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K 8155:2017  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 種類······························································································································· 2 

4 性質······························································································································· 2 

4.1 性状 ···························································································································· 2 

4.2 定性方法 ······················································································································ 3 

5 品質······························································································································· 3 

6 試験方法························································································································· 3 

6.1 一般事項 ······················································································································ 3 

6.2 純度(BaCl2・2H2O) ······································································································ 4 

6.3 水溶状 ························································································································· 5 

6.4 pH(50 g/L,25 ℃) ······································································································ 5 

6.5 窒素化合物(Nとして)·································································································· 6 

6.6 ナトリウム(Na)及びカリウム(K)················································································ 8 

6.7 カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr) ······································································ 9 

6.8 鉛(Pb)及び鉄(Fe) ··································································································· 10 

6.9 カルシウム(Ca),ストロンチウム(Sr)及び鉄(Fe) ······················································· 12 

7 容器······························································································································ 13 

8 表示······························································································································ 13 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 14 

K 8155:2017  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正

すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS K 8155:2006は改正され,この規格に置き換えられた。 

なお,平成29年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ

ーク表示認証において,JIS K 8155:2006によることができる。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 8155:2017 

塩化バリウム二水和物(試薬) 

Barium chloride dihydrate 

BaCl2・2H2O  FW:244.26 

序文 

この規格は,1983年に第1版として発行されたISO 6353-2:1983,Reagents for chemical analysis−Part 2: 

Specifications−First series R6 Barium chloride dihydrateを基とし,技術の進歩を反映し,技術的内容を変更

して作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,試薬として用いる塩化バリウム二水和物について規定する。 

警告1 塩化バリウム二水和物は,劇物なので,粉じんを吸入しないようにし,粘膜,皮膚に付着し

ないようにする。 

警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす

る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので

はない。この規格の利用者は,SDS(安全データシート)などを参考にして各自の責任にお

いて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 6353-2:1983,Reagents for chemical analysis−Part 2: Specifications−First series R6 Barium 

chloride dihydrate(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 0116 発光分光分析通則 

JIS K 0121 原子吸光分析通則 

JIS K 0970 ピストン式ピペット 

JIS K 1107 窒素 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

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JIS K 8034 アセトン(試薬) 

JIS K 8051 3-メチル-1-ブタノール(試薬) 

JIS K 8085 アンモニア水(試薬) 

JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8111 塩化亜鉛(試薬) 

JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬) 

JIS K 8121 塩化カリウム(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8159 塩化マグネシウム六水和物(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8201 塩化ヒドロキシルアンモニウム(試薬) 

JIS K 8355 酢酸(試薬) 

JIS K 8377 酢酸ブチル(試薬) 

JIS K 8454 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8548 硝酸カリウム(試薬) 

JIS K 8550 硝酸銀(試薬) 

JIS K 8554 硝酸ストロンチウム(試薬) 

JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8617 炭酸カルシウム(試薬) 

JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬) 

JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬) 

JIS K 8653 デバルダ合金(試薬) 

JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬) 

JIS K 8736 エリオクロムブラックT(試薬) 

JIS K 8798 フェノール(試薬) 

JIS K 8891 メタノール(試薬) 

JIS K 8913 よう化カリウム(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS R 3505 ガラス製体積計 

JIS Z 8802 pH測定方法 

種類 

種類は,特級とする。 

性質 

4.1 

性状 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

塩化バリウム二水和物は,無色又は白い結晶で水に溶けやすく,エタノール(99.5)に極めて溶けにく

い。 

4.2 

定性方法 

定性方法は,次による。 

a) 試料1 gに水20 mLを加えて溶かす(A液)。A液5 mLに硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えると白い

