サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

M 8111 : 1998  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。 

これによってJIS M 8111 : 1963は改正され,この規格に置き換えられる。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

M 8111 : 1998 

鉱石中の金及び銀の定量方法 

Method for determination of gold and silver in ores 

序文 この規格は1994年第1版として発行されたISO 10378, Copper sulfide concentrates−Determination of 

gold and silver contents−Fire assay gravimetric and atomic absorption spectrometric method を元に作成した日本

工業規格である。 

なお,試験報告書は,日本工業規格として必要としないため省略してある。 

1. 適用範囲 この規格は,鉱石中の0.5g/t以上1 000g/t以下の金及び1g/t以上1 500g/t以下の銀の定量方

法について規定する。ただし,他の日本工業規格で金及び銀の定量方法が規定されている鉱石には適用し

ない。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

ISO 10378 : 1994 Copper sulfide concentrates−Determination of gold and silver contents−Fire 

assay gravimetric and atomic absorption spectrometric method 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの規格は,その最新版を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0116 発光分光分析通則 

JIS K 0121 原子吸光分析通則 

JIS K 8090 酸化鉛 (II) (試薬) 

JIS K 8885 二酸化けい素(試薬) 

JIS M 8083 ばら積み非鉄金属浮選精鉱のサンプリング方法 

JIS M 8101 非鉄金属鉱石のサンプリング,試料調製及び水分決定方法 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

JIS Z 8402 分析・試験の許容差通則 

3. 一般事項 

3.1 

共通事項 定量方法に共通な一般事項は,JIS K 0050,JIS K 0116及びJIS K 0121の規定による。 

3.2 

定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

a) けい酸鉱 けい酸を主成分とし,還元力及び酸化力をほとんどもっていない鉱石。 

b) 酸化鉱 酸化鉄 (III) ,酸化マンガン (IV) などを含有し,酸化力をもっている鉱石。 

c) 硫化鉱 硫化物を含有し,還元力をもっている鉱石。 

d) 還元力 るつぼ融解において,規定量の金属鉛(鉛ボタン)を得るために添加する硝酸カリウム(硝

M 8111 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

石)などの酸化剤を還元する力。 

e) 酸化力 るつぼ融解において,所定の鉛ボタンを得るために添加する小麦粉などの還元剤を酸化する

力。 

f) 

調合 試料のるつぼ融解において,30〜40gの鉛ボタンを生じ,かつ,試料主成分などをスラグとし

て分離するのに適する量の試料,酸化鉛 (II) 及び融剤をはかり合わせる操作。 

g) るつぼ融解 融剤と混合した試料を粘土るつぼを用いて還元状態で融解し,金,銀及びその他の貴金

属元素を鉛ボタンに捕集する操作。 

h) 灰吹 鉛ボタンをキューペル(灰皿)に入れ,酸化状態で融解し,鉛及び鉛ボタンに付随した試料成

分などをキューペルに吸収させ,金,銀及びその他の貴金属元素を金銀ビード(金銀合金)として分

離する操作。 

i) 

分金 金銀ビードを硫酸又は硝酸中で加熱して,銀及びその他の貴金属を浸出溶解させ金粒を分離す

る操作。 

3.3 

金銀分析方法の概要 

a) 化学試験などによって,概略の試料組成及び金,銀含有量を推定し,適用する試料の融解方法を決定

する。 

b) 必要に応じて,試料の還元力又は酸化力を求め,試料,融剤などの調合を行う。 

c) b)で調合したものをよく混合した後,るつぼに移し入れ,るつぼ融解を行い鉛ボタンを得る。 

d) 鉛ボタンを灰吹して得た金銀ビードの質量をはかる。 

e) 金銀ビードを分金して得た金粒の質量をはかり,金の質量を求める。 

f) 

