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K 8739:2017  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 種類······························································································································· 2 

4 性質······························································································································· 2 

4.1 性状 ···························································································································· 2 

4.2 定性方法 ······················································································································ 2 

5 品質······························································································································· 2 

6 試験方法························································································································· 3 

6.1 一般事項 ······················································································································ 3 

6.2 濃度(HNO3として) ····································································································· 3 

6.3 強熱残分(硫酸塩) ······································································································· 4 

6.4 塩化物(Cl) ················································································································ 4 

6.5 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 5 

6.6 銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)······················································································ 6 

6.7 銅(Cu),鉛(Pb),鉄(Fe)及びひ素(As) ····································································· 7 

6.8 ひ素(As) ··················································································································· 9 

7 容器······························································································································ 11 

8 貯蔵方法························································································································ 11 

9 表示······························································································································ 11 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正

すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS K 8739:2011は改正され,この規格に置き換えられた。 

なお,平成29年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ

ーク表示認証において,JIS K 8739:2011によることができる。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

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発煙硝酸(試薬) 

Nitric acid, fuming 

適用範囲 

この規格は,試薬として用いる発煙硝酸について規定する。 

警告1 発煙硝酸の蒸気を吸入した場合は,肺水腫を起こすことがある。粘膜,皮膚及び目に付着し

た場合は,激しい薬傷を起こし,その後に永久的な傷あとを残し,失明することがある。し

たがって,取扱いには必ず保護具を着用し,発煙したガスにばく(曝)露しないように局所

排気施設内で試料の取扱いを行う。また,破損漏えいの危険があるため,容器への衝撃を避

ける。気密容器の開栓,開封は,栓に布をかぶせて徐々に圧を抜きながら行う。必要ならば,

冷却後に行う。 

警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす

る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので

はない。この規格の利用者は,SDS(安全データシート)などを参考にして各自の責任にお

いて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法 

JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 0121 原子吸光分析通則 

JIS K 0133 高周波プラズマ質量分析通則 

JIS K 0970 ピストン式ピペット 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8012 亜鉛(試薬) 

JIS K 8044 三酸化二ひ素(試薬) 

JIS K 8085 アンモニア水(試薬) 

JIS K 8102 エタノール(95)(試薬) 

JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬) 

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JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8355 酢酸(試薬) 

JIS K 8374 酢酸鉛(II)三水和物(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8550 硝酸銀(試薬) 

JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8580 すず(試薬) 

JIS K 8777 ピリジン(試薬) 

JIS K 8842 ブロモチモールブルー(試薬) 

JIS K 8913 よう化カリウム(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬) 

JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬) 

JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬) 

JIS K 9512 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(試薬) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS R 3505 ガラス製体積計 

種類 

種類は,特級とする。 

性質 

4.1 

性状 

発煙硝酸は,発煙性の透明なうすい黄から赤みの黄の液体で,黄みの褐色のガスを発生する。密度は,

濃度が質量分率97 %では約1.52 g/mL,質量分率90 %では約1.50 g/mLである。 

4.2 

定性方法 

試料10 mLに銅片0.1 gを入れて加熱すると,銅を溶かして赤みの褐色のガスを発生し,液の色は緑に

変わる。 

5 品質 

品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。 

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表1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

濃度(密度約1.52 g/mLの場合)(HNO3として) 
  (密度約1.50 g/mLの場合)(HNO3として) 

質量分率 % 

97.0以上 

90.0〜94.0 

6.2 

強熱残分(硫酸塩) 

質量分率 % 

0.001以下 

6.3 

塩化物(Cl) 

質量分率 ppm 

2以下 

6.4 

硫酸塩(SO4) 

質量分率 ppm 

5以下 

6.5 

銅(Cu) 

質量分率 ppm 

1以下 

6.6又は6.7 

鉛(Pb) 

質量分率 ppm 

1以下 

6.6又は6.7 

ひ素(As) 

