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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

M 7606-1994 

鉱山用熱式風速計(携帯形) 

Thermal anemometer for mines-portable type 

1. 適用範囲 この規格は,鉱山などにおいて使用する携帯形の熱式風速計(以下,風速計という。)につ

いて規定する。 

備考1. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS C 0901 炭鉱用電気機器の防爆構造 

JIS Z 8703 試験場所の標準状態 

2. この規格の中で { } を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,

参考値である。 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。 

(1) 風速 空気の流れの単位時間当たりの直線的移動距離の大きさ。 

(2) 風洞装置 風速を校正するのに十分な性能をもつ送風設備。 

(3) れい(零)風速 風速が零のときの指示計器の指示値。 

(4) 応答 風速又は気流温度をある状態から他の状態へ瞬間的に変化させた場合,指示がその状態へ移行

する時間的変化のありさま。 

3. 性能 風速計の性能は,次の各項の条件を満足しなければならない。ただし,方向性をもつものにつ

いては,風向マークを風の流れの上流方向に向けて測定する。零風速調整機能のあるものは,その調整を

行った後に測定するものとする。 

(1) 指示精度 5.4(1)に規定する試験を行ったとき,指示精度は最大値の10%以内とすること。 

(2) 安定度 5.4(2)に規定する試験を行ったとき,指示精度は(1)に適合すること。 

(3) 傾斜性 5.4(3)に規定する試験を行ったとき,指示の移動は目盛の長さの2%以内とする。 

(4) 耐衝撃性 5.4(4)に規定する試験を行ったとき,指示精度は(1)に適合すること。 

(5) 温度変化による性能 5.4(5)に規定する試験を行ったとき,指示精度は(1)に適合すること。 

(6) 応答性 5.4(6)に規定する試験を行ったとき,応答時間(90%応答)は次の条件を満足すること。 

(a) 5.4(6)(a)に規定する試験を行ったときの応答時間は,10秒以内とする。 

(b) 5.4(6)(b)に規定する試験を行ったときの応答時間は,60秒以内とする。 

(7) 可燃性ガス濃度変化による性能 5.4(7)に規定する試験を行ったとき,指示精度は可燃性ガス濃度0%

のときの指示値に対して,最大指示値の±1%とする。 

4. 構造 

M 7606-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.1 

一般構造 風速計は,検出部と計器本体からなり,検出素子としては,抵抗体又は熱電対などの熱

によって電気的特性の変わるものを用い,この素子を直接又は間接的に加熱して気流中に置いたとき,気

流による冷却作用で生じるその変化を電気的に検出して,風速を測る構造とする。 

また,風速計は,電源として電池(充電式電池を含む。)を用いるものを原則とし,次の条件を満足しな

ければならない。 

(1) 風速計は,できるだけ軽量・小形・携帯に便利で,取扱い及び整備が容易であること。 

(2) 各部の構造は,十分な強度及び耐久力をもつこと。 

(3) 各部は,その目的に応じて円滑,かつ,正確に作動し,容易に狂いが生じないこと。 

4.2 

各部の構造 

4.2.1 

検出部 風速計の検出部は,次の各項の条件を満足しなければならない。 

(1) 形状は,なるべく小形であって,片手で操作できるような軽量のものであること。 

(2) 任意の場所の測定に便利な長さをもつコードによって,計器本体と連結されていること。直結式のも

のにあっては,本体の形状が風速の測定に影響を与えないような方法で結合されていること。 

(3) 検出部は容易に破損しない構造又は検出素子を保護するのに十分な構造の覆いをもつこと。 

(4) 規定電流調整及び零風速調整を必要とするものにあっては,検出素子に風が当たらないような構造又

はキャップを備えること。 

(5) 検出素子は経年変化しにくい材料を用いること。 

(6) 方向性のあるものは,風向マークを付けること。 

4.2.2 

計器本体 計器本体は,次の条件を満足しなければならない。 

(1) 計器本体は,原則として指示計器及び電源を収蔵したものであること。 

(2) 指示計器は,運動敏活,制動作用良好で零位を容易に調整できること。 

(3) 電源は,原則として電池(充電式電池を含む。)とし,連続5時間以上使用できること。 

(4) 測風操作において,規定電流調整と零風速調整を必要とするものにあっては,確実,かつ,円滑に操

作ができること。 

(5) 表面処理は,仕上げが良好で,容易に色あせ又ははく(剥)離することがなく,金属材料は耐食性材

料を用いるか,十分なさび止め処理をしてあること。 

4.2.3 

防爆構造 風速計は,可燃性ガス又は炭じんの爆発のおそれがある坑内において使用する場合は,

JIS C 0901に規定する本質安全防爆構造でなければならない。 

