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T 7211:2005 (ISO 23328-1:2003) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本医用機器工業会(JAMEI)/社団法人日本

麻酔科学会(JSA)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきと

の申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣が制定した日本工業規格である。 

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 23328-1:2003,Breathing system 

filters for anaesthetic and respiratory use−Part 1: Salt test method to assess filtration performanceを基礎として用

いた。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。厚生労働大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

JIS T 7211には,次に示す附属書がある。 

附属書A(規定)BSFの調整 

附属書B(参考)エアゾールの粒子径分布 

附属書C(参考)選択した試験方法の理論的根拠 

附属書D(参考)ISO/TR 16142の基本原則に対応するこの規格の箇条 

JIS T 7211の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS T 7211 第1部:ろ過性能を試験するための食塩試験方法 

JIS T 7212 第2部:ろ過性能以外の試験方法 

T 7211:2005 (ISO 23328-1:2003) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 定義 ······························································································································ 2 

2.1 呼吸回路フィルタ ·········································································································· 2 

2.2 負荷濃度 ······················································································································ 2 

2.3 透過濃度 ······················································································································ 2 

2.4 透過度 ························································································································· 2 

2.5 ろ過効率百分率 ············································································································· 2 

3. 試験方法 ························································································································ 2 

3.1 原理 ···························································································································· 2 

3.2 試験条件 ······················································································································ 2 

3.3 試験装置 ······················································································································ 2 

3.4 BSFの調整 ··················································································································· 3 

3.5 試料数 ························································································································· 3 

3.6 手順 ···························································································································· 3 

4. 試験結果の算出及び計算式 ································································································ 4 

5. 試験報告書 ····················································································································· 4 

附属書A(規定)BSFの調整 ·································································································· 5 

附属書B(参考)エアゾールの粒子径分布 ················································································· 7 

附属書C(参考)選択した試験方法の理論的根拠 ······································································· 8 

附属書D(参考)ISO/TR 16142の基本原則に対応するこの規格の箇条··········································· 10 

参考文献 ···························································································································· 11 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

T 7211:2005 

(ISO 23328-1:2003) 

麻酔及び呼吸に使用する呼吸回路フィルタ− 

第1部:ろ過性能を試験するための食塩試験方法 

Breathing system filters for anaesthetic and respiratory use− 

Part 1: Salt test method to assess filtration performance 

序文 この規格は,2003年に第1版として発行されたISO 23328-1:2003,Breathing system filters for 

anaesthetic and respiratory use−Part 1: Salt test method to assess filtration performanceを翻訳し,技術的内容及

び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。 

この規格は,呼吸回路フィルタ(以下,BSFという。)のろ過性能を評価するための試験方法について

規定する。 

BSFは,患者に送り込むガス及び患者から排出されるガス中の,微生物を含む粒子数を減少させるため

に使用する。 

BSFは,臨床使用したときに多様なレベルの湿度に暴露される。臨床使用を模擬する目的で加湿空気に

BSFをさらすことは,BSFのろ過性能に影響を与える可能性があるため,この試験方法の一部をなす(附

属書A参照)。 

試験では,BSFに最も透過しやすい粒子径範囲である0.1 μm〜0.3 μmの塩化ナトリウム粒子で負荷試験

を行う(附属書C参照)。 

微生物は,“チャネリング”と“グロースルー(生育貫通)”とによってフィルタを透過することが分っ

ているが,現在これらの発生を定量化する一般に認められた方法はない。この規格で規定する試験方法は,

比較だけを目的とするもので,臨床的妥当性は証明されていない。その結果は,この試験方法に特有のも

のであり,リスク因子とはならない。 

1. 適用範囲 この規格は,呼吸ガスのろ過を目的とするBSFの,ろ過性能を評価するために,短期的な

塩化ナトリウム空中浮遊粒子を用いる負荷試験法について規定する。 

この規格は,臨床に用いる呼吸回路とともに使用するBSFに適用する。ただし,バキューム源若しくは

ガスサンプリングラインの保護,圧縮ガスのろ過,又は生理的な呼吸測定のための検査装置の保護を目的

として設計されたフィルタなどの,他の種類のフィルタには適用しない。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD

