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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

M 0104-1984 

石炭利用技術用語 

Technical Terms Used in Coal Utilization 

1. 適用範囲 この規格は,産業の各分野における石炭の利用に関する用語について規定する。 

なお,参考のため対応外国語を示す。 

備考 この規格の中で { } を付けて示してある単位及び数値は,国際単位系 (SI) によるものであっ

て,参考として併記したものである。 

引用規格:39ページに示す。 

2. 分 類 石炭利用技術用語は,次のように分類する。 

(1) 石炭の分類 

(2) エネルギー原料 

(a) 燃焼一般 

(b) 燃焼装置 

(c) 集じん装置 

(d) 環境 

(3) 化学原料(固体) 

(a) 石炭の配合 

(b) 装入炭の事前処理 

(c) 乾留 

(d) 乾留製品(コークス) 

(e) 性状・試験 

(f) 賦活 

(g) 炭化 

(4) 化学原料(液体) 

(a) 乾留(コールタール) 

(b) 石炭液化 

(5) 化学原料(気体) 

(a) 乾留(ガス) 

(b) ガス化 

(c) ガス全般 

(6) 性質・試験方法 

(a) 石炭の物理化学的性質 

(b) 分析・試験方法 

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M 0104-1984  

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(c) サンプリング 

(d) 精度・正確さ 

(7) 石炭の生産・貯炭 

(a) 炭田開発 

(b) 選炭 

(c) 貯炭 

3. 石炭利用技術用語 主な用語について,次のように定める。 

備考 二つ以上の用語を並べた場合は,その順位に従って優先使用する。 

(1) 石炭の分類 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

1101 

石炭 

主に太古の植物が,生物化学的及び地球物理・化学
的反応によって,変質して生成した可燃性岩石状物
質。 
通常石炭化度がある範囲内に入ったもので,かつ工
業的に利用できるものをいう。 

備考1. JIS M 1002(炭量計算基準)では石炭化

度によって,褐炭,亜れき青炭,れき
青炭,無煙炭に分類している。 

coal(英), 
Kohle(独) 

2. 褐炭よりも石炭化度が低い泥炭,草炭

なども石炭という場合がある。 

3. 石炭をハードコールと同じ意味に使う

場合がある。 

1102 

石炭の分類方式 

種々の特性値・用途などによって石炭を分類する方
式。 

coal classification system(英), 
Klassifikationssystem für 

Kohle(独) 

備考 分類の目的によって,石炭化度のほか,

性状,品位,粒度,用途,地質時代区分
などが用いられるが,これらの分類方式
は国によっても種々異なり,一様ではな
い。 

1103 

褐炭,亜炭 

石炭化度による分類において、通常最も石炭化度の
低い石炭。 

brown coal and lignite(英), 
brown coal(英), 
lignite(英), 
Braunkohle(独) 

備考1. 褐炭の中で,特に石炭化度の低いもの

を亜炭ということがある。 

2. 国によって石炭化度による分類基準及

び呼称が異なる。JIS M 1002では無水
無鉱物質ベース発熱量が5 800kcal/kg 
{24 280kJ/kg} 以上,7 300kcal/kg {305 
60kj/kg} 未満の石炭を褐炭という。 

参 考1. ASTM D 388では含水無鉱物質ベース

発熱量が8 300Btu/1b {19 300kJ/kg} 未
満の石炭をligniteという。 

2. 国際分類では,褐炭・亜炭に相当する

石炭を,brown coal and ligniteと一括し
て表現する。 

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M 0104-1984  

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番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

1104 

亜れき青炭 

石炭化度による分類において,石炭化度が褐炭より
高く,れき青炭より低い石炭。 

subbituminous coal(英) 

備考 国によって石炭化度による分類基準及び

呼称が異なる。JIS M 1002では無水無鉱
物質ベース発熱量が7 300kcal/kg {30 
560kJ/kg} 以上,8 100kcal/kg {33 
910kJ/kg} 未満の石炭を亜れき青炭とい
う。 

参考 ASTM D 388では含水無鉱物質ベース発

熱量が8 300Btu/1b {19 300kJ/kg} 以上10 
500Btu/1b {24 420kJ/kg} 未満の石炭,及び
10 500Btu/1b {24 420kJ/kg} 以上11 
500Btu/1b {26 740kJ/kg} 未満で粘着性を
示さない石炭を亜れき青炭という。 

1105 

れき青炭 

石炭化度による分類において,石炭化度が亜れき青
炭よりは高く,無煙炭より低い石炭。 

bituminous coal(英) 

備考 国によって石炭化度による分類基準及び

呼称が異なる。JIS M 1002では無水無鉱
物質ベース発熱量が8100kcal/kg 
{33910kJ/kg} 以上で,燃料比が4.0未満の
石炭をれき青炭という。 

参考 ASTM D 388では含水無鉱物質ベース発

熱量が10500Btu/1b {24420kJ/kg} 以上
11500Btu/1b {26740kJ/kg} 未満で粘結性
を示す石炭,及び

11500Btu/1b 

{26740kJ/kg} 以上で無水無鉱物質ベース
揮発分が14%より大きい石炭をれき青炭
という。 

1106 

無煙炭 

石炭化度による分類において,最も石炭化度の高い
石炭。 

anthracite(英), 
Anthrazit(独) 

備考 国によって石炭化度による分類基準及び

呼称が異なる。JIS M 1002では燃料比4.0
以上の石炭を無煙炭という。 

参考 ASTM D 388では無水無鉱物質ベース揮

発分が14%以下の石炭をanthracitic coal
という。anthracitic coalはさらに無水無鉱
物質ベース揮発分によってmeta-anthracite
(2%以下),anthracite(2%より大,8%以
下),semianthracite(8%より大,14%以下)
の三つに区分される。 

1107 

ハードコール 

褐炭より石炭化度の高い石炭の総称。 

参考1. 国際分類では含水無鉱物質ベース発熱

量が5700kcal/kg {23860kJ/kg} 以上の石
炭をハードコールという。 

hard coal(英) 

2. 米国ではhard coalはanthraciteを指す。  

1108 

せん石 

炭層中の石炭が,火成岩の影響によって,短時間に
高度の熱変成を受けてできた可燃性岩石状物質。 

natural coke(英) 

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M 0104-1984  

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番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

1109 

原料炭 

石炭の用途による分類において,コークス製造の原
料として用いる石炭。 
コークス用炭ともいう。 

coal for coke making(英) 

備考 石炭の性状による分類において,単味で

乾留すると軟化溶融してコークスになる
石炭を原料炭 (coking coal ; Kokskohle) と
いうことがある。 

参考 石炭の用途による分類において,石炭化

学工業の原料として用いる石炭 (coal for 
chemical use) を指す場合がある。 

1110 

一般炭 

石炭の用途による分類において原料炭を除いた石
炭。主に発電(1)及びセメントの製造などの燃料とし
て用いる。 

− 

注(1) 特に発電のために用いる一般炭をスティ

ームコール (steam coal) という。 

備考 石炭の性状による分類において,軟化溶

融しない石炭を一般炭 (non-coking coal) 
ということがある。 

1111 

ガス化用炭 

石炭の用途による分類において,ガス化炉でガスを
製造するために用いる石炭。 

coal for gas making(英) 

備考 都市ガスなどを製造するために用いる高

揮発分の石炭をガス用炭 (gas coal) とい
うことがある。 

1112 

粘結炭 

石炭の性状による分類において,粘結性を示す石炭。 caking coal(英) 

1113 

微粘結炭 

石炭の性状による分類において,わずかに粘結性を
示す石炭。 

slightly caking coal(英) 

1114 

非粘結炭 

石炭の性状による分類において,粘結性を示さない
石炭。 

non-caking coal(英) 

1115 

輝炭 

石炭を肉眼ないし拡大鏡で観察したときに,識別で
きる輝きの強い部分。 

bright coal(英), 
Glanzkohle(独) 

1116 

暗炭 

石炭を肉眼ないし拡大鏡で観察したときに,識別で
きる輝きの鈍い部分。 

dull coal(英) 
Mattkohle(独) 

(2) エネルギー原料 

(a) 燃焼一般 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

2101 

練炭 

石炭,コークス,木炭などの粉末をピッチ,タール,
石灰などで練り合わせ,加圧成形した固体燃料。 
特に穴のない小形のものを豆炭という。 

briquette(英) 

2102 

COM 
(こむ) 

微粉砕した石炭と重油を均一に混合し,スラリー化
した燃料。石炭石油混合燃料ともいう。 

coal oil mixture(英) 

2103 

分解燃焼 

固体の燃焼過程で,熱分解した可燃性ガスが燃焼す
ること。 

decomposition combustion

(英) 

2104 

表面燃焼 

固体表面において酸化反応が起こることによって行
われる燃焼。 

surface combustion(英), 
Oberflächenverbrennung(独) 

2105 

完全燃焼 

燃料が可燃分を残さないで完全に燃焼しつくすこ
と。 

complete combustion(英) 

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番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

2106 

火格子燃焼 

固体燃料を火格子の上面にのせ,下方から空気を供
給して燃焼する方式。 

stoker firing(英), 
Rostfeuerung(独) 

2107 

微粉炭燃焼 

石炭を微粉砕し,バーナーにより燃焼する方式。 

pulverized coal firing(英), 
Kohlenstaubfeuerung(独) 

2108 

流動床燃焼, 
流動層燃焼 

石炭を流動床(2)中で燃焼する方式。 

fluidized bed combustion(英) 

注(2) 固体粒子充てん層の下から流体を流し,

固体粒子を吹き上げて浮遊けん濁の状態
に保った層。 

備考 流動床燃焼では,適当な大きさの石炭を

投入して燃焼を持続するが,その際空気
は流動化するのに十分で,かつ投入した
燃料の燃焼に必要な量を送り込む必要が
ある。常圧と加圧の場合がある。 

2109 

低NOx燃焼 
(ていのっくすね
んしょう) 

運転条件の変更や新しい燃焼手段によって,窒素酸
化物の生成を抑制する燃焼方式。 

low NOx firing combustion

(英) 

備考 運転条件の変更によるものには,低過剰

空気燃焼など,また新しい燃焼手段によ
るものには,低NOxバーナーの使用,二
段燃焼,排ガス循環燃焼などがある。 

2110 

混焼 

同一燃焼室内で2種類以上の燃料を同時に燃焼する
方式。 

multi fuel firing(英) 

2111 

理論空気量 

燃料の単位量を理論上完全に燃焼するために必要な
空気量。 

theoretical air(英), 
theoretische Luftmenge(独) 

2112 

過剰空気量 

実際の燃焼に使用した空気量と理論空気量との差。 

excess air(英) 

備考 理論空気量に対する過剰空気量の割合を

過剰空気率という。 

2113 

空気比 

理論空気量に対する実際の燃焼に使用した空気量の
割合。 

air ratio(英) 

2114 

一次空気 

燃料を燃焼させる空気のうち,最初に燃料に接触し
て燃焼反応にあずかる空気。 

primary air(英) 

備考 火格子上で石炭を燃焼させる場合は,火

格子の下から入る空気が一次空気であ
る。微粉炭や重油の燃焼では一次空気は
噴射用に使用される。通常は理論空気量
より少ない。 

一次空気以後に燃焼にあずかる空気を

二次空気 (secondary air) ,三次空気 
(tertiary air) などといい,燃料の燃焼状態
を良好にするために供給される。 

2115 

燃焼効率 

燃料が完全燃焼したときの発生熱量に対する実際に
燃焼したときの発生熱量の割合。 
通常百分率で表す。 

combustion efficiency(英) 

2116 

シンダ 

燃焼によって生成した粗粒灰。 

cinder(英) 

2117 

フライアッシュ 

燃焼によって生成した微粒灰。 

fly ash(英) 

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番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

2118 

クリンカ 

燃焼によって生成した灰が溶融して塊状となったも
の。 

clinker(英), 
Klinker(独) 

備考1. 石炭のガス化の場合は,ガス化炉底部

の温度を石炭灰の軟化点よりも高い条
件にしたとき,灰が凝集固化したもの
をいう。 

2. 一般には各種無機成分から成る焼き固

まった塊をいう。セメント製造では粘
土,石灰石などを焼成したとき生成す
る塊をいう。 

(b) 燃焼装置 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

2201 

ボイラ 

高温ガスの顕熱を水に伝え,蒸気を発生する装置。 

boiler(英) 

2202 

ボイラ効率 

ボイラへの供給熱量に対する,ボイラでの有効利用
熱量の割合。 
通常百分率で表す。 

boiler efficiency(英) 

2203 

スラッギング 

ボイラの火炉水壁部の高温燃焼ガス領域内にある伝
熱表面に,溶融状又は固形の石炭灰粒子が付着する
現象。 

slagging(英) 

備考 石炭のガス化では,灰をガス化炉から抜

き出す場合にガス化炉の底部の温度を,
灰の溶融温度以上にして灰を溶融,流動
化させること。 

2204 

ファウリング 

過熱器,再熱器などの,比較的低温の温度領域内に
ある伝熱表面に灰が付着する現象。 

fouling(英), 
Verunreinigung(独) 

2205 

高炉 

鉄鉱石(ペレット,焼結鉱を含む。),コークス,石
灰石などを上部から装入し,下部の羽口(吹込管)
から高温の空気など(3)を供給して,コークスによっ
て鉄鉱石を還元・溶解し,銑鉄を製造する円筒形の
立形炉。溶鉱炉ともいう。 

blast furnace(英), 
Hochofen(独) 

注(3) 羽口から空気のほかに,酸素,水蒸気,

液状燃料,粉炭などを供給することがあ
る。 

2206 

ロータリーキルン 

内部装入物を転動によって軸方向に移動させ,ガス
との熱交換によって加熱する,傾斜した回転円筒形
の装置。 

rotary kiln(英) 

備考 通常,100〜400℃程度で固体を乾燥させ

るものは,ロータリードライヤーと呼ん
で区別している。 

2207 

転炉 

支持軸のまわりを回転する構造で,上部から装入し
た溶銑などに,酸素を供給して鋼を製造する洋梨形
の炉。 

converter(英), 
Konverter(独) 

備考 主原料である溶銑の他に,鉄くず,生石

灰,ドロマイトなどが副原料として用い
られる。 

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番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

