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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 8701-1994 

鉛(試薬) 

Lead 

Pb  AW : 207.2 

1. 適用範囲 この規格は,試薬として用いる鉛について規定する。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS M 8111 鉱石中の金及び銀の分析方法 

2. 共通事項 この規格に共通する事項は,JIS K 8001による。 

3. 種類 特級,試金用 

4. 性質 鉛は,次の性質を示す。 

(1) 性状 鉛は,灰青色の金属で,粒状,薄片状,又は棒状などのものがある。乾燥した空気中ではほと

んど変化しない。塩酸及び硫酸には溶けにくいが,硝酸には窒素酸化物を発生して溶ける。 

(2) 定性方法 試料1gに硝酸 (1+2) 20mlを加えてガスが無色になるまで加熱して溶かし,冷却する(A

液)。A液10mlに硫化ナトリウム溶液1mlを加えると黒い沈殿が生じる。 

またA液10mlに硫酸 (1+5) 10mlを加えると白い沈殿が生じる。 

5. 品質 品質は,6.によって試験し,表1に適合しなければならない。 

表1 品質 

項目 

特級 

試金用 

形状 

− 

粒状,球状,薄板 

銅 (Cu) 

5ppm以下 

− 

銀 (Ag) 

0.001%以下 

0.2ppm以下 

金 (Au) 

− 

0.02ppm以下 

亜鉛 (Zn) 

0.001%以下 

− 

すず (Sn) 

0.001%以下 

− 

ひ素 (As) 

1ppm以下 

− 

ビスマス (Bi) 

0.002%以下 

− 

鉄 (Fe) 

0.001%以下 

− 

6. 試験方法 試験方法は,次のとおりとする。 

K 8701-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.1 

特級 

(1) 銅 (Cu) 5ppm以下 

試料側溶液:試料50g→ビーカー500mlにとる+硝酸 (1+2) 250ml→時計皿でおおいガスが無色にな

るまで加熱して溶かす→冷却+水 (→500ml)(S液)[(4),(5)及び(6)の試験にも用いる]。S液50ml(試

料量5g)+水 (→100ml)(X液)。 

標準側溶液:S液50ml+銅標準液 (0.01mgCu/ml) 2.5ml+銀標準液 (0.01mgAg/ml) 5.0ml+亜鉛標準液 

(0.01mgZn/ml) 5.0ml+鉄標準液 (0.01mgFe/ml) 5.0ml+水 (→100ml) (Y液)。 

空試験溶液:硝酸 (1+2) 25ml→水浴上約5mlまで蒸発→冷却+水 (→100ml) (Z液)[X液,Y液及

びZ液は,(2),(3)及び(7)の試験にも用いる]。 

操作:JIS K 8001の5.31(原子吸光法)(1)(直接噴霧法)(d)による。測定波長324.7nm。 

(2) 銀 (Ag) 0.001%以下 

試料側溶液:(1)のX液。 

標準側溶液:(1)のY液。 

空試験溶液:(1)のZ液。 

操作:JIS K 8001の5.31(1)(d)による。測定波長328.1nm。 

(3) 亜鉛 (Zn)  0.001%以下 

試料側溶液:(1)のX液。 

標準側溶液:(1)のY液。 

空試験溶液:(1)のZ液。 

操作:JIS K 8001の5.31(1)(d)による。測定波長213.9nm。 

(4) すず (Sn) 0.001%以下 

試料側溶液:(1)のS液25ml(試料量2.5g)→ビーカー500mlにとる+水75ml+硝酸ベリリウム溶液(1)5ml

+EDTA2Na溶液 (250g/l) 20ml+アンモニア水 (2+3) 6ml→沸騰するまで加熱→流水で約1時間冷却

→ろ紙(5種C)を用いてろ過→EDTA2Na洗浄液(2)でビーカーに残った沈殿をろ紙上に洗い流すとと

もにろ紙上の沈殿をEDTA2Na洗浄液で数回洗う→ろ紙上の沈殿を温硫酸 (1+4) 10mlを滴加して溶

かす→温水約50mlで洗浄し,洗液を合わせる+過酸化水素3ml→加熱(硫酸の白煙が発生し始めるま

で)→冷却+水10ml→再び加熱(硫酸の白煙が発生し始めるまで)→冷却+水10ml+塩酸 (1+1) 

