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K 8660:2018  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 種類······························································································································· 2 

4 性質······························································································································· 2 

4.1 性状 ···························································································································· 2 

4.2 定性方法 ······················································································································ 2 

5 品質······························································································································· 2 

6 試験方法························································································································· 2 

6.1 一般事項 ······················································································································ 2 

6.2 純度(Cu) ·················································································································· 3 

6.3 硫黄(S) ····················································································································· 6 

6.4 銀(Ag),アンチモン(Sb)及び鉄(Fe) ·········································································· 7 

6.5 鉛(Pb)及びビスマス(Bi) ··························································································· 8 

6.6 ひ素(As) ·················································································································· 10 

7 容器······························································································································ 13 

8 表示······························································································································ 13 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正

すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS K 8660:1994は改正され,この規格に置き換えられた。 

なお,平成30年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ

ーク表示認証において,JIS K 8660:1994によることができる。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

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銅(試薬) 

Copper (Reagent) 

Cu  AW:63.546 

適用範囲 

この規格は,試薬として用いる銅について規定する。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 0121 原子吸光分析通則 

JIS K 0970 ピストン式ピペット 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8012 亜鉛(試薬) 

JIS K 8044 三酸化二ひ素(試薬) 

JIS K 8085 アンモニア水(試薬) 

JIS K 8101 エタノール(99.5)(試薬) 

JIS K 8102 エタノール(95)(試薬) 

JIS K 8103 ジエチルエーテル(試薬) 

JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬) 

JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8230 過酸化水素(試薬) 

JIS K 8355 酢酸(試薬) 

JIS K 8374 酢酸鉛(II)三水和物(試薬) 

JIS K 8533 ビス[(+)-タルトラト]二アンチモン(III)酸二カリウム三水和物(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8550 硝酸銀(試薬) 

JIS K 8559 硝酸鉄(III)九水和物(試薬) 

JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬) 

JIS K 8566 硝酸ビスマス五水和物(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8580 すず(試薬) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS K 8777 ピリジン(試薬) 

JIS K 8913 よう化カリウム(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬) 

JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬) 

JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬) 

JIS K 9512 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(試薬) 

JIS P 3801 ろ紙(化学分析用) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS Z 0701 包装用シリカゲル乾燥剤 

種類 

種類は,特級とする。 

性質 

4.1 

性状 

銅は,赤みの金色の金属で,削り片,板状及び立方体などのものがある。熱硫酸には二酸化硫黄のガス

を発生して溶け,硝酸には窒素酸化物のガスを発生して溶ける。 

4.2 

定性方法 

試料0.5 gに硝酸(1+1)10 mLを加えて,発生するガスが無色になるまで加熱して溶かし,冷却した後,

アンモニア水(1+3)6 mLを加えるとうすい青の沈殿が生じ,更にアンモニア水(1+3)5 mLを加える

と沈殿が溶けて濃い青になる。 

品質 

品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。 

表1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

純度(Cu) 

質量分率 % 

99.95以上 

6.2 

硫黄(S) 

質量分率 % 

0.002以下 

6.3 

銀(Ag) 

質量分率 % 

0.002以下 

6.4 

鉛(Pb) 

質量分率 % 

0.001以下 

6.5 

ひ素(As) 

質量分率 ppm 

5以下 

6.6 

アンチモン(Sb) 

質量分率 % 

0.005以下 

6.4 

ビスマス(Bi) 

質量分率 % 

0.002以下 

6.5 

鉄(Fe) 

質量分率 % 

0.003以下 

6.4 

試験方法 

6.1 

一般事項 

試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.2 

純度(Cu) 

純度(Cu)の試験方法は,6.2.2又は6.2.3のいずれかによる。 

6.2.1 

試料の前処理 

試料の前処理は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) エタノール(99.5) JIS K 8101に規定するもの。 

