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K 7141-1:2005 (ISO 11403-1:2001) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本プラスチック工業連盟(JPIF)/財団法人

日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準

調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 11403-1:2001,Plastics―Acquisition 

and presentation of comparable multipoint data―Part 1:Mechanical propertiesを基礎として用いた。 

これによって,JIS K7141:1996は,廃止されこの規格に置き換えられる。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

JIS K 7141-1には,次に示す附属書がある。 

附属書A(参考)その他の特性 

附属書B(参考)参考文献 

JIS K 7141の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS K 7141-1 第1部:機械的特性 

JIS K 7141-2 第2部:熱特性及び加工特性 

JIS K 7141-3 第3部:特性への環境影響 

K 7141-1:2005 (ISO 11403-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1. 適用範囲 ························································································································ 2 

2. 引用規格 ························································································································ 2 

3. 定義 ······························································································································ 4 

4. 試験片の作製 ·················································································································· 4 

5. 試験片の状態調節 ············································································································ 4 

6. 試験要求事項 ·················································································································· 5 

6.1 一般的事項 ··················································································································· 5 

6.2 動的弾性率 ··················································································································· 5 

6.3 定速引張特性 ················································································································ 6 

6.4 引張クリープ ················································································································ 6 

6.5 シャルピー衝撃強さ ······································································································· 7 

6.6 パンクチャー衝撃挙動 ···································································································· 7 

7. データの提示 ·················································································································· 7 

8. 精度 ······························································································································ 9 

附属書A(参考)その他の特性 ······························································································ 14 

附属書B(参考)参考文献 ···································································································· 15 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 7141-1:2005 

(ISO 11403-1:2001) 

プラスチック―比較可能な 

マルチポイントデータの取得及び提示― 

第1部:機械的特性 

Plastics-Acquisition and presentation of comparable multipoint data- 

Part 1:Mechanical properties 

序文 この規格は,2001年に第2版として発行されたISO 11403-1,Plastics―Acquisition and presentation of 

comparable multipoint data―Part 1:Mechanical propertiesを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更す

ることなく作成した日本工業規格である。 

プラスチックの使用者が類似材料の特性を比較する場合,異なる出所からのデータでは,容易に使えな

いことがあるので,この規格を作成した。同一規格を用いる場合でも,ときには試験条件を広範囲な別の

試験条件とすることができるため,得られたデータは必ずしも単純に比較できない。この規格の目的は,

材料間の妥当な比較ができるように,データの取得及び提示に用いる特定の試験方法及び条件を規定する

ことにある。 

JIS K 7140シリーズは,シングルポイントデータに関するものである。シングルポイントデータは,材

料を特徴付ける最も基本的な方法を示しており,材料選択の初期の段階で有効である。 

JIS K 7141シリーズは,より多くのデータの測定及び提示のための試験条件及び手順を規定する。各々

の特性をマルチポイントデータによって特徴付け,特性が時間,温度,及び環境因子のような重要な変数

にいかに依存するかを示す。この規格にはJIS K 7140シリーズにない特性も考慮している。したがって,

これらのデータを用いることによって特定の用途への材料の適合性を,より明確にすることができる。 

一部のデータは,使用時の性能及び部品成形時の最適加工条件を予測するのに適切であるが,その場合

にも設計のためには,しばしば追加のデータが必要になると認識した方がよい。この理由の一つは,一部

の特性が材料の物理的構造に強く依存するということにある。この規格に引用した試験手順では,可能な

らば多目的引張試験片を用いるが,この試験片のポリマー構造は,成形部品の特定の部位のポリマー構造

とかなり異なることがある。このような場合,試験片のデータは製品性能の正確な設計計算に用いること

ができない。データが適用できるかどうかについては,材料供給者に相談することが望ましい。 

JIS K 7140及びJIS K 7141の各部を合わせることによって,材料の選択のために,比較可能なデータ一

式を取得し,提示するための手段を規定することができる。これらの規格を使用し,データの提供を受け

ることで,業務の合理化及び費用の低減が可能になる。さらに,これらの規格を参考にすることによって,

材料特性のデータの保存及び交換のためのデータモデルの開発を簡素化できる。 

適用できる場合には,試験条件は,この規格によって規定されている。しかし,プラスチックの種類に

よっては幅広い条件で使用する試験があるので,その場合,この規格は,ポリマーの操作範囲で試験条件

K 7141-1:2005 (ISO 11403-1:2001) 

