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Z 0130-5:2015 (ISO 18605:2013) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 2 

2 引用規格························································································································· 2 

3 用語及び定義 ··················································································································· 3 

4 最少真の発熱量の説明 ······································································································· 4 

5 要求事項························································································································· 4 

6 手順······························································································································· 4 

6.1 適用 ···························································································································· 4 

6.2 評価 ···························································································································· 4 

6.3 適合性宣言 ··················································································································· 5 

附属書A(参考)熱利得及び最少真の発熱量の算出方法 ······························································ 6 

附属書B(参考)現実の工業的システムにおいてエネルギー回収が可能となる最少真の発熱量の導出 ··· 8 

附属書C(参考)エネルギー回収プロセスに不適な包装 ····························································· 14 

附属書D(参考)この規格の要求事項に適合していることを示す書式の例 ······································ 15 

附属書E(参考)この規格の要求事項に適合していることを示す書式の事例 ··································· 17 

Z 0130-5:2015 (ISO 18605:2013) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,公益社団法人日本包装技術協会(JPI)及び

一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があ

り,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS Z 0130の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS Z 0130-1 第1部:一般的要求事項 

JIS Z 0130-2 第2部:包装システムの最適化 

JIS Z 0130-3 第3部:リユース 

JIS Z 0130-4 第4部:マテリアルリサイクル 

JIS Z 0130-5 第5部:エネルギー回収 

JIS Z 0130-6 第6部:有機的リサイクル 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

Z 0130-5:2015 

(ISO 18605:2013) 

包装の環境配慮−第5部:エネルギー回収 

Packaging and the environment-Part 5: Energy recovery 

序文 

この規格は,2013年に第1版として発行されたISO 18605を基とし,技術的内容を変更することなく作

成した日本工業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

包装は,ほとんど全ての工業,全ての産業分野及び全てのサプライチェーンにおいて大変重要な役割を

担っている。適正な包装は,製品の損失を防止するために欠くことができないものであり,結果として,

環境への負荷を減少させる。効果的な包装は,次のような事項によって,持続可能な社会の達成に貢献を

なす。 

a) 内容物保護,安全性,取扱い性及び情報表示性に関する消費者ニーズへの適合 

b) 資源の効率的使用及び環境負荷最小化 

c) 流通段階でのコスト抑制 

包装の環境評価には,その回収又は廃棄処理システムと同様に,製造及び流通システム,包装材料及び

製品の損失,並びに関係する収集システムが含まれると考えられる。JIS Z 0130-1〜JIS Z 0130-6(以下,

この規格群という。)は,次の事項を目指すための一連の手法を提供する。 

d) 環境負荷を低減する。 

e) 製品,包装及びサプライチェーンにおける革新を支援する。 

f) 

包装の使用に対する過度の規制を排除する。 

g) 通商に対する障壁及び規制を予防する。 

包装は,製品の収納,保護,情報,便利さ,ユニット化,荷扱い,配送,陳列など多くの機能を使用者

及び製造業者に提供するように設計されている。包装の主要な役割は,製品の損傷及び損失を予防するこ

とである[包装の機能のリストについては,JIS Z 0130-1の附属書A(包装が果たす機能のリスト)を参

照]。 

JIS Z 0130-1は,そのライフサイクル全体を通しての包装の環境負荷を網羅するJIS Z 0130-2〜JIS Z 

0130-6の相互の関係を規定する(図1参照)。これらの規格は,特定の包装が最適化できたかどうか,ま

た,使用後にリユース又は回収できることを確実にするために包装を修正する必要があるかどうかを明確

にするための手助けになると期待される。 

これらの規格の要求事項に適合していることの証明は,第一者(製造業者又は供給者)若しくは第二者

(使用者又は購入者)によって,又は第三者(独立機関)の支援によって行うことができる。 

包装の環境属性に関しては,あるときはリユース又は回収の技術的側面,そうでない場合はリユース若

しくは回収システムを利用する人口又は回収市場に提供される包装の量に関係し,これら側面からのアプ

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Z 0130-5:2015 (ISO 18605:2013) 

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ローチが必要である。 

この規格群の一連の規格は,包装の技術的側面に関する規定であり,JIS Q 14021の宣言又は表示に関す

る要求事項に関係するものではない。 

図1−この規格群の体系 

適用範囲 

この規格は,包装がエネルギー回収可能と分類されるための要求事項及び要求事項への適合性を評価す

る手順について規定する。 

この規格を単独で適用することはできない。この規格を適用するための一般的手順は,JIS Z 0130-1に

規定されている。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号は,次に示す。 

ISO 18605: 2013,Packaging and the environment−Energy recovery(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき“一致している”こ

とを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

JIS Z 0130-1 

包装の環境配慮−第1部:一般的要求事項 

JIS Z 0130-4 

包装の環境配慮− 

第4部:マテリアルリサイクル 

JIS Z 0130-5 

包装の環境配慮− 

第5部:エネルギー回収 

JIS Z 0130-6 

包装の環境配慮− 

第6部:有機的リサイクル 

YES 

判断 

JIS Z 0130-3 

包装の環境配慮− 
第3部:リユース 

NO 

包装の寿命後 

JIS Z 0130-2 

包装の環境配慮−第2部:包装システムの最適化 

附属書C 

環境に有害な物質又は混合物の評価及び最少化 

Z 0130-5:2015 (ISO 18605:2013) 

