サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

K 8885:2018  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 種類······························································································································· 1 

4 性質······························································································································· 2 

4.1 性状 ···························································································································· 2 

4.2 定性方法 ······················································································································ 2 

5 品質······························································································································· 2 

6 試験方法························································································································· 2 

6.1 一般事項 ······················································································································ 2 

6.2 塩酸可溶分 ··················································································································· 2 

6.3 ふっ化水素酸不揮発物(硫酸塩)······················································································ 3 

6.4 強熱減量(950 ℃±50 ℃) ····························································································· 3 

6.5 塩化物(Cl) ················································································································ 3 

6.6 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 4 

6.7 ナトリウム(Na) ·········································································································· 5 

6.8 カルシウム(Ca),鉛(Pb)及び鉄(Fe) ·········································································· 6 

6.9 ナトリウム(Na),カルシウム(Ca),鉛(Pb)及び鉄(Fe) ················································ 7 

7 容器······························································································································· 9 

8 表示······························································································································· 9 

K 8885:2018  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正

すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS K 8885:1994は改正され,この規格に置き換えられた。 

なお,平成30年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ

ーク表示認証において,JIS K 8885:1994によることができる。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 8885:2018 

二酸化けい素(試薬) 

Silicon dioxide (Reagent) 

SiO2  FW:60.08 

適用範囲 

この規格は,試薬として用いる二酸化けい素について規定する。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS H 6202 化学分析用白金皿 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法 

JIS K 0116 発光分光分析通則 

JIS K 0121 原子吸光分析通則 

JIS K 0970 ピストン式ピペット 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8102 エタノール(95)(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8550 硝酸銀(試薬) 

JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬) 

JIS K 8617 炭酸カルシウム(試薬) 

JIS K 8819 ふっ化水素酸(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬) 

JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬) 

JIS K 8987 硫酸ナトリウム(試薬) 

JIS P 3801 ろ紙(化学分析用) 

種類 

種類は,特級とする。 

background image

K 8885:2018  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

性質 

4.1 

性状 

二酸化けい素は,白い粉末又は粒で,水にほとんど溶けない。熱水酸化ナトリウム溶液に溶ける。 

4.2 

定性方法 

定性方法は,排気に注意して,次による。 

a) 試料0.5 g(粒の場合は,すり潰して粉末とする。)を白金皿にとり,ふっ化水素酸20 mLを加え,水

浴上で蒸発乾固すると,試料はほとんど揮散する。 

b) 試料0.1 gに水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)10 mLを加え,加熱して溶かし,塩酸(2+1)4 mLを

加えると,白い沈殿が現れる。 

品質 

品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。 

表1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

塩酸可溶分 

質量分率 % 

0.5以下 

6.2 

ふっ化水素酸不揮発物(硫酸塩) 

質量分率 % 

0.5以下 

6.3 

強熱減量(950 ℃±50 ℃) 

質量分率 % 

6.0以下 

6.4 

塩化物(Cl) 

質量分率 % 

0.005以下 

6.5 

硫酸塩(SO4) 

質量分率 % 

0.005以下 

6.6 

ナトリウム(Na) 

質量分率 % 

0.05以下 

6.7又は6.9 

カルシウム(Ca) 

質量分率 % 

0.005以下 

6.8又は6.9 

鉛(Pb) 

質量分率 % 

0.005以下 

6.8又は6.9 

鉄(Fe) 

質量分率 % 

0.005以下 

6.8又は6.9 

試験方法 

6.1 

一般事項 

試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。 

6.2 

塩酸可溶分 

塩酸可溶分の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

− 塩酸(1+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積1と水の体積1とを混合したもの。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) ろ紙 JIS P 3801に規定する5種Cのもの。 

2) 白金皿 JIS H 6202に規定するもの。 

3) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。 

4) 電気炉 650 ℃±50 ℃に調節できるもの。 

c) 操作 有毒な塩化水素ガスが発生するので,操作は,排気に注意して,次のとおり行う。 

1) ビーカー200 mLなどに試料2.0 gをはかりとり,塩酸(1+1)100 mLを加え,水浴上で約30分間

加熱する。 

2) 冷却後,全量フラスコ100 mLに移し,水を標線まで加えて混合する。 

K 8885:2018  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3) ろ紙を用いてろ過し,初めのろ液約20 mLを捨て,ろ液50 mL(試料量1 g)をあらかじめ恒量とし

