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K 8013:2016  

(1) 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 種類······························································································································· 2 

4 性質······························································································································· 2 

4.1 性状 ···························································································································· 2 

4.2 定性方法 ······················································································································ 2 

5 品質······························································································································· 3 

6 試験方法························································································································· 3 

6.1 一般事項 ······················································································································ 3 

6.2 純度(Zn) ··················································································································· 3 

6.3 窒素化合物(Nとして)·································································································· 5 

6.4 ひ素(As) ··················································································································· 8 

6.5 窒素酸化物分析適合性(還元率)····················································································· 10 

7 容器······························································································································ 12 

8 表示······························································································································ 12 

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(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正

すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS K 8013:1994は改正され,この規格に置き換えられた。 

なお,平成28年9月21日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ

ーク表示認証において,JIS K 8013:1994によることができる。 

また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標

準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

日本産業規格          JIS 

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亜鉛粉末(試薬) 

Zinc powder (Reagent) 

Zn  AW:65.38 

適用範囲 

この規格は,試薬として用いる亜鉛粉末について規定する。 

警告1 亜鉛粉末は,湿った空気中では自然発火することがある。 

警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす

る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので

はない。この規格の利用者は,SDS(安全データシート),MSDS(化学物質等安全データシ

ート:JIS Z 7250は,2012年に廃止され,JIS Z 7253に移行。JIS Z 7250:2010に従ってよい

猶予期間は2016年まで)などを参考にして各自の責任において安全及び健康に対する適切な

措置をとらなければならない。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8005 容量分析用標準物質 

JIS K 8012 亜鉛(試薬) 

JIS K 8034 アセトン(試薬) 

JIS K 8044 三酸化二ひ素(試薬) 

JIS K 8051 3-メチル-1-ブタノール(試薬) 

JIS K 8085 アンモニア水(試薬) 

JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬) 

JIS K 8129 塩化コバルト(II)六水和物(試薬) 

JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8197 N-1-ナフチルエチレンジアミン二塩酸塩(試薬) 

JIS K 8201 塩化ヒドロキシルアンモニウム(試薬) 

JIS K 8355 酢酸(試薬) 

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JIS K 8371 酢酸ナトリウム三水和物(試薬) 

JIS K 8374 酢酸鉛(II)三水和物(試薬) 

JIS K 8529 臭素(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8548 硝酸カリウム(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8580 すず(試薬) 

JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬) 

JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬) 

JIS K 8653 デバルダ合金(試薬) 

JIS K 8736 エリオクロムブラックT(試薬) 

JIS K 8777 ピリジン(試薬) 

JIS K 8798 フェノール(試薬) 

JIS K 8847 ヘキサメチレンテトラミン(試薬) 

JIS K 8891 メタノール(試薬) 

JIS K 8913 よう化カリウム(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 9066 スルファニルアミド(試薬) 

JIS K 9512 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(試薬) 

JIS K 9563 キシレノールオレンジ(試薬) 

JIS P 3801 ろ紙(化学分析用) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS R 3505 ガラス製体積計 

種類 

種類は,窒素酸化物分析用及びひ素分析用とする。 

性質 

4.1 

性状 

亜鉛粉末は,灰色の微細な粉末で,塩酸,硝酸,硫酸及び水酸化ナトリウム溶液と反応して水素を発生

する。 

4.2 

定性方法 

定性方法は,次による。 

a) 試料0.3 gに塩酸(2+1)10 mLを加え,加熱して溶かし,水10 mLを加える(A液)。A液3 mLに

水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)3 mLを加えると,白い沈殿が生じる。さらに,水酸化ナトリウム

溶液(300 g/L)5 mLを加えると,その沈殿は溶ける。 

b) A液3 mLにヘキサシアニド鉄(II)酸カリウム溶液[ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム溶液](50 g/L)

1 mLを加えると,白い沈殿が生じる。 

background image

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品質 

品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。 

表1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

窒素酸化物分析用 

ひ素分析用 

純度(Zn) 

質量分率 % 

98.0以上 

98.0以上 

6.2 

窒素化合物(Nとして) 

質量分率 % 

0.004以下 

− 

6.3 

ひ素(As) 