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引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS Z 0108 包装−用語 

注記 対応国際規格:ISO 21067,Packaging−Vocabulary(MOD) 

JIS Z 0130-1 包装の環境配慮−第1部:一般的要求事項 

注記 対応国際規格:ISO 18601,Packaging and the environment−General requirements for the use of 

ISO standards in the field of packaging and the environment(IDT) 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 0108及びJIS Z 0130-1によるほか,次による。 

3.1 

定積真の発熱量,qnet(net calorific value at constant volume) 

単位質量の固形燃料を定積の条件下で酸素中で燃焼させ,反応生成物中の水は全て水蒸気として残留し

(0.1 MPaにおける仮想状態),その他の生成物は,全て基準温度の状態にあるとしたときの燃焼の比エネ

ルギーの絶対値。比エネルギーの単位は,単位質量当たりのジュールで表す。 

注記1 ここで,燃料とは,使用済み包装を指す。 

注記2 その他の生成物とは,二酸化炭素,窒素酸化物,硫黄酸化物,灰などを指す。 

3.2 

必要エネルギー,Ha(required energy) 

環境温度から基準温度まで,燃焼後物質及び過剰空気を断熱的に加熱するのに必要なエネルギー。 

注記1 燃焼後物質とは,3.1の注記2に記載のその他の生成物に加えて,燃焼のために導入された必

要空気中の窒素などを含む。 

注記2 必要エネルギーの単位は,固形燃料の単位質量当たりのジュールで表す。 

3.3 

熱利得(calorific gain) 

qnetからHaを差し引いた値。 

3.4 

理論的最少真の発熱量,qnet,min,theor(theoretical minimum net calorific value) 

燃焼によって得られる熱量の一部であり,包装材料又は製品の燃焼後物質及び過剰空気を特定の環境温

度から特定の基準温度まで断熱的に加熱するために必要な熱量。 

qnet,min,theor=Ha 

注記 理論的最少真の発熱量は,必要エネルギーHaに等しい。式(A.1)参照。 

3.5 

有効熱エネルギー(available thermal energy) 

実際の産業システムにおける燃焼によって放出されたエネルギーの一部であって,総放出エネルギーか

ら熱ロスを引いたもの。 

3.6 

燃焼(combustion) 

焼却(incineration) 

有機材料と金属とを包含した酸化反応。 

注記 近代的な焼却プラントでは効率的にエネルギーを生成及び/又は回収することができる。“焼

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却”という用語は,通常の使い方ではエネルギー回収を伴うか伴わないかを問わず,燃焼によ

って固形廃棄物を減容するプロセスを意味する。この規格群では,それらはエネルギー回収を

伴う焼却プロセスだけを指す。 

3.7 

エネルギー回収(energy recovery) 

