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K 6960:2008  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 原理······························································································································· 3 

5 試験環境························································································································· 3 

6 試薬······························································································································· 3 

7 装置······························································································································· 3 

8 操作······························································································································· 4 

8.1 植種源の調製 ················································································································ 4 

8.2 試験材料及び対照材料の調製 ··························································································· 4 

8.3 試験の準備 ··················································································································· 5 

8.4 培養期間 ······················································································································ 5 

8.5 試験の終了 ··················································································································· 5 

9 計算及び結果の表示 ·········································································································· 6 

9.1 ガス状炭素の計算 ·········································································································· 6 

9.2 生分解度百分率の計算 ···································································································· 6 

9.3 消失質量の計算(任意) ································································································· 6 

9.4 結果の表示 ··················································································································· 6 

10 結果の正当性 ················································································································· 7 

11 試験報告書 ···················································································································· 7 

附属書A(参考)試験装置の仕組み ························································································· 8 

附属書B(参考)消失質量の計算例 ························································································· 9 

附属書JA(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································ 10 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,生分解性プラスチック研究会(BPS),日本プ

ラスチック工業連盟(JPIF)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制

定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格であ

る。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 6960:2008 

プラスチック−高固形物濃度嫌気的消化条件での 

嫌気的究極生分解度の求め方− 

発生バイオガスの分析による方法 

Plastics-Determination of the ultimate anaerobic biodegradation under 

high-solids anaerobic-digestion conditions- 

Method by analysis of released biogas 

序文 

この規格は,2004年に第1版として発行されたISO 15985を基に,技術的内容を変更して作成した日本

工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,プラスチックの,高固形物濃度嫌気的消化条件における嫌気的究極生分解度をバイオガス

発生量から求める方法について規定する。 

注記1 この試験方法は, 混合都市固形ごみに含まれる有機成分の代表的な嫌気的消化条件を模擬す

るものである。室内において嫌気的消化槽から得たメタン細菌群を植種源として,試験材料

を高固形物濃度(全乾燥固形物として20 %以上含むもの)で,静置,かくはん(攪拌)し

ない条件下で嫌気的生分解を行う。この試験方法は,試験材料中の含有炭素が発生バイオガ

ス(メタン及び二酸化炭素の混合ガス)へ変換する割合を求めるものである。 

注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 15985:2004,Plastics−Determination of the ultimate anaerobic biodegradation and  

disintegration under high-solids anaerobic-digestion conditions−Method by analysis of released  

biogas (MOD) 

なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していることを

示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0102:2008 工場排水試験方法 

K 6960:2008  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ISO 8245,Water quality−Guidelines for the determination of total organic carbon (TOC) and dissolved 

organic carbon (DOC) 

注記 ISO 8245:1987に対応するJIS K 0400-22-10:1999があるが,最新版のISO 8245:1999には対

応していない。 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1 

嫌気的究極生分解 (ultimate anaerobic biodegradation) 

酸素のない状態での,微生物による有機物からメタン,二酸化炭素,水及び存在する他の元素の無機塩

(無機化)並びに新しいバイオマスへの変換。 

3.2 

崩壊 (disintegration) 

物質が非常に小さい破片にくずれ,壊れる現象。 

3.3 

全乾燥固形物 (total dry solids) 

試験材料又は植種源の既知量をとり,105 ℃で乾燥して一定質量(恒量)になったときの固形物。 

3.4 

揮発性固形物 (volatile solids) 

試験材料又は植種源を約550 ℃で燃焼した後の残さ(渣)を,同じ試料の全乾燥固形物量から差し引い

て得られる固形物。 

注記 揮発性固形物含有量は,含有する有機物量の指標となる。 

3.5 

誘導期 (lag phase) 

試験の開始から,分解微生物のじゅん(馴)化及び選択が始まり,化学物質又は有機物質の生分解度が,

生分解度の最大レベルの約10 %に達するまでの時間(日数)。 

3.6 

生分解度の最大レベル (maximum level of biodegradation) 

化学物質又は有機物が試験中に到達する,これ以上生分解は起こらないという最大の生分解度(百分率)。 

3.7 

生分解期 (biodegradation phase) 

試験の誘導期終了時から生分解度の最大レベルの約90 %に到達するまでの時間(日数)。 

3.8 

定常期 (plateau phase) 

