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Z 0130-2:2015 (ISO 18602:2013) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 3 

2 引用規格························································································································· 3 

3 用語及び定義 ··················································································································· 3 

4 要求事項························································································································· 5 

4.1 運用基準 ······················································································································ 5 

4.2 包装の評価 ··················································································································· 5 

4.3 この規格に適合していることの証明··················································································· 5 

5 包装の最適化に関して達成可能なレベルを決定するときに評価する重要領域 ······························· 6 

附属書A(参考)包装の最適化に関して達成可能なレベルを決定するための指針 ······························ 7 

附属書B(参考)チェックリストを用いたこの規格への適用例 ····················································· 11 

附属書C(参考)環境に有害な物質又は混合物の評価及び最少化·················································· 16 

Z 0130-2:2015 (ISO 18602:2013) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,公益社団法人日本包装技術協会(JPI)及び

一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があ

り,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS Z 0130の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS Z 0130-1 第1部:一般的要求事項 

JIS Z 0130-2 第2部:包装システムの最適化 

JIS Z 0130-3 第3部:リユース 

JIS Z 0130-4 第4部:マテリアルリサイクル(予定) 

JIS Z 0130-5 第5部:エネルギー回収(予定) 

JIS Z 0130-6 第6部:有機的リサイクル(予定) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

Z 0130-2:2015 

(ISO 18602:2013) 

包装の環境配慮−第2部:包装システムの最適化 

Packaging and the environment- 

Part 2: Optimization of the packaging system 

序文 

この規格は,2013年に第1版として発行されたISO 18602を基に,技術的内容及び構成を変更すること

なく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

包装は,ほとんど全ての工業,全ての産業分野及び全てのサプライチェーンにおいて大変重要な役割を

担っている。適正な包装は,製品の損失を防止するために欠くことができないものであり,結果として,

環境への負荷を減少させる。効果的な包装は,次のような事項によって,持続可能な社会の達成に貢献を

なす。 

a) 内容物保護,安全性,取扱い性及び情報表示性に関する消費者ニーズへの適合 

b) 資源の効率的使用及び環境負荷最小化 

c) 流通段階でのコスト抑制 

包装の環境評価には,その回収又は廃棄処理システムと同様に,製造及び流通システム,包装材料及び

製品の損失,並びに関係する収集システムが含まれると考えられる。JIS Z 0130-1〜JIS Z 0130-3,ISO 18604,

ISO 18605及びISO 18606は,次の事項を目指すための一連の手法を提供する。 

d) 環境負荷を低減する。 

e) 製品,包装及びサプライチェーンにおける革新を支援する。 

f) 

包装の使用に対する過度の規制を排除する。 

g) 通商に対する障壁及び規制を予防する。 

包装は,製品の収納,保護,情報,便利さ,ユニット化,荷扱い,配送,陳列など多くの機能を使用者

及び製造業者に提供するように設計されている。包装の主要な役割は,製品の損傷及び損失を予防するこ

とである(包装の機能のリストについては,JIS Z 0130-1の附属書Aを参照)。 

JIS Z 0130-1は,そのライフサイクル全体を通しての包装の環境負荷を網羅するJIS Z 0130-2,JIS Z 

0130-3,ISO 18604,ISO 18605及びISO 18606の相互の関係を規定する(図1参照)。これらの規格は,

特定の包装が最適化できたかどうか,また,使用後にリユース又は回収できることを確実にするために包

装を修正する必要があるかどうかを明確にするための手助けになると期待される。 

これらの規格の要求事項に適合していることの証明は,第一者(製造業者又は供給者)若しくは第二者

(使用者又は購入者)によって,又は第三者(独立機関)の支援によって行うことができる。 

包装の環境属性に関しては,あるときはリユース又は回収の技術的側面,そうでない場合はリユース若

しくは回収システムを利用する人口又は回収市場に提供される包装の量に関係し,これら側面からのアプ

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Z 0130-2:2015 (ISO 18602:2013) 

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ローチが必要である。 

JIS Z 0130-1〜JIS Z 0130-3,ISO 18604,ISO 18605及びISO 18606の一連の規格は,包装の技術的側面

に関する規定であり,JIS Q 14021の宣言又は表示に関する要求事項に関係するものではない。 

図1−JIS Z 0130-1〜JIS Z 0130-3,ISO 18604,ISO 18605及びISO 18606の関係 

図2−包装の最適化 

JIS Z 0130-1 

包装の環境配慮−第1部:一般的要求事項 

JIS Z 0130-2 

包装の環境配慮−第2部:包装システムの最適化 

附属書C 

環境に有害な物質又は混合物の評価及び最少化 

ISO 18604 

包装の環境配慮− 

マテリアルリサイクル 

ISO 18605 

包装の環境配慮− 

エネルギー回収 

ISO 18606 

包装の環境配慮− 

有機的リサイクル 

YES 

判断 

JIS Z 0130-3 

包装の環境配慮− 

第3部:リユース 

NO 

包装の寿命後 

Z 0130-2:2015 (ISO 18602:2013) 

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図2に示したグラフは,行き過ぎた包装削減が進むにつれて起こる,製品ロスが環境に与える負荷は,

過剰包装度合いが進むにつれて起こる環境負荷の増加よりも更に大きいことを示している。 

この規格は,要求事項への適合判断を,自己評価する枠組みを提供している。 

適用範囲 

この規格は,包装の機能を維持しながら材料の質量又は容積を最適化したことを保証するための,要求

事項及び手順について規定する。これは包装の環境に対する負荷を低減させるために幾つかある手段の一

つである。 

さらに,この規格は次の記載に関する運用基準及び手順も規定する。 

a) 環境に有害な物質又は混合物の量の評価方法及び最少化。 

b) 包装に含まれる4種の重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)の量の判定方法。 

環境中に放出される可能性があるこれらの物質についての評価も含まれている。その手順を附属書Cに

示す。 

材料の選定を含む包装設計のプロセスは,この規格には含まれていない。この規格の目的は選定された

包装材料が効率的に使用されていることを保証し,提示することを支援することにある。 

この規格を適用する一般的な手順は,JIS Z 0130-1に規定されている。 

注記1 この規格の目的のため,包装材料を他の材料に代替することは,包装の最適化とはならない。 

注記2 この規格の主目的は,製品の機能を維持しつつ包装の質量又は容積を削減することにある。

しかしながら,包装の最適化には製品のロスを低減するため,包装の質量又は容積が増加す

ることも包装の最適化に含まれる。 

注記3 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 18602:2013,Packaging and the environment−Optimization of the packaging system(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS Z 0108 包装−用語 

注記 対応国際規格:ISO 21067,Packaging−Vocabulary(MOD) 

JIS Z 0130-1 包装の環境配慮−第1部:一般的要求事項 

注記 対応国際規格:ISO 18601,Packaging and the environment−General requirements for the use of 

ISO standards in the field of packaging and the environment(IDT) 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 0108及びJIS Z 0130-1によるほか,次による。 

3.1 

包装の最適化(packaging optimization) 

性能にも,使用者及び/又は消費者の受容性にも変化がないか,又はそれが適切に保たれ,一次,二次

及び/又は輸送包装に必要な要求事項を満たしつつ,最小の質量及び/又は容積を達成することで,結果

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として環境負荷を減少させる包装のプロセス。 

3.2 

重要領域[critical area(s)] 

機能,性能,安全性及び使用者及び/又は消費者の受容性を損なうことなく,質量又は容積の更なる削

減を実現しようとしたときに,それを阻害する領域。 

3.3 

供給者(supplier) 

包装又は包装された製品を市場に投入する責任主体。 

注記1 一般的に使われる“供給者”という用語は,サプライチェーンの各種の段階で関係し得る。

この規格の目的では,それは包装又は包装された製品が取引されるサプライチェーンの全て

の場面での関係者を指す。 

注記2 一般に使われる“使用者(user)”はサプライチェーンの各種の段階で包装又は中味入り包装

を使う主体(個人,会社,団体その他の組織)を,“最終使用者(end user)”はサプライチェ

ーンの各種段階で最後に包装又は中味入り包装を使う主体を指す。 

3.4 

包装の部品(packaging component) 