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を選択するための指針になる。一般にポリマーが異なると特性及び要求性能は大きく異なるので,必ずし

もこの規格で規定したすべての試験条件でデータを作成する必要はない。    

種々の用途に適したプラスチックを選び,使用するためには,広い範囲の特性のデータが必要である。

日本工業規格では,このような特性の多くについて関連する情報を得るための実験手順を規定している。 

しかし,それ以外の特性については日本工業規格又はISO規格はないか,あっても不十分なため,現時

点で比較可能なデータを作成することが困難である(附属書A参照)。 

このため,この規格シリーズは部に分かれており,各部は個々に作成することが可能となっている。こ

のようにして追加すべき特性は,新しい規格が発行される場合又は改正される場合,規格に含めることが

できる。 

1. 適用範囲 この規格は,プラスチックの次に示す機械的特性のマルチポイントデータの取得及び提示

のための試験手順を規定する。 

動的弾性率 

定速引張特性 

− 最大応力及びひずみ 

− 引張応力−ひずみ曲線 

引張クリープ 

シャルピー衝撃強さ 

パンクチャー衝撃挙動 

これらの試験方法及び試験条件は,主として,射出成形若しくは圧縮成形できるプラスチック,又は機

械加工で適切な寸法の試験片を作ることができる規定の厚さのシートが準備できるプラスチックに対して,

適用することができる。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD

(修正している),NEQ(同等でない)とする。 

ISO 11403-1:2001,Plastics―Acquisition and presentation of comparable multipoint data―Part 1:

Mechanical properties (IDT) 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構

成するものであって,その後の改訂版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その

最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 7115  プラスチック―クリープ特性の試験方法―第1部:引張クリープ 

備考 ISO 899-1:2003,Plastics―Determination of creep behaviour―Part 1:Tensile creepからの引用事項

は,この規格の該当事項と同等である。 

JIS K 7139  プラスチック―多目的試験片 

備考 ISO 3167:2002,Plastics―Multipurpose test specimensからの引用事項は,この規格の該当事項

と同等である。 

JIS K 7144  プラスチック―機械加工による試験片の作製 

備考 ISO 2818:1994,Plastics―Preparation by test specimens of machiningが,この規格と一致してい

K 7141-1:2005 (ISO 11403-1:2001) 

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る。 

JIS K 7151 プラスチック―熱可塑性プラスチック材料の圧縮成形試験片 

備考 ISO 293:1986,Plastics―Compression moulding test specimens of thermoplastic materialsが,この

規格と一致している。 

JIS K 7152-1 プラスチック―熱可塑性プラスチック材料の射出成形試験片―第1部:通則並びに多

目的試験片及び短冊形試験片の成形 

備考 ISO 294-1:1996,Plastics―Injection moulding of test specimens of the thermoplastic materials―

Part 1:General principles,and moulding of multipurpose and bar test specimensが,この規格と一

致している。 

JIS K 7152-3  プラスチック―熱可塑性プラスチック材料の射出成形試験片―第3部:小形角板 

備考 ISO 294-3:2002,Plastics―Injection moulding of test specimens of thermoplastic materials―Part 

3:Small platesが,この規格と一致している。 

    JIS K7154-1  プラスチック―熱硬化性樹脂成形材料の射出成形試験片―第1部:通則及び多目的試験

片の成形 

備考 ISO 10724-1:1998, Plastics−Injection moulding of test specimens of thermosetting powder 

moulding compounds (PMCs)−Part 1:General principles and moulding of multipurpose test 

specimens (IDT) 

    JIS K7154-2  プラスチック―熱硬化性樹脂成形材料の射出成形試験片―第2部:小形角板 

備考 ISO 10724-2:1998, Plastics−Injection moulding of test specimens of thermosetting powder 

moulding compounds (PMCs)−Part 2:small plates (IDT) 