生分解期終了時から試験終了までの時間(日数)。 

3.9 

バイオガス (biogas) 

嫌気的消化過程から発生する,メタンと二酸化炭素との混合ガス。 

3.10 

生分解度 

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試験材料から発生するバイオガス量を,試験材料の理論最大バイオガス発生量で除した値。 

原理 

この試験方法は,嫌気的消化過程を最適に模擬するように設計したものであり,固形物濃度の高い嫌気

的消化条件において試験材料の究極的な生分解度を測定し,崩壊の程度を観察するものである。この試験

法に用いる植種源は,前処理された家庭ごみ,可能であれば有機成分だけを処理している嫌気的消化槽由

来のものがよい。 

試験材料は,植種源と混合後,無かくはん(攪拌)式嫌気的消化試験容器に投入し,最適な温度条件及

び水分条件において正味の生分解反応が終了するまで15日間又はそれ以上の期間にわたって嫌気的消化

をするものとする。 

試験材料の嫌気的生分解において,バイオガス成分(メタン及び二酸化炭素),水,金属塩並びに新たな

微生物の細胞構成物質(バイオマス)が,究極的な生分解産物である。発生するバイオガス量を連続的に

測定するか,又は試験材料用容器及び空試験用容器からのバイオガス発生量を定期的に測定し,積算発生

量を求める。生分解度百分率は,試験材料の理論最大バイオガス発生量に対する,試験材料からの実際の

バイオガス発生量の比として求める。理論最大バイオガス発生量は,試験材料の全有機炭素(TOC)分析

値から計算する。生分解度百分率には,新たな細胞バイオマスのうち,測定期間中に更に代謝によってバ

イオガス化されない炭素の量は含まないものとする。 

なお,測定終了時に試験材料の崩壊の程度を観察し,試験材料の消失質量を測定してもよい。 

試験環境 

試験は,暗条件又は直射日光を避けた条件において,52 ℃±2 ℃に維持した装置を用いて実施する。 

試薬 

陽性対照材料として,粒径20 μm以下のTLC(薄層クロマトグラフィー)用セルロースを用いる。 

装置 

附属書Aに試験装置の仕組みの例を示す。 

すべてのガラス器具は完全に洗浄し,特に有機物又は有毒物が付着していないことを確認する。 

通常の実験器具に加えて,次の器具を用いる。 

7.1 試験容器 発生するガスが漏出しないようにした三角フラスコ又は類似の適切な容器を用いる。 

8.2及び8.3を満たすためには,容積が750 mL以上のものがよい。 

試験材料の消失量を測定するため,すべての試験容器の風袋(空の質量)を測定する。 

7.2 ガス体積測定装置 ガス体積を測定するために,水中に倒立させたメスシリンダ,プラスチックカラ

ム又は他の適切な装置による水上置換法を用いる。二酸化炭素の水への溶解を避けるため,実験中に水は

常にpH 2以下にする。ガス体積測定装置は,ガス配管と同様に,装置と周辺の空気との間にガスの移動又

は拡散がないように十分に高い気密性を確保する。 

7.3 ガス分析機器(任意) 発生したガス中のメタンと二酸化炭素濃度とを測定できる適切な検出器,カ

ラムを備えたガスクロマトグラフなどを用いてもよい。 

7.4 分析機器(任意) 揮発性脂肪酸(VFA)を測定するための液体クロマトグラフ又はガスクロマトグ

ラフ,並びに全ケルダール窒素,アンモニア体窒素,全乾燥固形物(105 ℃)及び揮発性固形物(550 ℃)

