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X7108:2004(ISO 19108:2002) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本測量調査技術協会(APA)から,工業標

準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業

大臣・国土交通大臣が制定した日本工業規格である。 

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために, ISO 19108:2002,(Geographic 

information-Temporal schema)を基礎として用いた。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。主務大臣及び日本工業標準調査会は,

このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登

録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

JIS X 7108には、次に示す附属書がある。 

附属書A(規定)抽象試験項目群 

附属書B(参考)応用スキーマにおける時間の使用 

附属書C(規定)メタデータにおける時間参照系の記述について 

附属書D(参考)暦の記述 

附属書E(参考)参考文 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 適合性 ··························································································································· 1 

2.1 適合性クラス及び要件 ···································································································· 1 

2.2 データ転送のための応用スキーマ ····················································································· 1 

2.3 操作を伴うデータのための応用スキーマ ············································································ 1 

2.4 地物カタログ ················································································································ 1 

2.5 メタデータ要素の仕様 ···································································································· 1 

2.6 データ集合のためのメタデータ ························································································ 1 

3. 引用規格 ························································································································ 2 

4. 定義 ······························································································································ 2 

4.1 定義 ···························································································································· 2 

4.2 略語 ···························································································································· 5 

5. 地理情報の時間に関する概念スキーマ ················································································· 5 

5.1 スキーマの構造 ············································································································· 5 

5.2 時間の幾何 ··················································································································· 6 

5.3 時間参照系 ·················································································································· 15 

5.4 時間位置 ····················································································································· 19 

5.5 時間及び地理情報の構成要素 ·························································································· 22 

附属書 A(規定) 抽象試験項目群 ······················································································· 29 

附属書 B(参考) 応用スキーマにおける時間の使用 ································································ 31 

附属書 C(規定) メタデータにおける時間参照系の記述について ·············································· 36 

附属書 D(参考) 暦の記述 ································································································ 41 

附属書 E(参考) 参考文献 ································································································· 49 

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日本工業規格 

      JIS 

地理情報―時間スキーマ   X 7108:2004 

(ISO 19108:2002) 

Geographic information-Temporal schema 

序文 この規格は,2002年に第1版として発行されたISO 19108(Geographic information - Temporal 

schema)を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。

この規格は,ISO/TC 211が関与する種々の地理情報規格を元とした日本工業規格(以下,地理情報

規格群という。)の一つである。地理情報規格群は,地球上の位置と直接的又は間接的に関連づけら

れたオブジェクト又は現象に関する情報処理技術のための標準であり,河川,道路などに関する様々

なデータを電子化し,各種情報処理の高度化・効率化に適用される。 

なお、この規格で,点線の下線を施してある箇所は,原国際規格(ISO 19108 Geographic information 

― Temporal schema)にない事項である。 

1. 適用範囲 この規格は,地理情報の時間特性を記述するための概念を規定する。この規格は,

時間情報を交換するために規定した既存の情報技術規格を基礎とし,時間地物属性,地物操作及び

地物関連の定義,並びに地理情報に関するメタデータの時間に関する情報の定義をするための基礎

的な事項を規定する。この規格は,実世界を抽象化した地理情報における時間特性の概念を示すの

で,トランザクション時間より,有効時間を重要視している。 
 備考 この規格の対応国際規格を次に示す。 

     なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21基づき,IDT(一致している), 

    MOD(修正している),NEQ(同等でない)とする。 

    ISO 19108:2002 Geographic information ― Temporal schema(IDT) 

2. 適合性  

2.1 

適合性クラス及び要件 この規格は,試験項目の特性に応じて,五つの適合性クラスを定義

する。 

2.2 

データ転送のための応用スキーマ この規格に適合するためには,データ転送のための応用

スキーマは,附属書Aの抽象試験項目群のA.1の要件を満たさなければならない。 

2.3 

操作を伴うデータのための応用スキーマ この規格に適合するためには,データの操作を支

援する応用スキーマは,附属書Aの抽象試験項目群のA.2の要件を満たさなければならない。 

2.4 

地物カタログ この規格に適合するためには,地物カタログは,附属書Aの抽象試験項目群

のA.3の要件を満たさなければならない。 

2.5 

メタデータ要素の仕様 この規格に適合するためには,メタデータ仕様は,附属書Aの抽象

試験項目群のA.4の要件を満たさなければならない。 

2.6 

データ集合のためのメタデータ この規格に適合するためには,データ集合のためのメタデ

ータは,附属書Aの抽象試験項目群のA.5の要件を満たさなければならない。 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

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3. 引用規格  

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これ

らの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成

するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発行年を付記していない引用規格は,
その最新版(追補を含む)を適用する。 

JIS X 0301 情報交換のためのデータ要素及び交換形式日付及び時刻の表記 

備考 ISO 8601:2000 Data elements and interchange formats ― Information inter-

change-Representation of dates and timesからの引用事項は,この規格の該当事項と同等

である。 

JIS Z 8202-1 量及び単位 ― 第1部:空間及び時間 

備考 ISO 31-1:1992 Quantities and units ― part1:Space and timeが,この規格と一致してい

る。 

JIS Z 8203 国際単位系(SI)及びその使い方 

備考 ISO 1000:1992 SI units and recommendations for the use of their multiples and of certain 

other unitsが,この規格と一致している。 

ISO/IEC 11404:1996 Information technolory-Programming languages, their environments and system 

software interfaces ― Language-independent datatypes 

ISO TS 19103(1) Geographic information  Conceptual schema language 

ISO 19107 Geographic information  Spatial schema 

ISO 19109(1) Geographic information  Rules for application schema 

ISO 19110(1) Geographic information  Methodology for feature cataloguing 

ISO 19111 Geographic information  Spatial referencing by coordinates 

ISO 19115 Geographic information  Metadata 

注(1) 未発行。 

4. 定義  

4.1 

定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

4.1.1 暦(calendar) 一日をその分解能とする時間位置を定義するための基礎となる離散的な時

間参照系の一つ。 

4.1.2 暦年代(calendar era) 暦の中で使用する型の一つとなり,ある特定の事象からその長さ

を数える期間。 

4.1.3 協定世界時,UTC(Coordinated Universal Time) 国際度量衡局(International Bureau of 

Weights and Measures)及び国際地球回転観測事業(International Earth Rotation Service)に

よって維持管理されている時間尺度。標準周波数及び時刻信号に関する標準電波の基礎となるもの。

(ITU-R Rec.TF.686-1(1997)) 

4.1.4 日(day) 地球の自転周期にほぼ等しい持続時間をもつ期間。 

4.1.5 エッジ(edge) 一次元の位相プリミティブ(ISO 19107)。 

 備考 エッジは,幾何学的には曲線となる。エッジの境界は,位相複体中でこのエッジと関連付

けられた一つ又は二つのノードの集合となる。 

4.1.6 事象(event) ある瞬間に起こる動作。 

4.1.7 地物(feature) 実世界の現象の抽象概念(ISO 19101)。 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

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 備考 地物は,型又はインスタンスとして現れる。型又はインスタンスの一方だけを意味すると

きには,地物型又は地物インスタンスという用語を使うのが望ましい。 

 参考 地物は元来地上の自然物及び人工物の概念を指す用語であるが,この規格では,それ以外

の実世界に現れる物事を抽象化した概念も指す。 

4.1.8 地物関連(feature association) 地物同士の関係(ISO 19109)。 

 備考1. 地物関連は,型又はインスタンスとして現れる。地物関連型又は地物関連インスタンス

は,いずれかを意味するときに使う。 

 2. 地物関連は複数の地物の集成(aggregate)を含む。 

 参考 UMLにおけるaggregateには,“縮める”という概念は含まず,“集めて一つにまとめ 

 る”という意味なので,ここでは集約ではなく集成とする。 

4.1.9 地物属性(feature attribute) 地物の特性(ISO 19110変更)。 

 備考 地物属性型は,名前,データ型及び地物属性に関連する値の定義域をもつ。 

4.1.10 地物分裂(feature division) 直前に存在した地物が,同じ型をとる二つ以上の別の地物

インスタンスに置き換わる地物継起。 

    例 地物型“土地区画”のあるインスタンスが,法律的に分割されて同じ地物型の二つのインス

タンスに置き換わる。 

4.1.11 地物融合(feature fusion) 直前に存在した,同じ地物型の二つ以上のインスタンスが,

同じ地物型の一つのインスタンスに置き換わる地物継起。 

 例 地物型“牧場”の二つのインスタンスは,各々を隔てるフェンスが取り除かれたときに一つ

のインスタンスに置き換わる。 

4.1.12 地物操作(feature operation) ある地物型のすべてのインスタンスが実行できる操作(I

SO 19110)。 

 例 地物型“せき(堰)”の地物操作は“水門を高める”である。この操作により,“せき(堰)”の

高さが上がり,“貯水池”の水位が上がる。 

 備考 地物操作は,地物型の定義をする上で重要な役割を果たす。 

4.1.13 地物置換(feature substitution) 一つの地物インスタンスが同じ又は異なる型の別の地

物インスタンスへ置き換わる地物継起。 

 例 地物型“建物”のインスタンスが取り壊されて,地物型“駐車場”のインスタンスに置き換

わる。 

4.1.14 地物継起(feature succession) 一つ以上の地物インスタンスが存在しなくなって,別の

一つ以上の地物インスタンスに置き換わること。 

4.1.15 幾何プリミティブ(geometric primitive) 空間における単一で連結した均質な要素を表

すオブジェクト(ISO 19107)。 

 備考 幾何プリミティブは,幾何構成についての情報を表す不可分なオブジェクトである。これ

には点,曲線,曲面及び立体を含む。 

4.1.16 グレゴリオ暦(Gregorian calendar) ユリウス暦よりも一年の長さが太陽年により近くな

るよう定義するため,1582年に最初に導入された,はん用的な暦(JIS X 0301参照)。 

 備考 グレゴリオ暦の導入には,ユリウス暦で積み重なってきた誤差を解消するという意味も含

まれていた。グレゴリオ暦の暦年は,平年又はうるう年となっており,一年は,12に分割

された月の列からなる。 

4.1.17 瞬間(instant) 時間における位置を表現する零次元の幾何プリミティブ。 

 備考 時間の幾何については,5.2で取り上げる。 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

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4.1.18 間隔尺度(interval scale) 二値間の順序付けと距離との両方を記述するために使用する

し(恣)意的に定められた原点をもつ尺度。 

 備考 ある間隔尺度で測定した値の比は,意味をもたない。これに対し,比率尺度(ratio scale)

では,値の比が意味をもつ。例えば,温度の場合,絶対温度2度が絶対温度1度の2倍で

あるということには一定の意味があるので,絶対温度は比率尺度であるが,摂氏2度は摂

氏1度の2倍とはいえないので,摂氏は間隔尺度である。質量及び金額は一般に比率尺度
で表現する。時間については、実用上意味のあるような比率尺度は定められていない。 

4.1.19 ユリウス日(Julian date) 直前の正午からの経過を表す10進小数の日数を伴ったユリウ

ス日数。 

4.1.20 ユリウス日数(Julian day number) ユリウス暦における紀元前4713年1月1日のグリ

ニッジ標準時正午を原点として数えた日の数。 

4.1.21 存続期間(life span) 物が存在し続けている期間。 

 備考 有効時間による存続期間は,物体をモデル化した現実において存在している期間を表す。

トランザクション時間による存続期間は,データベース上の物体がデータベース内に存在

している期間を表す。 

4.1.22 月(month) 月の循環周期の持続時間とほぼ等しい期間。 

 備考 1か月の持続時間は整数で表す日数である。1か月の日数は個々の暦の規則で定められて

いる。 

4.1.23 ノード(node) 零次元の位相プリミティブ(ISO 19107)。 

 備考 ノードの境界は空集合とする。 

4.1.24 順序年代(ordinal era) 時間的に順序付けられた,名前をもつ期間。 

 備考 下位階層として順序年代の集合を含むことがある。 

4.1.25 順序尺度(ordinal scale) オブジェクトの相対的な位置関係だけを測定するための基礎を

示す尺度。 

4.1.26 順序時間参照系(ordinal temporal reference system) 順序年代の集合からなる時間参照

系の一つ。順序尺度を基礎とする。 

4.1.27 期間(period) 時間の範囲を表現する一次元の幾何プリミティブ。 

 備考 二つの異なる時間位置が期間の境界となる。 

4.1.28 周期長(periodic time) 一周期の持続時間(JIS Z 8202を変更)  

4.1.29 点(point) 位置を表現する零次元の幾何プリミティブ(ISO 19107) 

 備考 点の境界は,空集合とする。 

4.1.30 時間座標(temporal coordinate) 時間座標系の基礎として使用する間隔尺度の原点から

の距離。 

4.1.31 時間座標系(temporal coordinate system) 単一の時間単位の倍数として距離を測定する

間隔尺度を基礎とする時間参照系。 

4.1.32 時間地物関連(temporal feature association) 時間又は時間的な制約条件の参照で特徴

付ける地物関連。 

4.1.33 時間地物操作(temporal feature operation) 時間の関数として定義する地物操作。 

4.1.34 時間位置(temporal position) 時間参照系に関係する位置。 

4.1.35 時間参照系(temporal reference system) 時間の測定に対応する参照系。 

4.1.36 位相複体(topological complex) 境界操作のもとで閉じる位相プリミティブの集まり(ISO 

19107)。 

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X7108:2004(ISO 19108:2002) 

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 備考 境界操作のもとで閉じるとは,位相複体に含まれる位相プリミティブの境界オブジェクト

もまたこの位相複体に含まれることを意味する。 

4.1.37 位相プリミティブ(topological primitive) 単独の不可分な要素を表す位相オブジェクト

(ISO 19107)。 

 備考 位相プリミティブは,幾何実現(ISO 19107参照)によって同じ次元の幾何プリミティブ

の境界の内側に対応する。 

4.1.38 トランザクション時間(transaction time) ある事実がデータベース内に存続し,検索が

可能になっている時間(Jensenなど(1994))。 

4.1.39 有効時間(valid time) ある事実が抽象化した現実の中で真となっている時間(Jensenな

ど(1994))。 

4.2 

略語 この規格で用いる主な略語を,次に示す。 

AD   西暦紀元(Anno Domini) 

BC   西暦紀元前(Before Christ) 

GPS  全地球測位システム(Grobal Positioning System) 

TOW 週単位の時刻(Time of Week) 

UML  UML(Unified Modeling Language ) 