沈殿が生じ,アンモニア水(2+3)5 mLを加えると沈殿は溶ける。 

b) 炎色試験は,直径約0.8 mmの白金線の先端から約30 mmまでを塩酸(1+1)に浸し,ガスバーナー

の無色炎中1) に入れた後,放冷する。この操作を炎に色が現れなくなるまで繰り返す。白金線の先端

約5 mmを水で浸し,少量の試料を付着させたものをガスバーナーの無色炎中に入れると緑が現れる。 

注1) 炎色試験に用いるガスバーナーは,炎の長さ約120 mm,内炎の長さ約30 mm程度とする。白

金線は,内炎の最上部から約10 mmの位置に水平に入れる。 

品質 

品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。 

表1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

純度(BaCl2・2H2O) 

質量分率 % 

99.0以上 

6.2 

水溶状 

− 

試験適合 

6.3 

pH(50 g/L,25 ℃) 

− 

5.0〜7.0 

6.4 

窒素化合物(Nとして) 

質量分率 % 

0.002以下 

6.5 

ナトリウム(Na) 

質量分率 % 

0.01以下 

6.6 

カリウム(K) 

質量分率 % 

0.005以下 

6.6 

カルシウム(Ca) 

質量分率 % 

0.01以下 

6.7又は6.9 

ストロンチウム(Sr) 

質量分率 % 

0.03以下 

6.7又は6.9 

鉛(Pb) 

質量分率 ppm 

2以下 

6.8 

鉄(Fe) 

質量分率 ppm 

1以下 

6.8又は6.9 

試験方法 

6.1 

一般事項 

一般事項は,次による。 

a) 試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。 

b) 使用するガラス器具は,特に規定がない場合は,JIS R 3503及びJIS R 3505による。 

c) 使用する標準液は,計量計測トレーサビリティが確保された標準液を,使用用途に合致することを確

認し,必要ならば希釈して使用する。このような標準液がない場合,使用用途に合致することを確認

して市販の標準液を用いるか,又は調製したものを用いる。 

注記1 計量計測トレーサビリティが確保された標準液としては,計量標準供給制度[JCSS(Japan 

Calibration Service System)]に基づく標準液,国立研究開発法人産業技術総合研究所計量標

準総合センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST),ドイツ連邦材料試験研究所

(BAM)などが供給する標準液及びこれらへの計量計測トレーサビリティが確保された市

販の認証標準液がある。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) 滴定用溶液の調製及び標定は,JIS K 8001の附属書JA(試験用溶液類の調製方法及び滴定用溶液類の

調製及び標定)による。市販品を用いる場合は,使用用途に合致することを確認する。 

注記2 計量計測トレーサビリティが確保された滴定用溶液としては,ISO/IEC 17025に基づく認

定試験所が認定の範囲で値付けした市販の滴定用溶液がある。 

6.2 

純度(BaCl2・2H2O) 

純度(BaCl2・2H2O)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) アンモニア性塩化アンモニウム溶液(pH10) JIS K 8116に規定する塩化アンモニウム7 gをはかり

とり,JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)57 mL及び水を加えて溶か

し,水を加えて100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に密栓して保存する。 

2) エリオクロムブラックT希釈粉末(必要な場合に用いる。) JIS K 8736に規定するエリオクロムブ

ラックT 0.10 gをはかりとり,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム10 gを加えて混合する。褐色

ガラス製瓶に保存する。 

3) エリオクロムブラックT溶液(必要な場合に用いる。) JIS K 8736に規定するエリオクロムブラッ

クT 0.5 gをはかりとり,JIS K 8891に規定するメタノールを加えて溶かし,JIS K 8891に規定する

メタノールを加えて100 mLにする。保存する場合,更にJIS K 8201に規定する塩化ヒドロキシル

アンモニウム0.5 gを加えて調製し,褐色ガラス製瓶に保存する。 

4) 0.01 mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム複合溶液(0.01 mol/L EDTA2Na複合溶液) 

