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T 6527:2012  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 種類······························································································································· 2 

5 品質······························································································································· 2 

5.1 溶解温度(タイプ1に適用) ··························································································· 2 

5.2 注入温度(タイプ1に適用) ··························································································· 2 

5.3 構成材料の色調(タイプ2に適用)··················································································· 2 

5.4 細線再現性 ··················································································································· 2 

5.5 埋没材又は石こうとの適合性 ··························································································· 2 

5.6 弾性回復 ······················································································································ 2 

5.7 引裂き強さ ··················································································································· 3 

6 試料の採取 ······················································································································ 3 

7 試験方法························································································································· 3 

7.1 試験条件 ······················································································································ 3 

7.2 溶解温度(タイプ1に適用) ··························································································· 3 

7.3 細線再現性試験 ············································································································· 3 

7.4 埋没材又は石こうとの適合性試験······················································································ 5 

7.5 弾性回復 ······················································································································ 6 

7.6 引裂き強さ試験 ············································································································· 9 

8 包装······························································································································ 10 

9 表示及び添付文書 ············································································································ 11 

9.1 表示 ··························································································································· 11 

9.2 添付文書 ····················································································································· 11 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 12 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本歯科材料工業協同組合(JDMA)及び財

団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日

本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。厚生労働大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

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歯科複模型用印象材 

Dental duplicating materials for model 

序文 

この規格は,2003年に第1版として発行されたISO 14356を基とし,引裂き強さの規格値の変更,弾性

回復試験機の追加などの技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,歯科複模型用印象材(以下,印象材という。)について規定する。 

注記 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

ISO 14356:2003,Dentistry−Duplicating material(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 0601 製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメ

ータ 

JIS B 7503 ダイヤルゲージ 

JIS G 4303 ステンレス鋼棒 

JIS H 3100 銅及び銅合金の板並びに条 

JIS T 6601 歯科鋳造用石こう(膏)系埋没材 

注記 対応国際規格:ISO 7490:2000,Dental gypsum-bonded casting investments(MOD) 

JIS T 6605 歯科用硬質石こう(膏) 

注記 対応国際規格:ISO 6873:1998,Dental gypsum products(MOD) 

JIS T 6608 歯科鋳造用りん酸塩系埋没材 

注記 対応国際規格:ISO 9694:1996,Dental phosphate-bonded casting investments(MOD) 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

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3.1 

複模型用印象材(duplicating material) 

主模型を複製するために用いる弾性印象材。 

3.2 

複模型用可逆性印象材(reversible duplicating material) 

加熱によって,弾性のあるゲル状態から注入可能なちょう(稠)度をもつゾル状態へ変わり,冷却によ

ってゲル状態になり,繰返し使用が可能な材料。 

3.3 

複模型用不可逆性印象材(non-reversible duplicating material) 

注入可能なちょう度をもつ状態からゲル又はゴム状に変わり,繰返し使用が不可能な材料。 

3.4 

有効硬化時間(effective setting time) 

複模型用不可逆性印象材を練和し始めたときから,又は他の方法で化学反応を開始させたときから測定

して,製造販売業者が指定する性質(弾性,硬さなど)を発現するまでの時間。 

3.5 

主模型(master model) 

歯列弓印象の中に石こうなどを注入することによって作られる,歯列弓の硬組織及び軟組織の模型,又

は軟組織の模型。 

種類 

種類は,次による。 

a) タイプ1 複模型用可逆性印象材 

b) タイプ2 複模型用不可逆性印象材 

品質 

5.1 

溶解温度(タイプ1に適用) 

溶解温度は,7.2によって試験したとき,製造販売業者が指定する温度を超えてはならない。 

5.2 

注入温度(タイプ1に適用) 

注入温度は,54 ℃を超えてはならない。 

5.3 

構成材料の色調(タイプ2に適用) 

構成材料は,完全に練和されたかが分かるように,対照的な色調でなければならない。 

5.4 

細線再現性 

印象材は,7.3によって試験したとき,テストブロック(図1)上に刻んだb線を,2本のd線の間の全

長にわたって,再現しなければならない。また,2本のd線も完全に再現しなければならない。 

5.5 

埋没材又は石こうとの適合性 

印象材は,7.4によって試験したとき,注入した埋没材又は石こうから容易に分離し,かつ,滑沢な面を

与えなければならない。また,埋没材又は石こうは,2本のd線(図1)間の全長にわたってc線を再現し

なければならない。 

5.6 

弾性回復 

弾性回復は,7.5によって試験したとき,96.50 %以上でなければならない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.7 