5. 試験 

5.1 

試験条件 試験は,JIS Z 8703に規定する20℃5級の温度及び常温で行う。 

5.2 

風洞装置 試験は,試験時間内において試験箇所の風速分布が測定範囲内において±1%,温度分布

が±0.5℃で,かつ,風速の変動が±0.5%,温度の変動が±0.5℃で,その温度を少なくとも風速計の使用

温度範囲の80%以上変化させることができ,供試体の影響を受けない風洞装置を用いる。 

5.3 

風速の基準値 標準ピトー管と,最小指示値が980mPa {0.1mmH2O} 以下で測定に十分な性能の差

圧計を用いて求めた値とする。ただし,風速5m/s以下の差圧計では測定困難な低風速範囲では,相関法又

はこれと同等以上の精度がある方法によって求めた値とする。 

5.4 

試験方法 

(1) 指示精度試験 風速計検出部を,20±5℃の温度及び使用温度範囲の20%以下と,80%以上の気流の温

度で,最大指示値内の4点以上(アナログ式指示計の場合には,目盛範囲中の最大値と最小値を含む

M 7606-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4点以上)の風速にさらして,風速の基準値と比較し,その指示精度を調べる。 

(2) 安定度試験 電源を入れて1時間後に風洞の中で,指示範囲内の1点の風速にさらし,作動状態のま

まに放置して2時間後,(1)の試験を行い,その指示値の安定度を調べる。 

(3) 傾斜試験 風速計を作動状態で一定の風速にさらし,計器本体を15度傾斜させて指示値の変化を調べ

る。ただし,この試験は,アナログ式指示計をもつものにのみ適用する。 

(4) 衝撃試験 コンクリート床上に厚さ約30mmの杉板又は松板を置き,作動状態の風速計を高さ100mm

から指示計及び検出部のある面を除く各方向から落下させた後,(1)の試験を行い,その指示値の変化

を調べる。 

(5) 温度試験 風速計の指示風速の校正を行った後,計器本体の置かれた雰囲気の温度をJIS Z 8703で定

める常温 (5〜35℃) の範囲内で変えて,(1)の試験を行い,その指示値の変化を調べる。 

(6) 応答試験 風速計の指示風速及び温度の校正を行った後,次の各号によって応答時間(90%応答)を

調べる。 

(a) 気流の温度を一定とし,風速を急に変えたときの応答時間を調べる。 

(b) 風速を一定とし,気流の温度を急に変えたときの応答時間を調べる。 

(7) 可燃性ガス試験 風速計の指示精度を20±5℃の気流温度で校正した後,同一温度条件で風洞内にメ

タンを注入し,メタン濃度1%のときの指示値の変化を調べる。 

6. 検査 

6.1 

形式検査 風速計は,新しく設計・改造又は製造技術条件が変更されたときは,次の形式検査を行

い合否を決定しなければならない。 

(1) 試料の採り方及び大きさ 形式検査に供する試料は,最初の製造ロットからランダムに1台以上を抜

き取ること。 

(2) 検査項目 形式検査を行う項目は,次の各号による。 

(a) 構造(一般構造及び防爆構造) 

(b) 指示精度 

(c) 安定度 

(d) 傾斜の変化による性能 

(e) 耐衝撃性 

(f) 温度変化による性能 

(g) 応答性 

(h) 可燃性ガス濃度変化による性能 

(3) 合否の判定 5.によって試験を行い,3.及び4.の規定に合格しなければならない。 

6.2 

製品検査 風速計は各製品ごとに5.の試験を行い,3.の規定に合格しなければならないが,5.4(1)の

試験以外については,形式検査を代表値としてもよい。 

7. 表示 風速計には適当な箇所に,次の事項を表示した銘板を取り付けなければならない。 

(1) 名称 

(2) 防爆構造の種類 

(3) 製造年月又はその略号 

(4) 製造業者名又はその略号 

M 7606-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

8. 取扱い上の注意事項 風速計には,次の事項について記載した取扱説明書を添付しなければならない。 

(1) 風速の測定範囲と精度(校正表) 

(2) 温度補償範囲 

(3) 計器の取扱い方法 

(4) 誤差の要因となる環境条件及び取扱い方法 

(5) 故障のときの連絡先 

(6) 定期的に再試験を行うことが必要である旨の注意 

JIS M 7606[鉱山用熱式風速計(携帯型)]原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

房 村 信 雄 

早稲田大学 

揖 斐 敏 夫 

通商産業省立地公害局 

波田野 純 一 

通商産業省立地公害局 

○ 服 部 幹 雄 

工業技術院標準部 

井 清 武 弘 

資源環境技術総合研究所 

酒 井 高 明 

財団法人石炭技術研究所 

苫米地 富 治 

日本石炭協会 

涌 井 直 正 

鉱業労働災害防止協会 

木 下   弘 

日本鉱業協会 

宮 地 安 雄 

三井金属鉱業株式会社 

浦 田 吉 和 

太平洋炭鉱株式会社 

○ 阿 部 帥 男 

柴田科学器械工業株式会社 

○ 佐 藤 行 成 

日本科学工業株式会社 

○ 百 瀬   孝 

株式会社三工社 

○ 三 上 圭 二 

社団法人日本保安用品協会 

備考 ○印を付けた委員は,小委員を兼ねる。