10 ml→時計皿でおおい穏やかに加熱して溶かす(煮沸しない程度)→冷却+水 (→25ml) +塩酸 (1

+1) 5ml→分液漏斗100mlに移す(水で洗い移さないこと)+チオ尿素溶液 (50g/l) (3)20ml+L (+) −

アスコルビン酸溶液(4) (20g/l) 5ml+ケルセチン溶液(5)20ml→1分間激しく振り混ぜる→5分間放置+4

−メチル−2−ペンタノン10ml(正確にとる)→1分間激しく振り混ぜる→放置→4−メチル−2−ペ

ンタノン層+硫酸 (1+15) 20ml→約30秒間振り混ぜる→放置→4−メチル−2−ペンタノン層(X液)。 

標準側溶液:(1)のS液25ml→ビーカー500mlにとる+すず標準液 (0.01mgSn/ml) 2.5ml+水75ml+硝

酸ベリリウム溶液(1)5ml→以下,試料側と同一操作によって得られる4−メチル−2−ペンタノン層(Y

液)。 

空試験溶液:水100ml→ビーカー500mlにとる+硝酸ベリリウム溶液5ml→以下,試料側と同一操作に

よって得られる4−メチル−2−ペンタノン層。 

操作:X液及びY液について吸収セル10mmを用い,波長440nm付近の吸収極大の波長における吸

光度を,空試験溶液を対照液として測定…X液の吸光度はY液の吸光度より大きくない。 

注(1) 硝酸ベリリウム溶液の調整:硝酸ベリリウム三水和物4.6g+硝酸 (1+10) 10ml+水 (→100ml) 。 

K 8701-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(2) EDTA2Na洗浄液の調製:EDTA2Na溶液 (250g/l) 50ml+水950ml。 