UTC 協定世界時(Coordinated Universal Time) 

WN  週数(Week Number) 

5. 地理情報の時間に関する概念スキーマ 

5.1 

スキーマの構造 ここでは,地理情報の時間に関する特性を記述する概念スキーマを示す。

このスキーマは,UML (Object Management Group (1999))によって記述する。地理情報規格群に

おけるUMLの使用法は,ISO TS 19103による。UMLクラスには,属性,操作及び関連の三つの基

本的な特性がある。このスキーマは,その三つすべての特性を使用する。このスキーマは抽象モデ

ルであり,ある実装がこの規格に適合するためには,抽象モデルにおけるそれぞれの要素で記述し

た内容を実現することができなくてはならないが,同じ方法で実装する必要はない。 

  

図1  時間スキーマの構造 

 このスキーマは,二つのパッケージからなる(図1参照)。時間オブジェクト(Temporal Objects)

パッケージ(5.2参照)は,時間幾何オブジェクト及び時間位相オブジェクトを定義するが,これ

らは,地物とデータ集合との時間特性の値として使わなければならない。オブジェクトの時間位置
は,時間参照系と関係づけて指定しなければならない。時間参照系(Temporal Reference System)

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パッケージ(5.3及び5.4参照)は,時間参照系を記述するための要素を示す。5.5では,5.2〜5.4

に示す概念が,地理情報の内容記述の中で,どのように使用しなければならないかを示す。 

 地理情報規格群で定義するUMLクラス名は,特定の規格を識別するため,2文字の英字及び1

文字の下線からなる接頭辞から開始し,パッケージ名も可能な限りこれに沿う。この規格で定義す

るクラスを識別する接頭辞は,TM̲とする。 

5.2 

時間の幾何  

5.2.1 次元としての時間 時間は,任意の空間次元に類似した一つの次元である。空間と同様,時

間は,幾何及び位相特性をもつ。時間における点は,時間参照系と関係づけて識別できる位置を占

める。距離も測定できる。しかし,空間とは異なり,時間は単一次元である。すなわち,時間参照

系は,いろいろな応用システムで空間的な位置を記述するために使用する線型の参照系と類似して

いる。時間は絶対的な方向性をもち,時間における動きは常に前方向ではあるが,時間は二つの方
向で測定することができる。 

 備考 時間は,概念レベルでは常に幾何及び位相特性をもつものではある。しかし,幾何特性又

は位相特性のいずれかの一方だけで時間を記述することが可能なこともあり,また,それ
が望ましいこともある。 

 時間は,順序尺度及び間隔尺度の2種類の尺度で測定する。順序尺度は時間に関する相対的な位

置の情報だけを示すが,間隔尺度は持続時間を測定するための基礎を示す。 

  

図2  時間オブジェクト 

5.2.2 時間のオブジェクト 時間幾何オブジェクト及び時間位相オブジェクトは,地物及びデータ

集合の時間特性を示す値として使用しなければならない。その解説及び例は,5.5及び附属書Bに

よる。TM̲Object(図2参照)は,二つの下位型をもつ抽象クラスとする。時間プリミティブ

(TM̲Primitive)は,不可分な幾何又は位相を表現する抽象クラスとする。TM̲Primitiveは二つの

下位型をもつ。TM̲GeometricPrimitive(5.2.3参照)は,時間位置に関する情報を示す。

TM̲TopologicalPrimitive(5.2.4.2参照)は時間における接続性に関する情報を示す。TM̲Complex

は複数のTM̲Primitiveの集成とする。TM̲TopologicalComplex(5.2.4.5参照)は,この規格で

定義するTM̲Complexの唯一の下位型とし,接続関係にある複数のTM̲TopologicalPrimitiveの

集成とする。 

TM̲Complex

TM̲Object

TM̲Primitive

TM̲GeometricPrimitive

TM̲TopologicalPrimitive

TM̲TopologicalComplex

1..*

0..*

1..*

0..*

background image

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

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5.2.3 時間幾何プリミティブ 

5.2.3.1 時間幾何プリミティブクラス 時間の次元にある二つの幾何プリミティブは,瞬間及び期

間とする。これらのプリミティブは,間隔尺度で測定する時間の場合には解析的に定義し,順序尺
度で測定する場合には類推的に定義する。TM̲GeometricPrimitiveは二つの下位型をもつ抽象クラ

スとし,下位型TM̲Instantは瞬間を,TM̲Periodは期間を表す(図3参照)。

TM̲GeometricPrimitiveは,TM̲PrimitiveがもつTM̲Orderへの依存関係を継承し,

TM̲Separationにも依存関係をもつ。依存関係に付加したステレオタイプ“Uses”は,そのクラ

スがインタフェースとして定義する操作すべてを実現可能とする必要はないが,その幾つかを実現
可能とすることを意味する。 

  

図3 時間幾何プリミティブ 

5.2.3.2 TM̲Instant 瞬間(TM̲Instant)は,零次元幾何プリミティブであり,時間上の位置を

表現する。これは空間における点と同等である。実際には,瞬間は時間間隔であるが,その持続時
間は時間尺度の分解能より短い。 

属性 TM̲Instantは,次の一つの属性をもつ。 

a) position:TM̲Positionは,このTM̲Instantの位置を指定しなければならない。

TM̲Positionは,5.3で規定する単一の時間参照系に関連付けなければならない。

TM̲Instantのインスタンスは他と識別できるオブジェクトとなるが,TM̲Positionのイ

ンスタンスは,一つのデータ値となる。任意のTM̲InstantのTM̲Positionは,異なる時

間参照系に関連するTM̲Positionによって置換できる。 

関連 

TM̲Order

+ relativePosition(other : TM̲Primitive) : TM̲RelativePosition

<<Interface>>

TM̲Primitive

<<Uses>>

TM̲GeometricPrimitive

TM̲Separation

+ distance(other : TM̲GeometricPrimitive) : TM̲Duration
+ length() : TM̲Duration

<<Interface>>

TM̲Instant

+ position : TM̲Position

TM̲Period

0..*

1..1

+begunBy

0..*

+begin

Beginning

0..*

1..1

Ending

+endedBy

+end

0..*

{self.begin.position < self.end.position}

<<Uses>>

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

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a) Beginning関連は,期間を示すTM̲Period(端点begunByの先につながる)と,このTM̲Instant

とを関連付ける。 

b) Ending関連は,期間を示すTM̲Period(端点endedByの先につながる)と,このTM̲Instant

とを関連付ける。 

5.2.3.3 TM̲Period 期間(TM̲Period)は,時間の範囲を表現する一次元幾何プリミティブとする。

期間は空間における曲線と同等であり,曲線のように,始点及び終点(瞬間)を境界にもつ開区間

をなし,長さ(持続時間)をもつ。その時間上の位置は,それが始まる瞬間及び終わる瞬間の時間
位置によって記述し,その長さは二つの時間位置間の時間距離に等しい。 

 「順序尺度では時間の長さを測定することが不可能なので,長さの点では瞬間と期間の区別をす

ることはできない」とする。実際には,単一の事象が起きた時間は,順序尺度で測定するときには,

瞬間と見なすことができる。連続した事象の列は,ある時間間隔を必ず占めるはずだが,これがす

なわち期間である。期間という用語は,一般に,他と区別する特性をもつ事象の列に対し,共通し
て適用する。 

関連  

a) Beginning関連は,期間開始位置を示すTM̲Instant(端点 begin の先につながる)と,この

TM̲Periodを関連付ける。 

b) Ending関連は,期間開始位置を示すTM̲Instant(端点 end の先につながる)と,この

TM̲Periodを関連付ける。 

制約 

a) {self.begin.position < self.end.position}は,期間開始の時間位置が期間終了の時間位置よりも

小さく(より以前に)なければならないということを示す。 

5.2.3.4 TM̲Order TM̲GeometricPrimitiveは,TM̲PrimitiveのTM̲Orderへの依存関係を継

承する。TM̲Orderは,TM̲Primitive自身の,他のTM̲Primitiveからの相対位置を判定する操

作を示す。 

操作 

a) relativePosition (other:TM̲Primitive) : TM̲RelativePositionは,他のTM̲Primitiveを入力

値として受け付け,5.2.3.5に示すTM̲RelativePositionの値を戻さなければならない。 

5.2.3.5 TM̲RelativePosition 相対的な時間位置の取り得る値は,列挙データ型

TM̲RelativePosition(図 4)によって規定する。これは,Allen (1983)が分類した13種類の

時間関係に基づくものである。この操作TM̲Order.relativePositionは,TM̲Primitiveに対して,

次に示すTM̲RelativePositionの値を戻さなければならない。 

a) このTM̲Primitiveとotherとで指定したものが両方ともTM̲Instantである場合,この操作

は,次に示すTM̲RelativePositionの値を戻さなければならない。 

戻り値 

条件 

Before 

self.position<other.position 

    Equals 

self.position=other.position 

After 

self.position>other.position 

b) このTM̲PrimitiveがTM̲Periodであり,otherで指定したものがTM̲Instantである場合,

この操作は,次に示すTM̲RelativePositionの値を戻さなければならない。 

戻り値 

条件 

background image

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

Before 

self.end.position < other.position 

EndedBy 

self.end.position = other.position 

Contains 

self.begin.position <other.position AND self.end.position >  

other.position 

BegunBy 

self.begin.position = other.position 

After 

self.begin.position > other.position 

c) このTM̲PrimitiveがTM̲Instantであり,otherで指定したものがTM̲Periodである場合,

この操作は,次に示すTM̲RelativePositionの値を戻さなければならない。 

戻り値 

条件 

Before 

self.position<other.begin.position 

Begins 

self.position=other.begin.position 

During 

self.position> other.begin.position AND  

                self.position<other.end.position 

Ends 

self.position=other.end.position 

After 

self.position> other.end.position 

  

図4  TM̲RelativePosition 

d) このTM̲Primitiveとotherとで指定したものが両方ともTM̲Periodである場合,この操作は,

次に示すTM̲RelativePositionの値を戻さなければならない。 

戻り値                 条件 

Before 

self.end.position < other.begin.position 

Meets 

self.end.position = other.begin.position 

Overlaps 

self.begin.position<other.begin.position AND self.end.position >          

other.begin.position AND self.end.position < other.end.position 

Begins 

self.begin.position = other.begin.position AND self.end.position < oth-

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er.end.position 

BegunBy 

self.begin.position = other.begin.position AND 

self.end.position>other.end.position 

During 

self.begin.position > other.begin.position AND self.end.position < oth-

er.end.position 

Contains 

self.begin.position < other.begin.position AND self.end.position >oth-

er.end.position 

Equals 

self.begin.position=other.begin.positionAND 

self.end.position=other.end.position 

OverlappedBy 

self.begin.position > other.begin.position AND self.begin.position < 

other.end.position AND self.end.position > other.end.position 

Ends 

self.begin.position > other.begin.position AND self.end.position 

=other.end.position 

EndedBy 

self.begin.position < other.begin.position AND self.end.position= oth-

er.end.position 

MetBy 

self.begin.position = other.end.position 

After 

self.begin.position > other.end.position 

 TM̲Positionによる入力値のいずれかが不定である場合,この操作は,例外処理を起動しなけれ

ばならない。 

5.2.3.6 TM̲Separation TM̲GeometricPrimitiveは,長さと距離とを計算するための操作を規定

するTM̲Separationとの依存関係ももつ。TM̲Duration(図5参照)はこれらの操作の戻り値と

なるデータ型とする。 

a) length():TM̲Durationは,このTM̲GeometricPrimitiveの持続時間を戻さなければならない。

TM̲Instantの持続時間は,定義によって0とする。TM̲GeometricPrimitiveがTM̲Period

のときは,TM̲Periodのbegin及びTM̲Periodのendで指定する時間位置の間の距離を戻さ

なければならない。この操作は,いずれかのTM̲TemporalPositionの値が不確定の場合,又

はこれらのTM̲TemporalPositionがTM̲OrdinalReferenceSystemを参照する場合,例外処理

を起動する。 

b) distance(other:TM̲GeometricPrimitive):TM̲Durationは,このTM̲GeometricPrimitiveか

らもう一つのTM̲GeometricPrimitiveまでの距離,すなわち,それらの時間位置の差の絶対

値を戻さなければならない。二つのTM̲GeometricPrimitiveの距離は,最も近い

TM̲TemporalPosition間の距離とする。いずれかのTM̲GeometricPrimitiveが他方に連結,

重複又は包含されている場合には,この操作は0を戻さなければならない。この操作は,(1)

二つのTM̲TemporalPositionのいずれか一方が不確定な場合,(2)二つの

TM̲TemporalPositionが同じTM̲ReferenceSystemに関連しない場合,又は(3)いずれか

のTM̲TemporalPositionがTM̲OrdinalReferenceSystemに関連する場合には,例外処理を

起動する。 

5.2.3.7 TM̲Duration TM̲Duration(図5参照)は,時間次元における長さ又は距離を記述する

ために使うデータ型とする。これは二つの下位型をもつ。 

 TM̲PeriodDurationは,期間の長さに関する情報を交換するためにJIS X 0301によって規定し

た形式を使用する。この形式によって期間の長さは,年,月,日,時,分,秒の複数の時間単位用

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語を用いて具体的に表現できる。個々の単位に対する値は必す(須)ではないが,少なくとも一つの

単位に対する値は設定しなければならない。 

属性 

a) designator:CharacterString = P は必す要素とし,この文字以降に続く文字列が期間の持続時

間を表現することを示す。 

b) years[0..1]:CharacterString は正の整数値とし,文字“Y”が続く文字列は期間に含まれる

年(year)の数を表す。 

c) months[0..1]:CharacterString は正の整数値とし,文字“M”が続く文字列は期間に含まれ

る月(month)の数を表す。 

d) days[0..1]:CharacterString は正の整数値とし,文字“D”が続く文字列は期間に含まれる

日(day)の数を表す。 

e) timeIndicator[0..1]:CharacterString =Tは,列が1日より短い時間単位の値を含むときは,

常にまず指定さなければならない。 

f) hours[0..1]:CharacterStringは正の整数値とし,文字“H”が続く文字列は期間に含まれる

時間(hour)の数を表す。 

g) minutes[0..1]:CharacterStringは正の整数値とし,文字“M”が続く文字列は期間に含まれ

る分(minute)の数を表す。 

h) seconds[0..1]:CharacterStringは正の整数値とし,文字“S”が続く文字列は期間に含まれ

る秒(second)の数を表す。 

最も右に指定した単位の値は,正の整数値ではなく正の10進小数値で表現してもよい。 

 例 5日4時間30.7分という期間の長さは,P5DT4H30.7Mと表す。 

 備考 この形式はJIS X 0301の中で,グレゴリオ暦及び協定世界時(UTC)の日付とともに使

用するために定義されたものであるが,二つの時点が,年月日によって記述した暦及び時

分秒とによって記述した時計を参照するときは,常に長さ及び距離を表現するデータ型と
してTM̲PeriodDurationを用いてもよい。 

  