質量分率 ppm 

0.1以下 

6.7又は6.8 

鉄(Fe) 

質量分率 ppm 

1以下 

6.6又は6.7 

試験方法 

6.1 

一般事項 

一般事項は,次による。 

a) 試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。 

b) 使用するガラス器具は,特に規定がない場合は,JIS R 3503及びJIS R 3505による。 

c) 使用する標準液は,計量計測トレーサビリティが確保された標準液を,使用用途に合致することを確

認し,必要ならば希釈して使用する。このような標準液がない場合,使用用途に合致することを確認

して市販の標準液を用いるか,又は調製したものを用いる。 

注記1 計量計測トレーサビリティが確保された標準液としては,計量標準供給制度[JCSS(Japan 

Calibration Service System)]に基づく標準液,国立研究開発法人産業技術総合研究所計量標

準総合センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST),ドイツ連邦材料試験研究所

(BAM)などが供給する標準液及びこれらへの計量計測トレーサビリティが確保された市

販の認証標準液がある。 

d) 滴定用溶液の調製及び標定は,JIS K 8001の附属書JA(試験用溶液類の調製方法及び滴定用溶液類の

調製及び標定)による。市販品を用いる場合は,使用用途に合致することを確認する。 

注記2 計量計測トレーサビリティが確保された滴定用溶液としては,ISO/IEC 17025に基づく認

定試験所が認定の範囲で値付けした市販の滴定用溶液がある。 

6.2 

濃度(HNO3として) 

濃度(HNO3として)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8842に規定するブロモチモールブルー0.10 gをはかりとり,JIS 

K 8102に規定するエタノール(95)50 mLを加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。褐色ガラ

ス製瓶に保存する。 

2) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。 

3) 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:40.00 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウムを用

い,6.1 d)による。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) 筒形はかり瓶 容量5 mL程度の栓付きで,すり合わせが気密なもの。共通すり合わせ三角フラス

コ300 mLに入るもの。 

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2) 自動滴定装置(必要な場合に用いる。) 電位差滴定の機能をもち,最小吐出量が0.01 mL以下のも

の。 

c) 操作 操作は,排気に注意して次のとおり行う。 

1) 筒形はかり瓶を0.1 mgの桁まではかった後,試料2 gを入れ,手早く栓をして再び0.1 mgの桁まで

はかる。 

2) 二酸化炭素を除いた水150 mLを入れた共通すり合わせ三角フラスコ300 mLなどに,この筒形はか

り瓶の栓を少しずらして入れ,直ちに栓をして,振り混ぜて発生する赤みの褐色のガスを完全に溶

かす。 

3) 共通すり合わせ三角フラスコの栓及び内壁を少量の二酸化炭素を除いた水で洗い入れる。指示薬と

してブロモチモールブルー溶液を数滴加え,1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液で滴定する。終点は,

液の色が黄から青みの緑に変わる点とする。 

または,JIS K 0113の5.(電位差滴定方法)によって,指示電極にガラス電極,参照電極に銀−

塩化銀電極,又は指示電極と参照電極とを組み合わせた複合電極を用いて,指示薬を加えずに1 

mol/L 水酸化ナトリウム溶液で滴定を行う。終点は変曲点とする。 

なお,電位差滴定を行う場合は,電極を損傷しないように,筒形はかり瓶を取り出して少量の水

で洗い,洗液は滴定に用いる共通すり合わせ三角フラスコ300 mLなどに合わせてから滴定を行う。 

d) 計算 濃度(HNO3として)は,次の式によって算出する。 

100

01

063

.0

1

2

×

×

×

=

m

m

f

V

A

ここに, 

A: 濃度(HNO3として)(質量分率 %) 

V: 滴定に要した1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液の体積

(mL) 

f: 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液のファクター 

m2: 試料の入った筒形はかり瓶の質量(g) 

m1: 筒形はかり瓶の質量(g) 

