K 9032:2019
(1)
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 1
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(C6H6O2)(GC),カテコール(C6H6O2)及びヒドロキノン(C6H6O2) ···························· 3
6.3 水溶状 ························································································································· 4
6.4 融点 ···························································································································· 5
6.5 強熱残分(硫酸塩) ······································································································· 5
6.6 酸(H2SO4として) ········································································································ 5
7 容器······························································································································· 6
8 表示······························································································································· 6
K 9032:2019
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 9032:1995は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成31年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 9032:1995を適用してもよい。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
K 9032:2019
レソルシノール(試薬)
Resorcinol (Reagent)
C6H6O2 FW:110.11
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるレソルシノールについて規定する。
注記 別名:1,3-ベンゼンジオール,レゾルシン,1,3-ジヒドロキシベンゼン
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0064 化学製品の融点及び溶融範囲測定方法
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0114 ガスクロマトグラフィー通則
JIS K 0117 赤外分光分析通則
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8032 アセトニトリル(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8738 ヒドロキノン(試薬)
JIS K 8840 ブロモクレゾールグリーン(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
3
種類
種類は,特級とする。
2
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4
性質
4.1
性状
レソルシノールは,無色から白又はごくうすい黄からごくうすい赤の結晶又は結晶性粉末で,水及びエ
タノール(99.5)に極めて溶けやすく,ジエチルエーテルに溶けやすい。光と酸素によって酸化を受け,
徐々にうすい赤を呈する。
4.2
定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数3 230 cm-1,1 609 cm-1,1 491 cm-1,
1 381 cm-1,1 297 cm-1,1 152 cm-1,963 cm-1及び774 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。この場合,試料
調製は,JIS K 0117の5.2 b)(錠剤法)による。錠剤の調製に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペ
クトルの例を図1に示す。
図1−赤外吸収スペクトルの例
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(C6H6O2)(GC)
面積分率 %
99.0 以上
6.2
水溶状
−
試験適合
6.3
融点
℃
109〜112
6.4
強熱残分(硫酸塩)
質量分率 %
0.01 以下
6.5
酸(H2SO4として)
質量分率 %
0.02 以下
6.6
カテコール(C6H6O2)
質量分率 %
0.1 以下
6.2
ヒドロキノン(C6H6O2)
質量分率 %
0.2 以下
6.2
3
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6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(C6H6O2)(GC),カテコール(C6H6O2)及びヒドロキノン(C6H6O2)
純度(C6H6O2)(GC),カテコール(C6H6O2)及びヒドロキノン(C6H6O2)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) アセトニトリル JIS K 8032に規定するもの。
2) カテコール 純度(GC)面積百分率99.0 %以上のもの。
3) ヒドロキノン JIS K 8738に規定するもの。
4) N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド 純度75 %以上で,分析条件[c) 参照]によって試
験し,レソルシノール,カテコール及びヒドロキノンの各誘導体の保持時間に不純物ピークを検出
しないもの。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) マイクロシリンジ又は試料導入装置 少量の定容量の測定溶液をガスクロマトグラフのカラムに導
入するマイクロシリンジ又は装置。
2) ガスクロマトグラフ 装置の構成は,JIS K 0114に規定するもの。
c) 分析条件 分析条件は,次による。
N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド及びカテコール,レソルシノール及びヒドロキノンの
各誘導体が分離度1.5以上であることを確認し,その条件で測定する。
1) 検出器の種類 水素炎イオン化検出器
2) 固定相液体名 100 %メチルシリコーン,50 %メチル−50 %フェニルシリコーンなど
3) 固定相液体の膜厚 0.25 μm〜2.0 μm
4) カラム用キャピラリーの材質,内径及び長さ カラム用キャピラリーの材質,内径及び長さは次に
よる。
・ 材質 石英ガラス製又は耐熱ガラス製
・ 内径 0.25 mm〜1.2 mm
・ 長さ 20 m〜40 m
5) 設定温度 カラム槽 100 ℃〜200 ℃(用いるカラムに応じて昇温してもよい。)
試料気化室 180 ℃〜200 ℃
検出器槽 240 ℃〜260 ℃
6) キャリヤーガスの種類及び線速度(流量) ヘリウム 約30 cm/秒(2 mL/min〜30 mL/min)
7) 試料溶液の導入方式 直接注入法又はスプリット方式(スプリット比1:100など)
8) 試料溶液の導入量 1.0 μLなど,カラムに適した量
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製(トリメチルシリル誘導体化)は,試料0.50 gを全量フラスコ10 mLにはかりとり,