2208 

キュポラ 

銑鉄,鋼くず,コークスなどを上部から装入し,下
部から空気を吹き込んで,コークスの燃焼熱によっ
て銑鉄などを溶解し,鋳鉄を製造するための円筒形
の立形炉。 

cupola(英), 
Kupolofen(独) 

(c) 集じん装置 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

2301 

含じんガス 

固体・液体が微粒子の状態で浮遊しているガス。 

dirty gas(英) 

備考 JIS B 9909(集じん装置の仕様の表し方)

では処理ガスという。 

2302 

ダスト 

気体中に含まれる固体微粒子。 

dust(英), 

備考 通常1μm以上の大きさの粒子をいうが,

JIS B 9909では1μm以下の大きさの固体

粒子を含む。 

Staub(独) 

2303 

ミスト 

気体中に含まれる液体粒子。 

mist(英), 

備考 JIS B 9909では通常10μm以下の大きさの

液滴をいう。 

Nebel(独) 

2304 

集じん装置 

含じんガスからダスト・ミストなどを分離捕集する
装置。 

dust separator(英), 
dust collector(英), 
Staubabscheider(独), 
Entstauber(独) 

2305 

電気集じん装置 

コロナ放電を利用して,含じんガス中の微粒子に電
荷を与え,この帯電粒子を集じん電極に捕集する装
置。 

electrostatic precipitator(英) 

2306 

遠心力集じん装置 

円筒内回転流によって含じんガスに遠心力を与え
て,ガス中の微粒子を分離捕集する装置。 

centrifugal dust separator(英) 

備考 遠心力集じん装置の代表例として,サイ

クロン集じん装置がある。 

2307 

湿式集じん装置 

含じんガスを液体と接触させ,ガス中の微粒子を捕
集する装置。 

wet type dust separator(英) 

備考 JIS B 9909では洗浄集じん装置という。 

2308 

ろ過集じん装置 

含じんガスをろ材に通して,ガス中の微粒子を分離
捕集する装置。 

filter type dust separator(英) 

2309 

集じん率 

集じん装置で捕集したダスト・ミストの量の処理前
の量に対する百分率。 
集じん効率ともいう。 

collection efficiency(英), 
Entstaubungsgrad(独) 

備考 ダスト・ミストの量は,JIS B 0126[火力

発電用語(ボイラ及び附属装置)]では質
量法で表すが,JIS B 9909では個数法又は
汚染度法で表すこともある。 

(d) 環境 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

2401 

環境基準 

各種の汚染によって環境が悪化するのを防止するた
めに定められた,汚染の限度を与える基準。 

environmental quality standard

(英) 

備考 環境基準は公害対策基本法によって,大

気の汚染,水質の汚濁,土壌の汚染及び
騒音について定められている。 

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M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

2402 

排出基準 

環境基準を達成するために定められた,大気中への
汚染物質の排出限度を表す数値。 

emission standard(英) 

備考 排出基準は大気汚染防止法により,ばい

煙,特定物質及び自動車排ガスについて
定められている。 

2403 

排水基準 

環境基準を達成するために定められた,排水中の汚
染物質などの排出限度を表す数値。 

effluent standard(英) 

備考 排水基準は水質汚濁防止法によって定め

られている。 

2404 

総量規制 

環境基準を達成するために,一定の地域において排
出される汚染物質を総量で規制すること。 

regulation of total emission

(英) 

2405 

硫黄酸化物 

燃料などの中の硫黄が酸素と反応して生成する酸化
物。 
一般には二酸化硫黄 (SO2),三酸化硫黄 (SO3) など
を総称して硫黄酸化物 (SOx) という。 

sulfur oxides(英), 
Schwefeloxyd(独) 

2406 

窒素酸化物 

燃料の燃焼において,窒素が酸素と反応して生成す
る酸化物。 
一般には一酸化窒素 (NO),二酸化窒素 (NO2) など
を総称して窒素酸化物 (NOx) という。 

nitrogen oxides(英) 

備考 燃焼によって空気中の窒素と酸素とが反

応して生成するものをサーマルノックス 
(thermal NOx),燃料中の窒素化合物に起因
するものをフューエルノックス (fuel 
NOx) という。 

2407 

排煙脱硫 

燃焼排ガス中から硫黄酸化物を除去する操作。 
湿式と乾式の2方式がある。 

flue gas desulfurization(英) 

2408 

排煙脱硝 

燃焼排ガス中から窒素酸化物を除去する操作。 
湿式と乾式の2方式がある。 

flue gas denitrification(英) 

2409 

大気拡散 

煙突などから排出するばい煙などが,時間の経過に
伴って大気中に広がり希薄になっていく現象。 

atmospheric diffusion(英) 

(3) 化学原料(固体) 

(a) 石炭の配合 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

3101 

石炭の配合 

2種類以上の石炭(4)を,必要な品質のコークスが得
られるような割合で混合すること。 

coal blending(英) 

注(4) 石油コークス,粉コークス,粘結材など

の添加物を含む。 

3102 

相性 
(あいしよう) 

コークスを製造する際の,配合する石炭間の性質の
適合性。 

compatibility(英) 

備考 相性の良否は,配合する各石炭のギーセ

ラー流動度曲線の重なり具合,生成コー
クスの強度の実測値と加成値との比較な
どによって判定する。 

3103 

単味炭 

単一銘柄の石炭 

single coal(英), 
Einzelkohle(独) 

3104 

配合炭 

コークス製造のために,2種類以上の石炭(4)を混合
したもの。 

coal blend(英) 

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M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

3105 

装入炭 

コークス炉に装入するために事前処理を行った配合
炭。 

coal charge(英), 
Einsatzkohle(独) 

備考 通常の装入炭では,粒度は3mmふるい目

下80〜90%,水分は8〜9%のことが多い。 

3106 

粘結材 

コークス製造の際に,配合炭の粘結性を補うために
添加するれき青質物質。 

caking additive(英) 

備考1. 粘結材には,タールピッチ,石油系ピ

ッチ,溶剤精製炭などがある。 

2. 粘結材は,成形炭,練炭,電極などの

製造に用いる結合材 (binder ; 
Bindemittel) を指す場合もあるが,混乱
を避けるため上記の定義に従うことが
望ましい。 

3107 

成形炭 

石炭粉を一定の形状に成形したもの。 
成形炭配合・成形コークス製造などに用いられる。 

coal briquette(英), 
formed coal(英) 

備考 成形炭の製造には,ピッチ,溶剤脱れき

アスファルトなどの結合材を用いて比較
的低温で成形する方法と,石炭自身の粘
着性を利用し比較的高温で成形する方法
の2種類の方法が用いられる。 

3108 

コールタールピッ
チ,タールピッチ 

タールを蒸留したときの残留物。 
軟化点によって軟ピッチ,中ピッチ,硬ピッチの3
種類がある。 

coal tar pitch(英), 
Steinkohlenteerpech(独) 

備考 JIS K 2439(クレオソート油・加工ター

ル・タールピッチ)では,軟化点(環球
法)70〜85℃のものを中ピッチ,軟化点
85℃以上のものを硬ピッチと規定してい
る。 

3109 

アスファルト 

常温で固体又は半固体状の,黒色又は黒褐色の石油
系れき青質物質。 
天然に産するもの(天然アスファルトnative asphalt)
と,石油精製の際の残留物として得られるもの(石
油アスファルトpetroleum asphalt)とがある。 

asphalt(英), 
Asphalt(独) 

備考 石油アスファルトについては,JIS K 2207

(石油アスファルト)に品質を規定して
いる。 

3110 

溶剤脱れきアスフ
ァルト 

石油の蒸留残油から,溶剤抽出(5)によって可溶分を
分離除去したアスファルト。 

solvent deasphalting asphalt

(英) 

注(5) 溶剤としては,通常,プロパン,ブタン,

ぺンタンなどが用いられる。 

3111 

重質油 

石炭液化油,石油,サンドオイル,シェールオイル
などを処理したときに得られる,黒色又は黒褐色の
液体状,半固体状ないし固体状の高沸点の鉱物性油。 

heavy oil(英) 

3112 

チャー 

石炭を加熱した際に,軟化・溶融状態を経ないで生
成する炭素質物質。 

char(英) 

備考 石炭のガス化などの際に生成する炭素質

残さもチャーと呼ぶことがある。 

background image

10 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

3113 

石油コークス 

石油系重質油を炭化して得られる炭素質物質の総
称。 

petroleum coke(英), 
Petrolkoks(独) 

備考 炭化方法としては,ディレードコーキン

グ (delayed-coking) 方式,フルードコーキ
ング (fluid coking) 方式などがある。 

(b) 装入炭の事前処理 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

3201 

装入炭の事前処理 

コークス品質・コークス炉操業などの改善のため,
配合炭の一部又は全部に,配合前又は配合後に粒度
調整,成形,乾燥・予熱などの処理を行うこと。 

pretreatment of coal charges

(英), 

Kohlenvorbereitung(独) 

備考 ヤード払出し,粒度調整,配合などを含

めて狭義に選炭 (coal preparation) という
ことがある。 

3202 

粒度調整 

石炭を乾留又は他の事前処理に適するように粉砕・
ふるい分けをすること。 

size control(英) 

3203 

選択粉砕 

配合する石炭を,その組織成分又は他の性質に応じ
て粒度調整を行うこと。 

selective crushing(英), 
selektive Aufbereitung(独) 

備考 通常,不活性成分の多い石炭は,なるべ

く粒度を細かく粉砕し,活性成分の多い
石炭は,それよりも粗い粒度に過粉砕を
避けるように調整することが多い。 

3204 

乾燥炭装入 

配合炭の一部又は全部を乾燥(6)して装入すること。 

dry charging(英), 
Einsatz getrockneter Kohlen

(独) 

注(6) 通常,乾燥炭水分は,2〜5%のことが多い。 

3205 

予熱炭装入 

配合炭を乾燥,予熱(7)して装入すること。 

preheated coal charging(英), 
Einsatz vorerhitzter Kohlen

(独) 

注(7) 通常,予熱温度は,150〜250℃とするこ

とが多い。 

3206 

成形炭配合 

配合炭の一部(8)で成形炭をつくり,残りの配合炭と
混合して装入炭を調製すること。 

partial briquetting(英), 
Teilbrikettierung(独) 

注(8) 通常,約30%のことが多いが,更に多量の

場合もある。 

備考 成形炭をつくる配合炭と,残りの配合炭

とは配合割合が異なる場合がある。 

3207 

スタンプ装入 

配合炭を,コークス炉の炭化室相当の寸法にあらか
じめ機械的に突き固めて圧密化したのち,コークス
炉に装入すること。 

stamp charge(英), 
Stampfbetrieb(独) 

3208 

オイリング 

装入密度を増すか,又は発じんを抑制するために,
装入炭に油(重油又はタールなど)を添加すること。 

oil addition(英), 
ölzusatz(独) 

3209 

装入密度 

装入炭をコークス炉へ装入したときのかさ密度。 

charge density(英)

Schüttgewicht(独) 

(c) 乾留 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

3301 

乾留 

石炭を空気との接触を絶って加熱し,コークス又は
チャー,ガス,タールなどを得ること。 

carbonization(英), 
dry distillation(英), 
Verkokung(独), 
Trockendestillation(独) 

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11 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

3302 

高温乾留 

最終温度(9)が,通常800℃以上である乾留。 

high temperature 

carboniza-tion(英), 

Hochtemperaturverkokung

(独) 

注(9) 炭化室中央部の乾留終了時の温度を指

す。 

備考 900℃以上での乾留をいうこともある。 

3303 

低温乾留 

最終温度(9)が,通常800℃以下である乾留。 

low temperature carbonization

(英), 

Tieftemperaturverkokung(独) 

備考 700〜900℃での乾留を中温乾留 (medium 

temperature 

carbonization 

Mitteltemperaturverkokung) として区別す
る場合もある。 

3304 

コークス炉 

(1) 石炭を乾留してコークスを製造する設備。 

coke oven(英), 
Koksofen(独) 

(2) 副産物回収設備を備えた水平室炉式コークス製

造設備。 

備考 多数の炭化室 (chamber ; Ofenkammer) か

ら成る集団を炉団 (coke oven battery ; 
Koks-ofenbatterie, Ofengruppe) という。 

3305 

フリュー温度 

コークス炉の燃焼室(10)の温度。 
石炭の乾留温度の指標として用いる。 

flue temperature(英), 
Heizzugtemperatur(独) 

注(10) フリュー (flue) ともいう。 

3306 

乾留時間 

石炭の乾留に要する時間。 
次の2通りがある。 

coking time(英), 
Garungszeit(独) 

(1) 装入炭を装入してからコークスを排出するまで

に要した時間(火落時間+置時間) 

(2) 装入炭を装入してから乾留が終了したと見なさ

れる状態に到達するまでに要する時間(火落時
間) 

備考 乾留が終了したかどうかの判定は,コー

クス層の温度の上昇速度・ガスの発生速
度・生成ガスの組成の変化度合などを直
接又は間接的に測定して行う。 

3307 

稼動率 

コークス炉の操業度合を示す百分率。 
通常,次式で表す。 

100

/

)

(

(%)

11

×

炭化室数(本)

日)

(本

窯出し数

稼働率

working ratio(英) 

注(11) 窯出し数とは,炭化室からの1日当たりの

コークス排出回数。 

3308 

消火 

コークス炉から排出した赤熱コークスを輸送,処理
可能な温度以下になるまで冷却すること。 

quenching(英), 
Abschreckung(独) 

備考 消火には散水による湿式消火 (wet 

quenching ; Löschen) と,不活性ガスによ
る乾式消火 (dry quenching ; 
Kokstrockenkühlung) の2方法がある。 

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12 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(d) 乾留製品(コークス) 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

3401 

コークス 

石炭の高温乾留によって生成する団塊状の炭素質物
質。 

coke(英), 
Koks(独) 

備考1. 通常,高温乾留によるものを指す。こ

の場合,高温コークス (high temperature 
coke ; Hochtemperaturkoks) ともいう。 

2. 軟化溶融状態を終了してまだ数%以上

の揮発分が残っているコークスを半成
コークス (semicoke ; Halbkoks) とい
う。 

3402 

高炉用コークス,溶
鉱炉用コークス 

銑鉄を製造するために高炉で使用するコークス。 

blast furnace coke(英), 
Hochofenkoks(独) 

