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L 1907:2010  

(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 試料又は試験片の採取及び準備 ··························································································· 1 

5 試験場所························································································································· 1 

6 試験の種類 ······················································································································ 2 

7 試験方法························································································································· 2 

7.1 吸水速度法 ··················································································································· 2 

7.2 吸水率法 ······················································································································ 4 

7.3 表面吸水法(最大吸水速度及び最大吸水速度時点の吸水量) ·················································· 6 

8 試験報告書 ······················································································································ 8 

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(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人繊維評価

技術協議会(JTETC)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改

正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格であ

る。 

これによって,JIS L 1907:2004は改正され,この規格に置き換えられた。 

また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標

準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。 

  

日本産業規格          JIS 

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繊維製品の吸水性試験方法 

Testing methods for water absorbency of textiles 

序文 

この規格は,1994年に制定され,その後2回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は2004年に

行われたが,その後の技術的問題点に対応するために改正した。 

なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。 

適用範囲 

この規格は,繊維製品の吸水性試験方法について規定する。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 7516 金属製直尺 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS L 0105 繊維製品の物理試験方法通則 

JIS L 0208 繊維用語−試験部門 

JIS P 3801 ろ紙(化学分析用) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS R 3504 化学用体積計ガラス素材 

JIS R 3505 ガラス製体積計 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS L 0105及びJIS L 0208による。 

試料又は試験片の採取及び準備 

JIS L 0105の6.3(布状の試料及びその試験片)又は6.4[製品(縫製品)状の試料の試験片]によって

採取する。 

試験場所 

JIS L 0105の5.1(試験場所)による。 

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試験の種類 

試験は,次の3種類とし,これらの中から適切な方法を選んで行う。 

a) 吸水速度法(吸水速度) 

1) 滴下法 この方法は,主にはっ水性のあるもの(毛のように油分を含んだものなど。)以外のものに

適用する。 

2) バイレック法 この方法は,主に高吸水性以外のものに適用する。 

3) 沈降法 この方法は,主にタオル生地に適用する。 

b) 吸水率法(吸水率) この方法は,主に吸水性が比較的高いものに適用する。 

c) 表面吸水法(最大吸水速度及び最大吸水速度時点の吸水量) この方法は,主に高吸水性のものに適

用する。 

試験方法 

7.1 

吸水速度法 

7.1.1 

滴下法 

滴下法は,次による。 

a) 装置,器具及び水 装置,器具及び水は,次のものを用い,図1に示すような装置とする。 

1) 試験片保持枠 図2に示すような金属製のリング又はこれと同等に試験片が保持できるもの。 

2) ビュレット JIS R 3505に規定する活栓付きビュレット。 

3) ストップウォッチ 0.5秒を計測できるもの。 

4) 光源 水の鏡面反射が目で確認できる500 lx〜1 000 lxの明るさのもの。 

5) 水 JIS K 0050の附属書1表1(種別及び質)のA1〜A4に規定するものとし,その温度は20 ℃±

2 ℃とする。 

注記 JIS K 0050のA1〜A4の種類及び質を,表1に参考として示す。 

表1−種別及び質(参考) 

項目a) 

種別及び質 

A1 

A2 

A3 

A4 

電気伝導率 mS/m(25 ℃) 

