サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 7081-1993 

炭素繊維強化プラスチックの 

屋外暴露試験方法 

Testing method for exposure to natural weathering 

of carbon fibre reinforced plastic 

1. 適用範囲 この規格は,マトリックスとしてプラスチックを用い,炭素繊維で強化して得られた炭素

繊維強化プラスチックの自然環境下における耐候性を調べるため,試料を屋外に暴露して試験(以下,暴

露試験という。)を行う方法について規定する。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS K 6900 プラスチック用語 

JIS K 7072 炭素繊維強化プラスチックの試料の作製方法 

JIS K 7073 炭素繊維強化プラスチックの引張試験方法 

JIS K 7074 炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方法 

JIS K 7077 炭素繊維強化プラスチックのシャルピー衝撃試験方法 

JIS K 7078 炭素繊維強化プラスチックの層間せん断試験方法 

JIS K 7105 プラスチックの光学的特性試験方法 

JIS K 7219 プラスチックの屋外暴露試験方法通則 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 6900及びJIS K 7219によるほか,次のとお

りとする。 

(1) 応力下暴露試験 試料にあらかじめ設定した応力又はひずみを加えた状態で,自然環境に暴露して,

その耐候性を調べる試験。 

(2) マトリックス 強化材又は分散材を囲む複合材料の母材。 

3. 暴露試験の種類 暴露試験の種類は,次のとおりとする。 

(1) 直接暴露試験 

(2) 応力下暴露試験 

4. 耐候性の評価試験項目 耐候性の評価試験項目は,外観,質量変化,光学的特性,引張特性,曲げ特

性,シャルピー衝撃強さ,層間せん断特性などとする。その他,必要に応じて受渡当事者間で行う試験に

ついては,関連する日本工業規格による。 

5. 屋外暴露試験場の条件 試験装置を設置するための試験場所の環境は,原則として次のとおりとする。 

background image

K 7081-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(1) 屋外暴露試験場は,気象因子の年ごとの変化が統計上少なく,環境汚染物質が少ない地域とすること。 