0.063 01: 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLに相当するHNO3

の質量を示す換算係数(g/mL) 

6.3 

強熱残分(硫酸塩) 

強熱残分(硫酸塩)の試験方法は,JIS K 0067の4.4.4 (4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)によ

る。この場合,試料100 gをはかりとる。JIS K 8951に規定する硫酸0.3 mLを用い,強熱温度は,(600±

50)℃とする。強熱残分は,0.1 mgの桁まではかる。 

なお,試料は蒸発皿などの大きさに合わせ,数回に分割して加えてよい。 

6.4 

塩化物(Cl) 

塩化物(Cl)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) アンモニア水 JIS K 8085に規定する質量分率28.0 %〜30.0 %のもの。 

2) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と

を混合する。 

3) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加

えて100 mLにする。褐色ガラス製瓶に保存する。 

4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム

1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。

この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 共通すり合わせ平底試験管 例として,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。 

2) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。 

c) 操作 操作は,排気に注意して次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,蒸発皿などに水10 mLをとり,試料10 g及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え

る。 

2) 比較溶液の調製は,蒸発皿などに水10 mLをとり,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)2.0 mL及び硝

酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加える。 

3) 試料溶液及び比較溶液は,塩化物の汚染のない水を用いた沸騰水浴上で加熱して蒸発乾固する。直

ちに,これらにアンモニア水0.5 mLを加えた後,少量の水で共通すり合わせ平底試験管に移し,水

で20 mLにする。それぞれに硝酸(1+2)4.5 mLを加えて振り混ぜた後,15分間放置する。 

4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管

の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。 

d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“塩化物(Cl):質量分率2 ppm以下(規格値)”とする。 

試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。 

6.5 

硫酸塩(SO4) 

硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。 

2) 塩化バリウム溶液(100 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gをはかりとり,

水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。 

3) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合する。 

4) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8962に規定する硫酸カリウム

1.81 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。

この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 共通すり合わせ平底試験管 6.4 b) 1)による。 

2) 水浴 6.4 b) 2)による。 

c) 操作 操作は,排気に注意して次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料10 gを蒸発皿などにはかりとり,熱板(ホットプレート)上で蒸発乾固し

た後,放冷する。これに塩酸(2+1)0.5 mLを加え,沸騰水浴上で加熱して再び蒸発乾固した後,

放冷する。塩酸(2+1)0.3 mL及び少量の水で共通すり合わせ平底試験管に移し,水を加えて25 mL

にする。 

2) 比較溶液の調製は,蒸発皿などに塩酸(2+1)0.5 mL及び硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)5.0 mL

を加え,沸騰水浴上で加熱して蒸発乾固した後,放冷する。塩酸(2+1)0.3 mL及び少量の水で共

通すり合わせ平底試験管に移し,水を加えて25 mLにする。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 mL及び塩化バリウム溶液(100 g/L)2 mLを加えて

振り混ぜた後,1時間放置する。 

4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管

の上方又は側方から観察して濁りを比較する。 

d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“硫酸塩(SO4):質量分率5 ppm以下(規格値)”とす

る。 

試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。 

6.6 

銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe) 

銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 塩酸(2+1) 6.5 a) 3)による。 

2) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,銅標準液(Cu:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水

和物3.93 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水

を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 

mLを加え,水を標線まで加えて混合する。 

3) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 g

を全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで

加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,

水を標線まで加えて混合する。 

4) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム

鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて

溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸

(1+2)25 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。 

b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。 

フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。 

c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表2に示す。 

表2−分析種の測定波長の例 

分析種 

測定波長 nm 

銅(Cu) 

324.8 

鉛(Pb) 

283.3 

鉄(Fe) 

248.3 

d) 操作 操作は,排気に注意して次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料50 gを蒸発皿などにはかりとり,沸騰水浴上又は120 ℃で加熱できる熱板

