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R 2012 : 1998  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

R 2012 : 1998 

ジルコン−ジルコニア質耐火物の 

化学分析方法 

Methods for chemical analysis of  

refractories containing zircon and/or zirconia 

1. 適用範囲 この規格は,ジルコン−ジルコニア質耐火物の化学分析方法について規定する。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 0116 発光分光分析通則 

JIS K 0121 原子吸光分析通則 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8885 二酸化けい素(試薬) 

JIS R 2001 耐火物用語 

JIS R 2551 キャスタブル耐火物の試験試料採取方法 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

JIS Z 8801 試験用ふるい 

2. 一般事項 分析方法に共通な一般事項は,JIS K 0050,JIS K 0115,JIS K 0116及びJIS K 0121の規

定による。 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS R 2001によるほか,次による。 

a) ジルコン−ジルコニア質耐火物 主原料としてジルコン又はジルコニア,又は,ジルコン及びジルコ

ニアを配合した耐火物。 

b) 乾状不定形耐火物 粒及び粉末で構成される耐火物。 

c) 湿状不定形耐火物 粒及び粉末に液状物質を加えて構成される耐火物。 

4. 分析項目 この規格で規定する分析項目は,次のとおりとする。 

a) 強熱減量 (LOI) 

b) 酸化けい素 (IV) (SiO2) 

c) 酸化アルミニウム (Al2O3) 

d) 酸化鉄 (III) (Fe2O3として全鉄を表す。) 

e) 酸化チタン (IV) (TiO2) 

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R 2012 : 1998  

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f) 

酸化カルシウム (CaO) 

g) 酸化マグネシウム (MgO) 

h) 酸化ナトリウム (Na2O) 

i) 

酸化カリウム (K2O) 

j) 

酸化りん (V) (P2O5) 

k) 酸化クロム (III) (Cr2O3) 

l) 

酸化ジルコニウム(酸化ハフニウムを含む。) [ZrO2 (+HfO2)] 

5. 定量範囲 この規格で規定する定量範囲は,表1のとおりとする。 

表1 定量範囲 

単位 mass% 

成分 

定量範囲 

成分 

定量範囲 

  LOI 

−1 〜20 

  MgO 

0.01〜 5 

  SiO2 

0.01〜45 

  Na2O 

0.01〜 2 

  Al2O3 

0.01〜 7 

  K2O 

0.01〜 2 

  Fe2O3 

0.01〜 3 

  P2O5 

0.01〜 2 

  TiO2 

0.01〜 2 

  Cr2O3 

0.01〜 3 

  CaO 

0.01〜 6 

ZrO2 (+HfO2) 

45 〜96 

6. 試料 

6.1 

試料の採取及び調製 試料の採取及び調製は,次による。 

a) 耐火れんがは,ロットから受渡当事者間の協定に基づく数量の試料をランダムに採取する。採取した

試料は,全量を粉砕して網ふるい (JIS Z 8801) 6.7mmを通過させ,二分器を用いるか,又は四分法に

よって約100gになるまで縮分する。次に,この縮分した全量が網ふるい300μmを通過するまで粉砕

する。 

b) 不定形耐火物は,その性状によって乾状と湿状に区分し,次によって試料約100gを調製する。 

1) 乾状不定形耐火物は,ロットからランダムに1袋又は50kgを採取し,二分器を用いるか,又は四分

法によって約100gになるまで縮分する。次に,この縮分した全量が網ふるい300μmを通過するま

で粉砕する。 

2) 湿状不定形耐火物は,JIS R 2551に準じ,規定された一定量を採取し(1),湿状耐火物と反応しない

耐熱性板(例えば,四ふっ化エチレン樹脂板)上に厚みが10mm以下の薄い円盤状になるように広

げ,110±5℃の空気浴中で2時間(2)乾燥させ,全量を粉砕して網ふるい6.7mmを通過させ,二分器

を用いるか,又は四分法によって約100gになるまで縮分する。この全量が網ふるい300μmを通過

するまで粉砕する。 

注(1) 湿状の耐火モルタルの場合は,1容器全量を採取し,容器内又は不定形耐火物と反応しない清浄

な容器内に移して清浄なかき混ぜ機などを用いて均一になるまで十分に混合し,このうちの1kg

を採取する。 

(2) 湿状の耐火モルタルの場合は,10時間以上乾燥する。 

c) a)又はb)によって得られた試験室試料を,四分法によって縮分して約10gとする。これを網ふるい

106μmを通過する程度まで微粉砕し,平形はかり瓶 (50×30mm) に薄く広げ,110±5℃の空気浴中で

2時間以上加熱した後,デシケーター中で放冷し,保存する。これを分析用試料とする。 

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6.2 

試料の量り方 分析試料は,化学はかりを用いて規定された量を,0.1mgのけたまで量り取る。 

7. 分析値のまとめ方 

7.1 

分析回数 分析は,日を変えて2回繰り返す。 

7.2 

空試験 分析に当たっては空試験を行い,測定値を補正する。 

7.3 

分析値の表示 分析値は乾燥ベースの質量百分率で表し,JIS Z 8401によって次のように丸める。 

a) 含有率の整数部が2けたの場合,小数点以下1けた。 

b) 含有率の整数部が1けた以下の場合,小数点以下2けた。 

7.4 

分析値の検討・採択 

a) 2個の分析値の差が,表2の許容差を超えないときは,その平均を報告値とする。 

b) 2個の分析値の差が許容差を超えるときは,更に2回の分析を繰り返し,その差が許容差を超えない

ときは,その平均を報告値とする。これも許容差を超えるときは,4個の分析値のメジアンを報告値

とする。 

表2 分析値の許容差 

単位 mass% 

成分 

含有率 

許容差 

成分 

含有率 

許容差 

LOI 

5未満 

0.10 

CaO 

2未満 

0.08 

5以上 

0.20 

2以上 

0.15 

SiO2 

2未満 

0.10 

MgO 

2未満 

0.08 

2以上8未満 

0.20 

2以上 

0.15 

8以上 

0.40 

Na2O 

0.10 

Al2O3 

2未満 

0.10 

K2O 

0.10 

2以上 

0.15 

P2O5 

0.10 

Fe2O3 

0.08 

Cr2O3 

0.10 

TiO2 

0.05 

ZrO2 (+HfO2) 

0.40 

(0.60)  

備考 酸化ジルコニウムの括弧内の許容差は,酸化りん (V) を0.5mass%以上

含有する試料に適用する。 

7.5 

分析報告 分析報告には,次の事項を記録する。 

a) 分析所名 

b) 分析年月日 

c) 分析方法 (JIS R 2012) 

d) 試料名及び試料に関する情報 

e) 分析成分名及び分析値(報告値) 

8. 強熱減量の定量方法 

8.1 

定量方法 強熱減量の定量方法は,重量法による。 

8.2 

重量法 

8.2.1 

要旨 試料を1050±25℃で強熱し,質量の増減を測定する。 

8.2.2 

試料の量り取り量 試料の量り取り量は,1.0gとする。 

8.2.3 

操作 定量操作は,次の手順によって行う。 

a) 白金るつぼ(例えば,20番)又は磁器るつぼ(例えば,B形15ml)を1 050±25℃で定時間(3)強熱し,

R 2012 : 1998  

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デシケーター中で放冷した後,その質量を量る。 

注(3) 白金るつぼの場合は,約15分間,磁器るつぼの場合は,約60分間強熱する。 

b) 試料をるつぼの底に薄く広げるように移し入れ,その質量を量る。 

c) るつぼにふたをしないで最初は低温で加熱し,次第に温度を上げ,最後は電気炉中で1 050±25℃で約

60分間強熱する。ふたをしてデシケーター中で放冷した後,その質量を量る。 

8.2.4 

計算 試料中の強熱減量は,次の式によって算出する(4)。 

100

0

1

2

1

×

=

m

m

m

m

LOI

ここに, LOI: 強熱減量 (mass%) 
 

m0:  8.2.3a)で得た質量 (g) 

m1:  8.2.3b)で得た質量 (g) 

m2:  8.2.3c)で得た質量 (g) 

注(4) 質量が増加した場合は,“−”(負符号)を付けて表示する。 

9. 酸化けい素 (IV) の定量方法 

9.1 

定量方法の区分 酸化けい素 (IV) の定量方法は,次のいずれかによる。 

a) 脱水重量吸光光度併用法 酸化けい素 (IV) の含有率4mass%以上の試料に適用する。 

b) 凝集重量吸光光度併用法 酸化けい素 (IV) の含有率4mass%以上の試料に適用する。 

c) モリブデン青吸光光度法 酸化けい素 (IV) の含有率8mass%未満の試料に適用する。 

9.2 

脱水重量吸光光度併用法 

9.2.1 

要旨 試料を炭酸ナトリウムとほう酸で融解した後,塩酸に溶かし,蒸発乾固してけい酸を脱水し

た後,塩酸で可溶性塩類を溶かし,ろ過する。沈殿を強熱後,焼成物を炭酸ナトリウムで再融解し,以下,

塩酸溶解,加熱脱水,ろ過及び強熱を繰り返す。焼成物の質量を量り,ふっ化水素酸を加えて酸化けい素 

(IV) を揮発させた後,再び強熱して質量を量り,その差から主酸化けい素 (IV) 量を求める。ろ液を分取

してモリブデン青吸光光度法によって溶存酸化けい素 (IV) の量を求める。両者の和から酸化けい素 (IV) 

含有率を求める。 

9.2.2 

試薬 試薬は,次による。プラスチック瓶に保存する。 

a) 塩酸(5) 

注(5) 試薬によっては,酸化カルシウムを微量含むものがある。ICP発光分光法でカルシウムを定量

する場合には,できるだけ高純度の試薬を用いる。 

b) 塩酸 (1+1, 1+2, 1+50)(5) 

c) ふっ化水素酸 

d) ふっ化水素酸 (1+9) 

e) 硫酸 (1+1, 1+15) 

f) 

ほう酸 

g) ほう酸溶液 (40g/l) 

h) 炭酸ナトリウム(5) 

i) 

七モリブデン酸六アンモニウム溶液 七モリブデン酸六アンモニウム四水和物20gを水200mlに溶か

し,必要ならろ過する。保存中にモリブデン酸が析出したときは新しく調製する。 

j) 

酒石酸溶液 (100g/l) 

R 2012 : 1998  

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k) L (+) −アスコルビン酸溶液 (100g/l)  冷暗所に保存する。調製後2週間以上経過したものは,使用

しないほうがよい。 

l) 

酸化けい素 (IV) 標準液 (0.05mgSiO2/ml)  二酸化けい素 (JIS K 8885) を強熱し,デシケーター中で

放冷後,0.050 0gを白金るつぼに量り取り,炭酸ナトリウム1gと混合した後,加熱融解する。放冷し

た後,その白金るつぼごと水100mlを入れたプラスチックビーカー (200ml) に移し,加熱することな

く融成物を溶かして1 000mlの全量フラスコに移し入れ,水を標線まで加える。使用の都度調製する。 

m) 備考だけで使用する試薬 

1) 硫酸 (1+9) 

2) 炭酸ナトリウム溶液 (2g/l) 