制御された燃焼による有用なエネルギーの製造。 

注記 熱水,蒸気又は電力を生成するための固形廃棄物の焼却がエネルギー回収の一般的な形である。 

最少真の発熱量の説明 

理論的最少真の発熱量(qnet,min,theor)は,その材質,燃焼プロセスの温度及びその他の燃焼プロセス条件

に依存し,Haに等しい。附属書Aでは,熱利得の技術的概念を通じて理論的最少真の発熱量を導出するこ

とで,この関係を説明している。 

実際の最少真の発熱量(qnet,min,real)は,産業システムにおけるエネルギー回収を最適化するように設定

し,それは附属書Bに定義している。 

要求事項 

産業システムにおいて最適なエネルギー回収を達成するためには,熱利得は明確にゼロを超えていなけ

ればならない。包装がエネルギー回収可能であると主張するためには,定積真の発熱量が表B.2に記載さ

れている各焼却条件で計算によって求めた実際の最少真の発熱量以上でなければならない。 

注記1 木材,板紙,紙,その他の有機繊維,でんぷん及びプラスチックのような有機物含量が50 %

(質量分率)以上の包装は熱利得を与え,表B.2に記載の各焼却条件について示されている

実際の最少真の発熱量の要求事項に適合する。 

注記2 無機物又はフィラー層のような無機物含量が50 %(質量分率)以上からなる包装は,定積真

の発熱量が表B.2に記載の各焼却条件について示されている実際の最少真の発熱量

(qnet,min,real)を超えれば,エネルギーの形で回収が可能である。 

注記3 主要成分がエネルギー回収できない無機質の部品を質量比で50 %以上含んでいる包装,例え

ば,プラスチック製の蓋が付いたガラス容器又は硬い金属容器は,エネルギー回収不可とみ

なす。 

注記4 薄いアルミニウムはく(一般には厚さ50 μm以下)は包装の定積真の発熱量に寄与し,エネル

ギー回収可能とみなす。50 μmを超えるアルミニウムはくは,エネルギー回収不可とみなす。 

注記5 環境に有害な物質については,JIS Z 0130-2に規定されている。エネルギー回収に適さない

包装に関する他の側面は,附属書Cに記載している。 

手順 

6.1 

適用 

個別の包装に関するこの規格への適用については,JIS Z 0130-1によらなければならない。 

6.2 

評価 

供給者は,個別の包装について,附属書Aの方法又は附属書Bに示されたデータからの計算によって,

エネルギー回収適性を評価することが望ましい。 

Z 0130-5:2015 (ISO 18605:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.3 

適合性宣言 

JIS Z 0130-1の箇条5(要求事項)に規定されている要求事項への適合性を宣言するために,所定の書類

を作成しなければならない。宣言のための書式例を附属書Dに示す。 

Z 0130-5:2015 (ISO 18605:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

熱利得及び最少真の発熱量の算出方法 

熱利得の決定は,断熱的燃焼における最終到達温度から,化学的かつ熱力学的に標準的な計算法によっ

て行う。 

材料の定積真の発熱量(qnet)は,材料が燃焼し,かつ,全水分が気相状態にあるときに放出される熱の

総量である。エネルギーの回収が可能であるとするためには,包装が,エネルギー回収プロセスで熱利得

を生まなければならない。 

定積真の発熱量(qnet)が,環境温度から基準温度に至るまで,各燃焼後の物質(過剰空気も含む。)の

温度を断熱的に上昇させるのに必要なエネルギーHaを超えたときに,この規格の目的からして,エネルギ

ー回収の条件が満たされたとみなす。式(A.1)を満たすとき,熱利得があったという。 

qnet−Ha>0 ············································································ (A.1) 

複数の部品及び/又は成分から成る包装の定積真の発熱量は,式(A.2)に従って計算する。 

i

n

i

iq

f

q

,

net

1

net∑

=

=

 ······································································· (A.2) 

ここに, qnet: 包装の定積真の発熱量 
 

fi: 包装に含有される部品又は成分“i”の質量含有率 

qnet,i: 包装に含有される部品又は成分“i”の定積真の発熱量 

Haとして規定される理論的最少真の発熱量は,式(A.3)及び式(A.4)の適用によって決定できる。 

=

=

=

n

i

i

iH

f

H

q

1

,a

a

 theor

min,

net,

 ························································· (A.3) 

ここに, 

Ha: T0からTaまでにおいて燃焼生成物及び過剰空気を断熱的に加

熱するのに必要なエネルギー 

Ha,i: 包装中の部品又は成分“i”の,T0からTaまでにおいて燃焼生

成物,残留物及び過剰空気を断熱的に加熱するのに必要なエ
ネルギー 

)

(

o

a

p

1

,a

T

T

C

g

H

j

m

j

j

i

=∑

=

 ···························································· (A.4) 

ここに, 

gj: 燃焼により包装中の部品又は成分“i”の総量から生成される

燃焼生成物中,及び過剰空気中の各成分“j”の質量分率 

Cpj: 定圧力における燃焼後生成物“j”の比熱容量 

Ta: 基準温度 

To: 環境温度 

式(A.4)は,断熱状態において有効である。この規格の目的に対してHaは,特定焼却条件に対して計算

できる。各国で焼却条件が異なっており,定められた基準温度(Ta)を用いて計算する。基準温度(Ta)

が法律で決められていない場合は実際の焼却温度を用いてHaを計算する。 

燃焼条件が異なるため,Haは既存の法律に縛られることなくTaを用いて計算することがよい。 

事例1 EU各国では,HaはDirective 2000/76/ECで示されている特定条件,すなわち,Taは850 ℃,

Toは25 ℃及び酸素濃度は6 %で計算しなければならない。 

事例2 カナダでは,Haは報告書TS/WMTRE003で示されている特定条件(酸素濃度7〜11 %でTo 

25 ℃,Ta 1 000 ℃)で計算する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

事例3 日本では,Haは法律で定められている特定条件(To 25 ℃,Ta 800 ℃)で計算する。 

Haは,材料供給者から得られた化学組成の公表値から計算できる。 

個々の包装材料のqnet値は,原材料の供給業者又は標準ハンドブックから入手する。包装のqnetは,式(A.2)

に従って計算する。qnetは,JIS Z 7302-2に従って実験的にも決定できる。 

Haの計算に必要な灰分(又は固形残さ)は,JIS Z 7302-4に規定された方法で求めなければならない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

現実の工業的システムにおいてエネルギー回収が可能となる 

最少真の発熱量の導出 

附属書Aに記載した条件で焼却した場合,包装は回収可能なエネルギーを生成する。熱利得は理想的な

断熱条件であって,安定した条件下で,ロスがない場合について計算する。現実の工業的システムにおい

ては,有効熱エネルギーは常に理論的熱利得よりも大きい。燃焼プラントにおいては常に熱損失が存在し,

高温ガスからの熱回収の総熱効率は75〜90 %となる。表B.1に代表的な包装の成分,包装の部品,包装材

料及び包装について定積真の発熱量(qnet),必要エネルギー(Ha),熱利得(qnet−Ha),及び有効熱エネル

ギーの値を示した。例示した包装材料の幾つかは一般的に使用されていないが,可能性の範囲を示すもの

として選択した。 

燃焼ガスの洗浄及び残さの処理に消費されるエネルギーは,発生エネルギーの数%程度である。全ての

廃棄物回収又は処分には,輸送及び処理プロセスのエネルギーを必要とする。これは環境によって変動す

るが,通常,1 MJ/kg・廃棄物よりも格段に小さい。 

図B.1は,表B.1をグラフ化したものである。熱利得を,各焼却条件の基準温度で定積真の発熱量(qnet)