JIS K 7161  プラスチック―引張特性の試験方法−第1部:通則 

備考 ISO 527-1:1993,Plastics―Determination of tensile properties―Part 1:General principlesがこの

規格と一致している。 

JIS K 7162  プラスチック―引張特性の試験方法 第2部:型成形,押出成形及び注型プラスチック

の試験条件 

備考 ISO 527-2:1993,Plastics―Determination of tensile properties―Part 2: Test conditions for 

moulding and extrusion plasticsが,この規格と一致している。 

JIS K 7244-2  プラスチック―動的機械特性の試験方法―第2部:ねじり振子法 

備考 ISO 6721-2:1994,Plastics―Determination of dynamic mechanical properties―Part 2:

Torsion-pendulum methodが,この規格と一致している。 

JIS K 7244-4  プラスチック―動的機械特性の試験方法―第4部:引張振動−非共振法 

備考 ISO 6721-4:1994,Plastics―Determination of dynamic mechanical properties―Part 4: Tensile 

vibration- Non-resonance methodが,この規格と一致している。 

ISO 179-1:2000, Plastics―Determination of Charpy impact properties―Part 1:Non-instrumented impact test 

ISO 179-2:1997, Plastics―Determination of Charpy impact properties―Part 2:Instrumented impact test 

ISO 295:2004,  Plastics―Compression moulding of test specimens of thermosetting materials 

ISO 6603-2:2000, Plastics―Determination of puncture impact behaviour of rigid plastics―Part 2:

Instrumented impact testing 

ISO 10724-1:1998, Plastics―Injection moulding of test specimens of thermosetting powder moulding 

compounds (PMCs) ―Part 1:General principles and moulding of multipurpose test specimens 

background image

K 7141-1:2005 (ISO 11403-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ISO 10724-2:1998, Plastics―Injection moulding of test specimens of thermosetting powder moulding 

compounds (PMCs)―Part 2:Small plates  

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

3.1 マルチポイントデータ(multipoint data) ある試験条件範囲で測定した複数の測定値によってプラ

スチック材料の挙動を特徴付けるデータ 

4. 試験片の作製 射出成形又は圧縮成形によって試験片を作製する場合には,JIS K 7151,JIS K 7152-1,

JIS K 7152-3,ISO 295,又はISO 10724-1及びISO 10724-2に規定する手順による。成形方法及び成形条

件は材料によって異なる。この規格によってデータを採るための試験片の作製は,日本工業規格又はISO

規格に条件が規定されている場合は,その条件を採用する。 

成形条件が標準化されていないプラスチックについては,ポリマーの製造業者が推奨する範囲内で,各

加工方法について,すべての試験片の条件を同じにする。成形条件が日本工業規格又はISO規格に規定さ

れていない場合には,表1のパラメータの値を,その材料のデータとともに記録する。 

試験片を,シートから作製する場合は,JIS K 7144によって機械加工する。 

表 1 成形パラメータ 

成形材料の種類 

成形方法及び適用規格 

(適用可能な場合) 

成形パラメータ 

熱可塑性 

プラスチック 

射出成形 

JIS K 7152-1 
JIS K 7152-3 

溶融樹脂温度 

金型温度 

射出速度(1) 

