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K 8289:2012  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 種類 ······························································································································ 2 

4 性質 ······························································································································ 2 

4.1 性状 ····························································································································· 2 

4.2 定性方法 ······················································································································· 2 

5 品質 ······························································································································ 2 

6 試験方法························································································································· 3 

6.1 一般事項 ······················································································································· 3 

6.2 水溶状 ·························································································································· 3 

6.3 比吸光度[

%

1

cm

1E

(281 nm)] ······························································································ 4 

6.4 乾燥減量 ······················································································································· 4 

6.5 強熱残分(硫酸塩) ········································································································ 4 

6.6 鋭敏度 ·························································································································· 4 

7 容器 ······························································································································ 5 

8 貯蔵方法························································································································· 5 

9 表示 ······························································································································ 5 

10 取扱い上の注意 ·············································································································· 5 

K 8289:2012  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

試薬協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべ

きとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS K 8289:1993は改正され,この規格に置き換えられた。 

なお,平成24年12月20日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJIS

マーク表示認証において,JIS K 8289:1993によることができる。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格 

JIS 

K 8289:2012 

クペロン(試薬) 

Cupferron (Reagent) 

C6H9N3O2  FW:155.15 

序文 

この規格は,1952年に制定され,その後5回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は1993年に

行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。 

なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。 

適用範囲 

この規格は,試薬として用いるクペロン1) について規定する。 

注1) 化学名:N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩 

警告 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とする。

この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするものではない。

この規格の利用者は,MSDS(化学物質等安全データシート)などを参考にして各自の責任に

おいて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 0117 赤外分光分析方法通則 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8550 硝酸銀(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬) 

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K 8289:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

種類 

種類は,特級とする。 

性質 

4.1 

性状 

クペロンは,白からうすい黄の薄片状結晶又は結晶性粉末で,水に溶けやすく,エタノールにやや溶け

にくい。クペロンは着色しやすく,長期保存に耐えない。また,分解性をもつことから,アンモニア雰囲

気中で保存する。 

4.2 

定性方法 

試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117に従って測定すると,波数3 127 cm-1,1 483 cm-1,1 459 cm-1,

1 338 cm-1,1 273 cm-1,1 058 cm-1,911 cm-1及び693 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。試料調製をJIS 

K 0117の5.3(粉体)のa)(錠剤法)によって行い,錠剤の調製に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収

スペクトルの例を図1に示す。 

図1−赤外吸収スペクトルの例 

注記 図1は,独立行政法人産業技術総合研究所のSDBSから引用したものである。 

品質 

品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。 

表1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

水溶状 

試験適合 

6.2 

比吸光度[

%

1

cm

1

E

(281 nm)] 

515以上 

6.3 

乾燥減量 

質量分率 % 

1.0以下 

6.4 

強熱残分(硫酸塩) 

質量分率 % 

0.05以下 

6.5 

鋭敏度 

試験適合 

6.6 

K 8289:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

試験方法 

6.1 

一般事項 

試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。 

6.2 

水溶状 

水溶状の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合す

る。 

2) 硝酸銀溶液(20 g/l) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mlにする。褐色ガラ

ス製瓶に保存する。 

3) 塩化物標準液 

3.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。 

3.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 2)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し

た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する(以下,“JCSSに基づく標準液”

という。)。 

3.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な

場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液が入手できない場合

は,市販の標準液を用いる(以下,JCSS以外の認証標準液及び市販の標準液を合わせて,“JCSS

以外の認証標準液など”という。)。 

3.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mlにはかりとり,水を加えて

溶かし,水を標線まで加えて混合する。 

注2) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。 

3.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml

に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準(“ほとんど澄明”)は,次による。 

塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)0.5 mlを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水10 ml,硝酸

(1+2)1 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,更に水を加えて20 mlとし,振り混ぜてから15

分間放置する。 

c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。 

共通すり合わせ平底試験管 濁り,ごみなどの有無を確認しやすい大きさで,目盛のあるもの。例

として,容量50 ml,直径約23 mmのもの。 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,水で