た白金皿(a g)にとり,水浴上で蒸発乾固する。 

4) 白金皿を電気炉に移し,650 ℃±50 ℃で強熱する。 

5) 放冷後,白金皿の質量を0.1 mgの桁まではかる(b g)。 

d) 計算 塩酸可溶分は,次の式によって算出する。 

100

×

=ma

b

A

ここに, 

A: 塩酸可溶分(質量分率 %) 

m: はかりとった試料の質量(g) 

a: 恒量にした白金皿の質量(g) 

b: 強熱後の白金皿の質量(g) 

6.3 

ふっ化水素酸不揮発物(硫酸塩) 

ふっ化水素酸不揮発物(硫酸塩)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) ふっ化水素酸 JIS K 8819に規定するもの。 

2) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々に

加えたもの。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) 白金皿 6.2 b) 2)による。 

2) 水浴 6.2 b) 3)による。 

3) 電気炉 6.2 b) 4)による。 

c) 操作 有毒なふっ化水素ガスが発生するので,操作は,排気に注意して,次のとおり行う。 

1) 白金皿に試料1.0 gをはかりとり,ふっ化水素酸10 mL及び硫酸(1+1)5 mLを加え,水浴上で蒸

発濃縮し,熱板(ホットプレート)上で硫酸の白煙が発生しなくなるまで加熱する。 

2) “ふっ化水素酸5 mL及び硫酸(1+1)2.5 mLを加え,水浴上で蒸発濃縮し,熱板(ホットプレー

ト)上で硫酸の白煙が発生しなくなるまで加熱する”(2回繰り返す。)。 

3) 強熱する。強熱残分は,0.1 mgの桁まではかる。 

d) 計算 ふっ化水素酸不揮発物(硫酸塩)は,次の式によって算出する。 

100

×

=ma

b

B

ここに, 

B: ふっ化水素酸不揮発物(硫酸塩)(質量分率 %) 

m: はかりとった試料の質量(g) 

a: 恒量にした白金皿の質量(g) 

b: 強熱後の白金皿の質量(g) 

6.4 

強熱減量(950 ℃±50 ℃) 

強熱減量(950 ℃±50 ℃)は,JIS K 0067による。この場合,試料1.0 gを白金皿に0.1 mgの桁までは

かりとり,950 ℃±50 ℃で強熱する。強熱減量は,0.1 mgの桁まではかる。 

6.5 

塩化物(Cl) 

塩化物(Cl)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

K 8885:2018  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1) 硫酸ナトリウム JIS K 8987に規定するもの。 

2) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と

を混合したもの。 

3) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加

えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。 

4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウ

ム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。 

この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具 主な器具は,次による。 

1) ろ紙 6.2 b) 1)による。 

2) 共通すり合わせ平底試験管 例えば,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,硫酸ナトリウム2 g及び

水40 mLを加えて溶かし2分間煮沸する。冷却後,水を加えて40 mLにし,ろ紙でろ過し,初めの

ろ液約10 mLを捨て,ろ液20 mL(試料量0.5 g)を共通すり合わせ平底試験管にとる。 

2) 比較溶液の調製は,硫酸ナトリウム1 g及び塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)2.5 mLを共通すり合

わせ平底試験管にとり,水を加えて20 mLにする。 

3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸(1+2)5 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えて振り混ぜた後,

15分間放置する。 

4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験

管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。 

d) 判定 c)によって操作し, 試料溶液から得られた液の濁りが,比較溶液から得られた液の白濁より濃

くないとき,“塩化物(Cl):質量分率0.005 %以下(規格値)”とする。 

6.6 

硫酸塩(SO4) 

硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。 

2) 塩化ナトリウム JIS K 8150に規定するもの。 

3) 塩化バリウム溶液(100 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gを水に溶かして

100 mLにしたもの。 

4) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合したもの。 

5) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8962に規定する硫酸カリウム

1.81 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。 

この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) ろ紙 6.2 b) 1)による。 

2) 共通すり合わせ平底試験管 6.5 b) 2)による。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

background image

K 8885:2018  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,塩化ナトリウム2 g及び

水40 mLを加えて溶かし2分間煮沸する。冷却後,水を加えて40 mLにし,ろ紙でろ過し,初めの

ろ液約10 mLを捨て,ろ液20 mL(試料量1.0 g)を共通すり合わせ平底試験管にとる。 

2) 比較溶液の調製は,塩化ナトリウム1 g及び硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)5.0 mLを共通すり合

わせ平底試験管にとり,水で20 mLにする。 

3) 試料溶液及び比較溶液に,塩酸(2+1)0.3 mL,エタノール(95)3 mL及び塩化バリウム溶液(100 

g/L)2 mLを加えて振り混ぜた後,1時間放置する。 

4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験

管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。 

d) 判定 c)によって操作し,試料溶液から得られた液の濁りが,比較溶液から得られた液の白濁より濃

くないとき,“硫酸塩(SO4):質量分率0.005 %以下(規格値)”とする。 

6.7 

ナトリウム(Na) 

ナトリウム(Na)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) ふっ化水素酸 6.3 a) 1)による。 

2) 塩酸(2+1) 6.6 a) 4)による。 

3) 硫酸(1+1) 6.3 a) 2)による。 

4) ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナト

リウム2.54 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合

する。この液100 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。ポリ

エチレンなどの樹脂製瓶に保存する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) 白金皿 6.2 b) 2)による。 

2) 水浴 6.2 b) 3)による。 

3) フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。 

c) ナトリウム(Na)の測定波長 ナトリウムの測定波長の例を表2に示す。 

表2−ナトリウム(Na)の測定波長の例 

分析種 

測定波長 nm 

ナトリウム(Na) 

589.0 

d) 操作 有毒なふっ化水素ガスが発生するので,操作は,排気に注意して,次のとおり行う。 

1) 試料5.0 gを白金皿にはかりとる。“ふっ化水素酸20 mL及び硫酸(1+1)5 mLを加え,水浴上で蒸

発濃縮し,熱板(ホットプレート)上で硫酸の白煙が発生しなくなるまで加熱する。”(2回繰り返

す。)。 

塩酸(2+1)5 mLを加え,熱板(ホットプレート)上で加熱し,残分を溶かし,約0.5 mLまで

濃縮し,塩酸(2+1)3 mLを加える。冷却後,全量フラスコ100 mLに移し,水を標線まで加えて

混合する(A液)。 

2) 試料溶液の調製は,A液4.0 mL(試料量0.2 g)を全量フラスコ100 mLにとり,水を加えて溶かし,

K 8885:2018  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

水を標線まで加えて混合する(X液)。 

3) 比較溶液の調製は,A液4.0 mL(試料量0.2 g)を全量フラスコ100 mLにとり,ナトリウム標準液

(Na:0.1 mg/mL)1.0 mLを加え,水を標線まで加えて混合する(Y液)。 

4) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表2に示す測

定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン−空気フレ

ーム中に噴霧し,ナトリウムの吸光度を測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。 

5) 測定結果は,X液の指示値n1をY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1と比較する。 

e) 判定 d)によって操作し,n1がn2−n1より大きくないとき,“ナトリウム(Na):質量分率0.05 %以下

(規格値)”とする。 

注記 ナトリウムの含有率(質量分率 %)は,次の式によっておおよその参考値を求めることがで

きる。 

100

000

1

1

2

1

×

×

×

=m

n

n

n

B

A

ここに, 

A: ナトリウムの含有率(質量分率 %) 

B: 用いた標準液中のナトリウムの質量(mg) 

m: はかりとった試料の質量(g) 

6.8 

カルシウム(Ca),鉛(Pb)及び鉄(Fe) 

