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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

T 7325-1989 

医療用小形酸化エチレンガス滅菌器 

Ethylene Oxide Gas Sterilizers for Medical Use (Small Size)  

1. 適用範囲 この規格は,医療器具の滅菌に用いる酸化エチレンガス滅菌器(以下,滅菌器という。)の

うち,最高使用圧力が,0.2MPa {2.0kgf/cm2} 未満で,かつ,内容積100リットル未満の圧力容器をもつ自

動操作式のものについて規定する。 

備考 この規格の中で { } を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって規格

値である。 

引用規格: 

JIS B 7505 ブルドン管圧力計 

JIS B 8243 圧力容器の構造 

JIS C 1302 絶縁抵抗計(電池式) 

JIS C 1601 指示熱電温度計 

JIS C 1603 指示抵抗温度計 

JIS T 1001 医用電気機器の安全通則 

JIS T 1002 医用電気機器の安全性試験方法通則 

JIS T 1003 医用電気機器の電気的安全性試験方法 

JIS T 1004 医用電気機器の機械的安全性試験方法 

JIS T 1005 医用電気機器取扱説明書の様式 

関連規格:JIS Z 8203 国際単位系 (SI) 及びその使い方 

関連法規 :薬事法 

 日本薬局方 

2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,次のとおりとする。 

(1) チャンバ 滅菌器の圧力容器のうち,被滅菌物を収納する部分。片ふた式と両ふた式がある。 

(2) 湿度供給装置 酸化エチレンガス(以下,ガスという。)に暴露する前に滅菌物に湿度を与える装置。 

(3) 真空排気式 チャンバ内及び被滅菌物内の空気及び滅菌後の残留ガスを,滅菌行程の前及び後に真空

装置によって強制的に排除する方式。 

(4) 滅菌サイクル 滅菌器のふたを閉めたときから,少なくともガス注入,滅菌及びガス排気を含むすべ

ての行程を終了し,ふたを開けるまでの経過。 

3. 種類 種類は,表1のとおりとする。 

なお,それぞれの方式を組み合わせることができる。 

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T 7325-1989  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1 

チャンバの種類 

ガス気化装置の
許容圧力 

MPa {kgf/cm2}  

加湿装置の有無 圧力,温度制

御方式 

JIS B 8243によ
る圧力容器で,内
容積が100l未満
のもの 

0.1〜0.8 

 {1〜8}  

あり 

固定式 

3〜8.2 

 {30〜80}  

なし 

切替式 

4. 使用ガスの種類 使用ガスの種類は,医療用ガスとして認可された酸化エチレンガス(濃度30%以下)

に限る。 

5. 安全 

5.1 

電気的安全 電気的安全は,JIS T 1001(医用電気機器の安全通則)によるほか,次のとおりとする。 

(1) 電撃に対する保護の形式及び程度は,それぞれクラスI機器及びB形機器とする。 

(2) 絶縁抵抗は,次のとおりとする。 

(a) 電源一次回路と本体との間               5MΩ以上 

(b) 電動機を負荷とするものは,電源一次回路と本体との間  1MΩ以上 

(3) 電気的火花及び加熱によるガス爆発防止のため,ガスに接触する部分には,電気的火花及び電気的加

熱を発生するおそれがある部品は取り付けないこと。 

5.2 

機械的安全 機械的安全は,JIS T 1001によるほか,次のとおりとする。 

(1) チャンバ及びふた チャンバ及びふたの最高使用圧力は,0.2MPa {2kgf/cm2} 未満とし,材料,構造及

び耐圧は,JIS B 8243(圧力容器の構造)に適合すること。 

(2) 安全弁又は安全装置 JIS B 8243に該当する部分には,安全弁又は安全装置(以下,安全弁という。)

