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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

R 1620-1995 

ファインセラミックス粉末の 

粒子密度測定方法 

Testing methods for particle density 

of fine ceramic powder 

1. 適用範囲 この規格は,ファインセラミックス粉末の粒子密度を,ピクノメータ法,懸ちょう(吊)

法及び気体置換法によって測定する方法について規定する。 

備考1. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS K 8101 エタノール (99.5) (試薬) 

JIS K 8271 キシレン(試薬) 

JIS K 8810 1-ブタノール(試薬) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS R 6003 研摩材のサンプリング方法 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

JIS Z 8804 液体比重測定方法 

2. この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,

参考として併記したものである。 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

(1) 粒子密度 粉末粒子の個体の密度。内部に閉じた空間をもつ場合は,その空間も個体の一部とみなす。 

(2) ピクノメータ法 比重瓶を使って粒子密度を測定する方法。 

(3) 懸ちょう(吊)法 試料を入れた容器を液中につるして,その浮力から粒子密度を測定する方法。 

(4) 気体置換法 気体に関するボイルの法則を利用して粒子密度を測定する方法。 

3. 測定の準備 

3.1 

試料のサンプリング 試料は,測定する粉末を代表するようにサンプリングする。サンプリング方

法は,JIS R 6003の規定に準じるものとし,縮分が必要な場合には,二分割器を使用するか,又は円すい

四分法による。 

3.2 

試料の乾燥 サンプリングした試料は,200℃程度の空気浴中で十分に乾燥し,デシケータ中で室温

まで冷却させる。乾燥に長時間を必要とする粉末の場合には,よく広げ,乾燥途中に一,二度軽くかくは

ん(撹拌)する。 

3.3 

浸液又は気体の準備 ピクノメータ法及び懸ちょう法における浸液は,試料と反応,溶解などを起

こさないものを選ぶ。 

R 1620-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

気体置換法に使用する気体は,99.99%以上の純度のヘリウムガスとする。 

備考1. 浸液は,JIS K 8271に規定するキシレン(試薬)を標準とする。粉末と反応,溶解などを起

こさない場合には,蒸留水,JIS K 8101に規定するエタノール (99.5) (試薬)1級以上,又

はJIS K 8810に規定する1-ブタノール(試薬)でもよい。 

2. 懸ちょう法における浸液は,粉末が懸濁しないものを選ぶ。 

4. 測定方法 

4.1 

方法の区分 測定方法は,次の三つの方法のいずれかによる。 

(1) ピクノメータ法 

(2) 懸ちょう法 

(3) 気体置換法 

4.2 

ピクノメータ法 

4.2.1 

装置・器具 装置及び器具は,次による。 

(1) 測定容器 測定容器は,薄手のガラス製比重瓶とし,おおよその寸法は,入り口内径12mm,胴部外

径45mm,胴部高さ50mmとする(付図1参照)。 

(2) 真空容器 真空容器の大きさは,比重瓶を入れることができるものとし,内部の様子を観察できる構

造で,真空ポンプと連結できるものを用いる。 

(3) 真空ポンプ 真空ポンプは,圧力666.5Pa {5mmHg} 以下まで減圧できるものを用いる。 

(4) 真空計 真空計は,0〜26.66kPa {0〜200mmHg} まで測定できるもので,1.333kPa {10mmHg} 以下の

目盛をもつものを用いる。 

(5) はかり 使用するはかりの感量は,0.1mgのものを用いる。 

(6) 液体用比重計 JIS Z 8804に規定する比重瓶又は浮ひょうを用いる。 

(7) 温度計 0.1℃まで読み取れるものを用いる。 

4.2.2 