の関数としてプロットしている。最小二乗法による回帰直線を,熱利得=0まで外挿した。 

この統計分析からエネルギー回収可能とするために,工業的に必要な値(実際の最少真の発熱量,

qnet,min,real)を各国の焼却での基準温度に対して計算することができる。 

まず,熱利得が0(ゼロ)における定積真の発熱量(qnet)を,それぞれのグラフから求める。理論的最

少真の発熱量(qnet,min,theor)は,求めた定積真の発熱量(qnet)に95 %の信頼限界を適用して得る。工業プ

ロセスの設計に一般的に用いられている安全係数2を理論的最少真の発熱量に適用して,実際の最少真の

発熱量(qnet,min,real)を求める。 

例えば,基準温度が850 ℃では,qnet>1.9 MJ/kgのときに熱利得>0が推定される。95 %の信頼限界を

考慮に入れると,qnet,min,theorは,1.3と2.5 MJ/kgとの間にある。安全係数2を適用するとqnet,min,realは5.0 MJ/kg

となる。この場合,熱利得は2 MJ/kgであり,有効熱エネルギーは4 MJ/kg以上と見積もられる。輸送及

び処理プロセスのためのエネルギー消費,燃焼ガス掃除及び残さ物処理が考慮されても,利用できる熱エ

ネルギーはこれらの活動によって消費されるエネルギーを上回る。 

各焼却条件に対して計算された実際の最少真の発熱量qnet,min,realを表B.2にまとめた。焼却条件が各国間

で異なるため,qnet,min,realは各国の焼却に関する規則で与えられた特定条件で定められるべきである。 

事例1 EU各国に対しては,2000/76/ECで定められた基準温度850 ℃を考慮して,qnet,min,realは5 MJ/kg

とする。 

事例2 カナダに対しては,CCME-TS/WM-TRE003で定められた基準温度1 000 ℃を考慮して,

qnet,min,realは6.8 MJ/Kgとする。 

事例3 我が国に対しては,法律で定められた基準温度800 ℃を考慮してqnet,min,realは4.6 MJ/kgとす

る。 

表B.1は,包装の成分,包装の部品及び包装に対する6 %の酸素濃度,25 ℃の環境温度及び800 ℃,850 ℃,

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

900 ℃,1 000 ℃の各基準温度の条件下で計算した熱利得を示す。qnetは材料固有であり,例えば,熱量計

(JIS Z 7302-2)などの,標準的方法によって決定してよい。大半の材料に関するデータは,文献(例,化

学及び物理ハンドブック)から得ることができる。 

表B.1 

エネルギー回収の 
要件を満たす事例 

 
 

 はエネルギー回収不適合 

qnet 

(定積真 

の発熱

量) 

(MJ/kg)e) 

Ha(必要エネルギー) 

(MJ/kg) 

qnet−Ha(熱利得) 

(MJ/kg) 

有効熱
エネル

ギー 

(MJ/kg)f) 

焼却後
の灰又
は残さ 

(質量%)g)

各基準温度(Ta ℃)に 

対するHa 

各基準温度(Ta ℃)に 

対するqnet−Ha 

800 

850 

900 

1 000 

800 

850 

900 

1 000 

セルロース 

16.1 

7.4 

7.9 

8.4 

9.3 

8.7 

8.2 

7.7 

6.8 

12.1 

<0.1 

リグニン 

26.0 

11.3 

12 

12.7 

14.2 

14.7 

14.0 

13.3 

11.8 

19.5 

<0.1 

スターチ 

16.1 

7.4 

7.9 

8.4 

9.3 

8.7 

8.2 

7.7 

6.8 

12.0 

<0.1 

不活性物質(セラミック,
ガラス,その他) 

0.0 

0.9 

1.0 

1.1 

1.2 −0.9 −1.0 −1.1 −1.2 

− 

100.0 

炭酸カルシウムa) 

−2.0 

0.9 

1.0 

1.1 

1.2 −2.9 −3.0 −3.1 −3.2 

− 

56.0 

水(蒸気として) 

−2.0 

1.9 

2.0 

2.1 

2.4 −3.9 −4.0 −4.1 −4.4 

− 

0.0 

  

木材 

木材,ドライ 

20.0 

9.1 

9.7 

10.3 

11.5 

10.9 

10.3 

9.7 

8.5 

15.0 

0.4 

木材,20 %湿気 

15.6 

7.5 

8.0 

8.5 

9.5 

8.1 

7.6 

7.1 

6.1 

11.7 

0.3 

木材,30 %湿気 

13.3 

6.9 

7.3 

7.7 

8.6 

6.4 

6.0 

5.6 

4.7 

10.0 

0.3 

木材,50 %湿気 

8.8 

5.4 

5.7 

6.0 

6.7 

3.4 

3.1 

2.8 

2.1 

6.6 

0.2 

  

