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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 7214-1985 

プラスチックの打抜きによる 

せん断試験方法 

Testing Methods for Shear Strength of Plastics by Punch Tool 

1. 適用範囲 この規格は,プラスチックの円形ポンチによる打抜き方式のせん断試験(以下,試験とい

う。)方法について規定する。ただし,この方法は,プラスチックフォームには適用しない。 

備考1. この方法で規定するせん断諸性質は,せん断強さ,せん断破壊強さ,せん断降伏強さ及び規

定変形率せん断強さとする。 

2. 本文に規定する寸法の試験片が採取できない場合は,附属書に規定する小形試験片によるせ

ん断試験方法を適用することができる。 

3. この規格の中で { } を付けて示してある単位は,従来単位系によるものであって,参考と

して併記したものである。 

引用規格: 

JIS B 7502 外側マイクロメータ 

JIS B 7503 0.01mm目盛ダイヤルゲージ 

JIS G 4401 炭素工具鋼鋼材 

JIS K 6900 プラスチック用語 

JIS K 7100 プラスチックの状態調節及び試験場所の標準状態 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

関連規格:JIS Z 8203 国際単位系 (SI) 及びその使い方 

JIS Z 9041 測定値の処理方法 

2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,JIS K 6900(プラスチック用語)によるほか,次

のとおりとする。 

(1) せん断応力 試験中の任意の時間において試験片に加えられたせん断荷重を,試験片のせん断面積(1)