(修正している),NEQ(同等でない)とする。 

ISO 23328-1:2003,Breathing system filters for anaesthetic and respiratory use−Part 1: Salt test method 

to assess filtration performance (IDT) 

参考 BSFのろ過性能以外の要求事項については,JIS T 7212による。 

T 7211:2005 (ISO 23328-1:2003) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

2.1 

呼吸回路フィルタ(BSF)(breathing system filter) 呼吸回路中の微生物を含む微粒子の透過を減

少させることを目的とした機器。 

2.2 

負荷濃度(challenge concentration) 気流がBSFに達した時点の,塩化ナトリウムの気流中の濃度。 

備考 負荷濃度は,ミリグラム毎立方メートルで表す。 

2.3 

透過濃度(penetration concentration) BSFから流出する気流中の塩化ナトリウム粒子の濃度。 

備考 透過濃度は,ミリグラム毎立方メートルで表す。 

2.4 

透過度(penetration value) BSFを透過した塩化ナトリウム粒子の濃度の,負荷濃度に対する百分

率。 

2.5 

ろ過効率百分率(percent filtration efficiency) 100から透過度を減じたもの。 

3. 試験方法  

3.1 

原理  

3.1.1 

塩化ナトリウム溶液を気流中に噴霧し,噴霧器で生成された塩化ナトリウム粒子をBSFに透過さ

せることによって,BSFの微粒子を除去する能力を測定する。その詳細を,附属書B及び附属書Cに示

す。 

3.1.2 

噴霧器によってエアゾールを発生させると,静電気的に帯電した粒子が生成される。帯電量は,粒

子を含む気流をイオン化空気の流れと混合することによって減少する。つまり,二つの流れが混合される

とき,粒子は中和されてボルツマン平衡の状態に達する。 

3.1.3 

試験のために選択する流量は,BSFの使用時に用いる標準的な流量に相当する。 

3.1.4 

BSFの性能は,BSFを透過した気流中の塩化ナトリウム粒子の透過濃度を測定し,これをBSFに

流入した空気の負荷濃度と比較することにより評価する。BSFは,包装から取り出したままの未使用状態,

及び臨床使用を模擬するための調整後に試験する。 

3.2 

試験条件 試験中の周囲条件は,次による。 

− 温度  :23 ℃±2 ℃ 

− 相対湿度:(60±15)%RH 

− 気圧  :96 kPa±10 kPa 

3.3 

試験装置  

3.3.1 

流量計は,実測値の±5 %の正確さをもつもの。 

3.3.2 

塩化ナトリウムエアゾール発生器(1)は,25 ℃±5 ℃,相対湿度(30±10)%及び濃度範囲10 mg/m3

〜20 mg/m3で,ボルツマン平衡状態のエアゾールを発生させる能力があるもの。 

3.3.3 

走査形モビリティ粒子径分析器(2)又は同等の装置。 

3.3.4 

適切な前方散乱光光度計(3)又は同等の装置。 

参考 ISOには,次のように記載されている。 

注(1) 市販品の適切な例として,TSI社(PO Box 64394,セントポール,ミネソタ州55164,米国)製

モデル8118A塩化ナトリウムエアゾール発生器がある。この情報は,この規格の利用者の便宜

を図るために掲載するものであり,この製品を推薦するものではない。 

(2) 市販品の適切な例として,TSI社(PO Box 64394,セントポール,ミネソタ州55164,米国)製

モデル3936走査形モビリティ粒子径分析器がある。この情報は,この規格の利用者の便宜をは

かるために掲載するものであり,この製品を推薦するものではない。 

T 7211:2005 (ISO 23328-1:2003) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(3) 市販品の適切な例として,TSI社(PO Box 64394,セントポール,ミネソタ州55164,米国)製