9.2.3 

試料の量り取り量 試料の量り取り量は,0.50gとする。 

9.2.4 

操作 定量操作は,次の手順によって行う。 

a) 試料を白金皿(例えば,75番)に量り取り,炭酸ナトリウム3.0g及びほう酸2.0gと混合した後,初

めは低温で加熱し(6),次第に温度を上げ最後は電気炉中で1 100±25℃に加熱し,未分解物が認められ

なくなるまで強熱して融解する(7)。時計皿でふたをして放冷後,ガラス棒でときどきかき混ぜながら,

塩酸 (1+2) 45ml及び硫酸 (1+1) 2.5mlを加え,沸騰水浴上で加熱して溶かす(8)。 

注(6) 急激に加熱すると,ほう酸の脱水のために試料が飛散するおそれがある。 

(7) 融解時間が長すぎると融成物が塩酸に融けにくくなる。 

(8) 酸化りん (V) を多く含む試料では,塩酸 (1+2) 45ml及び硫酸 (1+1) 2.5mlで溶解後の溶液が

白濁するので,白金皿を沸騰水浴上から降ろし,1日間以上放置した後,備考の操作を行い,

得られた備考の試料溶液 (b) について,引き続き本文の操作を続ける。 

備考 酸化りん (V) 含有率の多い試料は,次の手順によって操作してりん酸とジルコニウムを分離す

る。 

(1) 白金皿(例えば,150番)を受け,ろ紙(5種B)を用いて白濁した溶液をろ過し,塩酸 (1

+50) で数回洗浄後,水で洗浄する。ここで得たろ液及び洗液は,時計皿でふたをしてその

まま保存し,備考(4)の融成物の溶解に用いる。 

(2) 沈殿をろ紙と共に白金るつぼ(例えば,30番)に入れ,加熱して灰化し,放冷後,炭酸ナト

リウム3g及びほう酸1gを加え,十分に混合して1 000±25℃で融解する。放冷後,融成物を

白金るつぼごと温水50mlを入れたプラスチックビーカー (100ml) に移し,沸騰水浴上で加

熱して溶かした後,プラスチックビーカー (300ml) を受け,ろ紙(5種B)を用いてろ過し,

炭酸ナトリウム溶液 (2g/l) で十分に洗浄する。ろ紙及び沈殿は,保存して備考(4)の操作を行

う。 

(3) ろ液及び洗液に硫酸 (1+15) 55mlを加え,250mlの全量フラスコに移し入れ,水を標線まで

加える。この溶液を備考の試料溶液 (a) とし,9.4のモリブデン青吸光光度法によって沈殿

物中に残留する酸化けい素 (IV) の量及び17.によって沈殿物中に残留する酸化りん (V) の

量を求め,通常操作で得られた定量値に加算する。 

(4) 備考(2)で得た沈殿をろ紙と共に白金るつぼ(例えば,30番)に入れ,加熱して灰化し,放冷

後,炭酸ナトリウム1g及びほう酸0.3gを加え,十分に混合して1 000±25℃で融解する。融

成物を白金るつぼと共に備考(1)のろ液及び洗液を入れた白金皿に入れて溶かす。この溶液を

備考の試料溶液 (b) とする。 

b) 時計皿を水洗して除き,引き続き蒸発乾固する。この間,ときどき先端を平らにしたガラス棒で析出

R 2012 : 1998  

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した塩類を細かく押しつぶし,粉末にする。放冷後,塩酸5mlを加え,約1分間放置し,熱水30ml

を加えて沸騰水浴上で約5分間加熱して可溶性塩類を溶かし,ビーカー (300ml) を受け,ろ紙(5種

B)を用いてろ過する。熱塩酸 (1+50) で数回洗浄し,更に熱水で洗液中に塩化物イオンが認めなく

なるまで洗浄する。ろ液及び洗液の入ったビーカーは,時計皿で覆い保存する。この溶液を保存溶液 

(a) とする。 

c) 沈殿をろ紙と共に白金皿(例えば,75番)に入れ,硫酸 (1+1) 1滴を加え,ふたをわずかにずらせて

覆い,初めは低温で加熱してろ紙を灰化し,ふたを取って1 100±25℃で約10分間強熱する。放冷後,

炭酸ナトリウム3.0gを焼成物を覆うように加え,初めは低温で加熱し,次第に温度を上げ,融解が始

まったらときどき振り混ぜを繰り返して,最後は電気炉中1 100±25℃で5分間加熱して融解する。時

計皿でふたをして放冷後,塩酸 (1+2) 45ml及び硫酸 (1+1) 数滴を加え,発泡が穏やかになったら沸

騰水浴上に移し,加熱して溶かす。以下,b)の操作を行い,ここで得た溶液を保存溶液 (b) とする。 

d) 沈殿をろ紙と共に白金るつぼ(例えば,30番)に入れ,硫酸 (1+1) 1滴を加えて初めは低温で加熱し

てろ紙を灰化し,1 100±25℃で約60分間強熱する。デシケーター中で放冷した後,その質量を量る。

次いで,るつぼ中の内容物を少量の水で潤し,硫酸 (1+1) 3滴及びふっ化水素酸約10mlを加え,砂

浴上で加熱して蒸発乾固する。1 100±25℃で約5分間加熱し,デシケーター中で放冷した後,その質

量を量り,先の質量との差を求める。るつぼ中の残さは,炭酸ナトリウム1.0g及びほう酸0.3gを加え

て融解し,放冷後,c)の保存溶液 (b) 中に白金るつぼごと入れて加熱して溶かし,必要なら濃縮した

後,b)の保存溶液 (a) と共に500mlの全量フラスコに移し入れ,水を標線まで加える。この溶液を試

料溶液 (A) とし,溶存酸化けい素 (IV),酸化アルミニウム,酸化鉄 (III),酸化チタン (IV),酸化り

ん (V) 及び酸化ジルコニウム(酸化ハフニウムを含む。)の定量に用いる。 

e) 試料溶液 (A) から正しく10mlをプラスチックビーカー (100ml) に分取し,ふっ化水素酸 (1+9) 2ml

を加え,プラスチック棒でかき混ぜて約10分間放置した後,ほう酸溶液50mlを加え,液温を25℃付

近に調節する。七モリブデン酸六アンモニウム溶液2mlを加えてかき混ぜ,10分間放置する。酒石酸

溶液10mlを加えてかき混ぜ,1分間後にL (+) −アスコルビン酸溶液2mlを加え,100mlの全量フラ

スコに移し入れ,水を標線まで加え,60分間放置する。この溶液の一部を吸光光度計の吸収セル 

(10mm) にとり,波長650nm付近で水を対照液として吸光度を測定する。 

9.2.5 

空試験 試料を用いないで9.2.4の操作を行う。ただし,融解操作は省略する。ここで得た試料溶

液 (A) に対応する溶液を空試験液 (A) とする。 

9.2.6 

検量線の作成 酸化けい素標準液0〜10.0ml[酸化けい素 (IV) として0〜0.5mg]を正しく数個の

プラスチックビーカー (100ml) に段階的にとり,それぞれに9.2.5で得た空試験液 (A) 10mlを加え,9.2.4 

e)のふっ化水素酸 (1+9) 添加以降の操作を行い,吸光度と酸化けい素 (IV) の量との関係線を作成し,原

点を通るように平行移動して検量線とする。 

9.2.7 

計算 試料中の酸化けい素 (IV) 含有率は,9.2.4d)で得た主酸化けい素 (IV) の表と9.2.4e)及び

9.2.5で得た吸光度と9.2.6で作成した検量線とから溶存酸化けい素 (IV) の表を求め,次の式によって算出

する。 

100

10

500

)

(

)

(

2

1

2

1

2

×

×

+

=

m

A

A

m

m

SiO

ここに, SiO2: 酸化けい素 (IV) の含有率 (mass%) 
 

m1: 9.2.4d)で得た質量の差 (g) 

R 2012 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

m2: 9.2.5で得た質量の差 (g) 

A1: 分取した試料溶液 (A) 中の溶存酸化けい素 (IV) の量 (g) 

A2: 分取した空試験液 (A) 中の溶存酸化けい素 (IV) の量 (g) 

m: 試料の量り取り量 (g) 

9.3 

凝集重量吸光光度併用法 

9.3.1 

要旨 試料を炭酸ナトリウムとほう酸で融解後,塩酸に溶かし,ポリエチレンオキシドを加えてけ

い酸を凝集させた後,ろ過する。沈殿を強熱後,焼成物を炭酸ナトリウムと少量のほう酸で再融解し,以

下,塩酸溶解,凝集,ろ過及び強熱を繰り返す。焼成物の質量を量り,ふっ化水素酸を加えて酸化けい素 (IV) 

を揮発させた後,再び強熱して質量を量り,その差から主酸化けい素 (IV) の量を求める。ろ液を分取し

てモリブデン青吸光光度法によって溶存酸化けい素 (IV) の量を求める。両者の和から酸化けい素 (IV) の

含有率を求める。 

9.3.2 

試薬 試薬は,9.2.2a)〜1)と同じもののほか,次のものを用いる。 

a) ポリエチレンオキシド溶液 水200ml中にかき混ぜながら,ポリエチレンオキシド0.1gを少量ずつ加

えて溶かす。調製後2週間を経過したものは使用しない。 

9.3.3 

試料の量り取り量 試料の量り取り量は,0.50gとする。 

9.3.4 

操作 定量操作は,次の手順によって行う。 

a) 試料を白金皿(例えば,75番)に量り取り,炭酸ナトリウム3.0g及びほう酸2.0gを加えて混合した

後,初めは低温で加熱し(6),次第に温度を上げ,最後は電気炉中で1 100±25℃に加熱して,未分解物

が認められなくなるまで融解する(7)。時計皿でふたをして放冷後,塩酸 (1+2) 45ml及び硫酸 (1+1) 

2mlを加え,沸騰水浴上で加熱して溶かす(8)。 

b) 時計皿を水洗して除き,引き続き沸騰水浴上で加熱する。液の表面に塩類の被膜が生成したなら,ガ

ラス棒でかき混ぜ,シロップ状になるまで蒸発させた後,塩酸 (1+1) 5ml及び水10mlを加え,沸騰

水浴上で加熱し,ガラス棒でよくかき混ぜて塩類を溶かす。これに適量の粉末ろ紙を加えてかき混ぜ

た後,ポリエチレンオキシド溶液約10mlを加えてよくかき混ぜ,5分間放置する。ビーカー (300ml) 

を受け,ろ紙(5種B)を用いてろ過し,熱塩酸 (1+50) で数回洗浄し,更に熱水で十分に洗浄する。

ろ液及び洗液の入ったビーカーは,時計皿で覆い保存する。この溶液を保存溶液 (a') とする。 

c) 沈殿をろ紙と共に白金皿(例えば,75番)に入れ,硫酸 (1+1) 1滴を加え,ふたをわずかにずらせて

覆い,初めは低温で加熱してろ紙を灰化し,ふたを取って1 100±25℃で約10分間強熱する。放冷後,

炭酸ナトリウム3.0gとほう酸0.1gを焼成物を覆うように加え,初めは低温で加熱し,次第に温度を上

げ,融解が始まったら,ときどき振り混ぜを繰り返して,最後は電気炉中1 100±25℃で5分間加熱し

て融解する。時計皿でふたをして放冷後,塩酸 (1+2) 45ml及び硫酸 (1+1) 数滴を加え,沸騰水浴上

で加熱して溶かす。以下,b)の操作を行い,ここで得た溶液を保存溶液 (b') とする。 

d) 沈殿をろ紙と共に白金るつぼ(例えば,30番)に入れ,硫酸 (1+1) 1滴を加え,初めは低温で加熱し

てろ紙を灰化し,1 100±25℃で約60分間強熱する。デシケーター中で放冷した後,その質量を量る。

次いで,るつぼ中の内容物を少量の水で潤し,硫酸 (1+1) 3滴及びふっ化水素酸約10mlを加え,砂

浴上で加熱して蒸発乾固する。1 100±25℃で約5分間強熱し,デシケーター中で放冷した後,その質

量を量り,先の質量との差を求める。るつぼ中の残さは,炭酸ナトリウム1.0g及びほう酸0.3gを加え

て融解し,冷却後,c)の保存溶液 (b') 中にるつぼごと入れ,加熱して溶かし,必要なら濃縮した後,

b)の保存溶液 (a') と共に500mlの全量フラスコに移し入れ,水を標線まで加える。この溶液を試料溶

液 (A') とし,溶存酸化けい素 (IV),酸化アルミニウム,酸化鉄 (III),酸化チタン (IV),酸化マンガ

R 2012 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ン (II),酸化りん (V) 及び酸化ジルコニウム(酸化ハフニウムを含む。)の定量に用いる。 

e) 以下,9.2.4e)の手順によって操作する。 

9.3.5 

空試験 試料を用いないで,9.3.4の操作を行う。ただし,融解操作は,省略する。ここで得た試

験溶液 (A') に対応する溶液を空試験液 (A') とする。 

9.3.6 

検量線の作成 酸化けい素標準液0〜10.0ml[酸化けい素 (IV) として0〜0.5mg]を正しく数個の

プラスチックビーカー (100ml) に段階的にとり,それぞれに9.3.5で得た空試験液 (A') 10mlを加え9.2.4e)