JIS K 8111に規定する塩化亜鉛,JIS K 8159に規定する塩化マグネシウム六水和物及びJIS K 8107

に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物を用い,6.1 d)による。 

b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。 

自動滴定装置(必要な場合に用いる。) 光度滴定の機能をもち,最小吐出量が0.01 mL以下のもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

試料1 gを全量フラスコ500 mLに0.1 mgの桁まではかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで

加え混合する。その25 mLを共通すり合わせ三角フラスコ200 mLなどに正確にとり,水75 mL,ア

ンモニア性塩化アンモニウム溶液(pH10)2 mL及び指示薬エリオクロムブラックT希釈粉末0.03 g

〜0.04 g又はエリオクロムブラックT溶液2,3滴を加え,0.01 mol/L EDTA2Na複合溶液で滴定する。

終点は,液の色が赤から赤紫を経て青に変わる点とする。 

または,光度滴定によって,610 nm〜660 nmで0.01 mol/L EDTA2Na複合溶液で滴定する。終点は,

変曲点とする。 

d) 計算 純度(BaCl2・2H2O)は,次の式によって計算する。 

100

500

25

6

442

002

.0

×

×

×

×

=

m

f

V

A

ここに, 

A:純度(BaCl2・2H2O)(質量分率 %) 

V:滴定に要した0.01 mol/L EDTA2Na複合溶液の体積(mL) 

f:0.01 mol/L EDTA2Na複合溶液のファクター 

m:はかりとった試料の質量(g) 

0.002 442 6:0.01 mol/L EDTA2Na複合溶液1 mLに相当するBaCl2・

2H2Oの質量を示す換算係数(g/mL) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.3 

水溶状 

水溶状の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試薬用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と

を混合する。 

2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加

えて100 mLにする。褐色ガラス製瓶に保存する。 

3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウ

ム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。

この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。 

澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[6.3 

c)参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,水を加えて20 

mLとし,振り混ぜてから15分間放置する。 

c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。 

共通すり合わせ平底試験管 例えば,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて20 mLにす

る。 

2) 試料を溶かした直後に濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を共通す

り合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。 

e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合(規格値)”とする。 

1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。 

2) ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。 

6.4 

pH(50 g/L,25 ℃) 

pH(50 g/L,25 ℃)の試験方法は,次による。 

a) ガス及び試験用溶液類 ガス及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 窒素 JIS K 1107に規定するもの。 

2) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。 

b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。 

1) 恒温水槽 25 ℃±0.5 ℃に調節できるもの。 

2) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,二酸化炭素を除いた水を加え

て溶かし,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。この液を適切な容量のビーカーにと

る。 

2) JIS Z 8802の8.2(測定方法)による。この場合,液温25 ℃±0.5 ℃の恒温水槽につけた試料溶液

の液面上に窒素を流し,かき混ぜながらはかる。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.5 

窒素化合物(Nとして) 

窒素化合物(Nとして)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 吸収液 水150 mLを冷却し,かき混ぜながら,これにJIS K 8951に規定する硫酸10 mLを徐々に

加える。この液2 mLに水18 mLを加える。 

2) デバルダ合金 JIS K 8653に規定するもの。 

3) エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(インドフェノール青法用)[EDTA2Na溶液(イ

ンドフェノール青法用)] JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム1 gを水60 mLに溶かす。これ

にJIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物5 gを加えて溶かし,

水で100 mLにする。 

4) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質

量分率5 %〜12 %)の有効塩素を使用時に定量し,有効塩素が質量分率約1 %になるように水でう

すめる。冷暗所に保存し,30日以内に使用する。 

有効塩素の定量方法 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜12 %)10 gを0.1 mg

の桁まではかりとり,全量フラスコ200 mLに移し,水を標線まで加えて混合する。その20 mLを

共通すり合わせ三角フラスコ300 mLに正確にとり,水100 mL及びJIS K 8913に規定するよう化カ

リウム2 gを加えて溶かした後,速やかに酢酸(1+1)6 mLを加えて栓をして振り混ぜる。約5分

間暗所に放置後,指示薬としてでんぷん溶液を用い,0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。

この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄になったときに約0.5 mLを加える。終点

は,液の青が消える点とする。別に同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。 

次亜塩素酸ナトリウム溶液の有効塩素濃度は,次の式から求める。 

100

200

20

)

(

3

545

003

0

2

1

×

×

×

×

=

m

f

V

V

.