紙・板紙 

板紙(66 %セルロース,23 %
リグニン,11 %不活性コー
ト),ドライ 

16.6 

7.6 

8.1 

8.6 

9.6 

9.0 

8.5 

8.0 

7.0 

12.5 

11.0 

板紙(66 %セルロース,23 %
リグニン,11 %不活性コー
ト),7 %湿気 

15.3 

7.1 

7.6 

8.1 

9.0 

8.2 

7.7 

7.2 

6.3 

11.5 

10.0 

板紙(85 %セルロース,15 %
不活性フィラー),ドライ 

13.7 

6.4 

6.8 

7.2 

8.0 

7.3 

6.9 

6.5 

5.7 

10.3 

15.0 

板紙(85 %セルロース,15 %
炭酸フィラー,ドライ),7 %
湿気 

12.6 

6.1 

6.5 

6.9 

7.7 

6.5 

6.1 

5.7 

4.9 

9.5 

14.0 

包装紙(80 %セルロース,
20 %不活性フィラー),ドラ
イ 

12.9 

6.1 

6.5 

6.9 

7.7 

6.8 

6.4 

6.0 

5.2 

9.7 

20.0 

包装紙(80 %セルロース,
20 %不活性フィラー,ドラ
イ),3 %湿気 

12.4 

6.0 

6.4 

6.8 

7.6 

6.4 

6.0 

5.6 

4.8 

9.4 

19.0 

包装紙(60 %セルロース,
40 %不活性フィラー),ドラ
イ 

9.7 

4.8 

5.1 

5.4 

6.0 

4.9 

4.6 

4.3 

3.7 

7.3 

40.0 

包装紙(60 %セルロース,
40 %不活性フィラー,ドラ
イ),3 %湿気 

9.3 

4.7 

5.0 

5.3 

5.9 

4.6 

4.3 

4.0 

3.4 

7.0 

39.0 

background image

10 

Z 0130-5:2015 (ISO 18605:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表B.1(続き) 

エネルギー回収の 
要件を満たす事例 

 
 

 はエネルギー回収不適合 

qnet 

(定積真 

の発熱

量) 

(MJ/kg)e) 

Ha(必要エネルギー) 

(MJ/kg) 

qnet−Ha(熱利得) 

(MJ/kg) 

有効熱
エネル

ギー 

(MJ/kg)f) 

焼却後
の灰又
は残さ 

(質量%)g)

各基準温度(Ta ℃)に 

対するHa 

各基準温度(Ta ℃)に 

対するqnet−Ha 

800 

850 

900 

1 000 

800 

850 

900 

1 000 

漂白パルプ紙(100 %セルロ
ース),7 %湿気 

14.8 

6.9 

7.4 

7.8 

8.7 

7.9 

7.4 

7.0 

6.1 

11.1 

<0.1 

塗工クラフト紙(80 %セル
ロース,20 %炭酸カルシウ
ム),6 %湿気 

11.6 

5.9 

6.2 

6.6 

7.4 

5.7 

5.4 

5.0 

4.2 

8.7 

19.0 

  

ポリマー 

ポリエチレン,PE 

43.0 

19.7 

21.0 

22.3 

24.8 

23.3 

22.0 

20.7 

18.2 

32.2 

<0.1 

ポリプロピレン,PP 

44.0 

19.2 

20.4 

21.6 

24.1 

24.8 

23.6 

22.4 

19.9 

33.0 

<0.1 

ポリスチレン,PS 

40.0 

17.1 

18.2 

19.3 

21.5 

22.9 

21.8 

20.7 

18.5 

30.0 

<0.1 

ポリ塩化ビニル,PVC 

17.0 

7.5 

8.0 

8.5 

9.5 

9.5 

9.0 

8.5 

7.5 

12.8 

<0.1 

ポリエチレンテレフタレー
ト,PET 

22.0 

9.4 

10.0 

10.6 

11.8 

12.6 

12.0 

11.4 

10.2 

16.5 

<0.1 

ポリカーボネート 

29.0 

13.2 

14.0 

14.8 

16.5 

15.8 

15.0 

14.2 

12.5 

22.0 

<0.1 

  

金属 

アルミニウム(可燃性)b) 

31.0 

6.0 

6.4 

6.8 

7.6 

25.0 

24.6 

24.2 

23.4 

23.3 

189.0 

アルミニウム(不燃)c) 

0.0 

0.9 

1.0 

1.1 

1.2 −0.9 −1.0 −1.1 −1.2 

− 

100.0 

スチール(不燃) 

0.0 

0.4 

0.4 

0.4 

0.5 −0.4 −0.4 −0.4 −0.5 

− 

100.0 

  

プラスチック 

50 %炭酸フィラー含有ポリ
プロピレン 

21.1 

10.1 

10.7 

11.3 

12.6 

11.0 

10.4 

9.8 

8.5 

15.8 

28.0 

70 %炭酸フィラー含有PP
ポリプロピレン 

12.0 

6.4 

6.8 

7.2 

8.0 

5.6 

5.2 

4.8 

4.0 

9.0 

39.0 

2 %TiO2含有ポリスチレン 

39.2 

16.8 

17.9 

19.0 

21.2 

22.4 

21.3 

20.2 

18.0 

29.4 

2.0 

  