モデルAFT 8130前方散乱光光度計がある。この情報は,この規格の利用者の便宜を図るために

掲載するものであり,この製品を推薦するものではない。 

3.4 

BSFの調整 附属書Aに従い,BSFを調整する。 

3.5 

試料数 BSFの製造業者の責任の下において,BSFのろ過効率を立証するために選択した供試BSF

の試料数に関する理論的根拠を文書化する。 

3.6 

手順  

備考 この試験方法の種々の側面に関する理論的根拠を,附属書Cに示す。 

3.6.1 

流量計(3.3.1)を用いて,試験装置(図1参照)を流れる流量を,表1に示したBSFの使用目的

に対する適切な値に設定する。 

3.6.2 

エアゾール発生器(3.3.2)を用いて,25 ℃±5 ℃,相対湿度(30±10)%,濃度10 mg/m3〜20 mg/m3

のボルツマン平衡状態の塩化ナトリウムエアゾールを発生させる。 

3.6.3 

走査形モビリティ粒子径分析器(3.3.3)を用いて,規定された試験条件下における試験用塩化ナト

リウムエアゾールの粒子径が,数量中位径0.075 μm±0.020 μmに分布し,かつ,幾何標準偏差が1.86を超

えないことを確認する。 

備考1. 粒子径分布の数量中位径が0.075 μm,かつ,標準偏差が1.86の場合,空気力学的質量中位径

(MMAD)は0.26 μmである(附属書B参照)。 

2. これはエアゾール発生器の校正手順であり,製造業者によって推奨する場合にだけ行う必要

がある。 

3.6.4 

BSFを取り付けずに2個の光度計(3.3.4)を接続して,上流側光度計で負荷濃度を測定する。流量

を変更したとき及び規定の試料数(3.5)のBSFを試験し終わった後は,試験装置に電源を投入するたび,

下流側光度計の負荷濃度がこの値の±2.5 %であることを確認する。 

3.6.5 

調整されていないBSFを試験装置に取り付ける。製造業者が指定する気流方向を用いてBSFを試

験する。気流方向が指定されていない場合は,BSFの機械ポートに気流を流入させて試験を行う。 

3.6.6 

3.6.2に示すとおり,エアゾールの発生を繰り返す。 

3.6.7 

成人用BSFにおいては0.2 mg±0.1 mg,小児用BSFにおいては0.1 mg±0.05 mgの質量のエアゾー

ルがBSFに接触するまで試験を継続し,負荷濃度(CC)及び透過濃度(CP)を測定する。 

3.6.8 

調整したBSF(3.4参照)を用いて,3.6.5〜3.6.7を繰り返す。 

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T 7211:2005 (ISO 23328-1:2003) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1 圧縮ガス 

8 真空へ 

2 エアゾール発生器 

9 供試BSF 

3 中和器 

10 下流側光度計 

4 混合槽 

11 流量計 

5 排気  

12 流量制御弁 

6 切替弁 

13 走査形モビリティ粒子径分析器を使用 
  する場合の取付位置,3.3.3参照 

7 上流側光度計 

図 1 BSF試験装置 

4. 試験結果の算出及び計算式 次の計算式によって,供試BSFの透過度(PV)を算出する。 

100

)

C

/

C

(

PV

C

P

×

ここに, CP: 3.6に従い決定した透過濃度(mg/m3) 

CC: 3.6に従い決定した負荷濃度(mg/m3) 