図5 TM̲Duration 

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 このUML図に示すTM̲IntervalLengthは,ISO/IEC 11404によって規定された,時間間隔を

示すデータ型による。これは,一つの時間単位の倍数を指定することによる持続時間の表現を可能
にする。 

属性 

a) unit:CharacterStringは,時間間隔を表現するために使用した測定単位の名称を示す。 

b) radix:Integerは,正の整数値とし,時間単位となる乗数の基底となる。 

c) factor:Integerは,整数値とし,基底のべき乗を行う指数を示す。ただし,factorの符号は反転

する。d)を参照。 

d) value:Integerは,整数値とし,指定した単位値(基底radixの(-factor)乗の値)の倍数とし

て時間間隔の長さを表す。 

 例 unit = "second", radix = 10, factor = 3, value = 7と指定することによって  7 ミリ秒

(milliseconds)という時間間隔を示す。 

5.2.4 時間位相オブジェクト 

5.2.4.1 一般 位相は,オブジェクト間の時間連結性に関する情報を示すと共に,ときとして,位

相は,時間における地物の順序についての情報を示すこともできる。他方,位相は,時間位置に関

する情報は示さない。位相関係は幾何情報から導出できる場合もあるが,時間位置に関するデータ

は必ずしもこの導出には適していないため,位相について明確に記述することが必要となることも

ある。また,たとえそれが導出可能なものであっても,位相関係を明確に記述していることが要件
となる場合には,位相を用いてもよい。 

 例 単一の順序年代において,幾つかの事象及び状態の順序を観測することは可能かもしれない

が,順序時間参照系では,これらの事象及び状態について明確な時間の割り当てはしない。

これらの事象及び状態の順序は,位相プリミティブを用いてモデル化することによって記述
できる。 

5.2.4.2 TM̲TopologicalPrimitive TM̲TopologicalPrimitiveは,単独で不可分な位相要素を表現

し,位相複体中の位相プリミティブとの関連も表現する。時間情報に該当する二つの位相プリミテ

ィブがあるが,その内の一つは零次元のノードであり,他の一つは一次元のエッジである。時間ス
キーマにおいては,これらは,TM̲TopologicalPrimitiveの下位クラスであるTM̲Node及び

TM̲Edgeで表す(図6参照)。応用システムが時間連結性に関する情報とともに時間位置に関する

情報をもつ場合,TM̲TopologicalPrimitiveは,同じ次元のTM̲GeometricPrimitiveと関連をも

つ。 

TM̲TopologicalComplex

TM̲TopologicalPrimitive

+complex

0..*

+primitive

1..*

Complex

TM̲Order

TM̲Primitive

TM̲Edge

TM̲Node

+previousEdge

0..*

+end

1..1

Termination

+nextEdge

0..*

+start

1..1

Initiation

TM̲Period

TM̲Instant

+topology0..1

+geometry0..1

Realization

+topology

0..1

+geometry

0..1

Realization

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図6  時間の位相 

位相プリミティブは,連結性に関する情報を示すことを意図したものであるため,互いを結びつけ
る関連が,その最も重要な特性となる。また,すべてのTM̲TopologicalPrimitiveは, 

TM̲TopologicalComplexの要素となることができる。 

5.2.4.3 TM̲Node TM̲Nodeは時間における零次元位相プリミティブとする。その幾何的実現は

TM̲Instantと対応する。 

関連 TM̲Nodeは,次の三つの関連を利用可能にしなければならない。 

a) Initiation関連は,このTM̲Nodeを始点にもつTM̲Edge(端点nextEdgeの先につながる)

と,このTM̲Nodeとを結びつけなければならない。 

b) Termination関連は,このTM̲Nodeを終点にもつTM̲Edge(端点previoueEdgeの先につな

がる)と,このTM̲Nodeとを結びつけなければならない。 

c) Realization関連は,このTM̲Nodeと,これに対応するTM̲Instantとを結びつける省略可能

な関連とする。この関連の端にあるgeometryによって一つのTM̲Instantと関連してよいの

は,たかだか一つのTM̲Nodeとし,この関連の端にあるtopologyによって一つのTM̲Node

と関連してよいのは,たかだか一つのTM̲Instantとする。 

5.2.4.4 TM̲Edge TM̲Edgeは時間における一次元位相要素とする。TM̲EdgeはTM̲Periodと

対応する。 

関連: TM̲Edgeは,次の三つの関連を利用可能にしなければならない。 

a) Initiation関連は,このTM̲Edgeの始点となるTM̲Node(端点startの先につながる)と,

このTM̲Edgeとを結びつけなければならない。TM̲Edgeは,一つのそして唯一の始点ノー

ドをもたなければならない。 

b) Termination関連は,このTM̲Edgeの終点となるTM̲Node(端点 end)と,そのTM̲Edge

となるTM̲Nodeとを結びつけなければならない。一つのTM̲Edgeは,一つのそして唯一の

終点ノードをもたなければならない。 

c) Realization関連は,このTM̲Edgeと,これに対応するTM̲Period(端点geometryの先につ

ながる)とを結びつける省略可能な関連とする。この関連の端にあるgeometryによって一つ

のTM̲Periodと関連することができるのは唯一のTM̲Edgeとし,topologyによって一つの

TM̲Edgeと関連することができるのは唯一のTM̲Periodとする。 

5.2.4.5 TM̲TopologicalComplex 位相複体は,連結した位相プリミティブの集合とする。位相プ

リミティブは,常に一つ以上の位相プリミティブに連結しているため,常に位相複体に属する。こ

のスキーマにおいて,時間位相複体は,TM̲TopologicalComplexで表す。 

関連 

a) Complex関連は,TM̲TopologicalComplexが含むTM̲TopologicalPrimitives(端点primitive

の先につながる)の集合とTM̲TopologicalComplexとを結びつける。TM̲TopologicalComplex

中のTM̲Edgeは二つのTM̲Nodeに結びつくので,その複体中には最低二つのTM̲Nodeが

存在する。 

5.2.4.6 線形グラフ及び非線形グラフ 

5.2.4.6.1 非線形グラフ  Initiation関連及びTermination関連のTM̲Edge側の端における多重

度(図6参照)によって,非線形位相を表すことができる。一つのTM̲Nodeは,複数のTM̲Edge

の開始ノード又は終了ノードになり得る。一つの開始ノード又は一つの終了ノードを共有する複数
のTM̲Edgeは,異なった地物の時間特性又は同じ地物における異なった時間特性のいずれかを表

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現するために,何らかの方法で分離したものとみなす。 

 備考 時間の非線形位相は,空間における非平面位相に類似している。双方共,交叉,又は重複

しているように見える二つの位相要素は,測度のない次元を付加すれば分離したものにな
ると考えられる。 

5.2.4.6.2 線形グラフ 時間は単一次元であるため,時間位相は線形グラフとして表現することが

望ましい。線形位相においてTM̲TopologicalComplexは,TM̲EdgeとTM̲Nodeとが交互に出現

するようなTM̲Primitiveの列とする。その列の最初の要素は,最初のTM̲Edgeの開始ノードと

してのTM̲Nodeであり,最後の要素は,最後のTM̲Edgeの終了ノードとしてのTM̲Nodeとな

る。応用スキーマにおいて線形位相であるという制約を設けるためには,TM̲EdgeのInitiation

関連及びTermination関連における終端の多重度を 0..1 に制限しなければならない。それによっ

て,両端以外のすべてのTM̲Nodeは,必ずpreviousEdge及び nextEdgeという二つのTM̲Edge

をもたなければならないこととなる。 

5.2.4.7 TM̲Order TM̲TopologicalPrimitiveはTM̲Primitiveを通じて,TM̲Orderを継承す

る。TM̲Orderは,このTM̲Primitiveの,他のTM̲Primitiveからの相対的な位置を測定するた

めの操作を規定する。 

操作 

a)  RelativePosition (other:TM̲Primitive) : TM̲RelativePositionは,TM̲Primitiveを入力値

として受け付け,次に示すように,TM̲RelativePositionを戻さなければならない。 

 二つのTM̲TopologicalPrimitiveの相対位置は,これらを含むTM̲TopologicalComplexの

TM̲TopologicalPrimitiveの列の中におけるそれぞれの位置に依存する。TM̲TopologicalPrimitive

に対するこの操作は,次に示す列挙型のTM̲RelativePosition(図4参照)の値を返さなければな

らない。 

 戻り値      条件 

Before 

このTM̲TopologicalPrimitiveは,otherで指定したものより以前として順序づけられ,

Initiation関連及びTermination関連をもたない。 

Meets 

二つのTM̲TopologicalPrimitiveは,共通のTM̲Nodeと関連をもったTM̲Edgeとし,

このTM̲Edgeは,TM̲NodeのpreviousEdgeとしてTermination関連をもち,other

で指定したTM̲Edgeは,TM̲NodeのnextEdgeとしてInitiation関連をもつ。 

Begins 

このTM̲TopologicalPrimitiveはTM̲Node,otherで指定したものはTM̲Edgeとし,

二つはInitiation関連をもつ。 

BegunBy このTM̲TopologicalPrimitiveはTM̲Edge,otherで指定したものはTM̲Nodeとし,

二つはInitiation関連をもつ。 

Equals 

このTM̲TopologicalPrimitiveとotherで指定したものは,同一とする。 

Ends 

このTM̲TopologicalPrimitiveはTM̲Node,otherで指定したものはTM̲Edgeとし,

二つはTermination関連をもつ。 

EndedBy このTM̲TopologicalPrimitiveはTM̲Edge,otherで指定したものはTM̲Nodeとし,

二つはTermination関連をもつ。 

MetBy 

二つのTM̲TopologicalPrimitiveは共通のTM̲Nodeと関連をもったTM̲Edgeとし,

このTM̲EdgeはTM̲NodeのnextEdgeとしてInitiation関連をもち,otherで指定し

たTM̲EdgeはTM̲NodeのpreviousEdgeとしてTermination関連をもつ。 

After 

このTM̲TopologicalPrimitiveは,otherで指定したものより以後に順序づけられ,

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

Initiation関連及びTermination関連をもたない。 

二つのTM̲TopologicalPrimitiveが同じTM̲TopologicalComplexのなかに存在しないとき,こ

の操作は,例外処理を起動する。 

5.3 

時間参照系  

5.3.1 時間参照系の型 時間領域における値は,時間参照系型(TM̲ReferenceSystem)との関係の

基に測定した時間上の位置とする。JIS X 0301は,情報交換のためにグレゴリオ暦及び24時制地

方時又は協定世界時(UTC)の使用を規定しており,地理情報においては,これらを基本時間参照

系として使用しなければならない。異なる時間参照系が地理情報の応用システムにとって適切と考

えられる場合がある。その場合,地物カタログ又は応用スキーマ及びデータ集合と関連するメタデ

ータに,時間参照系について記述した文書の引用又はその参照系に関する記述が含まれていなけれ

ばならない。単一の地物カタログ,応用スキーマ又はデータ集合の中で複数の時間参照系を使用す

るときは,それぞれの時間特性の定義の中で,使用する時間参照系を明確に識別しなければならな

い。ここでは,時間参照系の記述のための基礎となる概念スキーマを規定する。附属書C(規定)

には,この概念スキーマから導いた,時間参照系を記述するときに用いなければならないメタデー
タ要素を定義する。 

図7  時間参照系 

 時間参照系パッケージは,時間参照系の三つの共通型,すなわち,暦型(TM̲Calendar,より高

い分解能を求める場合は,時計型(TM̲Clock)と共に用いる。),時間座標系型

(TM̲CoordinateSystem)及び順序時間参照系型(TM̲ordinalReferenceSystem)を含む(図7参照)。 

TM̲ReferenceSystemは,次の属性を含まなければならない。 

a) name:RS̲Identifierは,この時間参照系を他と識別するための名称を示さなくてはならない。

データ型RS̲Identifierは,ISO 19111の定義による。 

b) domainOfValidity:EX̲Extentは,TM̲ReferenceSystemが適用可能である空間及び時間の範

囲を明らかにしなければならない。データ型EX̲Extentは,ISO TS 19103の規定による。こ

れは空間及び時間の両方の範囲を記述してもよい。有効範囲がデータ集合全体の範囲よりも小
さいようなTM̲ReferenceSystemを参照するTM̲TemporalPositionを応用スキーマが含む場

合は,この属性を使用しなければならない。 

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X7108:2004(ISO 19108:2002) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 三つの参照系の型のスキーマを,5.3.2,5.3.3及び5.3.4に示す。 

5.3.2 暦及び時計 

5.3.2.1 一般 暦型(TM̲Calendar)と時計型(TM̲Clock)とは,共に間隔尺度に基づいている。

暦は,離散的な時間参照系であり,一日の分解能で時間位置を定義するための基礎となる。時計は,

一日の中の時間位置を定義するための基礎となる。指定した日の中の時間位置を完全に記述するた
めに時計を用いるときは,暦と共に用いなければならない。図8には,TM̲Calendar及びTM̲Clock

の詳細を示す。 

 暦はさまざまな複合的内部構造をもつ。このスキーマでは,単純な外部の暦インタフェースを定
義する。附属書D(参考)には,暦の内部構造をより詳細に示す 

 すべての暦では,年,月,日などの要素の集まりで暦日を構成するための,規則の集合を規定す

る。すべての暦において,年は暦年代を定義する参照事象日から数える。一つの暦は,複数の暦年

代を参照してもよい(例として,D.3.1とD.3.2を参照) 