手又は簡単な物理的手段によって切り離すことができる包装の一部。 

3.5 

包装の成分(packaging constituent) 

手又は簡単な物理的手段によって切り離すことができない,包装又はその部品の一部。 

3.6 

包装システム(packaging system) 

包装される製品に合わせて選定された,一次包装,二次包装,輸送及び/又は配送(三次)包装の一つ

以上によって構成された包装の一式。 

3.7 

物質(substances) 

自然な状態で,又は工業的な製造プロセスで得られる元素及びその化合物。製品の安定性を維持するた

めに必要な添加物,使用した製造プロセスから派生する不純物を含む。 

3.8 

混合物(mixture) 

二つ以上の物質からなる調製品又は溶液。 

3.9 

安全データシート(safety data sheet) 

物質又は混合物に関する広範な安全情報を与えるための文書。 

注記 JIS Z 7253では,文書は物質又は混合物の使用者に対して提供すること,及び必要な情報を含

んでいることがよいとして要求している。 

3.10 

使用済み包装(used packaging) 

最終消費者,又は製品の原材料などの包装においてはサプライチェーンにおける最終使用者によって使

用され,リユース又は回収される包装。 

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3.11 

包装廃棄物(packaging waste) 

最終消費者又は製品の原材料などの包装においてはサプライチェーンにおける最終使用者によって使用

され,最終的な処分のために廃棄される包装であって,リユース又は回収を意図しないもの。 

3.12 

環境に有害な物質(substances hazardous to the environment) 

UN Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals (GHS) 第4部において,環境有

害影響を有すると分類された物質であって,環境有害絵表示の表示基準に該当する物質。 

注記1 これは環境に対して有害な物質の一般的な分類であり,包装に使用される物質に特別に関係

があるということではない。 

注記2 上記に該当するGHSについては,JIS Z 7252及びJIS Z 7253がある。 

要求事項 

4.1 

運用基準 

個々の包装に対するこの規格の適用は,JIS Z 0130-1に規定する。 

4.2 

包装の評価 

4.2.1 

重要領域の判定 

供給者は,箇条5に記載した関連する基準の完全なリストを評価し,包装の最適化に関して達成可能な

限界に影響を及ぼす重要領域を定めなければならない。その指針を附属書Aに示す。 

最小化に関するこの規格の要求事項への適合性を判断するには,少なくとも一つの重要領域を特定しな

ければならない。 

注記 これらの重要領域の幾つかは相互に依存するため,一つ以上の領域が包装の最小適正量を決定

するための重要領域となる場合がある。 

4.2.2 

環境に有害な物質又は混合物の存在の判定 

供給者は,(附属書Cを基として)包装が焼却又は埋立てされた場合に,排出物,焼却灰又は浸出物中

に存在するかもしれない環境に有害な物質又は混合物が存在するかどうかを判定し,存在する場合はその

濃度を求めなければならない。例えば,包材製造業者は3.9で定義した安全データシートを,物質又は混

合物の供給業者に求めることが望ましい。 

JIS Z 7253に規定するSDS(安全データシート)における“組成及び成分情報”は,附属書Cに概要を

示した環境に有害な物質若しくは混合物の濃度又は濃度範囲を表示していることが望ましい。 

注記 包装製造業者は,包装の仕様及び製造プロセスに関連した情報を基にして,包装中の環境に有

害な物質又は混合物の量を計算し,存在量を求めることができる。 

4.2.3 

4種の重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)の判定 

供給者は,(附属書Cを参照して)包装の部品に4種の重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)

のいずれかが存在するかどうかを,測定,計算又は上流からの情報とデータとによって求めなければなら

ない。 

注記 包装製造業者は,包装の仕様及び製造プロセスに関連した情報を基に,包装中の4種の重金属

(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)の存在量を計算して,求めることができる。 

4.3 

この規格に適合していることの証明 

供給者は,次の手順に従い,この規格への適合を証明する。 

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− 要望に応えて,4.2.1〜4.2.3の要求事項に適合しているとの声明を準備する。 

− 関係する性能基準のリストを作成するのに用いた,関連するデータその他の情報を記録する。特に,

重要事項の性質及び影響について明確にする。 

− 箇条5に挙げている全ての重要領域を網羅していることを確認するチェックリスト(附属書B参照)

又は独自の文書を用いる。 

− 包装の部品について,環境に有害である物質又は混合物の存在の可能性,及び廃棄物処理における

排出物,焼却灰又は浸出物中に存在する可能性がある物質又は混合物の特定結果を,関連する安全

データシート及びそれ以降のプロセス情報を用いて記録する。 

− 環境に有害である物質又は混合物の存在が特定された場合,この規格の附属書Cで提示されている

手順を参照して,箇条5に掲げる重要領域に照らして最少化の検証結果を,関連するデータ及びそ

れ以降のプロセス情報を用いて記録する。 

− 包装の部品に含まれる4種の重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)の総量は,包装を使

用しようとしている国又は地域の規制での要求に従って評価されたことを確認する。附属書Cはこ

の手順を参考情報として提示している。 

− 附属書Cの手順に従い結果を記録する。 

包装の最適化に関して達成可能なレベルを決定するときに評価する重要領域 

包装の最適化に関して達成可能なレベルを決定するときに評価する重要領域は,次のとおりである。 

− 製品の保護 

− 包装の製造プロセス 

− 包装プロセス及び充塡プロセス 

− 物流(輸送,保管及び荷役を含む。) 

− 製品の陳列及びマーケティング 

− 使用者及び/又は消費者の受容性 

− 情報 

− 安全性 

− 法規制 

− その他の事項 

注記1 法規制と安全性とは相互依存する重要領域の例で,一緒に検討しなければならない。 

注記2 重要領域の説明は,A.3を参照。 

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附属書A 

(参考) 

