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P 8144:2006  

(1) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,紙パルプ技術協会

(JAPAN TAPPI)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの

申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS P 8144:1998は改正され,この規格に置き換えられる。 

改正に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 9197:1998,Paper,board and pulps

−Determination of water-soluble chloridesを基礎として用いた。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任をもたない。 

JIS P 8144には,次に示す附属書がある。 

附属書A(参考)実験手引書 

附属書B(参考)参考文献 

附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表 

 

 


 

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目 次 

ページ 

序文  1 

1. 適用範囲  1 

2. 引用規格  1 

3. 定義  1 

4. 原理  2 

5. 試薬  2 

5.1 蒸留水又は脱イオン水  2 

5.2 塩化物原液 (1 000 mg/L)  2 

5.3 塩化物イオン標準液  2 

5.4 硝酸溶液 (1.3 mol/L)  2 

5.5 その他の溶液  2 

6. 装置及び器具  2 

6.1 離解機  2 

6.2 イオンクロマトグラフ  2 

6.3 シリンジ  2 

6.4 茶こし又は類似の器具  2 

7. 試料の採取及び調製  2 

8. 操作  3 

9. 試験結果の表し方  3 

10. 精度  3 

11. 報告  4 

附属書A(参考)実験手引書  5 

附属書B(参考)参考文献  6 

附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表  7 

 

 


 

 

 

日本工業規格          JIS 

 

P 8144:2006 

 

紙,板紙及びパルプ−水溶性塩化物の測定方法 

Paper,board and pulps−Determination of water-soluble chlorides 

 

序文 この規格は,1998年に第1版として発行されたISO 9197,Paper,board and pulps−Determination of 

water-soluble chloridesを翻訳し,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で,側線又は点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表をその説明を付けて,附属書1(参考)に示す。 

 

1. 適用範囲 この規格は,紙,板紙及びパルプ中の水溶性塩化物の測定方法について規定する。測定下

限濃度は,20 mg(塩化物イオン)/kg(試料の絶乾質量)である。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD

(修正している),NEQ(同等でない)とする。 

ISO 9197:1998,Paper,board and pulps−Determination of water-soluble chlorides (MOD) 

参考 この規格は,旧規格とは次の2点が大きく異なっている。 

第一の点は,水溶性塩化物の抽出条件である。この規格における抽出は,離解機を使用する

短時間の冷水抽出による。他方,旧規格は,熱水で60分間の抽出をするが,離解機は使用しな

い。したがって,抽出条件が異なるので,この規格で得られる結果は,旧規格で得られる結果

とは異なる可能性がある。 

第二の点は,硝酸銀溶液を使用する電位差滴定法検出法をイオンクロマトグラフ法に改めた

ことである。イオンクロマトグラフ法は,感度及び選択性が非常に優れているので,現在では

陰イオンの検出に広範に使用されている。 

 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS P 0001 紙・板紙及びパルプ用語 

JIS P 8127 紙及び板紙−水分試験方法−乾燥器による方法 

備考 ISO 287:1985,Paper and board−Determination of moisture content−Oven-drying methodから

の引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

JIS P 8203 パルプ−絶乾率の試験方法 

備考 ISO 638:1978,Pulps−Determination of dry matter contentからの引用事項は,この規格の該

当事項と同等である。 

 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義はJIS P 0001ほか,次による。 


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a) 水溶性塩化物 (water soluble chlorides) 紙,板紙及びパルプから冷水抽出し,この規格で規定した条件

で定量した塩化物イオンの量。 

 

4. 原理 試料を離解機で冷水(室温)抽出した懸濁液をろ過する。ろ液の一部を採取し,イオンクロマ

トグラフ法によって塩化物イオン含有量を測定する。 

 

5. 試薬 試薬は,次による。 

5.1 

蒸留水又は脱イオン水 電気伝導率0.2 mS/m以下の水。 

5.2 

塩化物原液 (1 000 mg/L) 塩化物原液は,塩化ナトリウム又は塩化カリウムを試薬とし,次のそれ

ぞれの方法によって調製する。両試薬共に,市販の標準液を用いてもよい。 

a) 塩化ナトリウムを試薬とする場合は,塩化ナトリウム約1 gを,あらかじめ140 ℃で40〜50分間加熱

し,シリカゲル,塩化カルシウムなどの乾燥剤を入れたデシケータ中で放冷した後,その塩化ナトリ

ウム164.8 mgを正しく量り採る。容量100 mLのメスフラスコに入れて水(5.1)に溶かし,更に標線

まで水(5.1)を加えて調製する(JIS K 8150参照)。 

b) 塩化カリウムを試薬とする場合は,塩化カリウム約1 gを140 ℃で乾燥させる。乾燥した塩化カリウ

ム210.2 mgを100 mLのメスフラスコに入れて水(5.1)に溶かし,更に標線まで水(5.1)を加える(JIS 

K 8121参照)。 

5.3 

塩化物イオン標準液 5.2の塩化物原液を希釈して,塩化物イオンの質量分率を,例えばc(Cl)=10 

mg/Lにする。調製後,1週間以上経過した塩化物イオン標準液は使用できない。 

5.4 

硝酸溶液 (1.3 mol/L) 十分に注意を払いながら,14 mol/L硝酸溶液(約65 %硝酸)90 mLを水(5.1)