測定手順 測定は,次の手順によって行う。質量は,すべて0.1mgのけたまで量る。 

(1) 測定容器を洗浄し,よく乾燥させ,その質量mp1を測定する。 

(2) 試料を,測定容器の胴部高さの3分の1程度まで入れ,そのときの質量mp2を測定する。 

(3) 測定容器に浸液を静かに入れる。このとき浸液の量は,試料が全部浸るより少し多く入れる。浸液を

入れるとき,試料の飛散が起こらないよう十分注意する。 

(4) 試料を浸液で浸した測定容器を真空容器に入れ,圧力13.33kPa {100mmHg} 以下まで減圧し,脱気を

行う。このとき減圧は,浸液が沸騰しない圧力とし,試料から気泡が発生しなくなるまで行う。 

(5) 真空容器から測定容器を取り出し,液温が室温になるまで静置する。 

(6) 測定容器の規定量まで浸液を追加し,そのときの質量mp3を測定する。 

(7) 測定容器から試料及び浸液を取り出し,洗浄・乾燥後,浸液を規定量入れ,そのときの質量mp4を測

定する。 

(8) 比重計で測定温度における浸液の比重を測定し,有効数字4けたまで浸液の密度を求める。 

備考 (6)〜(8)の測定の許容温度差は,±1℃とする。 

4.2.3 

計算 粒子密度ρは,4.2.2で得た値を用いて,次の式によって算出する。 

なお,計算は,小数点以下3けたまで算出し,JIS Z 8401の規定によって2けたに丸める。 

)

(

)

(

)

(

2

3

1

4

1

2

p

p

p

p

L

p

p

m

m

m

m

m

m

=

ρ

ρ

R 1620-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ここに, 

ρ: 粒子密度 (g/cm3)  

mp1: 測定容器の質量 (g)  

mp2: 測定容器に試料を入れたときの質量 (g)  

mp3: 試料と浸液を測定容器の規定量入れたときの質量 (g)  

mp4: 浸液を測定容器の規定量入れたときの質量 (g)  

ρL: 測定温度における浸液の密度 (g/cm3)  

4.3 

懸ちょう法 

4.3.1 

装置・器具 装置及び器具は,次による。 

(1) 測定容器 測定容器は,薄手のガラス容器又はガラス管を,次に示す容器1又は容器2の寸法に切断

し,付図2に示すように加工して,直径約0.1mmの細線を結び付けたものを用いる。 

容器1:直径20mm,深さ約35mm 

容器2:直径30mm,深さ約40mm 

備考1. 容器1は,かさ密度の大きい試料に,また容器2は,かさ密度の小さい試料に適す。 

2. 減圧操作時に激しい脱泡を伴う試料については,着脱可能なアダプターを上部に付けた容器

(付図3参照)を用いてもよい。 

(2) 真空容器 

4.2.1(2)と同じ。 

(3) 真空ポンプ 

4.2.1(3)と同じ。 

(4) 真空計 

4.2.1(4)と同じ。 

(5) はかり 

4.2.1(5)と同じ。 

(6) 液体用比重計 4.2.1(6)と同じ。 

(7) 温度計 

4.2.1(7)と同じ。 

4.3.2 

測定手順 測定は,次の手順によって行う。質量は,すべて0.1mgのけたまで量る。 

(1) 測定容器を洗浄し,よく乾燥させ,その質量ms1を測定する。 

(2) 試料を,測定容器の21程度の高さまで入れ,そのときの質量ms2を測定する。 

(3) 試料が浸るより少し多めに浸液を静かに入れ,軽い振動を与えて気泡を取り除く。浸液を入れるとき,

試料の飛散が起こらないよう十分注意する。 

(4) 試料を浸液で浸した測定容器を真空容器に入れ,圧力13.33kPa {100mmHg} 以下まで減圧し,脱気を

行う。このとき減圧は,浸液が沸騰しない圧力とし,試料から気泡が発生しなくなるまで行う。 

(5) 真空容器から測定容器を取り出し,液温が室温になるまで静置する。 

(6) 別の容器(ビーカなど)に入れた浸液中に測定容器をつり下げ,その質量ms3を測定する。 

(7) 測定容器から試料を取り出し,(6)の方法で測定容器だけの質量ms4を測定する。 

(8) 比重計で測定温度における浸液の比重を測定し,有効数字4けたまで浸液の密度を求める。 

備考 (6)〜(8)の測定の許容温度差は,±1℃とする。 

4.3.3 

計算 粒子密度ρは,4.3.2で得た値を用いて,次の式によって算出する。 

なお,計算は,小数点以下3けたまで算出し,JIS Z 8401の規定によって2けたに丸める。 

)

