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K 8294:2016  

(1) 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 種類······························································································································· 2 

4 性質······························································································································· 2 

4.1 性状 ···························································································································· 2 

4.2 定性方法 ······················································································································ 2 

5 品質······························································································································· 2 

6 試験方法························································································································· 3 

6.1 一般事項 ······················································································································ 3 

6.2 エタノール不溶分 ·········································································································· 3 

6.3 吸光度(2 mg/L,590 nm) ······························································································ 4 

6.4 乾燥減量(105 ℃) ······································································································· 4 

6.5 強熱残分(硫酸塩) ······································································································· 4 

6.6 鋭敏度 ························································································································· 5 

7 容器······························································································································· 5 

8 表示······························································································································· 5 

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(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正

すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS K 8294:1995は改正され,この規格に置き換えられた。 

なお,平成28年9月21日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ

ーク表示認証において,JIS K 8294:1995によることができる。 

また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標

準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

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日本産業規格          JIS 

K 8294:2016 

クリスタルバイオレット(試薬) 

Crystal violet (Reagent) 

C25H30ClN3・9H2O FW:570.12 

適用範囲 

この規格は,試薬として用いるクリスタルバイオレット1) について規定する。 

注1) 化学名:[4-{ビス(4-ジメチルアミノフェニル)メチレン}-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン]

ジメチルアンモニウムクロリド ナノハイドレート 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法 

JIS K 0068 化学製品の水分測定方法 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 0117 赤外分光分析方法通則 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8042 アニリン(試薬) 

JIS K 8102 エタノール(95)(試薬) 

JIS K 8223 過塩素酸(試薬) 

JIS K 8886 無水酢酸(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS R 3505 ガラス製体積計 

JIS Z 0701 包装用シリカゲル乾燥剤 

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K 8294:2016  

種類 

種類は,特級とする。 

性質 

4.1 

性状 

クリスタルバイオレットは,金属光沢のある暗い黄から暗い緑の結晶又は結晶性粉末で,エタノール

(99.5)に溶けやすく,水に溶けにくく,ジエチルエーテルにほとんど溶けない。 

4.2 

定性方法 

試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117に従って測定すると,波数3 406 cm-1,2 923 cm-1,1 582 cm-1,

1 355 cm-1,1 294 cm-1,1 164 cm-1,942 cm-1,912 cm-1及び724 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。試料

調製をJIS K 0117の5.2 b)(錠剤法)によって行い,調製に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペク

トルの例を図1に示す。 

図1−赤外吸収スペクトルの例 

注記 図1は,国立研究開発法人産業技術総合研究所のスペクトルデータベースシステム(SDBS)か

ら引用したもので,チャート上に波数表示を追加している。 

品質 

品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。 

表1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

エタノール不溶分 

質量分率 % 

0.5以下 

6.2 

吸光度(2 mg/L,590 nm) 

0.30以上 

6.3 

乾燥減量(105 ℃) 

質量分率 % 

27.0〜30.0 

6.4 

強熱残分(硫酸塩) 

質量分率 % 

0.5以下 

6.5 

鋭敏度 

試験適合 

6.6 

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試験方法 

6.1 

一般事項 

試験方法は,次による。 

a) 試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。 

b) 使用するガラス器具は,特に規定がない場合は,JIS R 3503及びJIS R 3505による。 

c) 使用する標準液は,計量計測トレーサビリティが確保された標準物質を,使用用途に合致することを

確認し,必要ならば希釈して使用する。このような標準液がない場合,使用用途に合致することを確

認して市販の標準液を用いるか,又は調製したものを用いる。 

注記1 計量計測トレーサビリティが確保された標準物質としては,計量標準供給制度[JCSS(Japan 

Calibration Service System)]に基づく標準液,国立研究開発法人産業技術総合研究所計量標

準総合センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST),ドイツ連邦材料試験研究所

(BAM)などが供給する標準物質及びこれらへの計量計測トレーサビリティが確保された

市販の認証標準物質がある。 

d) 滴定用溶液は,計量計測トレーサビリティが確保されたものを,使用用途に合致することを確認して

使用する。調製及び標定を行う場合,JIS K 8001の附属書JA(試験用溶液類の調製方法及び滴定用溶

液類の調製及び標定)による。 

注記2 ISO/IEC 17025に準拠した方法によって標定された市販の滴定用溶液がある。 

6.2 

エタノール不溶分 

エタノール不溶分の試験方法は,次による。 

a) 試薬 試薬は,次のものを用いる。 

エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 共通すり合わせ球管冷却器付きフラスコ 共通すり合わせ冷却器を備えたフラスコ。 

2) 磁製乳鉢(必要な場合に用いる。) 比較的硬度が低い固体を粉砕又は混和するために,乳棒ととも

に使用する鉢(すり鉢)で,材質が磁製のもの。 

3) るつぼ形ガラスろ過器 るつぼ形ガラスろ過器1G3のもの。 

4) 吸引ろ過装置 物質を溶液から分離するためにガラスろ過器と吸引瓶とを組み合わせた装置。 

5) デシケーター 乾燥剤にJIS Z 0701に規定するシリカゲルA形1種を用いたもの。 

6) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。 

7) 電気定温乾燥器 (105±2)℃に調節できるもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料2.0 gを,0.1 mgの桁まではかりとり,共通すり合わせ球管冷却器付きフラスコに入れ,エタノ