 質量分率 ppm 

− 

0.05以下 

6.4 

窒素酸化物分析適合性 
(還元率) 

70以上 

− 

6.5 

試験方法 

6.1 

一般事項 

試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。 

使用するガラス器具は,特に規定がない場合は,JIS R 3503及びJIS R 3505による。 

6.2 

純度(Zn) 

純度(Zn)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) アンモニア性塩化アンモニウム溶液(pH10) JIS K 8116に規定する塩化アンモニウム7 gをはか

りとり,JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)57 mL及び水を加えて溶

かし,水を加えて100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に密栓して保存する。 

2) エリオクロムブラックT希釈粉末(必要な場合に用いる。) JIS K 8736に規定するエリオクロム

ブラックT 0.10 gをはかりとり,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム10 gを加えて混合する。希

釈粉末は,褐色ガラス製瓶に保存する。 

3) エリオクロムブラックT溶液(必要な場合に用いる。) JIS K 8736に規定するエリオクロムブラ

ックT 0.5 gをはかりとり,JIS K 8891に規定するメタノールを加えて溶かし,メタノールを加えて

100 mLにする。保存する場合,この溶液にJIS K 8201に規定する塩化ヒドロキシルアンモニウム

0.5 gを加えて溶かし,褐色ガラス製瓶に入れる。 

4) キシレノールオレンジ溶液 JIS K 9563に規定するキシレノールオレンジ0.10 gをはかりとり,水

を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。 

5) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と

を混合する。 

6) 硝酸(1+10) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積10

とを混合する。 

7) ヘキサメチレンテトラミン溶液 JIS K 8847に規定するヘキサメチレンテトラミン10 gをはかりと

り,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。 

8) 0.01 mol/L 亜鉛溶液(Zn:0.653 8 g/L) 0.01 mol/L 亜鉛溶液の調製及び計算は,次による。 

8.1) 調製 認証標準物質1) の亜鉛の必要量を認証書に従って,又はJIS K 8005に規定する容量分析用

標準物質の亜鉛の必要量を試験成績書などに記載された乾燥条件で乾燥する。その0.33 gを0.1 mg

の桁まではかりとり,共通すり合わせ冷却管が付けられる三角フラスコ300 mLに移し,水25 mL

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及び硝酸(1+2)25 mLを加え,冷却管を付けて水浴上で加熱して溶かす。次に,穏やかに煮沸

して窒素酸化物を除いた後,放冷し,全量フラスコ500 mLに移し,使用した三角フラスコ及び冷

却管を水洗し,洗液を先の全量フラスコ500 mLに加え,更に水を標線まで加えて混合した後,気

密容器に入れて保存する。 

注1) 認証標準物質を供給する者として,国立研究開発法人産業技術総合研究所計量標準総合

センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証標準

物質生産者がある。 

8.2) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。 

100

90

326

.0

1

A

m

f

×

=

ここに, 

f1: 0.01 mol/L亜鉛溶液のファクター 

m: はかりとった亜鉛の質量(g) 

A: 亜鉛の純度(質量分率 %) 

0.326 90: 0.01 mol/L 亜鉛溶液500 mL中の亜鉛の相当質量(g) 

9) 0.01 mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(0.01 mol/L EDTA2Na溶液) 

(C10H14O8N2Na2・2H2O:3.722 g/L) 0.01 mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液の

調製,標定及び計算は,次による。 

9.1) 調製 JIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物3.8 gをはかり

とり,水1 000 mLを加えて溶かした後,ポリエチレンなどの樹脂製気密容器に入れて保存する。 

9.2) 標定 0.01 mol/L亜鉛溶液25 mLをコニカルビーカー200 mLなどに正確にとり,水75 mLを加え,

アンモニア性塩化アンモニウム溶液(pH10)2 mL及び指示薬としてエリオクロムブラックT希釈

粉末0.03 g〜0.04 g又はエリオクロムブラックT溶液2,3滴を加え,9.1) で調製した0.01 mol/L 

EDTA2Na溶液で滴定する。終点は,液の色が赤から赤紫を経て赤味のない青に変わった点とする。 

9.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。 

V

f

f

25

=

ここに, 

f: 0.01 mol/L EDTA2Na溶液のファクター 

f1: 0.01 mol/L 亜鉛溶液のファクター 

V: 滴定に要した0.01 mol/L EDTA2Na溶液の体積(mL) 

b) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料0.1 gを全量フラスコ100 mLに0.1 mgの桁まではかりとり,硝酸(1+2)1 mLを加えて溶か