(

)

(

)

(

4

3

1

2

1

2

s

s

s

s

L

s

s

m

m

m

m

m

m

=

ρ

ρ

ここに, 

ρ: 粒子密度 (g/cm3)  

ms1: 測定容器の質量 (g)  

ms2: 容器に試料を入れたときの質量 (g)  

ms3: 試料を入れた容器を浸液中につり下げたときの質量 (g)  

ms4: 容器だけを浸液中につり下げたときの質量 (g)  

R 1620-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ρL: 測定温度における浸液の密度 (g/cm3)  

4.4 

気体置換法 

4.4.1 

装置 装置は,次による。 

(1) 測定装置 測定装置の基本構成は,付図4に示すものとする。測定容器の容積は,10〜150cm3とする。

試料室の大きさは,測定容器を収納できる程度とし,膨張室の大きさは,試料室と同じ又はやや小さ

いものとする。圧力計は,0〜150kPa(1)まで測定できるもので,0.01kPa(1)の目盛をもつものとする。 

注(1) ゲージ圧とする。 

(2) はかり 4.2.1(5)と同じ。 

(3) 鋼球 測定容器に収納でき,試料室の容積の10%以上の大きさをもち,かつ,その体積が有効数字4

けた以上既知のものとする。 

4.4.2 

試料室及び膨張室容積の決定 

(1) 測定容器を洗浄し,十分に乾燥させる。 

(2) ガス供給弁を閉じ,測定容器を試料室へ入れる。 

(3) ガス供給弁を開き,接続弁及び排気弁を閉じ,試料室内の圧力が100〜150kPa(1)になるまでガスを導

入した後,ガス供給弁を閉じ接続弁及び排気弁を開く。この操作を5回以上繰り返し,装置内をガス

で置換する。 

(4) ガス供給弁を閉じ,圧力計の読みを0にした後,直ちに接続弁及び排気弁を閉じる。 

(5) ガス供給弁を開き,圧力計の読みが100〜150kPa(1)になるまでガスを導入し,ガス供給弁を閉じる。 

(6) 圧力の指示が安定したらその圧力p1cを0.01kPa(1)まで読み取る。 

(7) 接続弁を開き,圧力の読みが安定したらその圧力p2cを0.01kPa(1)まで読み取る。 

(8) 排気弁を開き,測定容器に鋼球を入れ,再び試料室に入れる。(3)〜(7)の操作を繰り返し,ガスを導入

したときの圧力p1s及び膨張したときの圧力p2sを求める。 

(9) 次の式によって,測定容器を入れたときの試料室の空間容積V1,及び膨張室の空間容積V2を計算す

る。 

c

2

s

2

c

1

s

1

s

2

s

1

1

ca

1

p

p

p

p

)

p

p

(

V

V

=

=

1

2

1

1

2

c

c

p

p

V

V

ここに, 

V1: 試料室に測定容器を入れたときの空間容積 (cm3)  

V2: 膨張室の空間容積 (cm3)  

Vca1: 鋼球の体積 (cm3)  

p1c,p2c: 測定容器が空の状態における圧力 [kPa(1)]  

p1s,p2s: 測定容器中に鋼球を入れた状態における圧力 [kPa(1)]  