(ホットプレート)上で蒸発乾固する。塩酸(2+1)1 mL及び水10 mLを加えて溶かし,全量フ

ラスコ25 mLに移し,水を標線まで加えて混合する(S液)。S液10 mL(試料量20 g)を全量フラ

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

スコ20 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する(X液)。 

2) 比較溶液の調製は,S液10 mL(試料量20 g)を全量フラスコ20 mLに正確にとり,銅標準液(Cu:

0.01 mg/mL)2.0 mL,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)2.0 mL及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)2.0 mL

を加え,水を標線まで加えて混合する(Y液)。 

3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,表2に示す測定波長付近で吸光

度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を

測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。 

4) 測定結果は,X液の指示値n1をY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1と比較する。 

e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“銅(Cu):質量分率1 ppm以下(規格値),鉛(Pb):

質量分率1 ppm以下(規格値),鉄(Fe):質量分率1 ppm以下(規格値)”とする。 

n1は,n2−n1より大きくない。 

注記 分析種の含有率(質量分率 ppm)は,次の式によって求めることができる。 

6

1

2

1

10

000

1

×

×

×

=m

n

n

n

B

A

ここに, 

A: 分析種の含有率(質量分率 ppm) 

B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg) 

m: X液中の試料の質量(g) 

6.7 

銅(Cu),鉛(Pb),鉄(Fe)及びひ素(As) 

銅(Cu),鉛(Pb),鉄(Fe)及びひ素(As)の試験は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。ただし,試験する分析種の空試験の含有率が,

この試験に支障のない水を用いる。 

1) 硝酸(1 mol/L) 試験する分析種の空試験の含有率が,この試験に支障のない硝酸を63.0 g(硝酸

として質量分率100 %相当として)をふっ素樹脂などの樹脂製の全量フラスコ1 000 mLにはかりと

り,水を標線まで加えて,混合する。 

注記 質量分率69 %の硝酸の場合は91.3 g,質量分率65 %の場合は96.9 g,質量分率60 %の場合

は105.0 gをはかりとる。 

2) 銅標準液(Cu:0.001 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,銅標準液(Cu:0.001 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水

和物3.93 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水

を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 

mLを加え,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ100 mLに正確にとり,硝

酸(1+2)2.5 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。 

3) 鉛標準液(Pb:0.001 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,鉛標準液(Pb:0.001 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 g

を全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで

加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,

更に水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ100 mLに正確にとり,硝酸(1+

2)2.5 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。 

4) 鉄標準液(Fe:0.001 mg/mL) 6.1 c)による。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

なお,鉄標準液(Fe:0.001 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム

鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて

溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸

(1+2)25 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ100 mLに正確

にとり,硝酸(1+2)2.5 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。 

5) ひ素標準液(As:0.001 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,ひ素標準液(As:0.001 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8044に規定する特級又は1級の

三酸化二ひ素1.32 gをはかりとり,水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)6 mL及び水500 mLを加えて

溶かす。塩酸(ひ素分析用)(1+3)でpH 3〜5に調節した後,水で全量フラスコ1 000 mLに移し,

水を標線まで加えて混合する。この液25 mLを全量フラスコ250 mLに正確にとり,水を標線まで

加えて混合する。さらに,この10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて

混合する。 

なお,水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)及び塩酸(ひ素分析用)(1+3)の調製は,次による。 

水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)の調製は,JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム10.3 gをは

かりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存す

る。 

塩酸(ひ素分析用)(1+3)の調製は,JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の

体積3とを混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 石英ガラス製平底蒸発皿 呼び容量50 mL又は100 mLの石英ガラス製のもの。 

2) 目盛付き試験管 容量10 mLの標線付きのもの。 

3) ピストン式ピペット JIS K 0970に規定するもの。 

4) 高周波プラズマ質量分析計(ICP-MS) 装置の構成は,JIS K 0133に規定するもの。 

c) 分析種の測定質量数及び測定モード 分析種のm/z及び測定モードの例を表3に示す。 

なお,別の分析条件でも同等の試験結果が得られることを確認した場合には,その条件を用いても

よい。 

表3−分析種のm/z及び測定モードの例 

分析種 

m/z 

測定モード 

銅(Cu) 