2) ジエチルエーテル JIS K 8103に規定するもの。 

3) 塩酸(1+3) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積1と水の体積3とを混合したもの。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) 減圧デシケーター JIS R 3503に規定する上口デシケーターに,JIS Z 0701に規定するシリカゲル

A形1種を乾燥剤として入れ,減圧が可能な附属品を付けたもの。 

2) 減圧ポンプ 密閉容器から気体を排出することによって,密閉容器を減圧にするためのポンプ。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試験に必要な量より少し多く試料をとり,塩酸(1+3),水,エタノール(99.5)及びジエチルエー

テルで順次洗浄する。 

2) 洗浄した試料を,直ちに減圧デシケーターに入れ,減圧ポンプを用いて,デシケーター内圧2.0 kPa 

以下で数分間吸引した後,減圧デシケーターのコックを閉じて,減圧下で約12時間保つ。ただし,

減圧デシケーターは,試料を入れた容器をひょう量する室内又は恒温の装置内に置く。 

6.2.2 

差数法 

差数法は,次による。 

この場合,質量分率100 %から銅中の不純物の分析種の含有率の総和を差し引いたものを示す。 

なお,差数法に必要な銅中の不純物の分析種は,銀(Ag),鉛(Pb),ひ素(As),アンチモン(Sb),ビ

スマス(Bi),硫黄(S)及び鉄(Fe)とする。 

a) 計算 純度(Cu)は,次の式によって算出し,小数点3桁目以下を切り捨てる。 

A=100−B 

ここに, 

A: 純度(Cu)(質量分率 %) 

B: 銀(Ag),鉛(Pb),ひ素(As),アンチモン(Sb),ビスマス

(Bi),硫黄(S)及び鉄(Fe)の各含有率の総和(質量分率 %) 

6.2.3 

電解重量法 

電解重量法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) エタノール(99.5) 6.2.1 a) 1)による。 

2) 硝酸(1+1) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積1と

を混合したもの。 

3) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と

を混合したもの。 

4) 硝酸−硫酸混液 水80 mLに,JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)14 mL及

びJIS K 8951に規定する硫酸20 mLを徐々に加えて混合したもの。 

5) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却し,かき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々に

加えたもの。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,銅標準液(Cu:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水

和物3.93 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水

を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 

mLを加え,水を標線まで加えて混合する。 

b) 装置及び器具 主な装置及び器具は,次による。 

1) 電解ビーカー ほうけい酸ガラス製で,図1に示すもの。 

2) 円筒状白金陰極 白金製で,図2に示すもの。 

3) らせん状白金陽極 白金製で,図3に示すもの。 

4) 半円形時計皿 ほうけい酸ガラス製で,図4に示すもの。 

5) 定電流電解装置 図5に示すもの。 

6) ピストン式ピペット JIS K 0970に規定するもの。 

7) 電気定温乾燥器 約80 ℃に調節できるもの。 

8) フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。 

注記 斜線部分は,すり合わせとする。 

図1−電解ビーカー及び蓋の例 

図2−円筒状白金陰極の例 

図3−らせん状白金陽極の例 

図4−半円形時計皿の例 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A: 

B: 
C: 

D: 

E: 

F: 

G: 

定電流電源装置 
円筒状白金陰極 
らせん状白金陽極 
電解ビーカー 
半円形時計皿 
スターラー 
かき混ぜ機 

図5−定電流電解装置 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 陰極に電着した銅の質量 

1.1) 円筒状白金陰極は,硝酸(1+1)150 mLに数分間浸し,約40 ℃〜約60 ℃で1時間加熱する。

水で洗浄し,続いてエタノール(99.5)で洗浄後,約80 ℃の電気定温乾燥器中で2分間から3分

間乾燥し,デシケーター中で放冷する。その質量を,0.01 mgの桁まではかる。 

1.2) らせん状白金陽極は,硝酸(1+1)150 mLに数分間浸し,水で洗浄し,続いてエタノール(99.5)