金銀ビードの質量から金の質量を差し引いて銀の質量を求める。 

g) スラグ及び使用したキューペル中の金及び銀を分析し,先に得た金及び銀の質量を補正し,試料中の

金及び銀含有量を求める。 

4. 分析試料の採り方及び取扱い方 

4.1 

試料の採取及び調製 試料の採取及び調製は,JIS M 8083又はJIS M 8101の規定による。 

4.2 

試料の取扱い方 試料のはかり方は,次による。 

a) 試料のはかり採りに際しては,試料をよくかき混ぜて平均組成を代表するように注意し,また,異物

が混入していないことを確かめなければならない。 

b) 試料は,105℃±5℃に調節されている空気浴に入れて乾燥し,2時間ごとに空気浴から取り出し,デ

シケーター中で常温まで放冷する。乾燥は,乾燥減量が2時間につき0.1% (m/m) 以下になるまで繰

り返す。ただし,硫化物などを含有するため変質しやすい試料の乾燥条件(温度,時間など)は,受

渡当事者間の協議による。 

c) 試料のはかり採りには,通常,化学はかりを用いて,1mgのけたまではかり採る。 

5. 分析値の表し方及び操作上の注意 

5.1 

分析値の表し方 分析値の表し方は,次による。 

a) 分析値はg/tで表し,JIS Z 8401の規定によって金は小数点以下第2位に,銀は小数点以下第1位に丸

める。 

b) 分析は,同一分析室において,室内再現測定条件で,等しい質量の2個の試料を用いて,2回繰り返

して行い,得られた金及び銀の質量の差が室内再現許容差(以下,許容差という。)以下のとき,分析

background image

M 8111 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

値を算出して平均値を求め,JIS Z 8401の規定によって金は小数点以下第1位に,銀は整数に丸めて

報告値とする。 

c) 2回繰り返して行い,得られた金及び銀の質量の差が許容差を超えるときは,JIS Z 8402の6.4.2(適

用方式A)の規定による。 

d) 許容差は,はかり採った試料中の金及び銀の質量に応じて,表1及び表2による。 

表1 許容差(金) 

単位 mg 

金量 

許容差 

       0.50未満 

0.01 

 0.50以上  1.00未満 

0.02 

 1.00以上  2.00未満 

0.03 

 2.00以上  3.00未満 

0.04 

 3.00以上  5.00未満 

0.05 

 5.00以上 10.00未満 

0.07 

10.00以上 20.00未満 

0.10 

20.00以上 30.00以下 

0.15 

表2 許容差(銀) 

単位 mg 

銀量 

許容差 

      5.0未満 

0.1 

 5.0以上 10.0未満 

0.2 

10.0以上 30.0未満 

0.3 

30.0以上 50.0以下 

0.5 

6. 予備試験 予備試験は,次による(1)。 

注(1) 試料の組成,性状などが判明している場合は省略できる。 

a) 試薬,器具及び装置 試薬,器具及び装置は,7.2及び7.3による。 

b) 試料の組成分析 適用する融解試料の調製方法を決定するため,適切な分析法により,概略の試料組

成及び金・銀含有量を推定する。 

c) 酸化力試験 

1) 7.4.1.1,7.4.2及び7.4.3の手順に従って操作する。 

ただし,調合は表3又は表4を参考に,金及び銀の含有量に応じて調合する。 

なお,融剤は上皿はかりを用いて0.1gのけたまではかり採る。 

2) 鉛ボタンの質量を上皿はかりを用いて0.1gのけたまではかり,酸化力を次の式によって算出する。 

m

P

F

O

×

12

p=

ここに, Op: 酸化力 
 

F: 小麦粉のはかり採り量 (g) 

P: 鉛ボタンの質量 (g) 

m: 試料はかり採り量 (g) 

background image

M 8111 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表3 試料及び試薬のはかり採り量の例 (1) 

試料及び試薬 

試料のるつぼ融解の場合 

補正のるつぼ融解の場合 

試料 

30g 

スラグ,キューペルの全量 

ソーダ灰 

40g 

45g 

酸化鉛 (II) 

35g 

35g 

ほう砂ガラス 

20g 

20g 

けい酸 

10g(又はガラス粉末20g) 

12g 

小麦粉 

4g 

3g 

鉄くぎ 

2本 

1本 

表4 試料及び試薬のはかり採り量の例 (2) 

試料及び試薬 

試料のるつぼ融解の場合 

補正のるつぼ融解の場合 

試料 

30g 

スラグ,キューペルの全量 

ソーダ灰 

20g 

35g 

酸化鉛 (II) 

80g 

45g 

ほう砂ガラス 

12g 

15g 

けい酸 

10g(又はガラス粉末20g) 

12g 

小麦粉 

4g 

3g 

d) 還元力試験 

1) 7.4.1.1,7.4.2及び7.4.3の手順に従って操作する。 

ただし,表5を参考に,金及び銀の含有量に応じて調合する。 

なお,融剤は上皿はかりを用いて0.1gのけたまではかり採る。 

粘土るつぼは内容量約200mlのものを用いる。 

2) 鉛ボタンの質量を上皿はかりを用いて0.1gのけたまではかり,還元力を次の式によって算出する(2)。 

m

P

R=

ここに, R: 還元力 
 

P: 鉛ボタンの質量 (g) 

m: 試料はかり採り量 (g) 

注(2) 還元力が極めて小さいときは,小麦粉の一定量を加えて還元力試験を行い,還元力を次の式に

よって算出する。 

m

F

P

R

×

12

ここに, R: 還元力 
 

F: 小麦粉のはかり採り量 (g) 

P: 鉛ボタンの質量 (g) 

m: 試料はかり採り量 (g) 

表5 試料及び試薬のはかり採り量の例 (3) 

試料及び試薬 

はかり採り量 

試料 

5g 

ソーダ灰 

40g 

酸化鉛 (II) 

