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K 8203:2019  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 種類······························································································································· 2 

4 性質······························································································································· 2 

4.1 性状 ···························································································································· 2 

4.2 定性方法 ······················································································································ 2 

5 品質······························································································································· 2 

6 試験方法························································································································· 3 

6.1 一般事項 ······················································································································ 3 

6.2 純度(C6H9ClN2) ·········································································································· 3 

6.3 水溶状 ························································································································· 3 

6.4 強熱残分(硫酸塩) ······································································································· 4 

6.5 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 4 

6.6 鉛(Pb)及び鉄(Fe) ···································································································· 5 

7 容器······························································································································· 6 

8 表示······························································································································· 6 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正

すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS K 8203:1994は改正され,この規格に置き換えられた。 

なお,平成31年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ

ーク表示認証において,JIS K 8203:1994を適用してもよい。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

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フェニルヒドラジン塩酸塩(試薬) 

Phenylhydrazine hydrochloride (Reagent) 

  C6H9ClN2  FW:144.60 

適用範囲 

この規格は,試薬として用いるフェニルヒドラジン塩酸塩について規定する。 

注記 別名:塩化フェニルヒドラジニウム 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法 

JIS K 0117 赤外分光分析通則 

JIS K 0121 原子吸光分析通則 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8102 エタノール(95)(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8322 クロロホルム(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8550 硝酸銀(試薬) 

JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬) 

JIS K 8567 硝酸マグネシウム六水和物(試薬) 

JIS K 8922 よう素酸カリウム(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬) 

JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬) 

JIS P 3801 ろ紙(化学分析用) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

種類 

種類は,特級とする。 

性質 

4.1 

性状 

フェニルヒドラジン塩酸塩は,白からうすい黄赤の結晶又は結晶性粉末で,光及び酸素の影響で次第に

着色して赤から暗褐色に変わる。水及びエタノール(99.5)にやや溶けやすい。 

4.2 

定性方法 

定性方法は,次による。 

a) 試料0.2 gに水20 mLを加えて溶かし,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えると,

白い沈殿が生じる。 

b) 試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数3 201 cm-1,1 580 cm-1,1 492 cm-1,

887 cm-1,857 cm-1,766 cm-1,726 cm-1,681 cm-1及び495 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。この

場合,試料調製はJIS K 0117の5.2 b)(錠剤法)による。錠剤の調製に臭化カリウムを用いたときの

赤外吸収スペクトルの例を図1に示す。 

図1−赤外吸収スペクトルの一例 

品質 

品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。 

表1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

純度(C6H9ClN2) 

質量分率 % 

98.5 以上 

6.2 

水溶状 

− 

試験適合 

6.3 

強熱残分(硫酸塩) 

質量分率 % 

0.05 以下 

6.4 

硫酸塩(SO4) 

質量分率 % 

0.005 以下 

6.5 

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表1−品質(続き) 

項目 

規格値 

試験方法 

鉛(Pb) 

質量分率 % 

0.001 以下 

6.6 

鉄(Fe) 

質量分率 ppm 

5 以下 

6.6 

試験方法 

6.1 

一般事項 

試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。 

6.2 

純度(C6H9ClN2) 

純度(C6H9ClN2)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 塩酸 JIS K 8180に規定する特級のもの。 

2) クロロホルム JIS K 8322に規定するもの。 

3) 0.05 mol/L よう素酸カリウム溶液 JIS K 8922に規定するよう素酸カリウムを用いて,JIS K 8001

のJA.6.4 x)(0.05 mol/L よう素酸カリウム溶液)に従って,調製,標定及び計算する。 

b) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料1 gを全量フラスコ100 mLに0.1 mgの桁まではかりとり,塩酸1 mL及び水を加えて溶かし,

水を標線まで加えて,混合する。 

2) その20 mLを共通すり合わせ三角フラスコ300 mLなどに正確にとり,水10 mL及び塩酸30 mLを

加え,氷水で冷却し,0.05 mol/L よう素酸カリウム溶液で滴定する。 

3) 終点近くでクロロホルム5 mLを加え,絶えず振り混ぜながらクロロホルム層の紅色が消える点を

終点とする。 

c) 計算 純度(C6H9ClN2)は,次の式によって算出する。 

100

100

20

230

007

.0

×

×

×

×

=

m

f

V

A

ここに, 

A: 純度(C6H9ClN2)(質量分率 %) 

V: 滴定量(mL) 

f: 0.05 mol/L よう素酸カリウム溶液のファクター 

m: はかりとった試料の質量(g) 

0.007 230: 0.05 mol/L よう素酸カリウム溶液1 mLに相当する

C6H9ClN2の質量を示す換算係数(g/mL) 

