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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

M 1001-1994 

鉱量計算基準 

Rules for estimation of ore reserves 

1. 適用範囲 この規格は,石炭,石油,天然ガス及び石灰石以外の鉱床の鉱量計算について規定する。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS M 1003 石灰石鉱量計算基準 

JIS M 8100 粉塊混合物−サンプリング方法通則 

JIS M 8101 非鉄金属鉱石のサンプリング,試料調製及び水分決定方法 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。 

(1) 鉱量 鉱量は,埋蔵鉱量及び可採粗鉱量で表し,その定義は次のとおりとする。 

(a) 埋蔵鉱量 地かく中に現存する鉱床の質量をいう。 

(b) 可採粗鉱量 現存する鉱床の採鉱によって出鉱すべき粗鉱の質量をいう。すなわち,埋蔵鉱量のう

ち採鉱し得る量に混入すべき ずり(1)の量を加えた出鉱予定量である。 

注(1) ずりとは,採鉱のさい鉱石に伴って混入される無価値な岩石(表1の品位以下の粘土状のものも

含む。)をいう。 

(2) 埋蔵鉱量及び可採粗鉱量 埋蔵鉱量及び可採粗鉱量は,それぞれこれを確定,推定及び予想の3種に

分け,それぞれの定義は,次のとおりとする。 

(a) 確定鉱量 “適当な鉱画”によって容積及び品位が確認された鉱量をいい,鉱床の性質又は開発の

状況によって,連続性が確実に認められる部分も,場合によって加えることができる。 

(b) 推定鉱量 “適当な鉱画”によって確定されてはいないが,探鉱の結果及び鉱床の性質によって,

容積及び品位が推定される部分の鉱量をいう。 

(c) 予想鉱量 確定鉱量及び推定鉱量としては計上できないが,地質鉱床的に容積及び品位が予想され

る部分の鉱量をいう。 

(3) ウラン鉱床 ウラン鉱床は,2.(2)の規定によるもののほか,可能鉱量の区分を設けることができる。

可能鉱量の定義は,次のとおりとする。 

(a) 可能鉱量 予想鉱量としては計上できないが,地質条件などから鉱床の存在する可能性のある部分

の鉱量をいう。 

備考 (2)(a)及び(b)の“適当な鉱画”とは,例えば,鉱脈・キースラーガー・塊状鉱床の場合は,原

則として次の部分をいう。 

(1) 

鉱脈の場合には3側面以上で囲まれた部分。ここでいう3側面とは,通常上下二つのひ押坑道及

びこれを連絡する一つの坑井に現れた鉱床の断面又は一つのひ押坑道とこの坑道からの二つの掘

上り(下り)で囲まれた鉱床の断面をいい,坑道の間隔は鉛直に30m以内,坑井又は掘上り(下

り)の間隔は,原則として60m以内とする。ただし,45度以下の緩傾斜の鉱床の場合には,坑道

M 1001-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

の間隔は傾斜に沿い原則として30m以内とする。 

なお,3側面で囲まれた鉱画の中でも特に周囲の状況が著しく変化するときは,これを“適当な

鉱画”とみなさない。 

(2) 

キースラーガー(層状含銅硫化鉄鉱床)の場合は上下2断面で囲まれた部分。ここでいう上下2

断面で囲まれた部分とは,通常上下2水準のひ押及び立入坑道に現れた鉱床の断面をいい,坑道

の間隔は鉛直に原則として30m以内とする。ただし,鉱床の傾斜又は落としの方向が45度以下の

緩傾斜の場合には,坑道の間隔はそれぞれ傾斜又は落としに沿い原則として30m以内とする。 

(3) 