備考 測定装置内及び鋼球の温度は,測定を通じて一定でなければならない。 

4.4.3 

測定手順 測定は,次の手順によって行う。質量はすべて0.1mgのけたまで量る。 

(1) 測定容器を洗浄し,十分に乾燥させて,その質量mG1を測定する。 

(2) 試料を測定容器中に32以上入れ,そのときの質量mG2を測定する。 

(3) ガス供給弁を閉じ,試料を入れた測定容器を試料室に入れる。 

(4) ガス供給弁を開き,接続弁及び排気弁を閉じ,測定室内の圧力が100〜150kPa(1)になるまでガスを導

入した後,ガス供給弁を閉じ接続弁及び排気弁を開く。この操作を5回以上繰り返し,装置内をガス

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で置換する。 

(5) ガス供給弁を閉じ,圧力計の読みを0にした後,直ちに接続弁及び排気弁を閉じる。 

(6) ガス供給弁を開き,圧力計の読みが100〜150kPa(1)になるまでガスを導入し,ガス供給弁を閉じる。 

(7) 圧力の指示が安定したら,その圧力p1を0.01kPa(1)まで読み取る。 

(8) 接続弁を開き,圧力の読みが安定したら,その圧力P2を0.01kPa(1)まで読み取る。 

備考1. 測定装置内及び試料の温度は,測定を通じて一定でなければならない。 

2. 試料が飛散しやすい場合は,導入圧を100kPa(1)より低く設定してもよい。 

4.4.4 

計算 試料の体積Vsを,次の式によって計算する。 

)1

/

(

2

1

2

1

=

p

p

V

V

Vs

ここに, Vs: 試料の体積 (cm3)  
 

V1: 試料室に測定容器を入れたときの空間容積 (cm3)  

V2: 膨張室の空間容積 (cm3)  

p1: 試料室にガスを導入したときの圧力 [kPa(1)]  

p2: 接続弁を開いたときの圧力 [kPa(1)]  

粒子密度ρは,次の式によって小数点以下3けたまで算出し,JIS Z 8401の規定によって2けたに丸める。 

s

G

G

V

m

m

1

2−

=

ρ

ここに, 

ρ: 粒子密度 (g/cm3)  

mG1: 測定容器の質量 (g)  

mG2: 測定容器に試料を入れたときの質量 (g)  

Vs: 試料の体積 (cm3)  

5. 報告 次の項目を報告する。 

(1) 測定方法 

(2) 浸液名(ピクノメータ法又は懸ちょう法の場合) 

(3) 粒子密度測定値 

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付図1 ピクノメータ法の測定容器の形状例 

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付図2 懸ちょう法の測定容器の形状例 

付図3 懸ちょう法のアダプター付き測定容器の形状例 

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付図4 気体置換法の測定装置基本構成 

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JIS R 1620原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

奥 田   博 

財団法人ファインセラミックスセンター 

○ 内 海 良 治 

工業技術院名古屋工業技術研究所 

○ 井 手 亮 一 

電気化学工業株式会社大牟田工場 

○ 長谷川   光 

昭和電工株式会社微粉研究センター 

○ 佐々木 良 樹 

株式会社セイシン企業荒川計装工場 

○ 鷲 尾 一 裕 

株式会社島津製作所試験計測事業部 

○ 谷   重 男 

通商産業省生活産業局 

○ 倉   剛 進 

通商産業省工業技術院標準部 

山 内 幸 彦 

工業技術院名古屋工業技術研究所 

多 島   容 

日本特殊陶業株式会社中央研究所 

中 筋 善 淳 

日本ガイシ株式会社第1研究所 

高 橋 秀 雄 

旭硝子株式会社中央研究所 

安 藤 元 英 

日産自動車株式会社総合研究所材料研究所 

岡 本 寛 己 

日本鋼管株式会社総合材料技術研究所 

○ 菅 野 隆 志 

旭硝子株式会社中央研究所 

○ 山 田 貞 夫 

社団法人日本ファインセラミックス協会 

(事務局) 

吉 川 豊 祐 

社団法人日本ファインセラミックス協会 

備考 ○印は小委員会委員 

文責 小委員会