した後,水を加え100 mLにする。その10 mLをビーカー200 mLなどに正確にとり,水80 mLを加

える。 

2) ヘキサメチレンテトラミン溶液10 mLを加え,かき混ぜながら硝酸(1+10)を加えてpH5.4±0.2

に調節した後,指示薬としてキシレノールオレンジ溶液2,3滴を加え,0.01 mol/L EDTA2Na溶液

で滴定を行う。終点は液の色が赤紫から黄に変わった点とする。 

c) 計算 純度(Zn)は,次の式によって算出する。 

100

8

653

000

.0

1

×

×

×

=

m

f

V

A

ここに, 

A: 純度(Zn)(質量分率 %) 

V1: 滴定に要した0.01 mol/L EDTA2Na溶液の体積(mL) 

f: 0.01 mol/L EDTA2Na溶液のファクター 

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m: はかりとった試料の質量(g) 

0.000 653 8: 0.01 mol/L EDTA2Na溶液1 mLのZnの質量を示す換

算係数(g/mL) 

6.3 

窒素化合物(Nとして) 

窒素化合物(Nとして)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) デバルダ合金 JIS K 8653に規定するもの。 

2) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合する。 

3) エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(インドフェノール青法用)[EDTA2Na溶液(イ

ンドフェノール青法用)] JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム1 gをはかりとり,水60 mLを

加えて溶かす。これにJIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物

5 gを加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。 

4) 吸収液 硫酸(1+15)2 mLに水18 mLを加える。操作に必要な量を調製する。 

5) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質

量分率5 %〜12 %)の有効塩素を使用時に定量し,有効塩素が質量分率約1 %になるように水でう

すめる。冷暗所に保存し,30日以内に使用する。 

有効塩素の定量方法 有効塩素の定量方法は,次による。 

次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜12 %)10 gを0.1 mgの桁まではかりとり,

全量フラスコ200 mLに移し,水を標線まで加えて混合する。その20 mLを共通すり合わせ三角フ

ラスコ300 mLに正確にとり,水100 mL,JIS K 8913に規定するよう化カリウム2 g及び酢酸(1+

1)6 mLを加えて栓をして振り混ぜる。約5分間暗所に放置後,指示薬としてでんぷん溶液を用い,

0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がう

すい黄になったときに約0.5 mLを加える。終点は,液の青が消える点とする。 

別に同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。 

有効塩素の濃度は,次の式によって計算する。 

(

)

100

200

20

3

545

003

.0

2

1

×

×

×

×

=

m

f

V

V

A

ここに, 

A: 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %

〜12 %)の有効塩素濃度(Cl)(質量分率 %) 

V1: 滴定に要した0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液の体

積(mL) 

V2: 空試験に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の

体積(mL) 

f: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター 

m: はかりとった次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 

質量分率5 %〜12 %)の質量(g) 

0.003 545 3: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当する

Clの質量を示す換算係数(g/mL) 

6) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム30.9 gをはかりとり,

水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。 

7) ナトリウムフェノキシド溶液 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)18 mLをビーカー200 mLにとる。

冷水中で冷却しながらJIS K 8798に規定するフェノール12.6 gを少量ずつ加えた後,更にJIS K 

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8034に規定するアセトン4 mLを加え,水で100 mLにする。使用時に調製する。 

8) 溶存酸素を除いた水 JIS K 8001の5.8 d)(溶存酸素を除いた水)による。 

9) 硫酸(1+15) 水の体積15を冷却し,かき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々

に加える。 

10) 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液(Na2S2O3・5H2O:24.82 g/L) 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶

液の調製,標定及び計算は,次による。 

10.1) 調製 JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物26 gとJIS K 8625に規定する炭酸ナ