を備えること。 

(3) 機械的摩擦部の温度 ガスに接触する部分に機械的摩擦熱を発生するおそれがあるものは,7.2.2の試

験を行ったとき,昇温限界を70℃以下とする。 

(4) ガス漏れ 滅菌器のガス漏れは,設置室内に人体に有害な量のガス漏れがない構造であること。 

(5) 騒音 騒音の最大値は,75dB (A) 以下とする。 

6. 構成,構造及び性能 

6.1 

構成 滅菌器は,チャンバ及びふた,自動制御装置,計器,配管,ガス気化装置,チャンバ内恒温

装置,湿度供給装置,真空装置,安全弁,エアフィルタなどで構成する。 

6.2 

構造及び性能 

6.2.1 

チャンバ及びふた チャンバ及びふたは,次のとおりとする。 

(1) 内のり寸法は,仕様書,図面などに示された寸法の±3%であること。 

(2) ふた締付装置は,操作が容易であり,確実に密閉できる構造とし,かつ,締付けの状態が目視確認で

きること。締付量又はかみ合せ量は,7.3(1)の試験を行ったとき,いずれも規定値(1)を満足すること。 

注(1) 規定値とは,製作図面,検査基準書などに示された値をいう。 

6.2.2 

自動制御装置 自動制御装置は,次のとおりとする。 

(1) 自動制御の範囲 滅菌サイクルのすべての行程を連続的に制御するものであること。 

T 7325-1989  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(2) ふた締付けが不完全なときには,チャンバ内に殺菌ガスが供給されない構造であること。 

