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K 7093:2012 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 状態調節及び試験雰囲気 ···································································································· 3 

4.1 状態調節 ······················································································································ 3 

4.2 試験雰囲気 ··················································································································· 3 

5 試験装置及び器具 ············································································································· 3 

6 試験片···························································································································· 6 

6.1 形状及び寸法 ················································································································ 6 

6.2 試験片の作製 ················································································································ 6 

6.3 試験片の検査 ················································································································ 7 

6.4 試験片の数 ··················································································································· 7 

7 操作······························································································································· 7 

7.1 試験片の寸法測定 ·········································································································· 7 

7.2 試験片の装着 ················································································································ 7 

7.3 試験速度 ······················································································································ 7 

7.4 試験の開始 ··················································································································· 7 

7.5 記録 ···························································································································· 7 

7.6 破壊形態 ······················································································································ 7 

8 計算······························································································································· 8 

8.1 有孔圧縮強さ ················································································································ 8 

8.2 結果の表示 ··················································································································· 8 

9 試験報告 ························································································································· 8 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)

及び日本プラスチック工業連盟(JPIF)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出

があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

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日本工業規格          JIS 

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炭素繊維強化プラスチックの有孔圧縮強さ試験方法 

Test method for open-hole compressive strength of  

carbon fibre reinforced plastic 

適用範囲 

この規格は,炭素繊維強化プラスチックの一方向材又は織物材の有孔圧縮強さを求める試験方法につい

て規定する。 

注記 炭素繊維強化プラスチックの有孔試験片の圧縮強さを求める方法として,ASTM D 6484(参考

文献[1]参照)に代表される,試験片の両面に試験片の長手方向に力を加えて有孔部の圧縮強さ

を求める方法(せん断負荷方式)が知られている。 

一方,この規格に規定する方法は,試験片端部に直接圧縮力を加えて圧縮強さを求める方法

(端部負荷方式)で,ASTM D 6484の方法と比較して小形の試験片及び小形のジグを用いて,

同等な結果が得られることが知られている。 

警告 この規格の利用者は,通常の試験室での作業に精通している者とする。この規格は,その使用

に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするものではない。この規格の利用者は,

各自の責任において安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 7010 繊維強化プラスチック用語 

JIS K 7016-1 繊維強化プラスチック−試験板の作り方−第1部:総則 

JIS K 7016-4 繊維強化プラスチック−試験板の作り方−第4部:プリプレグの成形 

JIS K 7072 炭素繊維強化プラスチックの試料の作製方法 

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JIS K 7100 プラスチック−状態調節及び試験のための標準雰囲気 

JIS K 7144 プラスチック−機械加工による試験片の調製 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 7010によるほか,次による。 