で除した値。 

注(1) せん断面積は,ポンチによって試験片を打ち抜くことが想定される部分の試験片の総断面積で,

ポンチの円周と試験片の厚さの積で表す。 

(2) せん断強さ 試験中に試験片に生じたせん断応力の最大値。 

(3) せん断破壊強さ 試験中に試験片が破壊した瞬間におけるせん断応力。 

(4) せん断降伏強さ 試験中に荷重−変形曲線上で,荷重の増加なしに変形又は変形率(2)の増加が認めら

れる最初の点におけるせん断応力。 

注(2) 変形率は,せん断荷重によって試験片のポンチで押される面が,試験中にこの面の元の平面の

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K 7214-1985  

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位置から離れた距離を試験片厚さで除した値。 

(5) 規定変形率せん断強さ 規格などで規定された変形率(2)に対応するせん断応力−変形率(2)曲線上での

せん断応力。 

3. 試験片の状態調節並びに試験温度及び湿度 試験片の状態調節並びに試験温度及び湿度は,次のとお

りとする。 

(1) 試験片の状態調節は,原則として,試験前にJIS K 7100(プラスチックの状態調節及び試験場所の標

準状態)の標準温度状態2級及び標準湿度状態2級(温度23±2℃及び相対湿度50±5 %)において

88時間以上行う。 

(2) 試験は,原則として(1)と同じ温湿度(温度23±2℃及び相対湿度50±5 %)の室内で行う。 

4. 試験機及び器具 

4.1 

試験機 試験機は,試験中にクロスヘッド移動速度を一定に保つことができるもので,次のもので

構成されたものを用いる。 

(1) せん断ジグ せん断ジグは,試験片にせん断荷重を加えるための器具で,表に示すポンチ及びダイで

構成される。せん断ジグは,試験片をせん断ジグのポンチとダイに正しく固定することができ,しか

も試験片に対し荷重が均等に負荷される構造のものとする。この目的に適したせん断ジクの一例を図

1に示す。 

表 

単位 mm 

ダイ内径 

25.40 

ポンチ直径 

25.37 

ダイ内径とポンチ直径の差 

d−D 

0.03 

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図1 せん断ジグの一例 

備考 せん断ジグの材質は,JIS G 4401(炭素工具鋼鋼材)のSK3又はこれと相当品とする。 

(2) 荷重指示計 荷重指示計は,試験片に加わるすべてのせん断荷重を示すことができるものとし,設定

した試験速度において指示値の±1%又はそれ以上の精度で荷重値を示すことができる機構のものと

する。 

備考 せん断降伏強さの測定に必要な荷重−変形曲線を求めることは,実際上困難なため,荷重−時

間曲線を求めてこれを代用してもよい。 

4.2 

マイクロメータ マイクロメータは,試験片の厚さを測定するためのもので,JIS B 7502(外側マイ

クロメータ)に規定するマイクロメータ又はこれと同等以上の精度をもつものとする。 

4.3 

ダイヤルゲージ ダイヤルゲージは,軟質の試験片の厚さを測定するためのもので,JIS B 7503

(0.01mm目盛ダイヤルゲージ)に規定するダイヤルゲージ又はこれと同等以上の精度をもつものとする。 

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5. 試験片 

5.1 

試験片の形状及び寸法 試験片は図2に示すように,厚さ1.0〜12.5mmで,一辺50mmの正方形板

又は直径50mmの円板とし,その中心にドリルで直径11mmの穴をあけたものを使用する。試験片の上面

及び下面はできる限り平行で,かつ,滑らかでなければならない。 

図2 

備考 試験片の厚さは,せん断諸性質の値に影響を及ぼすので,3〜4mmが望ましい。 

5.2 

試験片の作製 試験片は,関連規格又は当事者間の協定による方法に従って,射出,圧縮又はトラ

ンスファー成形して作るか,成形した板から機械加工によって切り取る。 

備考 試験片の作製方法は,せん断特性値に大きく影響するので,関連規格又は当事者間の協定によ

る方法及び条件に従わなければならない。試験片を機械加工によって作製する場合は,試験片

の周辺にバリを残さないようにし,試験片にドリルで穴をあける場合は,その切削熱によって

試験片のせん断面の性質が変化しないように注意しなければならない。 

5.3 

試験片の数 試験片の数は,最少5個とする。 

6. 操作 操作は,次のとおりとする。 

(1) 試験片のせん断面上(直径約25mmの円周)に沿って円周を4等分する箇所の厚さを0.01mmまで測

定する。この4か所の値の平均値をもって試験片の厚さとする。 

(2) 荷重指示計が正しく作動することを確かめる。 

(3) 試験速度を1mm/min±50%に設定する。 

(4) 試験片の穴にポンチのピンを挿入し,座金及びナットで取り付ける。次に,ダイの上下部分を組み立

てて,四方のボルトを注意しながら均等に締め付ける。 

参考 試験片をポンチに取り付ける場合の締付け力は,ポンチを手で握り,ナットをモンキーレンチ

で締め付ける程度とし,ダイを組み立てた後,四方のボルトを締め付ける場合の締付け力は,

ダイを手で押さえ,4本のボルトをモンキーレンチで締め付ける程度とし,できるだけ均等に

締め付けることとする。この目的のため,トルクドライバー,トルクレンチなどを用いて,締

付け力を調節することが望ましい。 

(5) せん断ジグの中心線が,試験機の中心線に一致するようにせん断ジグを配置する。試験機の形式によ

っては,せん断ジグの自重調整を行う必要がある。 

(6) 試験機の加圧面によって,せん断ジグのポンチに衝撃を与えないようにして荷重を加え,荷重−時間

曲線を記録する。 

備考 最高荷重又は破壊荷重を測定した後,直ちに荷重を除去し,せん断ジグを解体して試験片を取

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り出す。試験片のせん断面が分離するまで試験を続けると,ダイの穴の中の試験片の打抜き部

分を除去するのに時間がかかるので,試験片が分離する前に試験をやめることが望ましい。 

7. 計算 

7.1 

せん断面積 せん断面積は,次の式(1)によって算出する。 

A=πDt ···················································································· (1) 

ここに, 

A: せん断面積 (mm2) 

π: 円周率 (3.14) 

D: ポンチの直径 (mm) 

t: 試験片の厚さ (mm) 

7.2 

せん断強さ せん断強さは,荷重−時間曲線から最大荷重 (N) {kgf} を読み取り,せん断面積で除

して求め,単位は (N/mm2) {kgf/mm2} で表す。 

7.3 

せん断破壊強さ せん断破壊強さは,荷重−時間曲線から破壊荷重 (N) {kgf} を読み取り,せん断

面積で除して求め,単位は (N/mm2) {kgf/mm2} で表す。 

7.4 

せん断降伏強さ せん断降伏強さは,荷重−時間曲線から降伏荷重 (N) {kgf} を読み取り,せん断

面積で除して求め,単位は (N/mm2) {kgf/mm2} で表す。 

7.5 

規定変形率せん断強さ 規定変形率せん断強さは,荷重−時間曲線から規定の変形率に対応する荷

重 (N) {kgf} を読み取り,せん断面積で除して求め,単位は (N/mm2) {kgf/mm2} で表す。 

7.6 

試験結果 試験結果は,個々に算出して,個々の結果の平均値をJIS Z 8401(数値の丸め方)によ

って有効数字3けたに丸める。 

7.7 

試料標準偏差 試料標準偏差を求める場合は,次の式(2)によって算出し,JIS Z 8401によって有効

数字2けたに丸める。 

(

)

1

2

=∑n

x

x

s

 ········································································ (2) 