(2) 屋外暴露試験場には,日射・通風・降水などに著しい影響を及ぼす樹木・建造物がないこと。 

(3) 暴露装置を固定する地面又は建造物面には,日光の照り返し,ほこりの舞い上がり,冠水などを防ぐ

処置を施しておくこと。 

参考 上記に適合する標準的な暴露試験場としては,財団法人日本ウエザリングテストセンター・銚

子暴露試験場などがある。 

また,海洋性亜熱帯気候区で高温多湿型気象条件をもつ暴露試験場としては,財団法人日本

ウエザリングテストセンター・宮古島試験場などがある。 

6. 試料 

6.1 

試料の用途分類 暴露する試料は,その使用目的によって表1のとおりに分類する。 

表1 試料の用途分類 

試料の用途分類 

主な用途 

1号 

運動用具,レジャー用品など 

2号 

船舶用,車両用及びその他の工業用 

3号 

建築用及び構造物用 

4号 

航空用 

6.2 

試料の作製 試料の作製は,用途目的に応じた組成のものでJIS K 7072の規定によって作製する。 

6.3 

試料準備上の留意事項 試料準備上の留意事項は,JIS K 7219の5.2(試料準備上の留意事項)の規

定によるほか,次のとおりとする。 

(1) 試料を切削加工した場合は,必要に応じて切削端面を試料と同系統の樹脂又は同系統の塗料による塗

装などによって保護する。 

(2) 引張試験片などタブ付けを要する試験片は,あらかじめタブ付けした状態で暴露することが必要であ

る。この場合,タブの部分を塗装するか,耐候性の優れた遮光性のあるふっ素樹脂フィルム,シート

などで覆い,光が当たらないようにする。 

(3) 暴露後にタブ付けをする場合は,あらかじめタブ付けする部分を塗装するか,耐候性の優れた遮光性

のあるふっ素樹脂フィルム,シートなどで保護する必要がある。 

6.4 

試料の数 試料の数は,各暴露ステージ,各評価項目ごとに最少5個の試験片が採取できるように

用意する。 

6.5 

試料の標識 試料の標識は,JIS K 7219の5.5(試料の標識)の規定による。 

7. 暴露試験装置 

7.1 

一般事項 一般事項は,JIS K 7219の6.1(一般事項)の規定によるほか,次のとおりとする。 

(1) 屋外暴露装置及びその附属器具に防腐又は防食処理を施す場合は,試料に有害な影響を及ぼさないも

のとする。 

(2) 屋外暴露架台,試料保持枠などは,金属が露出している場合,試料との接触による電食があるため,

これらが直接触れることのないように耐候性の優れたふっ素樹脂フィルム,シートなどによって絶縁

処理を施す。 

7.2 

直接暴露試験装置 直接暴露試験装置は,7.1の規定に適合するほか,次のとおりとする。 

(1) 試料に影響を与える外力が加わらないように,試料を直接暴露架台に取り付けるか又は試料保持枠に

background image

K 7081-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

取り付けて暴露架台に固定する構造とする。 

(2) 暴露試験中の試料に,日陰,水滴の落下,試料以外からの腐食生成物による汚染などの影響が生じな

いような構造とする。 

7.3 

応力下暴露試験装置 応力下暴露試験装置は,7.1の規定に適合するほか,次のとおりとする。 

応力負荷として曲げ変形を与える方法には,図1に示すようなA法及びB法がある。応力負荷を与える

これらの負荷ジグは,試料に与えた応力によって,長期間にわたって変化しないよう十分な剛性及び強度

を備えた構造とする。 

図1 曲げ変形の方法 

(1) A法による曲げ変形負荷ジグは,JIS K 7074の4.1.1(負荷ジグ)の規定による3点曲げ試験装置と同

様の構造及び寸法とする。 

試料の厚さ2mmの場合,負荷ジグ中央部の圧子のボルトを回すことによって,最大10mmまでの

たわみを与えることのできる3点曲げ変形負荷ジグの一例を図2に示す。 

図2 3点曲げ変形負荷ジグの構造の一例 

(2) B法による曲げ変形負荷ジグは,図1に示すような2点支持曲げ変形ジグで,試料を両端から山形鋼

background image

K 7081-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

材などの支持具によって挟み,長軸ボルトなどの締め具によって試料を押さえ込み,曲げ変形を与え

ることのできる構造とする。 

8. 暴露試験の方法 

8.1 

暴露試験の種類の選定 暴露試験の種類の選定は,受渡当事者間の協定による。 

8.2 

試料の取付け 

8.2.1 

直接暴露試験 直接暴露試験の試料の取付けは,JIS K 7219の7.2(試料の取付け)の規定による。 

8.2.2 

応力下暴露試験 応力下暴露試験の試料の取付けは,JIS K 7219の7.2の規定によるほか,曲げ変

形下の屋外暴露試験を行う場合は,次のとおりとする。 

(1) 曲げ変形たわみ量の求め方 応力負荷として試料に曲げ変形を与えて屋外暴露試験を実施する場合は,

あらかじめ,JIS K 7074の規定によって試料から5個の試験片を採取し3点曲げ試験を行って,比例