60g 

ほう砂ガラス 

8g 

7. 定量方法 

M 8111 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7.1 

要旨 試料を酸化鉛 (II) 及び融剤と混合し,融解試料を調製した後,るつぼ融解を行い,金及び銀

を鉛ボタン中に捕集し,他の試料成分と分離する。鉛ボタンを灰吹することにより得られた金銀ビードの

質量をはかる。次いで,金銀ビードを分金して得られた金の質量をはかる。 

7.2 

試薬 

a) 塩酸 

b) 硝酸 

c) 硝酸 (1+1,1+100) 

d) 硝酸 (17+83)  塩化物イオンを含まない硝酸 (ρ201.42g/ml) を用いて調製する。 

e) 硫酸 (比重 約1.84)塩化物イオンを含まないもの。 

f) 

硫酸 (2+1,1+9) 

g) 硫酸 (1+5)  硫酸 [e)] を用いて調製する。 

h) 王水(塩酸3,硝酸1) 

i) 

臭化カリウム溶液 (50g/l) 

j) 

塩化ナトリウム 

k) 硝酸カリウム(硝石) 

l) 

炭酸ナトリウム(ソーダ灰) 

m) 酢酸鉛溶液 (100g/l) 

n) 酸化鉛 (II)  JIS K 8090(試金用) 

o) 硫酸ヒドラジニウム (2+) 溶液 (10g/l) 

p) 無水四ほう酸ナトリウム(ほう砂ガラス) 粒度420μm以下のもの。 

q) 二酸化けい素(けい酸) JIS K 8885(無水けい酸,沈降製)粒度149μm以下のもの。 

r) ガラス粉末 粒度420μm以下のもの。 

s) 

小麦粉 

t) 

鉄くぎ 長さ12〜15cmのもの。 

u) 銀[99.99% (m/m) 以上] 

v) 標準ビスマス溶液 (20μgBi/ml)  ビスマス[99.9% (m/m) 以上]1.00gを硝酸 (1+1) 20mlで分解し,

冷却後,1 000mlの全量フラスコに移し入れ,硝酸20mlを加えた後,水で標線まで薄めて原液 

(1mgBi/ml) とする。使用の都度,必要量だけ硝酸 (1+100) で正確に50倍に薄めて標準ビスマス溶液

とする。 

w) 標準鉛溶液 (10μgPb/ml)  鉛[99.9% (m/m) 以上]1.00gを硝酸 (1+1) 30mlで分解し,冷却後,1 000ml

の全量フラスコに移し入れ,水で標線まで薄めて原液 (1mgPb/ml) とする。使用の都度,必要量だけ

水で正確に100倍に薄めて標準鉛溶液とする。 

x) 標準パラジウム溶液 (5μgPd/ml)  パラジウム[99.9% (m/m) 以上]0.100gを王水(塩酸3,硝酸1)

10mlで分解し,冷却後,100mlの全量フラスコに移し入れ,水で標線まで薄めて原液 (1mgPd/ml) と

する。使用の都度,必要量だけ水で正確に200倍に薄めて標準パラジウム溶液とする。 

y) 標準白金溶液 (50μgPt/ml)  白金[99.9% (m/m) 以上]0.100gを王水(塩酸3,硝酸1)10mlで分解

し,冷却後,100mlの全量フラスコに移し入れ,水で標線まで薄めて原液 (1mgPt/ml) とする。使用の

都度,必要量だけ水で正確に20倍に薄めて標準白金溶液とする。 

z) 標準銀溶液 (10μgAg/ml)  銀[99.9% (m/m) 以上]1.00gを硝酸 (1+1) 20mlで分解し,冷却後,褐色

の1 000mlの全量フラスコに移し入れ,水で標線まで薄めて原液 (1mgAg/ml) とする。使用の都度,

background image

M 8111 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

必要量だけ水で正確に100倍に薄めて標準銀溶液とする。 

7.3 

器具及び装置 

a) 融解炉 1 200℃まで昇温でき,温度制御可能なもの。 

b) 灰吹炉 1 100℃まで昇温でき,温度制御可能なもの。 

c) マッフル炉 1 000℃まで昇温でき,温度制御可能なもの。 

d) 粘土るつぼ 耐火粘土製で,内容量約200ml(以下2号という),約330ml(以下3号という),約380ml

(以下4号という)のもの。 

e) キューペル 骨灰又は酸化マグネシウム製で約50gの鉛を吸収できるもの。 

f) 

モールド 鋳鉄製で内面がコーン形丸底,内径約70mm,深さ約50mmのもの。 

g) ばい焼皿 内径130mmのもので,使用前にべんがらをやや厚く塗布し,乾燥したもの。 

h) 分金フラスコ 容量60mlのもの。 

i) 