20 mlにする。 

2) 直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を共通すり

合わせ平底試験管の上方又は側面から観察する。 

e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合”とする。 

1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。 

2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。 

K 8289:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.3 

比吸光度[

%

1

cm

1

E

(281 nm)] 

比吸光度[

%

1

cm

1

E

(281 nm)]の試験方法は,次による。 

a) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの。 

2) 分光光度計 JIS K 0115に規定するもの。 

b) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料0.10 gを0.1 mgの桁まではかり,全量フラスコ500 mlに入れ,水を加え

て溶かし,水を標線まで加えて混合する(A液)(A液は,6.6の試験にも用いる。)。A液5 mlを全

量フラスコ200 mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。 

2) 吸収セルを用い,分光光度計で波長281 nm付近の吸収極大の波長における試料溶液の吸光度を,水

を対照液としてJIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)によって測定する。 

c) 計算 比吸光度[

%

1

cm

1

E

(281 nm)]は,次の計算式によって算出する。 

100

)

200

/5(

)

500

/

(

)

nm

281

(

E

m

1

cm

1

×

×

=m

E

ここに, 

%

1

cm

1E

: 281 nmにおける比吸光度 

Em: 吸光度の測定値 

m: b) 1)ではかりとった試料の質量(g) 

6.4 

乾燥減量 

乾燥減量は,JIS K 0067の4.1.4(2)(第2法 大気圧下で乾燥剤を用いて乾燥する方法)による。この

場合,試料1.0 gを0.1 mgの桁まではかりとる。試料を入れたはかり瓶をデシケーターに入れて,18時間

放置する。 

6.5 

強熱残分(硫酸塩) 

強熱残分(硫酸塩)は,JIS K 0067の4.4.4(4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)による。この場

合,試料2.0 gを0.1 mgの桁まではかりとる。JIS K 8951に規定する硫酸1.0 mlを用いる。 

6.6 

鋭敏度 

鋭敏度の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸の体積2と水の体積1とを混合する。 

2) 鉄(III)標準液 

2.1) 鉄(III)標準液(Fe:1 mg/ml) JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水8.63 g

を全量フラスコ1 000 mlにはかりとり,塩酸(2+1)3 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで

加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。 

注記 鉄標準液として,上記以外にJCSSに基づく標準液,及びJCSS以外の認証標準液などがあ

る。使用者は,入手可能な鉄標準液が3価の鉄イオンで,その酸濃度,使用されている安定

剤なども試験に適切であると判断すれば,使用することができる。 

2.2) 鉄(III)標準液(Fe:0.01 mg/ml) 鉄(III)標準液(Fe:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml

に正確にはかりとり,塩酸(2+1)3 mlを加え,水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶

に保存する。 

b) 器具 主な器具は,次のものを用いる。 

試験管 色,濁りなどの有無を確認しやすい大きさのもの。例として,容量10 ml以下のもの。 

K 8289:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,鉄(III)標準液(Fe:0.01 mg/ml)0.50 mlを試験管などにはかりとり,6.3 b) 1)

で調製したA液0.20 mlを加える。 

2) 白の背景を用いて,試験管などの上方又は側面から試料溶液の色を観察する。 

d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“鋭敏度:試験適合”とする。 

試料溶液は,直ちに黄色から黄褐色の濁りを生じる。 

容器 

容器は,遮光した気密容器とする。 

貯蔵方法 

製品は,別に入れてある炭酸アンモニウム又は炭酸水素アンモニウム(安定剤)とともに,光を遮り,

なるべく冷所に保存する。 

表示 

容器には,次の事項を表示する。 

a) 日本工業規格番号 

b) 名称 “クペロン”及び“試薬”の文字 

c) 種類 

d) 化学式及び式量 

e) 内容量 

f) 

製造番号 

g) 製造年月又はその略号 

h) 製造業者名又はその略号 

10 取扱い上の注意 

クペロンは,爆発などの危険性があるので火気に注意する。また,有害なので,粉じんの吸入,粘膜・

皮膚への付着などを避ける。