包装の最適化に関して達成可能なレベルを決定するための指針 

A.1 概要 

この規格を使用する個人,会社,団体その他の組織に対する指針として,この附属書Aではより詳細な

情報を提示する。この附属書は既存の包装の評価,又は新しい包装の仕様に関して供給者と使用者が合意

するための一般的な協議の目的に使用できる。 

A.2は,方法論に関するものであり,評価プロセスの各段階について説明している。 

A.3は,箇条5に示す10個の重要領域を概説し,特定の包装に関係する可能性が高い重要な要求事項の

例を幾つか示している。 

A.4は,評価プロセスと記録を補助するチェックリストのレイアウトの例を示している。 

このプロセスは特定の包装及びその包装廃棄物について,製品の損傷又はロスを増やすことなく,重要

領域に関して最小かつ適切な質量又は容積を達成することを目的としている。評価チェックリストは,包

装最適化プロセスで重要な所見を記録するためにも使用できる。 

評価チェックリストによって重要領域を定める手順は,設計及び作業への習熟が進むにつれて重要領域

の決定に有用な情報が充実し,継続的に改善されて行くプロセスである。 

附属書Bに,重要領域ごとに具体的分析及び評価事例をあげて説明し,チェックリストの記入例を提示

している。 

A.2 評価の方法 

A.4のように評価プロセスをチェックリストに記入することで文書化する目的は,次に記載する内容を

保証することである。 

− 同一包装材料を用いて行う最適化(箇条1の注記1参照)のための評価において,必要な全ての条

件を特定し,検討することができ, 

− 包装機能に必要な要求事項を満たしながら,包装材料の最小化を達成し, 

− 上記の声明の基礎となる重要な参考資料が記録される。 

包装の詳細な要求事項は用途によって異なる。包装の最適化を検討する包装設計プロセスにおいて,各

要求事項の分析は包装の仕様全体に大きな影響を与える。要求事項はチェックリストで分類できる。評価

の第一段階は,各重要領域において最も重要な要求事項をチェックリストの第2列にリスト化することで

ある。 

特定の用途又はそれに類似した用途群に対する包装の設計段階において,必要なレベルの安全性,衛生

性,使用者及び/又は消費者の受容性を損ねることなく,包装の質量又は容積を更に削減するに当たり,

多くの要求事項の中の一部の要求事項によって実質的な限度が決まることがある。 

評価の第二段階は,包装の質量又は容積の削減を阻害する領域を特定することである。これは“重要領

域”として知られている。この特定は,更なる最適化を実現する可能性をチェックするために行う試験又

は研究によらなければならない。 

市場で得られた実務的経験も,許容限界に関するデータ源として有効である。包装チェーンの他の運用

者によって研究され,試験された後に特定された阻害領域も重要情報として記録する。 

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A.3 重要領域 

A.3.1 一般 

この項では10個の領域の具体的な性能基準について概説する。それぞれについて,全てを網羅したもの

ではないが,典型的な要求事項のリスト例として示す。このリストは,この規格の利用者が重要かつ決定

的な要求事項を特定するための一助となることを意図している。 

注記 これらの重要領域の幾つかは相互依存するため,ある場合,一つ以上の領域が包装の最小かつ

適切な量を決めるために重要として特定される。 

A.3.2 製品の保護 

製品は包装された時点から内容物が最終的に使用されるまで,損傷及び劣化を防ぐために保護されなけ

ればならない。 

要求事項としては,振動,圧縮,温湿度,光,酸素,微生物汚染,害虫,風味の劣化などに対する保護

がある。アクティブ包装及びインテリジェント包装も,製品の保護に役立つ。 

次のような要求事項が,例示される。 

− 高く積み上げなければならない壊れやすい物の場合:垂直圧縮強さ 

− フルーツジュースの場合:紫外線及び酸素バリア性 

A.3.3 包装の製造プロセス 

包装製造業者の製造プロセスによって,設計者が使用できる包装の特性の範囲に影響が出る。 

要求事項としては,容器の形状,厚さの許容範囲,寸法,機械適性,製造における廃棄物を最小限に抑

えるための仕様などがある。 

次のような要求事項が,例示される。 

− びんの場合:肉厚の分布 

− 段ボール箱の場合:段の向き 

A.3.4 包装プロセス及び充塡プロセス 

包装プロセス及び/又は充塡プロセスは,設計者が製品及び包装の廃棄物を最小限にするために取り得

る手段に影響を与える。 

要求事項としては,衝撃及び応力に対する耐性,機械的強度,包装ライン速度及び効率,搬送の安定性,

耐熱性,効率的な密封,最小限のヘッドスペース,衛生性などがある。 

次のような要求事項が例示される。 

− 金属缶の場合:搬送中,充塡中及びレトルト中の安定性 

− 工業用粉体(例えば,顔料)を剛性ドラムに詰め込む場合:粉体が沈降するまでの漏出を防ぐため

の十分なヘッドスペース 

A.3.5 物流(輸送,保管及び荷役を含む) 

包装システム(一次包装,二次包装及び輸送包装の任意の組合せ)は,予想される保管,輸送及び荷役

システムに適したものでなければならず,製品の荷役及び使用において製品の適切な保護と安全性を維持

しなければならない。 

要求事項は,最適な空間活用のための寸法調整,パレタイジング及びデパレタイジングシステム,荷役

及び保管への適合性,輸送及び荷役と包装システムとの整合性などがある。 

次のような要求事項が例示される。 

− 標準パレット又はクレートシステムとの寸法上の適合性 

− 高価な製品(例えば,コンピュータ部品)の場合:包装に限度を超える損傷がないこと 

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A.3.6 製品の陳列及びマーケティング 

包装は,使用者及び/又は消費者に対して製品の識別情報を提供すると同時に,購買意欲を刺激しなけ

ればならない。これらの要求事項は,ブランドイメージ,表示,陳列(展示)などと関係している。 

要求事項としては,製品の個性及びブランドの認織,表示,小売陳列への適合性,盗難防止などがある。 

次のような要求事項が例示される。 

− ブランド性のある化粧品の場合:特定の形状をもつ容器 

− 小さな高額製品を陳列販売する場合:盗難防止 

A.3.7 使用者及び/又は消費者の受容性 

包装は,ユニットサイズ及び利便性のほか,取扱い,開封,再封,保管など人間工学の観点から,使用

者及び/又は消費者のニーズ及び期待を満たさなければならない。 

要求事項としては,ユニットサイズ,マルチパック,取扱いの容易さ(人間工学),改ざん防止,賞味期

限,開封のしやすさ,注ぎやすさ及び中味を空にする性能,魅力的な外観などがある。 

次のような要求事項が例示される。 

− 大型容器の場合:持ち運び容易性 

− 個人向け家庭用品の場合:品質劣化前に消費できるようなポーションパックのサイズ 

− 全ての容器について:開封の容易性 

A.3.8 情報 

包装は,製品の使用方法と使用上の注意に関する必要情報のほか,その他有用な指示を提供できなけれ

ばならない。 

要求事項としては,製品情報,保管する際の注意,使い方,バーコード,賞味期限などである。 

次のような要求事項が例示される。 

− 半調理食の場合:調理に使用する包装とは別に,調理及び配膳に関する詳細指示が包装上で簡単に

読み取れること 

− 危険表示のある製品の場合:ラベルの最小サイズ 

A.3.9 安全性 

包装は,流通システム全体にわたって使用者及び/又は消費者の安全及び製品の安全についての要求事

項を満たさなければならない。 

要求事項としては,安全な荷役のための設計,チャイルドレジスタンス,改ざん防止,警告表示,使用

者及び/又は消費者の安全及び製品の安全に関する指示,内容物の明確な表示,安全な開封器具,圧力解

放機能付きクロージャなどである。 

次のような要求事項が例示される。 

− ベビーフードの場合:汚染の可能性を予防及び/又は認識するための改ざん防止 

− 業務用製品の場合:作業者が安全に持ち上げることができるユニットサイズ 

A.3.10 

法規制 

包装は,法律,規則及び国際貿易協定の規制事項を満たさなければならない。 

包装に対する要求事項は多く,国内又は国際法規,規格によって多くの要求事項が規定されている。こ

うした規制は,食品,医薬品,危険物,化学製品など,多くの重要な包装分野に存在している。同時に,

航空,鉄道,船舶など特定の輸送モードで使用される包装に関しても法的義務が存在している。 

上記のことは,包装は,特定の具体的設計基準を満たし,かつ,表記すべき具体的情報を具備しなけれ

ばならないことを意味する。 

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10 

Z 0130-2:2015 (ISO 18602:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

使用者及び/又は消費者の保護,及び環境に有害な材料の使用の制限を目的とした法律は,包装の設計,

選択及び使用において特に重要である。 

A.3.11 

その他の事項 

重要領域が上記の9個の基準以外に更に個別の品質要求事項にある場合,包装の適切な最小質量及び/

又は容積が達成されていることを特定するためには,“その他の事項”として列挙しなければならない。 

A.4 この規格の要求事項への適合を示すためのチェックリスト例 

包装 
包装システムの最適化評価チェックリスト 

包装: 

基準 

最も重要かつ関係する要求事項 

重要領域か 

Yes/No 

注記 

製品の保護 

包装の製造プロセス 

包装プロセス及び充塡プロセス 

物流(輸送,保管及び荷役を含む) 

製品の陳列及びマーケティング 

使用者及び/又は消費者の受容性 

情報 

安全性 

法規制 

その他の事項 

上記の評価結果に鑑み,この包装はJIS Z 0130-2の要求事項に適合していることを宣言する。 
 
供給者の詳細 
 
住所: 
 