微量はかり 0.001mgのけたまではかれるもの。 

7.4 

操作 

7.4.1 

融解試料の調製 

7.4.1.1 

基準法 この方法は,主としてけい酸鉱及び銅含有率3% (m/m) 以上の酸化鉱に適用する。 

a) 表4及び表6〜8(3)(4)を参考に,金及び銀の含有量に応じて調合する。 

なお,融剤は上皿はかりを用いて0.1gのけたまではかり採る。 

b) 光沢紙上で試料と試薬が均一となるまで混合した後(5),全量を3号又は4号粘土るつぼに移し入れる。 

c) 粘土るつぼの底部を軽く作業台に打ち当てて内容物を緻密に詰めた後,塩化ナトリウムで約12mmの

厚さに被覆する。 

注(3) 一般けい酸鉱の場合は,通常表6,少量の硫化物を含む場合は表7,マグネシウム,アルミニウ

ム及びカルシウムの酸化物のいずれかを多量に含む場合は表8,銅含有率3% (m/m) 以上の酸化

鉱には表4の例を用いる。 

(4) 金銀含有量が,金1に対し銀2.5以下の場合は,金の10倍量の銀を加えた試料を調製し,並行

して全操作を行い金を定量する。銀は加銀しない融解試料から得られた金銀ビードの質量から,

加銀した融解試料から得られた金の質量を差し引いて求める。 

(5) 試料と試薬が均一に混合できれば,直接粘土るつぼ中に移し入れ,混合してもよい。 

表6 試料及び試薬のはかり採り量の例 (4) 

試料及び試薬 

試料のるつぼ融解の場合 

補正のるつぼ融解の場合 

試料 

30g 

スラグ,キューペルの全量 

ソーダ灰 

40g 

45g 

酸化鉛 (II) 

45g 

30g 

ほう砂ガラス 

8g 

20g 

けい酸 

− 

12g 

小麦粉 

3g 

2〜3g 

background image

M 8111 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表7 試料及び試薬のはかり採り量の例 (5) 

試料及び試薬 

試料のるつぼ融解の場合 

補正のるつぼ融解の場合 

試料 

30g 

スラグ,キューペルの全量 

ソーダ灰 

45g 

45g 

酸化鉛 (II) 

45g 

30g 

ほう砂ガラス 

10g 

15g 

けい酸 

− 

12g 

小麦粉 

2〜3g 

2〜3g 

鉄くぎ 

1〜2本 

1本 

表8 試料及び試薬のはかり採り量の例 (6) 

試料及び試薬 

試料のるつぼ融解の場合 

補正のるつぼ融解の場合 

試料 

30g 

スラグ,キューペルの全量 

ソーダ灰 

30g 

40g 

酸化鉛 (II) 

55g 

45g 

ほう砂ガラス 

18g 

15g 

けい酸 

10g(又はガラス粉末20g) 

20g 

小麦粉 

3g 

2〜3g 

7.4.1.2 

硝石法 この方法は,還元力試験による還元力が11以下の鉱石に適用する(6)。 

a) 表9(4)を参考に,金及び銀の含有量に応じて調合する。 

なお,融剤は上皿はかりを用いて0.1gのけたまではかり採る。 

b) 7.4.1.1のb)及びc)の手順によって操作する。 

注(6) 6.のd)によって還元力を求め,酸化鉛 (II) 及び硝石の量を次の式によって決定する。ただし,

硝石の量は20gまでとし,それ以上となる場合は,試料量を減じるか,7.4.1.5の湿乾併用法によ

る。 

L=R×m×1.4 

4

30

m

R

N

×

ここに, R: 還元力 
 

L: 酸化鉛 (II) の量 (g) 

N: 硝石の質量 (g) 

m: 試料はかり採り量 (g) 

表9 試料及び試薬のはかり採り量の例 (7) 

試料及び試薬 

試料のるつぼ融解の場合 

補正のるつぼ融解の場合 

試料 

30g 

スラグ,キューペルの全量 

ソーダ灰 

40g 

40g 

酸化鉛 (II) 

85g 

45g 

ほう砂ガラス 

12g 

15g 

けい酸 

3g(又はガラス粉末6g) 

20g 

硝石 

7.5g 

− 

小麦粉 

− 

2〜3g 

7.4.1.3 

鉄くぎ法 この方法は,主として硫化鉱及び銅含有率3% (m/m) 以下の酸化鉱に適用する(7)。 

a) 表10(4)を参考に,金及び銀の含有量に応じて調合する。 

なお,融剤は上皿はかりを用いて0.1gのけたまではかり採る。 

b) 7.4.1.1のb)及びc)の手順によって操作する。 

注(7) 融解操作において,マット又はスパイスが生成するか,あるいはるつぼ融解において多量の銅,

background image

M 8111 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

亜鉛が鉛ボタン中に移行する鉱石には適用しない。 

表10 試料及び試薬のはかり採り量の例 (8) 

試料及び試薬 

試料のるつぼ融解の場合 

補正のるつぼ融解の場合 

試料 

30g 

スラグ,キューペルの全量 

ソーダ灰 

60g 

45g 

酸化鉛 (II) 

35g 

10g 

ほう砂ガラス 

17g 

15g 

けい酸 

7g(又はガラス粉末14g) 