限度の荷重及びたわみ量の平均値を求める。 

得られた比例限度のたわみ量 (b) の平均値を基準として,その90%のたわみ量を曲げ変形たわみ量 

(a) とし,試料にそのたわみ量を与えた曲げ変形下の屋外暴露試験を行う(図3参照)。 

備考 応力下暴露試験における曲げ変形たわみ量として,比例限度のたわみ量に対して何%のたわみ

量を与えるかは,試料の用途分類を考慮し,受渡当事者間の協定によって定めてもよい。この

場合,曲げ変形たわみ量を試料報告書に記録すること。 

図3 曲げ試験による荷重−たわみ曲線 

(2) 曲げ変形の与え方 曲げ変形方法のA法及びB法の曲げ変形の与え方は,次のとおりとする。 

(a) A法の場合 試料の大きさは,厚さ2mm,幅80mm,長さ140mmとし,試料を図2に示すような3

点曲げ変形負荷ジグに取り付ける。この場合,試料と負荷ジグとの接触面は,耐候性の優れたふっ

素樹脂フィルム,シートなどで絶縁処理を施す。 

次いで,負荷ジグの圧子のボルトを回し,(1)によって求めた曲げ変形たわみ量になるまで試料の

中央部を押し上げて,曲げ変形を与える。 

なお,このときの曲げ変形たわみ量及び曲率半径を測定して記録しておく。 

(b) B法の場合 試料の大きさは,厚さ1〜3mm,幅300mm,長さ300mmとし,試料を図1に示すよ

うな2点支持曲げ変形負荷ジグに取り付ける。この場合,試料と負荷ジグとの接触面は,(2)(a)と同

様に絶縁処理を施す。 

試料を負荷ジグに取り付けたときに,接触面の絶縁材料が試料の角によって破断する場合がある

ので,試料の角部を面取りするなどの処理を行う必要がある。 

background image

K 7081-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

次いで,(1)によって求めた曲げ変形たわみ量に相当する曲率半径を算出して求め,試料の曲げ変

形がその曲率半径になるように負荷ジグの締め具によって,試料の両端から押さえ込み,曲げ変形

を与える。 

曲げ変形たわみ量によって曲率半径を求める簡便方法は,附属書に示す。 

なお,このときの曲げ変形たわみ量及び曲率半径を測定して記録しておく。 

8.3 

継続試験 継続試験は,JIS K 7219の7.3(継続試験)の規定による。 

8.4 

比較対照試料の使用 比較対照試料の使用は,JIS K 7219の7.4(比較対照試料の使用)の規定によ

る。 

8.5 

暴露中の試料の取扱い 暴露中の試料の取扱いは,JIS K 7219の7.5(暴露中の試料の取扱い)の規

定による。 

8.6 

試料の保管 試料の保管は,JIS K 7219の7.6(試料の保管)の規定による。 

9. 暴露ステージ 

9.1 

暴露ステージの基準 暴露ステージの基準は,該当する製品又は材料の種類及び用途を考慮して,

耐候性を評価するのに十分な期間とする。 

期間は,原則として表2による。 

表2 試料の用途分類による暴露ステージの設定 

試料の用途分類 

屋外暴露期間(年)の設定段階 

1号 

1,2,3,4,5 

2号 

1,2,5,10,15 

3号 

1,3,10,15,20 

4号 

1,3,10,15,30 

9.2 

暴露試験開始の時期 暴露試験開始の時期は,製品又は材料の種類及び用途を考慮して,耐候性を

的確に評価できるように定める。 

10. 環境因子の測定 環境因子の測定は,JIS K 7219の9.(環境因子の測定)の規定による。 

11. 耐候性の評価試験 

11.1 耐候性の評価試験の時期 耐候性の評価試験の時期は,JIS K 7219の10.1(評価試験の時期)の規

定による。 

なお,曲げ変形下の屋外暴露試験を実施する試料については,必要に応じて曲率半径を測定し,その状

況を記録する。 

11.2 耐候性の評価試験の方法 耐候性の評価試験の方法は,JIS K 7219の10.3(評価試験の方法)の規

定によるほか,JIS K 7073,JIS K 7074,JIS K 7077,JIS K 7078及びJIS K 7105の規定による。 

耐候性の評価試験結果は,規定の暴露期間における各特性値の保持率 (%) で表す。 

なお,曲げ変形下の暴露試験の場合は,負荷ジグから試料を取り外した後,曲げ変形の回復の状況を記

録し,JIS K 7074による曲げ特性を測定する。 

12. 報告 報告は,次の事項について行う。 

(1) 試料の名称及び種類(1) 

K 7081-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(2) 塗膜又はコーティングの種類 

(3) 試料の作製方法,形状,寸法,加工方法及び切削端面保護の方法(1) 

(4) 屋外暴露試験場の所在地及びその緯度・経度・標高 

(5) 屋外暴露装置設置場所の状態(2) 

(6) 暴露試験の種類 

(7) 暴露試験開始の時期及び暴露ステージ 

(8) 試料を屋外暴露した方位,角度,高さ及び取付方法 

(9) 継続試験を行った場合は試料の処理方法 

(10) 耐候性の評価試験結果(3) 

(11) 環境因子の測定結果(4) 