63 

クールプラズマ 

鉛(Pb) 

208 

ホットプラズマ 

鉄(Fe) 

56 

ホットプラズマ/水素ガスコリジョン 

ひ素(As) 

75 

ホットプラズマ/水素ガスコリジョン 

d) 操作 操作は,排気に注意して次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料1 gを石英ガラス製平底蒸発皿にはかりとり,熱板(ホットプレート)上

で沸騰させないように加熱して蒸発乾固する。冷却後,蒸発残留物に硝酸(1 mol/L)5 mLを加え,

加熱して溶かす。冷却後,全量フラスコ100 mL移し,硝酸(1 mol/L)を加えて100 mLにする(X

液)。 

2) 検量線用溶液の調製は,5個の目盛付き試験管を準備する。それぞれの目盛付き試験管に,ピスト

ン式ピペットを用いて,各標準液をそれぞれ0,5,10,50,100 µLの体積をとり,硝酸(1 mol/L)

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

を10 mLの標線まで加えて混合する(それぞれ,Y0液,Y1液,Y2液,Y3液及びY4液とする。)。 

3) ICP-MS装置の一般事項は,JIS K 0133による。 

4) ICP-MS装置は,高周波プラズマを点灯するなどによって,イオンカウント数を測定できる状態に

する。 

5) X液,Y0液,Y1液,Y2液,Y3液及びY4液をアルゴンプラズマ中に噴霧し,各分析種のイオンカウ

ント数を測定する。 

e) 計算 計算は,JIS K 0133の12.2 a)(検量線法)によって検量線を作成し,各分析種の含有率を計算

する。 

f) 

判定 d)によって操作し,e)によって計算し,次に適合するとき,“銅(Cu):質量分率1 ppm以下(規

格値),鉛(Pb):質量分率1 ppm以下(規格値),鉄(Fe):質量分率1 ppm以下(規格値),ひ素(As):

質量分率0.1 ppm以下(規格値)”とする。 

計算して得られた含有率が,規格値を満足している。 

6.8 

ひ素(As) 

ひ素(As)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 亜鉛(ひ素分析用) JIS K 8012に規定する粒径150 µm〜1 400 μmのもの。 

2) ピリジン JIS K 8777に規定するもの。 

3) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。 

4) 塩化すず(II)溶液(N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀法用)[塩化すず(II)溶液(AgDDTC法

用)] JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをはかりとり,JIS K 8180に規定する塩

酸(ひ素分析用)に溶かし,塩酸(ひ素分析用)を加えて100 mLにする。JIS K 8580に規定する

小粒のすず2,3個を加えて保存する。褐色ガラス製瓶に保存する。これを,使用時に水で10倍に

うすめる。 

5) 塩酸(ひ素分析用)(1+1) JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積1とを

混合する。 

6) 酢酸鉛(II)溶液(100 g/L) JIS K 8374に規定する酢酸鉛(II)三水和物11.6 gをはかりとり,水

を加えて溶かし,水を加えて100 mLにした後,JIS K 8355に規定する酢酸0.1 mLを加える。 

7) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀・ピリジン溶液(AgDDTC・ピリジン溶液) JIS K 9512に規

定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀0.5 gをはかりとり,JIS K 8777に規定するピリジンに

溶かし,JIS K 8777に規定するピリジンで100 mLにする。褐色ガラス製瓶に入れ,冷所に保存す

る。 

8) よう化カリウム溶液(200 g/L) JIS K 8913に規定するよう化カリウム20 gをはかりとり,水を加

えて溶かし,水を加えて100 mLにする。使用時に調製する。 

9) ひ素標準液(As:0.001 mg/mL) 6.7 a) 5)による。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 吸収セル(必要な場合に用いる。) 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,