図8 暦及び時計 

5.3.2.2 暦年代 TM̲CalendarEraは,次の属性を含まなければならない: 

a) name:CharacterStringは,この暦に含まれる暦年代を一意に識別する文字列でなければなら

ない。 

b) referenceEvent:CharacterStringは,暦年代の基本となる尺度の位置を決定する,神話的又は

歴史的事象の名称又は記述を,文字列で保持しなければならない。 

c) referenceDate:TM̲CalDateは,任意の暦においてreferenceEventの日を表した日付を示さな

ければならない。多くの暦では,この日付は,尺度の原点(すなわち初日)であるが,そうで
ない場合もある。 

d) julianReference:JulianDateは,参照日付に対応するユリウス日を保持する。 

e) epochOfUse:TM̲Periodは,この暦年代が日付の基礎として使用した期間を定義しなければな

らない。TM̲Periodの始点及び終点のデータ型はJulianDate(5.4.5.2参照)でなければなら

ない。 

関連 

a) Basis関連のdatingSystemは,このTM̲CalendarEraに,このTM̲CalendarEraを日付の

ための参照として用いているTM̲Calendarと結びつけなければならない。 

 参考 TM̲Calendarは,一つ以上のTM̲CalendarEraを参照している。これは,例えば“和暦”

という暦要素の中に,“昭和”,“平成”などの複数の暦年代要素を含むことが可能であるこ

TM̲CalendarEra

+ name : CharacterString
+ referenceEvent : CharacterString
+ referenceDate : TM̲CalDate
+ julianReference : JulianDate
+ epochOfUse : TM̲Period

TM̲Calendar

+ dateTrans(calDate : TM̲CalDate, time : TM̲ClockTime) : JulianDate
+ julTrans(jdt : JulianDate) : TM̲CalDate

1..*

1..*

+referenceFrame

1..*

+datingSystem

1..*

Basis

TM̲Clock

+ referenceEvent : CharacterString
+ referenceTime : TM̲ClockTime
+ utcReference : TM̲ClockTime

+ clktrans(uTime : TM̲ClockTime) : TM̲ClockTime
+ utcTrans(clkTime : TM̲ClockTime) : TM̲ClockTime

0..1

0..*

Resolution

+timeBasis

+dateBasis

0..1

17 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

とを意味する。 

5.3.2.3 暦 TM̲Calendarは,次の操作を利用可能にしなければならない: 

a) dateTrans (calDate:TM̲CalDate,time:TM̲ClockTime):JulianDate は,入力として,指定し

た暦における日付と指定した時計における時刻を受け付け,出力としてユリウス日を返さなけ

ればならない。 

b) julTrans (jdt:JulianDate):TM̲CalDate  は,入力としてユリウス日を受け付け,出力として

この暦における日付を返さなければならない。 

 備考 ユリウス日の体系は,それ以外に知られているいかなる暦よりも古い原点をもつ時間参照

系になる。ユリウス日を介した変換によって,比較的単純な原理で,ある暦から別の暦に

日付を変換することができる。個々の暦の内部構造の記述は,使用者がこれらの操作を実

装することが可能となるための十分な情報を含まなければならない。それは,暦に関連付

けられる各暦年代の記述を含まなければならず,暦の日付をユリウス日に対応づけるため
に必要な情報を示さなければならない。 

関連  

a) Basis関連は,このTM̲Calendarを,日付を割り当てるために参照する複数の

TM̲CalendarEra(端点 referenceFrameの先につながる)に結びつける。 

b) Resolution関連は,このTM̲Calendarを,最小の暦間隔内の時点を特定するために用いられ

るTM̲Clock(端点timeBasisの先につながる)に結びつける。 

5.3.2.4 時計 TM̲Clockは,次の属性を含まなければならない。 

a) referenceEvent:CharacterStringは,太陽の正中,日の出などの時計の基本となる尺度となる

位置を決定する事象の名称又は記述を示さなければならない。 

b) referenceTime:TM̲ClockTimeは,指定された時計において表現する参照事象の時刻を示さな

ければならない。参照時刻は,通常時計尺度の原点とする。 

c) utcReference:TM̲ClockTimeは,参照時刻に対応する24時制地方時又は協定世界時を示さな

ければならない。 

 参考 日本国内における24時制地方時は日本標準時であり,協定世界時(UTC)より9時間進

んでいる。 

関連  

a) Resolution関連は,このTM̲Clockに,このTM̲Clockを参照するTM̲Calendar(端点

dateBasisの先につながる)を結びつける。 

 TM̲Clockは,次の操作を利用可能にしなければならない: 

a) clkTrans(uTime:TM̲ClockTime):TM̲ClockTime は,24時制地方時又は協定世界時で表現し

た時刻を入力とし,この時計での時刻を返さなければならない。 

b) utcTrans(clkTime:TM̲ClockTime):TM̲ClockTime は,この時計で表現した時刻を入力とし,

24時制地方時又は協定世界時を返さなければならない。 

5.3.3 時間座標系 暦日及び時刻によって時点を指定すると,時点同士の距離の計算及び時間操作

の関数表現が複雑になる。時間座標系はこの種の応用システムを支援するために使用することがあ 

る。時間座標系は,単一の時間間隔によって定義する連続な間隔尺度を基礎としなければならない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図9  時間座標系 

 TM̲CoordinateSystem(図9)は,次の二つの属性を含まなければならない。 

a) origin:DateTimeは,尺度の原点を保持しなければならない。原点は,グレゴリオ暦による日

付及び協定世界時による時刻とで規定しなければならない。DateTimeは,適切な分解能に丸

められる。 

b) interval:CharacterStringは,尺度の基本的な間隔として使用する単一の測定単位の名前を保

持しなければならない。時間間隔は,応用システムにとって適切な間隔を選択してよいが,そ
の指定はJIS Z 8202-1によって規定された時間の測定単位の中にあるもの,又はJIS Z 8203

で規定したその測定単位の組合せでなければならない。 

 TM̲CoordinateSystemは,次の操作を利用可能にしなければならない。 

a) transformCoord(c̲value:TM̲Coordinate):DateTime は,この時間座標系の座標値を入力とし,

対応する日時をグレゴリオ暦及び協定世界時で返さなければならない。 

b) transformDateTime(dateTime:DateTime):TM̲Coordinateは,グレゴリオ暦及び協定世界時

で指定された日時を入力とし,この時間座標系の座標値を返さなければならない。 

5.3.4 順序時間参照系 地質学,考古学など多くの地理情報の応用事例では,その期間の長さより

も,時間の相対的な位置のほうが正確に知られている。事象の時間順序は確定できるが,それらの
間隔の長さが正確に決められない場合は,順序時間参照系を適用する。 

 順序時間参照系は,順序性による尺度をその基礎とする。最も単純な形式では,順序時間参照系

は順序付けられた事象の列となる。一般に,特定の事象の列は,一つの位置と関連付ける。異なる

位置の時間の関係は,一つの位置で起きた複数の事象と別の位置で起きた複数の事象との間の時間

的特性ではない相互関係の程度によって決めることができる。このような相互関係によって,同様

の事象が起こった期間について定義するための,より広はんな基準に基づいた時間参照系を開発す
ることができる。順序年代という用語は,このような期間を参照するために,この規格で使用する。 

 順序時間参照系は,順序年代の集合で構成する(図10参照)。順序参照系は,ときとして,ある

階層レベルにおける順序年代が,より短い連続した順序年代の列を含むというように,階層構造を
とる。 

  

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図10  順序時間参照系 

 TM̲OrdinalReferenceSystemは,TM̲ReferenceSystemから継承した属性だけをもつ。

Structure関連は,階層の最上位層のTM̲OrdinalEra(端点componentの先につながる)の列を

指す。 

 TM̲OrdinalEraは,次の三つの属性をもつ。 

a) name:CharacterStringは,TM̲OrdinalReferenceSystemの中において,この順序年代を一意

に識別する文字列でなければならない。 

b) begin:DateTimeは,順序年代が始まる時点が既知である場合に指定することができる。

TM̲TemporalPositionはグレゴリオ暦と協定世界時における時刻とで示すDateTimeによっ

て指定しなければならない。DateTimeはJIS X 0301による規定のとおり,適当な分解能で丸

めてもよい。 

c) end:DateTimeは,順序年代が終わる時点が既知である場合に指定することができる。

TM̲TemporalPositionは,グレゴリオ暦と協定世界時における時刻とで示すDateTimeによ

って指定しなければならない。DateTimeはJIS X 0301による規定のとおり,適当な分解能で

丸めてもよい。 

 TM̲OrdinalEraは,TM̲Separationを利用可能にする(5.2.3.6参照)。 

 TM̲OrdinalEraは,Composition関連のmemberによって識別した,より短いTM̲OrdinalEra

の列の集まりであってもよい。 

5.4 

時間位置  

5.4.1 一般 時間位置を特定する方法は,それぞれの時間参照系によって異なった型で規定する。

地理情報に付随して使うことを推奨する参照系は,協定世界時(5.3.1参照)及びグレゴリオ暦の組

合わせで示す。ISO TS 19103は,日付を表示するためのデータ型をJIS X 0301に準拠する文字列

として定義している。JIS X 0301は,グレゴリオ暦及びUTCの利用法を定めている。この規格は,

これ以外の時間参照系で時間位置を指定するために使用しなければいけないデータ型を定義する。 

5.4.2 TM̲Position TM̲Positionは,その属性となるデータ型の一つで構成する共用体クラスと

なる。Date,Time, DateTimeは,ISO TS 19103で定義している基本的なデータ型とする。こ

れらは,日付及び時刻を文字列として符号化するJIS X 0301に適合する。これらのデータ型は,

TM̲Separation

TM̲OrdinalReferenceSystem

TM̲OrdinalEra

+ name : CharacterString

+ begin[0..1] : DateTime
+ end[0..1] : DateTime

1..*

1..1

+component

1..*

+system

1..1

Structure

0..*

1..1

Composition

+member

+group

0..*

1..1

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グレゴリオ暦及びUTCを参照する時間位置を記述するために使用してもよい。

TM̲TemporalPosition及びその下位型は,これ以外の時間参照系を参照する時間位置を記述するた

めに使用しなければならない。5.4.4で定義するデータ型は,日付及び時刻に対応する数値を規定す

る。これらのデータ型は,グレゴリオ暦及びUTCを含め,各種の暦又は時計を参照する時間位置

の記述のために使用してもよい。 

5.4.3 TM̲TemporalPosition TM̲TemporalPositionは,四つの下位クラス(図11参照),

TM̲ReferenceSystemとの関連及び一つの属性をもつ。 

属性 

a) indeterminatePosition:TM̲IndeterminateValueは,任意の属性とする。TM̲TemporalPosition

の下位型を,データ型として使用しない場合,TM̲TemporalPositionは,この属性値だけを示

すことになる。この属性をTM̲TemporalPositionの下位型において使用する場合,それは下位

型が示す特定の時間位置情報の修飾子となる。 

 列挙データ型であるTM̲IndeterminateValueは,不確定な位置のために次の四つの値を規定する。 

a) “unknown”は,親クラスTM̲TemporalPositionとともに使用しなければならず,時間位置

を示す値が与えられていないことを示す。 

b) “now”は,TM̲TemporalPositionの任意の下位型とともに使用しなければならず,既存の値

がアクセスするときにはいつでも現時点の時間位置に置き換えなければならないことを示す。 

c) “before”は,TM̲TemporalPositionの任意の下位型とともに使用しなければならず,実際の

時間位置は分からないが,指定した値よりも前であることを示す。 

d) “after”は,TM̲TemporalPositionの任意の下位型とともに使用しなければならず,実際の

時間位置は分からないが,指定した値よりも後であることを示す。 

  

図11  時間位置のためのデータ型 

TM̲Position

+ anyOther : TM̲TemporalPosition
+ date8601 : Date
+ time8601 : Time

+ dateTime8601 : DateTime

<<Union>>

TM̲IndeterminateValue

+ unknown : Code
+ now : Code
+ before : Code
+ after : Code

<<Enumeration>>

TM̲ClockTime

+ clkTime : Sequence<Number>

<<DataType>>

TM̲ReferenceSystem

TM̲TemporalPosition

+ indeterminatePosition[0..1] : TM̲IndeterminateValue

1..1

0..*

+frame

1..1

+position

Reference

TM̲Coordinate

+ coordinateValue : Number

<<DataType>>

JulianDate

<<DataType>>

TM̲OrdinalEra

TM̲OrdinalPosition

<<DataType>>

1..1

+ordinalPosition

1..1

Reference

TM̲CalDate

+ calDate : Sequence<Integer>
+ calendarEraName : CharacterString

<<DataType>>

TM̲DateAndTime

<<DataType>>

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関連 

a) Reference関連は,TM̲TemporalPositionをTM̲ReferenceSystem(端点frameの先につな

がる)に接続する。TM̲TemporalPositionは,TM̲ReferenceSystemと関連しなければなら

ない。この関連は,インスタンスレベルで明示する必要はない。特に指示がない場合には,

TM̲TemporalPositionは,グレゴリオ暦とUTCとの関連を指す(5.3.1参照)。また,この関

連は,地物カタログの属性型定義,又はデータ集合のためのメタデータで識別することもでき
る。 

5.4.4 暦及び時計で参照する位置 

5.4.4.1 暦日 TM̲CalDateは,ある暦の中で特定した時間位置を表すために使用しなければなら

ないデータ型とする。TM̲CalDateは,次の二つの属性をもつ。 

a) calendarEraName:CharacterStringは,日付が参照する暦年代の名称を示す。 

b) calDate:Sequence <Integer>は,正の整数の列で,最初の整数は,暦における階層の最上位レ

ベルで使う単位の特定のインスタンスを示す。二番目の整数は,暦における階層の二番目のレ
ベルで使う単位の特定のインスタンスを示し,以下同様に続く。JIS X 0301で定義しているグ