A

ここに, 

A:次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜

12 %)の有効塩素濃度(Cl)(質量分率 %) 

V1:滴定に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体積

(mL) 

V2:空試験に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体

積(mL) 

f:0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター 

m:はかりとった試料の質量(g) 

0.003 545 3:0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当する塩素

の質量を示す換算係数(g/mL) 

なお,酢酸(1+1),でんぷん溶液及び0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の調製は,次による。 

酢酸(1+1)の調製は,JIS K 8355に規定する酢酸の体積1と水の体積1とを混合する。 

でんぷん溶液の調製は,JIS K 8659に規定する特級又は1級のでんぷん(溶性)1.0 gに水10 mL

を加えてかき混ぜながら熱水200 mL中に入れて溶かす。これを約1分間煮沸した後に冷却する。 

冷所に保存し10日以内に使用する。 

0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の調製は,JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物,

及びJIS K 8625に規定する炭酸ナトリウム又はJIS K 8051に規定する3-メチル-1-ブタノールを用

い,6.1 d)による。 

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K 8155:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム30.9 gを水に溶かして

100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。 

6) ナトリウムフェノキシド溶液 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)18 mLをビーカー200 mLにとる。

冷水中で冷却しながらJIS K 8798に規定するフェノール12.6 gを少量ずつ加えた後,更にJIS K 

8034に規定するアセトン4 mLを加え,水で100 mLにする。使用時に調製する。 

7) 窒素標準液(N:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,窒素標準液(N:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8548に規定する硝酸カリウム7.22 

gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。この

液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置など 主な器具及び装置などは,次のとおりとする。 

1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの。 

2) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。 

3) 沸騰石 液体を沸騰させるとき突沸を防ぐためにいれる多孔質の小片。 

4) 恒温水槽 20 ℃〜25 ℃に調節できるもの。 

5) 蒸留装置 例を図1に示す。 

6) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。 

A: 

B: 
C: 

D: 

E: 

F: 

G: 
H: 

I: 

J: 

K: 

L: 

蒸留フラスコ500 mL 
連結導入管 
すり合わせコックK-16 
注入漏斗 
ケルダール形トラップ球(E':小孔) 
球管冷却器300 mm 
逆流止め(約50 mL) 
受器(有栓形メスシリンダー100 mL) 
共通すり合わせ 
共通テーパー球面すり合わせ 
押さえばね 
ヒーター 

図1−蒸留装置の例 

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K 8155:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,蒸留フラスコAに試料1.0 gをはかりとり,水140 mLを加えて溶かす。 

2) 比較溶液の調製は,蒸留フラスコAに窒素標準液(N:0.01 mg/mL)2.0 mLをとり,水140 mLを

加える。 

3) 空試験溶液は,蒸留フラスコAに水140 mLを入れる。 

4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に沸騰石2,3粒を入れる。受器Hに吸収液20 mLを入れ,逆

流止めGの先端を浸す。蒸留フラスコAにデバルダ合金1 gを入れ,直ちに蒸留装置に連結する。

これに水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)10 mLを注入漏斗Dから加える。注入漏斗Dを水10 mL