で洗浄後,約80 ℃の電気定温乾燥器中で2分間から3分間乾燥し,デシケーター中で放冷する。 

1.3) 前処理を行った試料5.0 gを0.1 mgの桁まではかる。 

1.4) はかりとった試料を電解ビーカーに入れ,硝酸−硫酸混液57 mLを加えた後,蓋をして静かにか

き混ぜる。反応が穏やかになった後,注意して約80 ℃に加熱し完全に溶かすとともに,窒素酸化

物を追い出す。 

1.5) 蓋の内面及び電解ビーカーの内壁を水洗いした後,水を加えて液量を約150 mLとし,かき混ぜて

溶液を均一にする。 

1.6) 円筒状白金陰極及びらせん状白金陽極を電極とし図5に示す状態に組み立て,試料溶液につ(浸)

け,2個の半円形時計皿で電解ビーカーを覆い,液温を20 ℃〜30 ℃に保ち,0.3 A〜0.4 Aの電流

を約5時間通じた後,0.6 A〜0.7 Aの電流を15時間から17時間通じて電解する。 

1.7) 電解液が無色になったとき,半円形時計皿の下面,電解ビーカーの内壁及び電極の液面上に露出

した部分を水洗し,電解液面を約5 mm上昇させ,更に約1時間電解を続ける。 

1.8) 電解液面を約5 mm上昇させた円筒状白金陰極部分に銅の電着が目視で認められなくなったとき

は,0.6 A〜0.7 Aの電流を通じたまま両電極を水洗しながら徐々に引き上げる。両電極は水を入れ

た他のビーカーに速やかに浸した後,電流を止めて,円筒状白金陰極を外し,よく水洗する。円

筒状白金陰極をエタノール(99.5)を入れたビーカーに浸した後,約80 ℃の電気定温乾燥器で2

分間から3分間乾燥し,デシケーター中で約30分間放冷する。 

1.9) 銅が電着している円筒状白金陰極の質量を0.01 mgの桁まではかり,円筒状白金陰極の質量との差

から電着銅の質量を求める。電解ビーカー中の溶液(以下,“電解残液”という。)は,2)の試験

に用いる。 

2) 電解残液中の銅の質量 

2.1) 検量線溶液の調製は,適切な容量の全量フラスコを5個準備し,それぞれに硫酸(1+1)20 mL

及び適切な容量の電解残液を正確に加え,ピストン式ピペットで,表2に示す銅標準液(Cu:0.01 

mg/mL)の体積を5段階加え,水を標線まで加えて混合する(それぞれ,Y0液,Y1液,Y2液,Y3

液及びY4液とする。)。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2−採取する標準液の体積 

標準液 

mg/mL 

採取量 mL 

Y0 

Y1 

Y2 

Y3 

Y4 

銅標準液(Cu) 

0.01  

10 

20 

30 

2.2) 試料溶液の調製は,作成した検量線の範囲内の吸光度になるように,硫酸(1+1)20 mL及び電

解残液を検量線と同じ容量の全量フラスコに正確に入れ,水を標線まで加え混合する(X液)。 

2.3) フレーム原子吸光分析装置の一般事項は,JIS K 0121による。 

2.4) フレーム原子吸光分析装置は,あらかじめアセチレン−空気フレームの状態を最適にしておき,

Y4液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,324.8 nm付近で吸光度が最大となる波長を設定し,

吸光度を測定できる状態にする。 

2.5) X液,Y0液,Y1液,Y2液,Y3液及びY4液をそれぞれアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,吸

光度及び標準液の濃度から作成される検量線の直線性をJIS K 0121の9.1 a)(検量線法)によって,

銅(Cu)の含有率(質量分率 %)を計算する。 

d) 計算 銅(Cu)の純度は,次の式によって算出する。 

100

1

3

2

×

+

=

m

m

m

A

ここに, 

A: 銅(Cu)の純度(質量分率 %) 

m1: はかりとった試料の量(g) 

m2: 電極に電着した銅(Cu)の質量(g) 

m3: 電解残液中の銅(Cu)の質量(g) 