ここに, 

s: 試料標準偏差 

x: 1個の測定値 

x: 測定群の平均値 

n: 測定値の数 

8. 報告:報告には,必要に応じて次の事項を記入する。 

(1) 材料の種類及び等級 

(2) 試験片の作製方法 

(3) 試験片の状態調節の温度,湿度及び時間 

(4) 試験片の形状及び寸法 

(5) 試験片の数 

(6) ジグの種類 

(7) 試験速度 

(8) せん断強さ,せん断破壊強さ,せん断降伏強さ及び規定変形率せん断強さの平均値並びに規定変形率 

必要があれば試料標準偏差 

(9) 試験室の温度及び湿度 

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(10) 試験年月日 

(11) その他必要とする事項 

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附属書 小形試験片によるせん断試験方法 

1. 適用範囲 この附属書は,本文5.に規定する寸法の試験片が採取できない場合に用いる小形試験片に

よるせん断試験方法について規定する。 

なお,この附属書に記載されていない事項については,本体に従うものとする。 

2. 試験片の種類 試験片は,3.及び4.に規定するA形試験片及びB形試験片の2種類とする。 

3. A形試験片及びせん断ジグ 

3.1 

A形試験片の形状及び寸法 A形試験片は附属書図1に示すように,厚さ1〜3mmで,一辺20mm

の正方形板又は直径20mmの円板とし,その中心に直径4.5mmの穴をあけたものとする。 

附属書図1 A形試験片 

3.2 

A形試験片用せん断ジグ A形試験片用せん断ジグは,附属書表1に示すポンチ及びダイを使用す

る。A形試験片用せん断ジグの一例を附属書図2に示す。 

附属書表1 

単位 mm 

ダイ内径 

10.00 

ポンチ直径 

9.97 

ダイ内径とポンチ直径の差 

d−D 

0.03 

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附属書図2 A形試験片用せん断ジグの一例 

備考 せん断ジグの材質は,JIS G 4401のSK3又はこれと相当品とする。 

4. B形試験片及びせん断ジグ 

4.1 

B形試験片の形状及び寸法 B形試験片は附属書図3に示すように,厚さ1〜3mmで,一辺15mm

の正方形板又は直径15mmの円板とする。 

備考 試験する材料によって試験片の大きさが,試験結果に影響しないことが分かっている場合は,

厚さ1〜3mmで,一辺10mmの正方形板又は直径10mmの円板を用いてもよい。 

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附属書図3 B形試験片 

4.2 

B形試験片用せん断ジグ B形試験片用せん断ジグは,附属書表2に示すポンチ及びダイを使用す

る。B形試験片用せん断ジグの一例を附属書図4に示す。 

附属書表2 

単位 mm 

ダイ内径 

3.00 

ポンチ直径 

2.97 

ダイ内径とポンチ直径の差 

d−D 

0.03 

附属書図4 B形試験片用せん断ジグの一例 

備考 せん断ジグの材質は,JIS G 4401のSK3又はこれと相当品とする。 

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10 

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参考 長方形ポンチによるせん断試験方法 

1. 適用範囲 この参考は,プラスチック成形品の樹脂,強化材などの配向状態を調べるための長方形ポ

ンチによる打抜き方式のせん断試験方法について規定する。 

なお,この参考に規定されていない事項については,本体に従うものとする。 

2. 試験片の形状及び寸法 試験片は,参考図1に示すように縦10mm,横20mm及び厚さ1〜3mmの長

方形板とする。 

参考図1 

3. せん断ジグ せん断ジグは,参考表に示すポンチ及びダイを使用する。せん断ジグの一例を参考図2

に示す。 

参考表 

単位 mm 

種別        方向 

縦 

横 

ダイ 

2.50 

10.00 

ポンチ 

2.47 

9.97 

ダイとポンチの寸法の差 

0.03 

0.03 

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11 

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参考図2 長方形ポンチによるせん断ジグの一例 

備考1. せん断ジグの材質は,JIS G 4401のSK3又はこれと相当品とする。 

2. ダイの長方形の穴及びポンチの研磨仕上げは,▽▽▽▽とする。 

12 

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原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

近 藤 春 樹 

工業技術院大阪工業技術試験所 

中 軸 美智雄 

通商産業省基礎産業局 

奥   敏 雄 

工業技術院標準部 

(山田 次雄) 

宮 入 裕 夫 

東京医科歯科大学医用器材研究所 

渡 辺   寧 

工業技術院繊維高分子材料研究所 

鈴 木   勇 

東京都立工業技術センター 

大 石 不二夫 

日本国有鉄道鉄道技術研究所 

中 村 孔三郎 

日本電信電話株式会社武蔵野電気通信研究所 

塚 野   隆 

財団法人日本プラスチック検査協会 

宮 本 金 三 

日本プラスチック工業連盟 

今 村 茂 祥 

三菱樹脂株式会社 

三 宅   彰 

住友化学工業株式会社 

吉 田   実 

アキレス株式会社 

吉 武 悌 一 

東燃石油化学株式会社 

小 林 敏 男 

三菱油化株式会社 

大矢部   隆 

利昌工業株式会社 

(北川 節夫) 

服 部 桂 一 

住友ベークライト株式会社 

河 崎 洋 徳 

徳山曹達株式会社 

松 見 成 俊 

株式会社上島製作所 

福 谷   翼 

株式会社東洋精機製作所 

(斉藤  満) 

新 鍋 秀 文 

プラスチック標準試験方法研究会 

(鹿毛 紀久雄)