25g 

鉄くぎ 

4本 

3本 

7.4.1.4 

ばい焼法 この方法は,還元力試験による還元力が5以上でひ素,アンチモンなどを多量に含む

硫化鉱に適用する。 

a) 試料30g(4)をはかり採り,けい酸10gを加えて混合した後,ばい焼皿に移し入れ,薄い層とし,数条

の溝をつける。 

b) ばい焼皿を同じ大きさのばい焼皿で空気が流入できるように覆い約500℃に予熱したマッフル炉に入

れ,徐々に昇温し,約650℃で10〜15分間保持する。 

c) マッフル炉からばい焼皿を取り出し,かくはん棒で静かにかき混ぜる。 

d) b)及びc)の操作を繰り返し,試料を酸化する。 

e) 放冷した後,磁器乳鉢に筆を用いて完全に移し入れ,試料を粉砕する。 

f) 

表3又は表4を参考に,金及び銀の含有量に応じ,けい酸を除く試薬をはかり採り,e)で得た試料と

光沢紙上で均一となるまで混合した後(5),全量を3号又は4号粘土るつぼに移し入れる。 

g) 7.4.1.1のc)の手順によって操作する。 

7.4.1.5 

湿乾併用法 湿乾併用法は,次のいずれかによる。ただし,金,銀含有量の低い鉱石及びテルル,

ビスマス,多量の銅などを含有し,7.4.1.1〜7.4.1.3の融解試料の調製方法が適用できない鉱石に適用する。 

a) A法 

1) 試料50g(4)をはかり採り,けい酸10gを加えて混合した後,ばい焼皿に移し入れ,薄い層として数

条の溝をつける。 

2) 7.4.1.4のb)〜e)の手順に従って操作する。 

3) 試料の全量を1 000mlのトールビーカーに移し入れ,硫酸 (1+9) 300mlを加え,加熱して分解する。 

4) 硫酸ヒドラジニウム (2+) 溶液 [7.2 o)] 10mlを加え,加熱して,約10分間煮沸した後,ろ紙 (No.131) 

2枚を用いてろ過する。ろ液は1 000mlトールビーカーに受け,沈殿は数回水で洗浄した後,ろ紙

とともに保存する。 

5) ろ液及び洗浄液に水を加えて約500mlとした後,臭化カリウム溶液 [7.2 i)] 5〜10mlを加えて,混合

し,銀を沈殿させる。 

6) 酢酸鉛溶液 [7.2m)] 10mlを加え,混合し,一夜間放置した後,ろ紙 (No.131) 2枚を用いてろ過する。

沈殿は水を用いて数回洗浄した後,ろ紙とともに保存する。 

7) 4)及び6)で保存したろ紙及び沈殿を3号又は4号粘土るつぼに入れて乾燥した後,低温でろ紙を徐々

に炭化する。 

8) 表11を参考に,試薬をはかり採り,この粘土るつぼに移し入れ,よく混合する。 

9) 7.4.1.1のc)の手順によって操作する。 

b) B法 

1) 試料30g(4)をはかり採り,1 000mlのトールビーカーに移し入れ,硫酸 (2+1) 90mlを加え,強熱し

background image

M 8111 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

て分解する。乾固近くまで加熱して,硫酸を除去する。 

2) 放冷した後,温水300mlを徐々に加え,可溶性塩類を溶解する。 

3) a)A法の4)〜9)に従って操作する。 

表11 試料及び試薬のはかり採り量の例 (9) 

試料及び試薬 

試料のるつぼ融解の場合 

補正のるつぼ融解の場合 

試料 

a)7)のろ紙及び沈殿 

スラグ,キューペルの全量 

ソーダ灰 

45g 

45g 

酸化鉛 (II) 

35g 

30g 

ほう砂ガラス 

15g 

20g 

けい酸 

8g(又はガラス粉末16g) 