トリウム0.2 gをはかりとり,溶存酸素を除いた水1 000 mLを加えて溶かした後,気密容器に入

れて保存する。調製後2日間放置したものを用いる。 

なお,炭酸ナトリウムと同時にJIS K 8051に規定する3-メチル-1-ブタノールの適切な量を加

えてもよい。また,必要があればかくはん(攪拌)する。 

10.2) 標定 標定は,認証標準物質1) 又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のよう素酸カリウ

ムを用い,次のとおり行う。 

10.2.1) 認証標準物質のよう素酸カリウムを用いる場合は,認証書に規定する方法で使用する。 

10.2.2) 容量分析用標準物質のよう素酸カリウムを用いる場合は,試験成績書又は添付文書に従って乾

燥する。 

10.2.3) 認証標準物質又は容量分析用標準物質のよう素酸カリウム0.9 g〜1.1 gを全量フラスコ250 mL

に0.1 mgの桁まではかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加える。共通すり合わせ三角

フラスコ200 mLなどに,その25 mLを正確にとり,水100 mLを加える。次に,JIS K 8913に

規定するよう化カリウム2 g及び硫酸(1+1)2 mLを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜ

て,暗所に5分間放置する。指示薬としてでんぷん溶液を用い,10.1) で調製した0.1 mol/L チ

オ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,終点近くで液の色がうすい黄

になったときに約0.5 mLを加える。終点は,液の青が消えた点とする。 

別に,共通すり合わせ三角フラスコ200 mLなどに水100 mL及びJIS K 8913に規定するよう

化カリウム2 gをはかりとり,硫酸(1+1)2 mLを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜて,

暗所に5分間放置し,同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。 

10.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。 

(

)100

7

566

003

.0

250

25

2

1

1

A

V

V

m

f

×

×

×

=

ここに, 

f1: 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター 

m: はかりとったよう素酸カリウムの質量(g) 

A: よう素酸カリウムの純度(質量分率 %) 

V1: 滴定に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体

積(mL) 

V2: 空試験に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の

体積(mL) 

0.003 566 7: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当するよ

う素酸カリウムの質量を示す換算係数(g/mL) 

11) 窒素標準液(N:1 mg/mL) 次のいずれかのものを用いる。 

11.1) 計量標準供給制度[JCSS 2)]に基づく標準液で,使用目的に合致した場合に用い,必要な場合は,

適切な方法で希釈して使用する(以下,“JCSSに基づく標準液”という。)。 

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11.2) JCSS以外の認証標準液で,使用目的に合致した場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈

して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販の標準液を用いる(以下,JCSS

以外の認証標準液及び市販の標準液を合わせて,“JCSS以外の認証標準液など”という。)。 

注2) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。 

11.3) 窒素標準液(N:1 mg/mL)を調製する場合 JIS K 8548に規定する硝酸カリウム7.22 gを全量

フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。 

12) 窒素標準液(N:0.01 mg/mL) 窒素標準液(N:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正

確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの。 

2) 共通すり合わせ平底試験管 例として,容量50 mL,直径23 mmで目盛のあるもの。 

3) 沸騰石(必要な場合に用いる。) 液体を沸騰させるとき突沸を防ぐために入れる多孔質の小片。 

4) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。 

5) 恒温水槽 20 ℃〜25 ℃に調節できるもの。 

6) 蒸留装置 例を図1に示す。 

7) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,蒸留フラスコAに試料0.50 gをはかりとり,水5 mL及び塩酸(2+1)10 mL

を加えて水浴中で加熱して溶かし,水を加えて約140 mLにする。 

2) 比較溶液の調製は,蒸留フラスコAに窒素標準液(N:0.01 mg/mL)2.0 mLをとり,水を加えて140 

mLにする。 

3) 空試験溶液は,蒸留フラスコAに水約140 mLを入れる。 

4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に,必要な場合,沸騰石2,3粒を入れる。受器Hに吸収液を

入れ,逆流止めGの先端を浸す。蒸留フラスコAにデバルダ合金1 gを入れ,直ちに蒸留装置に連

結する。これに水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)20 mLを注入漏斗Dから加える。注入漏斗Dを水