6.3 

硫黄(S) 

硫黄(S)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。 

2) 塩化バリウム溶液(100 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gを水に溶かして

100 mLにしたもの。 

3) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合したもの。 

4) 硝酸(1+1) 6.2.3 a) 2)による。 

5) 硫黄標準液(S:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,硫黄標準液(S:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8962に規定する硫酸カリウム5.44 

gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。この

液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) ろ紙 JIS P 3801に規定する5種Cのもの。 

2) 共通すり合わせ平底試験管 例えば,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。 

3) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。 

c) 操作 操作は,有害な硝酸及び一酸化窒素が発生するため,排気に注意して,次のとおり行う。 

1) 試料50 gをビーカー1 000 mLなどにはかりとり,硝酸(1+1)400 mLを加え時計皿で覆い,発生

するガスが無色となるまで熱板(ホットプレート)上で加熱して溶かす。冷却後,全量フラスコ500 

mLに移し,水を標線まで加えて混合する(S液)(6.4及び6.5の試験にも用いる。)。 

K 8660:2018  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2) 試料溶液の調製は,S液30 mL(試料量3 g)をビーカー100 mLなどにとり,“塩酸(2+1)10 mL

を加え,沸騰水浴上で蒸発乾固する”(3回行う)。冷却後,塩酸(2+1)1.5 mLを加え,水を加え

て60 mLにする(A液)。A液20 mL(試料量1 g)を共通すり合わせ平底試験管にとり,塩酸(2

+1)0.3 mL及びエタノール(95)3 mLを加える。 

3) 比較溶液の調製は,A液20 mL(試料量1 g)をビーカー50 mLなどにとり,塩化バリウム溶液(100 

g/L)2 mLを加えて,沸騰するまで熱板(ホットプレート)上で加熱する。1時間放置後,ろ紙を

用いてろ過する。ろ液を共通すり合わせ平底試験管にとり,塩酸(2+1)0.3 mL及びエタノール(95)

3 mLを加える。 

4) 試料溶液に塩化バリウム溶液(100 g/L)2 mLを加え,比較溶液に硫黄標準液(S:0.01 mg/mL)2.0 

mLを加え,水を加えて30 mLにし,1時間放置する。 

5) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験

管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。 

d) 判定 c)によって操作し,試料溶液から得られた液の濁りが,比較溶液から得られた液の白濁より濃

くないとき,“硫黄(S):質量分率0.002 %以下(規格値)”とする。 

6.4 

銀(Ag),アンチモン(Sb)及び鉄(Fe) 

銀(Ag),アンチモン(Sb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硝酸(1+1) 6.2.3 a) 2)による。 

2) 銀標準液(Ag:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,銀標準液(Ag:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8550に規定する硝酸銀1.57 gを全

量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mL

を全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。 

3) アンチモン標準液(Sb:0.1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,アンチモン標準液(Sb:0.1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8533に規定するビス[(+)-

タルトラト]二アンチモン(III)酸二カリウム三水和物2.74 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりと

り,酒石酸溶液(200 g/L)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液100 

mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,酒石酸溶液(200 g/L)25 mLを加え,水を標線まで加

えて混合する。 

4) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム

鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて

溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸

(1+2)25 mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。 

b) 装置 主な装置は,次による。 

1) 水浴 6.3 b) 3)による。 

2) フレーム原子吸光分析装置 6.2.3 b) 8)による。 

c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表3に示す。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表3−分析種の測定波長の例 

分析種 

測定波長 nm 

銀(Ag) 

328.1 

アンチモン(Sb) 

217.6 

鉄(Fe) 

248.3 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,6.3のS液50 mL(試料量5 g)を全量フラスコ100 mLにとり,水を標線まで