0.5 以下 

0.1 b) c) 以下 

0.1 b) 以下 

0.1 b) 以下 

有機体炭素(TOC)mg/L 

1 以下 

0.5 

以下 

0.2 以下 

0.05 以下 

亜鉛 μg/L 

0.5 以下 

0.5 

以下 

0.1 以下 

0.1 以下 

シリカ μg/L 

− 

 50 

以下 

5.0 以下 

2.5 以下 

塩化物イオン μg/L 

10 以下 

以下 

以下 

以下 

硫酸イオン μg/L 

10 以下 

以下 

以下 

以下 

注a) 化学分析に用いる試験方法によっては,項目を選択してもよい。また,その試験方法で使用する水を規定し

ている場合は,それによる。 

b) 水精製装置の出口水を,電気伝導率計の検出部に直接導入して測定したときの値。 

c) 最終工程のイオン交換装置の出口に精密ろ過器などのろ過器を直接接続し,出口水を電気伝導率の検出部に

直接導入した場合には,0.01 mS/m(25 ℃)以下とする。 

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単位 mm 

単位 mm 

図1−滴下法の試験装置の例 

図2−試験片保持枠の例 

b) 操作 箇条4の試料から大きさ約200 mm×200 mmの試験片を5枚採取する。次に,試験片を試験片

保持枠に取り付け,光源と観察者との間に置き,試験片の表面からビュレットの先端までが10 mmの

高さになるように調整する。観察者は水による光の反射が明らかに見える角度から観察する。 

次に,ビュレットから水を1滴滴下させ,水滴が試験片の表面に達したときからその試験片が水滴

を吸収するにつれて鏡面反射が消え,湿潤だけが残った状態までの時間をストップウォッチで1秒単

位まで測定する。 

試験結果は,5枚の試験片の平均値を,JIS Z 8401の規則B(四捨五入法)によって整数に丸めて表

す。ただし,60秒以上経過しても吸水されない試験片が1枚以上ある場合には,試験報告書には,“60

秒以上”と付記する。 

7.1.2 

バイレック法 

バイレック法は,次による。 

a) 装置,器具及び水 装置,器具及び水は,次のものを用い,図3に示すような装置とする。 

1) 水槽 水平棒支持枠が接触しない程度の大きさのもの。 

2) 水平棒支持枠 水平棒が取り付けられ,水槽へ垂直に降下できるようにしたもの。 

3) 水平棒 防水性があり,試験片が取り付けられる材料のもの。 

4) スケール JIS B 7516に規定するもの。 

5) 水 7.1.1 a) 5) に規定する水とし,その温度は20 ℃±2 ℃とする。また,毛細管現象による水の上

昇した高さが読み取りにくい場合は,水の代わりに水溶性染料を薄く水に溶かした水溶液を用いて

もよい。 

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単位 mm 

図3−バイレック法の試験装置の例 

b) 操作 箇条4の試料から織物にあってはたて方向及びよこ方向,編物にあってはウェール方向及びコ

ース方向に,大きさ約200 mm×25 mmの試験片をそれぞれ5枚採取する。次に,水を入れた水槽の

水面上に支えた水平棒上に試験片をピンなどで固定した後,水平棒を降下させて,試験片の下端の20 

mm±2 mmが水に浸せきするように調整し,そのまま10分間放置する。放置後,毛細管現象によっ

て水が上昇した高さをスケールで1 mmまで測定する。 

試験結果は,たて方向及びよこ方向又はウェール方向,及びコース方向別にそれぞれ水が上昇した

高さの5回の平均値を,JIS Z 8401の規則B(四捨五入法)によって整数(mm)に丸めて表す。 

染料を用いた場合には,試験報告書に水溶性染料名を付記する。 

7.1.3 

沈降法 

沈降法は,次による。 

a) 装置及び器具 装置及び器具は,次のものを用いる。 

1) 水槽 試験片が接触しない程度の大きさのもの。 

2) ストップウォッチ 0.5秒を計測できるもの。 

3) 水 7.1.1 a) 5) に規定する水とし,その温度は20 ℃±2 ℃とする。 

b) 操作 箇条4の試料から大きさ10 mm×10 mmの試験片を3枚採取する。次に,試験片の測定面を下

向きにして,水を入れた水槽中に浮かべた後,試験片が湿潤して水中に沈降し始めるまでの時間をス

トップウォッチで1秒単位まで測定する。60秒以上経過しても沈降しない場合は,沈降しないものと

判定する。ただし,試験片3枚のうち1枚が沈降しない場合は,更に1枚の試験片を追加採取し,同

様の試験を行う。 

試験結果は,試験片3枚又は追加した1枚を含む4枚のうち,60秒以内に3枚が沈降したものにつ

いて,試験片が湿潤して水中に沈降し始めるまでの時間の平均値をJIS Z 8401の規則B(四捨五入法)