レゴリオ暦における日付を示すための形式は,年,月,日の値によって構成するあらゆる日付
を示すために使用してもよい。 

 例 グレゴリオ暦において,整数列“1999,09,03”は,1999年の第9月の第3日として時間位

置を示す。これは,JIS X 0301では“19990903”という形式で表す。 

5.4.4.2 時刻 TM̲ClockTimeは,一日の中の時間位置を識別するために使わなければならないデ

ータ型である。TM̲ClockTimeは,それだけでは一つの時間位置を完全に識別することはできない

ため,TM̲CalDateとともに使用しなければならない。また,毎日繰り返す事象が発生した時刻を

識別するために使用してもよい。TM̲ClockTimeは,次の一つの時間属性をもつ。 

a) clkTime : Sequence <Number>は,calDateと類似した構造の正数の列を規定する。最初の正

数は,時計の階層の中で最上位レベルに使う単位の特定のインスタンスを示し,2番目の数は

2番目のレベルに使う単位を示し,以下,同様に続く。最後の数以外は整数でなければならず,

最後の数は整数又は実数のいずれでもよい。 

 例 現代の24時制では,列“22,15,30.5”は,22番目の時の15番目の分から30.5秒たった時

間位置を示す。これはJIS X 0301では“221530.5”という形式で表す。 

5.4.4.3 時刻を伴った日付 TM̲DateAndTimeは,TM̲CalDate及びTM̲ClockTimeの両方のク

ラスの下位型とし,一日よりも短い分解能で時間位置を識別する単一のデータ型を示すために,両
方の属性を継承する。 

5.4.5 時間座標系で参照する位置 

5.4.5.1 TM̲Coordinate TM̲Coordinateは,ある時間座標系の中で特定した時間位置を表すため

に使用しなければならないデータ型とする。TM̲Coordinateは,次の一つの属性をもつ。 

a) coordinateValue:Numberは,時間座標系と関連して,原点からの標準間隔の倍数として表現

する距離を保持する。 

5.4.5.2 ユリウス日 ユリウス日数の体系は,ユリウス暦の紀元前4713年1月1日正午を原点に

もつ時間参照系である。ユリウス日数は整数値であるのに対し,ユリウス日は小数値によってより

細かい分解能をもつ。 

5.4.6 順序時間参照系で参照する位置 順序時間参照系では,ある瞬間の時間位置は,それが発生

した最短の(最下層)順序年代の中に位置する。TM̲OrdinalPositionは,順序時間参照系の中で

特定した時間位置を表すために使用しなければならないデータ型とする。TM̲OrdinalPositionは,

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次の一つの属性をもつ。 

a) ordinalPosition: Reference <TM̲OrdinalEra>は,その瞬間が発生した順序年代への参照を示

す。 

 例 表1は,順序時間参照系である地質学上の時間尺度の一部を示す。新生代のある瞬間の時間

位置は,新生代に含まれる完新世などの世の名前によって識別し,中生代のある瞬間の時間
位置は,中生代に含まれる白亜紀などの紀によって識別する。 

  

表1 地質学上の時間尺度 

時代 

紀 

世 

新生代 

第四紀 

完新世 

更新世 

第三紀       

鮮新世 

中新世 

漸新世 

始新世 

暁新世 

中生代 

白亜紀 

ジュラ紀 

三畳紀 

5.5 

時間及び地理情報の構成要素  

5.5.1 地理情報構成要素の時間的な性質 ISO 19109で規定している一般地物モデルでは,地理情

報のメタモデルを規定する。それは,図12に示す地物属性,地物操作及び地物関連のメタクラス

を定義する。これらの構成要素は,それぞれ時間的な特性をもつことができる。ISO 19109では,

応用スキーマにおいて,これらのメタクラスをインスタンス化するための規則を規定している。
5.5.2〜5.5.4では,一般地物モデルにおける幾つかのメタクラスの時間的特性としての下位型を示

す。また,そこではこれらの構成要素が時間的情報をもつときに使用する規則の拡張も規定する。
附属書B(参考)には,これらのクラス及び規則を応用スキーマの中で使うときの方法の実例を示

す。 

 ISO 19110は,地物カタログを作成するための規則を規定しており,地物型,地物属性,地物操

作及び地物関連の定義を含んでいる。5.5.2〜5.5.4では,これらの構成要素が時間的な性質をもつ

場合に,これらを定義するときの必す事項を規定する。 

ISO 19115は,地理情報とともに使用するメタデータ要素の標準的な集合を規定しており,特定の

応用システム及びプロファイルに対応して適切なメタデータ要素の追加定義を行うためのメカニズ
ムを示す。5.5.5では,時間的な性質をもつメタデータ要素を定義するための必須事項を示す。 

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図12  一般地物モデルのメタクラス 

5.5.2 地物の時間属性 地物の時間属性は,時間位置に関連する静的な地物の特性を記述する。ISO 

19109で定義している応用スキーマのための規則に適合し,GF̲TemporalAttributeTypeは,

GF̲FeatureTypeメタクラスをインスタンス化した地物自身のクラスの属性として,応用スキーマ

において正しくインスタンス化しなければならない。ISO 19109で規定している条件のもとでは,

時間属性を属性とする地物型クラスに対応したUMLクラスとしてインスタンス化する。 

 静的な時間特性は,事象及び状態の2種類とする(図13参照)。 

a) 事象は,ある瞬間に起きる動作とする。実際には,大部分の事象は短い時間間隔の中で発生す

るが,その間隔が測定のための解像度より相対的に短いときは瞬間となる。事象についての

GF̲AttributeTypeのvalueTypeは,TM̲Instant,TM̲Node又はTM̲TemporalPositionで

なければならない。 

b) 状態は,ある期間存続する地物又はデータ集合の特性の状況とする。その特性は,地物属性及

びメタデータ要素によって表現できる。状態を記述するGF̲TemporalAttributeTypeは二つの

方法でインスタンス化できる。単純な場合は,地物型を表すクラスの属性としてインスタンス
化しなければならない。そのGF̲AttributeTypeのvalueTypeは,TM̲Period又はTM̲Edge

のいずれかでなければならない。より多くの情報が必要なときには,状態を表現する

GF̲TemporalAttributeTypeは,一つのUMLクラスとしてインスタンス化しなければならな

い。そのクラスは, Beginning関連及びEnding関連を継承したTM̲Periodの下位型,又は

Initiation関連及びTermination関連を継承したTM̲Edgeの下位型でなければならない。状

態の特性については,そのクラスの一つ以上の属性によって記述しなければならない。その繰

返しは,地物型クラスとの関連における終端の多重度によって示さなければならない。状態の

変化は,状態を開始又は終了する事象と関連することも多い。その事象は,状態を表現するク
ラスの属性によって識別しれなければならない。 

 一つの事象は複数の瞬間を繰返すものでもよい。また,一つの状態は複数の期間を繰り返すもの

GF̲AttributeType

+ valueType : TypeName

+ domainOfValues : CharacterString

+ cardinality : Multiplicity

<<Metaclass>>

GF̲Operation

+ signature : CharacterString

<<Metaclass>>

GF̲PropertyType

+ memberName : LocalName

+ definition : CharacterString

<<Metaclass>>

GF̲FeatureType

+ typeName : LocalName

+ definition : CharacterString

+ isAbstract : Boolean = false

<<Metaclass>>

0..*

1..1

+carrierOfCharacteristics

0..*

GF̲AssociationRole

+ valueType : TypeName
+ cardinality : Multiplicity

<<Metaclass>>

GF̲AssociationType

<<Metaclass>>

0..*

0..*

+linkBetween

0..*

+memberOf

1..*

1..1

1..*

1..1

1..1

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でもよい。GF̲AttributeType.cardinalityでは,応用スキーマにおいて許容する繰返し数を規定し

なければならない。 

図13  地物の時間属性型 

 事象及び状態は,しばしば規則的に繰り返す。隣り合う二つの継続的に発生する事象又は状態の

間の長さは,周期長となる。地物の時間属性で繰返し現象を記述するとき,応用スキーマの中では,
それは地物型クラスに関連するUMLクラスとしてインスタンス化しなければならない。このクラ

スは,少なくとも二つの属性をもつ。一つは,事象が起きた瞬間を示すか,又は属性の主題値が有

効である期間の長さを示す。もう一つは,事象又は状態の発生の周期長を示す。周期長の値を表現
するときは,TM̲Duration(5.2.3.7参照)を用いなければならない。 

 ISO 19110は,地物カタログにおいて,地物属性の記述として含まなければならない要素につい

て規定している。GF̲TemporalAttributeTypeが事象である場合,地物属性定義には,その時間位

置で起こった動作及びその結果を示さなければならない。GF̲TemporalAttributeTypeが状態の場

合は,地物属性定義には,状態の特性を示さなければならない。地物の時間属性では,地物属性値

定義域型の値は“列挙型でない”とする。地物属性値定義域,地物属性値データ型及び地物属性値

測定単位は,瞬間及び期間の時間位置を記述する上で基準とする時間参照系によって決定する。時
間参照系がグレゴリオ暦及びUTCの組合せでない場合は,地物属性値定義域の記述では,使用す

る時間参照系を示さなければならない。地物属性値データ型及び地物属性値測定単位は,その時間
参照系のもとで整合したものでなければならない。 

 参考 地物属性値定義域(Feature Attribute Value Domain),地物属性値定義域型(Feature 

Attribute Value Domain Type),地物属性値データ型(Feature Attribute Value Data 

Type),地物属性値測定単位(Feature Attribute Value Measurement Unit)は,ISO 19110

で定義している要素とする。 

5.5.3 時間地物操作 時間地物操作は動的であり,地物のもつ一つ以上の性質を表す値の変化を時

間の関数として記述する。時間地物操作は,地物操作のシグニチャ(GF̲Operation.signature)の

中に時間を入力パラメタとして含んだ操作として,応用スキーマの中でインスタンス化しなければ
ならない。 

GF̲TemporalAttributeType

<<Metaclass>>

TM̲EventType

<<Metaclass>>

TM̲StateType

<<Metaclass>>

GF̲AttributeType

+ valueType : TypeName

+ domainOfValues : CharacterString
+ cardinality : Multiplicity

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 例 交差点というクラスが与えられたとき,交差点を通る交通量(TrafficFlow)は,次のとおり

UML操作として記述できる。  

      TrafficFlow(tMin:Integer, tMax:Integer, time:TM̲ClockTime) : Integer 

 ISO 19110は,地物カタログにおいて,地物操作を定義するための必要事項を規定している。時

間地物操作の場合,地物操作定義には,操作の戻り値が時間の関数としてどのように変化するのか,

時間の特性によってどのような影響を受けるのかについて記述しなければならない。また,時間を

測定する時間参照系も特定しなければならない。地物操作形式定義では,独立変数の一つとして時

間を含まなければならない。 

 参考  地物操作定義(Feature Operation Definition)及び地物操作形式定義(Feature Operation 

Formal Definition)は,ISO 19110で定義している要素とする。 

5.5.4 時間と地物関連 

5.5.4.1 地物関連の時間的な性質 地物関連は,二つの方法で時間と関係する。ある地物関連は,

互いの地物インスタンス間の時間的な関係に基づいて存在する。また,別の地物関連は,関連とし

て独自の時間特性をもつもので,さまざまな理由によって存在する。 

 例 同時に存在する二つの地物間の関連などが最初の場合であるといえる。このような時間関連

は,他の特性をもたず,関係する地物の型に依存することもない。2番目の場合の例として

は,ある期間,同じ所有者が所有する二つの土地の間の関連がある。この場合,共通の所有

者が関連における重要な要素であり,時間的な要素の重要性は低い。時間地物関連は,例の

最初の場合に該当する。すなわち,それらの関係は,互いの地物インスタンス間の時間的な
関係によって存在する。 

5.5.4.2 時間地物関連 

5.5.4.2.1 一般 時間地物関連は,関連によって結びついた複数の地物の,それぞれの存続期間の

間にある関連についての明確な記述とする。各地物が自己の存続期間を識別する属性をもっている
場合には,二つの地物の存続期間を比較する操作であるTM̲OrderのrelativePositionを用いて時

間地物関連を導出することができる。ある応用システムにとって時間地物関連が重要ならば,応用

スキーマは,規定する各地物に存続期間の属性を付与することが望ましい。時間位置を,暦及び時
計,又は時間参照系のいずれかに基づいて記述する場合は,TM̲Period型をもつ存続期間を使用す

ることができる。時間位置を順序時間参照系に基づいて記述する場合は,TM̲Edge型をもつ存続

期間を使用することが望ましく,応用スキーマでは,存続期間を表現するすべてのTM̲Edgeを含

む非線型グラフとして,TM̲TopologicalComplexをインスタンス化することが望ましい。

TM̲Orderを実現可能としない応用システムに対しても,時間地物関連を明示的に指定してもよい。 

 この規格では,時間地物関連として,単純時間地物関連及び地物継起の二つの下位型を規定する
(図14)。 

5.5.4.2.2 単純時間地物関連 単純時間地物関連は,二つ以上の地物間の相対的な時間位置を識別

し,それ以上の意味はもたない。一般には,この型の関連は,すべての地物インスタンス間に存在
するものであり,ある個別の地物型のためにあるものではない。 

 ISO 19109で定義している応用スキーマのための規則によれば,地物関連は,地物型を表現する

UMLクラス間の関連としてインスタンス化しなければならない。しかし,純粋な時間地物関連は,

通常,地物型から独立となる。もし応用システムが,特定の型をもつ地物の間の時間地物関連だけ

を考慮しているときには,地物型クラス間の関連を表す時間地物関連のインスタンス化は,適切で

あるとしてもよい。しかし,すべての地物型のインスタンス間において,ある型の時間関連に関す

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る情報をもつ必要のある応用スキーマにとっては,不十分な方式となる。また,ある応用スキーマ

によっては,5.5.4.2.1で規定した各関連を導き出すほうがよい。それができない場合の代替手段と

して,スキーマに含まれるすべての地物型の上位型となる地物クラスのインスタンス化を考え,そ

のレベルにおける自分自身への関連として定義する地物関連をインスタンス化することが考えられ

る。 

5.5.4.2.3 地物継起 地物継起とは,地物インスタンスの集合を別の地物インスタンスの集合に置

換することとする。一つの集合には,一つ以上のインスタンスを含んでもよい。置換とは,第一の

集合内にある地物インスタンスの存続期間が終了した時点が,第二の集合内にある地物インスタン

スの存続期間の開始時点となることを意味する。地物継起には空間及び時間の両方の局面があり,

関連ある地物インスタンスが,同じ空間的な位置を異なる時間に特定の順序で占めるということを
表す。 

 地物継起は常に型に依存するというわけではない。すなわち,ある地物インスタンスの型を,常

に決まった地物型のインスタンスで置換するとは限らない。地物継起は,一般地物レベルでモデル
化できるが,地物型のレベルでモデル化できるとは限らない。 

図14  時間地物関連の分類 

 地物継起は,地物置換,地物分裂及び地物融合の3種類とする。地物置換では,一つの地物イン

スタンスを,同じ又は異なる地物型の地物インスタンスに置換する。これは,二つの地物インスタ

GF̲TemporalRelationship

<<Metaclass>>

TM̲SimpleRelationship

<<Metaclass>>

TM̲FeatureSuccession

<<Metaclass>>

GF̲FeatureType

+ typeName : LocalName
+ definition : CharacterString

+ isAbstract : Boolean = false

GF̲AssociationType

<<Metaclass>>

TM̲FeatureSubstitution

<<Metaclass>>

TM̲FeatureDivision

<<Metaclass>>

TM̲FeatureFusion

<<Metaclass>>

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ンス間の一対一の関連を作る。地物分裂では,一つの地物インスタンスが二つ以上の,同じ型の地