積層材 

板紙(66 %セルロース,23 %
リグニン,11 %不活性コー
トドライ)7 %湿気,
20 %PE,5 %Al 

21.6 

9.6 

10.2 

10.8 

12.1 

12.0 

11.4 

10.8 

9.5 

16.2 

17.0 

71 %PE,12 %Al,17 %PET 

38.0 

16.3 

17.3 

18.3 

20.4 

21.7 

20.6 

19.7 

17.6 

28.5 

23.0 

49 %PE,22 %Al,29 %PET 

34.2 

13.7 

14.6 

15.5 

17.3 

20.5 

19.7 

18.7 

16.9 

25.7 

42.0 

23 %PE,46 %Al,31 %PET 

31.0 

10.2 

10.9 

11.6 

12.9 

20.8 

20.1 

19.4 

18.1 

23.3 

87.0 

0.7 %Al蒸着層をもつPPフ
ィルム 

43.9 

19.1 

20.3 

21.5 

24.0 

24.8 

23.6 

22.4 

19.9 

32.9 

1.0 

0.7 %SiOx層をもつPETフ
ィルム 

21.9 

9.3 

9.9 

10.5 

11.7 

12.6 

11.9 

11.4 

10.2 

16.4 

1.0 

58.1 %Al,41.9 %PVC 

25.0 

6.6 

7.0 

7.4 

8.3 

18.4 

18.0 

17.6 

16.7 

19.0 

110.0 

background image

11 

Z 0130-5:2015 (ISO 18605:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表B.1(続き) 

エネルギー回収の 
要件を満たす事例 

 
 

 はエネルギー回収不適合 

qnet 

(定積真 

の発熱

量) 

(MJ/kg)e) 

Ha(必要エネルギー) 

(MJ/kg) 

qnet−Ha(熱利得) 

(MJ/kg) 

有効熱
エネル

ギー 

(MJ/kg)f) 

焼却後
の灰又
は残さ 

(質量%)g)

各基準温度(Ta ℃)に 

対するHa 

各基準温度(Ta ℃)に 

対するqnet−Ha 

800 

850 

900 

1 000 

800 

850 

900 

1 000 

包装 

木質パレット,2 %くぎ,
16 %湿気 

16.1 

7.9 

8.4 

8.9 

9.9 

8.2 

7.7 

7.2 

6.2 

11.9 

2.0 

木質パレット,4 %くぎ,
16 %湿気 

15.1 

7.6 

8.1 

8.6 

9.6 

8.2 

7.7 

7.2 

6.2 

11.9 

4.0 

木箱,5 %くぎ,16 %湿気 

15.6 

7.5 

8.0 

8.5 

9.5 

8.1 

7.6 

7.1 

6.1 

11.7 

5.0 

スパイス缶(81.8 %steel,
18.2 %PP)d) 

8.0 

3.8 

4.0 

4.2 

4.7 

4.2 

4.0 

3.8 

3.3 

6.0 

82.0 

スチールエアロゾル容器
(85.2 %steel,14.8 %PP)d) 

6.5 

3.2 

3.4 

3.6 

4.0 

3.3 

3.1 

2.9 

2.5 

4.9 

85.0 

シロップ缶(89.5 %steel,
10.5 %PP)d) 

4.6 

2.3 

2.5 

2.7 

3.0 

2.3 

2.1 

1.9 

1.6 

3.5 

89.0 

注a) 燃焼工程において,炭酸カルシウムは,吸熱的に酸化カルシウム及び二酸化炭素を生成する。 

b) 50 μm以下の薄いアルミニウムは,箇条5の注記4に従い,可燃性と計算する。 

c) 50 μmを超えるアルミニウムは,不燃性とする(箇条5の注記4)。 

d) エネルギー回収に対する要求事項を満たさない包装。ただし,有機質の部品は熱エネルギーを供給する(箇条5,

注記3)。 

e) 網掛けのないqnetは,成分及び構成材が箇条5の要求事項を満たしていることを示している。 

f) この表は,25 %の熱損失がある廃棄物のエネルギー回収プラントでの条件に対するものであり,有効熱エネル

ギーは0.75×qnetである。 

g) JIS Z 7302-4による。 

background image

12 

Z 0130-5:2015 (ISO 18605:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

基準温度Ta=800 ℃ 

基準温度Ta=850 ℃ 

定積真の発熱量,qnet(MJ/kg) 

定積真の発熱量,qnet(MJ/kg) 

 回帰直線は最小二乗方法によって計算し,熱利得=0に外挿する。そのときのqnetが,qnet,min,theorである。 

注記 回帰直線の上方に位置する三つの白抜きの点は,40 %(質量)を超えるアルミニウムを含んでいる例を表す。

熱力学的に,アルミニウムの性質は有機材料と異なる。したがって,これらのデータは計算から除外される。 

図B.1−表B.1の包装の成分,包装の部品又は包装に対する様々な焼却条件でのqnetと熱利得との関係 

熱利得=0における 

qnet,min,theor=2.1±0.7 MJ/kg 

基準温度Ta=900 ℃ 

要求事項:qnet,min,real≧4.6 MJ/kg 

M

J/

k

g

定積真の発熱量,qnet(MJ/kg)