加えて混合する(X液)。 

2) 比較溶液の調製は,6.3のS液50 mL(試料量5 g)を全量フラスコ100 mLにとり,銀標準液(Ag:

0.01 mg/mL)10 mL,アンチモン標準液(Sb:0.1 mg/mL)2.5 mL及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)

15 mLを加え,水を標線まで加えて混合する(Y液)。 

3) 空試験溶液の調製は,硝酸(1+1)40 mLをビーカー100 mLなどにとり,沸騰水浴上で約5 mLま

で蒸発し,全量フラスコ100 mLに移し,水を標線まで加えて混合する(Z液)。 

4) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表3に示す測

定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液,Y液及びZ液をそれぞれアセチレン−空

気フレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値n1,Y液の指示値n2及びZ液の指

示値n3を読み取る。 

5) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いたn1−n3をY液の指示値からX液の指示値を

引いたn2−n1と比較する。 

e) 判定 d)によって操作し,n1−n3がn2−n1より大きくないとき,“銀(Ag):質量分率0.002 %以下(規

格値),アンチモン(Sb):質量分率0.005 %以下(規格値),鉄(Fe):質量分率0.003 %以下(規格値)”

とする。 

注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によっておおよその参考値を求めることができる。 

100

000

1

1

2

3

1

×

×

×

=m

n

n

n

n

B

A

ここに, 

A: 分析種の含有率(質量分率 %) 

B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg) 

m: X液に含まれる試料の質量(g) 

6.5 

鉛(Pb)及びビスマス(Bi) 

鉛(Pb)及びビスマス(Bi)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) アンモニア水(2+3) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %,特級)の体

積2と水の体積3とを混合したもの。 

2) 温アンモニア水(1+10) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %,特級)

の体積1と水の体積10とを混合し,40 ℃〜60 ℃に加熱したもの。 

3) 温塩酸(1+50) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積1と水の体積50とを混合し,40 ℃〜

60 ℃に加熱したもの。 

4) 硝酸(1+1) 6.2.3 a) 2)による。 

5) 硝酸鉄(III)溶液 JIS K 8559に規定する硝酸鉄(III)九水和物2.0 gを水50 mLに溶かしたもの。 

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6) 硝酸ランタン(III)溶液 硝酸ランタン(III)六水和物(純度 質量分率98.0 %以上のもの)0.8 g

に水10 mL及び硝酸(1+2)1 mLを加えて溶かし,水を加えて50 mLにしたもの。 

なお,硝酸(1+2)の調製は,6.2.3 a) 3)による。 

7) 硝酸・過酸化水素溶液 硝酸(1+1)100 mLとJIS K 8230に規定する過酸化水素10 mLとを混合

したもの。使用時に調製する。 

8) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 g

を全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mLを加えて溶かし,水を標線まで加えて

混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,更に

水を標線まで加えて混合する。 

9) ビスマス標準液(Bi:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,ビスマス標準液(Bi:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8566に規定する硝酸ビスマ

ス五水和物2.32 gを全量フラスコ1 000 mLはかりとり,硝酸(1+2)10 mL及び水を加えて溶かし,

水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)

10 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。 

b) 装置 主な装置は,次による。 

1) ろ紙 6.3 b) 1)による。 

2) 水浴 6.3 b) 3)による。 

3) フレーム原子吸光分析装置 6.2.3 b) 8)による。 

c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表4に示す。 

表4−分析種の測定波長の例 

分析種 

測定波長 nm 

鉛(Pb) 

283.3 

ビスマス(Bi) 

223.1 

d) 操作 操作は,有害なアンモニアガスが発生するため,排気に注意して,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,6.3のS液100 mL(試料量10 g)をビーカー500 mLにとり,水100 mL,硝酸