会社又は団体名: 
 
署名責任者役職: 
 
署名責任者氏名: 
 
日付:                  

署名: 

11 

Z 0130-2:2015 (ISO 18602:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

チェックリストを用いたこの規格への適用例 

B.1 

一般 

次の文書は,単にこのチェックリストを記入するプロセスを容易にするためのものである。例B.2は,

一つの重要領域の選定,例B.3は,複数の重要領域の選定を例示している。 

B.2 

フレッシュフルーツジュースの包装例 

B.2.1 一般 

この包装は,改ざん防止のスクリューキャップ付きフレッシュフルーツジュース用1リットルノンリタ

ーナブルガラスびんである。 

B.2.2 製品の保護 

フレッシュフルーツジュースの品質及び香りを保持するため,包装は十分な紫外線,酸素及び水蒸気バ

リア性をもたなければならない。選定した容器及びクロージャは,その物理的性質と着色ガラスの遮光特

性とによって,これらの要求事項を満たす。ガラスびんの質量及び容積には何ら影響を与えないので,重

要領域ではない。 

B.2.3 包装の製造プロセス 

容器壁面の肉厚分布を適正にするため,容器の製造においては最新の技術が採用されており,これは(所

定のびんのサイズ,形状及び要求される機械的安定性において)最小の壁肉厚を達成するための必須条件

である。これは重要領域ではない。 

B.2.4 包装プロセス・充塡プロセス 

高速コンベヤ,充塡及び包装ライン上での損傷を防止するため,所定の機械的安定性が要求される。び

んの安定性は容器の壁肉厚と仕上げ加工に直接関係しているので,これは重要領域である。 

B.2.5 物流 

輸送及び荷役に関しては,ガラスびんには適切な機械的強度が必要である。ただし,流通において一般

に使用されている輸送包装を考慮すると,影響は充塡プロセスで要求される機械的耐性を超えるとは考え

られない。したがって,輸送及び荷役プロセスは重要領域ではない。 

B.2.6 製品の陳列及びマーケティング 

びんを設計する場合,充塡者のマーケティング戦略と小売業者及び製品の陳列に対する要望の両方につ

いて考慮しなければならない。これには二つの潜在的な重要領域があると考えられる。 

− びんの寸法は配送及び棚での陳列に対するモジュールシステムに適合するよう選択した。 

− びんの形はブランド認識をサポートするようなものにした。 

ただし,選択された形は壁肉厚を最小にでき,そのため最小質量とすることができたので,重要領域と

特定しなかった。 

B.2.7 使用者及び/又は消費者の受容性 

スクリューキャップはびんの開封と再封とに役立ち,改ざん防止機能も備えている。改ざん防止の要求

事項は,包装の質量又は容積には僅かな影響しか与えないので,重要領域ではない。 

background image

12 

Z 0130-2:2015 (ISO 18602:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

B.2.8 情報 

包装された製品に関する情報はラベルに印刷されている。びんの表面にはラベルを貼るだけの十分なス

ペースがあるため,情報に関する要件は重要領域には該当しない。 

B.2.9 安全性 

安全のため,びんは改ざん防止のスクリューキャップで密閉されている。上記の“使用者及び/又は消

費者の受容性”で示したように,これは重要領域ではない。 

B.2.10 

法規制 

該当なし。 

B.2.11 

その他の事項 

特になし。 

例 B.2 

包装 
材料削減による包装の最適化評価チェックリスト 

包装: 

1リットル,非リターナブル,ガラスびん 
製品コード:フレッシュフルーツジュース026 
包装コード:BPSC/1L 
チェックリスト番号:100177 

基準 

最も重要かつ関係する要求事項 

重要領域か 

Yes/No 

注記 

製品の保護 

紫外線と酸素のバリア性 

No 

包装の製造プロセス 

肉厚分布の適性 

No 

包装プロセス及び充塡プロセス 

耐衝撃性及び機械適性 

Yes 

安定性試験及び計算 

物流(輸送,保管及び荷役を含む) 

耐衝撃性及び機械適性 

No 

製品の陳列及びマーケティング 

モジュール寸法及び個々の形状 

No 

使用者及び/又は消費者の受容性 

改ざん防止,易開封性及び再封性 

No 

情報 

No 

安全性 

改ざん防止 

No 

法規制 

該当なし 

No 

その他の事項 

特になし 

No 

上記の評価結果に鑑み,この包装はJIS Z 0130-2の要求事項に適合していることを宣言する。 
 
供給者の詳細 
 
住所: 
 
会社又は団体名: 
 
署名責任者役職: 
 
署名責任者氏名: 
 
日付:                  

署名: 

13 

Z 0130-2:2015 (ISO 18602:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

B.3 

コンピュータの包装例 

B.3.1 一般 

コンピュータは四つの包装が用いられ販売されている。 

− 乾燥剤のパックが入れられたプラスチックバッグ。 

− 緩衝材としてモールドが入れられた段ボール箱。 

B.3.2 製品の保護 

コンピュータには二つの特別な保護の領域が要求される。 

− 湿度に対する保護:包装の質量及び容積に対する影響は無視できるプラスチックバッグと乾燥剤パッ

クとで容易に達成できる。これは明らかに重要領域ではない。 

− 機械的保護:物流(B.3.5参照)の要求事項は,コンピュータの保護を十分に包含することが試験で示

されている。これは明らかに重要領域ではない。 

B.3.3 包装の製造プロセス 

全てのタイプの段ボール箱及び緩衝材は,期待される要求事項を満たすように製造することができる。

箱及び緩衝材を製造するという観点からは何の制約もない。これは明らかに重要領域ではない。 

B.3.4 包装プロセス及び充塡プロセス 

緩衝材は,損傷を軽減し,組立時の取扱い性をよくするため,生産プロセスを通して“持ち運び”トレ

イとして使用される。緩衝材は,質量又は容積を増やすことなく,二つの要求事項(緩衝及び持ち運び用

トレイ)を満たすように製造することができた。これは,重要領域ではない。 

B.3.5 物流 

包装システム(段ボール箱+緩衝材)は,通常の輸送及び取扱い条件を満たすことが要求される。機械

的耐性を試験するため,坪量の異なる段ボール箱で落下試験を行った。許容範囲の最小の段ボール箱は700 

g/m2のシート坪量のものであるという結論を得た。物流はこの包装の重要領域である。 

B.3.6 製品の陳列及びマーケティング 

このような高価な品物では,損傷がないことが宅配便では特に重要である。物流(B.3.5)に対する要求

事項がより高く設定されているので,これは重要領域ではない。 

B.3.7 使用者及び/又は消費者の受容性 

しばしばハードウェアは,消費者が選択して初めから組み込まれたソフトウェアが同こん(梱)される。

したがって,包装にはソフトウェアの関連書類及びディスクを同こん(梱)するための適切な空間が必要

である。これは容積に関して重要領域である。 

B.3.8 情報 

コンピュータについては,大きな包装表面は全ての識別表示及びマークを問題なく表記できる。情報に

関する要求事項は,重要領域には該当しない。 

B.3.9 安全性 

包装は,内容物が激しい損傷を受けたときに,それを完全に封じ込め,荷役者に危険を及ぼさない。安

全性に関する要求事項は,重要領域ではない。 

B.3.10 

法規制 

特別な必要性が確認されなかったため,該当なし。 

B.3.11 その他の事項 

この高価な品物に対し,4 ppm未満の損傷率が目標である。これはB.3.5の要求事項として示されている。

重要領域ではない。 

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14 

Z 0130-2:2015 (ISO 18602:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

例 B.3 

包装 
包装システムの最適化評価チェックリスト 

包装: 

プラスチックバッグ+乾燥剤パック+段ボール箱
+緩衝材 
製品コード:コンピュータ216/14 
包装コード:CB 16/PS27 
チェックリスト番号:100127 