で洗い,すり合わせコックCを閉じる。加熱して蒸留し,初留約75 mLをとり,水を加えて100 mL

にする(試料溶液から得られた液をX液,比較溶液から得られた液をY液及び空試験溶液から得ら

れた液をZ液とする。)。 

5) X液10 mL,Y液10 mL及びZ液10 mLをそれぞれ共通すり合わせ平底試験管にとり,EDTA2Na

溶液(インドフェノール青法用)1 mL及びナトリウムフェノキシド溶液4 mLを加えてよく振り混

ぜる。これらに次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %)2.5 mLを加え,更に水を加

えて25 mLにし,20 ℃〜25 ℃の恒温水槽で15分間放置する。 

6) X液及びY液から得られた液は,Z液から得られた液を対照液とし,吸収セルを用いて,分光光度

計で波長630 nmにおける吸光度をJIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)によって測定

し,比較する。 

d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“窒素化合物(Nとして):質量分率0.002 %以下(規格

値)”とする。 

X液から得られた液の吸光度は,Y液から得られた液の吸光度より大きくない。 

6.6 

ナトリウム(Na)及びカリウム(K) 

ナトリウム(Na)及びカリウム(K)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硫酸(1+15) 水の体積15を冷却してかき混ぜながら,これにJIS K 8951に規定する硫酸の体積1

を徐々に加える。 

2) ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナト

リウム2.54 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合

する。この液100 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。ポリ

エチレンなどの樹脂製瓶に保存する。 

3) カリウム標準液(K:0.1 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,カリウム標準液(K:0.1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8121に規定する塩化カリウム

1.91 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。

この液100 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレ

ンなどの樹脂製瓶に保存する。 

b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。 

1) 遠心分離機 沈殿を分離できる回転速度の設定できるもの。 

2) フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。 

c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表2に示す。 

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K 8155:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2−分析種の測定波長の例 

分析種 

測定波長 nm 

カリウム(K) 

766.5 

ナトリウム(Na) 

589.0 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料4.0 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,沸騰するまで加熱し,硫酸(1

+15)20 mLを加えた後,室温まで冷却し,水を加えて200 mLにする。3時間放置した後,遠心分

離し,上澄み液120 mLをとる(S液)。S液50 mL(試料量1 g)に水を加えて100 mLにする(X

液)。 

2) 比較溶液の調製は,S液50 mL(試料量1 g)にナトリウム標準液(Na:0.1 mg/mL)1.0 mL及びカ

リウム標準液(K:0.1 mg/mL)0.5 mLを加え,水を加えて100 mLにする(Y液)。 

3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,表2に示す測定波長付近で吸光

度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を

測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。 

4) 測定結果は,X液の指示値n1とY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1とを比較する。 

e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“ナトリウム(Na):質量分率0.01 %以下(規格値),

カリウム(K):質量分率0.005 %以下(規格値)”とする。 

n1は,n2−n1より大きくない。 

注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることができる。 

100

000

 1

1

2

1

×

×

×

=m

n

n

n

B

A

ここに, 

A: 分析種の含有率(質量分率 %) 

B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg) 

m: S液50 mLに含まれる試料の質量(g) 

6.7 

カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr) 

カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸の体積2と水の体積1とを混合する。 

2) カルシウム標準液(Ca:0.1 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,カルシウム標準液(Ca:0.1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8617に規定する炭酸カルシ

ウム2.50 gをはかりとり,水50 mL及び塩酸(2+1)15 mLを加え,沸騰しない程度に加熱して溶

かし,更に二酸化炭素を除き,冷却する。これを全量フラスコ1 000 mLに移し,水を標線まで加え

て混合する。この液100 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,塩酸(2+1)15 mLを加え,

更に水を標線まで加えて混合する。カルシウム系の可塑剤を含まないポリエチレンなどの樹脂製瓶

に保存する。 

3) ストロンチウム標準液(Sr:0.1 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,ストロンチウム標準液(Sr:0.1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8554に規定する硝酸ス

トロンチウム2.42 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加え

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10 

K 8155:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

て混合する。この液100 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。 

フレーム原子吸光分析装置 6.6 b) 2)による。 

c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表3に示す。 

表3−分析種の測定波長の例 

分析種 

測定波長 nm 

カルシウム(Ca) 