物インスタンスへの分割が発生する。これは,地物インスタンス間の一対多の関連を作る。地物融

合では,二つ以上の地物インスタンスを一つの地物インスタンスに併合する。これは地物インスタ

ンス間に多対一の関連を作る。単一の事象によっては,これらを組み合わせた形式の継起となって

もよい。その場合,次の四つの組合せができる。 

― 分裂及び置換 

― 融合及び分裂 

― 融合,置換及び分裂 

― 置換及び融合 

 例 林の一部を空き地にして,これを駐車場にすることは,“分裂及び置換”の例である。 牧

草地に隣接している林を開墾して,これらを合わせて牧草地を広げることは,“置換及び融合”

の例である。 

 備考 一つの地物の特性が変化することは,それ自体では地物継起とみなすことができない。例

えば,賃貸者数という属性をもつ建物という地物型を考える。この属性の値は,たえず更

新するが,それによって,ある建物インスタンスが別の建物インスタンスに置換したとは

考えない。ある地物インスタンスが以前から存在した地物インスタンスに置き換わったと

みなすために必要となる変化の度合いは,応用システムに依存する。一般的な規則として
は,地物の識別子が変わったときに置換が起こると考えてもよい。 

 継起関連は,TM̲OrderのrelativePositionを,ISO 19107で定義している一つ以上の空間操作

とともに使用することによって導き出すことができる。 

 地物継起型における時間地物関連は,地物クラス間のUML関連として又ははん用地物クラスの

自己関連として,応用スキーマの中でインスタンス化する。名前,役割及び多重度はそれぞれの継

起の型によって異なったものでなければならない。役割名は,一つの地物が別のものに引き継ぐ順

序を示さなければならない。継起が起きた時間を含めるためには,応用スキーマは発生時刻を示す
属性のついたUML関連クラスとして継起関連を表現しなければならない。 

5.5.4.3 地物関連の時間特性 地物関連の時間特性は,通常,関連の始まり又は終わりの瞬間ない

しそれが継続している期間に関する情報を示す。時間地物属性又は時間メタデータ要素のように,
それらは事象又は状態を記述する。時間特性をもつ地物関連は,UML関連クラスとしてインスタ

ンス化しなければならない。時間特性は,TM̲Event又はTM̲Stateメタクラス(5.5.2参照)を

インスタンス化する属性として表現しなければならない。 

5.5.5 時間メタデータ要素 ISO 19115は,地理情報のための標準的なメタデータ要素の集合を定

義している。また,応用スキーマ(図15参照)の中で補助的なメタデータ要素を定義するための

方法も規定している。時間メタデータ要素は,時間地物属性と類似している。両者とも,時間位置

に関連する静的な特性,すなわち事象又は状態を記述するが,地物属性が地物インスタンスとして

抽象化された実世界の特性を記述するのに対し,メタデータ要素は,データの特性を記述する点が

異なる。メタデータ要素によって記述するデータの適用範囲は,複数のデータ集合の集まりに関す
るものから,一つの地物の一つの特性に関するものまでの幅をもつことができる。 

 時間メタデータ要素が事象を記述するときは,名前及び定義にはその時間位置を規定する動作及

び分解能を示さなければならない。メタデータ要素の値は,TM̲Instant若しくは

TM̲TemporalPositionのインスタンス,又はTM̲TemporalPositionの下位型の一つのインスタン

スでなければならない。 

時間メタデータ要素が状態を記述するときは,名前及び定義は,状態の特性を記述しなければなら

background image

28 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ない。メタデータ要素の値は,TM̲Periodでなければならない。 

  

図15  拡張したメタデータ要素 

 もし,メタデータ要素がグレゴリオ暦及びUTCの組合せを参照しないとき,その定義は,使用

する時間参照系の識別が可能となるようにしなければならない。 

  

29 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書 A(規定) 抽象試験項目群 

A.1 データ転送のための応用スキーマ 

a) 試験目的 データ転送のための応用スキーマが,規定した要件に従って地物の時間属性,時間

関連及び時間メタデータ要素を定義していることを確かめる。 

b) 試験方法 応用スキーマ中に含む地物の時間属性及び時間関連の表現に関する定義が,時間属

性又はその値を表現する時間オブジェクトの使用に対する要件を満たすことを検査しなければ

ならない。応用スキーマの中で定義する,どの時間メタデータ要素も要件を満たすことを保証

しなければならない。すべての必要な属性及び時間オブジェクト間の関連を実装し,任意の属

性又は関連を要件に従って実装していることを保証すること。必要なデータ型を時間位置の値

のために使用していることを確かめる。 

c) 参照 5.2,5.4,5.5.2,5.5.4.2,5.5.5 

d) 試験種類 基本 

A.2 操作を伴うデータに関する応用スキーマ 

a) 試験目的 データ操作を利用可能とする応用スキーマは,時間地物操作を定義するA.1の要件

を満たすものであり,指定した要件に従って時間地物操作を定義し,また,時間オブジェクト

の操作を実装していることを確かめる。 

b) 試験方法 応用スキーマに含まれる時間地物操作の表現が,規定された要件に従っていること

を保証することを検査する。応用スキーマに含まれる地物の時間属性の表現が,時間属性又は

それらの値を表現するために使用する時間オブジェクトのいかなる操作も,要件に従って実装
していることを検査する。 

c) 参照 A.1,5.2,5.5.3,5.5 

d) 試験種類 基本 

A.3 地物カタログ 

a) 試験目的 地物カタログが,規定された要件に従って時間特性を定義していることを確かめる

こと。 

b) 試験方法 カタログを調べる。時間地物属性,時間地物操作又は時間地物関連の定義が要件に

従ったものであることを点検する。時間参照系に関する識別と記述が満足なものであることを
確かめる。 

c) 参照 5.3,5.5.2,5.5.3,5.5.4.2 

d) 試験種類 基本 

A.4 メタデータ要素の仕様 

a) 試験目的 時間メタデータ要素が,規定した要件に従って定義していることを確かめること。 

b) 試験方法 メタデータ仕様におけるメタデータ要素定義が,事象及び状態にとって適切な要件

に従ったものであることを検査する。 

c) 参照 5.5.5 

d) 試験種類 基本 

30 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A.5 データ集合のためのメタデータ 

a) 試験目的 データ集合のためのメタデータが,時間参照系に関して必要な情報を規定している

ことを確かめること。 

b) 試験方法 メタデータを検査する。もし,メタデータに,記述するデータの中に時間位置がグ

レゴリオ暦及び協定世界時を参照しないものがあることを示す場合は,そのデータで使用する

時間参照系の引用又は記述のいずれかを示すことを点検する。各記述において,すべての必要
要素を含むことを確かめる。 

c) 参照 5.3 

d) 試験種類 基本 

  

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31 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書 B(参考) 応用スキーマにおける時間の使用 

序文 この附属書(参考)は,応用スキーマの中で,時間スキーマのクラス及び規則を使うときの

実例を示すものであり,規定の一部ではない。 

B.1 時間地物属性 

B.1.1 データ型としてのTM̲GeometricPrimitive 附属書B図1は,応用スキーマにおける

TM̲GeometricPrimitiveの使用法を示している。地物型 建物をUMLクラスとして表現する。こ

のクラスは,TM̲Instant型の値をとる属性 しゅん(竣)工日と,TM̲Period型の値をとる属性 入

居期間をもつ。このスキーマでは,各TM̲GeometricPrimitivesは,インタフェースTM̲Order

及びTM̲Separationで定義した操作を実装していない。TM̲Instantは唯一の属性,

TM̲Instant.position : TM̲Positionをもつため,データ型TM̲TemporalPosition,又はその下位

型の内の一つ,例えばDateTimeのようなデータ型を,建物.しゅん工日のデータ型として使用する。 

附属書B図1  データ型としてのTM̲GeometricPrimitive 

B.1.2 時間属性としてのTM̲GeometricPrimitive 附属書B 図2は,時間地物属性としての

TM̲GeometricPrimitiveの,別の使用法を示す。この場合,地物属性 入居期間はUMLクラスと

して表現し,UMLの関連によって賃貸住宅と関連している。入居期間はTM̲Periodと関連する。

これによってTM̲Periodから関連役割begin及びendを使用するが,両者はそれぞれデータ型

DateTimeをとるように制限している。(TM̲Periodの定義によれば,これらの属性のデータ型は

TM̲Positionとなる。)また,インタフェースTM̲Orderを継承した操作relativePosition(other : 

TM̲Primitive):TM̲RelativePositionを使用し,インタフェースTM̲Separationを継承した

length():TM̲Duration及びdistance(other:TM̲GeometricPrimitive):TM̲Durationを使用してい

る。 

附属書B図2  時間地物属性としてのTM̲GeometricPrimitives 

建物

+ しゅん工日 : TM̲Instant

+ 入居期間 : TM̲Peropd

賃貸住宅

+ しゅん工日 : TM̲Instant

入居期間

+ 入居日 : DateTime

+ 退去日 : DateTime

+ distance(other : TM̲GeometrivPrimitive) : TM̲Duration
+ length() : TM̲Duration
+ relativePosition(other : TM̲Primitive) : TM̲RelativePosition

0..*

1..1

+入居

0..*

+場所

TM̲Period

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32 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

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B.1.3 属性としてのTM̲TopologicalComplex 附属書B図3は,時間地物属性としての

TM̲TopologicalComplexの使用法を示す。考古学上の遺跡の歴史は,その遺跡が,ある文化圏の

住人によって使用したり又は使用しなかったりした期間の列として記述することがよくある。これ

らの期間は相互の順序は分かってはいるが,時間位置は分からない。このような歴史は,

TM̲ToplogicalComplexとして記述することができる。UMLクラスとして表現した地物型 考古学

遺跡は地物属性 遺跡履歴を表現するもう一つのUMLクラスに関連する。遺跡履歴は

TM̲TopologicalComplexと関連する。また,それは,TM̲Edgeと関連する 占有期間の集成及び,

TM̲Nodeと関連する 変化事象の集成をもつ。 

  

附属書B図3  時間地物属性としてのTM̲TopologicalComplex 

B.1.4 循環性のある属性値 附属書B図4は,周期的に循環する値をもつ地物属性の例を示して

いる。地物型 農地は,0以上の多重度をもつUMLクラスとして表現された属性 輪作をもつ。こ

の畑に植えられる作物の種類ごとに,このデータ型の一つのインスタンスが存在する。輪作は三つ
の属性をもつ。 

― 作物は,作物の種類を示す。 

― 初回作付け日は,この畑に初めて植えた日付を示す。 

― 輪作間隔は,この作物の栽培周期長を示す。 

附属書B図4  周期性のある属性値 

TM̲Edge

考古学遺跡

TM̲TopologicalComplex

占有期間

+ 占有者 : CharacterString

遺跡履歴

1..1

1..*

+期間履歴

1..1

+期間

TM̲Node

変化事象

+ 理由 : CharacterString

1..1

1..*

+事象履歴

1..1

+事象

輪作

+ 作物 : CharacterString
+ 初回作付日 : TM̲Instant

+ 輪作間隔 : TM̲Duration

農地

0..*

0..*

+作付け

0..*

+対象地

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33 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

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B.2 時間地物関連 

B.2.1 単純な時間関連 附属書B図5は,UMLの関連によって実装した単純な地物関連の例であ

る。このスキーマは,ガソリンスタンドが存在する前には,道路が存在することを示す。 

  

附属書B図5  単純な時間関連の明示的表現 

 附属書B図6に示したビルディングの単純なスキーマは,TM̲Orderの操作relativePositionを

使用することによって単純な地物関連の導出を必要とするデータの例とする。 

  

附属書B図6  ビルディングスキーマ 

 このスキーマによって作成したデータ集合に次の附属書B表1に示す属性値をもつビルディング

の四つのインスタンスがあるとする。 

附属書B表1  ビルディングスキーマのデータ集合 

ビルディング 

素材 

高さ 

竣工日: 

TM̲Instant.position 

[Date型] 

煉瓦 

45 m 

1982 

鉄骨 

4 m 

1967 

木造 

8 m 

1941 

煉瓦 

30 m 

1967 

 TM̲Instantは,インタフェースTM̲Orderから継承した操作relativePosition 

 (other:TM̲Primitive) : TM̲RelativePositionを使用することができる。この操作を,建物.しゅん

工日 : TM̲Instantの各インスタンスのもとで,他の各地物インスタンスを引数(つまり入力パラ

メタotherの値)として実行すると,それぞれ附属書B表2に示す値を返す。 

附属書B表1 Buildingインスタンス間の単純な時間関連 

比較対象 

比較元 

Equal 

After 

After 

After 

Before 

Equal 

After 

Equal 

Before 

Before 

Equal 

Before 

Before 

Equal 

After 

Equal 

ガソリンスタンド

道路

0..*

1..*

+以後

0..*

+以前

ビルディング

+ しゅん工日 : TM̲Instant
+ 高さ : Number
+ 素材 : CharacterString

background image

34 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

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B.2.2 地物継起 附属書B図7は,地物型クラス間の関連としてモデル化した地物継起の例にな

る。これは生態学的な継起の型の例であり,古い畑地の継起としてアメリカ東部ではよく知られて

いるものである。もし,他から干渉されないままであれば,ある場所ではこの継起循環が生じる。

これは地物型レベルでの地物継起をモデル化する際の問題点を示している。いつであっても,火事,

嵐又は人間の介在が入ると,この継起は中断されて,以前の段階に戻ったり,既存の地物型を思い
がけない地物型に変えてしまったりすることになる。 

  

附属書B図7  地物型間での地物継起 

 附属書B図8は,継起関連をもつさまざまな地物型の上位型がUMLクラスの関連によって自己

参照する地物継起モデルの例である。このようなモデル化は,どの地物型のインスタンスがどのイ

ンスタンスに継起するか予測できないときに必要となる。この例では,それぞれの関連は,継起が

起きた時間を関連の属性によって記述することができるように,関連クラスとして表現している。 

  

