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K 8826:2020  

(1) 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 種類······························································································································· 2 

4 性質······························································································································· 2 

4.1 性状 ···························································································································· 2 

4.2 定性方法 ······················································································································ 2 

5 品質······························································································································· 2 

6 試験方法························································································································· 2 

6.1 一般事項 ······················································································································ 2 

6.2 純度(NaOH) ·············································································································· 2 

6.3 水溶状 ························································································································· 3 

6.4 窒素化合物(Nとして)·································································································· 4 

6.5 鉄(Fe) ······················································································································ 5 

7 容器······························································································································· 6 

8 表示······························································································································· 6 

K 8826:2020  

(2) 

まえがき 

この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人

日本試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を

改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業規格で

ある。これによって,JIS K 8826:2006は改正され,この規格に置き換えられた。 

なお,令和2年8月19日までの間は,産業標準化法第30条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ

ーク表示認証において,JIS K 8826:2006を適用してもよい。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

  

日本産業規格          JIS 

K 8826:2020 

水酸化ナトリウム(窒素測定用)(試薬) 

Sodium hydroxide for nitrogen compounds analysis (Reagent) 

NaOH  FW:40.00 

適用範囲 

この規格は,試薬として用いる水酸化ナトリウム(窒素測定用)について規定する。 

警告1 水酸化ナトリウムは劇物なので,目,粘膜及び皮膚に付着しないように注意する。また,水

を加えると発熱し,刺激性の強いミストを発生するので排気に注意する。 

警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす

る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので

はない。この規格の利用者は,安全データシート(SDS)などを参考にして各自の責任にお

いて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8102 エタノール(95)(試薬) 

JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8197 N-1-ナフチルエチレンジアミン二塩酸塩(試薬) 

JIS K 8201 塩化ヒドロキシルアンモニウム(試薬) 

JIS K 8202 1,10-フェナントロリン塩酸塩一水和物(試薬) 

JIS K 8253 ペルオキソ二硫酸カリウム(試薬) 

JIS K 8359 酢酸アンモニウム(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8550 硝酸銀(試薬) 

JIS K 8799 フェノールフタレイン(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 8953 硫酸亜鉛七水和物(試薬) 

JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬) 

JIS K 8992 硫酸ヒドラジニウム(試薬) 

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K 8826:2020  

  

JIS K 9066 スルファニルアミド(試薬) 

JIS Z 8802 pH測定方法 

種類 

種類は,窒素測定用とする。 

性質 

4.1 

性状 

水酸化ナトリウム(窒素測定用)は,白い粒状で,潮解性があり,二酸化炭素を吸収する。水に極めて

溶けやすく,エタノール(99.5)に溶けやすい。 

4.2 

定性方法 

炎色試験は,直径約0.8 mmの白金線の先端から約30 mmまでを塩酸(1+1)に浸し,炎の長さ約120 mm,

内炎の長さ約30 mm程度としたガスバーナーの無色炎中に入れた後,放冷する。この操作を炎に色が現れ

なくなるまで繰り返す。白金線の先端約5 mmを水で浸し,少量の試料を付着させたものをガスバーナー

の無色炎中に入れると黄が現れる。 

品質 

品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。 

表1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

純度(NaOH) 

質量分率 % 

96.0以上 

6.2 

水溶状 

− 

試験適合 

6.3 

窒素化合物(Nとして) 

質量分率 ppm 

5以下 

6.4 

鉄(Fe) 

質量分率 ppm 

5以下 

6.5 

試験方法 

6.1 

一般事項 

試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。 

6.2 

純度(NaOH) 

純度(NaOH)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。 

1) 塩化バリウム溶液(100 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gをはかりとり,

水を加えて溶かし,更に水を加えて100 mLにしたもの。 

2) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。 

3) フェノールフタレイン溶液 JIS K 8799に規定するフェノールフタレイン1.0 gをはかりとり,JIS 

K 8102に規定するエタノール(95)90 mLを加えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。 

4) 1 mol/L 塩酸(HCl:36.4 g/L) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)を用い,JIS K 8001のJA.6.4 e) 2)