のふっ化水素酸 (1+9) を添加する以降の操作を行い,吸光度と酸化けい素 (IV) の量との関係線を作成し,

原点を通るように平行移動して検量線とする。 

9.3.7 

計算 試料中の酸化けい素 (IV) の含有率は,9.3.4d)で得た主酸化けい素 (IV) の量と9.3.4e)及び

9.3.5で得た吸光度と9.3.6で作成した検量線とから溶存酸化けい素 (IV) の量を求め,次の式によって算出

する。 

100

10

500

)

(

)

(

2

1

2

1

2

×

×

+

=

m

A

A

m

m

SiO

ここに, SiO2: 酸化けい素 (IV) の含有率 (mass%) 
 

m1: 9.3.4d)で得た質量差 (g) 

m2: 9.3.5で得た質量差 (g) 

A1: 分取した試料溶液 (A') 中の溶存酸化けい素 (IV) の量 (g) 

A2: 分取した空試験液 (A') 中の溶存酸化けい素 (IV) の量 (g) 

m: 試料の量り取り量 (g) 

9.4 

モリブデン青吸光光度法 

9.4.1 

要旨 試料を炭酸ナトリウムとほう酸で融解し,硫酸に溶かして酸の濃度を調節し,七モリブデン

酸六アンモニウムを加え,酒石酸及びL (+) −アスコルビン酸を加えてモリブデン青を発色させ,吸光度

を測定する。 

9.4.2 

試薬 試薬は,9.2.2a),c)及びd)〜I)と同じもののほか,次のものを用いる。 

a) 硫酸 (1+5, 1+9) 

9.4.3 

試料の量り取り量 試料の量り取り量は,0.50gとする。 

9.4.4 

操作 定量操作は,次の手順によって行う。 

a) 試料を白金皿(例えば,75番)に量り取り,炭酸ナトリウム3.0g及びほう酸2.0gを加えて,初めは

低温で加熱し(6),次第に温度を上げ,最後は電気炉中で1 100±25℃で加熱し,未分解物が認められな

くなるまで強熱して融解する(7)。時計皿でふたをして放冷後,硫酸 (1+9) 55mlを加え,ときどきか

き混ぜながら沸騰水浴上で加熱して溶かす(8)。放冷後,少量の水で時計皿を水洗して取り除き,得ら

れた溶液を500mlの全量フラスコに移し入れ,水を標線まで加える。この溶液を試料溶液 (A") とし,

酸化けい素 (IV),酸化アルミニウム,酸化鉄 (III),酸化チタン (IV),酸化マンガン (II),酸化りん (V) 

及び酸化ジルコニウム(酸化ハフニウムを含む。)の定量に用いる。 

b) この試料溶液 (A") から正しく一定量(9)を2個のプラスチックビーカー (100ml) に分取し,9.4.5の空

試験液 (A") の一定量(9)を加える。ふっ化水素酸 (1+9) 2mlを加え,プラスチック棒でかき混ぜて約

10分間放置した後,ほう酸溶液50mlを加え,水で約80mlに薄めて液温を25℃付近にする。七モリ

ブデン酸六アンモニウム溶液5mlを加えてかき混ぜ,10分間放置する。酒石酸溶液20mlを加えかき

混ぜ,1分間後にL (+) −アスコルビン酸溶液10mlを加え,200mlの全量フラスコに移し入れ,水を

標線まで加え,約60分間放置する。この溶液の一部を吸収セル (10mm) にとり,波長650nm付近で

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R 2012 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

水を対照液にして吸光度を測定し,2個の測定値(10)を平均する。 

注(9) 試料溶液 (A") の分取量及び空試験液 (A") の添加量は,試料中の酸化けい素 (IV) 含有率に応

じて表3による。 

表3 試料溶液 (A") の分取量及び空試験液 (A") の添加量 

酸化けい素 (IV) の含有率 

mass% 

試料溶液 (A") の分取量 

ml 

空試験液 (A") の添加量 

ml 

     4未満 

20 

  4以上8未満 

10 

10 

(10) 吸光度の差が,0.005を超えるときは,9.4.4b)以降の操作を再び行う。 

分光光度計は,吸光度0.5以上の溶液を繰り返し測定したとき,吸光度の差が0.002以内であることが望まし

い。 

9.4.5 

空試験 試料を用いないで9.4.4の操作を行う。ただし,融解操作は省略する。ここで得た試料溶

液 (A") に対応する溶液を空試験液 (A") とする。 

9.4.6 

検量線の作成 酸化けい素標準液0〜20.0ml[酸化けい素 (IV) として0〜1mg]を正しく数個のプ

ラスチックビーカー (100ml) に段階的にとり,それぞれに9.4.5の空試験液 (A") 20mlを加え,9.4.4b)のふ

っ化水素酸 (1+9) を添加する以降の操作を行い,吸光度と酸化けい素 (IV) の量との関係線を作成し,原

点を通るように平行移動して検量線とする。 

9.4.7 

計算 試料中の酸化けい素 (IV) の含有率は,9.4.4b)及び9.4.5で得た吸光度と9.4.6で作成した検

量線とから酸化けい素 (IV) の量を求め,次の式によって算出する。 

100

500

2

1

2

×

×

=

V

m

A

A

SiO

ここに, SiO2: 酸化けい素 (IV) の含有率 (mass%) 
 

A1: 分取した試料溶液 (A") 中の酸化けい素 (IV) の量 (g) 

A2: 分取した空試験液 (A") 中の酸化けい素 (IV) の量 (g) 

V: 試料溶液 (A") の分取量 (ml) 

m: 試料の量り取り量 (g) 

10. 酸化アルミニウムの定量方法 

10.1 定量方法の区分 酸化アルミニウムの定量方法は,次のいずれかによる。 

a) CyDTA(シクロヘキサンジアミン四酢酸)−亜鉛逆滴定法 酸化アルミニウムの含有率0.1mass%以上

の試料に適用する。 

b) ICP発光分光分析法 酸化アルミニウムの含有率5mass%未満の試料に適用する。 

c) 原子吸光法 酸化アルミニウムの含有率5mass%未満の試料に適用する。 

10.2 CyDTA−亜鉛逆滴定法 

10.2.1 要旨 9.2.4,9.3.4又は9.4.4の試料溶液(A,A'又はA")を分取し,塩酸を加え,強酸性にした後,

冷却し,クペロンを加えてジルコニウム(ハフニウムを含む。),鉄及びチタンを沈殿させ,ろ過して分離

する。ろ液及び洗液を濃縮した後,硝酸及び過塩素酸を加え,加熱して有機物を分解する。塩化ヒドロキ

シルアンモニウムを加えてクロムを還元した後,過剰のCyDTAを加え,アンモニア水でpHを調節して,

アルミニウム−CyDTAキレートを生成させ,ヘキサメチレンテトラミンを加えて,pHを再調節した後,

キシレノールオレンジを指示薬として,過剰のCyDTAを亜鉛溶液で逆滴定する。 

10.2.2 試薬 試薬は,次による。 

a) 塩酸 

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10 

R 2012 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 塩酸 (1+1, 1+9) 

c) 硝酸 

d) 過塩素酸 

e) アンモニア水 

f) 

アンモニア水 (1+1, 1+9) 

g) ヘキサメチレンテトラミン(ヘキサミン) 

h) 塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液 (100g/l) 

i) クペロン溶液 (60g/l)  開封した新しい試薬又は15℃以下に冷却して保存した試薬を用いて調製する。

調製した溶液は,15℃以下に冷却して保存する。 

j) 

0.01mol/lCyDTA溶液 シクロヘキサンジアミン四酢酸一水和物3.65gに水酸化ナトリウム溶液 

(100g/l) 8ml及び水約100mlを加え,加熱して溶かす。冷却後,水で1 000mlに薄める。 

k) 0.01mol/l亜鉛溶液 調製方法及びファクターの計算方法は,JIS K 8001の4.5(滴定用溶液)(1.3)に準

じる。 

l) 

キシレノールオレンジ溶液 調製方法及び保存方法は,JIS K 8001の4.4(表8)による。 

10.2.3 操作 定量操作は,次による。 

a) 9.2.4d),9.3.4d)又は9.4.4a)の試料溶液(A,A'又はA")から200mlをビーカー (500ml) に正確に分取

し,塩酸20mlを加えて15℃以下(11)に冷却する。粉末ろ紙の適当量(例えば,0.05g)を加え,かき混

ぜながらクペロン溶液を少しずつ加え,沈殿が生じなくなったら,更に数滴を加えて約5分間放置す

る。ビーカー (500ml) を受け,ろ紙(5種B)を用いてろ過し(11),塩酸 (1+9) で10回洗浄する。ろ

紙及び沈殿は,19.の参考での酸化ジルコニウム(酸化ハフニウムを含む。)の定量に用いる。 

注(11) a)の操作を通じて,試料液及び試薬は,氷水で冷却するなどして15℃以下に保つ。特に,ろ過

中に液温が上昇しやすいので,温度調整された室で測定するなどの注意をする。 

b) ろ液及び洗液を沸騰水浴上で約20mlになるまで濃縮した後,時計皿で覆い硝酸10ml及び過塩素酸5ml

を加え,砂浴上で約10分間穏やかに煮沸する。時計皿を水洗して除き,引き続き注意して蒸発し,過

塩素酸の白煙が明らかに発生し始めるまで濃縮する。 

c) 放冷後,塩酸 (1+1) 3ml及び水約100mlを加え,加熱して塩類を溶かした後,冷却する。塩化ヒドロ

キシルアンモニウム溶液2mlを加えてかき混ぜた後,0.01mol/lCyDTA溶液の一定量(12)を正しく加え,

pHメータを用いてpHが2.9〜3.1になるまで,アンモニア水 (1+1),次いでアンモニア水 (1+9) を

加える。もし,アンモニア水を加え過ぎたときは,塩酸 (1+1) を加えてpH3以下に戻してから同様

の調節を行う。ヘキサメチレンテトラミンを,pHメータを用いてpHが5.5〜5.8になるまで加え,指

示薬としてキシレノールオレンジ溶液4,5滴を加えて0.01mol/l亜鉛溶液で滴定する。終点付近にな

ったらよくかき混ぜながらゆっくり滴定し,黄色がわずかに赤味を帯びた点を終点とする。 

注(12) 0.01mol/lCyDTA溶液の添加量は,試料中の酸化アルミニウムの含有率に応じて表4による。 

表4 0.01mol/lCyDTA溶液の添加量 

酸化アルミニウムの含有率 

mass% 

添加量 

ml 

1未満 

10 

1以上4未満 

20 

4以上6未満 

30 

6以上 

40 

10.2.4 空試験 9.2.5,9.3.5又は9.4.5で得た空試験液(A,A'又はA")を用いて10.2.3の操作を行う。 

11 

R 2012 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

10.2.5 計算 試料中の酸化アルミニウムの含有率は,次の式によって算出する。 

100

200

500

8

509

000

.0

)

(

1

2

3

2

×

×

×

×

=

m

F

V

V

O

Al

ここに, Al2O3: 酸化アルミニウムの含有率 (mass%) 
 

V1: 10.2.3c)の0.01mol/l亜鉛溶液の使用量 (ml) 

V2: 10.2.4の0.01mol/l亜鉛溶液の使用量 (ml) 

F: 0.01mol/l亜鉛溶液のファクター 

m: 9.2.4,9.3.4又は9.4.4の試料の量り取り量 (g) 

10.3 ICP発光分光分析法 

10.3.1 要旨 9.2.4,9.3.4又は9.4.4の試料溶液(A,A'又はA")を分取し,ICP発光分光分析装置を用い

てアルミニウムの発光強度を測定する。 

10.3.2 試薬 試薬は,次による。 

a) 酸化アルミニウム標準液 (1.0mgAl2O3/ml)  アルミニウム(99.9mass%以上)(13)0.529 2gを白金皿(例

えば,100番)に量り取り,白金皿を時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 30mlを加えて沸騰水浴上で加熱して