(12) 受渡当事者間で協定した事項 

(13) 屋外暴露期間中のその他の特記すべき事項 

注(1) 比較対照試料を使用した場合は,それを含める。 

(2) 例えば,地上(草地,砂地など),屋上(屋根材の種類など),周辺の環境汚染物質発生源の有

無,海岸からの距離など暴露試験の結果に影響すると思われる条件は詳細に報告する。 

(3) 比較対照試料を使用した場合は,その耐候性の評価試験結果を含める。 

また,暴露ステージ間に観察記録した事項を含めて報告する。 

(4) 屋外暴露試験場で測定しなかった場合は,利用した観測資料の出所を付記する。 

関連規格 JIS K 7075 炭素繊維強化プラスチックの繊維含有率及び空洞率試験方法 

JIS K 7076 炭素繊維強化プラスチックの面内圧縮試験方法 

JIS K 7079 炭素繊維強化プラスチックの面内せん断試験方法 

JIS K 7080 炭素繊維強化プラスチックの面圧強さ試験方法 

JIS K 7082 炭素繊維強化プラスチックの両振り平面曲げ疲れ試験方法 

JIS K 7083 炭素繊維強化プラスチックの定荷重引張−引張疲れ試験方法 

JIS K 7084 炭素繊維強化プラスチックの3点曲げ衝撃試験方法 

JIS K 7085 炭素繊維強化プラスチックの多軸衝撃試験方法 

JIS K 7086 炭素繊維強化プラスチックの層間破壊じん(靱)性試験方法 

background image

K 7081-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書 曲げ変形たわみ量によって曲率半径を求める方法 

1. 適用範囲 この附属書は,応力下暴露試験における曲げ変形たわみ量によって,曲率半径を求める簡

便方法について規定する。 

2. 測定方法 曲げ変形負荷ジグに取り付けられた曲げ変形下の暴露試料の中央部に,附属書図1に示す

測定器を当て,そのときのダイヤルゲージの値 (T) を読み取り,試料の曲げ変形の曲率半径を,次の式に

よって算出する。 

T

T

L

R

2

)

(

2

2+

=

ここに, R: 曲率半径 (mm) 
 

L: 測定器の支点間距離の21 (mm) 

T: 曲げ変形たわみ量 (mm) 

例 

L=40mm,T=5mmの場合,R=162.5mmとなる。 

5.

162

5

2

)

5

40

(

2

2

=

×

+

=

R

附属書図1 

K 7081-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

炭素繊維複合材料本委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

宮 入 裕 夫 

東京医科歯科大学医用器材研究所 

中 島 邦 夫 

通商産業省基礎産業局 

森   康 晃 

通商産業省基礎産業局 

長 田 直 俊 

通商産業省生活産業局 

地 崎   修 

工業技術院標準部 

金 原   勲 

東京大学工学部 

影 山 和 郎 

東京大学工学部 

野 口 義 男 

科学技術庁航空宇宙技術研究所 

野 口 祐 成 

工業技術院機械技術研究所 

古 江 治 美 

工業技術院機械技術研究所 

劔 持   潔 

工業技術院製品科学研究所 

渡 辺   寧 

工業技術院繊維高分子材料研究所 

小 牧 和 夫 

工業技術院大阪工業技術試験所 

則 竹 佑 治 

防衛庁技術本部第3研究所 

代 田   忠 

代田技術事務所 

犬 竹 紀 弘 

石川島播磨重工業株式会社 

葭 田 雄次郎 

富士重工業株式会社 

野 尻 邦 夫 

三菱重工業株式会社 

三 好 一 雄 

三菱電機株式会社 

村 島 善 樹 

トヨタ自動車株式会社 

星   郁 夫 

日立化成工業株式会社 

山 内 啓 司 

東邦レーヨン株式会社 

広 瀬 博 光 

東レ株式会社 

松 岡 廣 典 

三菱レイヨン株式会社 

藤 田 利 仁 

日東紡績株式会社 

(事務局) 

鹿 毛 紀久雄 

財団法人高分子素材センター 

新 鍋 秀 文 

財団法人高分子素材センター 

炭素繊維複合材料耐候性試験方法分科会 構成表 

氏名 

所属 

(分科会長) 

代 田   忠 

代田技術事務所 

小 林   勝 

工業技術院標準部 

中 野 詔 彦 

工業技術院繊維高分子材料研究所材料工学

部高分子構造研究室 

百 島 祐 忠 

株式会社コンポジットシステム研究所 

井 出   正 

第一鍛造株式会社 

村 山   宏 

株式会社日立化成ビジネスリサーチ 

平 田   亮 

東レ株式会社ACM技術部 

村 越   康 

財団法人高分子素材センター新素材事業部 

宮 入 裕 夫 

東京医科歯科大学医用器材研究所 

竹 野   毅 

日本カーボン株式会社技術開発本部技術部 

大久保 和 夫 

財団法人日本ウエザリングテストセンター