附属書B図8  はん化した地物レベルでの地物継起 

B.3 時間特性をもった地物関連 附属書B図9は牧場の本部と,それが管理し賃貸している放牧

地区画との関連を示す応用スキーマである。放牧地区画は賃貸契約によって牧場本部と関連する。

賃貸契約は地物関連の例であり,時間関連とは考えられない。なぜなら,時間はこの関連において

主要な性質ではないからである。しかしながら,賃貸は与えられた期間の間,効力をもつ。賃貸契
約は,このモデルではUML関連クラスとして表現され,関連に付与されるべき属性をもつことが

許されている。この場合,それは,賃貸が効力をもつ期間を示す属性賃貸期間をもつこととしてい
る。また,賃貸料などの他の属性ももつことができる。 

低木林地

牧草地

1..1

1..1

オーク及びヒッコリの森

1..1

1..1

松の森

1..1

1..1

1..1

1..1

+直後

地物置換

+直前

1..1

地物置換

+直後

1..1

+直前

1..1

+直後1..1

地物置換

+直前1..1

+直前

1..1

地物置換

+直後

1..1

地物融合

+ 発生日時 : TM̲GeometricPrimitive

地物分裂

+ 発生日時 : TM̲GeometricPrimitive

地物

2..*

1..1

+先行

2..*

+後続

1..1

1..1

2..*

+親

1..1

+子

2..*

1..1

1..1

+先祖

1..1

+子孫

地物置換

+ 発生日時 : TM̲GeometricPrimitive

運動場

駐車場

建築物

空地

background image

35 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

  

附属書B図9  放牧地の賃貸 

  

賃貸契約

+ 賃貸期間 : TM̲Period

放牧地区画

+ 場所 : GM̲Surface

牧場本部

+ 所有者 : CharacterString

+ 場所 : GM̲Surface

0..*

1..1

+牧場

0..*

+管理者

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36 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書 C(規定) メタデータにおける時間参照系の記述について 

C.1 時間参照系に関するメタデータ 本体5.3.1によると,グレゴリオ暦及び協定世界時以外の時

間参照系を使用するデータ集合に関連するメタデータは,それらの時間参照系を記述する文書の引

用を提供する,又はメタデータ内にそれらの時間参照系の記述を包含するかのいずれかでなければ
ならない。附属書C表1で規定するメタデータ要素はこの目的のために使用する。この表の構造は,

ISO 19115の附属書Bに適合する。 

附属書C表1 時間参照系を記述するためのメタデータ要素 

名称 

定義 

要求度/条件 

最大出
現回数 

モデル要素又は
データ型 

定義域 

TM̲ReferenceSyste

時間参照系

に関する情
報 

C/ データ集

合の時間情

報がグレゴ

リオ暦を参

照しない場
合 

class 

2-33行 

name 

時間参照系

を識別する
名称 

RS̲Identifier 

ISO 19111 

domainOfValidity 

この時間参

照系が使用

する空間と
時間の制限 

C/ 時間参照

系の範囲が,

それを使用

するデータ

集合の範囲

より小さい
場合 

EX̲Extent 

ISO/TS 19103 

subtype 

記述対象と

なる時間参

照系の下位
型 

特化 

TM̲Calendar, 

TM̲Clock, 

TM̲Coordinat

eSystem,

TM̲OrdinalRe

ferenceSystem 

TM̲Calendar  

暦の記述 

C/ 下位型 

TM̲Calend

arの場合 

Class 

6 ‒ 15行 

background image

37 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

名称 

定義 

要求度/条件 

最大出
現回数 

モデル要素又は
データ型 

定義域 

dateTrans 

この暦の日

付をユリウ

ス日に変換

する操作に
関する記述 

CharacterString 自由記述 

julTrans 

ユリウス日

をこの暦の

日付に変換

する操作に
関する記述 

CharacterString 自由記述 

役割名: 

referenceFrame 

この暦と関

連付けられ
た暦年代 

関連 

TM̲Calendar

Era 

役割名: 

timeBasis 

一暦日の中

の時間位置

を定めるた

めに,この

暦とともに

使用する時
計 

関連 

TM̲Clock 

10 TM̲CalendarEra 

各暦年代の
特性 

Class 

 11-15行 

11 name 

この暦年代

を識別する
名称 

CharacterString 自由記述 

12 referenceEvent 

この暦年代

の基点とな
る事象 

CharacterString 自由記述 

13 referenceDate  

この暦によ

る参照事象
の日付 

TM̲CalDate 

暦の日付を記述
する 

14 julianReference 

参照事象の
ユリウス日 

JulianDate 

Number 

15 epochOfUse 

この暦年代

が日付の基

礎として使
用する期間 

TM̲Period 

期間の開始,終

了はユリウス日

を記述する 

background image

38 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

名称 

定義 

要求度/条件 

最大出
現回数 

モデル要素又は
データ型 

定義域 

16 TM̲Clock 

時計につい

ての記述 

C/ 下位型 

TM̲Clockが

指定されて

いるか,

Resolution

がnull でな

い場合 

Class 

17-21行 

17 referenceEvent 

この時法の

基点となる
事象 

CharacterString 

自由記述 

18 referenceTime 

この時法に

よる参照事
象の時刻 

TM̲ClockTime 

時計の時刻を記

述する 

19 utcReference 

UTCによる

参照事象の
時刻 

TM̲ClockTime 

JIS X 0301 

20 utcTrans  

この時法の

時刻をUTC

時刻に変換

する操作に
関する記述 

CharacterString 

自由記述 

21 clkTrans 

UTC時刻を

この時計の

時刻に変換

する操作に
関する記述 

CharacterString 

自由記述 

22 TM̲CoordinateSyst

em  

時間座標系

に関する記
述 

C/ 下位型 

TM̲Coordin

ateSystem

の場合 

Class 

23-26行 

23 origin 

グレゴリオ

暦の日付及

びその日の

UTCの時刻

で表現す

る,座標参

照系の尺度

の原点位置 

DateTime 

JIS X 0301 

background image

39 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

名称 

定義 

要求度/条件 

最大出
現回数 

モデル要素又は
データ型 

定義域 

24 interval 

この参照系

の軸で時間

の標準単位
とする間隔 

CharacterString 

JIS  Z 8202-1 

JIS Z 8203 

25 transformCoord 

この時間座

標系の座標

値をグレゴ

リオ暦及び
UTC時刻

に変換する

操作に関す
る記述 

CharacterString 自由記述 

26 transformDateTime  

グレゴリオ

暦及び
UTC時刻

で指定した

日時をこの

時間座標系

の座標値に

変換する操

作に関する
記述 

CharacterString 自由記述 

27 TM̲OrdinalReferen

ceSystem 

順序時間参

照系に関す
る記述 

C/ 下位型 

TM̲Ordina

lRefer-

enceSystem

の場合 

Class 

28-33行 

28 役割名: 

component 

この順序時

間参照系の

最上位レベ

ルを構成す
る順序年代 

関連 

TM̲OrdinalEr

29 TM̲OrdinalEra 

順序年代に
関する記述 

Class 

30-33行 

30 name 

この順序年

代を識別す
る名称 

CharacterString 自由記述 

background image

40 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

名称 

定義 

要求度/条件 

最大出
現回数 

モデル要素又は
データ型 

定義域 

31 begin  

この順序年

代が始まる
時点 

DateTime 

JIS X 0301 

32 end 

この順序年

代が終わる
時点 

DateTime 

JIS X 0301 

33 役割名: 

member 

この順序年

代をさらに

分割する順
序年代 

関連 

TM̲OrdinalEr

 備考 UML操作に関連するメタデータ要素は,テキストによる操作の記述とする。 

  

background image

41 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書 D(参考) 暦の記述 

序文 この附属書(参考)は,代表的な暦の記述構造を示すものであり,規定の一部ではない。 

D.1 暦の内部構造 暦は離散的な時間参照系であり,一日の分解能で時間位置を定義するための

基礎を規定する。グレゴリオ暦は,事実上の国際標準であり,これを地理情報とともに使用できる

よう組み込む必要がある。しかし,グレゴリオ暦とともに,いろいろな伝統的・歴史的な暦が存在

する。それらは地理情報のある種の応用には向いているであろう。例えば,考古学的な資料は,検
討対象となる文化において使われていた暦によって,より正確に年代を表現できる。本体5.3.1に

よると,グレゴリオ暦以外の暦を使用したすべてのデータ集合について,そのメタデータは,その

暦についての記述又は記述の引用を含まなければならない。この附属書では,暦を記述するときに
考慮しなければならない可能性がある事項を示す。 

  

附属書D図1 典型的な暦の内部構造 

 暦は階層的な構造をもち(附属書D図1参照),規定した型の時間間隔を,それぞれのレベルで

使用する。典型的な例では,階層中の一つのレベルにおける時間間隔の一連のインスタンスは,1

回循環すると1段階上位の時間間隔となるような名称又は順序数がつけられる。ほとんどの暦は年

と日を標準的な時間間隔として含んでいるが,中間レベルには月以外の時間間隔が使われることも

ある。ある暦では階層の中にさらに別のレベルをもつことがあり,また,他のレベルと並存したレ

ベルをもつこともある。暦日はこの階層のそれぞれのレベルにおいて一つの間隔のインスタンスを
特定する。 

 例 グレゴリオ暦の日付は,ある年の,その年の中のある月の,そして,その月の中のある日で

識別する。 

42 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 暦は,複数の天体の周期を基準として各時間間隔を定めるが,その周期は,互いに整数倍とはな

らないため,複雑化する。暦の循環周期と天体の循環周期との同期を維持するために,より低いレ
ベルに“うるう”を挿入することによって間隔の長さを調整する。 

 備考 うるうを入れるということは,1日又は1か月などの追加的な間隔を暦に挿入するという

ことである。グレゴリオ暦の場合,うるう年の2月末日に1日を加える。 

a) すべての暦の基本的な時間間隔は日であり,これは通常,地球が地軸を一回りする周期にほぼ

一致する。暦で使用されるその他の時間間隔は日の整数倍とする。多くの暦では,個々の日付

は,月の中の順序数によって示される。ある種の暦ではそれ以外の方法が使われる。 

b) 暦年は,太陽の周りを回転する地球の循環周期にほぼ一致する。この周期の長さは1日の整数

倍ではないため,多くの暦では,暦年の長さの長期にわたる平均が地球の回転の周期と等しく
なるように,1暦年の長さが変動することを許す設計となっている。そして暦は,それに応じ

た精度の中で変動する。多くの暦では,補助的な月又は日が,周期的に挟み込まれる。多くの

古代の暦では,“うるう”の挿入は,政治的又は宗教的な権威がその必要性を認めた都度,不規
則的に行われていた。 

c) 年は,通常は変動する長さをもつ月の列で構成される。“うるう”の規則があるときは,年の内

部構造は,1年の各月の名称及び長さが規則に従って記述されたテンプレートに基づいて,限

られたパターンの中の一つに従うこととなる。“うるう”の規則は,一つの時代において特定の

年の番号をテンプレートに関連付ける方法について規定している。1か月は,月の循環周期,

すなわち月の満ち欠けの循環周期又は地球の周りを回転する月の循環周期と,ほぼ一致する。

多くの古代の暦においては,1か月の長さは,計算によるよりも,天体観測によって決定され

ることが多かった。月の周期は日の整数倍ではないし,一年は月の周期の整数倍でもない。あ

る種の暦は,1か月の長さの平均値が月の周期の長さと等しくなるように暦の月の長さに制限

を付けることによって,暦の月と月との周期の間で同期を保たせている。この場合,暦年は,

特定の年の中に補助的な月を挿入することによって太陽の周りを回転する地球の周期と再調整

される。その他の暦(例えば,グレゴリオ暦)では,月の周期と同調するようには設計されて

おらず,暦年は単純に整数の数の月に分割される。 

d) 多くの暦では,1か月の長さよりも短い数日の間隔を定義している。例えば,グレゴリオ暦及

びその他の西洋の暦では,7日からなる一週を標準的な間隔として定義している。週の中の日

は,文化的には重要な意味をもつ日となったりもするが,しかし,その日の時間位置について

何らかの情報が付加されるわけではない。ある祭りが特定の日というより特定の曜日に行わな
ければならないという要求などのために,“うるう”の規則が複雑になることがある。 

e) すべての暦は一つ以上の暦年代に関連する。暦年代は,ある種の神話的又は歴史的な事象に一

致する参照日から相対的に数える,年の列である。暦は二つのグループに分けられる。ある種

の暦は,単一の参照事象から始まる相対的な年を数えるもので,一つ又は二つの暦年代をもつ。

グレゴリオ暦はその実例である。さまざまな理由によって,参照事象は一つの歴史的時代から

別のものへ変更することが可能である。例えば,ユリウス暦(D.3.1参照)は幾つかの異なっ

た参照事象とともに使われてきた。その他の暦は複数の参照事象を使用する。治世年代法(統
治者の即位時点から年を数えること)は広く用いられている。現在の日本の暦(D.3.2参照)

及び古代のバビロニアの暦(D.3.3参照)がこの方法の実例となる。 

D.2 暦の記述 本体5.3.2では,暦のための比較的単純なインタフェースの集合を定義するスキー

マを規定している。そこでは暦年代の記述のための詳細な要件を規定している。ある暦日をユリウ

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ス日数に変換するためには, D.1に示す幾つかの要因に対して条件付けする情報が必要である。 

 現在も使用されているほとんどの暦を含め,多くの暦では,ユリウス日型に正確に変換するため

のアルゴリズムが規則化されてきた。そのような場合には,要求される情報はアルゴリズムとして
示すことができる。Dershowitz及びReingold(1997), Doggett(1992), Hatcher(1984, 1985) 

及びRichards (1998)は,いろいろなアルゴリズムを提供している。 

多くの暦は,ほぼ規則的であり,暦による日付をユリウス日におおむね変換できるアルゴリズムを

作成することができる。この場合,要求される情報は,このようなアルゴリズムとして示すことが

できる。このとき,アルゴリズムの正確度の推定値が情報の中に含まれなければならず,また,そ
の正確度を維持できる期間に関する説明も含まれなければならない。 

 非常に不規則な暦の場合は,アルゴリズムによって適切に記述することができない。幾つかの場

合は,各年のパターンを記述する対照表を示すことによって可能となることがある。それは,内挿

法によってほぼ正しいユリウス日に変換することができるような,参照日の集合をもつ典型的な年
の記述をすることによってのみ可能となる。Parise(1982)は膨大な暦変換表を提示している。 