備考 通常,粒度は25〜100mmで,強度が大き

いものを用いる。 

3403 

鋳物用コークス 

銑鉄・鋼くずなどをキュポラで溶解するために用い
るコークス。 

foundry coke(英), 
Gießereikoks(独) 

備考 通常,粒度は60mm以上で,強度(落下

強度)が大きいものを用いる。 

3404 

カーバイド用コー
クス 

カーバイドの製造に用いるコークス。 

coke for calcium carbide 

making(英) 

備考 通常りん分が少ないコークスが用いられ

る。 

3405 

ガス化用コークス 

水性ガス又は発生炉ガスを製造するために用いるコ
ークス。 

coke for gas making(英) 

3406 

合金鉄用コークス 

合金鉄(フェロマンガン,フェロクロム,フェロシ
リコンなど)の製造に用いるコークス。 

coke for ferro-alloy making

(英) 

3407 

非鉄金属製錬用コ
ークス 

非鉄金属(銅,亜鉛,すず,ニッケル,アンチモン
など)の鉱石を加熱・還元するために用いるコーク
ス。 

coke for non-ferrous metal 

making(英) 

3408 

一般用コークス 

や金用,化学用以外の,主として燃料などの用途に
用いるコークス。 

coke for general use(英) 

3409 

成形コークス 

成形炭を,その形状を保つように乾留してつくった
コークス。 

formed coke(英), 
Formkoks(独) 

備考 

成形コークスは,高炉用,鋳物用,家
庭用などに用いられる。 

3410 

粉コークス 

コークスをふるい分けて塊をとったのちのコーク
ス。 
通常,10ないし25mm以下のものをいう。 

coke breeze(英), 
Koksgrus(独) 

(e) 性状・試験 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

3501 

プラストメータ 

石炭を加熱した場合の可塑性を測定する装置。 

plastometer(英), 
Plastometer(独) 

備考 JIS M 8801(石炭類の試験方法)では,ギ

ーセラープラストメータを規定してい
る。 

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13 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

3502 

流動度 

ギーセラープラストメータのかくはん棒の回転速度
を示す値。 
通常,DDPM (Dial Division per Minute) 単位で表す。 

fluidity(英), 
Fluidität(独) 

備考 石炭の特性値としては,最高流動度 

(maximum fluidity, MF) を用いる。慣用的
に,これを流動度という場合が多い。ま
た,DDPMの常用対数を使用することも
ある。 

3503 

ジラトメータ 

石炭を加熱した場合の体積変化量を測定する装置。 

dilatometer(英), 
Dilatometer(独) 

参考 JIS M 8801では,ISO 349(石炭のオージ

ベール・アルニュジラトメータテスト)
を基準にした装置を規定している。 

3504 

膨脹率 

ジラトメータを用いて温度−膨張・収縮曲線を求め
る場合,ピストンの零点から最高位置までの変位を
最初の試験片長に対する百分率で表した値。 

dilatation(英), 
Dilatation(独) 

備考 粘結炭の場合には,図のAのような曲線

になることが多い。aを収縮率,bを膨脹
率,a+bを全膨脹率という。 

図のBのようになる場合には,bに (−) 

の符号を付け,全膨脹率はa+ (−b) で表
す。 

図 

3505 

るつぼ膨脹指数 

石炭を,規定条件下で急速加熱した場合の自由膨脹
の度合を示す指数。 
通常,0から9まで,21ごとの段階の数字で示す。 

crucible swelling number(英), 
free swelling index(英), 
Blähzahl(独) 

備考 JIS M 8801では,ガス加熱法及び電気加

熱法を規定している。 

3506 

ロガ指数 

石炭が,規定条件下で標準無煙炭と一緒に急速加熱
した場合に,標準無煙炭を接着できる能力を加熱残
留物の強さで表した指数。 

Roga index(英), 
Backzahl nach Roga(独) 

参考 JIS M 8801ではISO 335(石炭の粘結力の

測定法)に準じた方法を規定している。 

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14 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

3507 

活性成分 

石炭を顕微鏡で観察して識別できる微細組織成分
(マセラル)のうち,空気との接触を断って加熱し
た場合,軟化・溶融する成分。 
通常,粘結炭のビトリニット,エクジニットがこれ
に相当する。 

reactives(英) 

備考1. 石炭によっては,イナーチニットの中

でもセミフジニットの一部は軟化・溶
融する。 

2. 粘結炭については,ビトリニットの反

射率を基準として活性成分を細区分
し,CBI (composition balance index) 及び
SI (strength index) を求めることがあ
る。これら両指数は,コークスを製造
する場合の強度推定に用いられる。 

3508 

不活性成分 

石炭を顕微鏡で観察して識別できる微細組織成分
(マセラル)のうち,空気との接触を断って加熱し
た場合,軟化・溶融しない成分。 
通常,イナーチニット及び鉱物質がこれに相当する。 

inerts(英) 

 
3509 

小型レトルト法 

試料を所定のレトルトに入れて規定の電気炉で乾留
し,生成コークスの強度を測定して,石炭のコーク
ス化性を求める方法。 

coking test using small retort

(英) 

備考 JIS M 8801に方法を規定している。 

3510 

かん焼法 

試料を所定の鉄板製缶へ入れてコークス炉又はこれ
に準じる炉で乾留し,生成コークスの強度を測定し
て,石炭のコークス化性を求める方法。 

box test(英), 
can test(英) 

備考 JIS M 8801に方法を規定している。 

3511 

膨脹圧 

石炭が乾留時,軟化溶融し,発生ガスによって膨脹
する際に,外部に対して示す圧力。 
通常,コークス炉炭化室内においては,炉壁に垂直
に働く分力を指す。押力ともいう。 

swelling pressure(英), 
Treibdruck(独) 

3512 

コークスの見掛比
重 

水を標準物質として表した,内部気孔を含めたコー
クスの比重。 
コークスの質量を,その見掛容積(12)と同じ容積の水
の質量で割って求める。 

apparent density of coke(英), 
Rohdichte von Koks(独) 

注(12) 見掛容積とは,塊コークスの内部気孔を

含んだ容積をいう。 

備考 JIS K 2151(コークス類の試験方法)では,

コークスの見掛容積の求め方のちがいに
基づいて,重量法,容量法,少量法の3
種類を規定している。 

3513 

コークスの真比重 

水を標準物質として表した,コークス基質の比重。 
コークスの質量を,その基質部分の容積と同じ容積
の水の質量で割って求める。 

true density of coke(英), 
Reindichte von Koks(独) 

備考 JIS K 2151では,250μm以下に粉砕した

試料について測定する。 

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15 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

3514 

コークスの気孔率 

コークスの見掛容積に対する気孔容積の割合。 

porosity of coke(英), 
Porosität von Koks(独) 

備考 JIS K 2151では,コークスの真比重及び見

掛比重の値から次式によって気孔率を求
める。 

気孔率 (%) =(1−見掛比重/真比重)×
100 

3515 

コークスの気孔壁 

コークスの気孔を形成している壁の部分。 
気孔壁の総量が,コークス基質の量に相当する。 

pore wall of coke(英), 
cell wall of coke(英), 
Zellwand von Koks(独) 

3516 

コークスの内部表
面積 

単位質量当たりのコークスの内部に含まれる微細気
孔の全表面積。 
通常,内部気孔へのガス吸着量,又は液体による湿
潤熱の測定などによって求める。石炭についても測
定される。 

internal surface area of coke

(英), 

innere Oberfläche von Koks

(独) 

3517 

コークスの光学的
異方性組織 

偏光顕微鏡によって識別できる,コークスの気孔壁
部分の組織。 

optical texture of coke(英) 

備考 光学的異方性を示す組織 (texture) は,モ

ザイク組織 (mosaic texture),繊維状組織 
(fibrous texture),葉片状組織 (leaflet 
texture) などに分けられる。また,異方性
を示さない組織は,一括して等方性組織 
(isotropic texture) という。 

3518 

コークスの反応性 

高温におけるコークスと,酸素・空気・水蒸気・二
酸化炭素などの酸化性ガスとの反応速度を示す指
数。 
通常,一定条件下における反応後ガスの組成変化,
又は試料コークスの質量変化を測定して求める。 

reactivity of coke(英), 
Reaktivität von Koks(独), 
Reaktionsfähigkeit von Koks

(独) 

備考1. 測定法は,JIS K 2151で規定している。  

2. 広義には,酸化性ガス共存時に,コー

クスがガス化する性質を総称して反応
性という。 

3. コークスと空気・酸素との反応の場合

を,特に燃焼性 (combustibility ; 
Ver-brennlichkeit) という。 

3519 

コークスのかさ密
度 

単位容積当たりのコークス粒子群の質量。 
コークスの質量を,そのかさ容積(13)で割って求め
る。 

bulk density of coke(英), 
Raumdichte von Koks(独) 

注(13) かさ容積とは,コークス粒子群を一定の

大きさの容器に詰めた場合のコークス粒
子間の空隙を含んだ容積をいう。 

備考1. JIS K 2151では,0.5m3の容器を用いて

測定する。 

2. 慣用的には,かさ比重ともいう。 

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16 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

3520 

コークスの回転強
度指数 

規定された円筒形回転体(ドラム)の回転に伴う落
下衝撃,及び摩耗に対する塊コークスの強さを示す
指数。 

drum index of coke(英) 

備考1. 規定条件下でドラムを回転させたの

ち,コークスを規定のふるいでふるい
分け,その場合のふるい上又はふるい
下の収率を強度指数とする。 

2. 通常,ドラム強度,タンブラー強度,

マイカム強度などを総称して回転強度
指数という。 

3521 

コークスのドラム
強度指数 

JIS K 2151の6.2で規定している回転強度指数。 

JIS drum index of coke(英) 

備考1. 通常,ドラム強度指数は,15mm指数(30

回転,DI30

15・150回転,DI15015)を指す

場合が多い。 

2. 我が国では,主として高炉用コークス

の品質調査用に用いられている。 

3522 

コークスのタンブ
ラー強度指数 

JIS K 2151の6.3で規定している回転強度指数。 

備考 通常,タンブラー強度指数は,25mm指数 

(TI25),6mm指数 (TI6) として表す。 

tumbler index of coke(英) 

参考 この指数は元来ASTM D 294で規定され

たものである。 

3523 

コークスのマイカ
ム強度指数 

主としてヨーロッパ諸国(フランス,西ドイツ,英
国など)で規定されている回転強度指数。 

備考 通常,マイカム強度指数は,40mm指数 

(M40),10mm指数 (M10) として表す。 

micum index of coke(英),

Micum-Index von Koks(独) 

 
 

参考1.  各国の規格は,次のとおりである。フ

ランス,NF M 03-020(コークス強度の
試験) 
西ドイツ,DIN 51717(固体燃料の試

験:コークスの回転強度の測定) 

英国,BS 1016,Part13(コークスの特

殊試験)5,(マイカム指数) 

2. ISOでは,次の規格を規定している。 

ISO 556[コークス(粒度20mm以上)

−機械的強度の測定] 

3524 

コークスの落下強
度指数 

塊コークスの落下衝撃に対する強さを示す指数。 

shatter index of coke(英), 
Sturzfestigkeitskennzahl von 

Koks(独) 

備考1. JIS K 2151では,規定条件下でコークス

を落下させたのち規定のふるいでふる
い分け,その場合のふるい上収率を落
下強度指数とする。 

2. 通常,落下強度指数は,50mm指数 

(SI50),25mm指数 (SI25) として表す。 

3. 落下強度指数は,鋳物用コークスの品

質調査用に用いられている。 

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17 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

3525 

コークスの圧縮強
度 

圧縮応力に対するコークスの破壊強度。 

compression strength of coke

(英), 

Druckfestigkeit von Koks(独) 

備考 圧縮強度は,耐圧強度とも呼ばれ,単位

面積当たりの最大荷重で表す。 

3526 

コークスのマイク
ロストレングス 

コークス基質の強さを示す指数。 

microstrength of coke(英), 
Mikrofestigkeit von Koks(独) 

備考 我が国では,通常,ブライデン (H. E. 