422.7 

ストロンチウム(Sr) 

460.7 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,塩酸(2+1)3 mLを加え,水

を加えて100 mLにする(X液)。 

2) 比較溶液の調製は,試料1.0 gに塩酸(2+1)3 mL,カルシウム標準液(Ca:0.1 mg/mL)1.0 mL,

ストロンチウム標準液(Sr:0.1 mg/mL)3.0 mL及び水を加えて100 mLにする(Y液)。 

3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,表3に示す測定波長付近で吸光

度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を

測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。 

4) 測定結果は,X液の指示値n1とY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1とを比較する。 

e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“カルシウム(Ca):質量分率0.01 %以下(規格値),

ストロンチウム(Sr):質量分率0.03 %以下(規格値)”とする。 

n1は,n2−n1より大きくない。 

注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることができる。 

100

000

 1

1

2

1

×

×

×

=m

n

n

n

B

A

ここに, 

A: 分析種の含有率(質量分率 %) 

B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg) 

m: はかりとった試料の質量(g) 

6.8 

鉛(Pb)及び鉄(Fe) 

鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 酢酸ブチル JIS K 8377に規定するもの。 

2) アンモニア水(2+3) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)の体積2と

水の体積3とを混合する。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。 

3) 塩酸(2+1) 6.7 a) 1)による。 

4) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム溶液(10 g/L)[NaDDTC溶液(10 g/L)] JIS K 8454

に規定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物1.3 gを水に溶かして100 mLにす

る。 

5) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。 

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11 

K 8155:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 gを

全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mLを加えて溶かし,水を標線まで加えて混

合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,更に水

を標線まで加えて混合する。 

7) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄

(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶か

し,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1

+2)25 mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) pH計 6.4 b) 2)による。 

2) フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。 

c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表4に示す。 

表4−分析種の測定波長の例 

分析種 

測定波長 nm 

鉛(Pb) 

283.3 

鉄(Fe) 

248.3 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料10 gをビーカー100 mLなどにはかりとり,水80 mL及び塩酸(2+1)1 mL

を加え,pH計を用いて,アンモニア水(2+3)でpH約8.5に調節し,更に水を加えて100 mLに

する。 

2) 比較溶液の調製は,試料10 gをビーカー100 mLなどにはかりとり,水70 mL,鉛標準液(Pb:0.01 

mg/mL)2.0 mL,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)1.0 mL及び塩酸(2+1)1 mLを加え,pH計を用い

て,アンモニア水(2+3)でpH約8.5に調節し,更に水を加えて100 mLにする。 

3) 空試験溶液の調製は,塩酸(2+1)1 mLに,水を加えて5 mLとする。 

4) 試料溶液及び比較溶液を,pH計を用いて,塩酸(2+1)又はアンモニア水(2+3)でpH約5.5に

調節し,更にNaDDTC溶液(10 g/L)5 mLを直ちに加え,水を加えて400 mLにする。 

5) これらの溶液それぞれを,分液漏斗500 mLに入れJIS K 8377に規定する酢酸ブチル20 mLを加え

た後,1分間激しく振り混ぜ,二層に分かれるまで放置する。この上層(酢酸ブチル相)を分取す

る。試料溶液からの酢酸ブチル相をX液とし,下層(水相)は保存する。比較溶液からの酢酸ブチ

ル相をY液とし,下層(水相)は捨てる。 

6) 保存していた試料溶液からの水相を分液漏斗500 mLにとり,酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激

しく振り混ぜ,二層に分かれるまで放置して下層(水相)を分取する。この場合の上層(酢酸ブチ

ル相)は捨てる。再び,水相に酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分かれる

まで放置して下層(水相)を分取し,上層(酢酸ブチル相)は捨てる。ここで得た水相に3)の空試

験溶液を加え,pH計を用いて,塩酸(2+1)又はアンモニア水(2+3)でpH約5.5に調節する。

さらに,NaDDTC溶液(10 g/L)5 mLを直ちに加え,酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り

