サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

Z 2247:2006  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本鉄鋼

連盟(JISF)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出

があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS Z 2247:1998は改正され,この規格に置き換えられた。 

改正に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 20482:2003,Metallic materials−

Sheet and strip−Erichsen cupping testを基礎として用いた。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

JIS Z 2247には,次に示す附属書がある。 

附属書A(参考)グラファイトグリースの推奨成分 

附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表 

Z 2247:2006  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 定義 ······························································································································ 1 

4. 原理 ······························································································································ 1 

5. 試験機 ··························································································································· 1 

6. 試験片及びエリクセン値記号 ····························································································· 1 

7. 試験条件 ························································································································ 3 

8. 手順 ······························································································································ 3 

9. 報告 ······························································································································ 3 

附属書A(参考)グラファイトグリースの推奨成分 ···································································· 5 

附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ··································································· 6 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

Z 2247:2006 

エリクセン試験方法 

Method of Erichsen cupping test 

序文 この規格は,2003年に第1版として発行されたISO 20482,Metallic materials−Sheet and strip−

Erichsen cupping testを翻訳し,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変更の一覧

表をその説明を付けて,附属書1(参考)に示す。 

1. 適用範囲 この規格は,厚さ0.1mm以上2 mm以下,幅90 mm以上の金属薄板の張出し加工時の塑性

変形特性を試験する方法について規定する。ただし,厚さが2mmを超え3 mm以下の金属薄板,又は幅

30mm以上90 mm未満の狭い金属薄板にも適用することができる。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD

(修正している),NEQ(同等でない)とする。 

ISO 20482:2003,Metallic materials−Sheet and strip−Erichsen cupping test (MOD) 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 7729 エリクセン試験機 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