500 mLに加え,更に水を加えて1 Lに希釈する(JIS K 8541参照)。 

5.5 

その他の溶液 イオンクロマトグラフの操作手引書に規定した溶液。 

 

6. 装置及び器具 分析で使用するガラス器具及びその他の装置は,入念に洗浄する。ガラス器具は硝酸

溶液(5.4)に5〜10分間浸せきする。その後,水(5.1)で十分に洗浄する。試料調製用ピンセット,は

さみ及び離解機は水で洗浄する。 

6.1 

離解機 繊維の損傷ができるだけ少ない状態で完全に離解できる高速ミキサ。 

6.2 

イオンクロマトグラフ 塩化物測定に必要なポンプ,所定量の導入ループ,カラム恒温槽,及び電

気伝導度検出器を備えたもの。 

6.3 

シリンジ 孔径0.2 μmのプレフィルタが付いた容量5 mLのもの。 

6.4 

茶こし又は類似の器具 懸濁液から繊維を取り除くステンレス製のもの。 

 

7. 試料の採取及び調製 試料の採取は,それぞれの場合における個別の状況を考慮して行う。パルプ,

紙又は板紙のロットからの試料採取は,全体を代表するように採取する(JIS P 8110又はJIS P 8201参照)。 

試料中の塩化物の量は非常に少ないので,試料及び試験片の汚染をできるだけ避けるために,それらの

取扱いは,清浄な保護手袋を使用する。 

塩酸,塩素系溶剤などの塩素を含有する物質から発生する煙及びほこりが出ない実験室で分析を行う。

漂白剤として,塩素又は二酸化塩素を使用している工場の中に研究室がある場合は特に注意を要する。 

分析直前まで,試料はアルミはくに包んでおくか,又はポリ袋に入れておく。 

試料採取後,速やかに分析する。 


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分析とは別に試料を採取して,JIS P 8127又はJIS P 8203に規定する方法によって試料の絶乾率を測定

する。 

 

8. 操作 測定は2回行う。同時に,全く同じ手順で,空試験を1回行う。 

測定用試料(一般に,2〜5 g程度)を0.01 gの精度で量る。容易に浸せきするように,厚い板紙及びパ

ルプは裂いて薄い試験片にする。 

測定用試料から抽出する塩化物イオンの質量分率が,イオンクロマトグラフによる測定の適正範囲に入

るように試験片の大きさを決める。 

測定用試料を離解機(6.1)に入れ,23 ℃±2 ℃の水(5.1)250 mL±2 mLを加えて,完全に試料を離

解する。試料の離解が確認できたら,離解機を速やかに止める。 

離解機を止めた後すぐに,シリンジ(6.3)で懸濁液から測定用試料を抜き取る。懸濁液に繊維又は結束

繊維があるために,抜取りが困難な場合は,茶こし又は類似の器具(6.4)によって繊維状物質を除く。測

定溶液に浮遊物質が存在しないことが重要である。 

イオンクロマトグラフ(6.2)の操作は装置の設計によるので,ここでは詳しい説明をしない。装置の説

明書に従って操作する(附属書A参照)。 

検量線を作成するために,10倍程度の濃度範囲(例えば,1〜10 mg/L)で,5段階の塩化物イオン標準

液(5.3)を調製する。 

装置の取扱説明書に従って,標準液及び試料溶液をイオンクロマトグラフに導入する。 

各標準液の塩化物イオン濃度の読みをプロットしてグラフを作成する。標準液に関するグラフ上の5点

は直線上にのらなければならない。5点が直線上に位置しない場合は,できるだけ検量線が直線になるよ

うに標準液の濃度範囲を変えて検量線を作成する。 

一日に数回,検量線を確認する。また,新しい検量線溶液を使用する場合は検量線の確認を必ず行う。 

 

9. 試験結果の表し方 検量線から試料溶液の塩化物イオン濃度を読み取る。次の式によって,試料中の

塩化物イオンの質量分率を算出する。 

mX

V

w

)

(

100

Cl,0

Cl

Cl

 

ここに, 

wCl: 塩化物イオンの質量分率(mg/kg) 

 

ρCl: 試料のろ過溶液の塩化物イオン濃度(mg/L) 

 

ρCl, 0: 空試験溶液の塩化物イオン濃度(mg/L) 

 

V: 水(5.1)の体積。250 mLに規定する。 

 

m: 採取した試料の質量(g) 

 

X: 試料中の固形分の質量分率(%) 

2回の平均値を計算する。塩化物イオンの質量分率が20 mg/kg未満の場合は,20 mg/kg未満と報告する。

20 mg/kg以上の場合は,丸めの幅10に丸めて報告する。 

参考 数値の丸め方のJISには,JIS Z 8401がある。 

 