基準 

最も重要かつ関係する要求事項 

重要領域か 

Yes/No 

注記 

製品の保護 

湿度に対する保護及び機械的な保護 

No 

包装の製造プロセス 

No 

包装プロセス及び充塡プロセス 

組立てプロセスでの緩衝材の持運び
トレーとしての使用 

No 

物流(輸送,保管及び荷役を含む) 

輸送及び荷役に対する適性 

Yes 

2010/09/11付XX研究
所による試験報告書 

製品の陳列及びマーケティング 

包装に対する損傷の形跡がない 

No 

使用者及び/又は消費者の受容性 

必要であれば取扱説明書及びディス
クを入れる空間及び把手の確保 

Yes(容積) コンピュータ及び附属

品の寸法 

情報 

No 

安全性 

No 

法規制 

No 

その他の事項 

破損率4 ppm未満 

No 

上記の評価結果に鑑み,この包装はJIS Z 0130-2の要求事項に適合していることを宣言する。 
 
供給者の詳細 
 
住所: 
 
会社又は団体名: 
 
署名責任者役職: 
 
署名責任者氏名: 
 
日付:                  

署名: 

B.4 

研究室での試験報告例 

電機製造業者の要求に応じ,異なるシート坪量の段ボール箱を試験した。 

選択した試験は,標準的な輸送及び取扱い条件の代表として,落下高さ0.75 mで1角6面を落とす標準

垂直落下試験(JIS Z 0202)とした。 

試験の前に箱を23 ℃,50 %RHで24時間調湿した。 

それぞれの基準段ボール箱に,コンピュータを模擬したプラスチックモデルを入れ,20回の試験を行っ

た。試験結果を,表B.1に示す。 

注記 対応国際規格では,試験の前に箱を20 ℃,65 %RH,48時間調湿したとなっているが,我が国

の実状に合わせて変更した。 

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15 

Z 0130-2:2015 (ISO 18602:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表B.1−試験結果 

段ボール箱 

損傷数 

坪量基準 

(g/m2) 

(20回の試験の内) 

500a) 

550a) 

600a) 

650a) 

700a) 

750a) 

800a) 

注a) 通常流通する段ボールの仕様と強度とに合わせ,基準値

は対応国際規格の基準値よりも高い数値とした。 

表B.1は,坪量650 g/m2 1)の段ボールでも十分な強度があるように思われるが,統計的解釈では,損傷率

4 ppm未満を達成するためには,坪量700 g/m2 1)の段ボールシートが必要であると判断される。 

注1) 通常流通する段ボールの仕様と強度とに合わせ,基準値は対応国際規格の基準値よりも高い数

値とした。 

16 

Z 0130-2:2015 (ISO 18602:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(参考) 

環境に有害な物質又は混合物の評価及び最少化 

C.1 概要 

この附属書は,包装中に含まれる可能性のある,環境に有害な物質又は混合物の評価及びその使用の最

少化について記載する。一般的に,4種重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)が含まれる可能

性に対して特別な注意が払われる。 

“上流アプローチ”に基づく,簡便で効果的な評価方法を推奨する。中小企業であっても,実用的かつ

効率的な運用を可能にするよう意図したものである。 

包装中にこれらの物質が含まれる可能性及びそれらの環境への放出の可能性の両方について記す。附属

書Cは,(適用される場合には)法的な要求事項に適合するよう,包装の供給者を支援することも意図し

ている。 

C.3では,包装中に含まれる環境に有害な物質又は混合物の量を求め,その使用を最少化するために推

奨される方法と手順を示す。 

C.4では,包装中に含まれ,環境に放出される重金属の存在量の求め方に関する付加的な手順を示す。

ここでは4種の重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)について取り扱う。これらは幾つかの行

政機関の規制対象となっているものである。この規制は包装廃棄物の埋立て又は焼却によって環境中に放

出されるこれらの金属又は金属化合物の制限を意図している。 

容易に上流アプローチが適用できない場合,C.4では包装と包装の部品に対して適用できる関連物質の

存在量と放出量とを確認する試験方法について概説し,推奨している。 

濃度制限に関する情報については,包装を上市しようとする地域で適用される規制又は関係する国際規

格を参照する。 

C.2 引用規格 

次に掲げる規格は,この附属書に引用されることによって,この附属書の記載の一部を構成する。これ

らの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS Q 9000 品質マネジメントシステム−基本及び用語 

注記 対応国際規格:ISO 9000,Quality management systems−Fundamentals and vocabulary(IDT) 

JIS Q 10012 計測マネジメントシステム−測定プロセス及び測定機器に関する要求事項 

注記 対応国際規格:ISO 10012,Measurement management systems−Requirements for measurement 

processes and measuring equipment(IDT) 

JIS Q 17025 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 17025,General requirements for the competence of testing and calibration 

laboratories(IDT) 

JIS Z 7252 GHSに基づく化学品の分類方法 

JIS Z 7253 GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法−ラベル,作業場内の表示及び安全デー

タシート(SDS) 

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17 

Z 0130-2:2015 (ISO 18602:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ISO 17088:2008,Specifications for compostable plastics 