引裂き強さ 

引裂き強さは,7.6によって試験したとき,タイプ1については,0.20 N/mm以上であり,タイプ2につ

いては,1.0 N/mm以上でなければならない。 

試料の採取 

試料は,同一ロットから採取し,その量は,繰返し試験を含めて,規定した全ての試験を完了するのに

十分な量でなければならない。 

試験方法 

7.1 

試験条件 

試験は,全て23±2 ℃,相対湿度(50±10)%の環境で行う。全ての材料及び機器は,試験前に同一条

件にしておく。 

7.2 

溶解温度(タイプ1に適用) 

7.2.1 

手順 

700 mL以上の材料を製造販売業者が指定する方法によって溶解し,全体に塊及び粒がなくなったときの

温度を測定する。 

7.2.2 

評価 

7.2.1によって得られた溶解温度を,製造販売業者が指定する温度と比較する。 

7.3 

細線再現性試験 

7.3.1  試験器具 試験器具は,次による。 

a) 細線再現性試験及び埋没材又は石こうとの適合性試験用器具(図1参照) 

1) テストブロック JIS G 4303に規定するSUS316,又は印象材に侵されない材料。 

2) リング型 JIS H 3100に規定するC2600〜C4640,又はプラスチックなどの印象材に侵されない材

料。 

3) 細線面 JIS B 0601に規定する表面粗さ0.1 μmRa以下で,かつ,きずがないもの。 

4) その他の表面 JIS B 0601に規定する表面粗さ0.4 μmRa以下。 

b) 恒温器 35±2 ℃に保つことができるもの。 

c) ガラス板 平滑でリング型を完全に覆う大きさのもの。 

d) 拡大鏡 4〜12倍に拡大できるもの。 

e) 冷却用水槽 印象材を冷却する,製造販売業者指定によるもの。 

f) 

分離剤 シリコーングリースなど。 

g) タルク粉 

h) ポリエチレンシート 

7.3.2 

手順 

手順は,次による。 

a) テストブロックは,使用前に超音波洗浄器を用いて洗浄し,テストブロック及びリング型は,恒温器

中で35±2 ℃に維持する。 

b) 細線テストブロックに印象材が接着する場合には,軽くタルク粉をかけ,余分な粉は除去する。 

c) リング型は,分離剤を薄く塗布しておく。 

d) 35±2 ℃の恒温にしたテストブロックとリング型とを合わせて,この中に製造販売業者が指定する方

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

法で溶解調整又は練和した印象材を少しあふれる程度に充塡し,直ちに平滑なガラス板を圧接する。 

e) タイプ1は,製造販売業者が指定した時間冷却用水槽の中で冷却してから,タイプ2は,製造販売業

者が指定した時間放置してから,印象材を満たしたリング型をテストブロックから外す。 

f) 

低角度の照明下で拡大鏡を用いて印象材を観察する。 

7.3.3 

評価 

評価は,次による。 

a) 試験は,3個の試験片について行い,2個以上が5.4に適合したときに,合格とする。 

b) 全ての試験片が,5.4に適合しないときは,不合格とする。 

c) 1個の試験片が,5.4に適合したときは,再度試験を行って,3個全てが5.4に適合したときに,合格

とする。 

単位 mm 

a) テストブロック 

図1−細線再現性試験及び埋没材又は石こうとの適合性試験用器具 

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単位 mm 

  b) リング型 

c) スリット型 

図1−細線再現性試験及び埋没材又は石こうとの適合性試験用器具(続き) 

7.4 

埋没材又は石こうとの適合性試験 

7.4.1  試験器具 試験器具は,次による。 

a) 細線再現性試験及び埋没材又は石こうとの適合性試験用器具(図1参照) 