Blayden) ら (1937) の考案した方法(1mm
のコークス粒と鋼球との衝突によるコー
クスの粒度変化を測定して求める)を用
いることが多い。 

3527 

コークスの高温強
度 

コークスを,所定の温度に加熱した状態で測定した
強度。 
この強度には,一般に回転強度,圧縮強度,落下強
度の3種類がある。 

high temperature strength of 

coke(英) 

3528 

コークスの反応後
強度 

コークスを,高温で酸化性ガス(CO2, H2Oなど)
と反応させたのち,室温で測定した強度。 
この強度には,通常,回転強度,圧縮強度の2種類
がある。 

post reaction strength of coke

(英), 

Koksfestigkeit durch 

Teilver-gasung(独) 

(f) 賦活 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

3601 

活性炭 

有機質原料を炭化・賦活して得られる,内部表面積
及び吸着能が大きい炭素質物質。 

activated carbon(英), 
active carbon(英), 
Aktivkohle(独) 

備考 内部表面積及び吸着能 (adsorbability ; Ad- 

sorptionsfähigkeit) の大きさは,例えば,
JIS K 1474(粒状活性炭試験方法)に規定
する方法によって測定できる。 

3602 

添着炭 

特定物質に対する吸着能を増すために,酸,塩基又
は金属塩類を含浸した活性炭。 

impregnated carbon(英), 
Imprägnierterkohle(独) 

3603 

水蒸気賦活 

活性炭を製造する際に,原料炭素に高温下で水蒸気
を反応させて,その吸着能を増すこと。 

steam-activation(英), 
Wasserdampfaktivierung(独) 

3604 

薬品賦活 

活性炭を製造するために,有機質原料に化学薬品を
添加し熱処理して吸着能を与えること。 
化学薬品としては,通常,塩化亜鉛を用いる。 

chemical activation(英), 
Chemikalienaktivierung(独) 

(g) 炭化 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

3701 

炭化 

有機物質を熱処理して炭素質物質に変換すること。 
炭素化ともいう。 

carbonization(英), 
Verkohlung(独) 

3702 

黒鉛 

六方晶系の,炭素同素体。 
石墨ともいう。 

graphite(英), 
black lead(英), 
Graphit(独), 
Reissblei(独) 

備考 黒鉛には,天然に産するもの[JIS M 8601

(天然黒鉛)]と,人工的に製造するもの
[JIS R 7221(高純度黒鉛素材)]とがあ
る。 

3703 

ピッチコークス 

タールピッチを炭化して得られるコークス。 

pitch coke(英), 
Pechkoks(独) 

備考 炭化方法としては,室炉方式とディレー

ドコーキング方式とがある。 

background image

18 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

3704 

ディレードコーク
ス 

ディレードコーキング方式で生成する石油コーク
ス。 
グリーンコークス (green coke) 又は生石油コークス 
(raw petroleum coke) ともいう。これを更に焼成した
ものをか焼石油コークス (calcined petroleum coke) 
という。 

petroleum coke made by 

delayed coking process(英) 

3705 

フルードコークス 

フルードコーキング方式で生成する石油コークス。 

petroleum coke made by fluid 

coking process(英) 

3706 

ニードルコークス 

針状結晶のよく発達した,黒鉛化性のよいか焼コー
クス。 
プレミアムコークス (premium coke) と呼ぶことも
ある。 

needle coke(英) 

3707 

炭素電極 

炭素製電極の総称。 
人造黒鉛電極(14),天然黒鉛電極,自焼成電極,炭素質
電極などがある。 

carbon electrode(英), 
Kohlenelektrode(独) 

注(14) JIS R 7201(人造黒鉛電極)に規定されて

いる。 

3708 

炭素繊維 

繊維状の有機質材料(15)を炭化して得られる繊維。 

carbon fiber(英), 
Kohlenfaser(独) 

注(15) 有機高分子化合物,ピッチなどがある。 

備考 炭素繊維を更に高温で熱処理して黒鉛化

したものを黒鉛繊維ということがある。 

3709 

炭素れんが 

天然黒鉛,人造黒鉛,コークス,無煙炭などのよう
な炭素質材料を主原料とし,これにタール,ピッチ
などの結合材を使用して製造したれんが(16)と,粘土
質原料に黒鉛を混合して製造したれんがの総称。 

carbon brick(英), 
Kohlenstoffziegel(独) 

注(16) JIS R 2001(耐火物用語)では,これをカ

ーボンブロックという。 

3710 

カーボンブラック 

気体又は液体の炭化水素を,不完全燃焼・熱分解し
て製造する黒色の炭素微粉末。 

carbon black(英),Russ(独) 

(4) 化学原料(液体) 

(a) 乾留(コールタール) 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

4101 

コールタール, 
タール 

石炭の乾留で生成する茶褐色又は黒色の粘ちょうな
液状物質。 

coal tar(英), 
Steinkohlenteer(独) 

備考 タールには低温タールと高温タールがあ

る。 

4102 

ガス軽油 

石炭ガス中から回収した軽油分。 

gas light oil(英), 
crude benzene(英), 
Rohbenzol(独) 

備考 ガス軽油は石炭ガス中に含まれるベンゼ

ン,トルエン,キシレン類を主成分とす
る軽油分を洗浄油によって吸収した後,
蒸留によって回収したもので,粗ベンゼ
ンともいう。 

4103 

低温タール 

石炭の低温乾留で生成するタール。 

low temperature tar(英), 
Schwelteer(独) 

備考 低温タールは芳香族性が低く,石炭酸類

が多い。 

background image

19 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

4104 

高温タール 

石炭の高温乾留で生成するタール。 

high temperature tar(英), 
Hochtemperaturteer(独) 

備考1. 高温タールはコールタールと呼ぶこと

が多い。 

2. 高温タールは高温で強い熱分解を受け

ているので芳香族性が高い。 

4105 

舗装タール 

道路舗装に使用するために加工したタール。 

road tar(英), 
Straßenteer(独) 

4106 

タール蒸留 

タールを加熱によって種々の沸点範囲の分留油とピ
ッチなどに分離する操作。 

tar distillation(英), 
Teerdestillation(独) 

4107 

タール成分 

タール中に含まれる成分で,タール酸,中性油,タ
ール塩基,ピッチなどの総称。 

coal tar fractions(英) 

4108 

タール軽油 

タールの蒸留において約170℃までに留出する油。 

tar light oil(英), 
Teerleichtöl(独) 

備考 タール軽油は対タール収率1〜2%程度

で,通常ガス軽油と一緒にしてベンゼン
類の製造原料とする。 

4109 

カルボル油 

タールの蒸留において170〜200℃で留出する油。 

carbolic oil(英), 
Karbolöl(独) 

備考 カルボル油はタール酸を多量に (34〜

45%) 含んでいる油で,石炭酸油ともい
う。 

4110 

ナフタリン油 

タールの蒸留において200〜250℃で留出する油。 

naphthalene oil(英), 
Naphthalinöl(独) 

備考 ナフタリン油はナフタリンの含有量が多

く,またキシレノール酸などの高沸点タ
ール酸や塩基も含んでいる。 

4111 

中油 

タールの蒸留において200〜270℃で留出する油。 

middle oil(英), 
Mittelöl(独) 

備考 中油はナフタリン油ということがある。 

4112 

洗浄油 

タールの蒸留において230〜280℃で留出する油。 

wash oil(英), 
absorbing oil(英), 
Waschöl(独) 

備考 洗浄油は石炭ガス中の軽油を回収すると

きに用いることが多い。吸収油ともいう。 

4113 

アントラセン油 

タールの蒸留において280℃以上で留出する油。 

anthracene oil(英), 
Anthrazenöl(独) 

備考 アントラセン油はタール蒸留で最終的に

留出する油分で,アントラセン,フェナ
ントレン,カルバゾールなどの多環芳香
族を主成分とし,常温で約25%の結晶分
を含む。 

4114 

クレオソート油 

タールの約200℃以上の留出油の混合物。 

creosote oil(英), 
Kreosotöl(独) 

備考 クレオソート油はアントラセン油から冷

却時に析出する結晶を分離した油分を主
原料とする。 

通常は各分留品から目的とする成分を

分離回収した残油を,ナフタリン,アン
トラセンなどが晶出しないように用途に
応じて調合し製造するが,タールの直留
分留品として得ることもある。 

4115 

ピッチ油 

ピッチを乾留してピッチコークスを製造する場合な
どに生成する油分。 

pitch oil(英) 

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20 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

4116 

タール酸 

タールの蒸留において留出した油分のうち,かせい
ソーダ溶液に溶ける成分。 

tar acids(英), 
Teersäuren(独) 

備考 タール酸はフェノール,クレゾール,キ

シレノールなどが主成分で,酸性油とも
いう。 

4117 

タール塩基 

タールの蒸留において留出した油分のうち,希硫酸
に溶ける成分。 

tar bases(英), 
Teerbasen(独) 

備考 タール塩基はピリジン,ピコリン,ルチ

ジン,キノリンなどが主成分で,塩基性
油ともいう。 

4118 

中性油 

タールの蒸留において留出した油分のうち,タール
酸とタール塩基を除去した成分。 

neutral oil(英), 
Neutralöl(独) 

4119 

BTX留分 
(びーてぃえっく
すりゅうぶん) 

ベンゼン,トルエン,キシレンの混合物を主成分と
する留出油分。 

BTX fraction(英) 

4120 

水添精製 

触媒を用いて高圧の水素を含むガスで水素付加・水
素化分解し,製品の品位をあげること。 

hydrogenation refining(英), 
Hydrierungraffination(独) 

4121 

精製ナフタリン 

凝固点が79.5℃,純度99.0%以上の精製したナフタ
リン。 

refined naphthalene(英), 
Reinnaphthalin(独) 

4122 

トルエン不溶分 

溶剤に分別した際にトルエンに溶けない成分。 

toluene insoluble(英) 

(b) 石炭液化 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

4201 

石炭液化 

石炭を直接又は間接に液状の低分子物質に変換する
こと。 

coal liquefaction(英), 
Kohlenverflüssigung(独) 

4202 

直接水添液化 

触媒を用いて石炭を高温高圧で水素化分解し,液化
すること。 

direct coal hydroliquefaction

(英) 

4203 

溶剤抽出水添液化 

石炭を,水素供与性のある溶剤と混合し,中程度の
圧力下で水素を加え液化すること。 

solvent extract hydrogenation

(英) 

4204 

間接液化 

石炭をガス化して得た,水素及び一酸化炭素を原料
として,液状の炭化水素を製造すること。 
合成液化ともいう。 

indirect liquefaction(英) 

4205 

乾留液化 

石炭を乾留して得たタールを水素化分解して軽質化
し液化すること。 

− 

4206 

軽度水添 

石炭を軽度(17)に水素化分解すること。 

shallow hydrogenation(英) 

注(17) 通常,水素消費量は,石炭に対し約2%で

ある。 

4207 

高度水添 

石炭を高度(18)に見ず素化分解すること。 

deep hydrogenation(英) 

注(18) 通常,水素消費量は,石炭に対し約4%以

上である。 

4208 

一次液化 

石炭を多段で液化する際の最初の固液分離までの過
程。 

first stage liquefaction(英) 

4209 

二次水添 

石炭の一次液化生成物を,触媒を用いて高温・高圧
下で水素化分解すること。 

second stage hydrogenation

(英) 

4210 

アップグレーディ
ング 

触媒を用いて水素化分解によって,液化油の軽質
化・脱硫・脱窒などを行って油の品位を向上する操
作。 

upgrading(英) 

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21 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

4211 

固液分離 

石炭液化生成油などの液状物と未反応石炭・灰分な
どの固形分とを分離すること。 

solid-liquid separation(英) 

備考 固液分離の方法としてはろ過,ハイドロ

クロン,遠心分離,蒸留,凝集沈殿,超
臨界抽出などがある。 

4212 

脱灰 
(だっかい), 
(だっぱい) 

石炭の液化物から灰分などを除去すること。 

備考 石炭の前処理としての脱灰操作もある

が,石炭液化の場合は液化物から固形物
を除去することをいう。 

deashing(英) 

4213 

逆溶剤 

石炭液化物に対する溶解力の小さい溶剤。 
主としてn−パラフィン類を主成分とする溶剤を用
いる。 

antisolvent(英), 
Antilösungsmittel(独) 

備考 石炭液化などにおける遠心分離,凝集沈

殿など固液分離の際,凝集・沈降促進剤
として使われる。 

4214 

解重合 

高分子重合体が単量体に分解すること。 
石炭の液化においては,熱分解によって低分子化し,
溶剤への可溶化が進行すること。 

depolymerization(英), 
Depolymerisation(独) 

4215 

石炭転化率 

石炭液化において,原料石炭の液化した割合。 
通常 

×

(%)

100

)

(19

石炭量(無水無灰)

不溶分量

液化生成中の溶

原料石炭量(無水)

で表す。 

liquefaction conversion(英) 

注(19) キノリン,ピリジン,テトラヒドロフラ

ン,トルエンなどを用いる。 

4216 

水素供与性 

溶剤の持っている水素を,遊離基(20)に与えやすさを
示す性質。 

hydrogen donating property

(英) 

注(20) 石炭の液化反応では,石炭の解重合で生

じる不安定な化合物。 

4217 

水素供与性溶剤 

遊離基(20)に水素を与えやすい溶剤。 
テトラリン,ジヒドロフェナントレンなどを含む溶
剤が用いられる。 

hydrogen donor solvent(英) 

4218 

活性水素 

化学反応性の大きい水素。 
石炭の液化においては水添反応に寄与する水素をい
う。 

active hydrogen(英), 
aktivierter Wasserstoff(独) 

4219 

石炭液化触媒 

石炭の液化反応の速度を促進するために用いる触
媒。 

catalyst for coal liquefaction

(英) 

備考 

特に,安価で回収を必要とせず,灰分
とともに廃棄される触媒を使い捨て触
媒 (disposal catalyst) という。 

4220 

石炭灰分触媒効果 
[せきたんはい(か
い)ぶんしょくばい
こうか] 

石炭液化反応に対する石炭中の無機物質の触媒効
果。 

備考 一般に,硫化鉄などの効果が大きいとい

われている。 

catalytic effect of coal ash(英) 

4221 

スラリー 

固体と液体を機械的に混合し,流体化したもの。 

備考 石炭液化では,微粉砕した石炭と溶剤と

の混合物である。 

slurry(英), 
Tochschlamm(独) 

background image

22 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

4222 

溶剤石炭比 

石炭液化に用いる原料スラリー中の溶剤と石炭の質
量比。 
通常1〜3の範囲にある。 

solvent to coal ratio(英) 

4223 

合成石油 

合成用原料ガスから合成した液状生成物,石炭液化
によって製造した液状生産油などの総称。 

synthetic (crude) oil(英) 

備考 

オイルサンド,オイルシェールからの
生成油も含めることもある。 

4224 

石炭液化油 

石炭の直接・間接液化によって得た液状生成油の総
称。 

coal liquid(英) 

4225 

溶剤処理炭 

石炭を溶剤処理によって改質したもの。 
膨潤炭,溶剤精製炭 (SRC) などがある。 

solvent treated coal(英) 

備考 狭義には,溶剤精製炭 (SRC) を指す。 

4226 

溶剤精製炭 

石炭を溶剤抽出水添後,固液分離を行い灰分や未溶
解の固形物・軽質油分・溶剤などを除去して得た固
体状物質。 

solvent refined coal(英) 

4227 

アスファルテン 

ベンゼンなどに可溶でn−ペンタン・n−ヘプタンな
どに不溶な石炭・石油系の成分。 

asphaltene(英), 
Asphalten(独) 

4228 

膨潤炭 
(ぼうじゅんたん) 

石炭に高沸点タール留分を加え,常圧,300℃前後で
加熱処理して得られるピッチ状の物質。 
主に塗料などに用いられる。 

bojuntan(英) 

(5) 化学原料(気体) 

(a) 乾留(ガス) 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

5101 

石炭ガス 

石炭を乾留する際に発生する水素やメタンを主成分
とするガス。 
石炭乾留ガスともいう。 

coal gas(英), 
Steinkohlengas(独) 