によって整数に丸めて表す。ただし,試験片3枚又は追加した1枚を含む4枚のうち,2枚以上が沈

降しない場合は,この試料は60秒以内に沈降しないものと判定し,試験報告書には,“60秒以上”と

付記する。 

なお,表裏が明らかに異なる生地又は明らかに異なる加工が施されている生地については表裏のそ

れぞれを試験し,表裏を明記して試験報告書に付記する。 

7.2 

吸水率法 

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吸水率法は,次による。 

a) 装置及び器具 装置及び器具は,次のものを用いる。 

1) 浸せき槽 試験片が接触しない程度の大きさのもので,200 mm以上の水位が保てるもの。 

2) おもり 試験片を浸せき槽の底に沈ませるのに十分な質量があるもの。 

3) ろ紙 JIS P 3801に規定する2種の角形ろ紙 (200 mm×200 mm)。 

4) 水 7.1.1 a) 5) に規定する水とし,その温度は20 ℃±2 ℃とする。 

5) ロール絞り機 図4に示すようなもので,絞り機のロールは,長さ300 mm,直径50 mm〜65 mm

のロールに,質量27 kg±0.3 kgの上側押さえによって荷重が均一に加えられるようになっているも

ので,かつ,ロールの表面速度が25 mm/sに調整できるもの。 

注記 上側押さえは,上側ロールとこれを支える枠からなり,おもりによって質量が調整できる

構造のものがよい。 

図4−ロール絞り機の例 

b) 操作 箇条4の試料から大きさ75 mm×75 mmの試験片を3枚採取する。次に,試験片の質量を1 mg

まで測定し,図5に示すように試験片が水中に沈降するのに十分なおもりを一端に取り付けた後,水

を入れた浸せき槽中に入れ,水面下50 mmのところに試験片の上端がくるように水位を調整し,20

分間浸せきする。 

浸せき後,試験片を浸せき槽から取り出し,2枚の乾燥したろ紙の間に挟み,25 mm/sの表面速度で

ロール絞り機に通した後,直ちに試験片の質量を1 mgまで測定し,次の式によって吸水率を求める。 

試験結果は,吸水率の3回の平均値をJIS Z 8401の規則B(四捨五入法)によって整数に丸めて表

す。 

100

1

1

2

×

=

m

m

m

c

ここに, 

c: 吸水率(%) 

m1: 吸水前の試験片の質量(mg) 

m2: 吸水させ,ロール絞り機で絞った後の試験片の質量(mg) 

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単位 mm 

図5−浸せき槽への試験片の設置方法の例 

7.3 

表面吸水法(最大吸水速度及び最大吸水速度時点の吸水量) 

