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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

T 1204-1988 

レーザ光凝固装置 

Laser Photocoagulators 

1. 適用範囲 この規格は,医用のレーザ光凝固装置のうち,眼底疾患や緑内障などの眼疾患の治療に用

いるための最大出力が5W以下のレーザ光凝固装置について規定する。 

引用規格: 

JIS C 6801 レーザ安全用語 

JIS T 1001 医用電気機器の安全通則 

JIS T 1002 医用電気機器の安全性試験方法通則 

JIS T 1003 医用電気機器の電気的安全性試験方法 

JIS T 1004 医用電気機器の機械的安全性試験方法 

JIS T 1005 医用電気機器取扱説明書の様式 

2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,JIS T 1001(医用電気機器の安全通則)及びJIS C 

6801(レーザ安全用語)によるほか,次のとおりとする。 

(1) 光凝固(ひかりぎょうこ) 光エネルギーの熱作用で人体組織を凝固すること。 

(2) デリバリシステム レーザヘッドから出射されたレーザ光を患部へ導くための導光路を中心とする光

学系。 

なお,この光学系には観察用光学系,照明用光学系及び照準用光学系も含む。 

(3) 出力 導光路の最終部品から出射するレーザエネルギー,又は被照射眼のどう(瞳)孔相当位置で直

径8mmの絞りを通過するレーザエネルギー。単位はワット (W) とする。 

(4) 術者保護フィルタ レーザの被照射部などの反射光から,術者の眼を保護するための減光装置全般を

いう。 

(5) 照準光 レーザ光が照射される部位を術者に示すための光。 

3. 性能 装置の性能は5.の試験を行ったとき,次のとおりとする。 

(1) 出力 

(a) 精度 出力の精度は,設定値に対する測定値が,±20%の範囲内であること。ただし,出力設定値

が0.1W未満の場合は,±50%の範囲内であること。 

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T 1204-1988  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図 出力精度のグラフ 

(b) 安定度 安定度は,出力の平均値に対する変動量が,±20%であること。 

(2) 照射時間(凝固時間) 時間の精度は,設定値に対する測定値が,±20%の範囲内であること。ただ

し,0.1秒未満の場合は,±50%の範囲内であること。 

(3) 照射範囲(凝固スポットの大きさ) 寸法の精度は,設定値に対する測定値が±20%の範囲内である

こと。ただし,0.1mm未満の場合は,±50%の範囲内であること。 

(4) 観察用光学系 倍率誤差は,表示値に対し,±10%であること。 

備考 性能の詳細は,観察鏡個別の仕様による。 

4. 構造及び機能 

4.1 

一般事項 各部の構造及び機能は,JIS T 1001の10.によるほか,次のとおりとする。 

(1) 各部の構造は,いずれも良質の材料を用いて入念な加工及び組立てを行い,十分な強度と耐久性を確

保すること。 

(2) 塗装及びめっきは強固であって容易に色あせ,脱落,さび及び腐食を生じないこと。 

また,外装には人や器物を損傷するおそれのある鋭利な角や突起があってはならない。 

(3) 作動部は円滑で確実に動作すること。 

(4) 光学部品には曇り,かび,接着剤切れや銀浮きなどがなく,実用上有害な泡,脈理,砂目,やけ,汚

れやごみ,反射防止膜のきず,むらなどがないこと。 

(5) デリバリシステムはレーザ光の伝送効率が高く,患部の観察が容易なものであること。 

(6) 交換又は調整する部分は,他の部分を破損したり又はそれらによって妨げられることなく保守が可能

であること。 

4.2 

安全性 装置は,正常に使用される状態及び単一故障の状態において,患者や使用者又は周囲に危

害を及ぼさないために,次のような機能又は安全装置を備えるものとする。 

(1) 電撃に対する保護の形式及び程度は,JIS T 1001の4.による分類で,クラスI機器及びB形機器に該

当すること。 

(2) 主制御回路の起動は,かぎ(鍵)付きスイッチによる。 

T 1204-1988  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(3) 緊急停止スイッチは,装置の異常又は操作上のトラブルを生じた場合などの緊急時に,使用者が装置