熱可塑性 

プラスチック 

圧縮成形 

JIS K 7151 

成形温度 
成形時間 
冷却速度 

成形品取出し温度 

熱硬化性 

プラスチック 

射出成形 

JIS K7154-1 
JIS K7154-2 

溶融樹脂温度 

金型温度 
射出速度 
硬化時間 

熱硬化性 

プラスチック 

圧縮成形 

IS0 295 

金型温度 
成形圧力 
硬化時間 

注(1) 各材

材料

料規

規格

格で

で規

規定

定す

する

る値

値は

は,

,多

多目

目的

的試

試験

験片

片((JJIISS  KK  77115522--11))を

を作

作製

製す

する

る場

場合

合だ

だけ

けに

に適

適用

用す

する

る。

。小

形角板試験片(JIS K 7152-3)を作製する場合の射出速度は,多目的試験片の射出時間に見合っ
た射出速度とする。 

5. 試験片の状態調節 特別な状態調節が材料規格によって要求されていなければ,成形後,試験に先立

ち,温度(23±2)℃及び相対湿度(50±10)%で,(28±2)日間試験片を状態調節する(備考参照)。特性

が湿度に影響されない材料では,相対湿度を管理する必要はない。状態調節期間を短くしても,測定する

特性に影響を及ぼさない場合には,状態調節期間を短縮してもよいが,その場合は短縮期間を,7.の表に

特性データとともに記録する。 

備考 成形温度から冷却すると,試験片の分子構造が変化する。高温では結晶領域の大きさ及び構造

K 7141-1:2005 (ISO 11403-1:2001) 

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が変化する。また,非晶領域では分子の再配列も生じるであろうし(物理的エージング),また,

ガラス転移温度以下の温度では結晶化度の変化は抑制されるものの,多くのポリマーでは,周

辺温度において,物理的エージングが継続する。これらの構造上の変化は,ある種の特性に大

きな影響を与えるので,特性が熱履歴に左右されることになる。試験の前に,試験片に等温の

状態調節期間を設けると,調節後短い期間内であって,周囲の温度付近,又はそれよりわずか

に高い温度での測定については,再現性があり,トレーサブルな構造状態を確保できる。しか

し,広範囲で上昇する温度域,又は一定の高い温度で測定するときは,試験中に,更に構造上

の変化が起こる可能性がある。それに続く冷却で,様々な分子構造状態ができるので,非破壊

試験であるならば,前に測定した試料を使って行う繰り返し試験では,前に得られた値は再現

しない。 

材料規格の中に,乾燥状態又はより安定した構造の試験片を作製する場合のように,加熱工程を必要と

する特殊な状態調節手順が規定されている場合は,その状態調節をした後に,試験片をポリマーのガラス

転移温度まで20 分間かけて加熱し,続いて23 ℃の気流の動きのない空気中で放冷する。その後,

(23±2)℃で(28±2)日間状態調節をする。特性が含水量に影響を受ける材料で,乾燥状態のポリマーの

特性を提示する必要がある場合には,相対湿度0 %で状態調節する。 

試験片が,23 ℃,相対湿度50 %以外の状態で熱履歴を受けていた場合には,この履歴の詳細を,7.

の表の中の関連した特性データとともに記録する。試験によっては,引き続き熱的状態調節を必要とする

が,それは6.の試験要求項目とともに規定されている。 

6. 試験要求事項 

6.1 一般的事項 この規格の特性データを得る場合,試験手順は,各々の特性に対応する日本工業規格(又

はISO規格)による。 

データを記録する温度は,−40 ℃から始まる10 ℃の倍数の温度から選択する。ただし,20 ℃の測定

は23 ℃の測定に置き換える。 

特性が含水量の影響を受ける材料においては,状態調節後,昇温して試験する場合,含水量の減少によ

り,試験結果が,時間とともに変化する可能性がある。したがって,測定データが妥当かどうかは確かで

はない。このようなデータを,この規格に準拠したものとして提供するかどうかは,データの提供者が決

定することが望ましい。 

6.2 動的弾性率:JIS K 7244-2又はJIS K 7244-4 圧縮成形によって作製した厚さ1 mm の試験片を用い

る。別の成形方法又は別の厚さの試験片を用いる場合は,それを記載する。 

7.の図1及び表2のように,(1±0.5)Hzの周波数で,−40 ℃と最大使用温度の間で10 ℃間隔で,動的

せん断弾性率又は動的引張弾性率の実数部,G′又はE′を記録する。また,損失係数tanδG 又はtanδE

も記録する。20 ℃の測定は,23 ℃の測定に置き換える。  

測定は最も低い温度から始め,だんだんと高い温度での測定へと進める。記録温度と試験片の実際の温

度の間で有意な差を生じないように,各温度での加熱速度又は保持時間の設定に注意する。 

6.3 定速引張特性:JIS K 7161及びJIS K 7162 

備考 JIS K 7162で規定する材料以外の材料の引張特性のデータは,ISO 527の追加の部が作成され

たときに,この規格(JIS K 7141-1)で規定する。 

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6.3.1 一般的事項 JIS K 7139で規定されているA形の多目的引張試験片を用いて,次の2種類の引張試