溶かし,冷却後,1 000mlの全量フラスコに移し入れ,水を標線まで加える。 

注(13) 表面が酸化している場合には,表面酸化層を塩酸 (1+3) で溶かし,水,エタノール (99.5),ジ

エチルエーテルで順次洗浄した後,デシケーターで乾燥して用いる。 

b) 酸化鉄 (III) 標準液 (1.0mgFe2O3/ml)  鉄(99.9mass%以上)(13)0.6994 gを量り取り,ビーカー (200ml) 

に移し,ビーカーを時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 30mlを加えて沸騰水浴上で加熱して溶かし,冷却後,

1 000mlの全量フラスコに移し入れ,水を標線まで加える。 

c) 酸化チタン (IV) 標準液 (1.0mgTiO2/ml)  チタン(99.9mass%以上)0.599 4gを白金皿(例えば,100

番)にとり,白金皿を四ふっ化エチレン樹脂製時計皿で覆い,ふっ化水素酸20ml, 硫酸 (1+1) 15ml

及び硝酸0.5mlを加え,沸騰水浴上で加熱して溶かす。時計皿を水で洗って取り除き,砂浴上で硫酸

の濃い白煙が出るまで加熱する。冷却後,白金皿の内壁を少量の水で洗い,再び加熱して白煙を発生

させる。冷却後,水を加え,1 000mlの全量フラスコに移し入れ,水を標線まで加える。 

d) 酸化カルシウム標準液 (1.0mgCaO/ml)  炭酸カルシウム(99.9mass%以上)2〜2.5gを白金るつぼ(例

えば,20番)又は磁器るつぼ(例えば,B形15ml)にとり,600±25℃で約60分間加熱した後,デシ

ケーターに入れ放冷する。その1.784 8gを量り取り,ビーカー (200ml) に移し入れ(14),ビーカーを

時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 10mlを徐々に加えて溶かし,冷却後,1000mlの全量フラスコに移し入れ,

水を標線まで加える。 

注(14) 例えば,金属製(例えば,白金製)量り取り皿に正しく量り取り,飛散しないように注意して

ビーカーに移し,少量の水で金属製量り取り皿の付着残留物を洗い移す。 

e) 酸化マグネシウム標準液 (1.0mgMgO/ml)  マグネシウム(99.9mass%以上)(13)0.603 0gを量り取り,

ビーカー (200ml) に移し入れ,ビーカーを時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 10mlを徐々に加えて溶かし,

冷却後,1000mlの全量フラスコに移し入れ,水を標線まで加える。 

f) 

酸化ハフニウム標準液 (1.0mgHfO2/ml) (15) 酸化ハフニウム(99.9mass%以上)約1.5gを白金るつぼ

(例えば,20番)にとり,1 050±25℃で1時間強熱した後,デシケーターに入れ放冷する。その0.500 

0gを白金皿(例えば,75番)に量り取り,炭酸ナトリウム3.0g及びほう酸2.0gを加えて混合した後,

電気炉中で1 050±25℃で強熱して融解する。放冷後,時計皿でふたをして硫酸 (1+9) 55mlを加え,

沸騰水浴上で加熱して溶かし,冷却後,500mlの全量フラスコに移し入れ,水を標線まで加える。 

注(15) 19.の備考によって酸化ハフニウムを定量する場合だけに用いる。酸化ハフニウムを定量しない

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12 

R 2012 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

場合には,不要である。 

g) 混合標準液 (0.05mgAl2O3/ml, 0.03mgFe2O3/ml, 0.03mgTiO2/ml, 0.05mgCaO/ml, 0.05mgMgO/ml, 

0.025mgHfO2/ml) (16) 酸化アルミニウム標準液,酸化鉄 (III) 標準液,酸化チタン (IV) 標準液,酸化

カルシウム標準液,酸化マグネシウム標準液及び酸化ハフニウム標準液のそれぞれを正しく50ml,

30ml,30ml,50ml,50ml,及び25ml(16))を1000mlの全量フラスコにとり,水を標線まで加える。この

溶液は,使用の都度調製する。 

注(16) 各成分の濃度及び分取量は,試料中の分析成分の含有率によって変えてよい。 

h) 添加液 白金皿(例えば,75番)に酸化ジルコニウムの一定量(17)(18)を量り取り,以下,9.2.4,9.3.4

又は9.4.4に準じて試料溶液(A,A'又はA")に相当する溶液を調製する(19)。 

注(17) 19.の備考によって酸化ハフニウムを定量する場合には,酸化ハフニウムが0.05mass%以下の酸

化ジルコニウムを用いる。 

(18) 試料中の酸化ジルコニウムの含有率に相当する量(例えば,酸化ジルコニウムの含有率が

80mass%の場合0.40g)を量り取る。 

(19) 分析試料と同じ操作法によって調製する。 

i) 

検量線用溶液系列I(20) 混合標準液を段階的に正しく数個の100mlの全量フラスコにとり,それぞれ

に添加液20mlを加え,水を標線まで加える。 

注(20) 表5に調製例を示す。分析試料の組成及び使用する分析装置の種類・性能に応じて最適な検量線

用溶液系列を調製する。 

表5 検量線用溶液系列Iの調製例 

検量線用溶

液系列I 

添加液 

ml 

混合標準液 

ml 

溶液濃度 (mg/100ml) 

Al2O3 

Fe2O3 

TiO2 

CaO 

MgO 

HfO2 (15) 

No.1 

20 

 0 

   0 

   0 

   0 

   0 

   0 

   0 

No.2 

20 

 5 

0.25 

0.15 

0.15 

0.25 

0.25 

0.125 

No.3 

20 

10 

0.50 

0.30 

0.30 

0.50 

0.50 

0.250 

No.4 

20 

15 

0.75 

0.45 

0.45 

0.75 

0.75 

0.375 

No.5 

20 

20 

1.00 

0.60 

0.60 

1.00 

1.00 

0.500 

10.3.3 操作 定量操作は,次の手順によって行う。 

a) 9.2.4,9.3.4又は9.4.4で得た試料溶液(A,A'又はA")20mlを正しく100mlの全量フラスコに分取し,

水を標線まで加える。この溶液を試料溶液 (B) とする。 

b) 試料溶液 (B) の一部をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,例えば,波長

394.40nm(21)における発光強度を測定する。 

注(21) 波長396.15nmは,ジルコニウムの分光干渉を受けるので用いてはならない。 

10.3.4 空試験 9.2.5,9.3.5又は9.4.5で得た空試験液(A,A'又はA")を用いて10.3.3の操作を行う。試

料溶液 (B) に対応する溶液を,空試験液 (B) とする。 

10.3.5 検量線の作成 検量線用溶液系列Iを用いて10.3.3b)の操作を行い(22),発光強度と酸化アルミニウ

ム量との関係線を作成し,原点を通るように平行移動して検量線とする。 

注(22) 検量線用溶液系列の測定は,試料溶液及び空試験液の測定との一連の操作として行い,検量線

は,測定ごとに新しいものを作成する。 

10.3.6 計算 試料中の酸化アルミニウムの含有率は,10.3.3b)及び10.3.4で得た発光強度と,10.3.5で作

成した検量線とから酸化アルミニウムの量を求め,次の式によって算出する。 

background image

13 

R 2012 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

100

20

500

2

1

3

2

×

×

=

m

A

A

O

Al

ここに, Al2O3: 酸化アルミニウムの含有率 (mass%) 
 

A1: 試料溶液 (B) 中の酸化アルミニウムの量 (g) 

A2: 空試験液 (B) 中の酸化アルミニウムの量 (g) 

m: 9.2.4,9.3.4又は9.4.4の試料の量り取り量 (g) 

10.4 原子吸光法 

10.4.1 要旨 9.2.4,9.3.4又は9.4.4の試料溶液(A,A'又はA")を分取し,原子吸光分析装置を用いてア

ルミニウムの原子吸光を吸光度で測定する。 

10.4.2 試薬 試薬は,次による。 

a) 酸化アルミニウム標準液 (1.0mgAl2O3/ml) 10.3.2a)による。 

b) 希釈酸化アルミニウム標準液 (0.1mgAl2O3/ml)  酸化アルミニウム標準液を水で正しく10倍に薄め

る。 

c) 添加液 白金皿(例えば,75番)に酸化ジルコニウムの定量(18)を量り取り,以下,9.2.4,9.3.4又は

9.4.4に準じて試料溶液(A,A'又はA")に相当する溶液を調製する(19)。 

d) 検量線用溶液系列II(23) 希釈酸化アルミニウム標準液を段階的に正しく数個の100mlの全量フラスコ

にとり,それぞれに添加液50mlを加え,水を標線まで加える。 

注(23) 表6に調製例を示す。分析試料の組成及び使用する分析装置の種類・性能に応じて最適な検量線

溶液系列を調製する。 

表6 検量線用溶液系列IIの調製例 

検量線用溶液系列II 

添加液 

ml 

希釈酸化アルミニウム標準液 

ml 

Al2O3 

mg/100ml 

No.1 

50 

 0 

 0 

No.2 

50 

 5 

0.5 

No.3 

50 

10 

1.0 

No.4 

50 

15 

1.5 

No.5 

50 

20 

2.0 

No.6 

50 

25 

2.5 

10.4.3 操作 定量操作は,次の手順によって行う。 

a) 9.2.4,9.3.4又は9.4.4で得た試料溶液(A,A'又はA")50mlを正しく100mlの全量フラスコに分取し,

水を標線まで加える。 

b) この溶液の一部を,原子吸光分析装置のアセチレン−酸化二窒素フレーム中に噴霧し,波長309.3nm

における原子吸光を吸光度で測定する。 

10.4.4 空試験 9.2.5,9.3.5又は9.4.5で得た空試験液(A,A'又はA")を用いて10.4.3の操作を行う。 

10.4.5 検量線の作成 検量線用溶液系列IIを用いて10.4.3b)の操作を行い(22),吸光度(原子吸光)と酸

化アルミニウムの量との関係線を作成し,原点を通るように平行移動して検量線とする。 

10.4.6 計算 試料中の酸化アルミニウムの含有率は,10.4.3b)及び10.4.4で得た吸光度と10.4.5で作成し

た検量線とから酸化アルミニウムの量を求め,次の式によって算出する。 

100

50

500

2

1

3

2

×

×

=

m

A

A

O

Al

ここに, Al2O3: 酸化アルミニウムの含有率 (mass%) 
 

A1: 10.4.3b)の試料溶液(A,A'又はA")中の酸化アルミニウム

の量 (g) 

background image

14 

R 2012 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A2: 10.4.4の空試験液(A,A'又はA")中の酸化アルミニウム

の量 (g) 

m: 9.2.4,9.3.4又は9.4.4の試料の量り取り量 (g) 

