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R 1699-1:2016  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 測定原理························································································································· 2 

5 試料······························································································································· 2 

6 測定装置························································································································· 2 

7 測定条件及び測定項目 ······································································································· 3 

8 測定手順························································································································· 3 

9 測定結果の表し方 ············································································································· 4 

9.1 測定データの丸め方 ······································································································· 4 

9.2 電気機械結合係数の変化率 ······························································································ 4 

10 測定結果の報告 ·············································································································· 4 

R 1699-1:2016  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS R 1699の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS R 1699-1 第1部:共振・反共振法による高温環境条件下での測定方法 

JIS R 1699-2 第2部:電気的過渡応答法による高振動レベル下での測定方法 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

R 1699-1:2016 

ファインセラミックス− 

高負荷環境下での圧電材料の特性− 

第1部:共振・反共振法による 

高温環境条件下での測定方法 

Fine ceramics (advanced ceramics, advanced technical ceramics)- 

Characteristic of piezoelectric properties under high load conditions- 

Part 1: Resonant-antiresonant method under high temperature conditions 

適用範囲 

この規格は,ファインセラミックス圧電材料及び圧電デバイスの高温環境下での共振・反共振法による

圧電特性の測定方法について規定する。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 1602 熱電対 

JIS R 1600 ファインセラミックス関連用語 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS R 1600によるほか,次による。 

3.1 

共振・反共振法 

ファインセラミックス圧電材料及び圧電デバイスにおいて,その共振周波数と反共振周波数から電気エ

ネルギーと機械エネルギーの相互変換の割合を測定する方法。 

3.2 

共振周波数,fr 

振動子の電極間アドミッタンス又はインピーダンスが,特定の振動モード付近において零位相になる二

つの周波数のうち,低い方の周波数。 

3.3 

反共振周波数,fa 

振動子の電極間アドミッタンス又はインピーダンスが,特定の振動モード付近において零位相になる二

つの周波数のうち,高い方の周波数。 

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R 1699-1:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

測定原理 

100 ℃以上の高温環境下では,ファインセラミックス圧電材料の分極が不安定になるために,時間経過

とともに圧電特性が低下していく。高温環境及び時間経過という二つの要因を考慮するため,高温環境に

おける圧電特性を所定の高温状態になった時点からの時間の関数として求める。 

なお,圧電特性評価は,電界誘起ひずみ(歪)又は共振振動変位などが考えられるが,測定の簡便さを

考慮して,共振・反共振法による電気機械結合係数が用いられる。 

試料 

本規格では,圧電材料及び圧電デバイスの圧電特性評価であるので,試料形状は細かく規定しない。 

なお,試料は厚み方向に分極処理しておく。 

測定装置 

測定装置は,次による。また,測定装置構成の概要を,図1に示す。 

なお,測定には校正した装置を使用する。 

図1−測定装置構成の概要 

a) インピーダンスアナライザ ファインセラミックス圧電材料及び圧電デバイスに対して,周波数を走

査させながら交流電圧を加え,その際に流れる電流の振幅を測定し,電圧と電流との比であるインピ

ーダンス,その逆数であるアドミッタンスを求める装置。 

b) 恒温槽 使用温度範囲が室温から試験温度までの間で使用でき,恒温槽内の温度分布が±5 ℃以内の

もの。恒温槽内の温度を均一にするために,強制送風循環装置を備えるか,又は外部から熱風循環導

入孔をもつ構造が望ましい。 

c) 熱電対 JIS C 1602に規定するもの。 

d) 温度計測・記録装置 連続的に温度を記録する装置。 

e) 試料ホルダ 試料ホルダの形状などは指定しないが,試料ホルダが特定の振動モードに影響を与えな

いように配慮する。 

R 1699-1:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

測定条件及び測定項目 

測定の温度条件及び測定項目は,次による。ただし,試験温度はキュリー温度以下とする。 

a) 測定条件 

1) 測定開始温度(試験開始時の試料温度):25±5 ℃ 

2) 試験温度:100 ℃以上 

3) 試料温度:恒温槽内で熱電対によって測定される試料温度は,試験温度±2 ℃になるようにする。 

4) 恒温槽温度設定 

昇温速度:10 ℃/min以下 

設定温度:熱電対によって測定される試料温度が試験温度±2 ℃になるように恒温槽の設定温度を

あらかじめ求めておく。一般に恒温槽設定温度と試料温度とは一致しない。 

冷却  :自然冷却又は強制冷却 

5) 測定終了温度(試験終了時の試料温度):25±5 ℃ 

b) 測定項目:試料温度,電気機械結合係数,共振周波数及び反共振周波数,並びに必要に応じて,共振

及び反共振周波数におけるアドミッタンス値,注目した振動モードの等価回路定数,1 kHzにおける

比誘電率及び誘電損失を測定してもよい。 

注記 測定対象に応じて電気機械結合係数を定義した。例えば,共振周波数をfr,反共振周波数をfa

としたときに式(1)と定義すれば,これは注目した振動モードにおける電気機械結合係数kとな

る。 

2

a

2

r

1

f

f

k

=

 ············································································· (1) 