験を行う。第1は,引張弾性率の値を得るために,毎分1 mm の試験速度で,0.25 %のひずみまで試験す

る。第2は,破壊するまで,毎分5 mm の速度で試験する(備考参照)。この第2の試験には,負荷を取

り除き,試験片が従前の負荷から回復するのに必要な時間が経過した後で,弾性率を求めるのに用いた第

1の試験片を用いてもよい。 

備考 試験片の破壊モードに応じて試験速度を選ぶためのシングルポイントデータ規格JIS K 7140で

使われる基準は,温度によって試験速度を変える必要がある可能性があるので,ここに適用す

るのは適切ではない。 

一定の温度Tiで,降伏点Y,又は降伏しない場合は,破断点Bを示す応力σui及びひずみεuiの最大の測

定値まで,応力−ひずみ曲線を測定する。50 %伸びまで降伏も破断も観測されない場合には,50 %の値

を曲線の最大値とする。七つの温度Tiで測定を繰り返す。温度の一つは23 ℃とし,他は,−40 ℃とポリ

マーの最高使用温度の間から選ぶ。  

6.3.2 伸びが50 %の範囲内での最大応力及びそのときのひずみ 図2及び表3のように各温度Tiで,伸

びが50 %の範囲内での最大応力σui及びそのときのひずみεuiの値を記録する。 

6.3.3 引張応力−ひずみ曲線 図2及び表4のように各温度Tiで,引張弾性率Et及びεki=εui×k/10(k

は1〜9の整数)で与えられる9個のひずみεki値で応力を記録する。 

6.4 引張クリープ:JIS K 7115による JIS K 7139で規定されているA形の多目的試験片を使用する。ク

リープ試験を23 ℃以上の温度で行う場合は,荷重を加える前に試料を試験温度で24時間保持する。 

備考 プラスチックのクリープ挙動は,特に試料の物理的エージング状態に依存する。もし,雰囲気

温度で保持した後に試験片の温度を高くすると,エージングによって更に大きな変化が起こる

可能性がある。これらの変化は,エージング時間が長くなるにつれて小さくなるが,クリープ

挙動が荷重を加える前の高温での経過時間に依存するようになる。 

ポリマーが温度Tiで長時間受けると考えられる最大応力σmiの値を選び,7.の表5に記録する。23 ℃ 

とポリマーの実用領域の温度範囲のその他温度合計7水準の温度Tiで測定を行う。 

各温度で,五つのクリープ応力σki=σmi×k/5(kは1〜5の整数)を求める。7.の図3及び表5のように,

それぞれの応力においてlog t=0,1,2,3,4で与えられる五つの時間t(単位:時間)でのクリープひず

みを記録する。 

備考 この規格でクリープ特性を提示する手順は,大量のデータ取得が必要であり,ある特定の材料

やグレードについては,データの幾つかは計算値を使うことが一般的である。データ提供者が

独自の計算方法を用いているかも知れないので,どのような計算を行うべきかについては,現

時点ではこの規格で規定することはできない。 

データを外挿によって推定する場合は,時間単位で十倍の範囲内とし,また,その場合表5の所定枠の

データに文字Eを付記する。表5に記録するひずみは,内挿による計算値を用いてもよい。この場合,そ

れに用いる応力と時間との値は,ひずみ実測値に用いた値から±20 %未満の差とする。あるポリマーの類

似グレードの測定値を用いてポリマーのデータが計算によって導かれた場合は,表5の所定枠のこれらの

データに文字Cを付記する。充てん材の入った材料の計算値は,充てん材の少ない材料及び多い材料の測

定データ間の内挿によってだけ算出できる。 

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K 7141-1:2005 (ISO 11403-1:2001) 

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6.5 シャルピー衝撃強さ:ISO 179-1又はISO 179-2 この試験方法は,JIS K 7139で規定された多目的引