1) リング型 JIS H 3100に規定するC2600〜C4640,又はプラスチックなどの印象材に侵されない材

料。 

2) スリット型 JIS H 3100に規定するC2600〜C4640,又は合成ゴムなどの石こうに侵されない材料。 

b) クランプ スリットを閉じるために用いる器具。例えば,ウォームギアクランプ。 

c) 分離剤 シリコーングリースなどのスリット型及び石こう製品と反応しないもの。 

d) 拡大鏡 4〜12倍に拡大できる拡大鏡。 

e) 埋没材 JIS T 6601又はJIS T 6608に適合するもの。 

f) 

石こう JIS T 6605に適合するもの。 

7.4.2 

手順 

手順は,次による。 

a) スリット型の内面に分離剤を薄く塗布しておく。 

b) 埋没材又は石こうを製造販売業者が指定する方法で練和する。 

c) 7.3.2 f)で観察を終了した印象材を包含したリング型の上にスリット型を置き,クランプを閉めた後,

練和した埋没材又は石こうを印象面にあるa線,b線及びc線の片端からもう一方の端へ向かって流

れるように歯科用バイブレータを用いてスリット内面に沿って注ぐ。印象面が覆われた後は,スリッ

ト型の上部が僅かに余る程度に注ぐ。 

d) 注入したリング型及びスリット型を埋没材又は石こうの硬化時間に45分を加えた時間放置した後,ク

ランプを緩めてスリット型から試験片を取り出す。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

e) 低角度の照明下で拡大鏡を用いて試験片を観察する。 

7.4.3 

評価 

評価は,次による。 

a) 試験は,3個の試験片について行い,2個以上が5.5に適合したときに,合格とする。 

b) 全ての試験片が,5.5に適合しないときは,不合格とする。 

c) 1個の試験片が,5.5に適合したときは,再度試験を行って,3個全てが5.5に適合したときに,合格

とする。 

7.5 

弾性回復 

7.5.1  試験器具 試験器具は,次による。 

a) 弾性回復試験機 ガラス平板を含めた初期荷重が0.59±0.1 Nであるもの(図2又は図3参照)。ダイ

ヤルゲージは,JIS B 7503で規定する0.01 mmの単位で測れるもの。 

b) 冷却用水槽 印象材を冷却する製造販売業者指定によるもの。 

c) 金属割型又は金属リング型 内径12.5±0.05 mm,外径20.475 mm,高さ20±0.2 mmの金属割型(図

4参照),又は内径12.5±0.05 mm,外径25 mm,高さ20±0.2 mmの金属リング型。 

d) 金属割型固定リング又は金属リング 内径20.5 mm,外径25 mm,高さ19±0.5 mmの金属割型固定リ

ング(図4参照),又は内径30 mm,高さ16 mmの金属リング。 

e) ガラス板 50 mm×50 mm×6 mmの大きさのガラス板2枚。 

f) 

ポリエチレンシート 50 mm×50 mm×0.035 mmのもの。 

g) C−クランプ 開口能力が40 mm以上あるもの。 

h) 分離剤 シリコーングリースなど。 

i) 

ガラス平板 15 mm×15 mm×2 mmの大きさのガラス板。 

7.5.2 

試験片の作製 

試験片の作製は,次による。 

a) 金属割型固定リング又は金属リング,及び金属割型又は金属リング型は,分離剤を薄く塗布しておく。 

b) 金属割型固定リング又は金属リングをガラス板上に置き,タイプ2の場合には,ガラス板上にポリエ

チレンシートを置く。 

c) 製造販売業者が指定した方法で溶解調整,又は練和した印象材をリングの内容の半量より少し多めに

入れ,直ちにその中に金属割型又は金属リング型をガラス板に達するまで押し込み,上面にあふれた

印象材を除くためもう1枚のガラス板を圧接する。 

d) 金属割型又は金属リング型とガラス板とをC−クランプで固定し,タイプ1は,冷却用水槽に入れ,

製造販売業者が指定する時間放置し,タイプ2は,室温で製造販売業者が指定する時間放置する。 

e) 印象材を金属割型又は金属リング型から外し,試験片とする。 

7.5.3 

手順 

手順は,次による。 

a) 7.5.2によって作製した試験片を弾性回復試験機の台上に置く。 

b) ガラス平板を試験片の上に置き,試験片を金属割型又は金属リング型から外してから45秒後に,ダイ

ヤルゲージの測定子をそのガラス平板に接触させる。 

c) ダイヤルゲージの測定子をガラス平板に接触させてから10秒後の目盛を読み,この値をAとする。 

d) Aを読んだ5秒後に試験片を1秒以内に16±0.1 mmの高さ(20 %ひずみ)になるまで変形させ,その

後直ちに離して110秒間おく。次に,ダイヤルゲージの測定子をガラス平板に接触させ,その10秒後

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に再び目盛を読み,この値をBとする。 

e) 弾性回復は,次の式によって求める。 

×

=

100

20

)