表 1 供試BSFに対する流量 

単位 L/min 

BSFの使用目的 

流量 

小児 

15 

成人 

30 

5. 試験報告書 試験報告書には,ロット番号又は製造年月日,及び製造業者の所在地を含むBSFの識別

情報,それぞれの条件下で試験されたBSFの数量並びに調整前及び調整後のそれぞれのBSFのろ過効率

を含むものとする。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A(規定)BSFの調整 

A.1 原理 BSFは,ろ過効率を試験する前に臨床使用期間を模擬する目的で,調整装置の下で加湿空気に

さらす。調整装置は,吸気分肢湿度発生器付き又はなしで呼吸回路に接続された湿度発生患者モデルから

なる。BSFは,臨床使用を模擬するため又は製造業者が推奨する呼吸回路中の様々な位置に取り付けるこ

とができる。 

A.2 試験条件 調整中の周囲条件は,次による。 

− 温度  :23 ℃±2 ℃ 

− 相対湿度:(60±15)%RH 

− 気圧  :96 kPa±10 kPa 

A.3 試験装置  

A.3.1 吸気分肢湿度発生器[図A.1 a)参照] 必要に応じて吸入空気の温度及び相対湿度を上昇させる

もの(A.4参照)。 

A.3.2 呼吸回路[図A.1 b)参照] 吸気側分肢,患者接続ポート付きYピース及び呼気側分肢からなり,

呼吸回路全体を通して一方向のガスの流れを確実にするために,呼吸回路分肢の末端部に一方向弁をもつ。 

A.3.3 湿度発生患者モデル[図A.1 c)参照] このモデルは,次のとおり構成されるものとする。 

a) 内部温度が37 ℃±1 ℃に維持する断熱チャンバ 

b) 37 ℃±1 ℃を維持し,気泡が双方向に流れる加温式水槽 

c) 体積2 Lのリザーババッグ入りの硬性リザーバ 

d) 往復ピストン及びベローズ式ポンプ 

A.4 BSFの取付位置  

A.4.1 一般 調整のためのBSFの取付位置は,A.4.2,A.4.3及び図A.1による。 

A.4.2 呼吸回路に吸気分肢湿度発生器がある場合 

A.4.2.1  二酸化炭素吸収剤とともに用いる循環呼吸回路の下での使用を模擬する場合,Yピースへの入口

での平均温度を26 ℃±1 ℃に,相対湿度を90 %RHを超えるように設定し,位置A にBSFを取り付け

る。 

A.4.2.2  温水加湿器との併用を模擬する場合,Yピースへの入口の平均温度を38 ℃±1 ℃に,相対湿度

を90 %RHを超えるように設定し,位置BにBSFを取り付ける。 

A.4.3 呼吸回路から吸気分肢湿度発生器を取り除いた場合 

A.4.3.1  非再呼吸式呼吸回路での使用を模擬する場合,位置AにBSFを取り付ける。 

A.4.3.2 呼吸回路の呼気側分肢での使用を模擬する場合,位置CにBSFを取り付ける。 

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A.5 手順  

A.5.1 試験装置を組み立て,湿度発生患者モデルを動作させる。このとき,水槽温度を確実に37 ℃±1 ℃

に安定させる。A.4.2で規定する調整要件のために,図A.1の位置1で測定する温度及び湿度が,規定の値

に達するまで吸気分肢湿度発生器を作動させる。表A.1で示すBSFの使用目的に従い,患者モデルのパラ

メータを設定する。 

A.5.2 使用目的を模擬するために,A.4及び図A.1に規定する呼吸回路の規定の位置にBSFを取り付ける。 

A.5.3 製造業者によって推奨される最長臨床使用可能時間,又はこの指定がない場合は25時間±1時間,

装置を運転してBSFを調整する。 

A.5.4 調整終了後,5分間以内に調整されたBSFを取り外して本体の3. に従いBSFを試験する。 

表 A.1 BSF調整のための患者モデルのパラメータ 

BSFの使用目的 

1回換気量 

Vt(a) 

mL 

呼吸回数 

min-1 

分時換気量 

L/min 

I:E比 

(吸気:呼気) 