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12 

K 8155:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

混ぜ,二層に分かれるまで放置し,上層(酢酸ブチル相)を分取してZ液とする。 

7) フレーム原子吸光分析装置は,あらかじめ酢酸ブチルを噴霧してフレームの状態を最適にしておき,

Y液をフレーム中に噴霧し,表4に示す測定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液,

Y液及びZ液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値n1,Y液の

指示値n2及びZ液の指示値n3を読み取る。 

8) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いたn1−n3とY液の指示値からX液の指示値を

引いたn2−n1とを比較する。 

e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“鉛(Pb):質量分率2 ppm以下(規格値),鉄(Fe):

質量分率1 ppm以下(規格値)”とする。 

n1−n3は,n2−n1より大きくない。 

注記 分析種の含有率(質量分率 ppm)は,次の式によって求めることができる。 

6

1

2

3

1

10

000

1

×

×

×

=m

n

n

n

n

B

A

ここに, 

A: 分析種の含有率(質量分率 ppm) 

B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg) 

m: はかりとった試料の質量(g) 

6.9 

カルシウム(Ca),ストロンチウム(Sr)及び鉄(Fe) 

カルシウム(Ca),ストロンチウム(Sr)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 塩酸(2+1) 6.7 a) 1)による。 

2) カルシウム標準液(Ca:0.1 mg/mL) 6.7 a) 2)による。 

3) ストロンチウム標準液(Sr:0.1 mg/mL) 6.7 a) 3)による。 

4) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 6.8 a) 7)による。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) ピストン式ピペット JIS K 0970に規定するもの。 

2) ICP発光分光分析装置 装置の構成は,JIS K 0116に規定するもの。 

c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表5に示す。 

表5−分析種の測定波長の例 

分析種 

測定波長 nm 

カルシウム(Ca) 

393.366 

ストロンチウム(Sr) 

407.771 

鉄(Fe) 

238.204 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,塩酸(2+1)3 mLを加え,水

を標線まで加え,混合する(X液)。 

2) 全量フラスコ100 mLを4個準備する。それぞれに塩酸(2+1)3 mLを加え,表6に示す各標準液

の体積を4段階加え,水を標線まで加え,混合する(それぞれ,Y0液,Y1液,Y2液及びY3液と

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13 

K 8155:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

する。)。 

表6−採取する標準液の体積 

標準液 

mg/mL 

採取量 μL 

Y0 

Y1 

Y2 

Y3 

カルシウム(Ca) 

0.1 

 1 000 

 2 000 

 4 000 

ストロンチウム(Sr) 

0.1 

 3 000 

 6 000 

 9 000 

鉄(Fe) 

0.01 

100 

200 

300 

3) ICP発光分光分析装置は,高周波プラズマを点灯するなどによって,発光強度を測定できる状態に

する。 

4) 同一分析種ごとに複数波長を選択し,Y0液,Y1液,Y2液及びY3液を用いて,関係線を作成し,

関係線のy切片が低く,感度及び直線性が良好な波長を選択する。この条件を満たせない場合,分

析結果に対する影響(定量限界,再現精度)を考慮して選択する。 

5) X液,Y0液,Y1液,Y2液及びY3液をアルゴンプラズマ中に噴霧し,分析種の発光強度を測定す

る。 

e) 計算 JIS K 0116の4.7.3のa) 1)(発光強度法)によって検量線を作成し,分析種の含有率を計算す

る。 

f) 

判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“カルシウム(Ca):質量分率0.01 %以下(規格値),

ストロンチウム(Sr):質量分率0.03 %以下(規格値),鉄(Fe):質量分率1 ppm以下(規格値)”と

する。 

計算して得られた含有率が,規格値を満足している。 

容器 

容器は,気密容器とする。 

表示 

容器には,次の事項を表示する。 

a) 日本工業規格番号 

b) 名称“塩化バリウム二水和物”及び“試薬”の文字 

c) 種類 

d) 化学式及び式量 

e) 純度 

f) 