鉄(III)溶液2 mL及び硝酸ランタン(III)溶液2 mLを加え,アンモニア水(2+3)を沈殿が溶け

るまで加える。アンモニア水(2+3)50 mLを加え,熱板(ホットプレート)上で穏やかに5分間

煮沸し,60 ℃〜80 ℃で2時間放置する。ろ紙を用いて沈殿をろ過し,温アンモニア水(1+10)で

沈殿を洗い,このろ液及び洗液は捨てる。新たなビーカー200 mLで受けながら,ろ紙上の沈殿を硝

酸・過酸化水素溶液10 mLを加えて溶かし,温塩酸(1+50)50 mLでろ紙を洗い,合わせた液を

熱板(ホットプレート)上で約10 mLまで蒸発し,冷却後,水を加えて20 mLにする(X液)。 

2) 比較溶液の調製は,6.3のS液100 mL(試料量10 g),鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)10 mL及びビス

マス標準液(Bi:0.01 mg/mL)20 mLをビーカー500 mLに正確にとり,水70 mL,硝酸鉄(III)溶

液2 mL及び硝酸ランタン(III)溶液2 mLを加え,アンモニア水(2+3)を沈殿が溶けるまで加え

る。アンモニア水(2+3)50 mLを加え,熱板(ホットプレート)上で穏やかに5分間煮沸し,60 ℃

〜80 ℃で2時間放置する。ろ紙を用いて沈殿をろ過し,温アンモニア水(1+10)で沈殿を洗い,

このろ液及び洗液は捨てる。新たなビーカー200 mLで受けながら,ろ紙上の沈殿を硝酸・過酸化水

素溶液10 mLを加えて溶かし,温塩酸(1+50)50 mLでろ紙を洗い,合わせた液を熱板(ホット

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

プレート)上で約10 mLまで蒸発し,冷却後,水を加えて20 mLにする(Y液)。 

3) 空試験溶液の調製は,硝酸(1+1)80 mLをビーカー100 mLなどにとり,熱板(ホットプレート)

上で蒸発乾固し,硝酸鉄(III)溶液2 mL,硝酸ランタン(III)溶液2 mL及びアンモニア水(2+3)

50 mLを加え,熱板(ホットプレート)上で穏やかに5分間煮沸し,60 ℃〜80 ℃で2時間放置す

る。ろ紙を用いて沈殿をろ過し,温アンモニア水(1+10)で沈殿を洗い,このろ液及び洗液は捨て

る。新たなビーカー200 mLで受けながら,ろ紙上の沈殿を硝酸・過酸化水素溶液10 mLを加えて

溶かし,温塩酸(1+50)50 mLでろ紙を洗い,合わせた液を熱板(ホットプレート)上で約10 mL

まで蒸発し,冷却後,水を加えて20 mLにする(Z液)。 

4) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表4に示す測

定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液,Y液及びZ液をそれぞれアセチレン−空

気フレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値n1,Y液の指示値n2及びZ液の指

示値n3を読み取る。 

5) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いたn1−n3をY液の指示値からX液の指示値を

引いたn2−n1と比較する。 

e) 判定 d)によって操作し,n1−n3がn2−n1より大きくないとき,“鉛(Pb):質量分率0.001 %以下(規

格値),ビスマス(Bi):質量分率0.002 %以下(規格値)”とする。 

注記 分析種の含有率(質量分率 %)を求める場合は,6.4 e)の注記によって求めることができる。 

6.6 

ひ素(As) 

ひ素(As)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 亜鉛(ひ素分析用) JIS K 8012に規定する粒径150 μm〜1 400 μmのもの。 

2) ピリジン JIS K 8777に規定するもの。 

3) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。 

4) アンモニア水(2+3) 6.5 a) 1)による。 

5) 温アンモニア水(1+10) 6.5 a) 2)による。 

6) 塩化すず(II)溶液(N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀法用)[塩化すず(II)溶液(AgDDTC

法用)] JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをはかりとり,JIS K 8180に規定する

塩酸(ひ素分析用)に溶かし,JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)を加えて100 mLにした