(1 mol/L 塩酸)に従って,調製,標定及び計算したもの。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。 

b) 装置 主な装置は,次による。 

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・ 自動滴定装置 電位差滴定の機能をもち,最小吐出量が0.01 mL以下のもの。 

c) 操作 操作は,次による。 

1) 試料1.5 gを共通すり合わせ三角フラスコ200 mLなどに0.1 mgの桁まではかりとり,二酸化炭素を

除いた水50 mLを加えて溶かし,塩化バリウム溶液(100 g/L)10 mLを加え,5分間放置する。 

2) 次のいずれかの方法で,滴定する。 

2.1) 指示薬としてフェノ−ルフタレイン溶液3滴を加え,1 mol/L 塩酸で液の紅色が消えるまで滴定す

る。 

2.2) JIS K 0113の5.(電位差滴定方法)によって,指示薬を用いず,指示電極に白金電極又は銀電極

及び参照電極に銀−塩化銀電極,又は指示電極と参照電極とを組み合わせた複合電極を用いて,1 

mol/L 塩酸で滴定を行う。終点は,一段目の変曲点とする。 

d) 計算 純度(NaOH)は,次の式によって算出する。 

100

00

040

.0

×

×

×

=

m

f

a

A

ここに, 

A: 純度(NaOH)(質量分率 %) 

a: 滴定に要した1 mol/L 塩酸の体積(mL) 

f: 1 mol/L 塩酸のファクター 

m: はかりとった試料の質量(g) 

0.040 00: 1 mol/L 塩酸 1 mLに相当するNaOHの質量を示す換算

係数(g/mL) 

6.3 

水溶状 

水溶状の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。 

1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と

を混合したもの。 

2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,更に水

を加えて100 mLにしたもので,褐色ガラス製瓶に保存する。 

3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。 

澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[c)

参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,更に水を加えて

20 mLとし,振り混ぜてから15分間放置する。 

c) 器具 主な器具は,次による。 

・ 共通すり合わせ平底試験管 容量50 mL,直径約24 mmで,目盛のあるもの。 

d) 操作 操作は,次による。 

1) 試料15 gを樹脂製ビーカー200 mLにはかりとり,水50 mLを加えて溶かし,冷却後に水を加えて

全量を150 mLとし,速やかに密栓のできるカルシウム系の可塑剤を含まないポリエチレンなどの

樹脂製瓶に移す(A液)(6.4及び6.5にも用いる。)。 

2) 試料溶液の調製は,A液20 mLを共通すり合わせ平底試験管にとる。 

3) 試料を溶かした直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の

有無を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。 

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e) 判定 次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合(規格値)”とする。 

1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。 

2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。 

6.4 

窒素化合物(Nとして) 

窒素化合物(Nとして)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。 

1) N-1-ナフチルエチレンジアミン二塩酸塩溶液 JIS K 8197に規定するN-1-ナフチルエチレンジアミ

ン二塩酸塩0.2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,更に水を加えて200 mLにしたもので,着色ガ

ラス製瓶に入れて保存し,1週間以上経過したものは使用しない。 

2) スルファニルアミド溶液(10 g/L) JIS K 9066に規定するスルファニルアミド(4-アミノベンゼン

スルホンアミド)2 gをはかりとり,JIS K 8180に規定する塩酸(特級)60 mLと水80 mLとを加え

て溶かし,更に水を加えて200 mLにしたもの。 

3) 銅−亜鉛溶液 JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水和物0.08 gとJIS K 8953に規定する硫酸亜

鉛七水和物1.76 gとをはかりとり,水を加えて溶かし,更に水を加えて200 mLにする。この2 mL

をとり,水を加えて100 mLにしたもの。 

4) ペルオキソ二硫酸カリウム溶液(30 g/L) JIS K 8253に規定するペルオキソ二硫酸カリウム3.0 g

をはかりとり,水を加えて溶かし,更に水を加えて100 mLにしたもの。 

5) 硫酸(1+9) 水の体積9を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々

に加えたもの。 

6) 硫酸ヒドラジニウム溶液(0.7 g/L) JIS K 8992に規定する硫酸ヒドラジニウム3.5 gをはかりとり,

水を加えて溶かし,更に水を加えて500 mLにする。この10 mLをとり,水を加えて100 mLにした

もの。使用時に調製する。 

7) 窒素標準液(N:0.001 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) 吸収セル 光路長が10 mmのもの。 

2) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。 

3) 分解瓶 耐圧の四ふっ化エチレン樹脂製瓶又は耐熱・耐圧のガラス製瓶(容量約100 mL)で,高圧

蒸気滅菌器中(約120 ℃)で使用できるもの。 

4) 恒温水槽又はブロックヒーター 35 ℃±1 ℃に調節できるもの。 

5) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。 

6) 高圧蒸気滅菌器 約120 ℃に加熱できるもの。 

7) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。 

8) 超音波洗浄機 20 kHz〜50 kHzの超音波の照射ができるもの。 

c) 操作 操作は,次による。 

1) 試料溶液の調製は,6.3 d) 1)のA液25 mL(試料量2.5 g)を分解瓶にとり,水40 mLを加える。 

2) 比較溶液の調製は,6.3 d) 1)のA液25 mL(試料量2.5 g)を分解瓶にとり,窒素標準液(N:0.001 mg/mL)