測定手順 

測定の手順は,次による。 

a) 恒温槽に試料を入れる。 

b) 恒温槽に入れた試料から連続してデータが取れるよう,試料ホルダを用いるなどして試料とインピー

ダンスアナライザとを接続する。 

c) リード線などの接続部分におけるインピーダンスが測定結果に影響を与えないように,インピーダン

スアナライザの機能を用いて,キャリブレーションを行う。 

d) JIS C 1602に規定する熱電対を試料に取り付けるか,又は試料近傍に設置する。この際,連続的に温

度を記録するよう熱電対を記録装置に接続する。 

なお,熱電対は特定の振動モードに影響を与えないよう配慮する。 

e) 恒温槽の温度を箇条7 a) 記載の条件で上げることによって試料温度が試験温度±2 ℃に到達し,保持

を開始してから1分後の値[箇条7 b) 記載の測定項目]を測定する。 

f) 

その後,十分間隔を取って,更に3点以上,値を測定する。 

なお,一般的な例に,1分後の測定の後の測定として,10分後,100分後,1 000分後がある。 

g) 恒温槽を箇条7 a)の条件で冷却することによって,恒温槽の温度が室温付近まで下がり,試料温度が

25±5 ℃まで下がってから,十分な時間経過した後[箇条7 b) 記載の測定項目]の値を測定する。 

なお,一般的な例に10時間後がある。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

測定結果の表し方 

9.1 

測定データの丸め方 

測定データの数値の丸め方は,次による。 

a) 試料温度は,小数点以下2桁目を四捨五入して,小数点以下1桁で求める。 

b) 共振周波数及び反共振周波数は,小数点以下4桁目を四捨五入して,小数点以下3桁で求める。 

c) 電気機械結合係数,共振周波数及び反共振周波数のアドミッタンス値,等価回路定数及び1 kHzにお

ける誘電損失は,小数点以下3桁目を四捨五入して,小数点以下2桁で求める。 

d) 1 kHzにおける比誘電率は,小数点以下1桁目を四捨五入して,整数で求める。 

9.2 

電気機械結合係数の変化率 

共振周波数frと反共振周波数faから式(1)に従って電気機械結合係数kを求めた後,電気機械結合係数の

変化率Δk(t)を,式(2)によって算出し,小数点以下3桁目を四捨五入して,小数点以下2桁で求める。 

)1(

)1(

)

(

)

(

k

k

k

t

k

t−

=

 ········································································ (2) 

ここに, Δk(t): 電気機械結合係数の変化率(%) 
 

k(t): 試料が試験温度±2 ℃に到達してからt分保持した後の電気

機械結合係数 

k(1): 試料が試験温度±2 ℃に到達してから1分後の電気機械結合

係数 

10 測定結果の報告 

測定の結果の報告には,次の項目を記載する。 

a) この規格の規格番号 

b) 測定年月日及び測定担当者名 

c) 試料の種類,材質,形状及び厚みの測定データ 

d) インピーダンス測定装置(品番,製造会社名及び保護回路の有無)及び恒温槽(品番,製造会社名) 

e) 温度測定方法(温度センサの種類,測定範囲許容差及び温度センサの位置) 

f) 

試験温度,各測定時間における試料温度,恒温槽温度設定(昇温速度,設定温度,冷却),測定終了温

度 

g) 測定試料数及び測定回数 

h) 電気機械結合係数の算出に用いた式 

i) 

箇条8 e) 〜箇条8 g) で得た測定データ(電気機械結合係数,共振周波数,反共振周波数,共振周波

数及び反共振周波数でのアドミッタンス値,等価回路定数,1 kHzにおける比誘電率及び誘電損失)(表

1参照) 

j) 

電気機械結合係数の平均変化率(表1参照) 

k) その他測定状況に関して特記事項 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1−測定結果の例 

測定項目 

試験開始時 

160 ℃到達 

1分後 

160 ℃, 

10分経過後 

160 ℃, 

100分経過後 

160 ℃, 

1 000分経過後 

測定終了時 

(10時間後) 

試料温度(℃) 

28.7 

159.1 

159.1 

159.0 

158.8 

27.2 

電気機械結合係数(%) 

37.71 

36.61 

36.50 

36.22 

35.77 

36.32 

Δk(%) 

− 

− 

−0.30 

−1.07 

−2.29 

− 

共振周波数(kHz) 

166.351 

165.823 

165.891 

166.181 

166.613 

166.603 

反共振周波数(kHz) 

176.525 

175.333 

175.344 

175.491 

175.701 

175.995 

共振周波数のアドミッ
タンス値(mS) 

196.03 

77.07 

77.66 

80.54 

80.69 

186.61 

反共振周波数のアドミ
ッタンス値(μS) 

21.98 

109.04 

108.33 

103.15 

96.38 

24.22 

等価回路定数R1(Ω) 

5.11 

12.95 

12.85 

12.40 

12.07 

5.33 

C1(pF) 

272.61 

369.86 

367.71 

358.39 

345.32 

252.46 

L1(mH) 

3.36 

2.49 

2.50 

2.56 

2.64 

3.62 

C0(nF) 

2.16 

3.14 

3.14 

3.11 

3.08 

2.18 

比誘電率(1 kHz) 

791 

1192 

1190 

1175 

1153 

788 

誘電損失(1 kHz)(%) 

1.07 

3.75 

3.69 

3.60 

3.23 

1.08 

参考文献 EM-4501 圧電セラミック振動子の電気的試験方法