C.3 環境に有害な物質又は混合物の使用の特定及び最少化 

C.3.1 提唱する評価方法の背景 

C.3.1.1 包装,包装の部品及び包装の成分 

“包装の部品”及び“包装の成分”は,この規格の箇条3で定義している。この附属書で提唱する方法

論は“上流アプローチ”で構築され,これは供給者から提供される包装の部品,成分,原材料及び/又は

再生材料に関する情報に基づいて包装を評価するものである。次のチャートは,その相互関係を示してい

る。 

図C.1−包装,包装の部品及び包装の成分の相関関係 

幾つかの実例を,次に示す。 

a) 包装の部品(3.4参照) 手又は簡単な物理的な手段によって切り離すことができる包装の一部。 

例1 ペットボトルのボトル,キャップ及びラベル, 

エアゾール容器の押しボタン及びオーバキャップ, 

ビールびんのびん,ラベル及び王冠 

b) 包装の成分(3.5参照) 手又は簡単な物理的な手段によって切り離すことができない,包装又はその

部品の一部。 

例2 印刷ラベルの場合,包装の成分は,未印刷ラベル,使用した溶剤を含む印刷インキ。 

例3 印刷多層フィルムの場合,包装の成分は,基材フィルム,接着層,バリア層,表層フィルム,

印刷インキ。 

C.3.1.2 上流アプローチ 

“上流アプローチ”は包装又はその包装の部品に含まれる環境に有害な物質又は混合物の使用及び潜在

的な存在を確認し,確定するための最も有効な手段であり,推奨される。この評価手順では,原材料及び

再生材料の生産情報,包装の成分の特性,製品のライフサイクルの全段階にわたる包装及びその包装の部

品の生産情報が考慮される。 

この方法では,試験の必要性及び適切な試験頻度を判断し,適切に試験し,濃度水準の適切な管理を行

うことができる立場にある,原材料及び包装の成分の供給者から関連情報を確実に受け取る。 

さらに,上流アプローチは,包装及びその包装の部品中に存在する環境に有害な物質の濃度に関する評

価結果が記載された完全な文書の作成に役立つ。包装又はその包装の部品の濃度の評価は,通常計算で行

う。環境に有害な物質の同定を材料の化学分析によって行うのは一つの方法であるが,環境に有害だと考

包装 

包装の部品 

包装の部品 

包装の成分 

包装の成分 

包装の成分 

包装の成分 

原材料又は

再生材料 

原材料又は

再生材料 

原材料又は

再生材料 

原材料又は

再生材料 

原材料又は

再生材料 

原材料又は

再生材料 

原材料又は

再生材料 

原材料又は

再生材料 

18 

Z 0130-2:2015 (ISO 18602:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

えられている物質の数及びその多様性のため,存在しているかもしれない全ての物質の有無について,全

ての材料及び製品を対象に試験することは実際には不可能である。法律又は規制で必要な場合を除いて,

包装の部品又は包装に対する試験が必要になるのは,製造業者又は輸入者が原材料,包装の成分又は包装

の部品中の環境に有害な物質の濃度に関する評価結果が記載された完全な文書が提供できない場合に限定

される。 

安全データシートは,有害性及び推奨する取扱いに関する情報を伝達するため産業界で広く利用されて

いる。国連の化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)に基づいて編さん(纂)されたJIS 

Z 7252及びJIS Z 7253では,環境に有害な物質又は混合物の分類と同定に関する国際的に共通するシステ

ム及び安全データシートの内容に関する指針を提示している。これらを基にして,包装及びその原材料製

造業者は,製造において環境に有害な物質又は混合物を使用した可能性及びその濃度,更には最終包装中

における存在の可能性及び濃度を特定できる。 

一旦,環境に有害な物質の存在が特定されたら,環境に対する影響を評価でき,その使用量を最少化す

るための対策を取ることができる。 

この附属書で提唱している上流アプローチは,包装の特定部品に機能を付与するために使用されている

環境に有害な物質又は混合物の使用及びその環境への放出量を最少化するための方法論である。特定の製

品に適用される法律によって規定されている制限は常に適用される。 

法的な要求事項及び特定の製品に関係する物質の制限リストは有効であり,一般的に環境に有害な物質

の使用を制限する手段として使われており,チェックすべき物質数を制限できる。このようなリストは,

特定の包装の供給者,特に,中小企業にとって,環境に有害と考えられる物質又は混合物の特定を容易に

する。しかし,関係する物質の数及び多様性を考えると,網羅的な制限リストを用いて世界中の全産業分

野をカバーすることは現実的ではない。その代わり,機能的な使用に基づく最少化への一般的なアプロー

チを提唱したい。 

包装に関しては,安全の面では,健康と製品の衛生性を保つことの重要性が強調されている。環境に有

害な物質又は混合物は,例えば,消費者の健康,安全に対してなど他の観点からも有害であることが考え

られ,この帰結として,健康と安全に関する配慮から,包装におけるこれらの物質の使用量は既に最少化

されているか,又は使用を避けることが求められていることもある。 

C.3.2 包装中に含まれる環境に有害な物質又は混合物の特定及び最少化の方法 

この附属書で提唱しているアプローチは,図C.2に視覚化したデシジョンツリーで示す段階的な方法で

ある。 

background image

19 

Z 0130-2:2015 (ISO 18602:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 JIS Z 7252及びJIS Z 7253を参照し判断するとよい。 

図C.2−デシジョンツリー−環境に有害な物質又は混合物の最少化 

C.3.5.2.2 

C.3.5.1.2 

はい 

基準を 

満たさない 

終了 

はい 

関連する支持文書に 

保存する 

いいえ 

いいえ 

いいえ 

はい 

C.3.5.1.1 

いいえ 

混合物又は物質が国内及び輸出市場に
おいて法律又は規制を受けているか 

 
上市しようとする市場において環境に有害と分類されてい
るその他の混合物又は物質を包装及び包装の部品の製
造において使用しているか 

物質又は混合物が排出,ばいじん
又は浸出によって環境中に放出され
る可能性があるか 

スタート 

はい 

法的要求に従う 

これらの混合物又は物質
の使用が最少化されてい
るか 

  基準を満たす 

20 

Z 0130-2:2015 (ISO 18602:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

C.3.2.1 一般的原理 

特定の包装を市場に上市しようとする個人,会社,団体その他の組織は,全ての環境に有害な物質又は

混合物が,焼却又は埋立てすることによって放出物,焼却灰,浸出物として環境中に排出されることに関

して,包装又は包装の部品に最少で,かつ適切な量しか使用されていないことを実証できるはずである。 

C.3.2.2 特定 

C.3.2.2.1 基本的な原理としての“上流アプローチ” 

包装又は包装の部品に含まれる環境に有害な物質又は混合物の特定に関する簡単で効果的な評価方法が

必要である。この規格では“上流アプローチ”を提唱する。 

JIS Q 9000の意味する上流検証は,原材料又は包装の成分の供給者からの情報を用いて検証可能である。

この目的のために関係する安全データシートを参照することを推奨する。 

C.3.2.2.2 特定手順 

C.3.2.2.2.1 環境に有害な物質 

JIS Z 7252及びJIS Z 7253において,環境に有害として分類された物質であって,環境有害絵表示の表

示基準に該当する物質。 

注記1 これは環境に対して有害な物質の一般的な分類であり,包装に使用される物質に特別に関係

があるということではない。 

注記2 環境有害絵表示の表示基準に該当する物質や混合物は,次に分類される水性環境に対して有

害な物質である。 

a) 急性有害区分1,又は 

b) 慢性有害区分1又は2 

C.3.2.2.2.2 環境に有害な物質又は混合物の存在を決定するための安全データシートの利用 

物質特定の目的のため,包装製造業者又はその上流の供給者は,供給者から受領した関連する安全デー

タシートを調べなければならない。供給者は,安全データシートで環境に有害な物質又は混合物に関する

必要な情報を提供し,それによって包装製造業者は自らが製造している包装にそれらが存在するか否かを

確かめることができる。 

特に,次の点を注意するのが望ましい。 

a) 安全データシートは,環境に有害な物質又は混合物を市場に投入する責任をもつ製造業者,輸入者又

は代理店のいずれかにより提供される文書である。安全データシートの情報は,原則としては専門的

な使用者のためとしており,作業場においての健康,安全及び環境の保護に関して必要な方策が採ら

れるようにするものである。安全データシートは,紙媒体又は電子媒体で提供される。 

b) JIS Z 7253に規定する安全データシートには16の必須記載項目がある。有害な物質及びその混合物の

組成に関する情報は,項目2及び項目3に記載される。項目12(環境影響情報)では,物質又は混合

物の特性と使用方法とによって環境に影響を及ぼすと思われる最も重要な特性に関する記述を要求し

ている。同じ種類の情報は物質又は混合物の分解に起因する環境に有害な物質についても提供される

ことが望ましい。 

c) 環境に有害な物質又は混合物の存在の特定と確認のため,包装製造業者は,環境に有害な物質又は混

合物に関する安全データシートをそれらの供給者から受領することが望ましい。 

項目3の“組成及び成分情報”には,JIS Z 7252及びJIS Z 7253の規定に基づき有害性があると判

断した物質又は混合物については化学名又は一般名及び濃度又は濃度範囲を規定に従い記載すること

が望ましい。 

21 

Z 0130-2:2015 (ISO 18602:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) 包装の部品又は包装の成分に対する安全データシートが入手できない場合,包装製造業者はリスク評