11. 酸化鉄 (III) の定量方法 

11.1 定量方法の区分 酸化鉄 (III) の定量方法は,次のいずれかによる。 

a) 1, 10−フェナントロリン吸光光度法 

b) ICP発光分光分析法 

11.2 1, 10−フェナントロリン吸光光度法 

11.2.1 要旨 9.2.4,9.3.4又は9.4.4の試料溶液(A,A'又はA")を分取し,L (+) −アスコルビン酸で鉄

を還元し,塩化1, 10−フェナントロリニウムを加え,酢酸アンモニウムでpHを調節して鉄を発色させ,

吸光度を測定する。 

11.2.2 試薬 試薬は,次による。 

a) 酒石酸溶液 (100g/l)  9.2.2j)による。 

b) 酢酸アンモニウム溶液 (200g/l) 

c) L (+) −アスコルビン酸溶液 (100g/l)  9.2.2k)による。 

d) 塩化1, 10−フェナントロリニウム溶液 塩化1, 10−フェナントロリニウム一水和物1gを水に溶かし

て1000mlに薄め,冷暗所に保存する。ただし,保存中に着色したときは,新しく調製する。 

e) 希釈酸化鉄 (III) 標準液 (0.05mgFe2O3/ml)  10.3.2b)の酸化鉄 (III) 標準液を水で正しく20倍に薄め

る。使用の都度調製する。 

11.2.3 操作 定量操作は,次の手順によって行う。 

a) 9.2.4d),9.3.4d)又は9.4.4a)で得た試料溶液(A,A'又はA")から正しく一定量(24)を100mlの全量フラ

スコに分取する。 

注(24) 試料溶液(A,A'又はA")の分取量は,試料中の酸化鉄 (III) の含有率に応じて表7による。 

表7 試料溶液(A,A'又はA")の分取量 

酸化鉄 (III) の含有率 

mass% 

分取量 

ml 

1未満 

50 

1以上 

25 

b) 水で約60mlに薄め,酒石酸溶液5ml及びL (+) −アスコルビン酸溶液2mlを加えて振り混ぜ,塩化

1, 10−フェナントロリニウム溶液10ml及び酢酸アンモニウム溶液10mlを加え,水を標線まで加え,

30分間放置する。この溶液の一部を吸収セル (10mm) にとり,波長510nm付近で水を対照液として

吸光度を測定する。 

11.2.4 空試験 9.2.5,9.3.5又は9.4.5で得た空試験液(A,A'又はA")を用いて11.2.3の操作を行う。た

だし,空試験液の分取量は,試料溶液の場合と同量とする。 

11.2.5 検量線の作成 希釈酸化鉄 (III) 標準液0〜15.0ml[酸化鉄 (III) として0〜0.75mg]を正しく数個

の100mlの全量フラスコに段階的にとり,11.2.3b)の操作を行い,吸光度と酸化鉄 (III) の量との関係線を

作成し,原点を通るように平行移動して検量線とする。 

11.2.6 計算 試料中の酸化鉄 (III) の含有率は,11.2.3b)及び11.2.4で得た吸光度と11.2.5で作成した検量

線とから,酸化鉄 (III) 量を求め,次の式によって算出する。 

15 

R 2012 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

100

500

2

1

3

2

×

×

=

V

m

A

A

O

Fe

ここに 

Fe2O3: 酸化鉄 (III) の含有率 (mass%) 

A1: 分取した試料溶液(A,A'又はA")中の酸化鉄 (III) の

量 (g) 

A2: 分取した空試験液(A,A'又はA")中の酸化鉄 (III) の

量 (g) 

m: 9.2.4,9.3.4又は9.4.4の試料の量り取り量 (g) 

V: 11.2.3 a)の試料溶液(A,A'又はA")の分取量 (ml) 

11.3 ICP発光分光分析法 

11.3.1 要旨 10.3.3の試料溶液 (B) をとり,ICP発光分光分析装置を用いて鉄の発光強度を測定する。 

11.3.2 操作 10.3.3a)で得た試料溶液 (B) の一部をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,

例えば,波長259.94nmにおける発光強度を測定する。 

11.3.3 空試験 10.3.4で得た空試験液 (B) を用いて,11.3.2の操作を行う。 

11.3.4 検量線の作成 10.3.2 i)の検量線用溶液系列Iを用いて11.3.2の操作を行い(22),発光強度と酸化鉄 

(III) の量との関係線を作成し,原点を通るように平行移動して検量線とする。 

11.3.5 計算 試料中の酸化鉄 (III) 含有率は,11.3.2及び11.3.3で得た発光強度と11.3.4で作成した検量

線とから酸化鉄 (III) の量を求め,次の式によって算出する。 

100

20

500

2

1

3

2

×

×

=

m

A

A

O

Fe

ここに, Fe2O3: 酸化鉄 (III) の含有率 (mass%) 
 

A1: 11.3.2の試料溶液 (B) 中の酸化鉄 (III) の量 (g) 

A2: 11.3.3の空試験液 (B) 中の酸化鉄 (III) の量 (g) 

m: 9.2.4,9.3.4又は9.4.4の試料の量り取り量 (g) 

12. 酸化チタン (IV) の定量方法 

12.1 定量方法の区分 酸化チタン (IV) の定量方法は,次のいずれかによる。 

a) ジアンチピリルメタン吸光光度法 

b) ICP発光分光分析法 

12.2 ジアンチピリルメタン吸光光度法 

12.2.1 要旨 9.2.4,9.3.4又は9.4.4の試料溶液(A,A'又はA")を分取し,酸の濃度を調節した後,CyDTA

を加えて加熱し,ジルコニウムをマスキングする。L (+) −アスコルビン酸を加えて鉄を還元し,ジアン

チピリルメタンで発色させ,吸光度を測定する。 

12.2.2 試薬 試薬は,次による。 

a) 塩酸 (1+1) 

b) L (+) −アスコルビン酸溶液 (100g/l)  9.2.2k)による。 

c) CyDTA溶液 シクロヘキサンジアミン四酢酸一水和物10gに水酸化ナトリウム溶液 (100g/l) 23mlを

加えて加熱して溶かし,冷却後,水で250mlに薄める。 

d) ジアンチピリルメタン溶液 (15g/l) ジアンチピリルメタン一水和物1.5gを塩酸 (1+5) 45mlに溶かし,

水で100mlに薄める。 

e) 希釈酸化チタン (IV) 標準液 (0.01mgTiO2/ml)  10.3.2c)の酸化チタン (IV) 標準液を水で正しく100

倍に薄める。使用の都度調製する。 

background image

16 

R 2012 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

12.2.3 操作 定量操作は,次の手順によって行う。 

a) 9.2.4,9.3.4又は9.4.4で得た試料溶液(A,A'又はA")の正しく一定量(25)を50mlの全量フラスコに

分取する。塩酸 (1+1) 5ml及びCyDTA溶液5mlを加えて振り混ぜた後,沸騰水浴中に浸し約5分間

加熱し,流水中で常温まで冷却する。 

注(25) 試料溶液(A,A'又はA")の分取量は,試料中の酸化チタン (IV) の含有率に応じて表8による。 

表8 試料溶液(A,A'又はA")の分取量 

酸化チタン (IV) の含有率 

mass% 

分取量 

ml 

1未満 

25 

1以上 

10 

b) L (+) -−アスコルビン酸溶液2mlを加え,1分間放置した後,ジアンチピリルメタン溶液10mlを加え,

水を標線まで加え,約90分間放置する。この溶液の一部を吸収セル (10mm) にとり,波長390nm付

近で水を対照液として吸光度を測定する。 

12.2.4 空試験 9.2.5,9.3.5又は9.4.5で得た空試験液(A,A'又はA")を用いて12.2.3の操作を行う。た

だし,空試験液の分取量は,試料溶液の場合と同量とする。 

12.2.5 検量線の作成 12.2.2e)の希釈酸化チタン (IV) 標準液0〜25ml[酸化チタン (IV) として0〜

0.25mg]を正しく数個の50mlの全量フラスコに段階的にとり,12.2.3a)の塩酸 (1+1) 5mlを添加する以降

の操作を行い,吸光度と酸化チタン (IV) の量との関係線を作成し,原点を通るように平行移動して検量

線とする。 

12.2.6 計算 試料中の酸化チタン (IV) の含有率は,12.2.3b)及び12.2.4で得た吸光度と12.2.5で作成し

た検量線とから酸化チタン (IV) の量を求め,次の式によって算出する。 

100

500

2

1

2

×

×

=

V

m

A

A

TiO

ここに, TiO2: 酸化チタン (IV) の含有率 (mass%) 
 

A1: 分取した試料溶液(A,A'又はA")中の酸化チタン (IV) の

量 (g) 

A2: 分取した空試験液(A,A'又はA")中の酸化チタン (IV) の

量 (g) 

m: 9.2.4,9.3.4又は9.4.4の試料の量り取り量 (g) 

V: 12.2.3a)の試料溶液(A,A'又はA”)の分取量 (ml) 

12.3 ICP発光分光分析法 

12.3.1 要旨 10.3.3の試料溶液 (B) をとり,ICP発光分光分析装置を用いてチタンの発光強度を測定する。 

12.3.2 操作 10.3.3a)で得た試料溶液 (B) の一部をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,

例えば,波長334.94nmにおける発光強度を測定する。 

12.3.3 空試験 10.3.4で得た空試験液 (B) を用いて,12.3.2の操作を行う。 

12.3.4 検量線の作成 10.3.2i)の検量線用溶液系列Iを用いて,12.3.2の操作を行い(22),得た発光強度と酸

化チタン (IV) の量との関係線を作成し,原点を通るように平行移動して検量線とする。 

12.3.5 計算 試料中の酸化チタン (IV) の含有率は,12.3.2及び12.3.3で得た発光強度と12.3.4で作成し

た検量線とから酸化チタン (IV) の量を求め,次の式によって算出する。 

100

20

500

2

1

2

×

×

=

m

A

A

TiO

ここに, TiO2: 酸化チタン (IV) の含有率 (mass%) 

17 

R 2012 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A1: 12.3.2の試料溶液 (B) 中の酸化チタン (IV) の量 (g) 

A2: 12.3.3の空試験液 (B) 中の酸化チタン (IV) の量 (g) 

m: 9.2.4,9.3.4又は9.4.4の試料の量り取り量 (g) 

13. 酸化カルシウムの定量方法 

13.1 定量方法の区分 酸化カルシウムの定量方法は,次のいずれかによる。 

a) 原子吸光法 

b) ICP発光分光分析法 

13.2 原子吸光法 

13.2.1 要旨 試料をふっ化水素酸,過塩素酸及び硝酸を用いて,加熱分解する。蒸発乾固した後,塩酸に

溶かして一定液量とする。この溶液の一部をとり,原子吸光分析装置を用いてカルシウムの原子吸光を吸

光度で測定する。 

13.2.2 試薬 試薬は,次による。 

a) 塩酸 (1+1) 

b) 硝酸 

c) 過塩素酸 

d) ふっ化水素酸 

e) ランタン溶液 酸化ランタン (III) 50gをビーカー (1 000ml) に量り取り,塩酸 (1+1) 200mlを加えて

加熱分解し,水で1000mlに薄める。 

f) 

酸化ナトリウム標準液 (0.5mgNa2O/ml)  塩化ナトリウム1〜1.5gを白金るつぼ(例えば,30番)に

とり,600±25℃で約60分間加熱した後,デシケーターに入れ放冷する。その0.942 9gを量り取り,

ビーカー (200ml) に移し入れ(14),水約100mlを加えて溶かし,1 000mlの全量フラスコに移し入れ,

水を標線まで加える。 

g) 酸化カリウム標準液 (0.5mgK2O/ml)  塩化カリウム1〜1.5gを白金るつぼ(例えば,30番)にとり,

600±25℃で約60分間加熱した後,デシケーターに入れ放冷する。その0.791 4gを量り取り,ビーカ

ー (200ml) に移し入れ(14),水約100mlを加えて溶かし,1 000mlの全量フラスコに移し入れ,水を標

線まで加える。 

h) マトリックス溶液 数個の白金皿(例えば,150番)のそれぞれに試料0.20g中の酸化ジルコニウムの

量 (g) 及び酸化アルミニウムの量 (g) に相当する酸化ジルコニウム(99.9mass%以上)及び酸化アル

ミニウム(99.99mass%以上)を量り取り,以下13.2.4a)の操作を行う。 

i) 

混合標準液II (0.1mgCaO/ml, 0.1mgMgO/ml, 0.02mgNa2O/ml, 0.02mgK2O/ml)  1 000mlの全量フラスコ

に10.3.2d)の酸化カルシウム標準液,10.3.2e)の酸化マグネシウム標準液,酸化ナトリウム標準液及び

酸化カリウム標準液をそれぞれ正しく50ml,50ml,20ml,及び20mlとり,水を標線まで加える。 

j) 