カルシウム(Ca),鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) カルシウム標準液(Ca:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,カルシウム標準液(Ca:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8617に規定する炭酸カル

シウム2.50 gをはかりとり,水50 mL及び塩酸(2+1)15 mLを加え,沸騰しない程度に加熱して

溶かし,更に二酸化炭素を除き,冷却する。これを全量フラスコ1 000 mLに移し,水を標線まで加

えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ100 mLに正確にとり,塩酸(2+1)1.5 mLを加え,

更に水を標線まで加えて混合する。カルシウム系の可塑剤を含まないポリエチレンなどの樹脂製瓶

に保存する。 

2) 鉛標準液(Pb:0.1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,鉛標準液(Pb:0.1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 g

を全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mLを加えて溶かし,水を標線まで加えて

混合する。この液100 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,更

に水を標線まで加えて混合する。 

3) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム

鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて

溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸

(1+2)25 mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

− フレーム原子吸光分析装置 6.7 b) 3)による。 

c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表3に示す。 

background image

K 8885:2018  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表3−分析種の測定波長の例 

分析種 

測定波長 nm 

カルシウム(Ca) 

422.7 

鉛(Pb) 

283.3 

鉄(Fe) 

248.3 

d) 操作 有毒な塩化水素ガスが発生するので,操作は,排気に注意して,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,6.7のA液40 mL(試料量2.0 g)を全量フラスコ100 mLにとり,水を加えて溶

かし,水を標線まで加えて混合する(X液)。 

2) 比較溶液の調製は,6.7のA液40 mL(試料量2.0 g)を全量フラスコ100 mLにとり,カルシウム標

準液(Ca:0.01 mg/mL)10 mL,鉛標準液(Pb:0.1 mg/mL)1.0 mL及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)

10 mLを加え,水を標線まで加えて混合する(Y液)。 

3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表3に示す測

定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン−空気フレ

ーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。 

4) 測定結果は,X液の指示値n1をY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1と比較する。 

e) 判定 d)によって操作し,n1がn2−n1より大きくないとき,“カルシウム(Ca):質量分率0.005 %以

下(規格値),鉛(Pb):質量分率0.005 %以下(規格値),鉄(Fe):質量分率0.005 %以下(規格値)”

とする。 

6.9 

ナトリウム(Na),カルシウム(Ca),鉛(Pb)及び鉄(Fe) 

ナトリウム(Na),カルシウム(Ca),鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) ふっ化水素酸 6.3 a) 1)による。 

2) 硝酸(1+2) 6.5 a) 2)による。 

3) 硫酸(1+1) 6.3 a) 2)による。 

4) ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/mL) 6.7 a) 4)による。 

5) カルシウム標準液(Ca:0.01 mg/mL) 6.8 a) 1)による。 

6) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,鉛標準液(Pb:0.1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 g

を全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mLを加えて溶かし,水を標線まで加えて

混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,更に

水を標線まで加えて混合する。 

7) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 6.8 a) 3)による。 

8) イットリウム標準液(Y:1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,イットリウム標準液(Y:1 mg/mL)を調製する場合は,次のいずれかによる。 

8.1) 硝酸イットリウム(III)六水和物(質量分率99.9 %以上)4.31 gを全量フラスコ1 000 mLにはか

りとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。 

8.2) 酸化イットリウム(III)(質量分率99.99 %以上)1.27 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,JIS 

K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)75 mLを加えて,熱板(ホットプレート)

上で加熱し溶解させ,全量フラスコ1 000 mLに移し,ビーカー200 mLなどを洗い,洗液を全量フ

background image

K 8885:2018  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ラスコ1 000 mLに加えた後,水を標線まで加えて混合する。 

注記 イットリウム標準液は,ICP発光分光分析法で発光強度を補正するための内標準である。

市販のイットリウム標準液(Y:1 mg/mL)は,使用目的に合致した場合には,市販のも

のを用いてもよい。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) 白金皿 6.2 b) 2)による。 

