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目 次 

ページ 

序文  1 

1 適用範囲 1 

2 引用規格 1 

3 用語及び定義  1 

4 設計配慮事項  2 

4.1 一般  2 

4.2 装着及び取外しのための力  2 

4.3 誘導可能幅  2 

4.4 保持部の開口寸法  3 

4.5 誘導可能角度  3 

4.6 傾いたステッキの装着  4 

4.7 ステッキの下端を床面に突いての装着 5 

4.8 表示  5 

4.9 保持部及び表示の見やすさの配慮 5 

4.10 耐久性  5 

附属書A(参考)設計配慮事項に関連する確認方法の例  6 

附属書B(参考)設計配慮事項に基づいて設計した保持部の仕様例  8 

附属書C(参考)設計配慮事項に基づいて設計した保持部をもつステッキホルダーの例  10 

 

 


 

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まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

 

 


 

  

日本工業規格          JIS 

 

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高齢者・障害者配慮設計指針− 

ステッキホルダーの保持部 

Guidelines for older persons and persons with disabilities- 

Holding parts of stick holders 

 

序文 

規格におけるアクセシビリティ配慮のための指針であるJIS Z 8071は,規格の開発時点において,人間

の能力及び特性を明確化し,設計する際に配慮することを定めている。 

この規格は,JIS Z 8071に基づき,筋力及び/又は動作機能において制限のある人が,ステッキを安定

して装着でき,かつ,その後,容易に取り外してつかむことができるよう配慮されたステッキホルダーの

保持部の設計指針を提供する。 

 

適用範囲 

この規格は,高齢者及び障害のある人の歩行を支援するステッキを一時的に保持する機能をもつステッ

キホルダーの保持部を設計するための指針を示す。この保持部は,弾性変形することで保持機能をもつも

のを対象とする。ただし,次のステッキホルダーの保持部には適用しない。 

a) ステッキ自体に取り付けることで立て掛けを容易にすることを意図するステッキホルダー 

b) 歩行車,車椅子などにステッキを固定する機能を付加して移動を支援するためのステッキホルダー 

注記 この規格が対象とするステッキの径は,太いところで16 mm〜25 mm前後で,ステッキの主な

目的は歩行の支援を想定している。 

 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS T 0102 福祉関連機器用語[支援機器部門] 

JIS Z 8071 規格におけるアクセシビリティ配慮のための指針 

 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS T 0102及びJIS Z 8071によるほか,次による。 

3.1 

ステッキ 

1本の脚部と一つの握り部とからなり,前腕支持部がないつえ。視覚障害者が使用する白じょう(杖)

も,歩行動作の支援を意図するものとして含む(JIS T 0102参照)。 


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3.2 

ステッキホルダー 

ステッキを一時的に保持する機能をもつもの。 

注記 保持部が外装用のケースに収められ,机,カウンター,壁などに取り付けられているもの,保

持部が単体の部品として提供され,机,カウンター,壁,自立するスタンドなどに取り付けら

れるものなどがある。 

3.3 

(ステッキホルダーの)保持部 

ステッキホルダーを使用してステッキを保持する場合に,ステッキを押し込むことによって開口部が弾

性変形し,ステッキを一時的に保持する部分。 

 