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を測定する機器を用いてもよい。 

操作 

8.1 

植種源の調製 

有機性廃棄物を原料とし,正常に稼働している嫌気的消化施設から植種源を採取する。有機性廃棄物は,

都市ごみなどを処理している既存の廃棄物処理施設から出る家庭ごみを,分別,裁断,ふるいなどの前処

理によって60 mm未満の粒径のほぼ一様な形状にしたものとすることが望ましい。 

植種源を採取する消化槽は,上記の有機成分を原料として,高温消化条件(50 ℃〜60 ℃)において最

大30日間以下の滞留時間で,少なくとも4か月は稼働していなければならない。消化槽内の全乾燥固形物

1 g当たり,少なくとも30日間の平均として,一日当たり標準状態で最低15 mL以上のバイオガスを発生

しなければならない。 

植種源は,乾燥条件(全乾燥固形物20 %以上)で稼働している消化槽から採取するのが望ましい。た

だし,湿式発酵施設から消化汚泥を採取し,遠心脱水機,プレス式脱水機,又は最高55 ℃以下の温度で

乾燥し,全乾燥固形物量20 %以上にしたものを用いてもよい。 

準備した植種源は,試験温度で,7日間程度の短期間の,後発酵を行わなければならない。これは,植

種源に栄養源を与えずに,植種源自体の嫌気的,後発酵に任せることである。これによって,粗大な易生

分解性粒子が分解され,また,植種源自体が分解するバックグラウンドレベルを確実に下げることができ

る。 

最も重要な植種源の生化学的な特徴及び測定方法は,次による。 

− pH 7.5〜8.5  

質量で,植種源1部に対して5部の脱イオン水を混ぜ,振とう混合した後,直ちにpHを測定する。 

− 揮発性脂肪酸(VFA):湿潤質量1 kg当たり1 g以下 

揮発性脂肪酸は,質量容積比で1対5となるように脱イオン水を混ぜ[質量容積比1対5とは,例え

ば,約20 gの植種源を正確にひょう(秤)量し,脱イオン水を加えて全量を100 mLにする。],振と

う混合した後,例えば,JIS K 0102 の 16.3[アルカリ消費量(遊離酸)]によって求めたアルカリ消

費量を植種源の湿潤質量1 kg当たりに換算する。アルカリ消費量を,単位 mmol/L で求めた場合は換

算係数60を,単位 mg CaCO3/mmol で求めた場合は換算係数 1.2 を,求めたアルカリ消費量に乗じ,

それを1 000及び分析に供した植種源の質量(kg)で除し,湿潤質量 1 kg 当たりの揮発性脂肪酸の質

量(g)を算出する。 

− アンモニア体窒素(NH4+-N):湿潤質量1 kg当たり0.5 g〜2 g 

アンモニア体窒素は,質量容積比で1対5となるように脱イオン水を混ぜ,振とう混合した後,例え

ば,JIS K 0102 の42.[アンモニウムイオン(NH4+)]によって求め,湿潤質量 1 kg 当たりのアンモ

ニア体窒素の質量(g)を算出する。 

8.2 

試験材料及び対照材料の調製 

試験材料及び対照材料の全有機炭素(TOC)を,適切な分析方法(例えば,元素分析又はISO 8245によ

るTOC測定)によって定量するか,組成が分かっている場合は化学式から計算する。試験材料には,メタ

ン及び二酸化炭素の発生量を測定するのに十分な量の有機炭素が含まれていなければならない。植種源 1 

000g当たり8 gのTOCを含む少なくとも20 gの全乾燥固形物が必要である。 

消失質量を測定する場合,試験材料の全乾燥固形物及び揮発性固形物を測定する。 

注記 試験中の試験材料及び対照材料の消失質量の計算例を,任意の追加情報として附属書Bに示す。

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例では,試験開始時の試験材料の揮発性固形物を測定し,試験終了後の値と比較している。 