(3) 滅菌タイマ 滅菌タイマは,チャンバ内の圧力が設定値に達したときにスタートし,7.3(2)の試験を行

ったとき,設定値より圧力が0.03MPa {0.3kgf/cm2} 低下した場合に停止する機構とする。 

(4) 運転表示装置 滅菌装置の運転状況と滅菌完了を明示する表示装置を,操作者の見やすい位置に取り

付けること。 

6.2.3 

計器 計器は,次のとおりとする。 

(1) 連成計 チャンバ用連成計は,指示精度がJIS B 7505(ブルドン管圧力計)の3.0級以上のものを,

操作者の見やすい位置に取り付けることとし,連成計は,機械式のものであって,最高使用圧力を示

す位置に表示する。両ふた式の滅菌器は,両側面にも備えること。 

(2) 温度指示計 チャンバ内用の温度指示計は,通常滅菌に使用する範囲の±5℃の範囲において,指示精

度±3℃のものを取り付けること。 

なお,温度保証機構を備えたものは,温度指示計を省略してもよい。 

6.2.4 

配管 配管は,次のとおりとする。 

(1) 材質 使用されるガスに対して耐食性がある材質を用いること。 

(2) 耐圧 液化ガス送気部分の耐圧は,使用されるガスが封入されているガスボンベの設計圧力以上とす

ること。 

(3) 液化ガス容器と滅菌装置のガス気化装置との間の系路には,ガス逆流防止のため,逆流防止弁を設け

ること。 

(4) チャンバと排気管の間の系路には,チャンバ内の再汚染防止のため,逆止弁を設けること。 

6.2.5 

ガス気化装置 ガス気化装置は,次のとおりとする。 

(1) 液化ガスが気化され,7.3(3)の試験を行ったとき,25℃以上に加温された状態で供給すること。 

(2) 調節感度が,±0.02MPa {0.2kgf/cm2} のガス圧力調節機能を備えていること。 

(3) 元ガス圧力計を操作者が見やすい位置に取り付けること。 

6.2.6 

チャンバ内恒温装置 チャンバ内恒温装置は,チャンバ内滅菌ガス温度を一定温度に保持するもの

でなければならない。 

6.2.7 

湿度供給装置 湿度供給装置は,次のとおりとする。 

(1) 滅菌物への湿度の供給は,水蒸気の状態で加湿するものであること。 

(2) 湿度の設定は,相対湿度計算によってよい。設定能力範囲は,40〜80%より広範囲であること。 

6.2.8 

真空装置 真空装置は,到達真空度が,0〜0.015MPa {0〜150mmHg} でなければならない。 

6.2.9 

安全弁 安全弁の性能は,JIS B 8243に適合するものとし,安全弁はチャンバへ直接取り付けるか,

又はガス送入系路に取り付けるものとし,閉そくのおそれがある場所及び排気系路に取り付けてはならな

い。 

6.2.10 エアフィルタ エアフィルタの除去性能は,粒径0.3μm以下の粒子の除去率が99.7%以上でなけれ

ばならない。 

6.2.11 固定部 固定部は,次のとおりとする。 

(1) 据置形 器体を建造物に固定するためのアンカボルト穴をもつこと。 

(2) 可搬形 器体の底面に滑りにくい材料でできた脚を取り付けること。 

(3) 移動形 移動用車輪を取り付け,半数以上の車輪を固定できるものとするか,又は別に固定装置を設

けること。 

6.3 

滅菌性能 滅菌性能は,7.4による試験を行ったとき,次のとおりとする。 

T 7325-1989  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(1) 生物学的インジケータのすべての胞子が死滅していること。 

(2) 滅菌試験パックの表面に水滴の付着がないこと。 
(3) 滅菌試験パックの中心温度は,滅菌タイマの作動時間の21以上にわたって加温設定温度±10℃を維持

していること。 

7. 試験 

7.1 

試験条件 試験条件は,JIS T 1002(医用電気機器の安全性試験方法通則)によるほか,次のとおり

とする。 

(1) 試験環境 試験環境は,10.による。 

(2) 測定用機器 測定用機器は,次のとおりとする。 

(a) 絶縁抵抗計 JIS C 1302[絶縁抵抗計(電池式)]の定格測定電圧が500Vのものであること。 

(b) 留点温度計 一目盛の読みは1℃以下,許容誤差は0〜100℃の範囲で±0.5℃のものであること。 

(c) 温度記録計 JIS C 1601(指示熱電温度計)又はJIS C 1603(指示抵抗温度計)に規定するものの

うち,精度が±1.0℃のものであること。 

7.2 

安全性試験 

7.2.1 

電気的安全性試験 電気的安全性試験は,JIS T 1003(医用電気機器の電気的安全性試験方法)に

よるほか,絶縁抵抗試験は,絶縁抵抗計で定格測定電圧500Vによって試験する。 

7.2.2 

機械的安全性試験 機械的安全性試験は,JIS T 1004(医用電気機器の機械的安全性試験方法)に

よるほか,機械的摩擦部の温度は,正常運転を開始してから,その部分が最高温度に達したと思われると

き,表面温度を温度測定用センサによって測定する。 

7.3 

構成要素の性能試験 構成要素の性能試験は,滅菌器を無負荷状態で作動させ行うものとする。試

験気体は,空気によって行ってもよい。 

(1) ふた締付装置 取扱説明書などによる方法で締付操作を終了し,締付量又はかみ合せ量を測定する。

この試験は3回以上行う。 

(2) 滅菌タイマ停止精度 滅菌圧力が安定しているとき,排気弁を開きチャンバ内圧力を低下させ,滅菌

タイマが停止したときのチャンバ用連成計の値と仕様書などに示された値とを比較する。 

(3) ガス気化装置 7.4の試験中,チャンバ内のガス送入部に温度センサを置き,滅菌中のガス送入温度を

調べる。 

7.4 

滅菌性能試験 

7.4.1 

試験の方法 滅菌性能試験は,滅菌サイクルを連続して3回行う。 

7.4.2 

装置の据付け及び運転 滅菌性能試験に用いる滅菌器は,取扱説明書による方法で据え付け,滅菌

条件を定めた上で運転する。 

7.4.3 生物学的インジケータ 滅菌性能試験に使用する生物学的インジケータは,表2に示すものとする。

培養方法は,生物学的インジケータの製造業者の指定によるものとする。 

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T 7325-1989  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2 