塊状鉱床の場合には,ほぼ平行な2断面で囲まれた部分。ここでいうほぼ平行な2断面とは,ほ

ぼ平行な二つの平面又は曲面上にある坑道,坑井,斜坑又は試すい孔に現れた鉱床断面をいい,

二つの平面又は曲面の間隔は,これらの面に現れた鉱床断面の直径よりは小さいことを必要とす

る。 

鉱床断面の直径とは,断面の最大直径と最小直径との算術平均の値とする。 

3. 鉱量の表示 

3.1 

鉱量を記載する場合には埋蔵鉱量と可採粗鉱量とを併記し,その各々について品位別の分類をする。 

3.2 

鉱量を品位によって分類する基準の鉱種は企業の主体となる鉱種とし,主要鉱種についての品位の

標準分類区分は,表1のとおりとする。同表に掲げない鉱種及び複雑鉱については,これに準じて分類す

る。 

3.3 

鉱量を記載する様式は,金・銀・銅・鉛・亜鉛・水銀・すず・ひ素・アンチモン・タングステン・

モリブデン・石綿・硫黄・硫化鉄・鉄・マンガン・クロム・りん(鱗)状黒鉛・土状黒鉛・ウランの鉱種

については表2を用い,石こう・重晶石・ほたる石・ドロマイト・ろう石・けい石・長石・滑石・耐火粘

土の鉱種については表3を用い,各鉱種ごとに確定・推定・予想の各鉱量別に作成する。ただし,ウラン

の場合は可能鉱量についても作成することができる。 

備考 ドロマイト及びけい石は,産状によってはJIS M 1003を適用する。 

(1) 品位及び含有量は,採取の目的となるすべての鉱種について記載する。 

(2) 品位の単位は,金及び銀はg/t,その他のものは質量%とする。ただし,耐火材料は耐火度(番

号)による。砂鉱床の試すい試料による場合には1m3当たりの金属質量を記載する。 

(3) 可採粗鉱量は,標準分類区分に従って品位別にこれを計算し,当該粗鉱量を出鉱すべき埋蔵

鉱量を左欄同一行に記載する。 

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M 1001-1994  

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表1 品位の標準分類区分 

鉱種 

単位 

品位 

金 

Au 

g/t 

2.0〜2.9 

3.0〜4.9 

5.0〜7.9 

8.0〜11.9 12.0〜19.9 20.0以上 

− 

− 

銀 

Ag 

g/t 

100〜149 

150〜249 

250〜399 

400〜599 

600〜999 1 000以上 

− 

− 

銅 

Cu 

0.30〜0.39 0.40〜0.59 0.60〜0.79 0.80〜0.99 1.00〜1.29 1.30〜1.79 1.80〜2.39 2.40以上 

鉛+亜鉛 

Pb+Zn 

2.0〜2.9 

3.0〜3.9 

4.0〜5.9 

6.0〜7.9 

8.0〜9.9 

10.0以上 

− 

− 

水銀 

Hg 

0.10〜0.17 0.18〜0.31 0.32〜0.55 0.56〜0.99 1.00〜1.99 1.80〜3.19 3.20以上 

− 

硫黄 

10〜14 

15〜19 

20〜24 

25〜29 

30〜34 

35〜39 

40以上 

− 

硫化鉄 

10〜14 

15〜19 

20〜24 

25〜29 

30〜34 

35〜39 

40以上 

− 

すず 

Sn 

0.20〜0.29 0.30〜0.39 0.40〜0.49 0.50〜0.59 0.60〜0.79 0.80〜1.09 1.10〜1.39 1.40以上 

鉄 

Fe 

5〜9.9 

10〜19.9 

20〜29.9 

30〜39.9 

40〜49.9 

50以上 

− 

− 

マンガン 

Mn 

10〜19 

20〜29 

30〜34 

35〜39 

40以上 

− 

− 

− 

MnO2 

20〜29 

30〜39 

40〜49 

50〜59 

60〜69 

70〜79 

80〜89 

90以上 

チタン 

TiO2 

1.0〜4.9 

5.0〜9.9 

10.0〜14.9 15.0〜19.9 20.0〜24.9 25.0以上 

− 

− 

ひ素 

As 

3.0〜4.9 

5.0〜9.9 

10.0以上 

− 

− 

− 

− 

− 

アンチモン 

Sb 

1.0〜9.9 

10.0〜19.9 20.0〜29.9 30.0〜39.9 40.0以上 

− 

− 

− 

クロム鉄 

Cr2O3 

5.0〜19.9 20.0〜29.9 30.0〜39.9 40.0〜49.9 50.0以上 

− 

− 

− 

タングステン 

WO3 

0.10〜0.29 0.30〜0.49 0.50〜0.99 1.00〜1.99 2.00以上 

− 

− 

− 

モリブデン 

MoS2 

0.20〜0.49 0.50〜0.99 1.00〜1.49 1.50〜1.99 2.00以上 

− 

− 

− 

りん状黒鉛 

固定炭素 % 

1〜4 

5〜9 

10〜14 

15〜19 

20以上 

− 

− 

− 

土状黒鉛 

固定炭素 % 

25〜29 

30〜39 

40以上 

− 

− 

− 

− 

− 

ウラン 

U3O8 

0.01〜0.04 0.05〜0.09 0.10〜0.14 0.15〜0.19 0.20〜0.29 0.30〜0.39 0.40〜0.49 

0.5以上 

石こう 

SO3 

20〜24 

25〜29 

30〜34 

35〜39 

40以上 

− 

− 

− 

重晶石 

BaSO4 

10〜49 

50〜69 

70〜84 

85以上 

− 

− 

− 

− 

ほたる石 

CaF2 

30〜49 

50〜59 

60〜69 

70以上 

− 

− 

− 

− 

石綿 

全繊維 % 

1.0〜1.9 

2.0〜2.9 

3.0〜3.9 

4.0〜4.9 

5.0以上 

− 

− 

− 

ドロマイト 

MgO 

15.0〜16.9 17.0〜18.9 19.0〜20.9 21.0以上 

− 

− 

− 

− 

ろう石 

耐火度 

(SK) 

