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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

S 8507-1992 

ピアノ 

Piano 

1. 適用範囲 この規格は,64けん(鍵)以上のピアノ(以下,ピアノという。)について規定する。 

備考 この規格の引用規格を,付表1に示す。 

2. 形式 形式は,アップライト形(スピネット形,コンソール形などを含む。)とグランド形に分ける。 

3. 各部の名称 ピアノの主要部の名称は,付図1及び付図2による。 

4. 品質 ピアノの品質は,次の各項目に適合しなければならない。 

(1) 外装は,反り,割れなどの欠点がなく,堅固に組み立てられたものであること。 

(2) 外装は,表面の塗装は美しく,むらなく仕上げられていること。 

(3) 外装は,8.1によって試験し,外装に実用上支障となるような欠点がないこと。 

(4) チューニングピンは,調律が円滑にでき,音の高さの保持が良好であること。 

(5) けん(鍵)は,演奏しやすいように面取りを施し,表面は平滑で,各けん(鍵)相互のすきま及び高

さは均等で,横振れが少なく,運動は円滑敏感で,著しい摩擦抵抗がないものであること。 

(6) けん(鍵)の運動は,8.2によって試験し,沈みの深さは9〜11mm,下降荷重は0.39〜0.74N又は上昇

荷重は0.098〜0.39Nとする。 

(7) けん(鍵)とアクションは,正確に一致して取り付けられ,かつ連関運動が円滑敏感で,ハンマーの

打弦は正確であること。 

(8) ダンパーヘッドには,止音効果の良好なフェルト又はこれと同等以上の止音効果のあるものが装着さ

れ,連関運動が適切なものであること。 

(9) ペダルの作動は円滑で,止音及び強弱音が完全に演奏できるものであること。 

(10) 音階の調律は,ピッチ49A=440Hzの12平均律とし,各音階は付図3の調律周波数基準の範囲内で,

均整がとれていること。ただし,注文者の指定又は,注文者に引き渡すまでの流通期間を考慮し,調

律周波数を,ピッチ49A=445Hzまでの範囲内において高くすることができる。 

(11) 音域は,88けん(鍵)の場合の1A〜88Cを基準とする。 

(12) 音量は,全音域にわたって均整で,強弱音範囲が広く表現できるものであること。 

(13) 音質は,全音域にわたって均整で,各音が美しく,伸びがあること。 

5. 構造及び寸法 ピアノの構造及び寸法は,次の各項目に適合しなければならない。 

(1) 外装は,次のとおりとする。 

(a) 外装は,強度と耐久度を十分保持できる構造であること。 

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S 8507-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(b) アップライト形の親板又はグランド形の側板は,支柱側面に確実に固定されていること。 