小児 

250 

20 

1:1 

成人 

500 

15 

7.5 

1:1 

注(a) 1回換気量は,1回の呼吸で患者の肺に流入,又は流出するガスの体積。 

1 吸気分肢湿度発生器を使用する場合の温度及び湿度センサの位置 
2 断熱密閉容器 
3 硬性リザーバ 
4 ポンプ 
A,B,C 供試BSFの位置(A.4参照) 

備考 

記号はJIS T 7201-5による。 

図 A.1 BSFの調整用装置 

a)呼気分岐 
   湿度発生器 

b)呼吸回路 

c)湿度発生患者モデル 

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附属書B(参考)エアゾールの粒子径分布 

この附属書は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。 

B.1 3.3に記述された試験装置は,エアゾール粒子の質量を検出する。したがって,エアゾールの粒子径

分布は,質量空気力学的中央径(MMAD)及び幾何標準偏差(GSD)によって決定する。 

B.2 標準的な粒子径分布を,図B.1に示す。 

B.3 全質量の50 %(m)における粒子径の中央値(dm)は,0.26 μmであることが分かる。全質量の50 %

に対する標準偏差は,Y軸上の累積質量分布の84.13 %及び15.87 %に当たる。GSDは,上記の位置にお

ける粒子径drとdsとを,次の式によって算出する。 

s

rd

d

GSD=

備考 曲線が累積質量分布の90 %と10 %の間で事実上直線である場合に,この算出が可能である。 

この規格では,GSD値は最大1.86であることが望ましい。 

Y 累積質量分布,% 
X 空気力学的粒子径,μm(対数目盛) 