内容量 

g) 製造番号 

h) 製造業者名又はその略号 

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14 

K 8155:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS K 8155:2017 塩化バリウム二水和物(試薬) 

ISO 6353-2:1983,Reagents for chemical analysis−Part 2: Specifications−First series R6 
Barium chloride dihydrate 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規 
格番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範囲 試薬として用いる

塩化バリウム二水
和物について規定。 

R6 

化学分析用試薬40品目 
の仕様について規定。 

変更 

JISは1品目1規格。 

試薬の規格使用者が各規格を多く 
引用しやすくするために1品目1
規格としている。 
なお,対応国際規格は30年以上見
直しをされていないため市場の実
態に合わない。国際規格の改正提
案を検討する。 

2 引用規格  

3 種類 

追加 

種類の項目を追加。 

JISは種類として“特級”である
が,ISO規格と技術的な差異はな
い。 

4 性質 

追加 

項目を追加。 

一般的な説明事項であり,技術上
の差はない。 

5 品質 

R6.1 

変更 

品質に差異のある項目:pH,カル
シウム,鉄,鉛,ストロンチウム 
追加した項目:水溶状 

ISO規格は,長期間内容の見直し
が行われず,国際市場でISO規格
品が用いられることはほとんどな
い。また,技術的差異も軽微であ
る。 

6 試験方法  

R6.2 

6.1 一般事
項 

JIS K 0050,JIS K 
8001,JIS R 3503及
びJIS R 3505を引
用。 

追加 

項目を追加。 

編集上の差異であり,技術上の差
異ではない。 

4

K

 8

1

5

5

2

0

1

7

background image

15 

K 8155:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規 
格番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

6.2 純度 

(BaCl2・ 

2H2O) 

錯滴定 

R6.2.1 

錯滴定 

変更 

試料溶液の調製方法などを変更。 

6.3 水溶状 

目視法 

追加 

項目を追加。 

品質の保証に必要なため追加。 

6.4 pH(50 
g/L,25 ℃) 

pH測定法 

R6.2.2 

pH測定法 

変更 

器具などを変更。 

技術上の差異は軽微であり,対策
は考慮しない。 

6.5 窒素化
合物(Nと
して) 

蒸留−インドフェ
ノール青法 

R6.2.3 

蒸留−ネスラー法 

変更 

発色方法などを変更。 

有害成分を用いない方法に変更。
国際規格の改正提案を検討する。 

6.6 ナトリ
ウム(Na)
及びカリウ
ム(K) 

フレーム原子吸光
法 

R6.2.5 

フレーム原子吸光法 

変更 

規格値などを変更。 

技術上の差異は軽微であり,対策
は考慮しない。 

6.7 カルシ
ウム(Ca)
及びストロ
ンチウム

(Sr) 

フレーム原子吸光
法 

R6.2.4 

フレーム原子吸光法 

6.8 鉛(Pb)
及び鉄(Fe) 

抽出フレーム原子
吸光法 

R6.2.4 

抽出フレーム原子吸光
法 

6.9 カルシ
ウム(Ca),
ストロンチ
ウム(Sr)
及び鉄(Fe) 

ICP発光分析法 

追加 

ISO規格のフレーム原子吸光法に
ICP発光分析法を追加。 

JISは技術的改良からICP発光分
光分析を採用している。ISO規格
の見直し時に,改正提案の検討を
行う予定。 

7 容器 

追加 

項目を追加。 

規格適合性を評価する関係で必要 
な項目を追加。 

8 表示 

追加 

項目を追加。 

 
 
 

4

K

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1

5

5

2

0

1

7

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16 

K 8155:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 6353-2:1983,MOD 

関連する外国規格 

REAGENT CHEMICALS−American Chemical Society Specifications ACS (2010) 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

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