(c) けん(鍵)盤ふたは,開閉が円滑で着脱が可能であること。 

(d) アップライト形のやねは,自由に開閉ができ,上下前板は着脱が可能であること。 

(e) グランド形のやね前は,やね後とヒンジで接合するか,分離したものは着脱が可能な構造とする。 

また,やね後は,原則として開き角度を2段に変換でき,かつ着脱が容易にできる構造であるこ

と。 

(f) 脚部には,原則としてキャスターを装着してあること。 

(2) グランド形の脚及びペダルは,取外しができる構造であること。 

(3) 支柱及び鉄骨は,弦の張力に耐え得る強度を保持し,鉄骨と支柱は,ねじ止めされていること。 

(4) 響板,こま及びこまピンは,次のとおりとする。 

(a) 響板は,弧状に形成されていて,周辺は強固に取り付けられていること。 

(b) 響棒は,原則として響板の木理方向に交わって接着されていること。 

(c) こまは,響板面に確実に接着され,また,こまピンは,弦がこまに密着するように傾斜して打ち込

まれていること。 

(5) ピン板は,チューニングピンを確実に保持し,かつ,弦の張力に耐えるため,複数縦横の合わせ板を

使用し,鉄骨に密着してねじ止めされていること。 

(6) チューニングピンの長さは,64mm以下とし,その直径は6.75〜7.25mm,植込部には,30〜35mmの

長さのねじ加工を施し,頭部は四角形として,100

10〜100

14のテーパを付けたものであること(図1参照)。 

図1 チューニングピンの形状 

(7) けん(鍵)盤は,次のとおりとする。 

(a) けん(鍵)盤の総幅は,88けん(鍵) (1A〜88C) の場合1 220〜1 230mmを基準とする。 

(b) 白けん(鍵)フロントの長さは,48〜52mmとする。 

(c) 黒けん(鍵)の頭部は,前部の高さ12.0〜14.5mm,幅は上面9.0〜10.5mm,底面11.0〜12.5mmと

し,長さは原則として95mmとする。 

(8) 床面から白けん(鍵)面までの高さは,640〜750mmとする。 

(9) アクションは,次のとおりとする。 

(a) アクションは,JIS S 8508に適合するものであること。 

(b) ハンマーの打弦距離は,40〜50mmとする。 

(10) ペダルは,演奏上支障のない間隔をもち,床面からペダルの先端上面までの高さは45〜75mmとする。 

6. 材料 ピアノに使用する材料は,次の各項目に適合するものを用いなければならない。 

(1) 各部に使用する材料は,木材,金属,プラスチックなどで用途に適合した欠点のないものを使用する。 

(2) 各部に使用する木材は,強度上及び外観上支障となるような欠陥のないものを選び,これを用途に応

じて,8.3によって試験したとき,含水率3〜14%の範囲に均等に人工乾燥を施したものであること。 

なお,主要部品は,次の各項目に示すもの又はこれらと同等以上の材質であること。 

S 8507-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(a) けん(鍵)及び響板は,えぞ松又はスプルースとする。 

(b) こまピン保持部及びピン板は,かえで又はぶなとする。 

(3) 外装表面の仕上げ塗料は,JIS K 5531に適合するもの又はこれらと同等以上の品質のものとする。 

(4) 鉄骨は,JIS G 5501のFC 150又はこれと同等以上のものとする。 

(5) チューニングピンは,JIS G 4105のSCM 435,JIS G 3506のSWRH37又はこれらと同等以上の品質の

ものとする。 

(6) 弦は,原則として付表2に示すミュージックワイヤを,巻線は,JIS C 3102に適合するもの又はこれ

と同等以上の品質のものとする。 

(7) 白けん(鍵)面には,プラスチック又はこれと同等以上のものを装着し,黒けん(鍵)の頭部は,硬

質の木材又は成形プラスチックとする。 

(8) こまピン及びヒッチピンは,次のとおりとする。 

(a) こまピンは,JIS H 3260のC 2 700 1/2H,JIS G 4309に適合するもの又はJIS G 3505のSWRM10〜

22を伸線したもので,弦の接触面にさび止め処理を施したものであること。 

(b) ヒッチピンは,原則としてJIS G 3505のSWRM6〜22を伸線したものとし,弦の接触面にさび止め

処理を施したものであること。 

(9) アグラフは,原則としてJIS H 3250に適合するものとする。 

(10) 接着剤は,JIS K 6503,JIS K 6801,JIS K 6803若しくはJIS K 6804に適合するもの又はこれらと同

等以上の品質のものとする。 

7. 調律 ピアノの調律は,4.(10)を基準として,JIS Z 8702の5.(使用方法)によって調律する。この場

合,周波数基準器は,JIS Z 8702に規定する1級周波数基準器又はこれと同等以上の基準器を用いる。 

8. 試験方法 

8.1 

耐乾耐湿性 耐乾耐湿性の試験は,外装を温度30±3℃,湿度 (40±5) %の恒温室内に連続24時間

放置し,更に,温度30±3℃,湿度 (80±5) %の恒温室内に連続24時間放置し,これを2回繰り返し,実

用上支障となるような欠点の有無を調べる。 

8.2 

けん(鍵)運動 沈み深さの試験は,けん(鍵)を押してその先端部の沈み深さを測定する。 

また,下降荷重又は上昇荷重の試験は,ダンパーを外した状態で,けん(鍵)の先端から23mmの中心

位置におもりの重心がくるようにして,次のとおり行う。 

(1) 下降荷重 測定前にけん(鍵)を一度沈めた後元に戻し,測定用のおもりを遂次載せて,けん(鍵)

が完全に沈みきるのに要する最小のおもりの重さを求める。この値から1gf=9.806 65×10−3Nの換算

率でSI単位に換算し,JIS Z 8401によって小数点以下2けたに丸めた値とする。 

(2) 上昇荷重 ジャックが外れる寸前までけん(鍵)を沈め,測定用のおもりを遂次戴せて,けん(鍵)

が完全に上がりきるのに要する最大のおもりの重さを求める。この値から1gf=9.806 65×10−3Nの換

算率でSI単位に換算し,JIS Z 8401によって小数点以下2けたに丸めた値とする。 

8.3 

含水率 含水率の試験は,JIS Z 2102による。 

9. 検査方法 ピアノは,4.及び5.の規定に適合するかどうかを検査する。この場合,検査は,合理的な

抜取方法によって行ってもよい。 

S 8507-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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10. 表示 ピアノには,次の事項を表示しなければならない。 