12g 

小麦粉 

3g 

3g 

7.4.2 

試料の融解 試料の融解は,次の手順によって行う。 

a) 900℃に予熱した融解炉中に粘土るつぼを入れ,900℃で約10分間融解する。 

b) 炉の温度を約1 000℃まで徐々に昇温し,少なくともこの温度で10分間保持し,完全に融解する(8),

(9),(10)。 

注(8) 急激な融解反応による内容物の機械的損失が起こるおそれがある場合は,約600℃に予熱した融

解炉中に粘土るつぼを入れ,約900℃まで徐々に昇温してもよい。 

(9) 融解試料の調製において鉄くぎ法を用いた場合は,約1 100℃まで昇温し,完全に融解する。 

(10) 全融解時間は,使用する融解炉の特性によって異なるが,40分を超過しないことが望ましい。 

7.4.3 

鉛ボタンの分離 鉛ボタンの分離は,次の手順によって行う。 

a) 融解が終了したら粘土るつぼを融解炉からるつぼはさみを用いて取り出し,粘土るつぼを数回緩やか

に回して,内容物を混合した後,粘土るつぼの底部を2,3回鉄板などに打ち当て,粘土るつぼの周壁

に付着した鉛粒を沈降させる(11),(12)。 

b) 予熱したモールドに粘土るつぼの内容物を静かに流し込む。放冷後,融成物をモールドから取り出し,

軽くハンマでたたいてスラグと鉛ボタンを分離する。スラグ及び粘土るつぼは保存する。 

c) 鉛ボタンをピンセットなどでつかみ,ハンマでたたいて鉛ボタンの表面に付着しているスラグをでき

るだけ完全に除去しながら立方体に成形する。 

d) 鉛ボタンの質量を,上皿はかりを用いて0.1gのけたまではかる(13)。 

注(11) 7.4.1.3の鉄くぎ法を用いた場合は,融解炉から粘土るつぼを取り出した直後に,ピンセットな

どを用いて鉄くぎをスラグ中で洗い,付着した鉛粒を除いた後,抜き取る。 

(12) スラグの流動性が悪い場合は,調合操作においてけい酸,ほう砂ガラスなどを増加し,改めて

7.4.1から操作する。 

(13) 鉛ボタンの量が30〜40gの範囲外の場合は,7.4.1で用いた小麦粉又は硝石の量を増減し,改め

て7.4.1から操作する。 

なお,小麦粉1gの増加は,鉛量約12gの増加,硝石1gの増加は鉛量約4gの減少に相当する。 

7.4.4 

灰吹及び金銀ビードのひょう量 灰吹及び金銀ビードのひょう量は,次の手順によって行う。 

a) キューペルを灰吹炉に入れ,約790℃で約20分間予熱する(14)。 

b) キューペルに手早く7.4.3で得られた鉛ボタンを置き,灰吹炉の戸を閉じる。 

c) 完全に融解した後,戸を少し開けて空気の流入を調整しながら約820℃で灰吹を行う(14),(15)。灰吹の

終点は,貴金属の輝いた表面の縞模様が消失したときとする。 

d) 灰吹炉の戸を閉じ,温度を徐々に降下させて約500℃としてから,キューペルを灰吹炉から取り出し

10 

M 8111 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(16),放冷する。 

e) 得られた金銀ビードをピンセットでつかんで取り出し,ハンマで軽くたたき薄片とした後,ブラシで

付着したキューペルの成分を完全に取り除く(17)。キューペルは保存する。 

f) 

金銀ビードをハンマでたたいて薄片とし,その質量を微量はかりを用いて0.001mgのけたまではかる。 

注(14) 最適温度は,灰吹炉の構造,キューペルの種類,品質などで異なる。酸化マグネシウム製のキ

ューペルを用いたときの最適灰吹温度は,骨灰製キューペルを用いたときよりも高い。 

(15) 高温で灰吹を行うと,銀の損失量が大きくなるおそれがある。また,低温ではビードが凝固し

て,灰吹が不完全になる場合がある。金だけを定量する場合は,約80%の鉛ボタンの融体が吸

収された後に,約890℃に炉温度を上げてもよい。 

(16) 金銀ビードが大きくスピット(花吹)を起こすおそれのある場合は,灰吹炉中での放冷時間を

長くするか,予熱したキューペルをかぶせて静かに取り出す。 

(17) 金銀ビードが灰白色又は黒みを呈するときは,セレン,テルル,ビスマス及び白金族などの有

無を調査し,セレン,テルル及びビスマスを含有する場合は7.4.1.5の湿乾併用法を適用して,

改めて7.4.1以降の操作を行う。また,白金族を含有する場合は,以降の操作を7.4.5.2の硝酸

分金法によって行う。 

7.4.5 

分金 分金は,次のいずれかの方法による(18),(19)。 

注(18) 白金族を含有する場合,又は金含有量が極めて少ない場合は7.4.5.2の硝酸分金法を用いる。 

(19) 注(4)を適用した場合,加銀しない試料から得られた金銀ビードは,7.4.5以下の操作は行わない。 

7.4.5.1 

硫酸分金法 

a) 7.4.4のf)で得た金銀ビードを,硫酸5〜20mlを入れた60mlの分金フラスコに移し入れ,5〜10分間

穏やかに煮沸して,銀を溶解する(20)。 

b) 放冷後,硫酸 (1+5) を用いて傾斜法によって数回洗浄し,更に温水を用いて傾斜法によって数回洗

浄して銀を完全に除去する(21)。 

c) 分金フラスコに水を満たし,磁器るつぼ (30ml) をかぶせ,分金フラスコを逆さまにして,金粒を磁

器るつぼ中に沈降させる。 

d) 分金フラスコを取り外した後,磁器るつぼ中の水を傾斜法によってすてる。 

e) 磁器るつぼを加熱して,金粒を約100℃で乾燥させた後,磁器るつぼをマッフル炉に入れ,金粒を700

〜750℃で約5分間焼鈍する。 

f) 