10 mLで洗い,すり合わせコックCを閉じる。加熱して蒸留し,初留約75 mLをとり,水を加えて

100 mLにする(試料溶液から得られた液をX液,比較溶液から得られた液をY液及び空試験溶液

から得られた液をZ液とする。)。 

5) X液10 mL,Y液10 mL及びZ液10 mLをそれぞれ共通すり合わせ平底試験管にとり,EDTA2Na

溶液(インドフェノール青法用)1 mL及びナトリウムフェノキシド溶液4 mLを加えてよく振り混

ぜる。これらに次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %)2.5 mLを加え,更に水を加

えて25 mLとし,20 ℃〜25 ℃の恒温水槽で15分間放置する。 

6) X液及びY液から得られた液を,Z液から得られた液を対照液とし,吸収セルを用いて,波長630 nm

における吸光度を,JIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)によって測定して比較する。 

d) 判定 c) によって操作し,X液から得られた液の吸光度は,Y液から得られた液の吸光度より大きく

ないとき,“窒素化合物(Nとして):質量分率0.004 %以下”とする。 

background image

K 8013:2016  

 
 
 

A: 

B: 
C: 

D: 

E: 

F: 

G: 
H: 

I: 

J: 

K: 

 
 
 
蒸留フラスコ 
連結導入管 
すり合わせコック 
注入漏斗 
ケルダール形トラップ球(E':小孔) 
球管冷却器 
逆流止め(約50 mL) 
受器(有栓形メスシリンダー100 mL) 
共通すり合わせ 
共通テーパー球面すり合わせ 
押さえばね 

図1−蒸留装置の例 

6.4 

ひ素(As) 

ひ素(As)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 亜鉛(ひ素分析用) JIS K 8012に規定する粒径150 μm〜1 400 μmのもの。 

2) ピリジン JIS K 8777に規定するもの。 

3) 硝酸 JIS K 8541に規定する質量分率 60 %〜61 %の特級。 

4) 臭素 JIS K 8529に規定するもの。 

5) 塩化コバルト(II)溶液 JIS K 8129に規定する塩化コバルト(II)六水和物1.0 gをはかりとり,

水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。 

6) 塩化すず(II)溶液(N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀法用)[塩化すず(II)溶液(AgDDTC法

用)] JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをはかりとり,JIS K 8180に規定する塩

酸(ひ素分析用)を加えて溶かし,塩酸(ひ素分析用)を加えて100 mLにする。JIS K 8580に規

定する小粒のすず2,3個を加えて保存する。褐色ガラス製瓶に保存する。これを,使用時に水で

10倍にうすめる。 

7) 塩酸(ひ素分析用)(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)の体積2と水の体積1とを

混合する。 

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K 8013:2016  

8) 酢酸鉛(II)溶液(100 g/L) JIS K 8374に規定する酢酸鉛(II)三水和物11.7 gをはかりとり,

水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにした後,JIS K 8355に規定する酢酸0.1 mLを加える。 

9) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀・ピリジン溶液(AgDDTC・ピリジン溶液) JIS K 9512に規

定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀0.5 gをはかりとり,JIS K 8777に規定するピリジンを

加えて溶かし,JIS K 8777に規定するピリジンを加えて100 mLにする。褐色ガラス製瓶に入れ,

冷所に保存する。 

10) よう化カリウム溶液(200 g/L) JIS K 8913に規定するよう化カリウム20 gをはかりとり,水を

加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。使用時に調製する。 

11) 硫酸(1+5) 水の体積5を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々

に加える。 

12) ひ素標準液(As:1 mg/mL) 次のいずれかのものを用いる。 

12.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 11.1) に準じる。 

12.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 11.2) に準じる。 

12.3) ひ素標準液(As:1 mg/mL)を調製する場合 JIS K 8044に規定する特級又は1級の三酸化二ひ

素1.32 gをはかりとり,水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)6 mL及び水500 mLを加えて溶かす。