表面吸水法(最大吸水速度及び最大吸水速度時点の吸水量)は,次による。 

a) 装置及び器具 

1) 吸水性測定装置 図6に示すようなガラスろ過板,吸水量測定管,試料ホルダー,昇降装置などを

組み合わせた装置で,吸水量測定管によって液量を0.01 mL単位まで読み取れる装置が付いている

もの又はこれと同等以上の性能をもつもの。 

なお,図6はメニスカス読取りセンサー式吸水性測定装置で,吸水量測定管内の水と空気との境

の半月状部分を自動感知し,試験片の吸水による水移動(水と空気との境の半月状部分)を自動追

尾しつつ,記録計に一定時間ごとのデータを送ることのできる測定装置の例である。 

2) 吸水量測定管 JIS R 3504に規定する等級が硬質のもので,外径10 mm〜12 mm,内径6 mm±0.3 

mm,フルスケール10 mLのガラス管又はこれと同等以上の性能をもつもの。 

3) ガラスろ過板 JIS R 3503に規定するろ過板の細孔記号2のもので,直径63 mm±2 mmで通水抵

抗が標準状態の室内において,吸い込み圧力118 Pa±2 Paで吸引したとき,10秒間後の通水量が3.36 

mL±0.01 mLでなければならない。 

なお,細孔記号2のろ過板は,通水量の確認後使用する。また,定期的に確認する。 

4) ドーナツ板 ポリエチレンテレフタレート製で,外径63 mm±2 mm,内径20.0 mm±0.5 mm,厚さ

0.10 mm±0.05 mmのもの。 

5) 試料ホルダー プラスチック又は金属製で,底面の直径60 mm±2 mm,質量480 g±5 gのもの。ホ

ルダーだけで質量が不足のものは所定の質量になるようおもりを用いる。 

6) 昇降装置 74 mm/min±5 mm/minで試料ホルダーをガラスろ過板面に降下させ,試料ホルダーをガ

ラスろ過板上に降下させた後,試料ホルダー及び降下装置が互いに接触しない状態にできる装置。 

7) 水 7.1.1 a) 5) に規定する水とし,その温度は20 ℃±2 ℃とする。 

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単位 mm 

図6−表面吸水性測定装置の例 

b) 操作 箇条4の試料から直径60 mmの試験片を5枚採取する。吸水量測定管及びガラスろ過板が水平

になるようにガラスろ過板を取り付け,ガラスろ過板の上表面と吸水量測定管の中心との高低差(ヘ

ッド差)を30 mm±1 mmに調節する。次に,水を吸水量測定管の測定開始点まで供給した後,吸水

タンク上のガラスろ過板面の上表面の位置まで水を供給する。 

次に,ドーナツ板をガラスろ過板上に載せ,試料ホルダーの底面に両面接着テープなどで試験片を

はりつけ,昇降装置に設置し,74 mm/min±5 mm/minの速度で試料ホルダーをガラスろ過板面に降下

させる。試験片とガラスろ過板が接触し,試験片が吸水を開始してから1秒間ごとの吸水量を吸水量

測定管で0.01 mLまで測定し,次の式によって各時間ごとの吸水速度を求める。 

t

X

X

C

n

n

vn

+1

=

ここに, 

Cvn: n秒時点の吸水速度(mL/s) 

Xn+1: n+1秒時点の吸水量(mL) 

Xn: n秒時点の吸水量(mL) 

t: 吸水量の測定間隔(s) 

次に,表2の例のように各時間における吸水量及び吸水速度の関係から,最大吸水速度及び最大吸

水速度時点の吸水量を求める。 

試験結果は,最大吸水速度及び最大吸水速度時点の吸水量のそれぞれ5回の平均値をJIS Z 8401の

規則B(四捨五入法)によって小数点以下2けたに丸めて表す。この場合,最初の最大値を“最大吸

水速度”とし,その時点までの吸水量を“最大吸水速度時点の吸水量”として用いる。また,必要に

応じて飽和吸水量も用いる。試験報告書には,最大吸水速度を測定した時間の平均も付記する。 

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表2−吸水速度の求め方の例 

測定時間 

測定結果 

計算結果 

計算[7.3 b) の計算式使用] 

吸水量 

mL 

吸水速度

mL/s 

0.02 

0.02 

(0.02−0)÷ 1=0.02 

0.10 

0.08 

(0.10−0.02)÷ 1=0.08 

0.50 

0.40 

(0.50−0.10)÷ 1=0.40 
最初の最大吸水速度=0.40 
最大吸水速度時点の吸水量=0.50 

0.54 

0.04 

(0.54−0.50)÷1=0.04 

… 

… 

… 

   … 

試験報告書 

試験報告書には,次の事項を記載する。 

a) 試験年月日 

b) 規格番号 

c) 試験方法 

d) 試験条件 

e) 試験結果