検量線用溶液系列II(26) h)の数個のマトリックス溶液をそれぞれ100mlの全量フラスコに移し入れ,

混合標準液IIの定量を段階的に加え,ランタン溶液10mlを加えた後,水を標線まで加える。直ちに

プラスチック瓶に移し入れる。 

注(26) 表9に調製例を示す。分析試料の組成及び使用する分析装置の種類・性能に応じて最適な検量線

用溶液系列を調製する。 

background image

18 

R 2012 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表9 検量線用溶液系列IIIの調製例 

検量線用溶液系列III 混合標準液II 

ml 

CaO 

mg/100ml 

MgO 

mg/100ml 

Na2O 

mg/100ml 

K2O 

mg/100ml 

No.1 

 0 

 0 

 0 

 0 

 0 

No.2 

 5 

0.5 

0.5 

0.1 

0.1 

No.3 

10 

1.0 

1.0 

0.2 

0.2 

No.4 

15 

1.5 

1.5 

0.3 

0.3 

No.5 

20 

2.0 

2.0 

0.4 

0.4 

No.6 

25 

2.5 

2.5 

0.5 

0.5 

13.2.3 試料の量り取り量 試料の量り取り量は,0.20gとする。 

13.2.4 操作 定量操作は,次の手順によって行う。 

a) 試料を白金皿(例えば,150番)に量り取り,水で潤し,過塩素酸5ml,硝酸2ml及びふっ化水素酸10ml

を加え,よくかき混ぜ,砂浴上で注意して加熱分解し(27),過塩素酸の白煙を激しく発生させて蒸発乾

固する。放冷後,白金皿の内壁を少量の水で洗い,再び過塩素酸3ml,硝酸2ml及びふっ化水素酸5ml

を加え,砂浴上で蒸発乾固する。放冷後,白金皿の内壁を少量の水で洗い,過塩素酸3mlを加え,砂

浴上で加熱し蒸発乾固して残留するふっ化物を揮散させる。放冷後,塩酸 (1+1) 5.0ml及び水約20ml

を加え時計皿で覆い,水浴上で加熱溶解し(28),プラスチックビーカー (200ml) を受け,プラスチッ

ク漏斗及びろ紙(5種B)を用いてろ過し,熱水で十分に洗浄する(29)。 

注(27) 白金皿の内容物のかき混ぜには,太目の白金合金(例えば,白金−ロジウム)線の先端を折り

曲げたもの,白金製さじ,四ふっ化エチレン樹脂製棒・さじなどが利用できる。加熱していく

と試料が白金皿の底に固化して試薬と反応しにくくなるので,砂浴から降ろし,冷却後,固化

物を白金皿の底からはがし,よくつぶすとよい。加熱分解を続け,液量が少なくなり,過塩素

酸の白煙が発生する直前になると試料によっては激しく反応し,飛散することがあるので注意

する。 

(28) 塩酸が揮発するので,できるだけ短時間で溶かす。 

(29) 溶液中に微粒子が漏れることがあるが,測定上差し支えない。 

b) 放冷後,ランタン溶液10mlを加え,100mlの全量フラスコに移し入れ,水を標線まで加えた後,直ち

にプラスチック瓶に移す。この溶液を試料溶液 (C) とし,原子吸光法による酸化カルシウム,酸化マ

グネシウム,酸化ナトリウム及び酸化カリウムの定量に用いる。 

c) この試料溶液 (C) (30)の一部をとり,原子吸光分析装置のアセチレン−酸化二窒素フレーム中に噴霧し,

波長422.7nmにおける原子吸光を吸光度で測定する。 

注(30) 試料溶液 (C) 中の濃度が原子吸光分析装置の定量上限を超えるときは,試料溶液 (C) から正し

く一定量 (xml) を100mlの全量フラスコにとり,塩酸 (1+1) (5.0−5.0×x/100) ml及びランタン

溶液 (10−10×x/100) mlを加え,水を標線まで加え,この溶液について測定する。 

13.2.5 空試験 試料を用いないで13.2.4の操作を行う(31)。ここで得た試料溶液 (C) に対応する溶液を空

試験液 (C) とする。 

注(31) 注(30)によるときは,空試験液 (C) も試料溶液と同様に調製する。 

13.2.6 検量線の作成 検量線用溶液系列III(32)を用いて13.2.4c)の操作を行い(22),吸光度と酸化カルシウ

ムの量との関係線を作成し,原点を通るように平行移動して検量線とする。 

注(32) 注(30)によるときは,検量線用溶液系列IIIについても酸化ジルコニウム及び酸化アルミニウム

の量を希釈後の試料溶液中の濃度と同じようになるよう調節する。 

19 

R 2012 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

13.2.7 計算 試料中の酸化カルシウムの含有率は,13.2.4c)及び13.2.5で得た吸光度と13.2.6で作成した

検量線とから,酸化カルシウムの量を求め,次の式によって算出する。 

100

100

2

1

×

×

=

V

m

A

A

CaO

ここに, CaO: 酸化カルシウムの含有率 (mass%) 
 

A1: 試料溶液 (C) 又は希釈試料溶液中の酸化カルシウムの量 

(g) 

A2: 空試験液 (C) 又は希釈試料溶液中の酸化カルシウムの量 

(g) 

V: 試料溶液 (C) の分取量 (ml) (分取しない場合は100) 

m: 試料の量り取り量 (g) 

13.3 ICP発光分光分析法 

13.3.1 要旨 10.3.3の試料溶液 (B) をとり,ICP発光分光分析装置を用いてカルシウムの発光強度を測定

する。 

13.3.2 操作 10.3.3a)で得た試料溶液 (B) の一部をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,

例えば,波長393.37nmにおける発光強度を測定する。 

13.3.3 空試験 10.3.4で得た空試験液 (B) を用いて,13.3.2の操作を行う。 

13.3.4 検量線の作成 10.3.2i)の検量線用溶液系列Iを用いて13.3.2の操作を行い(22),得た発光強度と酸

化カルシウムの量との関係線を作成し,原点を通るように平行移動して検量線とする。 

13.3.5 計算 試料中の酸化カルシウムの含有率は,13.3.2及び13.3.3で得た発光強度と13.3.4で作成した

検量線とから酸化カルシウムの量を求め,次の式によって算出する。 

100

20

500

2

1

×

×

=

m

A

A

CaO

ここに, CaO: 酸化カルシウムの含有率 (mass%) 
 

A1: 13.3.2の試料溶液 (B) 中の酸化カルシウムの量 (g) 

A2: 13.3.3の空試験液 (B) 中の酸化カルシウムの量 (g) 

m: 9.2.4,9.3.4又は9.4.4の試料の量り取り量 (g) 

14 酸化マグネシウムの定量方法 

14.1 定量方法の区分 酸化マグネシウムの定量方法は,次のいずれかによる。 

a) 原子吸光法 

b) ICP発光分光分析法 

14.2 原子吸光法 

14.2.1 要旨 13.2.4の試料溶液 (C) をとり,原子吸光分析装置を用いてマグネシウムの原子吸光を吸光度

で測定する。 

14.2.2 操作 13.2.4b)で得た試料溶液 (C) (30)の一部を原子吸光分析装置のアセチレン−酸化二窒素フレ

ーム又はアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,波長285.2nmにおける原子吸光を吸光度で測定する。 

14.2.3 空試験 13.2.5で得た空試験液 (31)を用いて,14.2.2の操作を行う。 

14.2.4 検量線の作成 13.2.2j)の検量線用溶液系列III (32)を用いて14.2.2の操作を行い(22),吸光度と酸化

マグネシウムの量との関係線を作成し,原点を通るように平行移動して検量線とする。 

14.2.5 計算 試料中の酸化マグネシウムの含有率は,14.2.2及び14.2.3で得た吸光度と14.2.4で作成した

検量線とから酸化マグネシウムの量を求め,次の式によって算出する。 

20 

R 2012 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

100

100

2

1

×

×

=

V

m

A

A

MgO

ここに, 

MgO: 酸化マグネシウムの含有率 (mass%) 

A1: 試料溶液 (C) 又は希釈試料溶液中の酸化マグネシウムの

量 (g) 

A2: 空試験液 (C) 又は希釈試料溶液中の酸化マグネシウムの

量 (g) 

V: 試料溶液 (C) の分取量 (ml) (分取しない場合は100) 

m: 13.2.4の試料の量り取り量 (g) 

14.3 ICP発光分光分析法 

14.3.1 要旨 10.3.3の試料溶液 (B) をとり,ICP発光分光分析装置を用いてマグネシウムの発光強度を測

定する。 

14.3.2 操作 10.3.3a)で得た試料溶液 (B) の一部をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,

例えば,波長279.55nmにおける発光強度を測定する。 

14.3.3 空試験 10.3.4で得た空試験液 (B) を用いて,14.3.2の操作を行う。 

14.3.4 検量線の作成 10.3.2 i)の検量線用溶液系列Iを用いて14.3.2の操作を行い(22),得た発光強度と酸

化マグネシウムの量との関係線を作成し,原点を通るように平行移動して検量線とする。 

14.3.5 計算 試料中の酸化マグネシウムの含有率は,14.3.2及び14.3.3で得た発光強度と14.3.4で作成し

た検量線とから酸化マグネシウムの量を求め,次の式によって算出する。 

100

20

500

2

1

×

×

=

m

A

A

MgO

ここに, MgO: 酸化マグネシウムの含有率 (mass%) 
 

A1: 14.3.2の試料溶液 (B) 中の酸化マグネシウムの量 (g) 

A2: 14.3.3の空試験液 (B) 中の酸化マグネシウムの量 (g) 

m: 9.2.4,9.3.4又は9.4.4の試料の量り取り量 (g) 

15. 酸化ナトリウムの定量方法 

15.1 定量方法の区分 酸化ナトリウムの定量方法は,次のいずれかによる。 

a) 炎光光度法 

b) 原子吸光法 

15.2 炎光光度法 

15.2.1 要旨 13.2.4の試料溶液 (C) をとり,炎光光度計のフレーム中に噴霧し,ナトリウムの発光強度を

測定する。 

15.2.2 操作 13.2.4b)で得た試料溶液 (C) (30)の一部を炎光光度計のフレーム中に噴霧し,波長589.0nm(33)

における発光強度を測定する。 

注(33) ナトリウム用フィルターを使用してもよい。 

15.2.3 空試験 13.2.5で得た空試験液 (C) (31)を用いて,15.2.2の操作を行う。 

15.2.4 検量線の作成 13.2.2j)の検量線用溶液系列III (32)を用いて15.2.2の操作を行い(22),発光強度と酸

化ナトリウムの量との関係線を作成する。 

15.2.5 計算 試料中の酸化ナトリウムの含有率は,15.2.2及び15.2.3で得た発光強度と15.2.4で作成した

検量線とから酸化ナトリウムの量を求め,次の式によって算出する。 

21 

R 2012 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

100

2

1

2

×

=

m

A

A

O

Na

ここに, Na2O: 酸化ナトリウムの含有率 (mass%) 
 

A1: 試料溶液 (C) 中の酸化ナトリウムの量 (g) 

A2: 空試験液 (C) 中の酸化ナトリウムの量 (g) 

m: 13.2.4の試料の量り取り量 (g) 

15.3 原子吸光法 

15.3.1 要旨 13.2.4の試料溶液 (C) をとり,原子吸光分析装置を用いてナトリウムの原子吸光を吸光度で

測定する。 

15.3.2 操作 13.2.4b)で得た試料溶液 (C) (30)の一部を原子吸光分析装置のアセチレン−空気フレーム中

に噴霧し,波長589.0nmにおける原子吸光を吸光度で測定する。 

15.3.3 空試験 13.2.5で得た空試験液(30)を用いて,15.3.2の操作を行う。 

15.3.4 検量線の作成 13.2.2j)の検量線用溶液系列III(32)を用いて15.3.2の操作を行い(22),吸光度と酸化ナ

トリウム量との関係線を作成し,原点を通るように平行移動して検量線とする。 

15.3.5 計算 試料中の酸化ナトリウムの含有率は,15.3.2及び15.3.3で得た吸光度と15.3.4で作成した検

量線とから酸化ナトリウムの量を求め,次の式によって算出する。 

100

100

2

1

2

×

×

=

V

m

A

A

O

Na

ここに, Na2O: 酸化ナトリウムの含有率 (mass%) 
 

A1: 試料溶液 (C) 又は希釈試料溶液中の酸化ナトリウムの量 

(g) 

A2: 空試験液 (C) 又は希釈試料溶液中の酸化ナトリウムの量 

(g) 