塩酸(ひ素分析用)(1+3)でpH3〜5に調節した後,水で全量フラスコ1 000 mLに移し,水を

標線まで加えて混合する。 

13) ひ素標準液(As:0.001 mg/mL) ひ素標準液(As:1 mg/mL)25 mLを全量フラスコ250 mLに正

確にとり,水を標線まで加えて混合する。その10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水

を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 吸収セル(必要な場合に用いる。) 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,

光路長が10 mmのもの。 

2) 蒸留装置 例を図1に示す。材質は,ほうけい酸ガラス製でその接触部は共通すり合わせにする。 

3) ひ素試験装置 例を図2に示す。 

4) 分光光度計(必要な場合に用いる。) 6.3 b) 7) による。 

 
 
 
 

A: 

B: 
C: 

D: 

E: 

F: 

G: 

 
 
 
 
水素化ひ素発生瓶100 mL 
導管 
水素化ひ素吸収管 
ゴム栓又はすり合わせ 
酢酸鉛(II)溶液(100 g/L)で湿したガラスウール 
40 mLの標線 
5 mLの標線 
 

図2−ひ素試験装置の例 

10 

K 8013:2016  

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料25 gを蒸留フラスコ300 mLにはかりとり,蒸留装置に連結する3)。排気

に注意して,硝酸30 mLを受器にとり,更に臭素0.4 mLを加え,栓をして振り混ぜて混合する。

栓をとり,逆流止めの先端を液に浸す。塩酸(ひ素分析用)(2+1)100 mL及び塩化コバルト(II)

溶液2 mLを注入漏斗にとり,蒸留フラスコに徐々に加える。すり合わせコックを閉じて,水素が

発生しなくなるまで放置した後,徐々に加熱して蒸留する。初留約20 mLをとった後,蒸発皿に移

し,硫酸(1+5)10 mLを加え,ドラフト又は局所排気装置の下で排気に注意して熱板(ホットプ

レート)上で硫酸の白煙が発生し始めるまで加熱する。冷却後,水10 mLを加えて再び熱板(ホッ

トプレート)上で硫酸の白煙が発生し始めるまで加熱する。冷却後,水を加えて20 mLにし,水素

化ひ素発生瓶100 mLに移し入れる。 

2) 比較溶液の調製は,試料5 g及びひ素標準液(As:0.001 mg/mL)1.0 mLを蒸留フラスコ300 mLに

とり,蒸留装置に連結する3)。以下,試料溶液と同一操作を行う。 

3) 空試験溶液の調製は,蒸留フラスコ300 mLを蒸留装置に連結する。以下,試料溶液と同一操作を

行う。 

4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に,水を加え40 mLにする。これらによう化カリウム溶液(200 

g/L)15 mL及び塩化すず(II)溶液(AgDDTC法用)5 mLを加えて振り混ぜ,10分間放置する。

次に,亜鉛(ひ素分析用)3 gを加え,直ちに水素化ひ素発生瓶100 mLと導管B(あらかじめ水素

化ひ素吸収管CにAgDDTC・ピリジン溶液5 mLを入れ,導管Bと水素化ひ素吸収管Cとを連結し

ておく。)を連結して約25 ℃の水中で約1時間放置した後,水素化ひ素吸収管Cを離しピリジンを

5 mLの標線まで加える。 

5) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液の色を,水素化ひ素吸収管C

の上方又は側面から観察して赤を比較する。 

なお,必要があれば吸収セルを用い,分光光度計で波長519 nmにおける吸光度を,空試験溶液か

ら得られたAgDDTC・ピリジン溶液を対照液としてJIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)

によって測定する。 

注3) 試料溶液を加熱するときは,水素が発生するのでマントルヒーターを用い,排気に注意す

る。 

d) 判定 c) によって操作し,次の1) 又は2) に適合するとき,“ひ素(As):質量分率0.05 ppm以下(規

格値)”とする。 

1) 試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の赤より濃くない。 

2) 試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。 

6.5 

窒素酸化物分析適合性(還元率) 

窒素酸化物分析適合性(還元率)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 塩酸(1+3) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積1と水の体積3とを混合する。 

2) 水酸化ナトリウム溶液(100 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム10.3 gをはかりとり,