試験材料は,か(顆)粒状,粉末,フィルム状,又は単純な形状の成形品(例えば,ダンベル状)のも

のを用いる。個々の試験材料は,一つの面の大きさが約2 cm×2 cm以下でなければならない。元の試験材

料が大きすぎる場合は,小さくする。 

8.3 

試験の準備 

試験容器(7.1参照)は,少なくとも次の数を用意する。 

a) 試験材料用容器  3個 

b) 対照材料用容器  3個 

c) 空試験用容器   3個 

植種源を均質にするために,後発酵槽から十分な量の植種源(約10 kg)を取り出し,慎重,かつ,確実

に手動でかくはん(撹拌)する。 

試験材料又は対照材料は,1 000 gの湿った植種源(全乾燥固形物20 %以上)に対して,揮発性固形物

として15 g〜20 gが含まれるように各々の試験材料用及び対照材料用容器(試験容器)に加える。また,

植種源は,試験容器当たり湿潤質量500 g以上を用い,試験容器内でこの試験用混合物を2〜3分間手動で

かくはん(撹拌)する。 

植種源だけを投入する空試験として,同様に植種源だけを2〜3分間空試験容器内で手動でかくはん(攪

拌)する。 

各試験容器に投入する植種源,試験材料及び対照材料は,それぞれの試験容器ごとの質量ができるだけ

同じになるようにするのがよい。混合物を試験容器に移し,容器内で均一になるように静かに詰める。準

備した試験容器を水浴又は培養器に入れ,ガス体積測定装置又はガス収集装置に接続する。植種源と試験

材料又は対照材料とを混合してからガス体積測定装置又はガス収集装置に接続するまでの時間は,2時間

を超えてはならない。加温装置(培養器又は水浴)を稼働させる前に,温度及び大気圧を記録する。 

消失質量を測定する場合は,それぞれの試験容器に投入した植種源及び試験材料を正確にひょう(秤)

量し記録する。試験材料が形をもつものであれば,試験終了時に試験材料を回収して,崩壊の程度を調べ

てもよい。 

8.4 

培養期間 

準備した試験容器は,暗所又は直射日光を避けた条件において,15日間又はそれ以上の期間,消化温度

52 ℃±2 ℃の恒温条件で培養する。 

注記 この条件は,嫌気的消化実施設の代表的な運転条件である。 

培養期間は,試験材料がまだ有意に生分解している場合,定常期に達するまで延長してもよい。 

適正な時間間隔でバイオガス発生量を測定し,時間と発生ガス量との関係を求める。試験の初期は,頻

繁に測定が必要になる場合がある。 

8.5 

試験の終了 

培養期間終了後,試験容器は室温になるまで放冷し,試験期間中に発生したバイオガスの全体積を計算

する。室温及び大気圧を記録する。 

試験材料の消失質量を測定する場合には,試験材料及び植種源を含めた試験容器をひょう(秤)量し,

次いで,すべての試験容器から内容物を取り出し,全乾燥固形物及び揮発性固形物を測定する(附属書B

参照)。 

崩壊の程度を求めるために,試験材料の外観に関する目視観察結果を記録する。 

任意で,バイオガス中のメタン及び二酸化炭素濃度を,これらのガス組成を定量できる検出器を備えた

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ガスクロマトグラフなどを用いて測定してもよい。 

試験材料のその他の特性として,例えば,関連する物性,化学分析,写真撮影などの補足的な測定を,

残存する試験材料に対して実施することが望ましい。 

計算及び結果の表示 

9.1 

ガス状炭素の計算 

最初に,それぞれの試験容器から発生したガス状炭素の量Cgを計算する。発生したメタン及び二酸化炭

素の体積は,理想気体の状態方程式[式(1)]を用いて,温度(273 K)及び圧力(1 013.25 hPa)の標準状

態における体積V0に換算する。また,体積測定時における水蒸気圧を補正する。 

V0= V×(273.15/T)×((P-Pw)/1013.25  ················································· (1) 

ここに, 

P: 測定圧力 (hPa) 

Pw: 測定時の水蒸気圧 (hPa) 

V: 測定体積 (L) 

T: 測定温度 (K) 

補正したバイオガス発生量を,ガス状炭素の量mc,gに換算する。ここに,標準状態における22.4 Lの

バイオガスはガス状炭素として12 gである。 

mc,g=12 V0/22.4 ········································································· (1)ʼ 

9.2 

生分解度百分率の計算 

試験材料の嫌気的消化によって発生した正味のガス状炭素量は,三反復分析の平均値から,植種源だけ

の空試験から発生した平均ガス状炭素量を差し引いて求める。試験材料の生分解度百分率は,式(2) によ

って算出する。 

個々の生分解度を計算する場合にも,それぞれの容器から発生したガス状炭素の質量に対して同じ式(2)

を用いる。このとき,試験材料に含まれる炭素の初期質量は,平均値又は個々の値のいずれを用いてもよ

い。 

生分解度百分率(%)=

100

,

(blank)

,

(test)

×

i

mc

g

mc

g

,

mc

 ····················· (2) 

ここに, 

mc,g: 発生したガス状炭素の質量 (g) 

mc,i: 試験材料に含まれる炭素の初期質量の平均値 (g) 

ただしmc,i=試験材料(g)×試験材料g-TOC(g/g) 

生分解度百分率の標準誤差

M

σは,式(3) によって算出する。 

(

)