の運転を停止できること。 

(4) リモートインターロックコネクタは,装置に接続されていない状態では運転できないこと。 

(5) 照準光は,レーザ光の照射位置を明りょうに示すもので,凝固光と同一の光源かつ同軸の光学系であ

ることが望ましい。 

なお,照準光が遮断されている状態では凝固光を発射できないこと。 

(6) 観察用光学系(観察鏡)には,被照射部などで反射されたレーザ光から術者の眼を保護するための減

光用素子を備えていること。 

(7) 装置に異常が発生した場合には,異常箇所を自動的に検出し,警報を発すると同時に運転を停止する

システムのセルフチェック機能を備えていること。 

備考1. 検出項目には,冷却不足又は過熱,過電流(主制御回路及びレーザ管電流),過大出力又は出

力制御不良,保護カバーの外れ及び減光又は遮光装置(術者保護フィルタ)の誤動作は必ず

含むこと。 

2. 前項に含まれない軽微な異常は,点検によって容易に検出可能又は発生時に警報を発する構

造であればよい。 

3. 装置の性質及び機能とは無関係な特別な安全手段を適用する場合には,この項の適用を免除

することができる。ただし,この安全手段は標示が必要である。 

5. 試験方法 装置の性能,構造及び機能は次による試験を行い,3.及び4.の規定に適合しなければなら

ない。 

(1) 試験条件 特に定める場合を除き,JIS T 1002(医用電気機器の安全性試験方法通則)の4.による。 

(2) 性能試験 

(a) 出力 導光路の最終部品から出射するレーザエネルギー,又はどう孔相当位置で8mmの絞りを通

過するレーザエネルギーをパワー計で測定する。 

なお,使用するパワー計は適正に校正されたものとする。 

(b) 照射時間 出力の立ち上がりから立ち下がりまでのうち,平均出力の50%を超えている時間を測定

する。 

なお,出力がパルス列となるレーザではパルス列の始めから終わるまでの総時間とする。 

(c) 照射範囲 エネルギー密度が最大エネルギー密度の13.5%を超える範囲の寸法を測定する。測定に

は走査式測定器を使用するのを原則とするが,実用上で支障がなければ他の測定器でもよい。 

(d) 観察用光学系 細げき(隙)灯顕微鏡など,使用する観察鏡の規格に準拠する。 

(3) 電気的安全性試験 

(a) 一般事項 JIS T 1002の7.,8.及び9.によるほか,JIS T 1003(医用電気機器の電気的安全性試験方

法)の3.による。 

(b) 電源入力 JIS T 1003の4.による。 

(c) 耐電圧 JIS T 1003の5.による。 

(d) 漏れ電流 JIS T 1003の6.による。 

(e) 保護接地回路の抵抗 JIS T 1003の7.による。 

(f) 温度 JIS T 1003の8.による。 

(4) 機械的安全性試験 

T 1204-1988  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(a) 一般事項 JIS T 1004(医用電気機器の機械的安全性試験方法)の3.による。 

(b) 機械的強度 JIS T 1004の4.による。 

(c) 構造 JIS T 1004の5.による。ただし,光学機械の性質上(2)は適用しない。 

(d) 安全性 JIS T 1004の6.による。 

(e) 清掃,滅菌など JIS T 1004の7.による。 

(f) 騒音 JIS T 1004の8.による。 

6. 表示 装置の製造(販売)元,形式名称,主要性能,使用方法,安全などに関する重要な情報は明り

ょうに表示しなければならない。 

(1) 本体表示 装置の安全で見やすいところに,次の事項を銘板によって表示すること。銘板は容易に消

去されたり,紛失するおそれがないこと。 

(a) 製造(販売)業者名及び所在地 

(b) 名称,形名及び製造番号 

(c) 定格電源周波数 (Hz) 及び定格電源電圧 (V)  

(d) 電源入力(A,VA又はW) 

(e) 電撃に対する保護の形式(クラス) 

(2) 警告文の表示 装置の取扱時に注意を喚起するため,次の内容の警告文を適切な場所に表示すること。 

(a) レーザ光の放射に対する注意 

(b) レーザ光の放射口に対する注意 

(c) インターロック解除に対する注意 

7. 附属文書 

(1) 附属文書は,装置の構成部品として扱う。その内容には取扱説明,技術説明,使用者が照会できる製

造(販売)元の名称,所在地などを記載すること。 

(2) 取扱説明書はJIS T 1005(医用電気機器取扱説明書の様式)に適合すること。 

T 1204-1988  

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JIS原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

沖 坂 重 邦 

防衛医科大学 

(委員長代行) 

稲 富   誠 

昭和大学医学部 

大 頭   仁 

早稲田大学理工学部 

村 上 貴 久 

厚生省薬務局 

釜 土 祐 一 

工業技術院標準部 

御 須   孝 

工業技術院標準部 

杉 町 剛 美 

武谷病院眼科部 

千代田 和 正 

埼玉医科大学 

簗 島 謙 次 

国立リハビリテーションセンター 第3機能訓練部 

庵 原 章 良 

株式会社ニデック 

小 泉   浩 

東京光学機械株式会社 

藤 木 利 男 

株式会社松本医科器械