価ができるように関係する対応情報を入手することが望ましい。 

C.3.2.2.2.3 包装の製造における再生材料の使用 

環境,規制又は経済的な理由で,包装の製造に再生材料を使用することがよくある。二つの状況が考え

られる。 

第一は,出所が正確に分かっているため,再生材料の組成が正確に特定できる場合であり,その多くは

材料の出所が産業系であり,特定可能である。この場合,通常上流アプローチが適用できる。また,適切

なプロセスを経て再生した使用済み廃棄物であれば,これも同様である。 

第二は,成分及び偶発的な不純物の存在を正確に特定できない場合である。これは,多くの家庭から収

集され,混合された使用済み包装材料をリサイクルする場合が典型的である。このような状況の下,リサ

イクルループのある段階において,望ましくない不純物の混入を厳密に管理するのは困難である。このよ

うな材料については,通常,安全データシートは利用できない。 

第二の場合において,再生材料中に環境に有害と分類された物質がJIS Z 7252及びJIS Z 7253に規定す

る値を超えて存在する疑いがある場合,包装の製造業者は,C.3.5に従い環境リスクを評価することが望ま

しい。この際,材料とサプライチェーンの両方について供給者から入手できる関連情報を有効利用するこ

とが望ましい。 

不純物の存在を評価するために行う濃度測定については,統計的信頼性を担保することが必要である。 

C.3.3 環境への放出 

C.3.3.1 ある国や地域の規制では,包装の成分中又は包装の部品中の環境に有害な物質又は混合物につい

ては,包装のリサイクル残さ,包装廃棄物の焼却又は埋立てに起因する排出物,焼却灰,又は浸出物とし

て環境に放出されることを最少化しなければならない。 

C.3.3.2 この特定のためには,環境中に放出されると思われる環境に有害と特定されている物質又は混合

物だけに注目して検討すればよい。 

C.3.3.3 環境に有害とみなされる物質又は混合物の存在数と多様性の点から,包装のリサイクル残さ,包

装廃棄物の焼却又は埋立てに起因する排出物,焼却灰,又は浸出物として環境に放出されることを体系的

に測定するための一般的な標準化された方法は現在存在しない。 

物質ごとに実際的な場面に適用できる標準化された方法を開発することは極めて煩雑かつ複雑な作業で

ある。 

しかしながら,環境に有害な物質又は混合物が包装の成分として存在する場合であっても,信頼できる

証拠に基づいて環境に放出するリスクはないということを証明することは可能である。 

有機化合物の性質として,環境に有害な物質又は混合物が,燃焼プロセスによって無害化される例が挙

げられる。埋立てで浸出するリスクも,対象としている材料の化学的又は物理的性質によっては同様のこ

とが考えられる。 

C.3.4 最少化 

C.3.4.1 包装の成分が環境に有害な物質又は混合物を含有しており,それが環境中に放出される可能性が

あると特定された場合,これらは適切かつ最小限の量しか使用しないという原則が適用される。 

C.3.4.2 適切かつ最小限の量しか使用しないという原則は,使用する物質と機能的性能面での要求事項と

の関係から決定しなければならない(A.3参照)。 

C.3.5 環境に有害な物質又は混合物に対する要求事項への適合性評価 

包装を上市する上で責任をもつ個人又は団体(包装の供給者)は,焼却又は埋立てによって環境に有害

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

な物質又は混合物が排出物,焼却灰又は浸出物中に移行し得ることに鑑み,包装の成分又は包装の部品が

環境に有害な物質又は混合物を適切かつ最小限にしか使用してないことを証明できなければならない。最

少化していることを証明するためのステップは次に解説し,図C.2で詳細を記しているデシジョンツリー

図に示されている。 

C.3.5.1 最少化を考えなければならない物質又は混合物の決定 

C.3.5.1.1 包装の供給者は,まず上市する包装又は包装の部品の製造プロセスで環境に有害な物質又は混

合物が使用されているかどうかを判断しなければならない。その判断は,関連する物質又は混合物の安全

データシートを用いて行う。 

該当する物質又は混合物が特定されなかった場合,手順はここで終了する。この場合,C.3.5.2.1に進む。 

該当する物質又は混合物が存在する場合,C.3.5.1.2に進む。 

C.3.5.1.2 包装の供給者はC.3.5.1.1で特定した物質又は混合物が,使用済み包装又は包装の部品の,焼却

又は埋立てによる排出物,焼却灰又は浸出物に残存する可能性について評価を行う。 

該当する物質又は混合物が排出物,焼却灰又は浸出物に残留して放出される可能性がない場合,手順は

ここで終了する。この場合,物質又は混合物の最少化に関する検討は適用されない。C.3.5.2.1に進む。 

該当する物質又は混合物が排出,焼却灰又は浸出物に残存して放出される可能性がある場合,包装の供

給者は最少化の要求事項に適合させなければならず,C.3.5.2.2に進む。 

C.3.5.2 最少化基準への適合 

C.3.5.2.1 環境に有害な物質若しくは混合物が特定されなかった場合,又は排出物,焼却灰若しくは浸出

物に残存する可能性がない場合,包装の部品は要求事項に適合している。データの記録は保管しておかな

ければならない。 

C.3.5.2.2 C.3.5.1.2に記載されている手順に従い環境に有害な物質又は混合物が特定されたら,最少化要

求事項への適合を立証しなければならない。この目的のため,包装の供給者は次を行わなければならない。

C.3.5.1.1及びC.3.5.1.2で特定された関連物質の文書化,及びこの規格に記載されている包装の機能的目的

及び性能基準に照らして関連物質が最少で適切な量しか使用していないこと及び焼却又は埋立てによる排

出物,焼却灰又は浸出物中に残存するかもしれないことを文書化する。 

C.4 包装中及び環境に放出される4種の重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)の存在を決定

する方法 

C.4.1 包装中に存在する4種の重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)の想定される起源 

C.4.1.1 天然由来 

この附属書で取り扱う4種の重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)は六価クロム(CrVI)を

除き天然に存在している。六価クロムはクロムが高度に酸化した状態である。六価クロムイオンは非常に

不安定で,環境中に放出されるとすぐに有機物及び無機物により容易に還元される。その他の金属又は金

属化合物は原材料に含まれていることがあるが,通常非常に低濃度である。 

C.4.1.2 リサイクル 

4種の重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)は,それを分離する幾つかの工業プロセスを除

き,リサイクルした原料の使用程度が拡大するのに伴い含有量が増加する。リサイクル材料中の重金属(鉛,

カドミウム,六価クロム及び水銀)の存在は必ずしも包装に起因するものではなく,包装材料と同じリサ

イクルループに入ってくる他の製品又は材料にも起因している。例として,(包装用途ではない)鉛ガラス

及びゆう(釉)薬がある。これは特にクローズドループリサイクル(包装から包装へ)に混入すると,包

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

装中に重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)が存在する顕著な要因となる。 

C.4.1.3 機能的理由からの使用 

包装に4種の重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)を意図的に使用する例はほとんどない。

多くの場合,現在これらの用途は代替物により置き換わっているが,全てが置き換えられている訳ではな

い。知られている主要な例は,ある種のゆう(釉)薬に使用される顔料中の鉛又はカドミウム,あるプラ

スチック製クレート,パレット及びその他の包装に使用される顔料中の鉛やカドミウム,六価クロム,(包

装に使われることは非常にまれであるが)鉛クリスタルガラスに使用する酸化鉛,スチールドラムに使用

する一部の塗料やラッカーに使われる鉛と六価クロムがある。より安定な三価の状態のクロムが広く使用

されており,三価クロムには六価クロムのような毒性はない。 

C.4.1.4 金属材料中の六価クロム 

金属材料中には六価クロムは存在せず,クロム塩を用いて表面処理を行った場合でも表面の六価クロム

は不安定である。 

金属材料中の六価クロムの不在を決定する有効な決まった方法はないが,基礎的な化学原理から金属中

に六価クロムが存在することは否定されている。 

C.4.2 包装と包装の部品中の重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)定量−二つの妥当なアプロ

ーチ 

包装の製造における三つの特徴を,次に記載する。それらは, 

− 包装の製造は,原材料から最終的な包装製品に至るまでの多段階のプロセスである, 

− 製造プロセスのあらゆる段階で,意図的又は不純物として,重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及

び水銀)が混入する可能性がある, 

− 様々な段階での重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)の出現に関する情報の種類は場合に

よって異なる。 

これらの特徴から,包装又は包装の部品中の濃度を求める二つの基本的な方法を推奨する。両方法は,

利用できる情報によって,どちらかを選択する妥当な選択肢である。 

a) 個々の包装の成分の重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)含有に関する信頼できる情報を

基にして,包装又はその包装の部品の重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)含有量を計算

する“上流アプローチ”。製造プロセスを通じて,信頼できる文書化された重金属(鉛,カドミウム,

六価クロム及び水銀)に関する“上流”情報がある場合には計算法を推奨する。計算の目的のために

は,中間製品(包装又はその包装の部品を構成する“包装の成分”)に関する信頼できる情報が関連し

て有用である。 

b) 包装又は包装の部品中の重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)含有量を求める。製造プロ