D.3 実例 

D.3.1 ユリウス暦 ユリウス暦は規則的な暦の一例である。これは紀元前45年,ジュリアス・シ

ーザーが太陽年との同期を取り戻すために古代ローマ暦から改暦することを命じた時以来,日付を
刻んでいる。ユリウス暦の平年(common yaer)は365日の長さをもち,4年に一度,うるう年と

して知られている付加的な1日を含む年がある。シーザーの死後,ローマの仕官たちは,その規則

を誤解し,3年ごとにうるう年を設けた。紀元前9年に,皇帝アウグストスはこの結果累積した誤

差を,紀元後8年までうるう年を設けないという方法によって補正することを命じた。 

 ユリウス暦の体系は多くの暦年代に使われてきた。詳細については,Parise(1982)及びRichards

(1988)を参照。 ローマの共和制後期から帝国の時代を通じて,暦年は,ローマの都市建設が決

定されたとされる紀元前753年から数えられていた。西暦525年,Dionysius Exiguus は,イエス

キリストの誕生日とされる年から数えるよう提案した。しかし,このキリスト年代は11世紀に至

るまで西ヨーロッパで広く使われることはなく,更に,ギリシャ世界においては15世紀になるま

で受け入れられなかった。 

附属書D表1 ユリウス年の各月 

月の名称 

平年における長さ 

うるう年における長さ 

January(1月) 

31 

31 

February(2月) 

28 

29 

March(3月) 

31 

31 

April(4月) 

30 

30 

May(5月) 

31 

31 

June(6月) 

30 

30 

July(7月) 

31 

31 

August(8月) 

31 

31 

September(9月) 

30 

30 

October(10月) 

31 

31 

November(11月) 

30 

30 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

月の名称 

平年における長さ 

うるう年における長さ 

December(12月) 

31 

31 

 アウグストスの時代以来,ユリウス年は附属書D表1に示すように12か月で構成されてきた。

ローマ帝国の時代は,1月1日は年の始めの日であった。後年,他の日が使われた。詳細はParise

(1982)を参照。 

 附属書D表2は,本体5.3の要求を満たすユリウス暦の記述例である。この例は,およそ西暦

1000年1月1日から西暦1582年10月4日の間キリスト年代で使われていた,1月1日を年の始

めとするユリウス暦を記述している。 

附属書D表2 キリスト年代によるユリウス暦の記述 

要  素 

値 

TM̲ReferenceSystem 

TM̲ReferenceSystem.name 

Julian calendar    (ユリウス暦) 

TM̲ReferenceSystem.domainOfValidity 

Western Europe    (西ヨーロッパ) 

TM̲Calendar.dateTrans 

ユリウス暦日(Y/M/D)からユリウス日(J)への変換アルゴ

リズム 

Y´ = Y + 4716 ‒ (14 ‒ M) / 12  

M´ = MOD(M + 9, 12) 

D´ = D ‒ 1  

c = (1461Y´ ) / 4 

d = (153M´ + 2) / 5 

J = c + d +Dʼ ‒ 1401 

TM̲Calendar.julTrans 

ユリウス日(J)からユリウス暦日(Y/M/D)への変換アルゴ

リズム 

J´ = J + 1401 

Y´ = (4J´ + 3) / 1461 

T´ = MOD(4J´ +3, 1461) / 4 

Mʼ = (5T´ + 2) / 153 

Dʼ = MOD(5T´ +2, 153) / 5 

D = D´ + 1  

M = MOD(M´ + 2, 12) + 1  

Y = Y´ - 4716 + (14 ‒ M) / 12 

Basis 

TM̲CalendarEra name 

Christian era    (キリスト年代) 

TM̲CalendarEra.referenceEvent 

Birth of Jesus Christ  (イエスキリストの生誕) 

TM̲CalendarEra.referenceDate 

01, 01, 01 

TM̲CalendarEra.julianReference 

1721424 

background image

45 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

TM̲CalendarEra.epochOfUse.begin 

2087769 

TM̲CalendarEra.epochOfUse.end 

2299160 

 附属書D表2のアルゴリズムは,Richards (1998)を採用した。このアルゴリズムは,他の年

代によるユリウス暦又は一年の最初の日が1月1日以外で始まるユリウス暦の変換のためには修正

を行う必要がある。詳細は,Richards (1998)を参照。すべての計算は整数演算で行う。 

D.3.2 現代の和暦 1873年以来,日本は太陽暦を使っているが,天皇の在位期間に従って年を数

える和暦のシステムも維持している。附属書D表3は,この規格によって規定した要素を使った和

暦の記述を例示している。 

附属書D表3  日本の暦年代 

名称 

参照事象 

参照日付 

参照ユリウス日 

暦年期間 

開始日   終了日 

明治 

太陽暦の採用 

明治 6.1.1 

2405160 

2405160 

2419614 

大正 

新しい天皇の即位 

大正 1.7.31 

2419615 

2419615 

2424875 

昭和 

新しい天皇の即位 

昭和 1.12.26 

2424876 

2424876 

2447534 

平成 

新しい天皇の即位 

平成 1.1.8 

2447535 

2447535 

現在 

D.3.3 古代バビロニア暦 古代バビロニアの暦は,非常に不規則な暦の実例とする。これは,1年

が12ヶ月に区切られる太陰暦であった(附属書D表4参照)。季節の変化と同調させるために13

番目の月が年によって加えられた。最初(約紀元前2400年),このうるう月は大麦の収穫が年の始

めにできることを保証するために置かれた。紀元前1000年頃には,年の始めに月がプレアデス星

団に近接するように,うるう月が加えられた。紀元前500年頃には,うるう年は,19年周期とさ

れ,Adaru IIが3,6,8,11,14及び19年目に付加され,Ululu IIが17年目に追加された。 

附属書D表4  バビロニア年の各月 

番号 

名称 

番号 

名称 

Nisanu 

Tashritu 

Ayaru 

Arakhsamnu 

Simanu 

Kislimu 

Duʼuzu 

10 

Tebetu 

Abu 

11 

Shabatu 

Ululu 

12 

Adaru 

(6) 

Ululu II 

(12) 

Adaru II 

 1日は日没とともに始まった。通常,月は新月が最初に出現したときに始まったので,月の長さ

は29日と30日との間を不規則に変動した。しかしながら,新月が観測できない場合は,30日目

が月の終わりであった。 

 備考1. 最古の暦では,日の出又は日没を起点にして1日が始まっていた。特別な機器を使うこ

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46 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

となく観測可能な昼間のサイクルは,この二つの事象だけだったからである。日没

を起点にして1日が始まる場合は,新月が始めて観測された時点で新しい月が始

まる方式の暦と一致していた。 

 2. 通常,現代の天文学的データから各太陰月の長さを計算することは可能だが,暦月

の長さは,観測に基づいていたため,天文学上の月に相当するかどうか不明とする。 

 年は,王の治世期間を基礎として数えられた。年代の最初の年は,王位継承後の最初の年から始
められた。西暦2世紀に,プトレマイオスは,紀元前747年までさかのぼる王とその治世期間との

一覧表を作成している。この一覧表は,近代の年とバビロニア暦とを関連付けるときの基礎として

使われてきた。他にも古代の王の一覧表が発見され,それは,初期のころの精度はあまりよくない
ものの,およそ紀元前2000年までさかのぼることができるものであった。附属書D表5はバビロ

ニア暦の10年間の例とする。 

附属書D表5  バビロニアにおけるネブカドネザルII世の治世の最初の10年 

年 

Nisanu初日の

ユリウス日 

月数 

日数 

うるう月 

Nebuchadnezzar 1 

1500163.25 

13 

384 

Adaru II 

Nebuchadnezzar 2 

1500547.25 

12 

355 

Nebuchadnezzar 3 

1500902.25 

12 

356 

Nebuchadnezzar 4 

1501258.25 

13 

382 

Ululu II 

Nebuchadnezzar 5 

1501640.25 

12 

355 

Nebuchadnezzar 6 

1501995.25 

12 

354 

Nebuchadnezzar 7 

1502349.25 

13 

383 

Adaru II 

Nebuchadnezzar 8 

1502732.25 

12 

355 

Nebuchadnezzar 9 

1503085.25 

13 

383 

Adaru II 

Nebuchadnezzar10 

1503470.25 

12 

355 

 指定された月の長さは知られていないため,この暦の日付をユリウス日に正確に変換することは

できない。しかしながら,任意に与えられた年の平均的な1か月の長さに基づくアルゴリズムを利
用して正確なユリウス日を精度よく近似できる。附属書D表6は,この規格で規定する要素を使っ

てバビロニア暦を記述した場合の実例を示したものとする。 

附属書D表6  ネブカドネザルII世の時代からのバビロニア暦についての記述 

要  素 

値 

TM̲ReferenceSystem 

TM̲ReferenceSystem.name 

Babylonian calendar    (バビロニア暦) 

TM̲ReferenceSystem.domainOfValidity 

Southwest Asia    (南西アジア) 

background image

47 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

TM̲Calendar.dateTrans 

バビロニア暦日付(Y/M/D)からユリウス日(J)への変換ア

ルゴリズム 

J = JY  + INT((M-1)(L/N)) + D ‒ 1 

ただし: 

 JY ‒ 年 Y のNisanu初日のユリウス日(表参照) 

  M ‒ 月の順序数  

L  L ‒ 年のなかの日数(表参照) 

N  N ‒ 年のなかの月数(表参照) 

D  D ‒ 月のなかの日数 

TM̲Calendar.julTrans 

ユリウス日(J)からバビロニア暦日付への変換アルゴリ

ズム 

Y = 表より,Nisanu初日のユリウス日(JY)がJより小

さな最大値であるような年の値 

M = INT((J- JY + 1)/(L/N)) 

D = J - JY + 1 ‒ INT(M*(L/M)) 

Basis 

TM̲CalendarEra.name 

Nebuchadnezzar II    (ネブカドネザルII世) 

TM̲CalendarEra.referenceEvent 

Ascension of Nebuchadnezzar II to the throne of Bab-

ylon 

(ネブカドネザルII世のバビロニア王位継承) 

TM̲CalendarEra.referenceDate 

01, 01, 01 

TM̲CalendarEra.julianReference 

1721423.25 

TM̲CalendarEra.epochOfUse.begin 

2087769 

TM̲CalendarEra.epochOfUse.end 

2299160 

D.3.4 GPS暦 GPS(Global Positioning System)は,GPS関連データの時間位置を記述するた

めに特定の暦法・時法を用いている。日付は1980年1月6日真夜中(00:00:00 UTC)を原点にも

ち暦年代で数える週数(WN)によって識別され,日は,週の中の日数(DN)によって識別される。

双方とも0から数え始める。附属書D表7は,この規格で規定する要素を使ってGPS暦を記述し

た場合の実例を示したものとする。 

附属書D表7 GPS暦の記述 

要  素 

値 

TM̲ReferenceSystem 

TM̲ReferenceSystem.name 

GPS暦 

TM̲ReferenceSystem.domainOfValidity 

地球全域 

background image

48 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

TM̲Calendar.dateTrans 

暦日(WN,DN)からユリウス日(J)に変換するアルゴリ

ズム 

J=2444244.5 + (7 * WN) +DN 

TM̲Calendar.julTrans 

ユリウス日(J) から暦日(WN,DN)に変換するアルゴリ

ズム 

DL = J ‒ 2444244.5 

WN = INT (DL/7) 

DN = MOD (DL, 7) 

Basis 

TM̲CalendarEra.name 

GPS暦 

TM̲CalendarEra.referenceEvent 

TM̲CalendarEra.referenceDate 

0001, 01 

TM̲CalendarEra.julianReference 

2444244.5 

TM̲CalendarEra.epochOfUse.begin 

2444244.5 

TM̲CalendarEra.epochOfUse.end 

現在 

 GPS時間系は,日数単位の時刻としてではなく,秒で表現した週単位の時刻(TOW)として規

定する独特な時計である。GPS週は,一週604,800秒からなる。GPS時刻は二つの理由でUTCと

は異なる.GPS時刻は連続尺度であるが,UTC時刻はうるう秒を周期的に加えることによって地

球の回転周期長に再調整する。GPS時刻は,また,UTCと比較して1マイクロ秒の範囲内で変動

する。その結果,GPS時刻とUTCとを互いに変換するアルゴリズムはかなり複雑なものとなるが,

ここでは触れない。 

  

49 

X7108:2004(ISO 19108:2002) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書 E(参考) 参考文献 

1) Allen, J. F., Maintaining Knowledge about Temporal Intervals, Communications of the 

ACM, 1983, vol. 26 pp. 832-843 

2) N. Dershowitz and E. M. Reingold, Calendrical calculations, Cambridge University Press 

1997 

3) L. E. Doggett, Calendars in P. K. Seidelmann (editor), Explanatory supplement to the 

astronomical almanac and the American ephemeris and nautical almanac, University Science 

Books, Sausalito, CA, USA, 1992, pp. 575-608 

4) D. A. Hatcher, Simple formulae for Julian day numbers and calendar dates, Journal of the 

Royal Astronomical Society, 1984, Vol. 25, p. 53 

5) D. A. Hatcher, Generalized equations for Julian day numbers and calendar dates. Journal 

of the Royal Astronomical Society, 1985, Vol. 26, p. 151 

6) International Telecommunications Union, ITU -R Recommendation TF.686-1 (10/97), 

Glossary 1997 

7) International Telecommunications Union, ITU-R Recommendation TF.460-5 (10/97), 

Standard-frequency and time-signal emissions, 1997 

8) JIS Z 8202-2:2000,量及び単位−第2部:周期現象及び関連現象 

 備考 ISO 31-2:1992, Quantities and units- Part 2: Periodic and related phenomenaが,この

規格と一致している。 

9) ISO 19104(1)  Geographic information- Terminology 

  注(1)  未発行。 

10) C. S. Jensen, et al. A consensus glossary of temporal data base concepts, ACM SIGMOD 

Records 1994, Vol. 23 Also available as consGlos.ps from ftp://ftp.cs.arizona.edu/tsql/doc/ 

11) Object Management Group, OMG Unified Modeling Language Specification, version 1.3 

1999, Available from World Wide Web at http://www.omg.org/cgi-bin/doc?ad/99-06-08 

12) F. Parise, The book of calendars, Facts on file, New York 1982 

13) J. P.Parisot, Additif to the paper of H. A. Hatcher, Journal of the Royal Astronomical So-

ciety, 1986, Vol. 27, p. 506 

14) E. G. Richards, Mapping Time: The calendar and its history. Oxford University Press1998