設計配慮事項 

4.1 

一般 

ステッキホルダー及びその保持部は,高齢者及び障害のある人が安全に,かつ,容易に操作できるよう

配慮しなければならない。ここで,“安全に”とは,ステッキホルダーがあることで,外傷又は転倒の要因

にならないこと,並びに装着及び取外し動作時に不安定にならないことをいう。また,“容易に”とは,装

着及び取外しの操作を高齢者及び障害のある人が行うことができ,かつ,その操作に多くの時間及び何ら

の特別な操作を必要としないことをいう。 

次のような場合を想定して,ステッキホルダーの保持部を設計しなければならない。 

− 使用者の立位保持及び歩行能力が低く,バランスを崩す可能性がある場合。 

− 障害,疾病などの影響で上肢機能が低下し,操作に時間を要する場合。 

− 視力の低下がある場合。 

− 認知能力に障害(又は低下)がある場合。 

− これらの要素が複合的にある場合。 

4.2〜4.6に記載する保持部の設計配慮事項に関し,保持部の仕様例を附属書Bに示す。また,ステッキ

ホルダーを設置する位置及び取付け状態の例,並びに実装上の注意点を附属書Cに示す。 

4.2 

装着及び取外しのための力 

保持部は,高齢者及び障害のある人が弱い力でステッキの装着及び取外し操作が可能であって,かつ,

ステッキホルダーに対して何らの特別な操作(ステッキを握り直したり,反対の手に持ち替えたりする操

作,片手でだけの操作など)及び時間を必要としないよう設計しなければならない。 

弱い力でも装着及び取外しできるように,保持部は,適度の弾力性をもつものとする。 

注記1 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)人間特性データベースによると,70歳〜79歳

の男女において,95 %の人が発揮できる腕の力(肘頭高で押し引きの力)は20 Nである。 

注記2 ステッキホルダーを設置する位置及び取付け状態によって,人による適切な力が変化する可

能性がある(C.2参照)。 

4.3 

誘導可能幅 

ステッキを保持部に装着する動作において,高齢者及び障害のある人が押し込む場合に支障がなく,保

持部に容易に装着できるよう,図1に示す誘導可能幅を広く設計しなければならない。 

ここで,誘導可能幅とは,保持部の開口部分の外側にあって,ステッキが押し込まれた場合に確実に保

持部へ誘導することができる領域の幅をいう。 


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 誘導可能幅は,この図では,二股に分かれた保持部先端箇所の間の幅である。この内側のどの位置からステッキを

押し込んでも,支障なく確実に保持部へ収納することが可能となる。 

 

図1−保持部の誘導可能幅及び開口部分の最小寸法 

 

4.4 

保持部の開口寸法 

ステッキを安定して保持するために,保持部の開口部分の最小寸法は,ステッキの径よりも小さく設計

することが望ましい。また,弱い力でも押込み及び取外し操作が可能なように配慮しなければならない(図

1及び附属書B参照)。 

4.5 

誘導可能角度 

ステッキを保持部に装着する動作において,高齢者及び障害のある人が押し込む方向などの制約を受け

ず,保持部に容易に装着できるよう,図2に示す誘導可能角度に配慮して設計しなければならない。 

ここで,誘導可能角度とは,押し込まれたステッキを確実に保持部へ誘導することができる押込み方向

のなす角度をいう。 

 

 

 誘導可能角度は,この図では,保持部の空隙部分の中心部から開口部分の内側に向かって引いた接線のなす角度で

あり,この内側のどの方向に沿ってステッキを押し込んでも,支障なく確実に保持部へ収納することが可能となる。 

 

図2−保持部の誘導可能角度 


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4.6 

傾いたステッキの装着 

図3及び図4に示すように,ステッキを,鉛直を基準に前後左右に傾いた状態でも容易に装着できるよ

う保持部を設計しなければならない。さらに,ステッキが,傾いた状態のまま保持できることが望ましい。 

装着及び保持が容易であることを確認する方法の例を,附属書Aに示す。 

 

 

図3−ステッキの上端が右方向に傾いた状態での装着 

 

 

図4−ステッキの上端が奥方向に傾いた状態での装着 


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4.7 

ステッキの下端を床面に突いての装着 

高齢者及び障害のある人がステッキを装着する動作において,水平方向に押し込もうとしてステッキが

浮いた状態になると身体が不安定となるため,ステッキの下端を床面に突いて支えとしながらステッキを

押し込んで装着する場合がある。これにより力の大きさ及び方向が変化することを考慮しなければならな

い(図5参照)。確認する方法の例を,附属書Aに示す。 

 

 

図5−ステッキの下端を床面に突いての装着 

 