マッフル炉から磁器るつぼを取り出し,放冷する。 

注(20) 金銀ビード中の銀の量が金の量の2.5倍以下の場合は,銀の溶解が不完全となる。この場合は,

試料に金の10倍量の銀を加えて,改めて7.4の全操作を行い金を定量する。銀は初めに得た金銀

ビードの質量から加銀して得た金の質量を差し引いて求める。 

(21) 分金液(硫酸及び洗浄液)中に鉛が含まれているおそれがある場合は,分金液を保存し7.4.6に

よって鉛を定量する。 

7.4.5.2 

硝酸分金法 

a) 7.4.4のf)で得た金銀ビード硝酸 (17+83) 10mlを入れた分金フラスコ又は試験管 (20〜30ml) に移し

入れ,ホットプレート上で穏やかに約20分間又は反応がなくなるまで加熱して銀を溶解する(20)。 

b) 放冷後,温水を用いて傾斜法によって数回洗浄して,銀を除去する。分金液(硝酸及び洗浄液)は保

存する。 

c) 7.4.5.1のc)〜f)の手順に従って操作する。 

11 

M 8111 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7.4.6 

分金液中の白金,パラジウム,ビスマス及び/又は鉛の定量 分金液中の白金,パラジウム,ビス

マス及び/又は鉛の定量は,次のいずれかの方法による(22)。 

注(22) 分金液中に含まれているおそれのない元素に関する操作は省略することができる。 

7.4.6.1 

原子吸光法 

a) 注(21)で保存した分金液又は7.4.5.2のb)で保存した分金液を加熱して乾固する。 

b) 王水(塩酸3,硝酸1)5mlを加え,加熱して溶解する。 

c) 冷却後,水を用いて50mlの全量フラスコに移し入れ,水で標線まで薄める(23)。 

d) 数個の50ml全量フラスコに,標準白金溶液 [7.2 y)] 0〜4ml(白金として0〜200mg),標準パラジウム

溶液 [7.2 x)] 0〜10ml(パラジウムとして0〜50μg),標準ビスマス溶液 [7.2 v)] 0〜5ml(ビスマスとし

て0〜100μg)及び標準鉛溶液 [7.2 w)] 0〜5ml(鉛として0〜50μg)を段階的にはかり取り,王水(塩

酸3,硝酸1)5mlを加え,水で標線まで薄め,検量線用溶液を調製する。 

e) c)及びd)で得た溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した,原子吸光光度計の空気・アセチレンフ

レーム中に噴霧し,波長265.9nm(白金),244.8nm(パラジウム),223.1nm(ビスマス)及び283.3nm

(鉛)における吸光度を測定する。 

f) 

検量線用溶液から得た吸光度と白金,パラジウム,ビスマス及び鉛量との関係線をそれぞれ作成し,

その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。 

g) 検量線から白金,パラジウム,ビスマス及び鉛量を求める。 

注(23) 塩化銀の沈殿が生じた場合,その上澄み液を測定溶液として用いることができる。 

7.4.6.2 

ICP発光分光法 

a) 7.4.6.1のa)〜d)の手順に従って操作する。 

b) 溶液の一部を,ICP発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長214.423nm(白金),340.458nm

(パラジウム),223.061nm(ビスマス)及び220.353nm(鉛)における発光強度を測定する。 

c) 検量線用溶液から得た発光強度と白金,パラジウム,ビスマス及び鉛量との関係線をそれぞれ作成し,

その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。 

d) 検量線から白金,パラジウム,ビスマス及び鉛量を求める。 

7.4.7 

金粒のひょう量 7.4.5で得た金粒の質量を微量はかりを用いて0.001mgのけたまではかる。 

7.4.8 

金粒中の白金,パラジウム及び銀の定量 金粒中の白金,パラジウム及び銀の定量は,次のいずれ

かの方法による(24)。 

注(24) 金粒中に含まれているおそれのない元素に関する操作は省略することができる。 

7.4.8.1 

原子吸光法 

a) 7.4.5で得た金粒をビーカー (100ml) に移し入れ,王水(塩酸3,硝酸1)10ml及び水約5mlを加え,

加熱して溶解する。 

b) 冷却後,水を用いて50mlの全量フラスコに移し入れ,水で標線まで薄める。 

c) 数個の50ml全量フラスコに,標準白金溶液 [7.2 y)] 0〜4ml(白金として0〜200μg)及び標準パラジ

ウム溶液 [7.2 x)] 0〜10ml(パラジウムとして0〜50μg)を段階的にはかり取り,王水(塩酸3,硝酸

1)5mlを加え,水で標線まで薄め,白金及びパラジウムの検量線用溶液を調製する。 

d) 数個の50ml全量フラスコに標準銀溶液 [7.2 z)] 0〜5ml(銀として0〜50μg)を段階的にはかり取り,

硝酸10mlを加え,水で標線まで薄め,銀の検量線用溶液を調製する。 

e) b)〜d)で得た溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した,原子吸光光度計の空気・アセチレンフレ