2) 水浴 6.2 b) 3)による。 

3) ピストン式ピペット JIS K 0970に規定するもの。 

4) ICP発光分光分析装置 装置の構成は,JIS K 0116に規定するもの。 

c) 分析種及び内標準イットリウムの測定波長 分析種及び内標準イットリウムの測定波長の例を表4に

示す。 

表4−分析種及び内標準イットリウムの測定波長の例 

測定元素 

測定波長 nm 

ナトリウム(Na) 

589.592 

カルシウム(Ca) 

396.847 

鉛(Pb) 

220.535 

鉄(Fe) 

238.204 

イットリウム(Y) 

360.074 

d) 操作 有毒なふっ化水素ガス及び硫酸ミストが発生するので,操作は,排気に注意して,次のとおり

行う。 

1) 試料1.0 gを白金皿にはかりとる。“ふっ化水素酸10 mL及び硫酸(1+1)5 mLを加え,水浴上で蒸

発濃縮し,熱板(ホットプレート)上で硫酸の白煙が発生しなくなるまで加熱する。”(2回繰り返

す。)。 

硝酸(1+2)5 mLを加え,熱板(ホットプレート)上で加熱し,残分を溶かし,約0.5 mLまで

濃縮し,硝酸(1+2)1 mLを加える。冷却後,全量フラスコ50 mLに移し,水を標線まで加えて混

合する。この液10 mL(試料量0.2 g)を全量フラスコ100 mLに正確にとり,硝酸(1+2)2 mL及

びイットリウム標準液(Y:1 mg/L)100 µLを加え,水を標線まで加えて混合する(X液)。 

2) 検量線溶液の調製は,3個の全量フラスコ100 mLそれぞれに硝酸(1+2)2 mL及びイットリウム

標準液(Y:1 mg/L)100 µLを加え,ピストン式ピペットを用いて表5に示す各標準液の体積を3

段階にはかりとり,水を標線まで加えて混合する(それぞれ,Y1液,Y2液及びY3液とする。)。 

表5−採取する標準液の体積 

標準液 

mg/mL 

採取量 mL 

Y1 

Y2 

Y3 

ナトリウム標準液(Na) 

0.1 

0.50 

1.0 

2.0 

カルシウム標準液(Ca) 

0.01 

0.50 

1.0 

2.0 

鉛標準液(Pb) 

0.01 

0.50 

1.0 

2.0 

鉄標準液(Fe) 

0.01 

0.50 

1.0 

2.0 

K 8885:2018  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3) 空試験溶液の調製は,全量フラスコ100 mLに硝酸(1+2)2 mL及びイットリウム標準液(Y:1 mg/L)

100 µLを入れ,水を標線まで加えて混合する(Z液)。 

4) ICP発光分光分析装置は,高周波プラズマを点灯するなどによって,発光強度を測定できる状態に

する。 

5) 同一分析種ごとに複数波長を選択し,Y1液,Y2液及びY3液を用いて,関係線を作成し,関係線の

y切片が低く,感度及び直線性が良好な波長を選択する。この条件を満たせない場合,分析結果に

対する影響(定量限界及び再現精度)を考慮して選択する。 

6) Z液,X液,Y1液,Y2液及びY3液をアルゴンプラズマ中に噴霧し,分析種及び内標準イットリウ

ム(Y)の発光強度を測定する。 

e) 計算 JIS K 0116の4.7.3 a) 2)[強度比法(内標準法)]によって検量線を作成し,分析種の含有率を

計算する。 

f) 

判定 d)によって操作し,e)によって計算して得られた含有率が,規格値を満足しているとき,“ナト

リウム(Na):質量分率0.05 %(規格値),カルシウム(Ca):質量分率0.005 %以下(規格値),鉛(Pb):

質量分率0.005 %以下(規格値),鉄(Fe):質量分率0.005 %以下(規格値)”とする。 

容器 

容器は,気密容器とする。 

表示 

容器には,次の事項を表示する。 

a) 日本工業規格番号 

b) 名称“二酸化けい素”及び“試薬”の文字 

c) 種類 

d) 化学式及び式量 

e) 内容量 

f) 

製造番号 

g) 製造業者名又はその略号