V: 試料溶液 (C) の分取量 (ml) (分取しない場合は100) 

m: 13.2.4の試料の量り取り量 (g) 

16. 酸化カリウムの定量方法 

16.1 定量方法の区分 酸化カリウムの定量方法は,次のいずれかによる。 

a) 炎光光度法 

b) 原子吸光法 

16.2 炎光光度法 

16.2.1 要旨 13.2.4の試料溶液 (C) をとり,炎光光度計のフレーム中に噴霧し,カリウムの発光強度を測

定する。 

16.2.2 操作 13.2.4 b)で得た試料溶液 (C) (30)の一部を炎光光度計のフレーム中に噴霧し,波長766.5nm(34)

における発光強度を測定する。 

注(34) カリウム用フィルターを使用してもよい。 

16.2.3 空試験 13.2.5で得た空試験液 (C) (30)を用いて,16.2.2の操作を行う。 

16.2.4 検量線の作成 13.2.2j)の検量線用溶液系列III(32)を用いて16.2.2の操作を行い(22),発光強度と酸化

カリウムの量との関係線を作成して検量線とする。 

16.2.5 計算 試料中の酸化カリウムの含有率は,16.2.2及び16.2.3で得た発光強度と16.2.4で作成した検

量線とから酸化カリウムの量を求め,次の式によって算出する。 

100

2

1

2

×

=

m

A

A

O

K

22 

R 2012 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ここに, K2O: 酸化カリウムの含有率 (mass%) 
 

A1: 試料溶液 (C) 中の酸化カリウムの量 (g) 

A2: 空試験液 (C) 中の酸化カリウムの量 (g) 

m: 13.2.4の試料の量り取り量 (g) 

16.3 原子吸光法 

16.3.1 要旨 13.2.4の試料溶液 (C) をとり,原子吸光分析装置を用いてカリウムの原子吸光を吸光度で測

定する。 

16.3.2 操作 13.2.4b)で得た試料溶液 (C) (30)の一部を原子吸光分析装置のアセチレン−空気フレーム中

に噴霧し,波長766.5nm(35)における原子吸光を吸光度で測定する。 

注(35) 試料溶液中の酸化カリウム濃度が高い場合は,波長769.9nm又は404.4nmを用いてもよい。 

16.3.3 空試験 13.2.5で得た空試験液(31)を用いて16.3.2の操作を行う。 

16.3.4 検量線の作成 13.2.2j)の検量線用溶液系列III(32)(36)を用いて16.3.2の操作を行い(22),吸光度(原

子吸光)と酸化カリウムの量との関係線を作成し,原点を通るように平行移動して検量線とする。 

注(36) 注(35)による場合は,その濃度に合わせた検量線用溶液系列IIIを作成し,試料溶液と同じ波長

を用いて検量線を作成する。 

16.3.5 計算 試料中の酸化カリウムの含有率は,16.3.2及び16.3.3で得た吸光度と16.3.4で作成した検量

線とから酸化カリウム量を求め,次の式によって算出する。 

100

100

2

1

2

×

×

=

V

m

A

A

O

K

ここに, K2O: 酸化カリウムの含有率 (mass%) 
 

A1: 試料溶液 (C) 又は希釈試料溶液中の酸化カリウムの量 (g) 

A2: 空試験液 (C) 又は希釈試料溶液中の酸化カリウムの量 (g) 

V: 試料溶液 (C) の分取量 (ml) (分取しない場合は100) 

m: 13.2.4の試料の量り取り量 (g) 

17. 酸化りん (V) の定量方法 

17.1 定量方法 酸化りん (V) の定量方法は,モリブデン青吸光光度法による。 

17.2 モリブデン青吸光光度法 

17.2.1 要旨 9.2.4,9.3.4又は9.4.4の試料溶液(A,A'又はA")を分取し,CyDTAを加えて加熱し,ジ

ルコニウムをマスキングする。酸濃度を調節した後,七モリブデン酸六アンモニウム及びL (+) −アスコ

ルビン酸を加え,加熱してモリブデン青を呈色させ,吸光度を測定する。 

17.2.2 試薬 試薬は,次による。 

a) 硫酸 (1+1) 

b) 水酸化ナトリウム溶液 (100g/l) 

c) 七モリブデン酸六アンモニウム溶液 七モリブデン酸六アンモニウム四水和物2gを温水20mlに溶か

し,必要ならろ過し,硫酸 (1+1) 60mlを加えて水で100mlに薄める。 

d) L (+) −アスコルビン酸溶液 (100g/l)  9.2.2k)による。 

e) CyDTA溶液 12.2.2c)による。 

f) p-ニトロフェノール溶液 (2g/l) 

g) 酸化りん (V) 標準液 (0.1mgP2O5/ml)  りん酸二水素カリウム約0.5gを110±5℃で3時間加熱し,デ

シケーター中で放冷する。その0.191 7gを量り取り,ビーカー (200ml) に移し入れ(14),水約100ml

を加えて溶かし,1 000mlの全量フラスコに移し入れ,水を標線まで加える。 

background image

23 

R 2012 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

h) 希釈酸化りん (V) 標準液 (0.01mgP2O5/ml)  酸化りん (V) 標準液を水で正しく10倍に薄める。使用

の都度調製する。 

i) 

備考だけで使用する試薬 

1) 硝酸 

17.2.3 操作 定量操作は,次の手順によって行う。 

a) 9.2.4,9.3.4又は9.4.4で得た試料溶液(A,A'又はA")から一定量(37)を正しく100mlの全量フラスコ

に分取し,CyDTA溶液10mlを加え,沸騰水浴中で5分間加熱した後,流水中で冷却する。 

注(37) 試料溶液(A,A'又はA")の分取量は,試料中の酸化りん (V) の含有率に応じて表7による。 

なお,9.2.4 a)の注(8)の操作を行った場合には,別の100mlの全量フラスコに9.2.4a)備考(3)

の試料溶液 (a) を表7に準じて一定量を正しくとり,以下,並行して測定する。17.2.6では,

この両液の合量でもって酸化りん (V) を計算する。 

表7 試料溶液(A,A'又はA")の分取量 

酸化りん (V) の含有率 

mass% 

試料溶液(A,A'又はA")の分取量 

ml 

0.4未満 

50 

0.4以上 1.0未満 

20 

1.0以上 

10 

b) 指示薬としてp−ニトロフェノール溶液2,3滴を加え,溶液の色が黄色になるまで水酸化ナトリウム

溶液を滴加し,次に,硫酸 (1+1) を滴加し無色とし,2,3滴過剰に加える。七モリブデン酸六アン

モニウム溶液10ml及びL (+) −アスコルビン酸溶液2mlを加え,水を標線まで加える。沸騰水浴中

で約15分間加熱した後,流水中で冷却する。この溶液の一部を吸収セル (10mm) にとり,波長830nm

付近で水を対照液にして吸光度を測定する。 

備考 試料溶液 (A') を用いたときは,9.3.4b)において凝集剤として加えたポリエチレンオキシドに起

因した濁りが認められる場合がある。このような場合,次のように操作する。 

試料溶液の一定量(37)をビーカー (100ml) に分取し,硝酸5ml及び硫酸 (1+1) 2mlを加え,

砂浴上で硫酸白煙を発生させる(38)。放冷後,水約30mlを加えて加熱し,ろ紙(5種B)でろ過,

温水で数回洗浄する。ろ液及び洗液はビーカー (100ml) に受け,指示薬としてp−ニトロフェ

ノール溶液2,3滴を加え,溶液の色が黄色になるまで水酸化ナトリウム溶液を滴加し,次に,

硫酸 (1+1) を滴加して無色とした後,更に2,3滴過剰に加え,100mlの全量フラスコに移し

入れ,17.2.3b)の七モリブデン酸六アンモニウムを加える以降の操作を行う。 

注(38) 酸化りん (V) が低値を示すことがあるので,乾固してはならない。 

17.2.4 空試験 9.2.5,9.3.5又は9.4.5で得た空試験液(A,A'又はA")を用いて17.2.3の操作を行う。 

17.2.5 検量線の作成 希釈酸化りん (V) 標準液0〜25.0ml[酸化りん (V) として0〜0.25mg]を正しく

数個の100mlの全量フラスコに段階的にとり17.2.3b)の操作を行い,吸光度と酸化りん (V) の量との関係

線を作成し,原点を通るように平行移動して検量線とする。 

17.2.6 計算 試料中の酸化りん (V) の含有率は,17.2.3及び17.2.4で得た吸光度と,17.2.5で作成した検

量線とから酸化りん (V) の量を求め,次の式によって算出する。 

100

500

2

1

5

2

×

×

=

V

m

A

A

O

P

ここに, P2O5: 酸化りん (V) の含有率 (mass%) 
 

A1: 分取した試料溶液(A,A'又はA")中の酸化りん (V) の量 (g) 

background image

24 

R 2012 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A2: 分取した空試験液(A,A'又はA")中の酸化りん (V) の量 (g) 

V: 17.2.3a)の試料溶液(A,A'又はA")の分取量 (ml) 

m: 9.2.4,9.3.4又は9.4.4の試料の量り取り量 (g) 

18. 酸化クロム (III) の定量方法 

18.1 定量方法の区分 酸化クロムの定量方法は,次のいずれかによる。 

a) 原子吸光法 

b) ICP発光分光分析法 

18.2 原子吸光法 

18.2.1 要旨 試料を炭酸ナトリウム及びほう酸で融解後,硫酸に溶かし,加熱して硫酸の白煙を発生させ,

生成したけい酸をろ別して一定液量とする。この溶液を分取して一定の濃度に薄めた後,その一部をとり,

原子吸光分析装置を用いてクロムの原子吸光を吸光度で測定する。 

18.2.2 試薬 試薬は,次による。 

a) 硫酸 (1+9) 

b) ほう酸 

c) 炭酸ナトリウム(無水) 

d) 添加液II  白金皿 (例えば,75番) に酸化ジルコニウム (99.9mass%以上) を量り取り(39),以下,18.2.4

に準じて操作して試料溶液 (D) に相当する溶液を調製する。18.2.4の操作と並行して調製することが

望ましい。 

注(39) 試料中の酸化ジルコニウムの量に相当する量(例えば,酸化ジルコニウム含有率が80mass%の

場合には0.40g)を量り取る。 

e) エタノール (99.5) 

f) 

酸化クロム (III) 標準液 (1.0mgCr2O3/ml)  二クロム酸カリウム(99.9mass%以上)1.935 6gを量り取

り,ビーカー (200ml) に移し入れ(9),水を加えて液量を50mlとした後,硫酸 (1+9) 5ml及びエタノ

ール (99.5) 5mlを加えて,溶液の色が緑になるまで沸騰水浴上で加熱する。冷却後,1 000mlの全量

フラスコに移し入れ,水を標線まで加える。 

g) 希釈酸化クロム (III) 標準液 (0.05mgCr2O3/ml)  酸化クロム (III) 標準液を水で正しく20倍に薄める。 

h) 検量線用溶液系列V 希釈酸化クロム (III) 標準液の一定量(40)を正しく数個の100mlの全量フラスコ

にとり,それぞれに添加液II25mlを加え,水を標線まで加える。 

注(40) 検量線用溶液系列Vの調製例を,表8に示す。 

表8 検量線用溶液系列Vの調製例 

検量線用溶液系列V 

添加液II 

ml 

希釈酸化クロム (III) 標準液 

ml 

Cr2O3 

mg/100ml 

No.1 

25 

 0 

  0 

No.2 

25 

 5 

  0.25 

No.3 

25 

10 

  0.50 

No.4 

25 

15 

  0.75 

No.5 

25 

20 

  1.00 

No.6 

25 

25 

  1.25 

18.2.3 試料の量り取り量 試料の量り取り量は,0.50gとする。 

18.2.4 操作 定量操作は,次の手順によって行う。 

a) 試料を白金皿(例えば,75番)に量り取り,炭酸ナトリウム3.0g及びほう酸2.0gを加えて,初めは

25 

R 2012 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

低温で加熱し(6),次第に温度を上げ,最後は電気炉中で1 100±25℃で約10分間強熱して融解する(7)。

時計皿で覆って放冷した後,エタノール (99.5) 5ml及び硫酸 (1+9) 50mlを加え,ときどきかき混ぜ

ながら沸騰水浴上で加熱して溶かす。少量の水で時計皿を洗浄して取り除き,砂浴上に移し(41),硫酸

の白煙が発生するまで加熱蒸発する(41)。放冷後,水50mlを加え,沸騰水浴上で加熱して塩類を溶か

す。ビーカー (300ml) を受け,ろ紙(5種B)を用いてろ過し,熱水で10回洗浄する。ビーカー (300ml) 