番号 

28〜30 

31〜32 

33〜34 

35以上 

− 

− 

− 

− 


白けい石 

SiO2 

95.0〜97.9 98.0〜98.9 99.0〜99.4 99.5以上 

− 

− 

− 

− 

天然けい砂 

84.9以上 85.0〜90.9 91.0〜94.9 95.0以上 

− 

− 

− 

− 

炉材けい石 

耐火度 

(SK) 

番号 

30〜31 

32〜33 

34以上 

− 

− 

− 

− 

− 

石 長石アプライト Fe2O3 

1.0以上 

0.9〜0.5 

0.4〜0.2 

0.2以下 

− 

− 

− 

− 

滑石 

− 

− 

− 

− 

− 

− 

− 

− 

− 

− 




土 

耐火粘土 

耐火度 

(SK) 

番号 

28〜30 

31〜32 

33〜34 

35以上 

− 

− 

− 

− 

ガイロメ粘土 

カオリン 

備考 鉱床の状況によって,更に高品位についての区分を作ってもよい。 

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M 1001-1994  

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表2 鉱量記載様式 

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表3 鉱量記載の様式 

M 1001-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4. 試料の採取 

4.1 

鉱量の計算に用いる試料の採取間隔は,原則として金銀鉱床では1m以下,その他の鉱床では2〜5m

とする。ただし,ドロマイト・ろう石・けい石・長石・滑石・耐火粘土は,鉱床の性質に変化のない限り

10〜30mとしても差し支えない。 

4.2 

試料の採取に当たっては表面を露出した新鮮な箇所で鉱床の全ぼうを表す線上に幅3〜10cm,深さ1

〜5cmのみぞを掘り,採取した全量をJIS M 8101又はJIS M 8100によって成分分析試料を調製する。 

なお,この線上における鉱床の状況に著しい変化が認められる場合には適当な区画に分けて試料を採取

する。 

4.3 

試すい試料は鉱床の断面を代表する岩しん(芯)又は繰り粉の得られたときに限り鉱量の計算に用

いることができる。ただし,塊状鉱床又は幅の広い鉱床で品位が比較的平均に分布している場合には,4.1

に規定した間隔で採取した浅孔試すいの試料を,みぞによる試料に代えてもよい。 

4.4 

砂鉱床の試すい,井戸掘り又はトレンチングの間隔は,鉱床延長に沿って30〜100m,これに直交す

る方向に10〜30mとする。ただし,湖成砂鉱床の場合には両方向ともに10〜30mとする。 

5. 品位及び比重の決定 

5.1 

鉱量の計算に用いる品位は,4.の規定によって採取された試料の化学分析によってこれを定める。た

だし,鉱物の分布がはなはだしく不規則で,粗鉱品位の計算値と実績値とが著しく異なる場合には,例外

として実績値を鉱量計算の品位として用いることができる。 

5.2 

ウラン鉱床については,5.1の規定によるもののほか,放射能検層による推定品位を鉱量計算の品位

として用いることができる。 

5.3 

鉱量の計算に用いる比重は,つとめて多くの試料について実測してこれを定める。十分に多くの測

定値から品位と比重との関係を示す曲線が作られた場合には,鉱床の状況に著しい変化のない限り,この

曲線によって比重を決定してもよい。 

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資源エネルギー部会 鉱量計算基準専門委員会 構成表(昭和53年4月1日改正のとき) 

氏名 

所属 

(委員会長) 

武 内 寿久禰 

東京大学工学部 

山 本 幸 助 

資源エネルギー庁原子力産業課 

福 原 元 一 

資源エネルギー庁長官官房鉱業課 

嶋 田 勝 弘 

通商産業省立地公害局鉱山課 

山 田 敬 一 

工業技術院地質調査所鉱床部 

帆 足 万 里 

工業技術院標準部 

長 井 俊 秀 

日本鉱業協会技術部 

浅 見 博 史 

動力炉・核燃料開発事業団資源部 

三 村 保 二 

全国クレー工業組合 

塚 原   登 

住友金属鉱山株式会社鉱山資源本部鉱山部 

中   東 策 

同和鉱業株式会社探査部 

周 藤 和 雄 

日本鉱業株式会社資源事業本部 

堀 田 敦 史 

三井金属鉱業株式会社エネルギー資源調査部 

佐 藤 憲 隆 

三菱金属株式会社資源事業部 

森 田   宏 

日鉄鉱業株式会社 

東 郷 文 雄 

海外ウラン資源開発株式会社技術部 

横 田 昭 男 

海外鉱物資源開発株式会社事業部 

(事務局) 

黒 河 亀千代 

工業技術院標準部材料規格課 

土 屋   隆 

工業技術院標準部材料規格課 

(事務局) 

中 林 賢 司 

工業技術院標準部材料規格課(平成6年7月1日改正のとき) 

小 嶋   誠 

工業技術院標準部材料規格課(平成6年7月1日改正のとき)