4.8 

表示 

ステッキホルダー又はその保持部の近辺に,次の事項を表示することが望ましい。 

a) 製品名称又はステッキホルダーであることを示す表示 

b) 保持部の耐久性 

c) 取扱い上及び維持管理上の注意事項 

4.9 

保持部及び表示の見やすさの配慮 

保持部は,視力が弱い場合においても利用に支障がないように,ステッキホルダーとその保持部との色

のコントラストなど見やすさに配慮した設計をしなければならない。ステッキホルダーが取り付けられる

場合には家具,備品,建材などを含めた色のコントラストを考慮することが望ましい。 

注記 表示方法,色の選定などについては,JIS S 0033,JIS Z 8210,JIS Z 9103などを参考にすると

よい。 

4.10 

耐久性 

保持部は,使用する環境,使用頻度などの状況を考慮し,必要となる耐久性をもつように設計しなけれ

ばならない。また,繰り返しての使用によって削りかすなどが発生しないようにすることが望ましい。 

注記 屋外においては耐水性,病院など医療施設においては抗菌性及び耐薬品性,地下施設などにお

いては不燃性が,それぞれ求められる場合がある。 

 


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附属書A 

(参考) 

設計配慮事項に関連する確認方法の例 

 

A.1 一般 

この附属書では,設計配慮事項に関連する確認方法の例を示す。確認は,ステッキ,又はステッキと同

等の外径,長さ及び表面状態をもつ金属製若しくは木製の丸棒(以下,ステッキなどという。)を用いる。 

 

A.2 傾いたステッキの装着 

傾いたステッキの装着の確認方法の例を,図A.1及び図A.2に示す。 

確認は,保持部又はステッキホルダーを,床面から60 cm〜90 cmの高さ(通常,ステッキの長さは70 cm

〜100 cmであると考えられる。)に設置し,ステッキなどを,鉛直を基準に10°の角度となるように前後

左右に傾けて保持部に押し込み,容易に保持部に保持できることを確認する。 

 

 

図A.1−上端を右方向へ10°傾けて装着する例 

 

 


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図A.2−上端を奥方向へ10°傾けて装着する例 

 

A.3 ステッキの下端を床に突いての装着 

ステッキの下端を床に突いての装着の確認方法の例は,次による。 

a) ステッキなどを鉛直に保持した場合に,ステッキの下端が床面に接する位置に,保持部又はステッキ

ホルダーを設置する。 

b) ステッキなどを押し込み,鉛直に保持する。 

c) ステッキなどの下端が床面に接した状態のまま,上側を手前に引き外して10°の角度に傾ける。 

d) ステッキなどの下端が床面に接した状態のまま,旋回させて保持部へ押し込み,支障なく脱着できる

ことを確認する。 


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附属書B 

(参考) 

設計配慮事項に基づいて設計した保持部の仕様例 

 

B.1 

保持部の仕様例 

B.1.1 

保持部の寸法 

保持部の寸法の一例を,図B.1に示す。 

 

単位 mm 

 

図B.1−保持部の寸法の例 

 

この例では,誘導部分に丸みをもたせることで,押し込むときのステッキの誘導をしやすくし,同時に

人が触れる場合の危険を少なくしている。また,保持する空隙部分がステッキの径に対し余裕があり,ス

テッキを傾けた状態で保持する自由度を確保している。これによって,保持部より上に突出するステッキ

の高さを抑えたり,ステッキ下部をテーブル,椅子,柵などの下に寄せ,通路への突出を抑えたりするこ

とができる。 

保持部の格納機構をもつ場合の構造の一例を,図B.2に示す。 

 

 

 

a) 引き出した場合 

b) 格納した場合 

図B.2−保持部の格納機構をもつ例 


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図B.2の例においては,保持部及び保持部のカバーを,ステッキホルダーのカバー内部に収容すること