アセトニトリル8 mLを加えて溶かし,アセトニトリルを標線まで加えて混合する(A液)。A液2 mL
(試料量0.1 g)を全量フラスコ10 mLに正確にとり,N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド
2.5 mLを加え,アセトニトリルを標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,全量フラスコ100 mLにカテコール10 mg及びヒドロキノン20 mgをはかりと
り,アセトニトリルを標線まで加えて混合する(B液)。全量フラスコ10 mLにA液2 mL(試料量
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0.1 g)を正確にとり,B液1 mL(カテコール量0.1 mg,ヒドロキノン量0.2 mg)を正確に加え,
N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド2.5 mLを加え,アセトニトリルを標線まで加えて混合
する(Y液)。
3) X液及びY液をマイクロシリンジ又は試料導入装置を用いてガスクロマトグラフに導入してクロマ
トグラムを記録する。
なお,必要があればN,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミドについて空試験を行って補正し,
あらかじめ,レソルシノール,カテコール,ヒドロキノンの各誘導体及びN,O-ビス(トリメチルシ
リル)アセトアミドの保持時間を確認しておく。
4) クロマトグラムのピーク面積の測定は,JIS K 0114の11.3 a)(データ処理ソフト又はデータ処理装
置を用いる方法)による。
e) 定量法 成分の定量は,次による。
1) 純度(C6H6O2)(GC) アセトニトリル及びN,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミドに起因す
る成分を除く各成分のピーク面積を測定し,JIS K 0114の11.5(面積百分率法)によって純度
(C6H6O2)(GC)を計算する。
2) カテコール(C6H6O2)及びヒドロキノン(C6H6O2)の含有率 X液及びY液のカテコール及びヒ
ドロキノンの各誘導体のピーク面積を測定し,次の式によって各成分の含有率を計算する。
100
000
1
sam
sam
std
sam
std
×
−
×
=
m
A
A
A
m
C
ここに,
C: カテコール(C6H6O2)及びヒドロキノン(C6H6O2)の含有
率(質量分率 %)
msam: 試料の質量(g)
mstd: Y液中のカテコール(C6H6O2)及びヒドロキノン(C6H6O2)
の質量(mg)
Asam: X液中のカテコール(C6H6O2)及びヒドロキノン(C6H6O2)
の示す面積
Astd: Y液中のカテコール(C6H6O2)及びヒドロキノン(C6H6O2)
の示す面積
f)
判定 計算して得られたカテコール(C6H6O2)の含有率及びヒドロキノン(C6H6O2)の含有率が規格
値に適合するとき,“カテコール(C6H6O2):質量分率0.1 %以下(規格値),ヒドロキノン(C6H6O2):
質量分率0.2 %以下(規格値)”とする。
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合したもの。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加
えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウ
ム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
5
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b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。
澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[c)
参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,水を加えて20 mL
とし,振り混ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 例えば,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,水を
加えて20 mLにする。
2) 試料溶液は,試料を溶かした直後に濁りの程度をb) と比較する。ごみ,浮遊物などの異物の有無
を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 次の1) 及び2) に適合するとき,“水溶状:試験適合(規格値)”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b) の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
6.4
融点
融点の試験方法は,JIS K 0064の3.(融点測定方法)による。
6.5
強熱残分(硫酸塩)
強熱残分(硫酸塩)の試験方法は,JIS K 0067の4.4.4(4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)による。
この場合,試料10 gをはかりとる。JIS K 8951に規定する硫酸1.0 mLを用い,強熱温度は,600 ℃±50 ℃
とする。強熱残分(硫酸塩)は,0.1 mgの桁まではかる。
6.6
酸(H2SO4として)
酸(H2SO4として)の試験方法は,次による。
a) ガス及び試験用溶液類 ガス及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 窒素 JIS K 1107に規定するもの。
2) 0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:2.000 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウムを
用い,JIS K 8001のJA.6.5 c) 1)(0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液)に従って調製,標定及び計算
したもの。
3) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。
4) ブロモクレゾールグリーン溶液 JIS K 8840に規定するブロモクレゾールグリーン0.10 gをはかり
とり,水を加えて溶かし,水で100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。
b) 器具 主な器具は,次による。
・ メスピペット又はミクロビュレット 最小目盛0.01 mLのもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,あらかじめ窒素を約200 mL/minの流量で約2分間通じて,空気を置換した三角
フラスコ200 mLなどに試料5.0 gをはかりとり,二酸化炭素を除いた水50 mLを加えて溶かす。
2) ブロモクレゾールグリーン溶液3滴を加え,液面に窒素を通じながら,メスピペット又はミクロビ
ュレットを用いて0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液0.4 mLを加える。
d) 判定 試料溶液から得られた液の色が,中間色からアルカリ性側の色(青)を示すとき,“酸(H2SO4
として):質量分率0.02 %以下(規格値)”とする。
注記 0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLは,0.002 452 g H2SO4に相当する。
6
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7
容器
容器は,遮光した気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称“レソルシノール”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号