(

100

B

A

D

ここに, 

D: 弾性回復(%) 

A: 20 %ひずみをかける前の目盛の読み 

B: 20 %ひずみを取り除いた後の目盛の読み 

20: 型の高さ(mm) 

注記 弾性回復試験の手順を図示すると,次のようになる。 

7.5.4 

評価 

評価は,次による。 

a) 試験は,5個の試験片について行い,4個以上が5.6に適合したときに,合格とする。 

b) 2個以下の試験片が,5.6に適合しないときは,不合格とする。 

c) 3個の試験片が,5.6に適合したときは,再度試験を行って,5個全てが5.6に適合したときに,合格

とする。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

        

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
A:プランジャ 
B:ダイヤルゲージ 
C:試験片 
D:ラチェット 

 − ダイヤルゲージは,JIS B 7503の規定に適合したもの。 

− プランジャは,試験片に20 %のひずみを与えることができるもの。 
 

図2−弾性回復試験機例(その1) 

単位 mm 

図3−弾性回復試験機例(その2) 

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単位 mm 

図4−固定リング及び金属割型 

7.6 

引裂き強さ試験 

7.6.1  試験器具 試験器具は,次による。 

a) 試験片作製用型 図5に示した寸法の試験片を作製するための型。試験片厚さは,4.0   mmで,V

ノッチの頂点の半径は,0.4±0.03 mmである。 

注記 試験片作製用型は,図5に示した形・寸法の機械加工原型を最初に作製し,その原型を用い

て餅状又は流し込みレジンで作製することができる。 

b) ガラス板 約154 mm×75 mm×12 mmの大きさで型を完全に覆うことのできるもの2枚。 

c) 恒温器 型及びガラス板を35±2 ℃に保つことができるもの。 

d) 引張試験機 少なくとも500 Nの引張力を加えることができる機械。 

注記 この試験で試験片をつかむには,機械的に調節できるグリップ,又は空気圧で作用するグリ

ップが用いられる。また,試験片を効果的につかむために,P240の耐水研磨紙(JIS R 6253

参照)を用いる場合もある。 

e) 冷却用水槽 印象材を冷却する製造販売業者指定によるもの。 

f) 

厚さ計 0.02 mmの単位で計測できるもの。 

g) ポリエチレンシート 154 mm×75 mm×0.035 mmのもの。 

7.6.2 

試験片の作製 

試験片の作製は,次による。 

a) 試験片作製用型及び厚いガラス板を恒温器に入れて35±2 ℃に調整する。 

b) 35±2 ℃に調整した乾いたガラス板の上に型を置き,タイプ2の場合には,ガラス板上にポリエチレ

ンシートを置く。製造販売業者が指定する方法で溶解調整,又は練和した印象材を少しあふれる程度

に充塡し,直ちに2枚目の厚いガラス板を圧接する。 

c) タイプ1は,製造販売業者が指定した時間冷却用水槽で冷却してから,タイプ2は,製造販売業者が

指定した時間放置してから,型から試験片を取り出す。 

+0.1 

 0 

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10 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7.6.3 

手順 

手順は,次による。 

a) 試験片のVノッチに最も近い正中線上の点で厚みを厚さ計を用いて0.1 mm単位まで測定する。 

b) 試験片を取り出してから45秒以内に引張試験機で,クロスヘッド速度毎分500 mmで試験片の破壊が

起きるまで引張力を加える。 

c) 引裂き強さは,次の式によって求める。 

d

F

Ts=

ここに, 

Ts: 引裂き強さ(N/mm) 

F: 最大荷重(N) 

d: 試験片厚さ(mm) 