水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。 

3) スルファニルアミド溶液 JIS K 9066に規定するスルファニルアミド3.33 gをはかりとり,塩酸(1

+1)10 mL及び水50 mLを加えて溶かす。JIS K 8371に規定する酢酸ナトリウム三水和物250 g及

び水400 mLを加えた後,JIS K 8355に規定する酢酸又は水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)でpH7

11 

K 8013:2016  

±0.1に調節して水を加えて1 000 mLにする。 

なお,塩酸(1+1)の調製は,JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積1と水の体積1とを混

合する。 

4) N-1-ナフチルエチレンジアミン二塩酸塩溶液 JIS K 8197に規定するN-1-ナフチルエチレンジアミ

ン二塩酸塩0.1 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLとする。 

5) 二酸化窒素標準液[1 μL NO2(0 ℃,101.3 kPa)/mL] JIS K 8548に規定する硝酸カリウム(105 ℃

〜110 ℃で2時間乾燥させたもの)0.451 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を標線まで

加える。その10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加える。 

6) 還元率測定用標準液[1 μL NO2(0 ℃,101.3 kPa)/mL] 亜硝酸カリウム(105 ℃〜110 ℃で3

時間乾燥させたもの)0.190 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を標線まで加えて混合す

る。その20 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。使用時に

調製する。 

7) 硫酸(0.05 mol/L) 水1 000 mLをビーカーにとり,JIS K 8951に規定する硫酸3 mLをかき混ぜ

ながら徐々に加えて放冷した後,気密容器に入れて保存する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) ろ紙 JIS P 3801に規定するろ紙(5種B)。 

2) 吸収セル 6.4 b) 1) による。 

3) 分光光度計 6.3 b) 7) による。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,二酸化窒素標準液[1 μL NO2(0 ℃,101.3 kPa)/mL]20 mLを全量フラスコ

100 mLに正確にとり,硫酸(0.05 mol/L)2 mL,スルファニルアミド溶液15 mL及び試料0.5 gを

加えて溶かし,水を標線まで加える。直ちに1分間振り混ぜ,乾いたろ紙を用いてろ過する。初め

のろ液20 mLを捨て,ろ液20 mLを全量フラスコ25 mLに正確にとる。塩酸(1+3)3 mL,N-1-

ナフチルエチレンジアミン二塩酸塩溶液1 mLを加えて水を標線まで加える。15 ℃〜30 ℃で約15

分間放置する(A液)。 

2) 比較溶液の調製は,還元率測定用標準液[1 μL NO2(0 ℃,101.3 kPa)/mL]20 mLを全量フラスコ

100 mLに正確にとり,スルファニルアミド溶液15 mLを加えて,水を標線まで加える。その20 mL

を全量フラスコ25 mLに正確にとる。塩酸(1+3)3 mL,N-1-ナフチルエチレンジアミン二塩酸塩

溶液1 mLを加えて水を標線まで加える。15 ℃〜30 ℃で約15分間放置する(B液)。 

3) 空試験溶液の調製は,A液の空試験溶液として二酸化窒素標準液[1 μL NO2(0 ℃,101.3 kPa)/mL]

に代えて水20 mLを用い,試料溶液と同一操作を行う(a液)。また,B液の対照液として還元率測

定用標準液[1 μL NO2(0 ℃,101.3 kPa)/mL]に代えて水20 mLを用い,比較溶液と同一操作を

行う(b液)。 

4) 吸収セル10 mmを用い,波長545 nmにおける吸光度を,A液は空試験溶液a液を対照液として,B

液は空試験溶液b液を対照液として測定する。 

d) 計算 窒素酸化物分析適合性(還元率)は,次の式によって計算する。 

100

×

=BA

X

ここに, 

X: 還元率(%) 

A: A液の吸光度 

12 

K 8013:2016  

B: B液の吸光度 

容器 

容器は,気密容器とする。 

表示 

容器には,次の事項を表示する。 

a) 日本産業規格番号 

b) 名称“亜鉛粉末”及び“試薬”の文字 

c) 種類 

d) 元素記号及び原子量 

e) 純度 

f) 

内容量 

g) 製造番号 

h) 製造業者名又はその略号