張試験片のA形の中央部から切り取ったISO 179-1及びISO 179-2の1形の試験片を用いる。ノッチ付試

験片は,A形の切欠き部(切欠き角度45 °のV字形切欠きで,切欠き深さ2 mm,先端半径0.25 mm)を機

械加工によって作製する(JIS K 7144参照)。 

エッジワイズ衝撃試験を行う。 

ノッチ付及びノッチなし衝撃強さは,図4及び表6のように,それぞれac・A及びac・Uで表し,−40 ℃〜

23 ℃まで10 ℃間隔で測定する。 

それぞれの温度において,試験結果をISO 179-1及びISO 179-2に規定された次の三つの破壊タイプの

いずれかに分類する。 

   C 完全破壊又はヒンジ破壊 

   P 部分破壊 

   N 破壊せず 

各試験において破壊のタイプを選び,表6に衝撃強さの平均値と破壊タイプC,P,又はNを記入する。 

6.6 パンクチャー衝撃挙動:ISO 6603-2 (60±2) mm角又は直径が(60±2) mmの円板状で,厚さが2 mmの

試験片を使用する。これらを射出成形によって作製する場合は,熱可塑性樹脂はJIS K 7152-3のD2形金

型を,熱硬化性樹脂はISO 10724-2のD2形金型を使用する。試験片の打撃面が移動しないように,支持

枠にしっかり固定する。 

直径20 mmのストライカを使用する。試験の前にストライカの表面に潤滑剤を塗布する。ストライカの

速度は,毎秒4.4 mとする。 

備考 これらの試験条件は,JIS K 7140-1のシングルポイントデータの場合と同じである。           

最大応力FM及び応力が最大応力FMの50 %に落ちるところまでのパンクチャーエネルギーEP

を,−40 ℃〜23 ℃まで10 ℃間隔で測定する。各温度での平均値を,表7に記入する。 

7. データの提示 測定結果は,材料を特定する情報とともに,次の各表に記載されている様式に従って

記録する。それぞれの表には,次の追加情報も記載する。 

a) 試験片の作製方法 

b) 試験片を射出成形又は圧縮成形によって作製した場合は,成形条件を規定している規格 

成形条件がどの規格にも規定されていない場合は,表1の中の該当する条件を記録する。 

c) 5.に関係する特別な状態調節手順 

d) 試験した試験片の個数 

表 2 動的弾性率及び損失係数の温度依存性(6.2及び図1参照) 

T (℃) 

−40 

−30 

−20 

−10 

10 

23 

… 

G' 又はE' (MPa) 

tanδG又はtanδE 

備考 測定したE' と tanδE又はG'とtanδGのいずれかを記入する。 

background image

K 7141-1:2005 (ISO 11403-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表 3 温度Tiにおける伸びが50 %の範囲内での最大応力及びそのときのひずみ並びに破壊モード(6.3.2

及び図2参照) 

Ti (℃) 

σui (MPa) 

εui 

Y 又はB 

            表 4 温度Tiにおける引張弾性率及び温度Tiにおいて,応力−ひずみ曲線の 

                  ひずみεki=εui×k/10での応力(6.3.2及び図2参照) 

Ti 

(℃) 

Et 

(MPa) 

下記のk値に相当する応力レベル 

          表 5 一定の温度Tiにおいて,時間t 及び応力σki=σmi×k/5でのクリープひずみ 

                 (6.4及び図3参照) 

Ti=    (℃) 

σm・i=     (MPa) 

log t 

(t : 時間) 

下記のk値に相当するクリープひずみ 

備考 σmiは,温度Tiにおけるクリープ性能によって選択された適切な応力とする。 

         表 6 各温度でのノッチ付試験片のシャルピー衝撃強さacA及びノッチなし試験片の 

               シャルピー衝撃強さacU並びに破壊のタイプ(6.5及び図4参照) 

T (℃) 

acA (kJ/m2) 

破壊のタイプ 

acU (kJ/m2) 

破壊のタイプ 

−40 

−30 

−20 

−10 

10 

23 

background image

K 7141-1:2005 (ISO 11403-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表 7 各温度での最大応力FM及びパンクチャーエネルギーEP(6.6参照) 

T (℃) 

−40 

−30 

−20 

−10 

10 

23 

FM (N) 