もの。JIS K 8580に規定する小粒のすず2,3個を加えて保存する。褐色ガラス製瓶に保存する。こ

れを,使用時に水で10倍にうすめる。 

7) 塩酸(ひ素分析用)(1+1) JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積1とを

混合したもの。 

8) 酢酸鉛(II)溶液(100 g/L) JIS K 8374に規定する酢酸鉛(II)三水和物11.6 gをはかりとり,水

を加えて溶かし,水を加えて100 mLにした後,JIS K 8355に規定する酢酸0.1 mLを加えたもの。 

9) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀・ピリジン溶液(AgDDTC・ピリジン溶液) JIS K 9512に規

定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀0.5 gをはかりとり,JIS K 8777に規定するピリジンに

溶かし,JIS K 8777に規定するピリジンで100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に入れ,冷所に保

存する。 

10) 硝酸(1+2) 6.2.3 a) 3)による。 

11) よう化カリウム溶液(200 g/L) JIS K 8913に規定するよう化カリウム20 gをはかりとり,水を加

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。使用時に調製する。 

12) 硫酸(1+15) 水の体積15を冷却し,かき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々

に加えたもの。 

13) 硫酸アンモニウム鉄(III)溶液 JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水5 gに硫

酸(1+100)100 mLを加えて溶かしたもの。 

なお,硫酸(1+100)の調製は,水の体積100に,かき混ぜながらJIS K 8951に規定する硫酸の

体積1を徐々に加える。 

14) ひ素標準液(As:0.001 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,ひ素標準液(As:0.001 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8044に規定する特級又は1級の

三酸化二ひ素1.32 gをはかりとり,水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)6 mLを加えて溶かし,水500 

mLを加える。塩酸(ひ素分析用)(1+3)でpH 3〜5に調節した後,水で全量フラスコ1 000 mL

に移し,水を標線まで加えて混合する。この液25 mLを全量フラスコ250 mLに正確にとり,水を

標線まで加えて混合する。さらに,この10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線ま

で加えて混合する。 

また,水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)及び塩酸(ひ素分析用)(1+3)を調製する場合は,次

による。 

− 水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)の調製は,JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム10.3 gをは

かりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存

する。 

− 塩酸(ひ素分析用)(1+3)の調製は,JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の

体積3とを混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) ろ紙 6.3 b) 1)による。 

2) 吸収セル(必要な場合に用いる。) 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,

光路長が10 mmのもの。 

3) ひ素試験装置 例を図6に示す。 

4) 分光光度計(必要な場合に用いる。) 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。 

c) 操作 操作は,有害な硝酸及び一酸化窒素が発生するため,排気に注意して,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料0.5 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,硫酸(1+15)30 mL及び硝酸