図 B.1 標準的なエアゾールの粒子径分布 

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附属書C(参考)選択した試験方法の理論的根拠 

この附属書は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。 

C.1 NIOSH試験法(42 CFR第84部) ISO 23328第1部の制定に当たり,ISOの技術専門委員会は呼

吸器保護機器その他に適用する微粒子フィルタに関して欧州規格及び他の規格に定められた多様な試験方

法を検討した。 

現在,BSFに微生物を負荷することを定めた国家規格及び国際規格は存在しない。微生物を負荷する試

験方法は幾つか説明されてきたが,ISOの技術専門委員会の見解では,微生物を使用する方法は,いずれ

も,既に確立された微粒子を使用する方法に比べて有利な点があるわけでもなく,臨床的妥当性が高いわ

けでもない。しかしEN 1822シリーズは,無菌室及び他の類似の適用のためのHEPA及びULPAフィルタ

の試験を意図したものであるため,不適当であるとISOの技術専門委員会は結論付けた。 

呼吸器保護機器の試験を意図したEN 143が検討されたが,使用粒子の範囲(0.4 μm〜0.6 μm)は,標準

的BSFに対して最も透過しやすい粒子径(MPPS)として現在認められているもの(0.1 μm〜0.3 μm)と比

較すると,やや大きい。 

ISOの技術専門委員会は,NIOSH(米国労働安全衛生研究所)試験法を基準として採用することが決定

した。その理由は,次のとおりである。 

− この試験では,標準的な呼吸フィルタのMPPSに近い質量中央径0.3 μmの粒子を使用する。 

− この試験は,EN 143に比べ高感度である。 

− BSFを試験するための方法の変更が最小限で済む。 

− NIOSH試験を行う上で適切な試験装置が市販されている。 

C.2 エアゾール試験の材料 NIOSH 42 CFR第84部では,フィルタを試験するエアゾールが2種,すな

わち,中等度の分解性をもつ塩化ナトリウム粒子と高分解性のフタル酸ジオクチル(DOP)粒子が規定さ

れている。DOPは,油脂又は他の毒性・変性微粒子に汚染された環境下で機能しなければならないフィル

タの条件を模擬する試験に使用される。明らかに,これはBSFには当てはまらず,したがって,ISOの技

術専門委員会は塩化ナトリウムだけを用いて試験を行うことで合意した。 

C.3 静電気的に中性のエアゾール 粒子フィルタには,基本的に機械式及び静電気式の二つのタイプがあ

る。 

機械式フィルタの効率は,その物理的特性,例えば,径,繊維の方向と配列によって決定される。 

静電気式フィルタの効率は,帯電粒子を保持する能力が高いほど増大する。しかし,帯電していない粒

子に対しては効率が低減する。 

実際にはBSFに負荷される粒子の多くは帯電しているが,すべてのタイプのBSFに対して再現性があ

る負荷を加えるため,試験条件としてボルツマン平衡の状態に達したエアゾールを規定している。 

C.4 流量 流量が減少するに従い,フィルタの効率は上昇する。自発呼吸と人工呼吸下の両方の患者を考

慮し,臨床環境で標準的に使用される流量を試験に選択した。 

T 7211:2005 (ISO 23328-1:2003) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

C.5 BSFの閉そく 呼吸器保護機器に関する別の規格では,大量の粉じん(塵)その他の物質を負荷した

後,性能を調査する試験が規定されている。 

BSFに対する負荷量が増加するに従い,ろ過効率も変化する。BSFによる差異が現れる負荷濃度を選択

することは重要であるが,BSFに対して不当に過度な負荷を加える必要はない。臨床使用では,通常,BSF

に過度の微粒子又は微生物による負荷が加わることはない。したがって,大量の塩化ナトリウムをBSFに

負荷して試験することは無意味である。ISO 23328第1部の開発中に用いられた市販の試験装置を用いて

負荷濃度を設定し,0.05 mg〜0.3 mgの範囲の負荷を加えた場合に,BSF間の差を明らかにすることができ

た。一方で,BSFの気流に対する抵抗力に湿度が与える影響も重要な側面であり,JIS T 7212でこの点を

取り上げる。 

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T 7211:2005 (ISO 23328-1:2003) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書D(参考)ISO/TR 16142の基本原則に対応するこの規格の箇条 

この附属書は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。 

表D.1に示すとおり,この規格は,ISO/TR 16142の基本原則に対応する。 

この規格の適用範囲である製品に対して,他の要件事項及び他の規格を適用してもよい。 

この規格の諸条項を遵守することは,ISO/TR 16142:1999の特定の基本原則に適合するための一つの手

段となる。 

表 D 1 ISO 23328とISO/TR 16142:1999との対応 

この規格の条項/下位条項 

ISO/TR 16142:1999の基本原則との対応 

全部 

1,8.1 

11 

T 7211:2005 (ISO 23328-1:2003) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献 

[1] ISO 8835-2,Inhalational anaesthesia systems−Part 2: Anaesthetic breathing systems for adults 

[2] ISO/TR 16142: 1999,Medical devices−Guidance on the selection of standards in support of recognized 

essential principles of safety and performance of medical devices 

[3] ISO 23328-2,Breathing system filters for anaesthetic and respiratory use−Part 2: Non-filtration aspects 

[4] EN 143,Respiratory protective devices−Particle filters−Requirements, testing, marking 

[5] EN 1822,High efficiency air filters (HEPA and ULPA) 

[6] National Institute for Occupational Safety and Health (NIOSH). Respiratory Protective Devices. Code of 

Federal Requlations, Title42, Part 844) 

[7] WILKES A.R. Assessing the filtration performance of breathing system filters using salt particles (Abstract). 

British J. Anaethesia 2000; 84, p.279 

[8] WILKES A.R. Comparison of two techniques for measuring penetration of sodium chloride particles 

through breathing system filters. British J. Anaethesia 2002; 89, pp.541-545 

[9] WILKES A.R. Factors affecting the filtration performance of breathing system filters (Abstract). British 

J.Anaethesia 2000; 84, p.280 

[10] WILKES A.R. Measuring the filtration performance of breathing system filters using sodium chloride 

particles. Anaethesia 2002; 57, pp.162-168