7.6.4 

評価 

評価は,次による。 

a) 試験は,5個の試験片について行い,4個以上が5.7に適合したときに,合格とする。 

b) 2個以下の試験片が,5.7に適合したときは,不合格とする。 

c) 3個の試験片が,5.7に適合したときは,再度試験を行って,5個全てが5.7に適合したときに,合格

とする。 

単位 mm 

図5−引裂き強さ試験用の試験片を作製するための原型 

包装 

包装は,内容物の汚染又は漏れが起きないものでなければならない。 

11 

T 6527:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表示及び添付文書 

9.1 

表示 

印象材の包装には,次の事項を表示しなければならない。 

a) 製品名 

b) 種類 

c) 主要成分(タイプ2の場合) 

d) 内容量 

e) 使用期限及び保管条件 

f) 

製造販売業者名及び所在地 

g) 製造番号又は製造記号 

h) その他の法定表示事項 

9.2 

添付文書 

9.2.1 

タイプ1及びタイプ2の記載事項 

タイプ1及びタイプ2には,次の事項を記載した文書を添付しなければならない。 

a) 保管条件 

b) 種類 

c) 注入後に要求される空冷及び/又は水冷についての方法,温度及び時間。 

d) 型から主模型を取り出す方法。 

e) その他の法定記載事項 

9.2.2 

タイプ1だけの記載事項 

タイプ1には,次の事項を記載した文書を添付しなければならない。 

a) 溶解温度 

b) 注入温度及び保温温度 

c) ゲル化温度(JIS T 6512の7.8参照) 

9.2.3 

タイプ2だけの記載事項 

タイプ2には,次の事項を記載した文書を添付しなければならない。 

a) 構成材料の混合比 

b) 練和方法及び練和時間(該当する場合) 

c) 有効硬化時間 

d) 練和された材料が注入可能状態を保つ時間に影響し得る因子(例えば,材質の経時変化,室温の変動,

練和速度,湿度など)。 

参考文献 JIS R 6253 耐水研磨紙 

JIS T 6512 歯科用寒天印象材 

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附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS T 6527:2011 歯科複模型用印象材 

ISO 14356:2003 Dentistry−Duplicating material 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

3 用語及
び定義 

3.1 

ブロックアウト 

削除 

16件の用語及び定義を削除し
た。 

JISでは定義の必要がないため。 

3.2 

二重鍋 

3.6 

複製プロセス 

3.8 

機能寿命 

3.9 

ゲル化 

3.10 

直接容器 

3.11 

初期硬化時間 

3.12 

埋没材 

3.14 

融解する 

3.15 

外装 

3.16 

注入温度 

3.17 

主容器 

3.18 

耐火材 

3.19 

スラリ 

3.20 

保管,貯蔵 

3.21 

保存する 

3.4 

製造販売業者が指
定する 

− 

追加 

JISの内容を追加した。 

性質の根拠を明確にした。 

5 品質 

5.1 

一般 

削除 

項目を削除。 

JISでは必要なしとした。 

5.7 引裂き
強さ 

0.20 N/mm以上 

5.8 

引裂き強さ 
0.3 N/mm以上 

変更 

引裂き強さの規格値を変更し
た。 

市場に十分受け入れられている
製品の性能を考慮した。 

   