(1+2)6 mLを加え,時計皿で覆い,熱板(ホットプレート)上で加熱して溶かす。冷却後,水

10 mL及び硫酸アンモニウム鉄(III)溶液0.3 mLを加え,アンモニア水(2+3)を沈殿が溶けるま

で加える。アンモニア水(2+3)5 mLを加え,熱板(ホットプレート)上で穏やかに2分間煮沸し,

60 ℃〜80 ℃で10分間加熱する。ろ紙を用いて沈殿をろ過し,温アンモニア水(1+10)で沈殿を

洗い,このろ液及び洗液は捨てる。新たなビーカー200 mLで受けながら,ろ液を捨てる。沈殿を塩

酸(ひ素分析用)(1+1)10 mLを加えて溶かし,少量の水でろ紙を洗い,溶解液と洗液とを水素化

ひ素発生瓶100 mLに移す。 

2) 比較溶液の調製は,ひ素標準液(As:0.001 mg/mL)2.5 mLをビーカー200 mLなどに正確にとり,

硫酸(1+15)30 mL及び硝酸(1+2)6 mLを加え,時計皿で覆い,熱板(ホットプレート)上で

加熱する。冷却後,水10 mL及び硫酸アンモニウム鉄(III)溶液0.3 mLを加え,アンモニア水(2

+3)を沈殿が溶けるまで加える。アンモニア水(2+3)5 mLを加え,熱板(ホットプレート)上

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

で穏やかに2分間煮沸し,60 ℃〜80 ℃で10分間加熱する。ろ紙を用いて沈殿をろ過し,温アンモ

ニア水(1+10)で沈殿を洗い,このろ液及び洗液は捨てる。新たなビーカー200 mLで受けながら,

沈殿を塩酸(ひ素分析用)(1+1)10 mLを加えて溶かし,少量の水でろ紙を洗い,溶解液と洗液と

を水素化ひ素発生瓶100 mLに移し,水を加えて40 mLにする。冷却後,水素化ひ素発生瓶100 mL

に移す。 

3) 空試験溶液の調製は,ビーカー200 mLなどに硫酸(1+15)30 mL及び硝酸(1+2)6 mLを加え,

時計皿で覆い,熱板(ホットプレート)上で加熱する。冷却後,水10 mL及び硫酸アンモニウム鉄

(III)溶液0.3 mLを加え,アンモニア水(2+3)を沈殿が溶けるまで加える。アンモニア水(2+3)

5 mLを加え,熱板(ホットプレート)上で穏やかに2分間煮沸し,60 ℃〜80 ℃で10分間加熱す

る。ろ紙を用いて沈殿をろ過し,温アンモニア水(1+10)で沈殿を洗い,このろ液及び洗液は捨て

る。新たなビーカー200 mLで受けながら,沈殿を塩酸(ひ素分析用)(1+1)10 mLを加えて溶か

し,少量の水でろ紙を洗い,溶解液と洗液とを水素化ひ素発生瓶100 mLに移し,水を加えて40 mL

にする。冷却後,水素化ひ素発生瓶100 mLに移す(空試験溶液は,吸光度を測定する場合に調製

する。)。 

4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に,塩酸(ひ素分析用)(1+1)5 mLを加える。これらによう

化カリウム溶液(200 g/L)15 mL及び塩化すず(II)溶液(AgDDTC法用)5 mLを加えて振り混ぜ,

10分間放置する。次に,亜鉛(ひ素分析用)3 gを加え,直ちに水素化ひ素発生瓶100 mLと導管B

(あらかじめ水素化ひ素吸収管CにAgDDTC・ピリジン溶液5 mLをとり,導管Bと水素化ひ素吸

収管Cとを連結しておく。)とを連結する。水素化ひ素発生瓶100 mLを約25 ℃の水中で約1時間

放置した後,水素化ひ素吸収管Cを離し,ピリジンを5 mLの標線まで加える。 

5) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,水素化ひ素吸収管Cの上

方又は側方から観察して,色を比較する。 

なお,必要であれば吸収セルを用い,波長519 nm付近の吸収極大の波長における吸光度を,空試

験溶液からのAgDDTC・ピリジン溶液を対照液として,JIS K 0115の6.(特定波長における吸収の

測定)によって測定する。 

d) 判定 c)によって操作し,次の1)又は2)に適合するとき,“ひ素(As):質量分率5 ppm以下(規格値)”

とする。 

1) 試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の赤より濃くない。 

2) 試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A: 

B: 
C: 

D: 

E: 

F: 

G: 

水素化ひ素発生瓶100 mL 
導管 
水素化ひ素吸収管 
ゴム栓又はすり合わせ 
酢酸鉛(II)溶液(100 g/L)で
湿したガラスウール 
40 mLの標線 
5 mLの標線 

図6−ひ素試験装置の例 

容器 

容器は,気密容器とする。 

表示 

容器には,次の事項を表示する。 

a) 日本工業規格番号 

b) 名称“銅”及び“試薬”の文字 

c) 種類 

d) 元素記号及び原子量 

e) 純度 

f) 

内容量 

g) 製造番号 

h) 製造業者名又はその略号