EP (J) 

           図 1 結晶性ポリマーの動的せん断弾性率の実数部G′又は動的引張弾性率の 

                 実数部E′及び損失係数の温度Tによる変化を示した概略図で,ガラス 

                 状態からゴム状態への緩和領域及び溶融の初期段階を示したもの 

 
 
 
 

断弾

率G

ʼ  又

的引

弾性

率E

ʼ

ta

n

δG

  又

ta

n

δE

周波数=(1±0.5)Hz 

温度(T) 

℃ 

background image

10 

K 7141-1:2005 (ISO 11403-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

     

               図 2  伸びが50 %の範囲内での最大応力値σui及びそのときのひずみεui,並びに応力

の値を記録すべき点のひずみεki=εui×k/10を示したもので,異なる温度Tiに 

           おける応力−ひずみ曲線 

 
 
 

σ)

  

〇 記入した上限値 

ひずみ(ε) 

background image

11 

K 7141-1:2005 (ISO 11403-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

    

 図 3  引張クリープ試験において,クリープひずみを記録すべき点の応力σki=σmi×k/5及び 

        時間t(単位:時間)を示したもので単一温度Tiにおける時間ごとの応力−ひずみ曲線 

σ

ひずみ(ε) 

background image

12 

K 7141-1:2005 (ISO 11403-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

     

                  温度(T) 

     

        図 4 ノッチ付き試験片のシャルピー衝撃強さacA及びノッチなし試験片のシャルピー衝撃強さ

acUの温度による変化を示した概略図 

8. 精度 7.の表に記録するデータを作成するのに使用した試験方法の精度に関しては,適用する日本工

業規格(ISO試験規格)を参照するのが望ましい。しかし,これらの規格すべてに精度の項目があるとは

限らない。また,ある試験のデータの精度は,その試験条件とその条件下での材料の挙動に依存する。 

ー衝

強さ

(ac

13 

K 7141-1:2005 (ISO 11403-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A(参考)その他の特性 

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。 

A.1 一般的事項 この附属書では,重要であり,本来ならこの規格で言及することが望ましい特性を列挙

する。これらの特性は,試験方法の詳細内容を規定する適切な日本工業規格又はISO規格がないため,当

面この規格から除外する。この附属書の目的は,この規格の範囲に追加すべき,このような特性があるこ

と,そのための分野で日本工業規格又はISO規格の制定が必要となることを強調することにある。 

A.2 破壊機構のパラメータ ISO 13586,ISO 15850,及びISO 17281には,破壊機構のパラメータの求め

方が規定されているが,材料選定の目的に対して,結果の妥当性は,まだ確立されていない。低速で,制

御された条件下で,クラックの成長速度を求める方法は,もっと的を得たものにすべきである。 

A.3 疲労 フランス規格は存在するが,日本工業規格及びISO試験規格はない。この特性に関するデータ

を得るには,費用が掛かるため,試験方法とデータの必要性を十分に勘案する必要がある。 

A.4 クリープ破壊 この規格のクリープ破壊試験は,プラスチックを劣化させる化学物質が存在しない条

件での環境応力き裂を測定するために規定された試験方法と整合させる必要がある。環境応力き裂に関す

るデータを得るための手順は,種々の環境条件下での性能について適用するJIS K 7141-3に規定する。 

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K 7141-1:2005 (ISO 11403-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B(参考)参考文献 

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。 

(1) JIS K 7140-1:2000 プラスチック−比較可能なシングルポイントデータの取得と提示−第1部: 

             成形材料 

(2) ISO 10350-2:2001,Plastics−Acquisition and presentation of comparable single-point data−Part 2: 

                        Long-fibre-reinforced plastics 

(3) ISO 13586:2000,Plastics−Determination of fracture toughness (GIC and KIC)−Linear elastic fracture 

                       mechanics (LEFM) approach 

(4) ISO 15850:2002,Plastics−Determination of tension fatigue crack propagation−Linear elastic fracture 

                       mechanics (LEFM) approach 

(5) ISO 17281:2002,Plastics−Determination of fracture toughness (GIC and KIC) at moderately high    

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