6.3 

水溶状 

水溶状の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と

を混合したもの。 

2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加

えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。 

3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウ

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。

この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“ほとんど澄明”を用いる。 

ほとんど澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.5 mLを共通すり合わせ平底

試験管[c) 参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,水

を加えて20 mLとし,振り混ぜてから15分間放置する。 

c) 器具 主な器具は,次による。 

・ 共通すり合わせ平底試験管 例えば,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,水を

加えて20 mLにする。 

2) 試料溶液は,試料を溶かした直後に濁りの程度をb) と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物

の有無を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。 

e) 判定 次の1) 及び2) に適合するとき,“水溶状:試験適合(規格値)”とする。 

1) 試料溶液の濁りは,b) の濁りより濃くない。 

2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。 

6.4 

強熱残分(硫酸塩) 

強熱残分(硫酸塩)の試験方法は,JIS K 0067の4.4.4(4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)による。

この場合,試料2 gをはかりとり,JIS K 8951に規定する硫酸0.5 mLを加え,強熱温度は,500 ℃±50 ℃

とし,強熱残分は,0.1 mgの桁まではかる。 

6.5 

硫酸塩(SO4) 

硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。 

2) 塩化バリウム溶液(100 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gを水に溶かして

100 mLにしたもの。 

3) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合したもの。 

4) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8962に規定する硫酸カリウム

1.81 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。

この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具 主な器具は,次による。 

・ 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料量1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,塩酸(2+1)0.3 mL

を加え,水を加えて25 mLにする。 

2) 比較溶液の調製は,共通すり合わせ平底試験管に硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)5.0 mLをとり,

塩酸(2+1)0.3 mLを加え,水を加えて25 mLにする。 

3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 mL及び塩化バリウム溶液(100 g/L)2 mLを加えて

振り混ぜた後,1時間放置する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験

管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。 

d) 判定 試料溶液から得られた液の濁りが,比較溶液から得られた液の白濁より濃くないとき,“硫酸塩

(SO4):質量分率0.005 %以下(規格値)”とする。 

6.6 

鉛(Pb)及び鉄(Fe) 

鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。 

2) 塩酸(2+1) 6.5 a) 3) による。 

3) 硝酸マグネシウム・エタノール溶液 JIS K 8567に規定する硝酸マグネシウム六水和物17 gをはか

りとり,JIS K 8102に規定するエタノール(95)を加えて溶かし,エタノール(95)を加えて100 mL

にしたもの。 

4) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 g

を全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで

加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 mL及び水

を標線まで加えて混合する。使用時に調製する。 

5) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム

鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて

溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸

(1+2)25 mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) 石英ガラス製蒸発皿 容量30 mL以上のもの。 

2) ろ紙(必要な場合に用いる。) JIS P 3801に規定する5種Cのもの。 

3) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。 

4) 電気炉 650 ℃±50 ℃に調節できるもの。 

5) フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。 

c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表2に示す。 

表2−分析種の測定波長の例 

分析種 

測定波長 nm 

鉛(Pb) 

283.3 

鉄(Fe) 

248.3 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料4.0 gを石英ガラス製蒸発皿などにはかりとり,硝酸マグネシウム・エタノ

ール溶液20 mLを加え,よくかき混ぜる。 

2) 比較溶液の調製は,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)4.0 mL及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)2.0 mLを

石英ガラス製蒸発皿などにとり,硝酸マグネシウム・エタノール溶液20 mLを加え,よくかき混ぜ

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

る。 

3) 試料溶液及び比較溶液を点火,燃焼し,炭化した後,放冷する。次に,硫酸1 mLを入れて徐々に

加熱し,600 ℃±50 ℃の電気炉で強熱,灰化した後,放冷する。塩酸(2+1)2 mL及び水10 mL

を加え,水浴上で加熱して溶かした後,冷却し(不溶分があれば,ろ紙を用いてろ過し,水で洗い,

ろ液と洗液とを合わせる。),全量フラスコ50 mLに移し,水を標線まで加えて混合する(試料溶液

及び比較溶液を前処理したものを,それぞれX液及びY液とする。)。 

4) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表2に示す測

定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン−空気フレ

ーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。 

5) 測定結果は,X液の指示値n1とY液の指示値n2とを比較する。 

e) 判定 n1が,n2より大きくないとき,“鉛(Pb):質量分率0.001 %以下(規格値),鉄(Fe):質量分

率5 ppm以下(規格値)”とする。 

注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によって,おおよその値を求めることができる。 

なお,含有率(質量分率 %)に104を乗じると,含有率(質量分率 ppm)に変換される。 

100

000

1

2

1

×

×

×

=a

n

n

B

A

ここに, 

A: 分析種の含有率(質量分率 %) 

B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg) 

a: はかりとった試料の質量(g) 

容器 

容器は,遮光した気密容器とする。 

表示 

容器には,次の事項を表示する。 

a) 日本工業規格番号 

b) 名称“フェニルヒドラジン塩酸塩”及び“試薬”の文字 

c) 種類 

d) 化学式及び式量 

e) 純度 

f) 

内容量 

g) 製造番号 

h) 製造年月又はその略号 

i) 

製造業者名又はその略号