(

)

i

mc

n

σ

n

σ

σ

,

100

blank

test

2

2

1

2

M

×

+

=

 ·············································· (3) 

ここに, 

M

σ: 生分解度百分率の標準誤差 (%) 

n1,n2: 試験材料及び空試験それぞれの反復回数 

mc,i: 試験材料に含まれる炭素の初期質量の平均値 (g) 

σ2(test): 試験材料から発生したガス状炭素質量の分散 

σ2(blank): 空試験で発生したガス状炭素質量の分散 

対照材料の生分解度百分率を計算する場合も同じ式を使用する。 

9.3 

消失質量の計算(任意) 

K 6960:2008  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

揮発性物質に基づく消失質量の計算例を,附属書Bに示す。 

9.4 

結果の表示 

試験材料,対照材料及び空試験の測定結果並びに計算結果を表示する表を作成する。 

空試験,試験材料及び対照材料の各試験容器から発生したバイオガスの積算量を,時間の関数としてプ

ロットする。試験材料及び対照材料の生分解度曲線は,生分解度百分率を時間の関数としてプロットする。

個々のデータ間の差が20 %以内の場合は,平均値を用いる。そうでない場合は,各試験容器ごとに生分

解度曲線をプロットする。生分解度曲線の定常期から平均生分解度を読み取り,最終結果として表示する。 

試験材料の形状が残っている場合には,試験材料の崩壊の程度を定性的に記載する。また,可能であれ

ば写真,関連する物性の測定値などの追加情報も付け加える。 

10 結果の正当性 

試験は,次の場合有効であると判断する。 

a) 15日間後の対照材料の生分解度百分率が70 %以上。 

b) 対照材料の生分解度百分率の試験容器間の差が20 %以下。 

11 試験報告書 

試験報告書には,次の情報を記載する。 

a) この規格の規格番号 

b) 試験材料の同定又は記述に必要な情報(例えば,全乾燥固形物若しくは揮発性固形物の含有量,有機

炭素の含有量,形状及び外観) 

c) 対照材料の同定及び記述に必要な情報及びその有機炭素の含有量 

d) 試験容器の容積,使用した植種源,試験材料及び対照材料の投入量,並びにバイオガスの発生量を測

定するために用いた装置の主な仕様 

e) 植種源の情報(例えば,採取源,平均滞留時間,採取日,保管方法,取扱履歴,後発酵条件,全乾燥

固形物,揮発性固形物,懸濁液のpH値,全窒素含有量,揮発性脂肪酸量など) 

f) 

各消化試験容器の,生分解度百分率及びバイオガスの発生量並びにそれらの平均値として得られた結

果を表形式及び図にした結果,試験材料,対照材料の最終生分解度百分率,並びに植種源の活性度の

結果 

g) 試験期間中及び終了時点での試験材料並びに植種源の目視観察結果,物理的な測定又は写真による崩

壊の程度など 

h) 試験開始及び終了時点での,各試験容器の質量及び質量測定で得られた消失質量についての詳細 

i) 

いかなる試験結果でもその棄却の理由 

background image

K 6960:2008  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

試験装置の仕組み 

序文 

この附属書は,試験装置の仕組みを図示するもので,規定の一部ではない。 

1 試験容器 
2 培養器 
3 バイオガス排気口 
4 ガス体積測定装置 
5 バルブ 
6 バイオガス試料採集口 
7 バイオガス放出口 

図A.1−高固形物濃度嫌気的消化試験装置の例 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

消失質量の計算例 

序文 

この附属書は,消失質量の計算例を示すもので,規定の一部ではない。 

試験材料の消失質量百分率は,揮発性固形物の含有量に基づいて次のように計算する。対照材料につい

ても,同じ手順を用いる。 

i番目の試験材料の消失質量百分率(%)=

100

×

i

i

a

b

 ························· (B.1) 

ここに, 

ai: 試験開始時の試験材料中にある揮発性固形物(g/試験容器) 

bi: 試験中に消失した揮発性固形物(g/試験容器) 

したがって,i番目の試験材料の消失質量百分率(%)は,次の式で表される。 

100

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ν

ν

ν

ν

ν

ν

 ···· (B.2) 