滅菌条件 

力価 min 

菌種 

ガス濃度 

mg/l 

温度 

℃ 

相対湿度 

生存時間 

死滅時間 

バシラスサブチリス
胞子(芽胞) 
 (Bacillus subtillis  
spores)  

600±60 

54±1 

60±20 

15 

120 

1 200±120 

30 

備考 資料は,U. S. P. XIX (The United States Pharmacopeia) による。 

7.4.4 

滅菌試験パック 滅菌試験パックは,次のとおりとする。 

(1) 日本薬局方のガーゼ (30cm×10m) を1単位としたものを2枚重ね,その中心部に生物学的インジケ

ータ2個と温度測定センサとを入れたものを,片面が紙,他の面がポリエチレンの滅菌用包装紙で密

封包装する(センサを挿入した部分はシールすること。)。 

(2) 生物学的インジケータを入れる容器に,生物学的インジケータ2個を入れ,その面端に,長さ1m,

内径4.0mmの塩化ビニル製チューブを接続したものを直径約25〜30cmに巻き,片面が紙,他の面が

ポリエチレンの滅菌用包装紙で密封包装する(図参照)。 

図 滅菌試験パック(一例) 

備考 D及びLは,使用する生物学的インジケータの寸法に合わせる。 

7.4.5 

試験パックの収納の仕方 チャンバ内を取扱説明書による最大の負荷状態とし,2種類のパックを

チャンバのほぼ中央に置かなければならない。ただし,試験パック以外のものを収納できないものは,試

験パックだけを収納する。 

8. 表示 

8.1 

銘板表示 滅菌器の見やすいところに,次の事項を表示しなければならない。 

(1) 名称及び形式 

(2) 製造業者名及び所在地 

(3) 製造番号 

(4) 定格電源周波数及び電圧 

(5) 電源入力 

T 7325-1989  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(6) 電撃に対する保護の形式 

(7) 最高使用圧力 

(8) 内容積 

8.2 

注意表示 滅菌器の見やすいところに,次の事項を明確に表示しなければならない。 

(1) ふたの操作上の注意事項 

(2) 安全弁の吹出しを含むガス漏れ発生時の対処方法及び注意事項 

(3) 用途及び禁止事項 

9. 附属文書 滅菌器には,次の文書を附属しなければならない。 

(1) 出荷検査証 

(2) 取扱説明書 JIS T 1005(医用電気機器取扱説明書の様式)によるほか,次の事項を記載すること。 

(a) ふたの操作上の注意事項 

(b) 安全弁の吹出しを含むガス漏れ発生時の対処方法及び注意事項 

(c) 用途及び禁止事項 

(d) 被滅菌物に残留するガス及び副生成物の毒性並びにその除去に対する注意事項 

10. 使用条件 使用条件は,JIS T 1001の3.による。 

医療安全用具部会 医用器械専門委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

榊 原 欣 作 

名古屋大学医学部附属病院高気圧治療部 

大 場 琢 磨 

日本医療用プラスチック協会 

渡 辺   徹 

厚生省薬務局 

前 川 勲 男 

工業技術院標準部 

平 井 慶 徳 

順天堂大学 

水 野   明 

東京大学医学部 

沢     桓 

東京医科歯科大学医学部 

宮 坂 久 基 

株式会社千代田製作所 

河 西 輝 久 

株式会社河西医療電機製作所 

池 田 玉 治 

川崎重工業株式会社神戸工場 

石 丸 裕 康 

トミー精工株式会社 

若 井 秀 治 

泉工医科工業株式会社 

佐々木   磨 

アトム株式会社 

(事務局) 

柾 谷 栄 吾 

工業技術院標準部電気・情報規格課 

根 上 雄 二 

工業技術院標準部電気・情報規格課