セスの初期段階からの重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)に関する完全な信頼できる“上

流”情報が得られない場合,法律又は規制で要求されている場合,試験をする必要がある。 

実用的な評価手順の実施のため,更に次のような選択肢を示す。 

c) 包装の成分に関する“上流情報”を基にした計算 

1) 全ての包装の成分の重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)含有量に関する証明された情

報を収集する, 

2) 個々の包装の成分の重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)含有量を加算し,包装又は包

装の部品の総重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)含有量(包装/包装の部品の総質量

に対する比率として計量)を計算する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) 包装又は包装の部品のサンプルを試験する。 

1) 包装を包装の部品に解体する, 

2) 適切な試験及び分析法で個々の包装の部品の重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)含有

量を求める(C.4.4参照)。 

この二つの方法は共に理論的に確立されており,包装又は包装の部品に含まれる重金属(鉛,カド

ミウム,六価クロム及び水銀)濃度について導かれる結果は互いに一致する。ただし,試験による方

法を用いた場合,誤差を生じる場合がある。 

C.4.3 環境影響を最小化するための評価アプローチ 

C.4.3.1 概要 

包装中に存在する重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)の環境影響を評価する一つの方法は,

廃棄物処理(焼却又は埋立て)における排出物,焼却灰又は浸出物にそれらが存在するかを評価すること

である。 

− 包装中の重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)含有量と環境中への重金属(鉛,カドミウ

ム,六価クロム及び水銀)放出との間には顕著な関係が存在する場合,これは含有量を最少化するこ

とで環境影響を低下させることができることを意味する。 

− 包装中の重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)含有量と環境中への重金属(鉛,カドミウ

ム,六価クロム及び水銀)放出との間に明確な関係は存在しない場合,比較的多く重金属(鉛,カド

ミウム,六価クロム及び水銀)を含有する包装の部品であっても,結果的に,その化学的・物理的性

質にも依存して排出物や焼却灰,浸出物中に低濃度の重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)

しか存在しないことがある。 

C.4.3.2 廃棄物処理における排出物,焼却灰又は浸出物中の重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水

銀)の存在の評価 

ここでは最少化の可能性へのアプローチを提案する。 

− 機能性付与の目的で重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)を含有する包装の成分が使われ

ている場合,この包装の成分は適切かつ最少量しか使用しないという原則が一般に適用できる。 

− 包装又は包装の部品が不純物としてだけ重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)を含有する

場合,含有の最少化は現実的ではない[例として,C.4.1の不純物としての重金属(鉛,カドミウム,

六価クロム及び水銀)の起源]。このような場合,焼却炉又は埋立地における実際の条件を再現してい

るわけではないが,排出物,焼却灰又は浸出物中における重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び

水銀)の存在の確認及び環境影響の程度の評価に溶出試験が使える。 

注記 特殊な状況においては,重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)含有量に関する特

別な要求事項が適用される(例えば,ISO 17088におけるコンポスト化可能プラスチックに

対する特別な要求事項)。 

C.4.4 適用可能な試験の方法 

測定方法は,次の測定方法が一般的である。 

a) 内部管理のために各業界で使用されており,一部は標準化されている分析方法。 

b) 重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)を求める一般的な測定手順であって,包装材料の分

析に使用することができる次のもの。 

1) 非工業的な実験室で使用される方法。 

2) 土壌及び廃棄物に対する分析方法。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) 溶出試験:この規格では重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)を測定するための詳細な試

験方法は規定しないが,使用する測定方法は,JIS Q 17025その他に基づき認証された試験研究機関で,

妥当性を立証しておくことが望ましい。 

測定方法は,適用できる国際規格がない場合には,関連する日本工業規格を用いることが望ましい。 

C.4.4.1 4種重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)の測定 

この操作は主に次の三つの段階からなる。 

− 試料採取 

− 試験片の調製 

− 試験片の分析 

C.4.4.1.1 試料採取 

試料の採取方法は,包装及び包装廃棄物の数,種類及び大きさに依存する。 

C.4.4.1.2 試験片の調製 

残さも含めるよう要求される場合を除き,試料は試験前に洗浄しなければならない。 

試験片の調製は,種類,寸法,包装を構成する材料及び用いる分析方法に依存する。試験片の調製は次

の3段階に分割される。 

− 包装を包装の部品に分離する。その後,各部品は別々に処理する。試験分析機関は包装の部品全体を

代表する重金属(鉛,カドミウム,六価クロム及び水銀)の分析結果であることを保証する責任があ

る。 

− 平均的試料を得るため,切断,粉砕し混合する。 

− 人手又は機械的な手段での分析に供せられるよう試験片にまで平均的な試料を細かくする。 

C.4.4.1.3 b) に挙げた分析方法の一つを用いて組成を求めようとする場合,通常特殊な酸溶液又は混合液

(例えば,過塩素酸,硝酸,硫酸,塩酸,ふっ酸又は王水)を用いて試料を最初に溶解する。その目的は,

試料を完全に溶解して良好な結果の再現性(低いばらつき)を得るためである。場合によっては,その他

の試薬(例えば,アルカリ)を必要とする場合もある。試薬の選択は,主として試験する材料及び安全面

の観点で決まる。酸分解は,C.4.4.1.3に記載している方法のうち,b) 以外の分析方法では要求されない。 

C.4.4.1.3 試験片の分析 

試験について三つのカテゴリーが考えられる。 

a) 蛍光X線分析法(XRF),スパーク発光及びDCアーク発光分光法がある。分析は試料の補足的な処

理を何ら必要とせずに行える。 

b) 原子吸光,誘導結合プラズマ(ICP)発光分光法及びポーラログラフィ。これらの試験では,分析は2

段階で行わなければならない。 

− 分解:種々の方法が国家又は地域レベルで標準化され又は発行されている(C.4.4.1.2参照)。 

− 分解後の水溶液の分析:一般的な手順が存在する。 

c) 溶出試験。包装又は包装の部品から環境中に放出される可能性のある物質を試験することが要求され

る場合に用いる。粉砕又はふるい分けプロセス(例,食品と接触するガラスのためのISO 7086規格群)

を除き,試料の補足的な処理を施すことはない。現存する規格又は規格原案によって行うことが望ま

しい。 

注記 三価クロム及び六価クロムの分離定量は,溶出試験法によってだけ可能である。 

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Z 0130-2:2015 (ISO 18602:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献  

JIS Q 14001:2004 環境マネジメントシステム−要求事項及び利用の手引 

注記 対応国際規格:ISO 14001:2004,Environmental management systems−Requirements with guidance 

for use(IDT) 

JIS Q 14021 環境ラベル及び宣言−自己宣言による環境主張(タイプII環境ラベル表示) 

注記 対応国際規格:ISO 14021,Environmental labels and declarations−Self-declared environmental claims 

(Type II environmental labelling)(IDT) 

JIS Q 14040:2010 環境マネジメント−ライフサイクルアセスメント−原則及び枠組み 

注記 対応国際規格:ISO 14040:2006,Environmental management−Life cycle assessment−Principles and 

framework(IDT) 

JIS Q 14044:2010 環境マネジメント−ライフサイクルアセスメント−要求事項及び指針 

注記 対応国際規格:ISO 14044:2006,Environmental management−Life cycle assessment−Requirements 

and guidelines(IDT) 

JIS Z 0202 包装貨物−落下試験方法 

JIS Z 0130-3 包装の環境配慮−第3部:リユース 

注記 対応国際規格:ISO 18603:2013,Packaging and the environment−Reuse(IDT) 

ISO 18604:2013,Packaging and the environment−Material recycling 

ISO 18605:2013,Packaging and the environment−Energy recovery 

ISO 18606:2013,Packaging and the environment−Organic recycling