(1) 製造業者名又はその略号 

(2) 製造番号 

付表1 引用規格 

JIS C 3102 電気用軟銅線 

JIS G 3505 軟鋼線材 

JIS G 3506 硬鋼線材 

JIS G 4105 クロムモリブデン鋼鋼材 

JIS G 4309 ステンレス鋼線 

JIS G 5501 ねずみ鋳鉄品 

JIS H 3250 銅及び銅合金棒 

JIS H 3260 銅及び銅合金線 

JIS K 5531 ニトロセルロースラッカー 

JIS K 6503 にかわ及びゼラチン 

JIS K 6801 ユリア樹脂木材接着剤 

JIS K 6803 カゼイン木材接着剤 

JIS K 6804 酢酸ビニル樹脂エマルジョン木材接着剤 

JIS S 8508 ピアノアクション 

JIS Z 2102 木材の平均年輪幅・含水率及び比重測定方法 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

JIS Z 8702 楽器用周波数基準 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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付表2 ミュージックワイヤ 

線番 

直径 mm 

引張強さ kN/mm2 

13 

0.775±0.010 

2.40〜2.61 

1321 

0.800±0.010 

2.39〜2.59 

14 

0.825±0.010 

2.38〜2.57 

1421 

0.850±0.010 

2.37〜2.55 

15 

0.875±0.010 

2.36〜2.54 

1521 

0.900±0.010 

2.35〜2.53 

16 

0.925±0.010 

2.34〜2.50 

1621 

0.950±0.010 

2.32〜2.48 

17 

0.975±0.010 

2.31〜2.47 

1721 

1.000±0.010 

2.29〜2.47 

18 

1.025±0.013 

2.28〜2.45 

1821 

1.050±0.013 

2.26〜2.41 

19 

1.075±0.013 

2.24〜2.39 

1921 

1.100±0.013 

2.22〜2.37 

20 

1.125±0.013 

2.20〜2.36 

2021 

1.150±0.013 

2.20〜2.36 

21 

1.175±0.013 

2.18〜2.35 

2121 

1.200±0.015 

2.18〜2.35 

22 

1.225±0.015 

2.16〜2.32 

23 

1.300±0.015 

2.11〜2.29 

24 

1.400±0.015 

2.06〜2.25 

25 

1.500±0.015 

1.96〜2.20 

26 

1.600±0.015 

1.86〜2.14 

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S 8507-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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付図1 主要部の名称(アップライト形) 

内装 1 白けん(鍵) 
 

2 黒けん(鍵) 

3 アクション 

4 ブラケット 

5 アクションボルトナット 

6 響板 

7 こま 

8 響棒 

9 ピン板 

10 チューニングピン 

11 支柱 

12 鉄骨 

13 ヒッチピン 

14 アグラフ 

外装 15 やね 
 

16 親板 

17 上前板 

18 けん(鍵)盤ふた 

19 奥やね 

20 棚板 

21 下前板 

22 ペダル 

23 脚部 

24 底板 

25 キャスター 

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7

S

 8

5

0

7

-1

9

9

2

  

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付図2 主要部の名称(グランド形) 

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8

S

 8

5

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7

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9

2

  

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付図3 調律周波数基準 

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楽器専門委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

真 篠   将 

兵庫教育大学 

金 本 正 武 

文部省 

島 田 豊 彦 

通商産業省生活産業局 

地 崎   修 

工業技術院 

石 川 源四郎 

全国楽器協会 

稲 星 昭 寿 

株式会社山野楽器 

大 場 清 光 

株式会社河合楽器製作所 

梶   吉 宏 

ヤマハ株式会社 

後 藤   茂 

東洋ピアノ製造株式会社 

外 山   篁 

トヤマ楽器製造株式会社 

中 沢   東 

株式会社鈴木楽器製作所 

小 山 昌 治 

東京都立小川高等学校 

進 藤 真 郎 

東京都大田区立入新井第一小学校 

廣 田 幸 夫 

東京都北区滝野川中学校 

石 田 宗 雄 

株式会社河合楽器製作所 

江 崎 秀 行 

ヤマハ株式会杜 

小 野 政 雄 

ヤマハ株式会社 

野 崎 欣 也 

ヤマハ株式会社 

川 瀬 晴 久 

ヤマハ株式会社 

真 野 泰 治 

株式会社トンボ楽器製作所 

村 木 幸 雄 

ヤマハ株式会社 

(事務局) 

工 藤 英 武 

工業技術院標準部繊維化学規格課 

平 塚 智 章 

工業技術院標準部繊維化学規格課