備考1. 現存する工業規模の乾留装置は大部分

がコークス炉であり,この場合はコー
クス炉ガスと同じである。 

2. 石炭を原料として製造するガスをいう

場合がある。 

5102 

コークス炉ガス 

石炭をコークス炉で乾留する際に発生する水素やメ
タンを主成分とするガス。 
COGともいう。 

coke oven gas(英), 
Koksofengas(独), 
Kokereigas(独) 

5103 

ガス液 

石炭ガスから凝縮分離した水分。 
安水 (ammonialiquor ; Ammoniakwasser) ともいう。 

gas liquor(英), 
Gaswasser(独) 

備考 ガス液には,遊離のアンモニア,アンモ

ニウム塩及び少量のフェノール類などが
溶解している。 

5104 

副生硫安 

石炭ガス中のアンモニアを硫酸と作用させて得る硫
安。 

by-product ammonium sulfate 

(英), 

Nebenprodukt-Ammoniumsulf

at(独) 

備考 カプロラクタム,メタクリル酸メチルな

どの製造工程で副産する硫安は回収硫安
という。 

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23 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(b) ガス化 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

5201 

ガス発生炉 

上部から装入した石炭又はコークスを下部から吹き
込んだ空気又は空気と水蒸気でガス化して,一酸化
炭素を主成分とするガスを製造する装置。 

gas producer(英), 
producer(英), 
Gaserzeuger(独), 
Generator(独) 

備考 上記以外の方式の石炭を原料とするガス

化装置,更に石油を原料とするガス化装
置も含めていうことがあり,この場合に
はガス化炉と同じである。 

5202 

ガス化剤 

石炭と反応して,これをガスに分解する物質。 
空気,酸素,水蒸気,水素又はこれらの混合物など
がある。 

gasifying agent(英), 
Vergasungsmittel(独) 

5203 

石炭ガス化 

石炭を熱分解反応・ガス化剤との反応によってガス
状物質に変換すること。 

coal gasification(英), 
Kohlenvergasung(独) 

5204 

固定床ガス化 

塊状・粒状の石炭をガス化炉内に装入して、ほとん
ど移動させないか,又は下方向に緩やかに移動させ
ながらガス化すること。 

fixed bed gasification(英), 
Festbettvergasung(独) 

5205 

流動床ガス化 

粉状の石炭をガス化炉内に装入して,ガス化剤を吹
き込み,石炭を流動させなからガス化すること。 

fluidized bed gasification(英), 
Wirbelschichtvergasung(独), 
Fliessbettvergasung(独) 

5206 

噴流床ガス化 

微粉状の石炭をガス化炉内にガス化剤とともに高速
で吹き込み,噴流状態でガス化すること。 

entrained bed gasification

(英),entrained flow 
gasification(英), 

Flugstromvergasung(独) 

5207 

地下ガス化 

地下の石炭層に着火し,ガス化剤を送入しながらガ
スを製造すること。 

underground gasification(英), 
Untertagevergasung(独), 
Untergrundvergasung(独) 

5208 

高カロリーガス化 

石炭をガス化して,メタンを主成分とする高発熱量
のガスを製造すること。 

high BTU gasification(英) 

備考 通常8 000kcal/Nm3以上のガスを製造する

ことをいうが,国内では4 000kcaI/Nm3以
上のガスを製造することをいう場合もあ
る。 

5209 

低カロリーガス化 

石炭をガス化して,水素と一酸化炭素を主成分とす
る低発熱量のガスを製造すること。 

low BTU gasification(英) 

備考 通常3 000kcal/Nm3以下のガスを製造する

ことをいうが,国内では1 000〜1 
500kcal/Nm3程度のガスを製造することを
低カロリーガス化,3 000kcal/Nm3程度の
ガスを製造することを中カロリーガス化
という場合もある。 

5210 

部分酸化 

石炭の一部を,完全燃焼に必要な量より少ない酸素
で燃焼し,その熱によって原料石炭を分解して水素
と一酸化炭素を主成分とするガスを製造すること。 
部分燃焼 (partial combustion) ともいう。 

partial oxidation(英), 
partielle Oxydation(独) 

5211 

シフト反応 

一酸化炭素と水蒸気が二酸化炭素と水素に変化する
反応。 
一酸化炭素変成反応 (carbon monoxide shift reaction) 
又は一酸化炭素転化反応 (carbon monoxide 
conversion) ともいう。 

shift reaction(英), 
Konvertierung(独) 

background image

24 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

5212 

メタン化反応 

炭素・一酸化炭素が水素によってメタンに変化する
反応。 

methanation reaction(英), 
Methanisierungsreaktion(独) 

備考 炭素と水蒸気,二酸化炭素と水素の反応

によってもメタンを生成するが,主反応
ではない。 

5213 

ガス化触媒 

石炭ガス化の反応速度を促進するために用いる触
媒。 

gasification catalyst(英), 
Vergasungskatalysator(独) 

5214 

ガス化効率 

石炭ガス化において,原料石炭がガス状物質に変換
した割合。 
原料石炭の発熱量に対する生成ガスの発熱量の百分
率で表す。 
ガス化率ともいう。 

gasification efficiency(英), 
Vergasungwirkungsgrad(独) 

5215 

炭素転換率 

石炭ガス化において,原料石炭中の炭素が生成ガス
中の炭素に転換した割合。 
原料石炭中の炭素質量に対する生成ガス中の炭素質
量の百分率で表す。 
炭素利用率ともいう。 

carbon conversion(英), 
Kohlenumsetzungsgrad(独) 

(c) ガス全般 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

5301 

ガスの発熱量 

ガスを完全燃焼させたときに発生する熱量。 

calorific value of gas(英), 
Gasheizwert(独) 

備考 JIS K 2301(燃料ガス及び天然ガスの分

析・試験方法)では,ユンカース式流水
形ガス熱量計を用いて測定した標準状態
における乾燥ガス1m3当たりの総発熱量
kcal/Nm3 {kJ/m3} で表す。 

5302 

ガスの比重 

一定体積の乾燥空気の質量に対する同一体積の乾燥
試料ガスの質量の比。 

備考 JIS K 2301では,同一温度及び同一圧力

における等体積のガスと乾燥空気の質量
の比をいう。 

relative density of gas(英), 
specific gravity of gas(英), 
Gasdichteverhältnis(独) 

5303 

燃料ガス 

燃料として使用するガス。 

備考 JIS K 2301では,都市ガス,コークス炉

ガス,石油精製オフガス,油分解ガス,
発生炉ガス,水性ガスなどをいう。 

fuel gas(英), 
Brenngas(独) 

5304 

合成用原料ガス 

合成化学工業の原料として使用するガス。 
合成用ガスともいう。 

synthesis gas(英), 
Synthesegas(独) 

備考 代表的な合成用原料ガスとしては,炭化

水素又はメタノールを合成するための一
酸化炭素と水素、アンモニアを合成する
ための窒素と水素などがある。 

5305 

都市ガス 

ガス事業者が一般の需要に応ずるために,ガスの発
熱量,燃焼性,成分,比重,圧力などを調整して導
管によって供給する燃料ガス。 

town gas(英), 
 city gas(英), 
Stadtgas(独) 

5306 

天然ガス 

メタンを主成分とする天然に産出する可燃性ガス。 

natural gas(英), 
Erdgas(独), 
Naturgas(独) 

備考 地下から発生するすべてのガスをいう場

合がある。 

background image

25 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

5307 

液化天然ガス 

貯蔵・輸送のために,圧縮・冷却によって液化した
天然ガス。 
LNGともいう。 

liquefied natural gas(英) 

5308 

代替天然ガス 
(だいたいてんね
んがす) 

天然ガスの不足を補うために,石炭,石油などを原
料として製造する,天然ガスと類似の組成をもつガ
ス。 
合成天然ガス (synthetic natural gas ; synthetisches 
Erdgas) ともいう。 

substitute natural gas(英) 

備考 代替天然ガス及び合成天然ガスは,いず

れもSNGという場合がある。 

5309 

液化石油ガス 

貯蔵・輸送のために,圧縮・冷却によって液化した
プロパン,プロピレン,ブタン,ブチレンなどを主
成分とする低級炭化水素の混合物。 
LPガス又はLPGともいう。 

liquefied petroleum gas(英), 
Flüssiggas(独) 

5310 

発生炉ガス 

石炭又はコークスを,ガス発生炉を用いて空気又は
空気と水蒸気によってガス化して得る一酸化炭素,
窒素などを主成分とするガス。 

producer gas(英), 
Generatorgas(独) 

備考 空気の代わりに酸素を用いる場合があ

る。 

5311 

水性ガス 

赤熱した石炭又はコークスに,水蒸気を作用させて
得る一酸化炭素,水素を主成分とするガス。 

water gas(英), 
Wassergas(独) 

5312 

高炉ガス 

高炉の操業に伴って発生する窒素,一酸化炭素,二
酸化炭素を主成分とするガス。 
BFGともいう。 

blast furnace gas(英), 
Gichtgas(独), 
Hochofengas(独) 

5313 

転炉ガス 

転炉の操業に伴って発生するガス。 

converter gas(英), 
Konvertergas(独) 

備考 製鋼用にはLD転炉を用いることが多く,

発生するガスの主成分は一酸化炭素であ
る。この場合はLDGともいう。 

5314 

ガスの精製 

ガス中の不純物を除去すること。 

gas purification(英), 
Gasreinigung(独) 

備考 石炭ガスの場合の不純物には,ダスト,

ミスト,ナフタレン,タール,ガス軽油,
硫黄化合物,窒素化合物などがある。 

5315 

ガスの脱硫 

ガス中の硫黄化合物を除去すること。 

sulfur removal from gas(英), 
desulfurization of gas(英), 
Gasentschwefelung(独) 

備考1. 石炭ガスの場合の硫黄化合物には,無

機硫黄化合物と有機硫黄化合物があ
る。 

2. 脱硫方式には,乾式と湿式がある。 

5316 

ガスの付臭 

空気中でガスの存在が感知できるように,ガスに微
量の有臭物質を混入すること。 

gas odorization(英), 
Gasodorierung(独) 

備考1. 液化石油ガスでは着臭ともいう。 

2. 有臭物質としては硫黄化合物を用いる

ことが多い。 

5317 
 

深冷分離 
 

ガス状混合物を圧縮・冷却して,その全部又は一部
の成分を液化後,沸点の差によって分離する操作。 

cryogenic separation(英), 
low-temperature processing

(英), 

Tiefkühlverfahren(独) 

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26 

M 0104-1984  

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(6) 性質・試験方法 

(a) 石炭の物理化学的性質 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

6101 

石炭化度 

太古の植物が石炭化作用によって石炭に転化した度
合。 
通常,揮発分,炭素分(いずれも無水無灰ベース又
は無水無鉱物質ベース)又はビトリニット部の反射
率などで表す。 

coal rank(英), 
degree of coalification(英), 
Inkohlungsgrad(独) 

6102 

コールバンド 

一連の石炭を分析値又は性状指数によって打点し,
それを帯状に結んだ図形。 
特に縦軸にH/Cの原子数比,横軸にO/Cの原子数比
をとった座標に示すクレベレン (van Krevelen) の図
形が代表的である。 

coalification band(英) 

6103 

構造指数 

多成分系混合物である石炭及び重質油などの化学分
析・物理測定から求めた物性値をもとに算出したそ
れらの平均構造を表す指数。 
構造指数の主なものとして,芳香族炭素分率 (fa),
芳香族置換指数 (σ) 及び芳香環縮合度 (Hau/Ca) な

どがある。 

structural parameter(英) 

6104 

構造モデル 

多成分系混合物である石炭及び重質油の化学構造又
は物理構造の仮想的平均模型。 

structural model(英) 

6105 

含酸素官能基 

石炭の分子構造の中で,酸素を含んだ原子団又は結
合様式。 
水酸基 (−OH),カルボキシル基 (−COOH),カルボ
ニル基 (>CO) などのように化学的に反応性に富む
ものとエーテル結合 (−O−) などのように化学的
反応性に乏しいものがある。 

functional oxygen group(英) 

6106 

ビチュメン 

石炭を種々の有機溶剤で抽出して得られる抽出物の
総称。 

bitumen(英), 
Bitumen(独) 

備考 ビチュメンの概念はあいまいでピッチや

アスファルトなどを意味する場合もある
が,石炭化学では石炭を有機溶剤で抽出
して得られる抽出物をさすことが多い。
狭義には石炭からベンゼン加圧抽出した
ものをいい,これはコークス化に際して
の粘結成分と考えられている。 

6107 

軟化溶融性 

石炭を加熱した場合に,軟化・溶融する性質。 

plastic property of coal(英) 

備考 この性質は,石炭の中では粘結炭だけが

示す特性であり,石炭化度や組織成分構
成によってかなり異なる。一般に,プラ
ストメータ,ジラトメータなどを用いて
測定する。 

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27 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

6108 

粘結性 

石炭を乾留した時,軟化溶融状態 (plastic stage) にお
いて観測される性質の総称。 
これらの性質とは,粘着性,流動性,膨脹性などで
ある。 

caking property(英) 

備考 粘結性の概念は極めてあいまいで,従来

から種々の意味に使われてきたが,特に
強粘結炭,弱粘結炭というときの“粘結”
は,生成コークスの強度を意味している。
これは上記の定義と一致しないので,強
粘結炭,弱粘結炭という表現はなるべく
さけることが望ましい。 

6109 

粘着性 

石炭を乾留したときに,軟化溶融し,融着結合する
性質。 

agglutinating property(英), 
agglomerating property(英) 

備考1. 粘着性の強弱はロガ試験 (JIS M 8801) 

などによって判断する。 

2. 粘着性がよいことは,コークス化性が

よいための必要条件ではあるが,十分
条件ではない。 

3. 粘着性は粘結性と同じ意味に用いられ

ることがある。 

6110 

コークス化性 

石炭を乾留したときに,軟化溶融後,更に温度が上
昇したときに焼き締ってコークスができるような性
質。 

coking property(英) 