中のろ液及び洗液は,必要なら濃縮して250mlの全量フラスコに移し入れ,水を標線まで加え,その

25mlを100mlの全量フラスコに分取し,水を標線まで加える。この溶液を試料溶液 (D) とする。 

注(41) 酸化けい素 (IV) が5mass%以下の場合には,砂浴上での加熱は省略することができる。 

b) 試料溶液 (D) の一部を原子吸光分析装置のフレーム中に噴霧し,波長359.3nmにおける原子吸光を吸

光度で測定する。 

18.2.5 空試験 試料を用いないで18.2.4a)の操作を行う。ただし,融解操作は,省略する。得られた溶液

を空試験液 (D) を用いて18.2.4b)の操作を行う。 

18.2.6 検量線の作成 18.2.2h)の検量線用溶液系列Vを用いて18.2.4b)の操作を行い(22),吸光度と酸化ク

ロム (III) の量との関係線を作成し,原点を通るように平行移動して検量線とする。 

18.2.7 計算 試料中の酸化クロム (III) の含有率は,18.2.4b)及び18.2.5で得た吸光度と18.2.6で作成した

検量線とから酸化クロム (III) の量を求め,次の式によって算出する。 

100

25

250

2

1

3

2

×

×

=

m

A

A

O

Cr

ここに, Cr2O3: 酸化クロム (III) の含有率 (mass%) 
 

A1: 試料溶液 (D) 又は希釈試料溶液中の酸化クロム (III) の

量 (g) 

A2: 空試験液 (D) 又は希釈試料溶液中の酸化クロム (III) の

量 (g) 

m: 試料の量り取り量 (g) 

18.3 ICP発光分光分析法 

18.3.1 要旨 試料を炭酸ナトリウム及びほう酸で融解後,硫酸に溶かし,加熱して硫酸の白煙を発生させ,

生成したけい酸をろ別して,一定液量とする。この溶液を分取して一定の濃度に薄めた後,その一部をと

り,ICP発光分光分析装置を用いてクロムの発光強度を測定する。 

18.3.2 試薬 試薬は,18.2.2による。 

18.3.3 試料の量り取り量 試料の量り取り量は,0.50gとする。 

18.3.4 操作 定量操作は,次の手順によって行う。 

a) 18.2.4 a)に準じて試料溶液 (D) を調製する。 

b) 試料溶液 (D) の一部をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,例えば,波長

205.55nm(42)における発光強度を測定する。 

注(42) 波長267.72nmは,白金の分光干渉を受けるので微量の酸化クロム (III) の定量には用いてはな

らない。 

18.3.5 空試験 試料を用いないで18.3.4の操作を行う。ただし,融解操作は,省略する。ここで得た試料

溶液 (D) に対応する溶液を,空試験液 (D) とする。 

18.3.6 検量線の作成 18.2.2h)の検量線用溶液系列Vを用いて18.3.4 b)の操作を行い(22),発光強度と酸化

クロム (III) の量との関係線を作成し,原点を通るように平行移動して検量線とする。 

26 

R 2012 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

18.3.7 計算 試料中の酸化クロム (III) の含有率は,18.3.4 b)及び18.3.5で得た発光強度と18.3.6で作成

した検量線とから酸化クロム (III) の量を求め,次の式によって算出する。 

100

25

250

2

1

3

2

×

×

=

m

A

A

O

Cr

ここに, Cr2O3: 酸化クロム (III) の含有率 (mass%) 
 

A1: 18.3.4a)の試料溶液 (D) 中の酸化クロム (III) の量 (g) 

A2: 18.3.5の空試験液 (D) 中の酸化クロム (III) の量 (g) 

m: 試料の量り取り量 (g) 

19. 酸化ジルコニウム(酸化ハフニウムを含む。)の定量方法 

19.1 定量方法 酸化ジルコニウム(酸化ハフニウムを含む。)の定量方法は,マンデル酸重量法による。 

19.2 マンデル酸重量法 

19.2.1 要旨 9.2.4,9.3.4,又は9.4.4の試料溶液(A,A'又はA")に塩酸を加えた後,加熱し,DL−マン

デル酸を加えてジルコニウム(ハフニウムを含む。)を沈殿させてろ過する。沈殿を強熱し,その質量を量

り,酸化ジルコニウム(酸化ハフニウムを含む。)とする。 

19.2.2 試薬 試薬は,次による。 

a) 塩酸 

b) DL−マンデル酸 

c) 洗浄液 DL−マンデル酸10gを水180mlに溶かし,塩酸20mlを加える。 

19.2.3 操作 定量操作は,次の手順によって行う。 

a) 9.2.4d),9.3.4d),又は9.4.4a)で得た試料溶液(A,A'又はA")200mlを正しくビーカー (500ml) に分

取し(43),塩酸50mlを加えた後,砂浴又は熱板上で加熱する。液が沸騰したならば,注意してDL−マ

ンデル酸16〜18gを加え,泡立ち始めたら90℃以上の水浴上に移し,適切量(例えば,0.2g)のろ紙

粉末を加えて十分にかき混ぜ,水浴上で沈殿を熟成する。上澄み液が透明になった後,更に30分以上

水浴上で加熱を続け,適切量(例えば,0.2g)のろ紙粉末を加え,ろ過を通じて沈殿の入ったビーカ

ーを水浴上で保温しながらろ紙(5種C)を用いてろ過し,温洗浄液で10回洗浄する。 

注(43) 含有率の低い試料の場合には,試料溶液(A,A'又はA")の分取量を200ml以上(例えば,400ml)

分取し,200mlに濃縮するとよい。必要なら,別に試料溶液を10.に準じて調製してもよい。 

b) 沈殿をろ紙と共に白金るつぼ(例えば,30番)に入れ,初めは低温で加熱し,次第に温度を上げてろ

紙を灰化し,1 100±25℃で30分間強熱する。デシケーター中で放冷した後,その質量を量る。 

19.2.4 空試験 試料を用いないで19.2.3の操作を行う。 

19.2.5 計算 試料中の酸化ジルコニウム(酸化ハフニウムを含む。)の含有率は,19.2.3b)及び19.2.4の酸

化ジルコニウム(酸化ハフニウムを含む。)の量とから次の式によって算出する。 

100

200

500

)

(

0

2

1

2

2

×

×

=

+

m

m

m

HfO

ZrO

ここに, 

ZrO2 (+HfO2): 酸化ジルコニウム(酸化ハフニウムを含む。)の

含有率 (mass%) 

m0: 9.2.4a),9.3.4a),又は9.4.4a)の試料の量り取り

量 (g) 

m1: 19.2.3b)で量った沈殿の質量 (g) 

m2: 19.2.4で量った沈殿の質量 (g) 

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R 2012 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考 酸化クロム (III) を含まない試料には,次のクペロン重量法を適用することもできる。ただし,

結果は,参考値とする。 

a) 操作 10.2.3a)で得た沈殿をろ紙と共に白金るつぼ(例えば,30番)に入れ,初めは低温で加

熱し(44),次第に温度を上げてろ紙を灰化し,1 100±25℃で30分間強熱する。デシケーター

中で放冷した後,その質量を量る。 

注(44) 赤外線ランプを使用するとよい。 

b) 空試験 10.2.4で得たろ紙について,a)の操作を行う。 

c) 計算 試料中の酸化ジルコニウム(酸化ハフニウムを含む。)の含有率は,a)及びb)で得た混

合酸化物量とから次の式によって算出する。 

)

(

100

200

500

)

(

2

3

2

0

2

1

2

2

TiO

O

Fe

m

m

m

HfO

ZrO

+

×

×

=

+

ここに, 

ZrO2 (+HfO2): 酸化ジルコニウム(酸化ハフニウムを含む。)の

含有率 (mass%)  

m0: 9.2.4 a),9.3.4 a),又は9.4.4 a)の試料の量り取り

量 (g) 

m1: a)で量った沈殿の質量 (g) 

m2: b)で量った沈殿の質量 (g)  

Fe2O3: 11.で求めた酸化鉄 (III) の含有率 (mass%) 

TiO2: 12.で求めた酸化チタン (IV) の含有率 (mass%) 

備考 酸化ハフニウムは,次の方法によって定量することができる。 

(1) 操作 10.3.3a)で得た試料溶液 (B) の一部をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に

噴霧し,例えば,波長277.34nmにおける発光強度を測定する。 

(2) 空試験 10.3.4で得た空試験液 (B) を用いて(1)の操作を行う。 

(3) 検量線の作成 10.3.2i)の検量線用溶液系列Iを用いて(1)の操作を行い(22),発光強度と酸化ハ

フニウム量との関係線を作成し,原点を通るように平行移動して検量線とする。 

(4) 計算 試料中の酸化ハフニウムの含有率は,(1)及び(2)で得た発光強度と(3)で作成した検量線

とから酸化ハフニウム量を求め,次の式によって算出する。 

100

20

500

2

1

2

×

×

=

m

A

A

HfO

ここに, HfO2: 酸化ハフニウムの含有率 (mass%) 
 

A1: (1)の試料溶液 (B) 中の酸化ハフニウムの量 (g) 

A2: (2)の空試験液 (B) 中の酸化ハフニウムの量 (g) 

m: 9.2.3,9.3.3又は9.4.3の試料の量り取り量 (g) 

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R 2012 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS R 2012原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

山 口 明 良 

名古屋工業大学材料工学科 

○ 仁 科 利 純 

品川白煉瓦株式会社 

富 田 育 男 

通商産業省生活産業局 

岡 林 哲 夫 

工業技術院標準部 

加 山 英 雄 

財団法人日本規格協会 

○ 村 田   守 

鳴門教育大学自然系地学教室 

藤 貫   正 

(元)社団法人日本分析化学会 

多 田 格 三 

フジ研究所 

荒 木 慎 介 

耐火物協会 

中 村 幸 弘 

新日本製鐵株式会社無機材料開発部 

高 橋 忠 明 

日本鋼管株式会社製鋼技術開発部 

鈴 木 隆 夫 

住友金属工業株式会社製鋼技術研究所 

海老名 克 己 

三菱マテリアル株式会社セメント事業部 

小 松 英 雄 

旭硝子株式会社セラミックス事業部 

鹿 野   弘 

黒崎窯業株式会社 

沓 掛 行 徳 

旭硝子株式会社高砂工場 

前 田 繁 徳 

ハリマセラミック株式会社 

岡 本 孝 雄 

川崎炉材株式会社 

(分科会主査) 

○ 三 橋   久 

岡山県工業技術センター 

(分科会幹事) 

○ 朝 倉 秀 夫 

品川白煉瓦株式会社 

△ 吉 田 清 志 

川崎炉材株式会社 

○ 兼 近 勝 則 

黒崎窯業株式会社 

△ 森   邦 夫 

旭硝子株式会社セラミックス事業部 

○ 板 倉 正 勝 

東芝セラミックス株式会社 

△ 福 井 洋 一 

ハリマセラミック株式会社 

△ 平 松 康 宏 

株式会社ヨータイ 

△ 江 尻   勉 

九州耐火煉瓦株式会社 

△ 戸 松 一 郎 

株式会社TYK 

△ 中 山 信 司 

東芝モノフラックス株式会社 

△ 鬼 塚 浩 次 

大光炉材株式会社 

△ 宮 脇 正 夫 

日本特殊炉材株式会社 

△ 河 野 久 征 

理学電気工業株式会社 

(事務局) 

細 川 周 明 

耐火物技術協会 

○は,分科会委員併任,△は分科会委員