3.1 

孔径 

試験片の中央部に設けた円孔の直径(図1参照)。 

図1−有孔積層板試験片 

3.2 

積層角 

一方向強化材料の座標軸において,面内の繊維方向を“1”,面内で繊維に直角な方向を“2”及び厚さ方

向を“3”としたときに,1の方向と試験片縦方向とのなす角度(図1参照)。 

3.3 

ユニットセル 

織構造において,一方に配向された糸(たて糸)と,もう一方に配向された糸(よこ糸)とが交錯して

いる部分の繰返しの最小単位。 

3.4 

有孔圧縮応力 

任意の時点において試験片に加えた圧縮力を,試験片の幅と厚さとの積に基づく断面積で除した値。 

なお,断面積の計算に,孔径は考慮しない。 

3.5 

有孔圧縮強さ 

試験片に加えることができる最大の有孔圧縮応力。 

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状態調節及び試験雰囲気 

4.1 

状態調節 

試験片は,試験前にJIS K 7100に規定する標準温度及び湿度状態2級[温度23±2 ℃及び相対湿度(50

±10)%]において48時間以上状態調節を行う。 

4.2 

試験雰囲気 

試験は,4.1に規定する温度及び湿度の室内で行う。 

試験装置及び器具 

試験装置及び器具は,次による。 

a) 試験機 試験機は,試験中にクロスヘッドの移動速度を一定に保つことができるもので,構成は,次

による。 

1) 力計 力計は,試験片に加える圧縮力を連続的に指示する機構をもつものとする。この機構は,設

定した試験速度において慣性による遅れがなく,測定値の±1 %又はそれ以上の精度で力を指示す

るものでなければならない。 

2) 圧縮盤 圧縮盤は,試験機の可動部及び固定部に位置して,上下の加圧面の中心は,試験機の力計

の中心線と一致しなければならない。平滑で互いに平行な二つの面を介して,圧縮力が試験片の軸

方向に加わり,できるだけ圧縮力以外の力が加わらない構造のものとする。 

b) 試験ジグ 試験ジグは,試験中の試験片に圧縮力を正しく加えることができるものを用いる。材質は,

鋼製とする。ジグの概要を,図2に示し,面外変形防止ジグ,L字形台座及び端末負荷金具の詳細を,

図3〜図7に示す。 

 1 

端末負荷金具 

L字形台座 

面外変形防止ジグ 

試験片 

M8ボルト(4本) 

図2−試験ジグの概要 

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単位 mm 

図3−面外変形防止ジグ(数量:2個) 

単位 mm 

図4−L字形台座 

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単位 mm 

図5−端末負荷金具(上側) 

単位 mm 

図6−端末負荷金具(下側) 

単位 mm 

図7−端末負荷金具押え板(数量:2個,上下共通) 

c) 寸法測定器具 寸法測定器具は,次による。 

1) マイクロメータ マイクロメータは,試験片の厚さ,幅及び孔径を測定するもので,0.01 mm又は

これと同等以上の測定精度をもつものとする。マイクロメータの測定面は,測定する表面形状が平

滑なものには平面のものとし,不規則なものには円柱又は半球面のものとする。 

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試験片 

6.1 

形状及び寸法 

試験片の形状及び寸法は,図8及び表1のとおりで,タイプI及びタイプIIがある。 

表1−試験片の寸法 

単位 mm 

部位 

タイプI 

タイプII 

(平行度) 

幅  b 

36.0±0.25 

38.1±0.25 

0.12以内 

長さ l 

2.0
0

0.

118

− 

2.0
0

0.

118

− 

0.02以内 

厚さ h 

2.5(標準) 

2.5(標準) 

0.10以内 

孔径 d 

6.0±0.07 

6.35±0.07 

− 

単位 mm 

注a) 上面及び底面の平行度は,0.02 mmとする。 

b) 上面及び底面の“C”面に対する直角度は,0.02 mmとする。 

図8−タイプI及びタイプII用試験片の形状及び寸法 

試験片の上下の圧縮・支持辺端面の平行度は,0.02 mm以内とする。タイプIとタイプIIとの寸法を混

在させてはならない。ひずみゲージを貼付する場合は,試験片の中心線上で,孔中心とゲージ中心との距

離が25 mmとなる位置の表裏に,背中合わせとなるように二枚貼付する。 

なお,孔部には,剝離及び損傷があってはならない。また,全ての機械加工面の表面仕上げは,0.8 μm

とする。 

ユニットセル2個の寸法が,孔径を超える織物の試験片の寸法については,表1及び図8の寸法を適用

するかどうかは,受渡当事者間の協定による。 

6.2 

試験片の作製 

試験片は,JIS K 7016-1及びJIS K 7072又は受渡当事者間の協定によって,圧縮成形,オートクレーブ

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成形などで成形した積層板から所定の寸法に作製する。試験片の積層構成は,一方向材を使用する場合,