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

5.9 

抗菌性 

削除 

項目を削除。 

組成及び臨床使用方法並びに細
菌学的見地から検討し,JISには
規定しない。 

7.2 

機器作動の検証 

削除 

項目を削除。 

JISでは必要なしとした。 

7.3 

試料準備及び試験 

削除 

項目を削除。 

JISでは必要なしとした。 

7.4 

合否判定 

削除 

項目を削除。 

各試験項目中で規定した。 

7.5 

試験結果の表現 

削除 

項目を削除。 

JISでは必要なしとした。 

7.2.1  

溶解方法を記載 

8.1.2 

− 

追加 

溶解方法を追加した。 

溶解方法の規定が必要である。 

7.3 細線再
現性試験 

試験器具 

8.2 

細線再現性試験 
機器及び材料 

変更 

JISのリング型は,保持具を用
いない形状に変更し,図1も変
更した。 

他の印象材に用いる器具と同一
の形状にした。 

追加 

試験用型の材質及び細線面に
ついては,JISを引用した。 

JISに規定されているため。 

7.4 埋没材
又は石こ
うとの適
合性試験 

試験器具 

8.3 

耐火埋没材(及び石こう
−該当する場合)との適
合性試験 

追加 

試験用型の材質については,
JISを引用した。 

JISに規定されているため。 

7.5 弾性回
復 

試験器具 

8.4 

弾性回復試験 
試料作製用型 

変更 

JIS T 6512に規定の金型に変
更した。 

規格利用者の利便性を考慮した。 

試験装置 

選択 

ISO規格に規定のものとJIS T 
6512及びJIS T 6513に規定の
弾性回復試験機とを併記した。 

選択適用可能とした。 

追加 

ダイヤルゲージは,JISを引用
した(図2)。 
参考として手順を図示した。 

JISに規定されているため。 
 
規格利用者の利便性を考慮した。 

8.6 

抗菌性試験 

削除 

項目を削除。 

組成及び臨床使用方法並びに細
菌学的見地から検討し,JISには
規定しない。 

図4 固定リ
ング及び金
属割型 

“19±0.5” 
“深さ0.75” 

図5 

“18.5” 
“深さ1.0” 

変更 

JISでは,図中の寸法を変更し
た。 

同じ型を用いる他のJIS(JIS T 
6505,JIS T 6512)に整合した。
技術的差異はない。 

  

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

9.1 表示 

h) その他の法定表
示事項 

− 

追加 

その他の法定表示事項を追加
した。 

他のJISに整合。 

g) 材料の使用に伴って
生じる可能性のある毒性
効果又は刺激効果を避け
るために必要であるかも
しれない注意書き。 

削除 

項目を削除。 

JISでは必要なしとした。 

a) 製品を特定する情報 

削除 

項目を削除。 

添付文書の書式として規定され
ている。 

9.2.1 タイ
プ1及びタ
イプ2の記
載事項 

e) その他の法定記
載事項 
 
 

− 

追加 

その他の法定記載事項を追加
した。 

他のJISに整合。 

3) 複印象材をマスター
モデルの周りに注入する
前に,要求される温度に
マスターモデルを調整す
るための方法及び時間。 

削除 

項目を削除。 

JISでは必要なしとした。 

6) 型からマスターモデ
ルを取り出した後,型の
中に埋没材又は石こう製
品を注入するまでの間
に,許容される経過時間。 

削除 

項目を削除。 

JISでは必要なしとした。 

7) マスターモデルの取
り出し時から,型への注
入時までの間に必要とさ
れる型の処理。 

削除 

項目を削除。 

JISでは必要なしとした。 

8) 埋没材又は石こうが
硬化中,注入された型が
置かれるべき周囲環境。 

削除 

項目を削除。 

埋没材又は石こうにおいて規定
される事項であるため。 

  

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

9.2.1 タイ
プ1及び
タイプ2
の記載事
項(続き) 

9) 複印象材の製造業者
が,その複印象材と適合
することを見出してい
て,2節に記載された関連
国際規格の要求事項に適
合している耐火埋没材製
品を,少なくとも1種,
商標名及び結合機構カテ
ゴリで特定すること。 

削除 

項目を削除。 

JISでは必要なしとした。 

10) 取扱説明書に,その
複印象材は,歯科用石こ
う模型を作れる型の作製
に適すると記されている
場合には,複印象材の製
造業者が,その複印象材
と適合することを見出し
ている歯科用石こう製品
を,少なくとも1種,商
標名及びタイプで特定す
ることが要求される;ISO 
6873の要求事項に適合し
ている,タイプ3,タイプ
4又はタイプ5の硬質石
こうを1種。 

削除 

項目を削除。 

JISでは必要なしとした。 

9.2.2 タイ
プ1だけ
の記載事
項 

1) 融解プロセスに推奨
される機器。 

削除 

項目を削除。 

JISでは必要なしとした。 

 
 

   

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

9.2.2 タイ
プ1だけ
の記載事
項(続き) 

6) 複製されたマスター
モデルから型を分離した
後,必要な次の再融解手
順を開始するまでの間
に,複印象材に要求され
る貯蔵条件及びその他の
処置。 

削除 

項目を削除。 

JISでは必要なしとした。 

7) 材料の最大機能寿命
を得るために従うべき手
順。 

削除 

項目を削除。 

JISでは必要なしとした。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 14356:2003,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

  − 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
  − 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
  − 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。 
  − 選択……………… 国際規格の規定内容とは異なる規定内容を追加し,それらのいずれかを選択するとしている。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

  − MOD…………… 国際規格を修正している。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。