光路長が10 mmのもの。 

2) ひ素試験装置 例を図1に示す。 

3) 分光光度計(必要な場合に用いる。) 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。 

c) 操作 操作は,排気に注意して次のとおり行う。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1) 試料溶液の調製は,試料10 gを蒸発皿などにはかりとり,硫酸2 mLを加え,熱板(ホットプレー

ト)上で硫酸の白煙が発生し始めるまで加熱した後,放冷する。水10 mLを加え,再び熱板(ホッ

トプレート)上で硫酸の白煙が発生し始めるまで加熱し,放冷する。これを少量の水で水素化ひ素

発生瓶100 mLに移す。 

2) 比較溶液の調製は,硫酸2 mLを蒸発皿などにとり,熱板(ホットプレート)上で硫酸の白煙が発

生し始めるまで加熱した後,放冷する。水10 mLを加え,再び熱板(ホットプレート)上で硫酸の

白煙が発生し始めるまで加熱し,放冷する。これを少量の水で水素化ひ素発生瓶100 mLに移し,

ひ素標準液(As:0.001 mg/mL)1.0 mLを加える。 

3) 空試験溶液の調製は,硫酸2 mLを蒸発皿などにとり,熱板(ホットプレート)上で硫酸の白煙が

発生し始めるまで加熱した後,放冷する。水10 mLを加え,再び熱板(ホットプレート)上で硫酸

の白煙が発生し始めるまで加熱し,放冷する。これを少量の水で水素化ひ素発生瓶100 mLに移す

(吸光度を測定する場合に調製する。)。 

4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に,塩酸(ひ素分析用)(1+1)5 mLを加え,水で40 mLにす

る。それぞれによう化カリウム溶液(200 g/L)15 mL及び塩化すず(II)溶液(AgDDTC法用)5 mL

を加えて振り混ぜ,10分間放置する。次に,亜鉛(ひ素分析用)3 gを加え,直ちに水素化ひ素発

生瓶100 mLと導管B(あらかじめ水素化ひ素吸収管CにAgDDTC・ピリジン溶液5 mLを入れ,

導管Bと水素化ひ素吸収管Cとを連結しておく。)を連結して約25 ℃の水中で約1時間放置した

後,水素化ひ素吸収管Cを離し,ピリジンを5 mLの標線まで加える。 

5) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を水素化ひ素吸収管Cの上方

又は側方から観察して赤を比較する。 

なお,必要があれば吸収セルを用い,分光光度計で波長510 nm付近の吸収極大の波長における吸

光度を空試験溶液からのAgDDTC・ピリジン溶液を対照液としてJIS K 0115の6.(特定波長におけ

る吸収の測定)によって測定する。 

d) 判定 c)によって操作し,次の1)又は2)に適合するとき,“ひ素(As):質量分率0.1 ppm以下(規格

値)”とする。 

1) 試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の赤より濃くない。 

2) 試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。 

 
 
 

A: 

B: 
C: 

D: 

E: 

F: 

G: 

 
 
 
水素化ひ素発生瓶100 mL 
導管 
水素化ひ素吸収管 
ゴム栓又はすり合わせ 
酢酸鉛(II)溶液(100 g/L)で湿したガラスウール 
40 mLの標線 
5 mLの標線 

図1−ひ素試験装置の例 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

容器 

容器は,遮光した気密容器とする。 

貯蔵方法 

製品は,直射日光を避けて,できるだけ冷所に保管する。 

表示 

容器には,次の事項を表示する。 

a) 日本工業規格番号 

b) 名称“発煙硝酸”及び“試薬”の文字 

c) 種類 

d) 濃度(HNO3として) 質量分率90 %又は質量分率97 % 

e) 内容量 

f) 

製造番号 

g) 製造年月又はその略号 

h) 製造業者名又はその略号