ここに, wt1,i: i番目の試験容器中の混合物の初期湿潤質量(g/試験容器) 
 

wt2,i: i番目の試験容器中の混合物の最終湿潤質量(g/試験容器) 

wb1: 空試験容器中の植種源の初期平均湿潤質量(g/試験容器) 

wb2: 空試験容器中の植種源の最終平均湿潤質量(g/試験容器) 

dt1,i: i番目の試験容器中の混合物の初期全乾燥固形物(湿潤混合物中百分率) 

dt2,i: i番目の試験容器中の混合物の最終全乾燥固形物(湿潤混合物中百分率) 

db1: 空試験容器中の初期平均全乾燥固形物(湿潤植種源中百分率) 

db2: 空試験容器中の最終平均全乾燥固形物(湿潤植種源中百分率) 

vt1,i: i番目の試験容器中の混合物の初期揮発性固形物(全乾燥固形物中百分率) 

vt2,i: i番目の試験容器中の混合物の最終揮発性固形物(全乾燥固形物中百分率) 

vb1: 空試験容器中の初期平均揮発性固形物(全乾燥固形物中百分率) 

vb2: 空試験容器中の最終平均揮発性固形物(全乾燥固形物中百分率) 

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10 

K 6960:2008  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(参考) 

JISと対応する国際規格との対比表 

JIS K 6960: 2008 プラスチック−高固形物濃度嫌気的消化条件での嫌気的究極生分
解度の求め方−発生バイオガスの分析による方法 

ISO 15985:2004,Plastics−Determination of the ultimate anaerobic biodegradation and 
disintegration under high-solids anaerobic-digestion conditions−Method by analysis of 
released biogas 

(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際
規格
番号 

(Ⅲ)国際規格
の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価及びその
内容 

(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異の理由及び今
後の対策 

箇条番号及び名称 

内容 

箇条
番号 

内容  箇条ごと

の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範囲 


 

削除 

植種源採取の限定条件“前処理した家庭ごみだけ
を処理している嫌気的消化槽から得られるメタ
ン細菌群を植種源”を削除した。 

国内での植種源の調製を可能とするため。今後,
ISO 15985 の定期見直しなどを通じて,対応国際
規格の修正を検討する。 

3 用語及び定義 

追加 

バイオガス及び生分解度の定義を追加した。 

このJISの利用者の便のため。今後,ISO 15985 の
定期見直しなどを通じて,対応国際規格の修正を
検討する。 

4 原理 

変更 

植種源採取の限定条件を要求事項から推奨事項
に変更した。 

国内での植種源の調製を可能とするため。今後,
ISO 15985 の定期見直しなどを通じて,対応国際
規格の修正を検討する。 

8.1 植種源の調製 

8.1 

削除 

植種源採取の限定条件“植種源は前処理した家庭
ごみだけを原料とする”を削除した。 

変更 

植種源を採取する消化槽の高温消化条件温度の
範囲を“(52 ℃±2 ℃)から(50 ℃〜60 ℃)”へ
拡大した。 
植種源の後発酵温度を試験温度へ変更した。 

追加 

pH測定方法,揮発性脂肪酸の測定方法及びアン
モニア体窒素の測定方法の手順を追加した。 

8.2 試験材料及
対照材料の調製 

8.2 

変更 

ISO 8245は水溶液(多少の固体懸濁を含む。)の
TOC測定法である。プラスチック試験体では不適
と考えられるので、現実に沿った測定方法とし
た。 
 

国内での植種源の調製を可能とするため。今後,
ISO 15985 の定期見直しなどを通じて,対応国際
規格の修正を検討する。 

3

K

 6

9

6

0

2

0

0

8

  

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11 

K 6960:2008  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際
規格
番号 

(Ⅲ)国際規格
の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価及びその
内容 

(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異の理由及び今
後の対策 

箇条番号及び名称 

内容 

箇条
番号 

内容  箇条ごと

の評価 

技術的差異の内容 

9.1 ガス状炭素の
計算 

9.1 

式(1)  変更 

使用者がすぐに使えるようにした。体積測定時に
おける水蒸気圧を補正する。また、ガス状炭素量
の計算値を示す。 

国内での植種源の調製を可能とするため。今後,
ISO 15985 の定期見直しなどを通じて,対応国際
規格の修正を検討する。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 15985:2004,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

  − 削除 ················· 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
  − 追加 ················· 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
  − 変更 ················· 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

  − MOD ················ 国際規格を修正している。 

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