備考 コークス化性の強弱は,生成コークスの

強度によって判断する。 

6111 

メソフェーズ 

石炭又は重質油を熱処理した際,その炭化初期段階
の液相において光学的異方性を示す小球体(21)が出
現している中間相。 

mesophase(英) 

注(21) この小球体をメソフェーズ小球体とい

う。 

6112 

酸化炭 

天然に又は人為的に酸化した石炭。 

oxidized coal(英) 

6113 

風化炭 

大気圏の風化作用によって酸化した石炭。 

weathered coal(英) 

(b) 分析・試験方法 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

6201 

ベース 

分析値を表示するときに,分析試料の実際の状態又
は仮定した状態を表す基準。 

basis(英) 

6202 

到着ベース 

ロットの受渡しの状態(すなわち,全水分含有の状
態)における分析値のベース。 

as received basis(英) 

6203 

気乾ベース 

気乾試料について求めた分析値のベース。 

air dried basis(英) 

6204 

恒湿ベース 

恒湿試料について求めた分析値のベース。 

− 

6205 

無水ベース 

水分を含まないと仮定した状態における分析値のベ
ース。 

dry basis(英) 

6206 

無水無灰ベース 

水分と灰分を含まないと仮定した状態における分析
値のベース。 

dry, ash-free basis(英) 

6207 

無水無鉱物質ベー
ス 

水分と鉱物質を含まないと仮定した状態における分
析値のベース。 
純炭ベースともいう。 

dry, mineral-matter-free basis

(英) 

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28 

M 0104-1984  

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番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

6208 

含水無灰ベース 

包蔵水分は含むが,灰分は含まないと仮定した状態
における分析値のベース。 

moist, ash-free basis(英) 

6209 

含水無鉱物質ベー
ス 

包蔵水分は含むが,鉱物質は含まないと仮定した状
態における分析値のベース。 

moist, mineral-matter-free 

basis(英) 

6210 

全水分 

採取した石炭試料が含んでいる水分。 
全水分は原則として予備乾燥減量(35℃以下)と熱
乾燥減量 (107±2℃) の和として求める。測定方法
はJIS M 8811(石炭類及びコークス類のサンプリン
グ方法並びに全水分・湿分測定方法)による。 

total moisture(英), 
Gesamtwassergehalt(独), 
Gesamtfeuchtigkeit(独) 

参考 JISでは空気雰囲気における測定だけで

あるが,ISO規格では酸化されやすい石
炭類については,窒素雰囲気での測定法
を規定している。 

6211 

湿分 

石炭試料を室温において,塩化ナトリウム飽和溶液
の入った恒湿器中に静置し,その湿度と平衡に達し
たときの質量減少率。 
測定方法はJIS M 8811による。 

free moisture specified by JIS 

M 8811(英) 

備考 湿分は全水分と恒湿試料水分の差に相当

し,全水分と包蔵水分の差は付着水分 
(adherent moisture) という。 

6212 

包蔵水分 

石炭試料を30℃において,96〜97%相対湿度の雰囲
気中に静置し,その湿度と平衡に達したとき,その
試料が含有する水分。 
測定方法はJIS M 8803(石炭類の包蔵水分測定方法)
による。 

equilibrium moisture of coal at 

96 to 97% relative humidity 
and 30℃(英), 

moisture holding capacity(英) 

6213 

気乾試料 

粉砕・縮分して調製した粒度0.25mm以下の石炭を,
室温において薄層に広げて,実験室の雰囲気とおお
むね平衡状態にした分析試料。 
試料の調製方法はJIS M 8811による。 

air dried sample(英), 
Lufttrokenprobe(独) 

参考 ISO規格では粒度0.20mm以下に粉砕した

石炭を使用する。 

6214 

恒湿試料 

粉砕・縮分して調製した粒度0.25mm以下の石炭を,
室温において,塩化ナトリウム飽和溶液の入った恒
湿器中に静置して恒量にした分析試料。 
試料の調製方法はJIS M 8811による。 

equilibrated analysis sample at 

about 75% relative humidity 
and room temperature(英) 

6215 

工業分析 

水分,灰分,揮発分を定量し,併せて固定炭素を算
出する石炭の分析方法。 
測定方法はJIS M 8812(石炭類及びコークス類の工
業分析方法)による。 

proximate analysis(英), 
Immediatanalyse(独) 

background image

29 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

6216 

水分 

規定の条件のもとに,加熱乾燥したとき生じる試料
の質量減少率。 
JIS M 8812では,試料1gを107℃で1時間加熱乾燥
したとき,その減量の試料に対する百分率をもって
水分とする。 

moisture(英), 
Wassergehalt(独), 
Feuchtigkeit(独) 

備考1. 石炭,コークスでは、単に水分という

場合,通常工業分析の水分を指す。他
の持定の水分を意味するときは,全水
分,湿分,包蔵水分など,それぞれ固
有の用語を用いる。 

2. 石炭の水分には恒湿試料水分と気乾試

料水分がある。前者は恒湿試料を,後
者は気乾試料を用いて測定する。 

6217 

分析試料水分 

実験室の大気とほぼ平衡に到達した石炭及びコーク
スの分析試料が含んでいる水分。 
JIS M 8812の気乾試料水分に相当する。 

備考 分析試料水分は,主に他の分析値を無水

ベースに換算するのに用いる。 

moisture in the analysis sample

(英), 

Feuchtigkeit in den 

Analysen-probe(独) 

6218 

灰分 
(はいぶん), 
(かいぶん) 

規定の条件のもとに,試料を加熱灰化したとき,残
留する無機物質の割合。 
JIS M 8812では,試料1gを空気中で815℃に加熱灰
化し,残留する灰の量の試料に対する百分率をもっ
て灰分とする。 

ash(英), 
Asche(独), 
Aschengehalt(独) 

備考 灰分は燃焼前の試料に存在する鉱物質

と,組成,質量が一致しない。 

6219 

揮発分 

空気との接触を絶って,規定の条件のもとで,試料
を加熱したときの,質量減少率から水分を差し引い
た値。 
JIS M 8812では,試料1gをふた付きのるつぼに入
れ,900℃で7分間加熱したときの質量減少率から,
同時に定量した水分を差し引いた値を揮発分とす
る。 

volatile matter(英), 
flüchtige Bestandteile(独) 

6220 

固定炭素 

工業分析において,水分,揮発分,灰分の百分率の
合計を100から差し引いた値。 

fixed carbon(英) 

6221 

燃料比 

(1) 石炭の工業分析結果のうち,固定炭素 (%) を揮

発分 (%) で割った値。 

(1) fuel ratio(英), 
Brennwert(独), 

(2) 高炉操業などにおける製品単位質量当たりの燃

料消費量。 

(2) fuel rate(英), 
Brennstoffverbrauch(独) 

6222 

元素分析 

炭素,水素,硫黄,窒素を定量し,併せて酸素を算
出する石炭の分析方法。 
測定方法はJIS M 8813(石炭類及びコークス類の元
素分析方法)による。 

ultimate analysis(英), 
Elementaranalyse(独) 

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30 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

6223 

全硫黄 

石炭及びコークス試料が含んでいる硫黄の割合。 
JIS M 8813では,エシュカ法,燃焼容量法の両者を
規定している。 
全硫黄は,不燃焼性硫黄(22)(sulfur in ash) と燃焼性硫
黄(23)の和,又は有機硫黄と無機硫黄の和に相当す
る。 

total sulfur(英), 
Gesamtschwefel(独) 

注(22) 試料を灰分定量の規定条件下で灰化した

とき,灰中に残留する硫黄の割合。 

(23) 全硫黄から不燃焼性硫黄を差し引いて求

めた値。燃焼性硫黄は元素分析で酸素を
算出するときに用いる。 

6224 

硫黄の形態 

石炭中に存在している硫黄の結合形態。 

forms of sulfur(英), 
Formen des Schwefels(独) 

参考 ISO規格では,硫酸塩硫黄(*) (sulfate 

sul-fur),黄鉄鉱硫黄(**) (pyritic sulfur) の
無機硫黄と有機硫黄(***) (organic sulfur) 
の三つの形態として測定する。 

注(*) 硫酸塩として石炭中に存在している硫

黄。試料を希塩酸で抽出して,溶液中の
硫酸基を測定する。 

(**) 黄鉄鉱又は白鉄鉱として石炭中に存在し

ている硫黄。試料を希塩酸で抽出後,更
に希硝酸で抽出して溶液中の鉄を測定
し,これに対応ずる硫黄を算出する。 

(***) 石炭質と結合している硫黄。全硫黄か

ら硫酸塩硫黄と黄鉄鉱硫黄の合量を差し
引いて求める。 

6225 

窒素の分析 

石炭及びコークス試料が含んでいる窒素を求めるこ
と。 
石炭中の窒素の結合状態ははっきりわかっていない
が,アミノ基のほかに環内窒素の存在が認められて
いる。JIS M 8813では,石炭についてはケルダール
法又はセミミクロケルダール法の両者を規定してい
る。 

determination of nitrogen(英)

Bestimmung von Stick-stoff
(独) 

備考 コークスの場合,上記の方法では分解に

長時間を要するので,セミミクロガス化
法 (JIS M 8813) による方がよい。 

6226 

総発熱量 

単位質量の燃料が完全燃焼する際に発生する,水の
蒸発の潜熱を包含した熱量。 
高発熱量 (higher heating value) ともいう。 
JIS M 8814(石炭類及びコークス類の発熱量測定方
法)では,断熱式ボンブ熱量計によって測定する。 

gross calorific value(英), 
gross heating value(英), 
oberer Heizwert(独) 

備考 通常,石炭の発熱量とは総発熱量を意味

する。 

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31 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

6227 

真発熱量 

単位質量の燃料中に存在する水及び燃焼中に生成す
る水の蒸発の潜熱を,総発熱量より差し引いた熱量。 
低発熱量 (lower heating value) ともいう。 
JIS M 8814では,石炭の真発熱量を次式によって求
める。 
真発熱量=総発熱量−600 (9h+W) /100 
ここに,h:素の量 (%)  
    W:分の量 (%)  
ただし,単位:cal/g 
真発熱量 {J/g} =真発熱量 (cal/g) ×4.186 

net calorific value(英), 
net heating value(英), 
unterer Heizwert(独) 

6228 

着火点, 
着火温度 

固体燃料を空気中又は酸素中で加熱した場合,着火
するのに要する最低温度。 

ignition point(英), 
ignition temperature(英), 
Zündpunkt(独), 
Zündtemperatur(独) 

備考 測定法にはウィラー (R.V. Wheeler) の装

置,高温加熱顕微鏡,熱天びんを用いる
方法などがある。 

6229 

灰の組成分析 

石炭灰及びコークス灰の主要構成元素を,酸化物と
して分析すること。 
通常,SiO2,Fe2O3,Al2O3,CaO,MgOの5主要成
分のほかに,P2O5,TiO2,MnO,Na2O,K2O,SO3
などを測定する。 

analysis of major elements of 

coal and coke ash(英), 

Analyse von 

Zusammensetzung der 
Kohlen- (Koks) -asche(独) 

備考 JIS M 8815(石炭灰及びコークス灰の分析

方法)では,重量分析,容量分析による
化学分析を主体に,比色分析,炎光分析
を併用している。 

参考 ISO規格には原子吸光法による分析法も

規定されている。 

6230 

微量成分分析 

石炭・コークス又は石炭灰・コークス灰中に存在す
る微量元素を分析すること。 

analysis of trace elements in 

coal and coke(英), 

Analyse der Elementspulen in 

den Kohle und dem Koks
(独) 

参考 ISO規格案では,Be,Cd,Cr,Cu,Mn,

Ni,Pb,V,Znなどの分析法を規定して
いる。 

6231 

灰の溶融性 

試料を灰化して試験片を作製し,規定の条件のもと
に連続的に加熱した際,試験片の形状に特定の変化
が起こったときの特性温度。 
JIS M 8801では,灰の溶融性を示す特性温度として,
軟化点 (deformation temperature),融点 (hemi-sphere 
temperature),溶流点 (flow temperature) の3点を規定
している。 

fusibility of ash(英), 
Ascheschmelzverhalten(独), 
Schmelzbarkeit der Asche(独) 

備考 灰の溶融性の試験には,酸化性雰囲気,

還元性雰囲気の2通りがあって,測定値
が異なる。JISは前者,ISO規格,ASTM
は後者の方法を原則としている。 

参考 JIS, ASTMは試験片として三角すいを規

定しているが,ISO規格は三角すいのほ
かに,立方体,直円柱の試験片を採用し
ている。 

background image

32 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

6232 

鉱物質 

石炭中の無機物質。 
鉱物質は根源植物それ自体の無機構成成分及び石炭
の生成・たい積期に植物質へ混入,沈積した無機成
分に由来する。一方採炭又は選炭の過程で分離でき
ずに含まれる鉱物質もある。 

mineral matter(英), 
Mineralstoff(独) 

備考 鉱物質には結晶水は含まれるが,全水分,

分析試料水分は含まれない。 

参考 ISO 602には鉱物質量の直接定量法が規

定されている。 

6233 

ビトレーン 

石炭組織学上,肉眼的に分類できる,黒色光輝のあ
る帯状又はレンズ状の均質な組織成分。 
ビトレーンは,通常輝炭の一部に相当する。 

vitrain(英), 
Vitrit(独) 

6234 

クラレーン 

石炭組織学上,肉眼的に分類できる,輝いた光沢の
あるしま状組織成分。 
クラレーンは,通常輝炭の一部に相当する。 

clarain(英), 
Clarit(独) 

6235 

ジュレーン 

石炭組織学上,肉眼的に分類できる,光沢のない暗
色の組織成分。 
ジュレーンは,一般的にイナーチニットが多く,通
常暗炭に相当する。 

durain(英), 
Durit(独) 

6236 

フゼーン 

石炭組織学上,肉眼的に分類できる,植物組織構造
の原形が残っている破片状の組織成分。 
フゼーンは,一般にかなり暗色の輝きをもつ繊維組
織を示し,極めてもろく木炭に似ている。通常,木
質炭母 (mineral charcoal) に相当する。 

fusain(英), 
Fusit(独) 

6237 

組織成分分析 

石炭組織学上,顕微鏡を用いて構成組織成分又は微
細組織成分(マセラル)の含有割合を算出すること。 

analysis of petrographical 

con-stituent(英), 

Analyse von petrographische 

Bestandteil(独) 