(3) チオ尿素溶液 (50g/l) の調製:チオ尿素5g+水 (→100ml)(使用時に調製)。 

(4) L (+) −アスコルビン酸溶液 (20g/l) の調製:L (+) −アスコルビン酸2g+水 (→100ml)(使

用時に調製)。 

(5) ケルセチン溶液の調製:ケルセチン0.05g+エタノール (95) 60ml→溶かす+塩酸 (2+1) 4ml+

エタノール (95) (→100ml)(使用時に調製し,光を遮り25℃以下に保つ)。 

(5) ひ素 (As) 1ppm以下 

試料側溶液:(1)のS液20ml(試料量2g)+硫酸 (1+1) 5ml→放置(硫酸鉛を沈殿させる)→ろ紙(5

種C)を用いてろ過→ろ紙上の沈殿→硫酸 (1+15) で数回洗浄→ろ液+洗液→加熱(硫酸の白煙が発

生し始めるまで)→冷却+水10ml→加熱(硫酸の白煙が発生し始めるまで)→冷却→水素化ひ素発生

瓶100mlに入れる+水 (→40ml)。 

標準側溶液:ひ素標準液 (0.001mgAs/ml) 2.0ml+硝酸 (1+2) 10ml+硫酸 (1+1) 5ml→加熱(硫酸の白

煙が発生し始めるまで)→冷却+水10ml→加熱(硫酸の白煙が発生し始めるまで)→冷却→水素化ひ

素発生瓶100mlに入れる+水 (→40ml)。 

操作:JIS K 8001の5.19(3)[N, N−ジエチルジチオカルバミド酸銀法(AgDDTC法)]による。 

(6) ビスマス (Bi)  0.002%以下 

試料側溶液:(1)のS液50ml(試料量5g)+水50ml+EDTA2Na15g→かき混ぜながらアンモニア水 (2

+3) を滴加して溶かしpHを約9に調整→分液漏斗200mlに移す+“NaDDTC溶液 (1g/l) 5ml→振り

混ぜる+四塩化炭素10ml→1分間激しく振り混ぜる→放置”(2回行う)(水層は保存)→四塩化炭素

層を合わす→ビーカー100mlに移す(保存)→水層+NaDDTC溶液 (1g/l) 5ml+四塩化炭素10ml→1

分間激しく振り混ぜる→放置→四塩化炭素層を先の四塩化炭素層に合わせる→全四塩化炭素層→水浴

上蒸発乾固(四塩化炭素を揮散)+硝酸 (1+2) 3ml+水 (→100ml)(X液)。 

標準側溶液:(1)のS液50ml+ビスマス標準液 (0.01mgBi/ml) 10ml+水50ml+EDTA2Na15g→以下,試

料側と同一操作によって得られる液(Y液)。 

空試験溶液:硝酸 (1+2) 25ml→水浴上蒸発乾固+水50ml+EDTA2Na15g→以下,試料側と同一操作

によって得られる液(Z液)。 

操作:JIS K 8001の5.31(1)(d)による。測定波長223.1nm。 

(7) 鉄 (Fe) 0.001%以下 

試料側溶液:(1)のX液。 

標準側溶液:(1)のY液。 

空試験溶液:(1)のZ液。 

操作:JIS K 8001の5.31(1)(d)による。測定波長248.3nm。 

6.2 

試金用 

(1) 銀 (Ag) 0.2ppm以下 

(2)で同時に行う。 

(2) 金 (Au) 0.02ppm以下 

(a) 操作 試料300g(0.1gのけたまではかる)→焼溶皿で操作できる範囲に分割して数個の焼溶皿に移

す→JIS M 8111の4.5.2(操作)によって濃縮→得られたそれぞれの鉛ボタンを合わせる→つち打ち

によって1個のボタンとする→更にこの鉛ボタンを焼溶皿に移して濃縮→30〜35gの鉛ボタンを得

る。得られたボタン→JIS M 8111の2.1.2(3)(灰吹)によって灰吹→金銀合粒を得る。合粒を試金は

K 8701-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

かりではかる→JIS M 8111の2.1.2(4)(分金)によって分金。 

(b) 計算 銀及び金の含有率を次の式によって算出する。 

銀 (ppm) =Sa

b−

×1000 

金 (ppm) =Sa×1000 

ここに, a: 金の質量 (mg) 
 

b: 金銀合粒の質量 (mg) 

S: はかりとった試料の質量 (g) 

7. 容器 気密容器とする。 

8. 表示 容器には,容易に消えない方法で,次の事項を表示しなければならない。 

(1) 名称 “鉛”及び“試薬”の文字 

(2) 種類 

(3) 元素記号,原子量 

(4) 内容量 

(5) 製造番号 

(6) 製造業者名又はその略号 

K 8701-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

久保田 正 明 

物質工学工業技術研究所計測化学部 

細 川 幹 夫 

通商産業省基礎産業局生物化学産業課 

津 田   博 

通商産業省機械情報産業局計量行政室 

地 崎   修 

工業技術院標準部繊維化学規格課 

喜多川   忍 

通商産業検査所化学部化学標準課 

野々村   誠 

都立工業技術センター無機化学部 

加 山 英 男 

財団法人日本規格協会 

石 橋 無味男 

厚生省国立衛生試験所 

川 瀬   晃 

社団法人日本分析化学会 

柳 瀬 斉 彦 

社団法人日本化学工業協会 

藤 貫   正 

社団法人日本分析化学会 

並 木   昭 

財団法人化学品検査協会 

鶴 田 利 行 

硫酸協会 

中 村   靖 

日本鉱業協会 

大 槻   孝 

社団法人日本鉄鋼協会 

日 暮 喜八郎 

第一化学薬品株式会社 

北 田 佳 伸 

和光純薬工業株式会社 

高 野 虞美子 

東京化成工業株式会社 

中 村   穣 

森田化学工業株式会社 

山 岡   宏 

片山化学工業株式会社 

飯 岡 寛 一 

柳島製薬株式会社 

山 田 和 夫 

関東化学株式会社 

(事務局) 

平 井 信 次 

日本試薬連合会