が可能であり,ステッキホルダーを使用しない場合に邪魔にならないようにすることができる。 

B.1.2 保持部の材質 

保持部の材質は,JIS K 7364-1に規定するポリオキシメチレン(POM)を推奨する。POMは,しゅう(摺)

動性に優れており,適度な弾力性をもつため,弱い力でも容易にステッキの装着及び取外し操作を行うこ

とが可能となる。また,表面は滑らかであり,出し入れを繰り返し行っても削りかすがほとんど発生しな

い。さらに,視認性向上のため,目立つ色に採色することも容易である。 

B.1.3 設計配慮事項に対する確認結果 

箇条4の設計配慮事項に基づいて確認した結果の記載例を,表B.1に示す。 

 

表B.1−設計配慮事項に対する確認結果の記載例 

設計配慮事項 

確認方法 

確認結果 

ステッキの保持 

4.2〜4.5による 

押込みに要する力:10 N 
取外しに要する力:10 N 
保持した状態でステッキを10°まで傾け可能 

傾いたステッキの装着 

4.6による 

±10°まで装着可能 

誘導可能幅 

mm 

コンベックス使用 

30 

保持部の開口寸法 

mm 

コンベックス使用 

14 

誘導可能角度 

° 

分度器使用 

30 

視認性 

(POMを使用した) 

目立つ色に彩色可能 

耐久性 

25 mm又は25.4 mm径のスチール
パイプを1回/1秒往復させる 

10 000回の押込み・取外しの後,目立った損傷な
し 

サンプル数 

− 

10 


10 

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附属書C 
(参考) 

設計配慮事項に基づいて設計した保持部をもつステッキホルダーの例 

 

C.1 ステッキホルダーの外観例 

この規格の設計配慮事項に基づいて設計された保持部をもつステッキホルダーの外観例を,図C.1に示

す。 

 

 

 

a) 内蔵された例 

b) 単体例 

c) スタンド例 

 点線で囲んだ部分は,ステッキホルダーの保持部である。 

 

図C.1−ステッキホルダーの外観例 

 

C.2 ステッキホルダーの実装上の注意点 

ステッキホルダーを,家具・備品・建材に取り付ける場合の注意点を次に示す。 

a) 保持部を設置する床面からの高さは,保持部を取り付ける家具・備品・建材の寸法によって左右され

るが,使用する高齢者及び障害のある人の利便性を損なわないために,極端に高く又は低くしないよ

うにする必要がある。ただし,背の高い人又は背の低い人の使用が想定される場合は,この限りでは

ない。また,ステッキの保持用途を,取り付ける家具・部品・建材などの本来の用途よりも優先して

考慮することが望ましい。通常,ステッキの長さは70 cm〜100 cmであると考えられる。 

b) ステッキホルダーを内蔵するために,家具又は備品に切欠きを設ける場合には,切欠きの端部が傷の

原因とならないように十分な丸みをつける必要がある。 

c) 使用する高齢者及び障害のある人の動線を考慮し,ステッキホルダー及びそれを使用することが移動

の支障にならないよう配慮する必要がある。また,使用する人の移動を考慮する上で,箇条4に記載

した設計配慮事項に留意することが望ましい。 

d) 高齢者及び障害のある人は,ステッキホルダー又は保持部を支えとして体重を掛けることがあること

を考慮し,取付け部の強度に対する配慮が必要である。 

 

図C.2に,家屋内(玄関)に設置した例を示す。 

 

 


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図C.2−ステッキホルダーを玄関に設置した例 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献 JIS K 7364-1 プラスチック−ポリオキシメチレン(POM)成形用及び押出用材料−第1部:

呼び方のシステム及び仕様表記の基礎 

JIS S 0033 高齢者・障害者配慮設計指針−視覚表示物−年齢を考慮した基本色領域に基づく色

の組合せ方法 

JIS Z 2801 抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果 

JIS Z 8210 案内用図記号 

JIS Z 9103 図記号−安全色及び安全標識−安全色の色度座標の範囲及び測定方法 

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)人間特性データベース