備考 近年組織成分分析とは,微細組織成分分

析を意味する場合が多い。その測定方法
はJIS M 8816(石炭の微細組織成分及び
反射率測定方法)による。 

background image

33 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

6238 

微細組織成分,マセ
ラル 

顕微鏡によって区分できる石炭の微細な有機質成
分。 
微細組織成分は石炭組織学上の名称で,岩石学にお
ける造岩鉱物 (mineral) に相当するものであるが,
特定の結晶形態,一定の化学組成を持たない点が異
なる。顕微鏡下の性質が類似している石炭の微細組
織成分をまとめて微細組織成分群(マセラル・グル
ープ)という。JIS M 8816では表に示すように,微
細組織成分を11種類,微細組織成分群を3種類に区
分する。 

maceral(英), 
Mazeral(独) 

備考 ( ) 内の記号は,略称である。 

6239 

ビトリニット 

植物の細胞組織(木質部,樹皮部)に由来し,他の
微細組織成分群に比べてより均質で,反射光線下(油
浸)では灰白色に見える微細組織成分群。 
ビトリニットは石炭を構成する有機質の主要成分で
あり石炭化が進むにつれてその反射率は高くなるの
で,平均反射率が石炭化度を示す一つの指標になる。 

vitrinite(英), 
Vitrinit(独) 

6240 

エクジニット 

植物の葉,小枝などの角皮,胞子,花粉,種子,水
も(藻)及び樹脂質に由来し,反射光線下(油浸)
では一般に暗灰色から暗黒色に見える微細組織成分
群。 
エクジニットの色調は,中揮発分れき青炭より石炭
化度の低い石炭においては,共存するビトリニット
より暗色であるが,石炭化度が進むにつれて淡色と
なり,ビトリニット類似物質となる。 

exinite(英), 
liptinite(英), 
Exinit(独), 
Liptinit(独) 

6241 

イナーチニット 

主に植物の木質部,菌類に由来し,反射光線下(油
浸)では灰色〜白色に見える微細組織成分群。 
イナーチニットの形態は,細胞状,粒状、非晶質と
多岐にわたっている。イナーチニットの細胞構造は
植物が根源であるか,組織を持たぬものの根源は不
明である。 

inertinite(英), 
Inertinit(独) 

background image

34 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

6242 

反射率 

光が物体の表面に入射するとき,反射光の振幅又は
エネルギと,入射光の振幅又はエネルギとの比。 
通常,振幅反射光とエネルギ反射光に区別されるが,
一般には後者の場合が多く,百分率で示す。石炭の
場合JIS M 8816では,546nmの波長の光を用い,微
細組織成分の油浸最大反射率(24)を顕微鏡下で測定
し,平均最大反射率を算出する。 

reflectance(英), 
Reflexionsvermögen(独) 

注(24) 石炭の粒子又は塊の研磨試料を,平面偏

光光線内で研磨面を回転したとき得られ
る,油浸レンズによる反射率の最大値。 

備考 通常,石炭の反射率をいう場合,ビトリ

ニットの油浸最大反射率を意味すること
が多い。 

6243 

ハードグローブ指
数 

ハードグローブ試験機を用いて,規定条件のもとで
求めた,石炭の粉砕性を示す数値。 
測定方法はJIS M 8801によって,H.G.I.で表示する。 

Hardgrove grindability index

(英), 

Hardgrove Mahrbarkeit Index

(独) 

備考 ハードグローブ指数は,粉砕性100とし

て選んだ石炭と比較して,相対的な粉砕
性を示す数値で,指数の高いほど粉砕さ
れやすい。 

(c) 

サンプリング 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

6301 

母集団 

(1) 調査,研究の対象となる特性をもつすべてのも

のの集団。 

population(英), 
Population(独) 

(2) サンプルによって,処置をとろうとする集団。 

6302 

コンサインメント, 
荷口 
(にぐち) 

一時に受渡しされる特定の品物の集まり。これは1
個又は数個のロットからなり立っていることもあ
り,またロットの一部分のこともある。 

consignment(英) 

6303 

ロット 

等しい条件下で生産され,又は生産されたと思われ
る品物の集まり。 

lot(英), 
batch(英) 

6304 

サンプル 

母集団から,その特性を調べる目的をもって取った
もの。 

sample(英), 
Probe(独) 

備考 試料,標本という用語は,サンプルと同

じ意味に使われることがある。 

6305 

サンプリング 

母集団からサンプルを取ること。 

sampling(英), 
Probenahme(独) 

6306 

ランダムサンプリ
ング 

母集団を構成している単位体,単位量などがいずれ
も同じような確率でサンプル中に入るようにサンプ
リングすること。 

random sampling(英), 
zufällig Probenahme(独) 

備考 確率が同じとはいえないようなサンプリ

ングを有意サンプリング (purposive 
sampling) という。有意サンプリングは望
ましくないが,意図的に行われる場合と,
サンプリング条件によってはやむを得ず
そうなってしまう場合がある。 

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35 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

6307 

層別サンプリング 

母集団を層別して,各層からランダムサンプリング
すること。 

stratified sampling(英) 

備考 各層の大きさに比例して,サンプリング

する方法を層別比例サンプリング (size 
propor-tionate stratified sampling) という。 

6308 

系統サンプリング 

母集団から量的,時間的,空間的に一定間隔でサン
プルを取ること。 
この場合,最初のサンプリング単位は,その間隔に
相当する中からランダムに選んで定める。 
系統サンプリングの例 

systematic sampling(英) 

6309 

集落サンプリング 

母集団をいくつかの部分(集落)に分けて,それら
の集落のうちいくつかをランダムに選び,選んだ集
落はすべてサンプルとして取ること。 

cluster sampling(英) 

備考 集落を構成する際にはできるだけ集落間

の差は小さくなるように,集落内のばら
つきは大きくなるようにすべきである。 

6310 

自動サンプリング 

何らかの機械的手段によって,自動的にサンプリン
グすること。 

automatic sampling(英), 
mechanical sampling(英) 

6311 

インクリメント 

サンプルとして採取する単位体(25)又は単位量(26)。 

increment(英) 

注(25) 個数で数えられる品物の一つ。 

(26) 集合体を構成する品物の一定量。 

6312 

層別 

母集団をいくつかの層 (stratum) に分けること。 

stratification(英) 

備考 層別は,層内ができるだけ均一になるよ

うに,層間の差か大きくなるように行う
と有利である。 

6313 

大口試料 
(おおぐちしりょ
う) 

コンサインメント又はロットから採取したインクリ
メントを集めたもの。 

gross sample(英) 

6314 

試料調製 

大口試料から試験室試料を得るために行う必要な一
切の操作。 
例えば,粒径の縮小,かきまぜ,分割などの操作を
含む。 

sample preparation(英) 

6315 

試験室試料 

試料調製の最終段階を終了して試験室へ送付された
試料。 

laboratory sample(英) 

備考 試験試料 (test sample) ということがあ

る。 

6316 

測定試料 

何らかの試験・測定を行うために準備した試料。 
例えば,粉塊混合物試料ならば試験室試料を更に分
割して1回の測定に必要な量を採取したり,試験室
の雰囲気に平衡させるなどの操作を行った試料をい
う。インゴット試料ならば裁断したり,表面を研磨
するなどの操作を行った試料がこれに相当する。 

test portion(英) 

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36 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(d) 精度・正確さ 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

6401 

測定 

ある性質又は量を,数値又は符号を用いて表すため
に行う操作。 

measurement(英), 
Messung(独) 

6402 

ばらつき 

測定値がそろっていないこと,又は不ぞろいの程度。 
ばらつきの大きさを表すには,例えば標準偏差を用
いる。 

dispersion(英), 
Dispersion(独) 

6403 

精度 

測定値のばらつきの程度。 
ばらつきが小さい方が,より精度が良い,又は高い
という。 

precision(英), 
Präzision(独) 

備考 JIS Z 8103(計測用語)では,ばらつきの

小さい程度を精密さといい,正確さと精
密さとを含めた総合的な良さを精度とい
う。 

6404 

試験室内精度 

同一試験室内において試験を行ったときの精度。 

precision within same 

labora-tory(英) 

6405 

試験室間総合精度 

異なった試験室間における最終値間の総合的な精
度。 
例えば,多くの試験室がそれぞれn個ずつ測定を行
ったときの試験室間総合精度は次式で表す。 

n

w

b

x

2

2

σ

σ

σ

+

ここに,σx:試験室間総合精度 

σw:室内精度 

σb:試験室間精度 

precision between different 

laboratories(英) 

6406 

かたより 

(1) 測定値又は推定量の分布の中心(平均)と真の

値との差(前者が大きいとき正)。 

bias(英) 

備考 真の値は通常推定が困難なので,標準物

質の理論値又は標準量を真の値とみなし
て使用することが多い。 

(2) 同一特性に対する二つの試験方法の測定値の分

布の中心(平均値)間の差。 

6407 

正確さ 

真の値からのかたよりの程度。 
かたよりが小さい方が,より正確さがよいという。 

accuracy(英), 
Genauigkeit(独) 

備考 JIS Z 8103では,推定したかたよりの限界

で表した値を正確度,その真の値に対す
る比を正確率という。 

6408 

測定誤差 

サンプルによって求められる値と真の値との差のう
ち,測定によって生じる部分。 

measurement error(英) 

6409 

サンプリング誤差 

サンプルによって求められる値と真の値との差のう
ち,サンプリングによって生じる部分。 

sampling error(英) 

6410 

試料調製誤差 

サンプルによって求められる値と真の値との差のう
ち,試料調製によって生じる部分。 

sample preparation error(英) 

6411 

許容差 

(1) 試験データのばらつきが許容される限界。 
(2) 規定された基準値と規定された限界値との差。 

例えば,範囲,残差などか許容される限界を

いう。 

tolerance(英), 
Toleranz(独) 

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37 

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(7) 石炭の生産・貯炭 

(a) 炭田開発 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

7101 

炭鉱 

石炭を採掘する鉱山。 
採炭設備を中心に運搬,保安,選炭,積み出しなど
の諸設備で構成される。 

coal mine(英), 
colliery(英), 
Kohlenbergwerk(独) 

7102 

鉱区 

鉱業権(27)に基づいて境界を直線に設定された一定
区域の土地。 

mine concession(英), 
Grubenfeld(独) 

注(27) 法定鉱物を採掘及び取得する権利 

7103 

炭田 

採掘可能な石炭層が地質的に連続性をもって分布
し,かつ地理的に広い面積を占める地域。 

coal field(英), 
Kohlenfeld(独) 

7104 

埋蔵炭量 

ある範囲に賦存していると推定される石炭の量。 

coal reserve(英), 
Kohlenvorrat(独) 

備考 JIS M 1002では理論的に算出された埋蔵

炭量を理論埋蔵炭量といい,理論埋蔵炭
量は理論可採埋蔵炭量,理論不可掘埋蔵
炭量に,若しくは確定炭量,推定炭量,
予想炭量に分類される。 

7105 

可採炭量 
(かさいたんりょ
う) 

埋蔵炭量のうち,経済的に採取しうる石炭の量。 

minable coal reserve(英), 
recoverable coal reserve(英), 
abbauwürdiger Kohlenvorrat

(独) 

7106 

露頭 
(ろとう) 

炭層の一部が地表面に現れている部分。 

outcrop(英), 
Anstehendes(独) 

7107 

炭層 

地層中に存在する石炭の層。 

coal seam(英), 
Kohlenflöz(独) 

7108 

地層 

たい積岩からなり,その厚さに比べて水平方向のひ
ろがりの大きい層状の岩体(28) 

stratum(英), 
Schicht(独) 

注(28) 

他から何らかの形で区別できる一連の岩

石の集合体 

7109 

断層 

岩体(28)や地層の割れ目に沿って,その両側の部分が
相対的にずれている状態。 

fault(英), 
Verwerfung(独) 

7110 

しゅう曲 

地層などの層状の岩体(28)が波のように曲がってい
る姿態。 

fold(英), 
Falte(独) 

7111 

露天掘 

地表又は地下の比較的浅い所にある石炭を地表から
直接採掘する方法。 

open pit mining(英), 
open cut mining(英), 
Tagebau(独) 

7112 

坑内掘 

水平坑道,斜坑,立坑などを開坑し,石炭を採掘す
る方法。 

underground mining(英), 
Tiefbau(独) 

7113 

風化 

地表又はその近くで,石炭が大気圏の作用によって,
物理的・化学的に変化分解する現象。 

weathering(英), 
Verwitterung(独) 

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38 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

7114 

地質時代 

(1) 地質学の対象をばく然と指していう過去の時

代。 

geological age(英), 
geologische Zeit(独) 

(2) 地質学で,石炭紀,第三紀などのように標準と

なる化石によって定めた時代区分の総称。 

備考 地質時代の区分の単位は,高位から順に,

代 (era),紀 (period),世 (epoch),期 (age) 
である。 

世界的な標準区分を次に示す。 
古生代 (Palaeozoic era)  
カンブリア紀 (Cambrian period)  
オルドビス紀 (Ordovican period)  
シルル紀 (Silurian period)  
デボン紀 (Devonian period)  
石炭紀 (Carboniferous period)  
二畳紀 (Permian period)  
中生代 (Mesozoic era)  
三畳紀 (Triassic period)  
ジュラ紀 (Jurassic period)  
白亜紀 (Cretaceous period)  
新生代 (Cenozoic era)  
第三紀 (Tertiary period)  
第四紀 (Quaternary period) 

7115 

地質図 

ある地域について構成岩石の種類,分布,構造,地
質時代などを色彩又は記号などによって示した平面
図。 

geologic map(英), 
geologische Karte(独) 

7116 

地質柱状図 

ある地域の地層の層序,層厚,地層と地層との関係,
岩質(29),岩相(30),含有化石などを長柱状に示した
図。 

geologic columnar section

(英), 

normales Profil(独) 