3.1 

貫通割れ(through crack) 試験片の全厚みを通過する割れで,割れの長手方向に光が通過するのに十

分な広がりをもつもの。 

4. 原理 しわ押さえとダイスとの間に締め付けた試験片に対して,球形の端部をもったパンチを押し込

むことによって,貫通割れが発生するまで,くぼみを形成する。パンチの移動距離が,測定するくぼみの

深さを示し,試験の結果(エリクセン値)となる。 

5. 試験機 試験機は,JIS B 7729による。 

なお,参考表1に,JIS B 7729に規定するジグの寸法を示す。 

6. 試験片及びエリクセン値記号 試験片及びエリクセン値記号は,次による。 

a) 試験片の寸法及びエリクセン値記号を,表1に示す。厚さ0.1 mm以上2 mm以下,幅90 mm以上の

background image

Z 2247:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

金属薄板は,標準試験片を用い,厚さが2 mmを超え3 mm以下又は幅が30 mm以上90 mm未満の金

属薄板については,標準試験片より厚い又は狭い試験片欄から該当する寸法の試験片を用いる。また,

該当する寸法のエリクセン値記号で区別する。 

b) 試験片は,平たん(坦)で,端部に,試験機への取付けに障害となるか,又は試験機の性能を損なう

おそれがあるばり,ゆがみなどがあってはならない。 

c) 試験前に,試験片は,ハンマでたたいたり,熱間加工又は冷間加工をしてはならない。 

表 1 試験片及びエリクセン値記号 

単位 mm 

記号 

定義 

試験片及びエリクセン値記号 

標準試験片 

標準試験片より厚い,又は狭い試験片 

IE 

エリクセン値記号 

IE 

IE40 

IE21 

IE11 

試験片の厚さ 

    0.1 以上 
    2  以下 

   2 を超え 
   3 以下 

   0.1 以上 
   2 以下 

   0.1 以上 
   1 以下 

試験片の幅又は直径 

   90 以上 

  90 以上 

  55 以上 
  90 未満 

  30 以上 
  55 未満 

background image

Z 2247:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考表 1 ジグ寸法及びエリクセン値記号 

単位 mm 

記号 

定義 

ジグ寸法及びエリクセン値記号 

標準試験片によ

る試験 

標準試験片より厚い,又は狭い試験片による試験 

IE 

エリクセン値記号 

IE 

IE40 

IE21 

IE11 

d1 

パンチ端の球状の直径 

20±0.05 

20±0.05 

15±0.02 

8±0.02 

d2 

ダイスの内径 

27±0.05 

40±0.05 

21±0.02 

11±0.02 

d3 

しわ押さえの内径 

33±0.1 

33±0.1 

18±0.1 

10±0.1 

d4 

ダイスの外径 

55±0.1 

70±0.1 

55±0.1 

55±0.1 

d5 

しわ押さえの外径 

55±0.1 

70±0.1 

55±0.1 

55±0.1 

R1 

ダイスの外側かどの丸み半径及び 
しわ押さえの外側かどの丸み半径 

0.75±0.1 

1.0±0.1 

0.75±0.1 

0.75±0.1 

R2 

ダイスの内側かどの丸み半径 

0.75±0.05 

2.0±0.05 

0.75±0.05 

0.75±0.05 

h1 

ダイスの内側円筒部長さ 

3.0±0.1 

6.0±0.1 

3.0±0.1 

3.0±0.1 

試験中のくぼみの深さ 

− 

− 

− 

− 

7. 試験条件 試験条件は,次による。 

a) 試験温度は,通常,10〜35 ℃の間で行う。注文者の要求のある場合は,23±5 ℃で行う。 

b) 標準試験片のくぼみの中心は,試験片のいずれの辺からも45 mm以上とし,また,試験片が条(帯)

の場合で,複数回の試験を行うときには,隣り合うくぼみの中心間の距離は,90 mm以上とする。狭

い幅の試験片に対しては,くぼみの中心は,試験片の幅の中心とし,また,隣り合うくぼみの中心間

の距離は,少なくとも金属薄板の幅以上とする。 

8. 手順 手順は,次による。 

IE

Z 2247:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 試験片の厚さ(mm)は,JIS Z 8401の規則Aによって小数点以下第2位まで求める。 

b) 装置を動かす前に,パンチとダイスに接触する試験片の表面にグラファイトグリースを,軽く塗布す

る。グラファイトグリースの推奨成分は,附属書Aによる。 

c) しわ押さえとダイスとで試験片を締め付ける。締付け荷重は,約10 kNとする。 

d) 衝撃を与えないようにパンチを移動し,試験片に接触させる。この位置から押込み深さの測定を行う。 

備考 試験を開始する前に,パンチの先端はしわ押さえの上面と同一水平面とする(校正の基準点で

ある。)。 

e) パンチを押し込む速度は,標準試験片に対しては通常,5〜20 mm/minの速度,試験片の幅又は直径(表

1のb)が90 mm未満の試験片に対しては,5〜10 mm/minの速度とする。 

備考1. 手動装置の場合は,操作の終点近くで貫通割れが現れる瞬間を正確に決定するために,パン

チの押し込む速度を規定の下限速度に下げる。 

2. コンピュータ制御された試験装置を使用する場合は,試験の終点近くで速度を下げる必要は

ない。試験結果は,直接,荷重とパンチ変位との線図から求めてもよい。 

f) 

試験片の全厚を貫通する割れが現れた瞬間にパンチの動きを止める。 

g) 押込み深さを測定する。押込み深さの測定値(mm)は,JIS Z 8401の規則Aによって小数点以下第1位

に丸める。 

h) 製品規格で規定がない限り,少なくとも3回の試験を行い,エリクセン試験値IEの値は,これらの値

の平均値とする。試験値は,ミリメートル(mm)単位で表示する。 

9. 報告 報告は,次の事項のうちから,受渡当事者間の協定によって選択する。 

a) この規格の番号(JIS Z 2247) 

b) 試験片の識別 

c) 試験片の厚さ 

d) 使用した潤滑剤 

e) 要求のある場合は,試験後の試験片の外観 

f) 

エリクセン値IE(要求のある場合は,個々の値) 

