
50
150
110
表2 飽和板幅試験片の寸法
単位mm
呼び板厚t
板幅W
重ね代L
試験片長さA
クランプ間距離B
0.5以上〜1.5未満
45
35
105
95
1.5以上〜3.0未満
60
45
138
105
3.0以上〜5.0未満
90
60
160
120
5.0以上〜7.5未満
120
80
190
140
7.5以上〜10.0
150
100
210
160
4.2
試験片の製作 試験片の製作は,次による。
a) 単点溶接継手試験片 単点試験片は,図2又は図3のように単点試験板を溶接して作製する。
b) 多点溶接継手試験材からの試験片 試験の目的によって多点溶接による試験片が必要な場合には,図
4のように10点以上の多点溶接試験材を作製し,シャリング・マシンその他の方法によって試験片を
切り出す。
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なお,溶接点間隔Pは表1の板幅Wと同じ値とし,重ね代Lもまた,表1のLと同じ値とする。
また試験片を切り出す場合に,切断によって溶接継手の性能に影響を与えないように注意する。
多点溶接継手試験材の溶接の順序は,一方の端から順次溶接するものとする。また,溶接中に無効
分流を補償する調整を行ってはならない。ただし,制御装置によって自動的に補償するようになって
いるものについては,この限りではない。
多点溶接の場合は,第1点及び最終点は試験から除くものとする。ただし,プロジェクション溶接
の場合は,すべての溶接部を試験するものとする。
多点溶接継手試験片を製作する場合,一連の溶接が終わるまで電極先端のドレッシングを行ったり,
電極を交換してはならない。
c) マルチ・スポット溶接機を使用して製作する試験片については,試験片寸法その他は当事者間の協定
による。
図4 多点溶接継手試験材
4.3
試験片の個数 試験片の個数は同一条件について11個とする。ただし,せん断力又は溶接径の標準
偏差を必要としない場合には,当事者間の協定によって減少できるものとする。
5. 試験装置及び試験手順 試験装置及び試験手順は,次による。
試験は,JIS Z 2241に規定された装置及び方法に従うものとし,所定のクランプ間隔をとって試験片を
試験機にクランプしたのち,徐々に引張る。試験片が破断するまでの最大引張荷重を測定し,せん断力を
求める。また,破断した試験片から溶接径を求める。試験は室温で行う。
(板厚)>3mm,又は(2枚の板厚の比)>1.4の場合には,図5に示すように添え板を使用するものとす
る。添え板は試験材と同じ板厚とし,あらかじめスポット溶接などで試験片に固定する。試験は室温で行
う。
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図5 添え板を使用した試験片
6. 記録 試験を行ったのち,次の項目について記録する。ただし,試験結果を報告する場合には,当事
者間の協定によってその一部を省略することができる。
a) 試験年月日及び試験場所
b) 試験材料の種類及び板厚
c) 試験材料の化学成分及び機械的性質
d) 溶接方法(スポット又はプロジェクション溶接)
e) 溶接機の種類及び溶接条件
f)
試験の種類(せん断試験)
g) 試験機の名称,形式,最大ひょう量など
h) 試験片の寸法
i)
せん断力の個々の値,平均値,必要ある場合には標準偏差(JIS Z 8401参照)
j)
溶接径の個々の値,破断形態,平均値,必要ある場合には標準偏差(JIS Z 8401参照)
k) その他の特記事項
参考1. できれば,試験片又は試験材などの溶接に当たり,選択した溶接条件によって,所定の溶接
部(ナゲット径その他)が形成されるかどうかを,断面試験方法(JIS Z 3139)によって確認す
る。
2. できれば,試験片の変形の情報を与えることのできる荷重−伸び曲線を記録する。
関連規格 JIS Z 3137 スポット溶接継手の引張試験方法
JIS Z 3138 スポット溶接継手の疲れ試験方法
JIS Z 3139 スポット溶接継手の断面試験方法
JIS Z 3144 スポット及びプロジェクション溶接部の現場試験方法
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JIS Z 3136改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
佐 藤 次 彦
大阪工業大学
(幹事)
高 橋 靖 雄
新日本製鉄株式会社鉄鋼研究所
(委員)
小 島 彰
通商産業省基礎産業局
天 野 徹
工業技術院標準部
山 村 修 蔵
財団法人日本規格協会技術部
大石橋 宏 次
財団法人鉄道綜合技術研究所技術支援部
中 村 孝
株式会社電元社製作所
松 山 欽 一
大阪大学工学部
小笠原 幸 生
トヨタ自動車株式会社第2生技部
金 志 真 彦
ホンダエンジニアリング株式会社
谷 口 庸 彦
三菱自動車工業株式会社材料技術部
和 田 晃
日産自動車株式会社第3技術部
高 橋 雄 二
マツダ株式会社車体技術部
藤 村 利 明
日産車体株式会社生産技術部
富 沢 幸 夫
川崎重工業株式会社車両事業部
平 松 良 一
東急車両製造株式会社
松 田 恭 典
日本鋼管株式会社福山研究所
登 坂 章 男
川崎製鉄株式会社鉄鋼研究所
青 木 欣 一
株式会社木村電熔機技術部
永 井 啓 彦
ナストーア株式会社近江工場
(事務局)
池 原 平 晋
社団法人日本溶接協会