●焼成条件:環境温度25 ℃ 
 基準温度900 ℃ 酸素濃度 6 % 
−回帰式:y=0.953+0.534x 
…95 %信頼区間 
○アルミニウム含有量40 %超 

M

J/

k

g

要求事項:qnet,min,real≧5.0 MJ/kg 

要求事項:qnet,min,real≧5.6 MJ/kg 

要求事項:qnet,min,real≧6.8 MJ/kg 

定積真の発熱量,qnet(MJ/kg)

基準温度Ta=1 000 ℃ 

M

J/

k

g

M

J/

k

g

熱利得=0における 

qnet,min,theor=2.6±0.8 MJ/kg 

●焼成条件:環境温度25 ℃ 
 基準温度1 000 ℃ 酸素濃度 6 % 
−回帰式:y=1.048+0.480x 
…95 %信頼区間 
○アルミニウム含有量40 %超 

熱利得=0における 

qnet,min,theor=1.7±0.6 MJ/kg 

●焼成条件:環境温度25 ℃ 
 基準温度800 ℃ 酸素濃度 6 % 
−回帰式:y=0.875+0.587x 
…95 %信頼区間 
○アルミニウム含有量40 %超 

熱利得=0における 

qnet,min,theor=1.9±0.6 MJ/kg 

●焼成条件:環境温度25 ℃ 
 基準温度850 ℃ 酸素濃度 6 % 
−回帰式:y=0.906+0.560x 
…95 %信頼区間 
○アルミニウム含有量40 %超 

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13 

Z 0130-5:2015 (ISO 18605:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表B.2−エネルギー回収が可能となるための実際の最少真の発熱量(各基準温度で算出) 

(環境温度25 ℃,酸素濃度6 %) 

発熱量の項目 

基準温度(Ta ℃) 

800 

850 

900 

1 000 

理論的最少真の発熱量 

qnet,min,theor 

(MJ/kg)

1.7 

1.9 

2.1 

2.6 

信頼区間 

(MJ/kg)

±0.6 

±0.6 

±0.7 

±0.8 

実際の最少真の発熱量a) 

qnet,min,real 

(MJ/kg)

4.6 

5.0 

5.6 

6.8 

注a) qnet,min,real=[qnet,min,theor+(+側の信頼区間)]×2 

14 

Z 0130-5:2015 (ISO 18605:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(参考) 

エネルギー回収プロセスに不適な包装 

包装それ自体は,エネルギー回収前の収集又は選別において有害なものではない。しかしながら,以前

に有害な物質,すなわち,JIS Z 0130-1又はJIS Z 0130-2の環境に有害な物質に関わる要求事項に該当す

る物質を包装していた可能性のある使用済み包装は,取扱いにおいて適切な予防策を取ることが必須であ

る。 

4種の重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)の含有量に関する要求事項は,JIS Z 0130-2に規

定されている。包装材料中のこれらの濃度を標準方法によって求めることができ,材料の組成からどのよ

うな特定の包装に対しても計算することができ,これはJIS Z 0130-2の附属書C(環境に有害な物質又は

混合物の評価及び最少化)に記載されている。エネルギー回収のプラントはこれらの重金属に関わる環境

影響を最小限にするように設計されている。 

使用された包装中に存在するいかなる有害化学物質も燃焼工程の高温度で分解される。放出規制は各国

の法律で定められている。 

硫黄,窒素,ハロゲンのように燃焼によって酸を生成する物質は,技術的,環境的課題を包含している。

包装に必要な機能を果たすため,焼却処理可能な包装に,これら元素を多少含むことは差し支えない。環

境に有害な物質の最少化の方法は,JIS Z 0130-2の附属書Cにある。特別な工程管理が要求されるが,包

装は焼却工程で熱利得を供給する。地方自治体の固形廃棄物焼却炉は,各国の廃棄物の焼却に関する法律

の技術的及び環境的な要求事項を満たすよう,工程で生成した酸を処理できる装備をしている。 

焼却残さであるスラグ及び灰は規制の対象であり,マテリアルリサイクルのような他の回収プロセスで

更に処理することもできる(例 金属)。 

通常包装に使われる不活性材料は,エネルギー回収の障害とならないが,焼却プロセスの効率に影響を

及ぼすことが多い。 

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15 

Z 0130-5:2015 (ISO 18605:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書D 
(参考) 

この規格の要求事項に適合していることを示す書式の例 

書類No 

日付 

包装の名称 

焼却条件(Ta)a) 

qnet,min,realb) 

注a) 表B.2参照 

b) 表B.2参照。この値を使い,D.1(評価方法)の評価D.1.Cを決定する。 

D.1 評価方法 

D.1.A 

有機物含有量 

≧50 %(質量%) 

YES 

エネルギー回収に適合 

D.3 a)に進む 

NO 

D.1.Bに進む 

D.1.B 

無機物含有量 

>50 %(質量%) 