ール(95)100 mLを加えて,水浴上で15分間エタノールを還流させた後,放冷する。 

なお,塊状で溶けにくいものは,磁製乳鉢で粉砕して用いる。 

2) この溶液を,(105±2)℃の電気定温乾燥器で恒量にしたるつぼ形ガラスろ過器(m1 g)を取り付け

た吸引ろ過装置でろ過し,るつぼ形ガラスろ過器をエタノール(95)で無色になるまで洗浄する。 

なお,溶液が着色しているものについては,洗液が無色になるまで洗浄する。 

3) るつぼ形ガラスろ過器を清浄な場所に放置してエタノールを揮散させた後,(105±2)℃の電気定温

乾燥器で恒量になるまで乾燥し,デシケーター中で室温まで放冷し,その質量を0.1 mgの桁までは

かる(m2 g)。 

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d) 計算 計算は,次の式によって算出する。 

100

1

2

×

=

m

m

m

A

ここに, 

A: エタノール不溶分(質量分率 %) 

m: はかりとった試料の質量(g) 

m1: 恒量にしたるつぼ形ガラスろ過器の質量(g) 

m2: 洗浄後に,恒量にしたるつぼ形ガラスろ過器の質量(g) 

e) 判定 c) によって操作し,d) によって得られた含有率が,次に適合するとき,“エタノール不溶分:

質量分率0.5 %以下(規格値)”とする。 

計算して得られた含有率が,規格値を満足している。 

6.3 

吸光度(2 mg/L,590 nm) 

吸光度(2 mg/L,590 nm)の試験方法は,次による。 

a) 試薬 試薬は,次のものを用いる。 

エタノール(95) 6.2 a) による。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの。 

2) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料0.02 gを全量フラスコ100 mLに0.1 mgの桁まではかりとり,エタノール

(95)を加えて溶かし,エタノール(95)を標線まで加えて混合する。その1 mLを全量フラスコ100 

mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

2) 吸収セル10 mmを用いて,波長590 nmにおける吸光度を,水を対照液として測定する。 

d) 計算 吸光度(2 mg/L,590 nm)は,次の式によって算出する。 

m

A

A

02

.0

=

ここに, 

A: 吸光度(2 mg/L,590 nm) 

Am: 吸光度の測定値 

m: c) 1) ではかりとった試料の質量(g) 

0.02: c) 1) で規定されたはかりとり試料量(g) 

e) 判定 c) によって操作し,d) によって得られた吸光度(2 mg/L,590 nm)が,次に適合するとき,“吸

光度(2 mg/L,590 nm):0.30 以上(規格値)”とする。 

計算して得られた吸光度(2 mg/L,590 nm)が,規格値を満足している。 

6.4 

乾燥減量(105 ℃) 

乾燥減量(105 ℃)の試験方法は,試料1.0 gを0.1 mgの桁まではかりとり,減圧硫酸デシケーター内

で18時間放置する。その後,JIS K 0067の4.1.4 (1)(第1法 大気圧下で加熱乾燥する方法)によって,

4時間乾燥する。 

6.5 

強熱残分(硫酸塩) 

強熱残分(硫酸塩)の試験方法は,JIS K 0067の4.4.4 (4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)によ

る。ただし,試料1.0 gを0.1 mgの桁まではかりとり,JIS K 8951に規定する硫酸1 mLを加えた後,強熱

する。 

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6.6 

鋭敏度 

鋭敏度の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 酢酸(非水滴定用) 非水滴定に用いる酢酸は,次の試験に適合したものを用いる。JIS K 8042に規

定するアニリン1 gをはかりとり,酢酸(非水滴定用)を加えて溶かし,酢酸(非水滴定用)を加

えて100 mLにしたものをA液とする。A液25 mLを正確にとり,0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶媒)

で電位差滴定したときの滴定量をV1 mLとする。また,A液25 mLを正確にとり,酢酸(非水滴定

用)75 mLを加え0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶媒)で電位差滴定したときの滴定量をV2 mLとする。

V2−V1は,0.1 mL以下である。 

なお,酢酸(非水滴定用)の水分測定は,JIS K 0068の6.3.5 a)(直接滴定)による。試料10 g

を用いる。この場合,滴定溶媒はメタノールに代えて,クロロホルムとアルキレンカーボネートと

を主成分とするカールフィッシャー用脱水溶剤40 mLを用いる。 

2) 0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶媒)(HClO4:10.05 g/L) JIS K 8223に規定する過塩素酸(質量分率70 %

〜72 %)及びJIS K 8886に規定する無水酢酸を用いて,6.1 d) による。 

なお,この溶液は,冬季は凍る場合があるので,注意して保存する。また,一度凍ったものは,

解凍後よく混合して,再標定する。この解凍した液の均質性は,標定したファクターのばらつきを

目安とする。 

b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。 

共通すり合わせ平底試験管 濁り,ごみなどの有無が確認しやすい大きさで,目盛のあるもの。例

として,容量50 mL,直径約23 mmのもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料0.01 gを共通すり合わせ平底試験管50 mLなどにはかりとり,酢酸(非水

滴定用)10 mLを加えて溶かす(B液)。 

2) 酢酸(非水滴定用)50 mLにB液を0.05 mL加える(C液)。白の背景を用いて,共通すり合わせ平

底試験管50 mLなどの上方又は側面からC液の色を観察する。 

3) C液に0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶媒)0.05 mLを加える(D液)。白の背景を用いて,共通すり合

わせ平底試験管50 mLなどの上方又は側面からD液の色を観察する。 

d) 判定 c) によって操作し,次の1) 及び2) に適合するとき,“鋭敏度:試験適合”とする。 

1) C液の色は,紫となる。 

2) D液の色は,黄みの緑から緑みの黄となる。 

容器 

容器は,遮光した気密容器とする。 

表示 

容器には,次の事項を表示する。 

a) 日本産業規格番号 

b) 名称“クリスタルバイオレット”及び“試薬”の文字 

c) 種類 

d) 化学式,式量 

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e) 内容量 

f) 

製造番号 

g) 製造業者名又はその略号