10. 精度 次に示す結果は,スカンジナビアのパルプ,紙及び板紙試験委員会の主導の下,複数の試験所

で実験して得たものである。 

9試験所がこの規格に規定した方法で,4種の試料をそれぞれ2回分析した。各試験所で得た塩化物イオ


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ンの質量分率の平均値及び標準偏差(試験所間)を,表1に示す。 

表 1  

試料 

 

塩化物イオンの 

質量分率の平均値 

mg/kg 

標準偏差 

 

mg/kg 

さらしクラフトパルプを原料とする純白ロール紙 

14.6 

3.6 

カバ材さらしクラフトパルプ 

27.1 

6.6 

コピー用紙 1 

        297 

       25 

コピー用紙 2 

     1 240 

       76 

 

11. 報告 報告書には,次の事項を記載する。 

a) 規格名称又は規格番号 

b) 測定年月日及び測定場所 

c) 試料の種類及び名称 

d) 測定結果 

e) この規格に規定した方法とは異なる操作,及び測定結果に影響した可能性のある環境条件 

 


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附属書A(参考)実験手引書 

 

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。 

 

この規格で適用する手順は,かなり複雑な装置に依存している。幾つかの製造業者が,そのような装置

を世界市場に展開している。これらの装置は,原理は同じであるが,詳細において異なる。 

特定の製造業者の装置を指定しないことは,標準化の原則である。その理由は,日本工業規格が会社間

の競争に関して中立でなければならないというだけでなく,装置の改良を不必要に妨げないように,細か

な点まで規定することを避けるためである。 

実際問題として,ある試験所特有の詳細な操作手順は,規格として採用できない。分析を行うための幾

つかの詳細な情報は,製造業者の手順書によるか,予備試験でそれぞれの試験所で確立しなければならな

い。例えば,液の流量,温度,電力,待機時間などの調整である。 

 

 


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附属書B(参考)参考文献 

 

[1] JIS P 8110 紙及び板紙−平均品質を測定するためのサンプリング方法 

備考 ISO 186:2002,Paper and board−Sampling to determine average qualityが,この規格と一致してい

る。 

[2] JIS P 8201 製紙用パルプの試料採取方法 

備考 ISO 7213:1981,Pulps−Sampling for testingからの引用事項は,この規格の該当事項と同等であ

る。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

関連規格 JIS K 8121 塩化カリウム(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS P 0001 紙・板紙及びパルプ用語 

JIS Z 8401 数値の丸め方 


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附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表 

JIS P 8144:2006 紙,板紙及びパルプ−水溶性塩化物の測
定方法 

ISO 9197:1998,紙,板紙及びパルプ−水可溶性塩化物
の測定方法 

(Ⅰ) JISの規定 

(Ⅱ) 
国際
規格
番号 

(Ⅲ) 国際規格の規定 

(Ⅳ) JISと国際規格との技
術的差異の項目ごとの評価
及びその内容 
 表示箇所:本体 
 表示方法:点線の下線又 
      は実線の側線 

(Ⅴ) JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対策 

項目 
番号 

内容 

 

項目 
番号 

内容 

項目ごと
の評価 

技術的差異の
内容 

 

1.適用範囲 
 

 

ISO 
9197 

JISと同じ IDT 

− 

− 

2.引用規格 
 

JIS P 0001 
JIS P 8127 
JIS P 8203 

 

− 
ISO 287 
ISO 638 

MOD/追加 
IDT 
IDT 

 

JIS用語を追加。技術的差
異なし。 

3.定義 

 

 

JISと同じ IDT 

− 

− 

4.原理 

 

 

JISと同じ IDT 

− 

− 

5.試薬 

5.2 塩化物
原液 

 

5.2 

原液調製
試薬はカ
リウム塩 

MOD/選択 JISはナトリウ

ム塩を併記 

日本国内で市販されている
塩化物イオン標準液の試薬
はすべてナトリウム塩であ
る。ナトリウム塩の使用を
ISOに提案する。 

6.装置及び器具  

 

JISと同じ IDT 

− 

− 

7.試料の採取及
び調製 

 

 

JISと同じ IDT 

− 

− 

8.操作 

 

 

JISと同じ IDT 

− 

− 

9.試験結果の表
し方 

 

 

JISと同じ IDT 

− 

− 

10.精度 

 

 

10 

JISと同じ IDT 

− 

− 

11.報告 

 

 

11 

JISと同じ IDT 

− 

− 

附属書A(参考)
実験手引書 

 

 

Annex A 
informative 

JISと同じ IDT 

− 

− 

附属書B(参考)
文献 

 

 

Annex B 
informative 

JISと同じ IDT 

− 

− 

 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD 

備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。 

  ― IDT  技術的差異がない。 
  ― MOD/追加  国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
  ― MOD/選択  国際規格の規定内容と別の選択肢がある。 

2. JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。 

  ― MOD  国際規格を修正している。