D.2によって計算 

YES 

成分であれば 

D.2に進む 

YES 

部品であれば 

エネルギー回収に不適合 

D.3 b)に進む 

D.1.C 

qnet≧qnet,min,real 

YES 

エネルギー回収に適合 

D.3 a)に進む 

NO 

本規格の要求事項を満たさない 

D.3 b)に進む 

図D.1−評価の流れ 

No 

成分 

Yes 

スタート 

有機物含有量 

≧50 %(質量%) 

D.1.A 

qnet≧qnet,min,real 

D.1.C 

適合 

D.3 a)→D.4 

不適合 

D.3 b) 

 無機物>50 % 

包装の部品か成分か 

D.1.B 

適合 

D.3a)→D.4 

不適合 

D.3 b) 

Yes 

部品 

No 

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16 

Z 0130-5:2015 (ISO 18605:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

D.2 容器包装の内容,質量%及びqnetの計算 

材料 

構成 

(質量) 

qnet 

(MJ/kg) 

加重qneta) 

(MJ/kg) 

注記 

部品 

成分 

合計 

D.1.Cに戻る 

注a) 加重qnetは,qnetにその質量分率を乗じて求める。 

D.3 適合性の評価 

a) この容器包装はエネルギー回収の要求事項に適合している 

D.4に進む 

b) この容器包装はJIS Z 0130-5の要求事項に適合していない 

D.4 適合性への宣言 

上記の評価結果に鑑み,この包装は,JIS Z 0130-5の要求事項に適合していることを宣言する。 
供給者の詳細 
− 住所: 
− 会社又は団体名: 
− 署名責任者役職: 
− 署名責任者氏名: 
 日付 

署名 

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17 

Z 0130-5:2015 (ISO 18605:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書E 

(参考) 

この規格の要求事項に適合していることを示す書式の事例 

書類No 

日付 

包装の名称 

カップ容器の蓋:PET12 μm/Al30 μm/PE40 μm 

焼却条件(Ta)a) 

25 ℃〜800 ℃ 

qnet,min,realb) 

4.6 MJ/kg 

注a) 表B.2参照。 

b) 表B.2参照。この値を使い,E.1(評価方法)の評価E.1.Cを決定する。 

E.1 

評価方法 

E.1.A 

有機物含有量 

≧50 %(質量%) 

YES 

エネルギー回収に適合 

E.3 a)に進む 

NO 

E.1.Bに進む 

E.1.B 

無機物含有量 

>50 %(質量%) 

E.2によって計算 

YES 

成分であれば 

E.2に進む 

YES 

部品であれば 

エネルギー回収に不適合 

E.3 b)に進む 

E.1.C 

qnet≧qnet,min,real 

YES 

エネルギー回収に適合 

E.3 a)に進む 

NO 

本規格の要求事項を満たさない 

E.3 b)に進む 

E.2 

容器包装の内容,質量%及びqnetの計算 

材料 

構成 

(質量) 

qnet 

(MJ/kg) 

加重qneta) 

(MJ/kg) 

備考 

部品 

成分 

アルミはく 

○ 

60.5 

31.0 

18.8 

PET 

○ 

12.5 

22.0 

2.8 

PE 

○ 

27.0 

43.0 

11.6 

合計 

100 

33.2 

E.1.Cに戻る 

注a) 加重qnetは,qnetにその質量分率を乗じて求める。 

E.3 

適合性の評価 

a) この容器包装はエネルギー回収の要求事項に適合している 

E.4に進む 

b) この容器包装はJIS Z 0130-5に適合していない 

background image

18 

Z 0130-5:2015 (ISO 18605:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

E.4 

適合性への宣言 

上記の評価結果に鑑み,この包装はJIS Z 0130-5の要求事項に適合していることを宣言する。 
供給者の詳細 
− 住所: 
− 会社又は団体名: 
− 署名責任者役職: 
− 署名責任者氏名: 
 日付 

署名 

参考文献 

[1] ダイオキシン類対策特別措置法 (平成十一年七月十六日法律第百五号) 

[2] 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則 

[3] JIS Z 7302-2,廃棄物固形化燃料−第2部:発熱量試験方法 

[4] JIS Z 7302-4,廃棄物固形化燃料−第4部:灰分試験方法 

[5] JIS Z 0130-2,包装の環境配慮−第2部:包装システムの最適化 

注記 対応国際規格:ISO 18602,Packaging and the environment−Optimization of the packaging 

system(IDT) 

[6] ISO 1171,Solid mineral fuels−Determination of ash 

[7] ISO 15270:2008,Plastics−Guidelines for the recovery and recycling of plastics waste 

[8] ISO 1928,Solid mineral fuels−Determination of gross calorific value by the bomb calorimetric method and 

calculation of net calorific value 

[9] Directive 2000/76/EC of the European parliament and of the council of 4 December 2000 on the incineration 

of waste 

[10] Report CCME-TS/WM-TRE003, Operating and emission guidelines for municipal solid waste incinerators 

[11] Handbook on Chemistry and Physics, 82th Edition, CRC Press, Cleveland, Ohio, 2001