[45/0/−45/90]2S16層の擬似等方性材とする。二次元織物材を使用する場合,[(45/−45),(0/90)]nsと

し,表1の厚さに最も近い整数nを定める。これ以外の積層構成を採用する場合は,受渡当事者間の協定

による。試験片の作製は,JIS K 7144に規定する機械加工による。孔加工は,炭素繊維強化プラスチック

用のドリルによって加工後,リーマ仕上げをする。これらの加工は,ばり及び層内の樹脂割れが生じない

ように行う。 

なお,積層構成の表示方法は,JIS K 7016-4の附属書Aによる。 

6.3 

試験片の検査 

試験片は,平滑でねじれがなく,表面,辺縁部及び孔周辺に欠陥があってはならない。試験片の厚さ及

び幅の平行度は表1及び図8による。 

6.4 

試験片の数 

試験片は,試験の回数分用意し,その数は,5本以上とする。 

操作 

7.1 

試験片の寸法測定 

試験前に4.2に規定した試験雰囲気中で試験片の寸法測定を行う。中央部における幅及び厚さは,マイ

クロメータで0.01 mmの精度で測定する。孔径は,孔の内径が測定できるマイクロメータなどで0.01 mm

の精度で測定し,表1の公差内であることを確認する。 

7.2 

試験片の装着 

試験片の装着は,図2に示すように,試験片の上下に端末負荷金具(図5,図6及び図7)を装着する。

このときのボルト(M8)4本の締付けトルクは,それぞれ約1 N・mとする。次に,この状態の試験片を面

外変形防止ジグ(図3)に挟んで,L字形台座(図4)にボルト(M8)4本で取り付ける。この取付けにお

けるボルトの締付けトルクは,0.10〜0.15 N・mとする。試験片にジグを組み付けたものを試験機の圧縮盤

に装着する。 

7.3 

試験速度 

試験速度は,次による。 

a) 試験速度は,試験中のクロスヘッドの移動速度とする。この場合,クロスヘッドの移動速度が空運転

又は負荷運転に関係なく事実上変わらない試験機では,空運転時のクロスヘッドの移動速度を試験速

度とみなしてよい。 

b) 試験速度は,毎分0.5〜1.5 mmの一定速度とする。 

7.4 

試験の開始 

試験ジグの組付けを安定させるため,5 kN程度の予備力を付与して,一旦除荷した後に,この試験を実

施することが望ましい。試験速度を規定の値に設定した後,試験機を始動させる。 

7.5 

記録 

試験片に加わる力及びクロスヘッド移動量(変位)を,試験片が破壊するまで記録する。必要に応じて,

貼付したひずみゲージの記録をとる。 

7.6 

破壊形態 

試験片の破壊形態は,試験片の孔部を含む破壊であることを確認し,次のどの形態であるかを記録する。

孔部以外で破壊した場合は,再試験する。 

形態A 

積層角0°層の座屈破壊が支配的な形態:孔部から積層角0°方向(孔部から横断的)に破

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壊した形態。 

形態B  

積層角45°層の樹脂破壊が支配的な形態:孔部の中心から積層角45°方向に破壊した形態。 

形態C  

各層での複合破壊的な形態:孔部の中心から積層角45°方向,積層角0°方向など,層ごと

に破壊した形態。 

計算 

8.1 

有孔圧縮強さ 

有孔圧縮強さは,次の式(1)によって算出する。 

bh

F

=

OHC

σ

 ················································································ (1) 

ここに, 

σOHC: 有孔圧縮強さ(MPa) 

F: 最大力(N) 

b: 試験片の幅(mm) 

h: 試験片の厚さ(mm) 

8.2 

結果の表示 

有孔圧縮強さは,試験片ごとに算出し,その結果の平均値をJIS Z 8401によって有効数字3桁に丸める。

標準偏差及び変動係数を必要とするときは,式(2)及び式(3)によって算出し,JIS Z 8401によって有効数字

2桁に丸める。 

(

)

1

2

=∑n

x

x

s

 ········································································ (2) 

100

×

=xs

CV

 ············································································ (3) 

ここに, 

s: 標準偏差 

CV: 変動係数(%) 

x: 個々の測定値 

x: 測定値の平均値 

n: 測定値の数 

試験報告 

試験報告書には,次の事項を含めて記載する。 

a) 規格番号(JIS K 7093) 

b) 試験材料の特定に必要な全ての事項 

c) 試料の成形方法,積層構成及び炭素繊維の体積含有率又は質量含有率 

d) 用いた試験片のタイプ(タイプI又はタイプII),作製方法及び採取方法 

e) 試験した試験片の数 

f) 

試験片の状態調節の温度,湿度及び時間 

g) 試験温度及び湿度 

h) 用いた試験機 

i) 

試験速度 

j) 

試験結果(有孔圧縮強さ値及び平均値,必要に応じて標準偏差及び変動係数,代表的な力−変位図,

破壊の形態など) 

k) 試験年月日 

K 7093:2012 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

l) 

その他特記すべき事項 

参考文献 [1] ASTM D 6484,Standard Test Method for Open-Hole Compressive Strength of Polymer Matrix 

Composite Laminates