備考 柱状図には次のものがある。 

露頭柱状図,総合柱状図,模式柱状図。 

注(29) 肉眼的に識別しうる岩石の性質,特徴,

構成鉱物の種類,粒度,配列の状態,各
種構造,硬さなどをいう。 

(30) 地層はそれがたい積した場所,環境を反

映してさまざまな特徴を持つ。この特徴
を岩質によってとらえるときに岩相とい
う。 

7117 

探炭 

石炭層の賦存状態を明らかにするために,地表地質
調査,物理探鉱,試すい探鉱,坑道による直接調査
などによって行う作業の総称。 

exploration(英), 
prospecting(英), 
Erforschung(独), 
Schürfen(独) 

7118 

試すい 

地質調査,鉱物資源調査,地中からの流体資源採取
などのために,機械を用いて地中に穴を掘る作業。 

drilling(英), 
boring(英), 
Bohrung(独) 

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39 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(b) 選 炭 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

7201 

選炭 

(1) 採掘した石炭を主として物理的・機械的方法に

よって,精炭と廃石を分離する操作。 

(1) cleaning of coal(英), 
Sortierung von Steinkohle(独) 

(2) 採掘した石炭を市場の要求に合うように調製す

る処理技術の総称。 

(1)のほかに分粒,混炭,加工利用を包含する。 

(2)(3) coal preparation(英), 
Steinkohlenaufbereitung(独) 

(3) 製鉄所などにおいて,受け入れた石炭を利用上

の要求に合うように調製する処理技術の総称。 

7202 

原炭 

(1) 採掘したままの石炭。 
(2) 処理工程の原料となる石炭。 

(1) rawcoal(英), 
Rohkohle(独) 

(2) feed(英), 
Aufgabe(独) 

7203 

切込炭 
(きりこみたん) 

粒度調製など,一切の処理を施すことなく採掘した
ままの状態で取引きされる石炭。 

run-of-mine coal(英), 
Rohförderkohle(独) 

7204 

未選炭 

ふるい分け,脱じんなど,主として粒度調整のため
の処理だけを施し,選別を施さないまま市場に供給
される石炭。 

uncleaned coal(英), 
ungewaschene Kohle(独) 

7205 

ぼた 

原炭中に含まれる岩石。 
ずりとも呼ばれる。 

rock(英), 
Berge(独)  

7206 

精炭 

選炭の結果得られる高品位側の産物。 

clean coal(英), 
gewaschene Kohle(独) 

7207 

廃石 
(はいせき) 

採炭,選炭の過程で選別の結果廃棄された岩石,ス
ライム又は産物。 

waste(英), 
Abgänge(独) 

備考 慣用的には,ぼた,ずりと呼ばれること

もあるが,学術的には必ずしも適当でな
い。 

7208 

ミドリング 

選炭において,精炭と廃石の中間産物を取り出した
場合のその産物。 
2号炭ともいう。 

middling(英), 
Mittelgut(独) 

7209 

銘柄 

炭鉱名,品位,粒度などによって識別された石炭の
商品取引上の名称。 

brand(英), 
Fabrikmarke(独) 

7210 

塊炭 

塊状の石炭。 

備考 我が国では20mm以上ないし30mm以上

の石炭を指すのが普通である。粒度範囲
によって,大塊 (lump coal; Stückkohle),
中塊 (eggcoal),小塊 (nut coal),中小塊 
(Nuss) などの呼び名もある。 

lump coal(英), 
 

Stückkohle(独) 

7211 

粉炭 

粉状の石炭。 

fine coal(英), 
Feinkohle(独) 

備考 我が国では25mm以下ないし30mm以下

の石炭を指すのが普通である。 

参考 DINでは10mm以下と規定されている。 

7212 

微粉炭 

微細な石炭。 

pulverized coal(英) 

備考 粒度について正確な定義はないが,一般

には約0.5mm以下の石炭を指すことが多
い。電力用炭については2mm以下の石炭
を意味する場合もある。微粉炭燃焼にお
いては,100μm以下のものを指す。 

background image

40 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

7213 

可選性 
(かせんせい) 

石炭の選炭に対する適応性。 

備考 通常,浮沈試験の結果に基づいて描かれ

た可選曲線によって判断する。 

washability(英), 
Sortierbarkeit(独), 
Waschbarkeit(独) 

7214 

可選曲線 

(1) 浮沈試験の結果を基に,浮揚物と沈下物の理論

収量が読みとれるように,縦軸に各物質の質量 
(%),横軸に灰分 (%) を取った曲線群からなる
グラフ。 

washability curve(英), 
Verwachsungskurve(独) 

(2) 可選性を表すために用いられる曲線又はそれら

の曲線群からなるグラフ。 

備考 可選曲線にはヘンリー・ラインハルト 

(H.R) 曲線とマイヤー (M) 曲線があり,
前者はJIS M 8801に記載されている。 

7215 

浮沈試験 

種々の比重の重液(31)を使用し,これに対する浮揚物

と沈下物の量を測定することにより,粒子群の比重
構成を調べる試験。 
浮沈試験には通常真重液が使われている。各比重区
間に対する灰分の記載を伴うことが多い。試験方法
はJIS M 8801に規定されている。 

float and sink analysis(英), 
Schwimm und Sinkanalyse

(独) 

注(31) 1よりも大きい比重をもつ流体(真重液)

又は懸濁液(懸濁重液)をいう。 

7216 

歩留効率 

石炭の選別効率を表す指数。 
次の式により算出する。 

[

÷

(精炭の歩留)

歩留効率

)

(

(%)32

  

)

(32

の浮揚物の歩留

精炭と同一の灰分

 ×100 

organic efficiency(英), 
organisches Ausbringen(独) 

注(32) 浮揚物の歩留(理論歩留)は浮沈試験の

結果から求められる。 

7217 

粒度分布 

固体粒子群を構成している粒子の大きさの分布。 

size distribution(英),

Korngrössenverteilung(独) 

7218 

分粒 
(ぶんりゅう) 

固体粒子群をその粒度によって二つ以上のグループ
に分ける操作。 
その主な方法としては,ふるい分けと分級がある。 

sizing(英), 
Klassierung(独) 

7219 

ふるい分け 

粒子群をふるいによって分ける操作。 

screening(英), 
Siebklassierung(独) 

7220 

分級 

流体(通常,水又は空気)中における固体粒子の沈
降速度が,その粒度によって異なることを利用して,
それらを二つ以上の粒子群に分ける操作。 

classification(英), 
Stromklassierung(独) 

7221 

比重選別 

固体粒子の比重差を利用して行う選別法。重選以外
の湿式比重選別は,水選(すいせん)と呼ばれるこ
とがある。 

gravity concentration(英), 
Dichtesortierung(独), 
Wichtesortierung(独) 

7222 

ジグ選別 

ジグ(33)による選別。 

jigging(独), 
Setzen(独) 

注(33) 水などの流体中で,流体に上下の脈動を

与えるか,又は網を上下動させて,網の
上の石炭を比重選別する機械。 

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41 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

7223 

重選 

重液(31)による比重選別。 
重液選炭とも呼ばれる。 

dense medium separation(英), 
Schwertrübesortierung(独) 

備考 石炭の重選にはほとんど懸濁重液が使わ

れている。 

7224 

浮選 

固体粒子表面のそ(疏)水性の差を利用した湿式選
別法。 
浮遊選炭とも呼ばれる。 

flotation(英), 
Flotation(独) 

(c) 貯炭 

番号 

用語 

意味 

参考 

対応外国語 

7301 

積地 
(つみち) 

石炭を船で積み出しする場所。 

loading port(英), 
Aufladungshafen(独) 

7302 

揚地 
(あげち) 

船で運んだ石炭を荷揚げする場所。 

unloading port(英), 
discharging port(英), 
Ausladungshafen(独) 

7303 

貯炭場 

石炭を貯蔵しておく場所。 
通常 受入れ,払出しなどの設備を持つ。 

coal yard(英), 
Kohlenplatz(独) 

備考 貯炭には屋外貯炭と屋内貯炭の2方式が

ある。 

7304 

コールセンター 

海外炭を輸入する場合に,大形船受入機能を特定の
場所に集約し,そこから二次配送手段によって,石
炭を需要側に供給する中継基地。 

coal center(英), 
Kohlenlagerzentrum(独) 

7305 

自然発火 

たい積中の石炭から発生する熱の蓄積によって,石
炭の温度が上昇し,ついに発火する現象。 

spontaneous combustion(英), 
Selbstverbrennung(独) 

7306 

炭じん爆発 

空気中に浮遊する炭じんが,ある濃度範囲内にある
とき,引火によって爆発する現象。 

coal dust explosion(英), 
Kohlenstaubexplosion(独) 

7307 

石炭専用船 

石炭の大量輸送を目的として,船倉内に石炭をばら
積みできる構造をもつ輸送船。 

bulk coal carrier(英) 

7308 

スラリー輸送 

管路によるスラリーの輸送。 

slurry transportation(英), 
Schlammkohlentransport(独) 

引用規格: 

JIS B 0126 火力発電用語(ボイラ及び附属装置) 

JIS B 9909 集じん装置の仕様の表し方 

JIS K 1474 粒状活性炭試験方法 

JIS K 2151 コークス類の試験方法 

JIS K 2207 石油アスファルト 

JIS K 2301 燃料ガス及び天然ガスの分析・試験方法 

JIS K 2439 クレオソート油・加工タール・タールピッチ 

JIS M 0102 鉱山用語 

JIS M 1002 炭量計算基準 

JIS M 8601 天然黒鉛 

JIS M 8801 石炭類の試験方法 

JIS M 8803 石炭類の包蔵水分測定方法 

JIS M 8811 石炭類及びコークス類のサンプリング方法並びに全水分・湿分測定方法 

42 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS M 8812 石炭類及びコークス類の工業分析方法 

JIS M 8813 石炭類及びコークス類の元素分析方法 

JIS M 8814 石炭類及びコークス類の発熱量測定方法 

JIS M 8815 石炭灰及びコークス灰の分析方法 

JIS M 8816 石炭の微細組織成分及び反射率測定方法 

JIS R 2001 耐火物用語 

JIS R 7201 人造黒鉛電極 

JIS R 7221 高純度黒鉛素材 

JIS Z 8103 計測用語 

43 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

用語分類分科会 

木 村 英 雄 

工業技術院公害資源研究所 

(主 査) 

宮 津   隆 

日本鋼管株式会社 

(副主査) 

美 浦 義 明 

新日本製鐵株式会社 

(幹事長) 

松 原 健 次 

日本鋼管株式会社 

(副幹事長) 

佐々木 象二郎 

大阪瓦斯株式会社 

(幹 事) 

宮 川 亜 夫 

川崎製鐵株式会社 

(幹 事) 

西 田 清 二 

関西熱化学株式会社 

和 田 保 郎 

関西熱化学株式会社 

(幹 事) 

時 山 聖 司 

工業技術院 

(幹 事) 

山 口   潔 

工業技術院公害資源研究所 

(幹 事) 

小 沢 祥 浩 

工業技術院 

佐々木   実 

工業技術院 

井 口 利 夫 

新日本製鐵株式会社 

平 本 克 房 

新日本製鐵株式会社 

泉 谷 文 穂 

新日本製鐵株式会社 

中屋敷 英 彦 

新日本製鐵株式会社 

角 南 好 彦 

住友金属工業株式会社 

(幹 事) 

大 沢 祥 拡 

財団法人石炭技術研究所 

(幹 事) 

五十嵐 喜八郎 

電源開発株式会社 

河 辺 昭 光 

電源開発株式会社 

(幹 事) 

大和田   稔 

電源開発株式会社 

(幹 事) 

吉 田   孝 

電源開発株式会社 

大 塚 唯 男 

電力中央研究所 

小 野 達 雄 

電力中央研究所 

水 野 幸 雄 

東京瓦斯株式会社 

松 野 昌 平 

東京瓦斯株式会社 

野 村 和 夫 

東京瓦斯株式会社 

(幹 事) 

井 上 外志雄 

東京大学 

戸 田 忠 邦 

内外資源調査所 

坂 本 典 雄 

日本石炭協会 

鈴 木 喜 夫 

日本鋼管株式会社 

(幹 事) 

宮 間 宣 幸 

社団法人日本鉄鋼連盟 

高 田 勝 行 

社団法人燃料協会 

町 田 和 美 

三井石炭鉱業株式会社 

(幹 事) 

松 原 文 彦 

三井鉱山株式会社 

石 原 武 彦 

三菱化成工業株式会社 

(幹 事) 

浜 田 松 雄 

三菱化成工業株式会社 

家 坂 貞 男 

三菱鉱業セメント株式会社 

木 村   康 

社団法人日本鉄鋼連盟 

(事務局) 

田 中   武 

社団法人日本鉄鋼連盟 

(事務局) 

44 

M 0104-1984  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

源エネルギー部会 石炭・コークス及びその分析試験方法専門委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

木 村 英 雄 

工業技術院公害交源研究所 

安 藤 勝 良 

資源エネルギー庁石炭部 

井 上 外志雄 

東京大学工学部 

大 沢 祥 拡 

財団法人石炭技術研究所 

高 田 勝 行 

社団法人燃料協会 

野 口 順 路 

財団法人日本科学技術連盟 

卯 木   稔 

工業技術院標準部 

佐々木 象二郎 

大阪瓦斯株式会社総合研究所 

大 橋 脩 作 

日本石炭協会 

石 原 武 彦 

三菱化成工業株式会社第一事業本部 

松 野 昌 平 

東京瓦斯株式会社技術研究所 

小 島   武 

三菱鉱業セメント株式会社大宮研究所 

西 田 清 二 

関西熱化学株式会社研究所 

角 南 好 彦 

住友金属工業株式会社中央技術研究所 

宮 津   隆 

日本鋼管株式会社技術研究所 

青 木 茂 雄 

川崎製鐵株式会社技術管理部 

平 本 克 房 

新日本製鐵株式会社資源調査部 

宮 間 宣 幸 

社団法人日本鉄鋼連盟原料部 

五十嵐 喜八郎 

電源開発株式会社火力部 

(関係者) 

美 浦 義 明 

新日本製鐵株式会社第三技術研究所 

松 原 健 次 

日本鋼管株式会社技術研究所 

(事務局) 

時 山 聖 司 

工業技術院標準部材料規格課 

宮 崎 正 治 

工業技術院標準部材料規格課