10 mL及び水30 mLを加える。 

3) 空試験溶液の調製は,6.3 d) 1)のA液5 mL(試料量0.5 g)を分解瓶にとり,水60 mLを加える。 

4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液それぞれに,ペルオキソ二硫酸カリウム溶液(30 g/L)10 mL

を加え,分解瓶を密栓し,高圧蒸気滅菌器に入れ,約120 ℃に達してから,約40分間加熱し,室温

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まで放冷する。pH計を用いて,硫酸(1+9)でpHを12.6±0.2に調節し,全量フラスコ100 mLに

移し,少量の水で分解瓶を洗い,洗液を全量フラスコ100 mLに合わせる。泡が出なくなるまで振

り混ぜるか,又は超音波洗浄機を用いて脱気し,水を標線まで加えて振り混ぜる。 

5) 4)で調製したそれぞれの溶液から10 mLを共通すり合わせ平底試験管にとり,銅−亜鉛溶液1.0 mL

を加えて振り混ぜ,硫酸ヒドラジニウム溶液(0.7 g/L)1.0 mLを加えて振り混ぜ,35 ℃±1 ℃の恒

温水槽又はブロックヒーター中で2時間加温する。 

6) 5)で調製したそれぞれの溶液に,スルファニルアミド溶液(10 g/L)1.0 mLを加え,直ちに十分振

り混ぜ,5分間放置し,N-1-ナフチルエチレンジアミン二塩酸塩溶液1.0 mLを加えて振り混ぜ,20

分間放置する。試料溶液から得られた溶液をX液,比較溶液から得られた溶液をY液及び空試験溶

液から得られた溶液をZ液とする。 

7) Z液を対照として,X液及びY液の波長540 nmにおける吸光度をJIS K 0115の6.(特定波長にお

ける吸収の測定)によって測定する。 

d) 判定 X液から得られる吸光度A1が,Y液から得られた吸光度A2からX液から得られる吸光度A1を

引いた値より大きくないとき,“窒素化合物(Nとして):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。 

6.5 

鉄(Fe) 

鉄(Fe)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。 

1) 塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/L) JIS K 8201に規定する塩化ヒドロキシルアンモニ

ウム10 gをはかりとり,水を加えて溶かし,更に水を加えて100 mLにしたもの。 

2) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合したもの。 

3) 酢酸アンモニウム溶液(250 g/L) JIS K 8359に規定する酢酸アンモニウム25 gをはかりとり,水

を加えて溶かし,更に水を加えて100 mLにしたもの。 

4) 1,10-フェナントロリン溶液(2 g/L) JIS K 8202に規定する1,10-フェナントロリン塩酸塩一水和

物0.28 gをはかりとり,水を加えて溶かし,更に水を加えて100 mLにしたもので,褐色ガラス製

瓶に保存する。 

5) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。 

2) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。 

c) 操作 操作は,次による。 

1) 試料溶液の調製は,6.3 d) 1)のA液20 mL(試料量2 g)をビーカー100 mLなどにとり,塩酸(2+1)

8 mLを加え,水浴上で蒸発乾固し,塩酸(2+1)1 mL及び水を加えて共通すり合わせ平底試験管

に移し,水を加えて15 mLにする。 

2) 比較溶液の調製は,塩酸(2+1)8 mLをビーカー100 mLなどにとり,水浴上で蒸発乾固し,塩酸

(2+1)1 mL及び水を加えて共通すり合わせ平底試験管に移し,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)1.0 mL

及び水を加えて15 mLにする。 

3) 試料溶液及び比較溶液に,塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/L)1 mLを加えて,5分間放

置した後,1,10-フェナントロリン溶液(2 g/L)1 mL,酢酸アンモニウム溶液(250 g/L)5 mL及び

水を加えて25 mLとし,20 ℃〜30 ℃で15分間放置する。 

4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験

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管の上方又は側方から観察して,黄みの赤を比較する。 

d) 判定 試料溶液から得られた液の色が,比較溶液から得られた液の黄みの赤より濃くないとき,“鉄

(Fe):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。 

容器 

容器は,樹脂製気密容器とする。 

表示 

容器には,次の事項を表示する。 

a) この規格の番号 

b) 名称“水酸化ナトリウム(窒素測定用)”及び“試薬”の文字 

c) 種類 

d) 化学式及び式量 

e) 純度 

f) 

内容量 

g) 製造番号 

h) 製造年月又はその略号 

i) 

製造業者名又はその略号