ーム中に噴霧し,波長265.9nm(白金),244.8nm(パラジウム)及び328.1nm(銀)における吸光度

12 

M 8111 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

を測定する。 

f) 

検量線用溶液から得た吸光度と白金,パラジウム及び銀量との関係線をそれぞれ作成し,その関係線

を原点を通るように平行移動して検量線とする。 

g) 検量線から白金,パラジウム及び銀量を求める。 

7.4.8.2 

ICP発光分光法 

a) 7.4.8.1のa)〜d)の手順に従って操作する。 

b) 得た溶液の一部を,ICP発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長214.423nm(白金),

340.458nm(パラジウム)及び328.068nm(銀)における発光強度を測定する。 

c) 検量線用溶液から得た発光強度と白金,パラジウム及び銀量との関係線をそれぞれ作成し,その関係

線を原点を通るように平行移動して検量線とする。 

d) 検量線から白金,パラジウム及び銀量を求める。 

7.4.9 

金及び銀の損失量の測定 金及び銀の損失量の測定は,次の手順によって行う。 

a) 7.4.3のb)及び7.4.4のe)で保存したスラグ及びキューペルを約250μm以下に粉砕する。 

b) 全量を7.4.3のb)で保存した粘土るつぼに移し入れ,7.4.1.1に準じて操作する。ただし,調合は,7.4.1

で適用した試料及び試薬のはかり採り量の例における,補正のるつぼ融解の場合を用いる。 

c) 7.4.2〜7.4.5及び7.4.7の手順に従って操作して得た金銀ビードと金の質量を求める。銀の質量は,金

銀ビードと金の質量の差から求める。 

7.4.10 計算 

a) 金含有率 試料の金含有率は,次の式によって算出する。 

m

m

m

m

3

2

1

Au

ここに, Au: 金含有率 (g/t) 
 

m1: 7.4.7で得た金の質量 (μg) (25) 

m2: 7.4.9で得た金の質量 (μg) 

m3: 7.4.8で得た白金,パラジウム及び銀の質量の合計 (μg) 

m: 試料はかり採り量 (g) 

注(25) 注(4)又は注(20)を用いた場合は,加銀した試料から得られた金の質量を用いる。 

b) 銀含有率 試料中の銀含有率を,次のいずれかの式によって算出する。 

1) 注(4)又は注(20)を適用しなかった場合 

m

m

m

m

m

m

)

(

)

(

Ag

2

6

5

1

4

ここに, Ag: 銀含有率 (g/t) 
 

m1: 7.4.7で得た金の質量 (μg) 

m2: 7.4.9で得た金の質量 (μg) 

m4: 7.4.4で得た金銀ビードの質量 (μg) 

m5: 7.4.6で得た白金,パラジウム,ビスマス及び/又は鉛の質

量の合計 (μg) 

m6: 7.4.9で得た金銀ビードの質量 (μg) 

m: 試料はかり採り量 (g) 

2) 注(4)又は注(20)を用いた場合 

m

m

m

m

m

m

)

(

)

(

Ag

2

6

5

1

4

ここに, Ag: 銀含有率 (g/t) 

13 

M 8111 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

m1: 加銀をした試料によって,7.4.7で得た金の質量 (μg) 

m2: 7.4.9で得た金の質量 (μg) 

m4: 加銀をしない試料によって,7.4.4で得た金銀ビードの質量 

(μg) 

m5: 7.4.6で得た白金,パラジウム,ビスマス及び/又は鉛の質

量の合計 (μg) 

m6: 7.4.9で得た金銀ビードの質量 (μg) 

m: 試料はかり採り量 (g) 

JIS M 8111(鉱石中の金及び銀の定量方法)原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

奥 谷 忠 夫 

日本大学理工学部 

揖 斐 敏 夫 

通商産業省資源エネルギー庁鉱業課 

天 野   徹 

工業技術院材料規格課 

末 冨   巧 

大蔵省造幣局東京支局試験課 

○ 中 村   靖 

株式会社ジャパンエナジー分析センター 

○ 永 井   巌 

住友金属鉱山株式会社中央研究所分析センター 

○ 丹 野 一 雄 

東邦亜鉛株式会社安中製錬所品質保証部 

○ 尾 上   喬 

同和鉱業株式会社中央研究所分析室 

○ 端   洋 志 

三井金属鉱業株式会社総合研究所分析技術研究室 

○ 佐 山 恭 正 

三菱マテリアル株式会社中央研究所分析・材料試験研究部 

因   幸二郎 

財団法人日本規格協会 

(事務局) 

稲 垣 勝 彦 

日本鉱業協会技術部 

(関係者) 

村 井 幸 男 

株式会社ジャパンエナジー分析センター 

塚 原 涼 一 

住友金属鉱山株式会社 

渡 辺 勝 明 

住友金属鉱山株式会社 

細 矢 一 仁 

同和鉱業株式会社 

岩 崎 守 彦 

三菱マテリアル株式会社 

備考 ○印が付けてある者は分科会委員を兼ねる。