なお,標準試験片以外の場合は,IEに添え字を付けて示す。 

background image

Z 2247:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A(参考)グラファイトグリースの推奨成分 

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。 

試験結果は,使用するグリースの種類に関係することが知られている。適切であると知られている代表

的なグリースは,次のような特徴をもっている。 

− グリースは,カルシウム石けん,精製鉱油及びグラファイト片からなる。 

− グリースは,腐食物質,樹脂粒,ワックス及びきょう雑物を含んではならない。 

− グリース及びその成分は,附属書A表1に適合していることが望ましい。 

附属書A表 1 グラファイトグリースの推奨特性 

構成物 

特性 

推奨値 

グリース 

25 ℃で150 gの円すい(錐)浸透能(Worked penetration 
of cone) 
遊離酸 
遊離アルカリ 
水分 
グラファイト分 

250〜280 
 
オレイン酸として0.2 %以下 
Ca(OH)2として0.3 %以下 
0.5〜1.2 % 
質量分率23〜28 % 

グラファイト片 

最大粒径 
灰分 

0.3 mm 
質量分率4.5 %以下 

鉱油 

37.8 ℃の動粘度 
引火点 
灰分 
中和価 

100〜120cS 
177 ℃以上 
質量分率0.01 %以下 
0.1 mgKOH / g以下 

background image

Z 2247:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表 

JIS Z 2247:2005 エリクセン試験方法 

ISO 20482:2003,金属材料−薄板−エリクセン試験方法 

(Ⅰ) JISの規定 

(Ⅱ) 国際
規格番号 

(Ⅲ) 国際規格の規定 

(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の
項目ごとの評価及びその内容 
 表示箇所:本体 
 表示方法:点線の下線 

(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策 

項目 
番号 

内容 

項目 
番号 

内容 

項目ごと
の評価 

技術的差異の内容 

1.適用範
囲 

厚さ0.1〜2 mm,幅90 mm
以上の金属薄板。ただし,
厚さ2〜3 mm,幅30〜90 
mmにも適用できる。 

ISO 
20482 

JISと同じ 

IDT 

− 

− 

2.引用規
格 

JIS B 7729 
 
 
JIS Z 8401 

ISO 4287 
 
 
− 

MOD/変更 
 
 
MOD/追加 

試験機の関係は,JIS B 
7729に引用されてい
る。 
JISとして追加。 

実質的に差異はない。 

3.定義 

JISと同じ 

IDT 

− 

− 

4.原理 

JISと同じ 

IDT 

− 

− 

5.試験機 

JIS B 7729による。 

JISとほぼ同じ 

MOD/変更 

試験機については,JIS 
B 7729を引用した。 

ISOに提案の予定 

6.試験片
及びエリ
クセン値
記号 

JISとほぼ同じ 

MOD/変更 

くぼみの位置条件を
試験条件に移動(理解
しやすいため)。 

実質的に差異はない。 

7.試験条
件 

a) 温度条件 
b) くぼみの位置条件 

JISとほぼ同じ 

MOD/変更 

試験片の項から,くぼ
みの位置条件を移動。
また,条(帯)の場合
を追加。 

実質的に差異はない。 

2

Z

 2

2

4

7

2

0

0

6

  

2

Z

 2

2

4

7

2

0

0

6

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

background image

Z 2247:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(Ⅰ) JISの規定 

(Ⅱ) 国際
規格番号 

(Ⅲ) 国際規格の規定 

(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の
項目ごとの評価及びその内容 
 表示箇所:本体 
 表示方法:点線の下線 

(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策 

項目 
番号 

内容 

項目 
番号 

内容 

項目ごと
の評価 

技術的差異の内容 

8.手順 

JISとほぼ同じ 

MOD/追加 

数値丸めにJIS Z 8401
規則Aを追加。 

ISOに提案の予定 

9.報告 

10 

JISとほぼ同じ 

MOD/追加 

標準試験片以外を使
用した場合のIEの添
え字表示を追加。 

ISOに提案の予定 

附属書A 
 

附属書A 

JISと同じ 

IDT 

− 

− 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD 

 
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。 

  ― IDT……………… 技術的差異がない。 
  ― MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
  ― MOD/変更……… 国際規格の規定内容を変更している。 
2. 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。 

  ― MOD…………… 国際規格を修正している。 
 

2

Z

 2

2

4

7

2

0

0

6

  

2

Z

 2

2

4

7

2

0

0

6

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。